特集
3・11以降の「原子力」
変動するエネルギー情勢と日本の責任
十市勉(日本エネルギー経済研究所顧問)
福島第一原発の事故の衝撃は、日本にとどまらない。世界各国の原子力政策およびエネルギー市場の変化を見据えながら、日本の針路を提言する。
鼎談●日本人は、核をどのように論じてきたのか
鈴木達治郎(原子力委員会委員長代理)
×武田徹(恵泉女学園大学教授)
×水野倫之(NHK解説委員)
「フクシマ」の事故で問われているのは、日本社会と核/原子力との「共存」のあり方、そのものである。離脱にせよ継続にせよ、エネルギーの領域を超えて社会との対話が求められている。
日本の「原子力平和利用」を促したアメリカの戦略
黒崎輝(福島大学准教授)
「唯一の被爆国」でありつつも原子力の平和利用に専心してきた日本。その手を引いた米国。国際政治の視点から、原子力政策の来歴を振り返る。
原子力「国策民営」方式の光と影
橘川武郎(一橋大学教授)
民間企業によって営まれてきた日本の電力事業。原子力も例外ではない。しかしさまざまな場面で国家の関与が不可欠な原子力は、すでに民間企業の枠を超えた問題として、再検討の時期を迎えている。
<世界はどう変わったか>
フランス 原子力大国のエネルギー政策と社会の受容
福澤義晴(東京工業大学特任教授)
保守政権のもと、原子力政策を強力に推し進めてきたフランス。隣国との対応の違いはどこから生じるのか。そこに迷いはないのか。社会構造という視角から、歴史を振り返り、いまを見つめる。
ドイツ 脱原発に勝算あり
ユルゲン・トリティーン(同盟90/緑の党院内総務)
ドイツで環境保護に正面から取り組む「同盟90/緑の党」。春の地方選挙で躍進を遂げた同党が掲げる、ドイツが進むべき道とは。
中国 原子力重視の方針は変わらず
李志東(長岡技術科学大学教授)
経済的躍進を続ける中国の原子力政策はあまり知られていない。高まりゆくエネルギー需要に応えるため、中国はいかなる原子力政策を模索しているのであろうか。
インド 日印原子力協定を促進すべし
金子熊夫(外交評論家)
NPTに加盟せず、独自の核開発路線を歩んできたインド。その歴史的背景をひもとき、勃興する大国のエネルギー政策と核不拡散のあり方を考える。
21世紀のソフトエネルギー・パス
エイモリー・B・ロビンス(ロッキー・マウンテン研究所会長)
福島での原発事故を契機として、原子力発電が帯びるリスク・非効率性が見直されると同時に、それらを克服しうる可能性を秘めた自然・再生可能エネルギーへの関心が高まりつつある。果たして米国はこの問題にどのように立ち向かうのか。エネルギー・環境問題の世界的権威が語る。
チェルノブイリ事故から25年
記憶は風化させない。事故を教訓とするため、各地でさまざまな催しが開催された。
Focus
「主要国協調」の役割とは何か
震災後の日本を救ったG7円売り協調介入の舞台裏
滝田洋一(日本経済新聞編集委員)
震災後、急騰した円相場。このままでは日本経済への計り知れないダメージになる――
そんな最悪の事態を回避できたのは、G7の協調介入があったからだ。日本の危機を救ったG7の戦略と有用性を検証する。
「知恵袋」として見直されるG8
福原直樹(毎日新聞パリ特派員)
G8拡大論者で知られる仏サルコジ大統領。一時は取りやめも検討されたという今回のドービルサミットだが、そこに一定の成果と役割を見るむきが少なくない。
米中G2という蜃気楼
リチャード・ブッシュ(ブルッキングス研究所北東アジア部長)
21世紀、中国の急成長に伴い、いまや米中関係は最も国際的に影響力のある二国間関係になりつつある。今後の国際環境を読み解くうえで不可欠の要素、米中G2の現在と将来を見通す。
座談会●日本外交における価値を考える
渡邉昭夫(東京大学名誉教授)
×谷内正太郎(元外務次官、早稲田大学教授)
×中山俊宏(青山学院大学教授)
×細谷雄一(慶應義塾大学教授)
国際社会において価値の問題が重視され始めている。日本政府は、パワーや利益ではなく、価値という要素を、どのように外交に反映させてきたのか。2006年に提起された「自由と繁栄の弧」を軸に、日本の価値外交の可能性を語る。
独立論文
インフラの海外展開で、日本は「家元」となれ
前田匡史(内閣官房顧問、国際協力銀行国際経営企画部長)
人口の減少、少子高齢化という現実の前に、日本が取るべき道は一つしかない。官民協調の経済外交の旗振り役である前田氏が語る。
震災支援の長期的展望 世界からの支援を受けて、地元の力を生かす
中村安秀(大阪大学教授)
これまで世界の被災者を支援してきた日本。しかし東日本大震災では支援を受ける側に。さまざまな連帯から生み出される復興への力に期待したい。
アメリカ・アジア学会キーノートスピーチ アジア新秩序と日本の役割
北岡伸一(東京大学教授)
近年の中国の行動により、アジア地域には新たな緊張が生じている。その背後にある行動原理を読み解くとともに、人権や法の支配に基づく秩序像を提唱する。
連載
【巻頭随筆】
ケイコ・フジモリ候補の敗北
遅野井茂雄(筑波大学教授)
若者を見ずして世界を語るな
鈴木均(アジア経済研究所主任調査研究員)
【Cartoon says it all. マンガを見れば世界がわかる】
米軍がアフガンから一部撤退を開始、欧州財政不安、ギリシャから拡大か?
西川恵(毎日新聞特別編集委員)
【マーケットの眼2】
政治はマーケットに従うしかない
伊藤洋一(住信基礎研究所主席研究員)
時に理解できないほどの振幅で人々を翻弄するマーケット。なぜ人はこのシステムと付き合うのか。
【海風陸風2】
知られざるカザフスタンとの交流
原田有造(駐カザフスタン大使)
【史料が語る日本外交2】
沖縄返還交渉における外務省の覚悟
中島琢磨(龍谷大学准教授)
「核抜き・本土並み」で返還を勝ち取ることは可能か。一篇の書簡ににじむ、交渉当事者たちの苦悩とは。
【二十歳の助走2】
インドで見た格差の衝撃、ビジネスを通じて世界を変えていきたい
木ノ本知弘(日本貿易振興機構)
世界を舞台に活躍する人たちは、「若き日」に何を学び、何に挑戦したのか。
【学生訪問記 世界に触れる 連載2】
先駆者が語る、日本の「科学外交」の底力
大村智(学校法人北里研究所名誉理事長)
WHO本部に設置されている、子どもが光を失った大人の手を引いて歩く銅像。失明の危険もあるオンコセルカ症撲滅に向けた事業を記念して作られたものだが、それと同様のものが北里研究所にもある。ここが抗寄生虫薬イベルメクチン生産菌発見の地だからだ。
【コトバの深層 連載2】
介入―― 主権国家体制のほころびを映し出す
清水奈名子(宇都宮大学准教授)
NATO軍によるリビアへの「介入」が続いている。人道の名の下に国境を越えてなされる軍事行動は、いつごろから許容されてきたのか。その論理と課題を明らかにする。
【Book Review ブックレビュー】
【選評】
大津留(北川)智恵子(関西大学教授)
『広報外交の先駆者 鶴見祐輔』
上品和馬・著
民間外交における「国益」の緊張感
『日中国交正常化』
服部龍二・著
戦争経験を共有した指導者たちの政治劇
『外国人へのまなざしと政治意識』
田辺俊介・著
社会調査で浮かび上がる共生への課題
【選評】
池内恵(東京大学准教授)
Sarah Phillips,
Yemen’s Democracy Experiment in Regional Perspective
商品情報・内容
- 出版社:時事通信出版局
- 発行間隔:隔月刊
- 発売日:[紙版]奇数月29日 [デジタル版]毎奇月29日
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かつての「世界第二位の経済大国」日本は、いま大きな試練に立ち向かっています。長く続くデフレ経済、止まらない少子高齢化、不安定な政治情勢、そして2011年3月11日の東日本大震災。そんな難問を前にした今こそ、私たちは「世界」に目を向けたい。日本再生のシナリオは、内向きの視線からは生まれません。国際社会と結びついた「新しい日本像」を構築するために、誠実かつ大胆な議論が飛び交う言論空間――それが「外交」です。ぜひご一読下さい。
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