【特別会見】入身一足
―勝負は触れ合う前に決まっている―
「合気道が真の武道であるために」 西尾昭二師範に聞く
「大先生は触れ合う前に勝負は決まっている、とよく言われました。やはり合気道は、その時すでに相手を的確にとらえる、相手の攻撃を食らわない位置にはいってなきゃいけないんです」「触れ合う時には大先生の体も手の位置もすでに入身に変わっているんです。すでにやられているんですね。」
本誌では、合気道の可能性の実現をテーマに、原点である盛平翁に戻ることを提唱していますが、今号では、すでに20数年前より、合気道から武道性が失われる傾向に危機感を抱き、合気道を真の武道としてとらえることを強調している合気道家・西尾昭二師範にお話を伺いました。本誌編集長との会見を通じ、師範の合気道への思い、その剣、杖へ通じる"当て""入身一足"の理念の奥深さを浮き彫りにし、あらためて「武道・合気道」についての問いを読者に提供したいと考えます。
宇城憲治師範 出版記念実演会開催
新刊『武術空手への道』出版記念実演会が、去る3月9日、本誌主催により新宿野口英世記念会館にて開催されました。第一部の宇城氏の講演会の模様と、第二部の、熱気あふれる一触実演会の模様を写真中心にレポートしました。
【新連載】「知は、型にあり」
文:沖縄古伝空手心道流 宇城憲治
「身体脳で捉える真の調和・融合とは」
エッセイ「武道指導と守破離」 高村幸義
高村氏(1928~2000)は、神道楊心流柔術を修め、長年アメリカでその指導にあたってきました。その鋭い武術的視点に大反響のあった会見(合気ニュース121、122号)に引き続き、氏が門人のために書き残した、この『守破離』は、学ぶ側はもちろん、指導する側にとっての心構えを説いたユニークな武道論です。氏が語る武術の型の本来の意義、守破離を通しての弟子と師のあり方に対する見解は、"生きている武術の修行と指導"に立ち返る重要性を、修行生、指導者、双方に気付かせてくれるものと信じます。
ロシア武術・『システマ』と合気道 文:スタンレー・プラニン
今号で紹介するロシア武術・システマは、日本の読者にはなじみのない武術ですが、近年北アメリカとカナダにおいて護身武術として武道界、格闘界で注目をあびています。現在のシステマ術技の原型は、元ロシア陸軍大佐のミカエル・リャブコ氏が10代の頃にスターリンのSPからシステマの元となる術技を学び、その後自身の特殊部隊の体験技術とあわせて完成させました。
そのルーツは機密上明らかにされていない部分は多いのですが、その理念と術技に限りなく合気道に通ずる側面を見出した本誌編集長が、自ら体験取材をしてレポートしたものが本稿です。本年9月に行なわれるエキスポ2003への招待へつながる編集長のシステマ観を紹介いたします。
■システマビデオ
海外師範会見 その1
「良き師であるために――望月稔先生から学んだこと」
パトリック・オージェー養正館7段
「良き指導者になるためには4つの条件があると思います。器の大きさ、弟子のレベルにあわせてコミュニケーションができること、指導を実際にできること、指導と教えにそった生き方ができること」「豊かな大地に良い種をまき、心をかけて育てれば良い木が育ちます。このことは指導者として心得ておくべきことです。その点、望月先生は豊かな大地であり優れた指導者だと思います」
30年前に来日し7年間を望月稔師範の下で内弟子としてすごしたオージェー氏は、師範を武道の師としてだけでなく、人生の師とあおぐ。現在はカナダ、アメリカで大勢の弟子を指導する氏ですが、その脳裏には今も理想の指導者として望月師範の姿があります。
海外師範会見 その2
「人と分かち合える心を合気道に学ぶ」
池田裕7段に聞く
1976年、渡米。以来米国で指導を行なっている池田師範。一方、自分の納得する合気道指導を行なうためには経済的支えが必要と、1980年、武道具製造販売会社「武人」を発足させる。師範が師と仰ぐ五月女貢、黒岩洋志雄師範のこと、合気道を指導する者としての心構えなどについてお話をうかがいました。
「稽古では技の向上はもちろんですが、人間関係を大切にすることを強調しています。人と分かちあえる心を合気道の稽古から見つけてくれれば最良と思っています」
特別手記 『抽象から具象の世界へ』
アーティスト/武道家 渡邊曙光
画家渡邊曙光氏は、1978年合気道を始める。絵画と合気道を合体させたアイキアートを提唱、パリで活躍の後、帰国。アトリエ道場「猿田彦」で合気道および藝術活動を行なっていたが、昨年総合芸術としての道場「猿田彦」をインドネシアに設立。今回はそのインドネシア道場設立をめぐってお話をうかがいました。
会見 中川千恵美4段 『合気の技、追求の日々』
山梨養神館・竹野高文師範のもとで内弟子として修行、竹野師範の無くてはならない受けとして活躍する中川4段にお話をうかがいました。
"形だけの技は絶対やりたくない、相手を崩し、実際に効く技をやりたい""女性の技は効かないということはないと確信しています。それは、合気道の技自体、非力な者、小さい者に、より有利であるからです"
「合気への終わらない旅」
映画『AIKI』のモデルとなったオーレ・キングストン・ジャンセン氏に聞く
28年前、自動車事故にあったオーレ少年は下半身不随となり、以来車椅子の生活を余儀なくされる。しかし、そんな不幸にもめげることなく、大東流六方会に入門し、4段をおさめるまでになった――昨年、オーレ氏をモデルとした映画『Aiki』が封切られ話題を呼びましたが、来日した氏にうかがったお話しをまとめました。
"車椅子の私が稽古できるのは、合気を信じ直観で技を理解する、自然界の力を信じるのです。このように、実際に受身をとらなくても合気を掴むことができます。"
特別読み物 『清水次郎長伝』
――なぜばくち打ちの清水次郎長が社会事業家に転身したか?
山岡鉄舟とのからみを、エピソードを交えながら面白く書き下ろした"次郎長伝" 島田五郎著
イベントレポート
・外務大臣表彰受賞祝賀会 天道館鏡開き式
・清心館道場開設記念 演武会・祝賀会
技術講座
・口伝シリーズ 岩間に伝わる開祖の合気道� 斉藤仁弘 「腰の動きは両足にあり」
・養神館合気道入門22 「正面打ち小手返し(ニ)」
論説「武道精神の涵養」 編集長スタンレー・プラニン
武道に含まれる二つの武・戦闘術としての武および精神向上のための武について。
"武"を視野にいれた合気道を修得するためには?
"精神向上"としての合気道を修行するためには?
そして、合気道がなぜ現在に必要とされるのか?
以上3点に的をしぼったプラニンン編集長の合気道論。
好評連載 本誌ならではの、会派・流派を越えた豪華な連載執筆陣!
☆阿部醒石 『道歌』
☆高橋賢 大東流合気武術史考
☆甲野善紀 『実用的日本刀の知識』(最終回)
『随縁逍遥』
☆森恕 『琢磨会と大東流』
☆野中日文 『合気道錬成の視角』
☆佐々木の将人 『佐々木説法シリーズ「なるほど」』
☆黒田鉄山 『柔術万華鏡』
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