flick!(フリック)の編集長インタビュー

編集長プロフィール

flick!
「flick!」編集長 村上琢太さん

むらかみたくた ‘92年に転職して、株式会社ライダースクラブ入社(以降途中で社名変更となり枻出版社に)、バイク雑誌の編集部に。以来、ラジコン飛行機の『RCエアワールド』、海水魚とサンゴの『コーラルフィッシュ』など趣味の雑誌ひと筋。

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第78回 flick! 編集長 村上琢太さん

―私はガジェット好きというわけではないのですが、けっこう楽しく読ませてもらっている雑誌なんです。見せ方がうまいと思うんです。

さまざまな趣味の道具が飾られる編集部
さまざまな趣味の道具が飾られる編集部

ありがとうございます。基本は、僕らが欲しいもの、好きなもの、楽しめるものを、皆さんにも楽しんでもらえればという気持ちで編集しています。アップル製品に偏っている気もしますが、それは自分たちの趣味、嗜好だから、ということなんです。

―御社が得意とされる編集方針ですね。

はい。僕もオートバイが好きで、それが嵩じてこの会社に入ったんです。大学を出て1年サラリーマンをやりましたが、やはり自分はスーツ着て通勤電車に乗る生活はできないなと(笑)。
当時はまだ10人くらいの会社で、何でも全部自分たちでやりました。先輩のワザを見よう見まねで覚えて、いろんな失敗もしながら。
でも、好きなことをやってメシが食える、この感じが大切で、いまでも編集するときのベースにはそれがあります。弊社の出版物はたいてい、好きな人が自分の好きなようにつくっていますね。

―趣味の雑誌はそれでないと続きませんよね。読者にも編集部の雰囲気が伝わりますし。

そう思います。もちろん赤字を出すわけにはいきませんので、それなりの努力は必要ですが、ひとり何役もこなせば解消できますしね。だいたいが、自分のつくってる雑誌で黒字が出たから、その黒字の範囲内で次のものをつくるパターンが多いです。この「flick!」だって実際はそうですし。

―バイク好きがどうしてガジェット雑誌を出すことになったんですか。


まず僕は「ライダーズクラブ」を編集しました。バイク好きなので、これは本当に天職だと思うほどに楽しんでつくりました。そこそこ編集ができるようになったころにラジコン飛行機の本をつくれといわれて「RCエアワールド」という雑誌を出しました。これも極め付きの趣味の世界の本で、ホンモノの飛行機と変わらないくらいのクオリティの模型をつくる人たちがいる。趣味の世界はホント奥深いと感動しました。
そのころどういうわけか熱帯魚を飼い始めたんです。これもやりはじめると面白くって、大きい水槽を勧められ300リットルの水槽を家に置いて(笑)。このセカイも深いんですよ。欲しい魚のためにはお金をおしまない人たちがたくさんいる。僕もかなりマニアックになってきたので、よしこの雑誌をつくろうと「コーラルフィッシュ」という雑誌をつくりました。

―趣味が嵩じて雑誌をつくる。いい流れですよね。

そうなんです。「コーラルフィッシュ」は成功したのですが、311以降やり続けるのが難しくなりました。地震で水がこぼれるのも困りますし、停電になって水温が上がると、魚やサンゴを飼い続けられなくなる危険もあります。広告を出稿していただける体力が、業界的になくなってきたということもあってお休みをいただいて、「flick!」に集中することになりました。
その少し前から「flick!」も平行して発行していました。これもやはり、もともと僕がメカやコンピュータに興味があったからなんです。iPhoneが出たときには徹夜して並んで買ったし(笑)、考えてみたら中学のときからポケコン買っていじってましたから。

―なるほど。


ただ少し計算が違ったのは、紙のこの形では利益が出ない(笑)。

―それはまずい(笑)。

そうなんですよ。だから、紙は少しお休みにして、この雑誌は6月からデジタル一本でいこうということにしたんです。毎月10日売りなのですが、今年の6月10日は日曜なので、8日(金)の発売から新スタートということになります。

――でもデジタル雑誌ってなかなか売れませんよね。iPad持ってる人もまだまだ少ないですしね。

はい、まだこれからだと思っています。僕自身、紙で馴染んで育ってきたわけですが、eインクのリーダーでデジタルの書籍を読むことはまったく苦になりませんし、iPadで雑誌を読むことにも慣れてきました。そんな人たちってこれからますます増えてくるはずなんです。その動きの先頭に立とうと思って。やっぱ、誰から最初にバカやって踊っていないと、次の人たちが付いてこないじゃないですか。僕らはそれをやろうと思ってるんです。もちろんすぐに利益が出るとは思っていません。でも、この雑誌はデジタル好きの人たちに支えられているわけですから、理解されやすいかなと思っています。
映像を入れたり、いろいろ仕掛けをすることは、しばらくはやりません。シンプルで読みやすいデジタル雑誌でいこうと思っています。

――いや、私もアリだと思いますよ。もちろん紙がそう簡単になくなることはないでしょうが、デジタルでも読む人は端末の普及とともにますます増えると思います。

僕もそう思っているんです。ですからトライしてみたい。紙だと10万部売れたものがデジタルだと1万部かもしれない。でもそれでいいんです。それでペイできるモデルを考えればいい。むしろデジタルにすれば、少部数のより趣味性の高いものがいろいろできてきそうな気がしますね。

――そうですね。この雑誌の読者って男性ですよね。

95%そうですね。年齢は40代が中心です。ちょうど僕と同じくらい。やはり僕って等身大のものしかつくれないんだなとつくづく実感しています(笑)。
でもその実感から、デジタル・オンリーの雑誌にしてもいけるはずと思うわけです。

――デジタル雑誌になると、クオリティがさがるという声もあります。

そうですね。そこはやはりプロの編集が介入しているものでないと、読者は価値を見出してくれないと思っています。だから編集がますます大事になってくると思っています。
まずは350円という値段で始めます。ただ面白いのはページが無制限にできるということなんです。紙で刷る必要がないわけですから、面白い企画だったら何ページでも伸ばしてやっていける。そんなメリットもあるわけです。

――編集部は何人構成ですか。

僕を入れて3人です。みな気心のしれた男仲間です。ひとりはパソコンの達人で英語もネイティブなので、海外取材もカンペキにこなしてくれます。もうひとりは音楽やオタク文化に造詣が深いので、カルチャー面からのアプローチでいい仕事をしてくれます。
僕たちはエバーノートやスカイドライブなどクラウドを介して常に情報を共有するようにしています。そこに思いついたアイデアをどんどんアップしていくんです。ツールは上手に使いたいですが、基本的には顔を合わせての関係を大切にしています。会議は共有された情報をもとに、月に何度か行うようにしています。フェイスブックもよく使います。
興味のある人が興味のあるテーマを担当する。この基本は変わりません。

――他誌の違いをわかりやすくいうと何でしょう。

ITの専門誌というより、やはり趣味の雑誌ということでしょうね。目線がそこにあるということです。

――村上さんの家の中って、いろんなコレクションがあってきっと大変でしょうね。

水槽と水で700リットル、カメラが10台、ノートパソコンが10台、ラジコン飛行機が10機、本や雑誌が数千冊・・・(笑)。でも妻は寛大ですよ。彼女ももともと趣味に生きてきたような感じのひとなので(笑)。

編集長の愛読誌

(2012年5月)

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2021年3月号 (2021年02月20日発売)
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