目次
introduction
腰痛は非特異性腰痛が85%と考えられている。しかしながら,昨今の研究成果でその可能性は格段に減少している。発症機序として椎間板,椎間関節,仙腸関節,筋肉などが指摘されている。私が腰痛研究を始めて30年になるが,診断方法,治療法など劇的な変化を遂げたか?という疑問には素直にイエスとは言えないが,少しずつ進歩していることは間違いない。
本特集ではまず腰痛の基礎研究として出口剛士先生に「腰痛のメカニズム解明と治療標的の探索」から始めていただいた。次に二階堂琢也先生に「腰痛の疫学-日本の最新データと地域コホート研究からみる現状と課題-」を執筆いただいた。いまだ腰痛の機序は混沌としているのは間違いないが,その機序として岩前真由先生に「脊柱由来の腰痛を中心に」,黒澤大輔先生に「仙腸関節に関して」,添田沙織先生に「Modic変形やHIZに関して」記載をいただいた。いずれも世界が注目している部位であると考える。さまざまな画像診断が進歩してきたが,まだまだ機能的解析は不完全と思われる。腰痛の診断として,鈴木秀典先生に「画像診断と機能評価の進化」,奥山晃平先生に「腰椎分離症診療における新たな画像診断技術-MR bone imagingの有用性」を記載いただいた。一方で,腰痛の治療には運動療法,薬物療法,侵襲的な治療として,ブロック治療,注射療法,手術療法がある。運動療法,薬物療法は多くのエビデンスがあるが,侵襲的治療はまだまだ十分な検証が行われていないのが現状であろう。稲毛一秀先生に「腰痛に対する薬物療法-副作用の予防も含めて」,腰痛に対する理学療法として杉浦史郎先生に「運動療法」を執筆いただいた。未来への懸け橋的治療として西能 健先生に「腰痛に対する新規治療法PRP椎間板注射/脊髄刺激療法」,中前稔生先生に「高齢者の椎体終板障害を伴う腰痛に対する手術療法」,辰村正紀先生に「腰痛分離症に対する経皮的Buck法スクリュー直接固定」のご提案をいただいた。おそらくこれらは今後ますますデビデンスレベルを上げていただき,わが国から世界に発信する有益な治療法に発展すると信じている。
高齢者腰痛や,明らかな非特異的腰痛は上記の治療法では解決できない側面をもつ。サルコペニアやロコモティブシンドロームの合併に対する治療はさらなる検討が必要であろう。また,心理的要素を含む腰痛には認知行動療法も必要であるが,その効果も一定の見解を得ていない。盛 晃彦先生に「腰痛に対する栄養管理」,清水啓介先生に「脳波の複雑性解析による慢性腰痛の認知行動療法適性スクリーニングシステムの開発」を解説いただいた。世界における腰痛患者は2020年で6億人,2040年には8億人に到達すると報告されている。人口構成から多くの高齢者がターゲットになるのは間違いない。局所のみでなく,トータルケアとしての腰痛管理が必要となろう。
千葉大学大学院医学研究院整形外科学
大鳥精司
腰痛は非特異性腰痛が85%と考えられている。しかしながら,昨今の研究成果でその可能性は格段に減少している。発症機序として椎間板,椎間関節,仙腸関節,筋肉などが指摘されている。私が腰痛研究を始めて30年になるが,診断方法,治療法など劇的な変化を遂げたか?という疑問には素直にイエスとは言えないが,少しずつ進歩していることは間違いない。
本特集ではまず腰痛の基礎研究として出口剛士先生に「腰痛のメカニズム解明と治療標的の探索」から始めていただいた。次に二階堂琢也先生に「腰痛の疫学-日本の最新データと地域コホート研究からみる現状と課題-」を執筆いただいた。いまだ腰痛の機序は混沌としているのは間違いないが,その機序として岩前真由先生に「脊柱由来の腰痛を中心に」,黒澤大輔先生に「仙腸関節に関して」,添田沙織先生に「Modic変形やHIZに関して」記載をいただいた。いずれも世界が注目している部位であると考える。さまざまな画像診断が進歩してきたが,まだまだ機能的解析は不完全と思われる。腰痛の診断として,鈴木秀典先生に「画像診断と機能評価の進化」,奥山晃平先生に「腰椎分離症診療における新たな画像診断技術-MR bone imagingの有用性」を記載いただいた。一方で,腰痛の治療には運動療法,薬物療法,侵襲的な治療として,ブロック治療,注射療法,手術療法がある。運動療法,薬物療法は多くのエビデンスがあるが,侵襲的治療はまだまだ十分な検証が行われていないのが現状であろう。稲毛一秀先生に「腰痛に対する薬物療法-副作用の予防も含めて」,腰痛に対する理学療法として杉浦史郎先生に「運動療法」を執筆いただいた。未来への懸け橋的治療として西能 健先生に「腰痛に対する新規治療法PRP椎間板注射/脊髄刺激療法」,中前稔生先生に「高齢者の椎体終板障害を伴う腰痛に対する手術療法」,辰村正紀先生に「腰痛分離症に対する経皮的Buck法スクリュー直接固定」のご提案をいただいた。おそらくこれらは今後ますますデビデンスレベルを上げていただき,わが国から世界に発信する有益な治療法に発展すると信じている。
高齢者腰痛や,明らかな非特異的腰痛は上記の治療法では解決できない側面をもつ。サルコペニアやロコモティブシンドロームの合併に対する治療はさらなる検討が必要であろう。また,心理的要素を含む腰痛には認知行動療法も必要であるが,その効果も一定の見解を得ていない。盛 晃彦先生に「腰痛に対する栄養管理」,清水啓介先生に「脳波の複雑性解析による慢性腰痛の認知行動療法適性スクリーニングシステムの開発」を解説いただいた。世界における腰痛患者は2020年で6億人,2040年には8億人に到達すると報告されている。人口構成から多くの高齢者がターゲットになるのは間違いない。局所のみでなく,トータルケアとしての腰痛管理が必要となろう。
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