HiVi(ハイヴィ)の編集長インタビュー

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泉哲也編集長インタビュー

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HiVi 泉哲也編集長インタビュー

私は今年で46歳になりますが、今の40代くらいの皆さんは、中学~高校生といった青春時代にビデオデッキが存在しなかった世代だと思うんです。ビデオデッキは当時の価格で25~30万円くらいしましたからね。今で言えば50万円以上になるでしょう。僕が中学生の頃は、クラスでも1~2名の" お金持ち "の家にしかないのが普通でした。ビデオデッキがない僕らは、日曜洋画劇場の音声をカセットに録音して、映画を楽しんでいました。ここから" 映画コレクション "が始まったのかな(笑)。やがて、大学生になった84年頃には、レーザーディスクに夢中でしたね。レーザーディスクは80年に発売されていましたが、今のブルーレイ・ディスクとは比べものにならないくらい高級品でした。84年当時もレーザーディスクのソフトは1枚1万円くらいしていたし、プレーヤーも安いもので20万円くらい。学生にはなかなか手が出せませんでした。そこで、映画好きの有志が集まって、もちまわりで見たいソフトを買っていた。今月は僕が『スター・ウォーズ』を買ったから、来月はお前が『ブレードランナー』を買え、とかね。そしてそのレーザーディスクを、プレーヤーを持っている先輩の家に持ち込んで、みんなで見せてもらっていたんです(笑)。今考えると画質も音質もそこそこでしたが、でも好きな映画が自分のものになったという気がして、嬉しかったですね

始まりは自分自身が好きな映画を「より大画面で、高画質で、高音質」で見たいという思いだった。それは雑誌のコンセプトそのものであり、そして今は、それをより多くの人に体感して欲しいという思いが強いという。

「誌面で紹介する製品は、すべて実際に視聴テストをして記事を書いています。でないと読者の皆さんに信頼してもらえませんからね。これを使ってもらえれば絶対に幸せになれますよ! という自信を持って記事を作っているんです。
今、ホームシアターという言葉がブームになっていますが、映画でもライブでも、好きな作品がある人は、一度ホームシアターを体験すると絶対にハマると思うんです。そして、一度はまったら、底なしですよ。HiVi読者はみんな新しいキカイ好きっていうこともあると思いますけど、何より純粋に" 欲 "が深いんですよ。例えばCDで、それまで聞こえなかったティンパニの音がしたとか、大太鼓が下から響いてきたとか、バイオリンの弦の消え際の余韻が耳に残ったとか。あるいは、映画だったらカーチェイスのシーンで移動音が本当にグルっと背後まで回りこんでいくような音がするとか、そんなことのためにシステムを新しくしたり、設置を追い込んでみたりしているんです」

もともと『HiVi』読者で、90年末に同編集部に入社して今年で19年目のベテラン。それでも毎月、企画会議では頭を悩ますという。

「企画案は毎月頭痛の種です。特に同じような製品を使い続けているので、どうしてもマンネリな誌面になりがちです。とはいえ、読者諸氏が気になる新製品やソフトは毎月必ずありますから、それらをどこまで楽しめるか、使いこなせるかを念頭に置いて、企画内容を考えています。詰まったときは、全部忘れて寝てしまう、しかないかな。企画を考えたりする決まったものや場所はありませんが、気になるテーマを頭のどこかに置いてくと、ある時ふっと企画が浮かんでくることが多い気がします。食事中だったり、CDを来ているときだったり、自転車に乗っているときだったり、色々ですね。評論家さんと一緒に読者のお宅にお邪魔して、ホームシアターの採点、グレードアップを行うという企画は、読者に好評で10年近く担当しました。その間20人以上の読者のお宅に伺いましたが、以来親しくさせてもらっている人も多くいます」VHS、ベータ、レーザーディスクの時代(83年)に創刊され、レーザーディスクを追いかけ、 DVDを追いかけ、今はブルーレイ・ディスクを追いかけている。そして2006年に発売されたブルーレイ・ディスクは、これから一般に本格的に広まり、家庭に於ける映画パッケージメディアの最終形になるだろうと語る。

8月17日発売の最新号(9月号)にはこれからブルーレイ・ディスクを買う人のために、有名映画の名シーンや予告編を詰め込んだデモディスクが付いている。「HiViの読者は2年くらい前からブルーレイ・ディスクに親しんでいる人が多く、その魅力についてはよく分かってくれています。しかし、それ以外の一般的な認知度はまだちょっと低い。今、店頭で販売されているHDDレコーダーのほとんどは実はブルーレイ・ディスク対応機なんです。だから、既に自宅にブルーレイ・ディスクプレーヤーがあるのに、そのことに気が付いていない人も多いんじゃないでしょうか。彼らはレンタルでも未だにDVDを借りていて、ブルーレイ・ディスクを観たことがないかもしれない。そんな人たちにブルーレイ・ディスクの素晴らしさを知ってもらうために、20世紀FOXさんにご協力いただいて、高画質・高音質なデモブルーレイ・ディスクをバンドルしたんです。
◆編集長のイチオシ◆「2001年宇宙の旅」(ブルーレイ・ディスク WHV WBA79838)
◆編集長のイチオシ◆
「2001年宇宙の旅」(ブルーレイ・ディスク WHV WBA79838)
絵がキレイなにはもちろん、音もサラウンド効果がはっきりしていて、迫力のあるシーンを集めていますので、友達を呼んだりして、みんなでブルーレイ・ディスクのすごさを味わって、ぜひ日本中にブルーレイ・ディスクファンを増やしてほしいですね」

取材後、特別にステレオサウンド社内にある視聴室を体験させていただいた。同社の視聴室には著名な監督もたびたび取材に訪れており、あの押井守監督も『僕の作ろうと思ったものがすべて再現できる』と絶賛したという。今回は120インチ(!)の大画面+5.1chサラウンドシステムで、ブルーレイ・ディスク『AKIRA』の名シーンを鑑賞させていただく。「ホームシアターはブルーレイ・ディスクととても相性がいいんです。しかも価格面では信じられないくらいハードもソフトも安くなっている。これだけ恵まれた状況にあるのに、その実力をきちんと体験できる場が少ないのがとにかくもったいない。しかも映画ソフトはあちこちに溢れているから、昔のような飢餓感もない。ブルーレイ・ディスクを見てもいないのに『僕には絵の違いがわからないから、DVDでいいや』と思っている人が多いのは残念ですね」と語る泉さん。そして初めてホームシアターを体験した筆者の感想はこれは映画館を超えた!!画像の美しさもさることながら、音が走り抜けるように空気に乗ってビシビシと伝わり、まるで自分が映画の中にいるような気になってくる。この感動は、オーディオ専門店のイベント等で体験することができるという。自分の好きな映画をブルーレイ・ディスクで体験したら、確かにこの世界にハマることはまちがいない。ぜひ一度チャンスを見つけて、本当のホームシアターに触れてみてはいかがだろう。

(2009年8月)

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