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  • 絶景海道ガイド 海辺の絶景ベストスポット20
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絶景海道ガイド 海辺の絶景ベストスポット20

日本は島国。その周りはこれ全て海だ。
冬の旅を彩るのは、まずもって海原のきらめきと澄んだ青空。
第二部では日本のシーサイドロードの中から特にお勧めの絶景海道を20 本選定した。
あえてではあるが、街乗りの延長で気軽に行けるようなスポットも盛り込んだ。
ぜひ愛車と共に実際に現地へ向かい、その感動を体感してほしい。

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絶景海道ガイド 1
天草パールライン
熊本県上天草市

大小120 余りの島々と変化に富む橋を楽しむ

熊本県宇土半島の三角と天草松島を結ぶ天草五橋は、1号橋の天門橋からはじまり、大矢野橋、中の橋、前島橋、そして松島橋と続く橋梁全長1800mの橋の総称で、この間を通る国道266号線が天草パールラインだ。天草で真珠の養殖が盛んなことからこの名がつけられており、周辺には真珠の販売所も点在する。 左右に望む大小120余りの島々は、宮城県の松島、長崎県の九十九島と並び日本三大松島として称えられる美しさだ。  また天草五橋はそれぞれ周囲の自然環境と技術的な条件を考慮して作られており、どれも高さや構造が異なるのも特徴。なかでも天門橋は連続トラス構造としては'66年当時世界第1位の支間長を誇り、中の橋もプレストレスト・コンクリート橋として世界有数の規模を誇るなど、当時の日本橋梁技術の粋を集めて作られている。

絶景海道ガイド 13
山口県下関市
角島大橋

エメラルドグリーンの海を渡る絶景

[角島大橋は、北長門海岸国定公園の一部である角島と本州を結ぶ全長1780mの大橋。通行無料の橋としては国内屈指の規模を誇る。本州側の白い砂浜とエメラルドグリーンに輝く海士ケ瀬がつくり出す風景は、南国のリゾートを思わせる極上の景色。中国道美弥ICから車で55㎞ほどと少し離れた場所ではあるが、一度は訪れておきたい絶景スポットだ。
下関側から大橋を渡りきった先にある角島は周囲およそ17㎞の小さな島で、橋のたもとから西端に建つ角島灯台までは5㎞弱。明治6年に創られたこの白亜の洋式灯台は無塗装・総御影石作りで、今も現役で活躍中。中は見学することも可能で、屋上まで続く105段のらせん階段を登ると、水平線まで望める360°のパノラマビューが広がる。角島や日本各地の灯台を紹介する記念館も併設されている。

絶景海道ガイド 14
高知県室戸市
室戸スカイライン

力強い岩々と海を堪能するワインディングロード

足摺岬と並んで四国二大岬に挙げられる室戸岬を一望する海道が室戸スカイラインだ。稜線を沿うように走るワインディングロードと眼下に太平洋が迫る光景は必見。途中には駐車場も設置されており、遊歩道を登ると岬先端の断崖に建つ室戸岬灯台を間近に眺めることができる。灯台に備えられたレンズは日本最大級を誇り、その直径は260㎝で、光達距離は約49㎞をマークする。
奇岩が並ぶ雄壮な室戸岬は、地質・文化・生態系などから多角的に地球のダイナミズムを感じられるとして世界ジオパークに認定されており、およそ2600万年前に隆起した地層が見られるのも魅力の一つ。スカイラインから室戸岬を堪能したあとは海岸沿いに下り、ダイナミックな地層や地形、南国特有の珍しい亜熱帯植物を観察できる乱礁遊歩道の散策もおすすめだ。

絶景海道ガイド 15
高知県土佐清水市
足摺サニーロード

南国の太陽を浴びて走る爽快スポット

四国最南端に位置する足摺岬は、荒々しい奇岩や珊瑚、椿の花など見所多数の絶景スポット。太平洋に突き出た高さ80mを超える断崖絶壁の岬と、岬の先端に立つ白亜の足摺岬灯台はこの場所のシンボルマークとなっている。
そんな足摺岬で南国ムードを感じられる海道が、足摺サニーロードだ。緩やかなカーブが続く山の中と海岸線を交互に走る道で、眼下に広がる輝く海を眺めながらあびる南国の陽光が気持ち良い。岬周辺に植えられた椿も1~2月にかけて見頃を迎えるので、これからの時期、南国ムードがよりいっそう引き立てられることだろう。
 また四国最南端の地と言うことで、岬の北西・サニーロード沿いにあるジョン万次郎資料館では「四国最南端足摺岬到達証明書」がもらえるので、この地に訪れた際は記念品としてぜひ手に入れておきたい。

絶景海道ガイド 16
愛媛県伊方町
佐田岬メロディーライン

左右の眼下に宇和海と伊予灘を望む

四国最西端に位置し、瀬戸内海と宇和海を隔てる日本一細長い半島・佐田岬半島。この半島の先端、佐田岬に向けて尾根を走る国道197号線は佐田岬メロディーラインと呼ばれ、左右の眼下に見下ろす海の景色が美しいルートとなっている。その名の由来は、風と潮騒、野鳥のさえずりなど自然の音が聞こえる佐田岬半島のイメージから想起されたもの。 途中にある瀬戸風の丘パークは、標高330mの尾根に位置する自然公園。高さ約50mの風車を間近に見ることができる。周りの海を一望できるほか、ツーリング途中の休憩スポットとしてもおすすめ。国道197号線は三崎港止まりだが、県道256号線を進めばさらに佐田岬灯台の手前1・8㎞の地点までバイクで走ることが可能。途中の道幅は狭いものの、終点の駐車場から見える紺碧の豊予海峡と白亜の灯台が美しい。

絶景海道ガイド 17
佐賀県玄海町
浜野浦の棚田

急斜面に開かれた棚田と輝く海が美しい

佐賀県北西部にある町・玄海町の北部、浜野浦地区。この地名は、急傾斜になっている海岸や緩やかな丘、入り江のある集落の様子からつけられたと言われる。そして、浜野浦海岸に流れ込む浜野浦川によって形作られた浸食谷に築かれたのが、浜野浦の棚田だ。戦国~江戸時代にかけて山を切り開き、その後も長い期間をかけて整備と保全を繰り返し、現代にその姿を残している。段々に開かれた棚田は現在283枚で、例年4月中旬から田んぼの水張りがはじまり、5月上旬には田植えが終わる。この時期はまるで海岸が斜面を登ってくるような風景が見られる。これから1月の下旬にかけては畦道に咲く水仙が見頃を迎える。
この棚田は斜面の上を走る国道203号線からの景色が特に美しく、近くには棚田を見るための展望台が設置され、駐車場や休憩所なども完備されている。

絶景海道ガイド 18
大分県豊後高田市
真玉海岸

辺り一面を緋色に染める幻想的な夕景

日本一の温泉県大分で唯一水平線に沈む夕日が見られる真玉海岸は、豊後高田市の海岸線を走る国道213号線沿いに伸びる砂浜。日中に訪れてももちろん綺麗な海岸線が続く海岸ではあるが、特に心奪われる景色となるのはやはり夕方だろう。日本の夕陽100選に選ばれたこの夕景は、最干潮時にも海水が少し残り、遠浅の干潟と夕日を映して辺り一面が赤く染まる景色が幻想的だ。
真玉海岸を左手に国道213号線を北上すると、国東半島の北端・長崎鼻への道がある。緩やかな坂を半島の先端まで走ると、左右の眼下に広がる周防灘と岸壁にできた海食洞穴がいくつも見られ、ここから見える夕日も美しい。
このように国道213号線沿いはロマンチックな風景が点在することから「恋叶ロード」とも呼ばれ、長崎鼻には恋人の聖地の銘板も設置されている。

絶景海道ガイド 19
宮崎県日南市
日南海岸ロードパーク

南国ムードの海岸線。鬼の洗濯板も必見

青い海と空の間を走るような爽快な海岸線が特徴の国道220号線は、日本で初めての道路公園として整備された地域で、日南海岸ロードパークや日南フェニックスロードと呼ばれている。道中はフェニックスやワシントンにパーム、ソテツなどの亜熱帯植物に覆われた植生が美しいルートが続く。そんな日南海岸随一のビュースポットといえば、北東部の青島付近にある堀切峠。沿道のフェニックス並木のほか、眼下の海には鬼の洗濯板と呼ばれる波状岩が広がり、他では見られない景色が広がっている。この絶景を眺めながら一休みしたいときは、近くにある道の駅フェニックスが最適だ。展望レストランや軽食、物産館が併設されているほか、近くにある展望台からは鬼の洗濯板が一望できる。旅の思い出をお探しなら、珍しいえびソフトクリームがおすすめだ。

絶景海道ガイド 20
鹿児島県南九州市
南薩摩路

紺碧の海に浮かぶ開聞岳を望む絶景海道

[鹿児島県薩摩半島の南端を走る国道226号線は、通称南薩摩道路と呼ばれ、深みのある青い海と、薩摩富士とも呼ばれる美しい開聞岳などを望む薩摩半島随一の絶景を誇る。見通しが良く信号も少ないので快適に走ることができる。写真は南薩摩路沿いにある瀬平自然公園からの眺めで、ここから見る開聞岳も美しい。天気の良い日には、遠く屋久島まで望むことができ、無料の駐車場やトイレを備えることからライダー憩いの場となっている。
一方、南九州から北西に続く国道226号線は南さつま海道と呼ばれている。こちらは狭い道やアップダウンの多い山道が続くものの、薩摩半島の岬を巡るルートなので、力強く切り立つ亀ヶ丘岩壁や、秋目湾に浮かぶ沖秋目島など美しい景観を楽しめる。道沿いにはこれら眺望を撮影するスポット「とるぱ226」もある。



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MOTOツーリング Vol.26

MOTOツーリング

Vol.26
(2016年12月01日発売)より

発行間隔:隔月刊
1冊定価:600円

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  • 1433513 59号 P.132-14 5「聖地漫遊 阿蘇ツーリング」
  • 1433513 59号 P.132-14 5「聖地漫遊 阿蘇ツーリング」
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むしゃんよか!~熊本・阿蘇 聖地漫遊~

いつかバイクで走りたかった阿蘇を走った!
熊本地震の爪痕が残る復興中の地だが、ツーリングライダーは歓迎されている。
雄大な風景の九十九折りを走りまわり、思い出にひたり、
自然災害を考え、旨いメシを食べまくる。
これぞたったいまの阿蘇ツーリングだ。

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「阿蘇へ行け」と言い出したのは編集担当のSさんで、「行くのは嬉しいけれど、復興の邪魔にならないのか」と僕は答えた。テーマは了解したが、プランは迷惑にならず実行可能なのかと、心配したからだ。
最大震度7という大小の地震が連続した熊本地震から、もうそろそろで半年すぎる頃である。
熊本市とその周辺の多くの町のみならず、阿蘇山群も手ひどい被害をうけたことはわかっていた。報道からの情報だけではなく、義弟一家が熊本市内で暮らしているから、ダイレクトに地震災害について話を聞いていた。家が倒壊して暮らしを奪われた人たちが生活困窮していることは同情を禁じ得なかったし、大小の地震が何日も連続したことで精神的に疲れ果てた人たちが多いことも知っていた。地震というのは建物や道路を破壊して人命を奪うが、同時に人の心もゆさぶり苦痛をあたえるものだ。それは強いから耐えられるとか弱いから耐えられないというものではなく、人間はそういう生き物なのだと思う。そのことは、この20年間にあった、ふたつの大震災で身に染みてわかったことだ。
 義弟一家にはできる限りのサポートをし、義援募金にも応じたが、僕ひとりで何ができるわけでもない。何もできないのなら、せめても復興の邪魔にならないようにするぐらいしかない。阿蘇へツーリングに行こうと言われて、だから最初に気になったのは、闖入者となってしまうことだった。「もう大丈夫です」とSさんは言った。「つい先日、地震で操業を休止せざるをえなくなったホンダの熊本製作所が、操業を再開するという取材会へ行ってきたのです。阿蘇界隈の一部の道路は、まだ通行止めのところもありますが、宿泊施設も観光施設も営業を再開していました。ツーリングライダーは歓迎されていますよ」

 阿蘇にはツーリングライダーが洒落で「聖地」と呼ぶ場所がふたつある。大観峰と草千里だ。そのどちらへも走って行けると言う。
 それならば行こうと僕は思った。阿蘇は何度か行ったことがあるがいずれもクルマで走ったので、かねがねバイクで走ってみたいと思っていた。
 阿蘇の道は風景の広がりが雄大なのである。九十九折りの山道なのだが、どうして山道の風景が、こんなに開けているのかと思うほどに、広々とした風景のなかに道が通っている。日本の山道は森のなかにくねくねとあるというのが通り相場で、その印象は北の大地である北海道でも同じだ。
 ところが阿蘇はちがう。あくまでも風景が広い。誰が、どのような理由で、このような道を切り開いたのかと考えさせられるほどだ。バイク乗りが、いつかは走ってみたいと思っている地域が日本にはいくつかあるが、阿蘇はそのひとつである。
 その阿蘇をとうとう僕はバイクで走ることになった。
 震災後復興中の地へ旅行することは、それだけで復興支援になるのだと言う人がいた。たしかに地震で観光客の足が遠のいた阿蘇へ遊びに行くのだから、そう言えなくもない。しかしそのような物言いをするのは、どこかおこがましく、気がひける。口には出さず心のなかで、僕はせいぜい枯れ木も山のにぎわいであろうと思った。

阿蘇ツーリングはホンダの熊本製作所に表敬工場見学をお願いすることから開始した。阿蘇へ行くのに熊本製作所を素通りすることはないよねという気持ちがした。熊本製作所は、熊本市から阿蘇へ向かう途中の菊池郡大津町にあるからだ。
熊本製作所はホンダの2輪と汎用製品の工場である。現在、ホンダが国内で生産する2輪は、エンジンから車体まで、すべて熊本製作所で生産されている。カブ・シリーズのなかで唯一のバックボーンフレームになってしまったリトルカブも熊本製作所で生産されているところから、カブ好きは熊本製作所を聖地と考えている。人間は文明と文化がやってくる方角を拝むというが、カブ好きのひとりとしては、十分に容認できる言葉遊びだ。
熊本製作所では、原付きと小型は、いわゆるラインでの流れ作業で合理的に組み立てられ、CB系の大型バイクなどは1台づつ数名の従業員が丁寧に組み立てている工場である。 そのエンジンと完成車の組み立て工場の見学が許可されていた。工場の見学希望は、見学希望日の2か月前から受付けてもらえるが、希望日に必ず見学ができるとは限らない。
熊本製作所の都合というものがあるからだ。工場は製造業の本丸であってアミューズメント施設ではないので、当然のことながら熊本製作所の都合が最優先される。見学が許可されれば、手厚い工場説明の後に、解説員に誘導されて現場を見て歩くことができる。
 工場見学をすれば、物作りの現場が躍動している活発な音が、喜びの歌のように聞こえてきた。地震で被災し、物作りが停止したとき、そこには口惜しい静粛がただよったにちがいない。それがいま5ヶ月ぶりに復興し、現場の躍動がもどってきている。
 まだ工場の一部は再建工事の最中で熊本製作所は完全に復旧したわけではない。しかし生産が再開されているのは、物作りの現場は物作りをしなければ生まれ変わらないという現場の本能のような気持ちからだろう。そのことに気がついた見学者は感動をおぼえる。その感動は雰囲気に流された感情的なものではなく、物作りの現場で働く人間の働くことの尊厳を見て知ったことで、じわじわと痛感するような感動だ。
 そのような工場見学を終えて、お土産の工場案内やくまモンステッカーなどが入った熊本製作所特製の書類フォルダーのなかに、嬉しいフライヤーとパンフレットを発見した。
 熊本県の公社である観光連盟のフライヤーには、全国からとどいた地震見舞いへの返礼と復興への決意を述べたあと「ぜひ、くまもとに来て、見て、食べて、楽しんでください。それが一番のチカラになります。」とあった。
熊本県の県北広域本部総務部振興課が発行している、ツーリングライダーが所持しやすいサイズのA5・28ページのパンフレットの表紙にはこうある。「熊本阿蘇・菊地のツーリングをもっと楽しく!/ライダー歓迎! おもてなし店ガイドブック」。この地域にある飲食店、宿泊施設など68店がツーリングライダー向けに実施する料金割引やサービスが案内されているのであった。
 僕はこのフライヤーとパンフレットに込められた気持ちを真に受けようと思った。阿蘇の人たちは間違いなくツーリングライダーを歓迎してくれている。

走る。平原の1本道を心ゆくまで。

阿蘇ツーリングが始まった。
バイクはホンダのまぎれもない名車であるCB400のハーフカウル仕様SBだ。素晴しく滑らかにかつ鋭く回転する水冷インライン4気筒と剛性が高くバランスのいい車体で申し分がない。熊本市のホンダドリーム熊本でお借りしたバイクだ。普段はお客様の試乗車として使われているCB400SBだそうで、もちろん完璧に整備されていてコンディションは上々である。
熊本市を起点とすると阿蘇を走った楽しむルートはふたつある。ひとつは北側の県道339号線ミルクロードで、もうひとつは南側の県道206号線グリーンロード南阿蘇だ。どちらを選ぶかということになるのだが、ミルクロードは4輪だけれど何回か走ったことがあるので、まず走ったことがないグリーンロードにしようと思った。ルート選択の理由は、なるべく単純な方がよろしい。
 グリーンロードを走ってゆくうちに気がついたのだが、この道は森林のなかにある。阿蘇といえば広大な風景のなかに九十九折りの道があるというのは、僕の一方的な思い込みにすぎず、阿蘇のハイライトである草千里と大観峰あたり一帯が広大な風景を楽しめる九十九折りであって、そうではない森のなかの道もあるのだった。つまり阿蘇ツーリングの面白さは、広大な風景あり、森のなかの道あり、山里の道もあるといったバラエティに富んだ走りを楽しめるということだ。そのことに走りながら気がつくと、自分の思い込みに苦笑いをした。
グリーンロードの終点は草千里の南にあたる白水温泉だったが、ここから草千里までゆく県道111号線・阿蘇パノラマラインは現在のところ通行止めなので、東側を迂回する国道265線で、草千里の北側になる黒川まで大回りする。黒川から草千里までの阿蘇パノラマラインは通行止めが解除されたばかりである。予定よりも早期の通行止め解除だそうで、観光地の道路の復旧は急ピッチで進んでいるようだ。
 阿蘇パノラマラインこそ、ここぞ阿蘇という広大な風景のなかをゆく九十九折りである。この風景はやっぱり気持ちがいいと思っているうちに草千里へ着いた。
ツーリングライダーにとって草千里は、草千里という名の10年に一度の集合行事にして写真集発行イベントの地であろう。このイベントは1979年に写真家の守屋裕司さんが発案して実行したことから始まった。それがライダー有志によって自然継承され10年に一度のイベントになったという、実に愉快かつ不思議な展開をみせている。
 守屋さんは学生時代からバイクで日本全国をツーリングしていた人で、電子工学の技術者から写真家に転職されてバイク・ツーリング写真を開拓して確立した写真家であった。守屋さんは写真の原点は記念撮影であると考えていて、ツーリングと記念写真を融合した草千里を企画したのだった。
 草千里を選んだのは学生時代のツーリングで忘れられない地であったからだろうが、それが北海道ではなく九州であったことは、大阪出身の守屋さんらしい。
僕はこの記念すべき第1回の草千里のスタッフであった。企画から前段階の映画公演会などをお手伝いし、JICC出版局(現在の宝島社の前身)を口説いて写真集『バイク友だち/夏のライダーたちより草千里'79』の出版を決め、全ページに流れる長編の詩を作家の片岡義男さんへ依頼した。
残念ながら8月24日午前6時から26日の日没までの800人のライダーが集まった草千里本番には立ち会っていない。その頃の僕は寝るヒマがないぐらい忙しく、どうしてもスケジュールが合わず東京を離れられなかったからだ。
 守屋さんはその後、オーストラリアのビクトリア砂漠を単独ツーリングして驚くようなツーリング写真を撮影した。自分ひとりで、走る自分とバイクを撮影するために、遠隔操作でシャッターを切る手法や、リアシートに櫓を組んでカメラをセットするなど、バイクの各所にカメラを取り付ける手法を駆使したのだ。

草千里で感じる地球の息吹

ところが守屋さんは十数年前に大病に冒されて写真家を引退せざるをえない人となった。そのときビクトリア砂漠ツーリングの写真すべてが廃棄された。もし、あのツーリング写真が写真集になって公開されていたらならば、風景写真の世界に衝撃をあたえ、守屋さんのバイク・ツーリング写真がモダンアートとして全世界的に認められたと思う。
草千里の大駐車場にたたずんで、大風景を眺め、ときおりやってくるライダーを目で追いながら、僕は37年前の草千里に思いを馳せていた。
 その僕の視界のなかで武田大祐さんが写真を撮影している。武田さんのバイク・ツーリング写真は、いまやモダンアートの一角に存在すると僕は思っている。それは僕だけの思いではなく、『風まかせ』の読者のみなさんの思いではないか。
 雄大な風景を目の当たりにすると妙に感傷的になるのは歳をとった証拠なのかもしれない。それから、もうひとつの「ライダーの聖地」である大観峰へ行った。相変わらず走っていなければ生きている気がしないようなライダーたちがたむろしている。微笑ましい場所である。
 大観峰から眺められる阿蘇山群のパノラマ風景は、まことに雄大で気持ちがいい。しかし活火山である中岳が噴煙をあげる阿蘇山群が、熊本地震に襲われたことは忘れられるはずもなく、自然の神に祈るような気持ちがこみあげてくる。
 阿蘇をいま走れば、ところどころ地震で道が破壊され一車線通行になっている。それを見るたびに胸が痛むし、一刻も早い復旧を願わざるをえない。僕には祈ることしかできないのだとつくづく思う。

 そのような神妙な気持ちになりがちのツーリングであったが、どういうわけだか何を食べても旨いという人になっていたのには、あっけにとられた。元来、食い意地がはっているので何でも食べて、その食べ物を旨いところを楽しみたいのだが、阿蘇にいた時間は何を食べても旨いのであった。
 阿蘇の名物といえば高菜めし、だご汁、赤牛とあるが、それも旨いが、宿の食事でもラーメンでもチャンポンでも何でも旨い。地酒も旨かった。並んで待つのが大嫌いなくせに、行列のできる人気食堂で並んで待っている自分に気がついたときは、ややあきれた。
 それはつまり阿蘇の食べ物が旨いということなのだ。阿蘇山群という素晴しい観光資源を最大に活用するために、この地の食堂や宿泊施設は旨い食べ物を提供することに熱心なのだろうと思った。サービスがいいのである。ツーリング・ライダーをふくめて観光客を、思い切り楽しませてくれる。
 走って気持ち良く、食べて旨いツーリングというのは、極楽ツーリングというものだろう。ライダーの聖地には、ツーリングライダーの快楽すべてがあった。
阿蘇ツーリングは、走りも食も満腹になるまで楽しめた。ここを聖地と言わずに何と言うと僕は思った。だが、しかし、僕が阿蘇を離れた12時間後に、阿蘇中岳が爆発的噴火をした。火山が吹き出した石と灰で阿蘇の南側一帯は深刻な災害に襲われたのである。

やっぱり阿蘇は、むしゃんよかよ。

豪雨に襲われ、地震に襲われた阿蘇が、ふたたびみたび爆発的噴火に襲われた。襲われただけではない。さらなる巨大噴火や大きな地震が襲ってくるのではないかという不安を残してしまった。
 自然はこの地球で唯一殺生権をもつものだ。人類はそのことを身をもって学び、自然への畏敬の念を忘れたことがない。
 地球自然が猛り狂ったとき、人は逃げまどい、最後には祈るしかない。それほどまでに自然に対して人は無力である。自然に対して科学技術で立ち向かうのは人類の英知というものだろうが、それは一方で不遜なことになりかねない危険な考え方だ。自然が自然であるならば、人類は自然と共存していくしかないのだと思う。
 ライダーは登山家やヨットマンのように孤立無援で地球自然のなかにいるものではないが、地球自然とつきあいながら走っている人のことである。雨が降るのも強風が吹くのも止められはしないと知っている。
 阿蘇ツーリングの途中に阿蘇神社へ参った。ツーリングをするとき、その地の神様に安全を祈るのは、いつものならわしだ。しかし阿蘇神社の社殿は地震によって倒壊していた。
 その倒壊した社殿を見たとき、祈る気持ちのある者のひとりとして、これは神様が何かの身代わりになられたのではないかと思った。本来ならば、もっと大きな地震になったのではないか。あるいは、阿蘇の大噴火を未然に防いだのではないかとさえ思った。そのときに祈る気持ちというのは、そういう願望をふくみこむものなのだなと再確認した。とはいえお賽銭をはずんで、祈るしかないのである。よもやその直後に阿蘇中岳が爆発的噴火をするとは、考えもしなかった。
 数年前に地質を研究する自然科学の学者に「なぜ、噴火や地震が起こるのかを簡単に説明してほしい」と頼んだことがある。答えは本当に簡単だった。「それは地球が冷えていっているからだ」。どうしたら地球が冷えていくのを察知してコントロールするのかと質問を重ねる気はなくなった。地球自然とは宇宙の原理なのだとわかったからだ。これは神の領域だから、人類には科学技術があると言ったところで、いかんともしがたい。
 地球自然に立ち向かうのはけっこうだが、人は祈るしかない。祈らなければ、祈りはつうじない。
 楽しかった阿蘇のツーリングは、あっという間に思い出のフォルダーにしまい込まれた。それを書き連ねてきた僕には、もはや祈ることしか残されていなかった。



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風まかせ No.59

風まかせ

No.59
(2016年11月06日発売)より

発行間隔:隔月刊
1冊定価:820円

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沖縄

  • 鉄馬絶景道 沖縄北部の密林を ハーレー探検!?
  • 鉄馬絶景道 沖縄北部の密林を ハーレー探検!?
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ノベトキナルミの鉄馬絶景道
沖縄北部の密林をハーレー探検!?

やんばるのアトラクションロード。
大国林道
日本が誇る、各地の素晴らしい風景。そんな景色を求め、イメージキャラクターのノベトキナルミちゃんが、今月は沖縄に再上陸。今回は、知る人ぞ知る未開の地を大冒険!?
果たしてどんな絶景と巡り合ったのでしょうか。

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知られざる沖縄の山道を
ノベトキ隊員が大冒険!

季節は6月。ツーリングはいつでも天気とのにらめっこ。ジメジメした梅雨を抜け出して思いっきり走るため、また来ちゃいました、沖縄県!ノリと勢いで沖縄に来たのはいいけれど、さてどこを走りましょう。前回は海を楽しむ絶景ロードを走り回ったので、違う景色を楽しみたいし。真剣に考えるノベトキちゃんをよそに『海じゃないなら山じゃない?(by編集部)』という単純すぎる理屈で、今回目指すのは山に決定! とはいえ、ただ普通の山道を走るだけではもったいないので、観光客にはあまり知られていない、沖縄の秘境を探検してみることにしました。
そんなこんなで目的地になったのは沖縄県北部、やんばるの森を縦断するアドベンチャーロード。民有林林道・大国線こと『大国林道』です。この道は沖縄本土が復帰した後の1977年に工事が始まり、1994年に開通。長さにして約35・5キロだけど、走りごたえは満点です。ナビで出てくる整備が行き届いた林道よりも、生い茂る木々がさらに大きく、また路面には落ち葉が重なり、そのビジュアルはまるでジャングル。 そんな道でも怖気づくどころかワクワクしてしまうのが、我らがノベトキちゃん。元気いっぱい頼もしく、絶景探検の旅に出たのでした。さて、ノベトキ隊員の運命やいかに……!?

沖縄県北部、やんばるの山の真ん中を南北に通る全長約35.5キロの林道。今回は大保ダム入り口近くから入り、県道2号線まで走りました。交通量が少なく適度なワインディングを楽しめるけど、落石があったり、落ち葉が多く雨の後は滑りやすくなるので、急がずゆっくり進むのがオススメ

「見える景色だけでなく聞こえてくる音も、まさに南国ジャングル! !」

ここは日本!?
非日常を駆け抜ける。

わくわく、ドキドキ。意気込んで向かった林道の入口で、まさかの足止め!?
 看板をよく見てみると、ゲートはマングースの侵入を防止するためのものみたいです。「門を開ける。この感覚がもうすでにアドベンチャー!!テンション上がっちゃいます」
と大興奮のノベトキちゃん。落ち葉や落石に注意しながら慎重に進みます。勾配はほとんどないけれど、草木が道路にはみ出すほど生い茂る林道は、カーブが少し多め。「どんな道が広がっているのか。先がわからないで走っている時の私は、わくわくしてはやく先に進みたい気持ちが湧いているけれど、ものすごく低速(笑)。道に注意していたこともあって、恐る恐る、探検家にでもなったような気分で、より自分をゆっくり進ませました」
 そろりそろりと進む山道。ワインディングを楽しみ、眼下に広がる景色を眺める走り方とはまったく違う新感覚の道を、じっくり味わいながら走っていきます。
「上から垂れ落ちる草木がひとつひとつダイナミックで、見たこともない植物ばかり。しかも手で触れる場所に南国の木々があるんですよ!?
 それにいろんな鳥や虫たちの声がハーレーのエンジン音に負けないくらい聞こえてきて。見える景色も聞こえてくる音も、まさに南国ジャングル!!
 遊園地のアトラクションの中を走っているような、非日常の世界が目の前に広がっていました」
南の島特有の動植物に囲まれ、興奮冷めやらぬ様子のノベトキちゃん。道に、景色に、音に集中しながら進む道のりは、約35キロとは思えないほど長く感じられ、“走ったぞ!”という満足度はかなり高め。
 海外映画の世界のような、イタジイが生い茂る森を一望できる橋や、神秘的で涼し気な湧き水など、景色が変わる度にバイクを停め、その光景を目に焼き付けたノベトキ隊員。沖縄の秘境で、日常では味わえない、また広く知れ渡ってはいない、たくさんの絶景を発見したのでした。

最北端は、おもしろモニュメントだらけ!?
沖縄本島最北端の地「辺戸岬」は意味ありげなモニュメント(しっかり深い意味があります)がちらほら。思い出作りの記念撮影スポットにはもってこいかも!?

森を抜けたら、心がなごむ
“ふるさと“沖縄を堪能。

南国ジャングルな絶景道、大国林道を抜け、県道2号線に出てきたノベトキちゃん。走りごたえはたっぷり。大満足の冒険だったけれど、走るの大好き、貪欲な絶景ハンターはまだまだ先に進みます。
沖縄県北部、太平洋側の海沿いをなぞるように通る県道70号線は、まっすぐな道が多い沖縄では珍しく、ワインディングが多い道路。そのため地元バイク乗りの定番ツーリングコースになっているんだとか。そんな情報を得たからには、ハーレー女子としては走らずにはいられません。県道2号線から70号線に入り、そのまま北上。青森県の本州最北端、三重県の最南端に続き、沖縄本土の最北端も制覇しておくことにしました。『辺戸岬』で記念写真を撮影。地図アプリで最北端制覇を確認すると、ちょっとニマニマして満足気なノベトキちゃん。地図で見ると、自分の今いる場所をより実感できるんだとか。そこからすぐ近くの絶景スポット、『茅打ちバンタ』にも立ち寄ります。一見なんてことない高台だけど、そこから下を覗いて見ると……。
「まさに断崖絶壁!!80メートルも下の景色を身を乗り出して覗きこむのはヒヤヒヤだけど、コバルトブルーの海が美しすぎて、吸い込まれるように身を乗り出しちゃいました。これだけ上から見下ろせると、沖縄の海が1色でなく、いろんな濃さの何色もの青がグラデーションになっているのがわかります。日が落ちてきた夕日も、うっとりしちゃうほどキレイなんでしょうね」
そんな夕日は、県道58号線を走りながら眺めることに決め、名護市まで南に下って走りだしたのでした。 そんな大冒険を終えた翌日。ヘトヘトかと思いきや、絶景ハンターは今日もフルパワー。
「癒やしとご飯と海が欲しい!!」 と言って目指したのは、備瀬のフクギ並木。ここでは、癒やしとご飯が目的のようです。
「強い日差しの中を走っていると、夏を全身で感じられて好き。でもフクギ並木のように木のぬくもりを感じながら、木陰の中をゆったり走るのも大好きです。爽快に海辺を走ったり、わくわくジャングルのような道を走るのとはまた違って、心がゆったり。南国のふるさとを思わせる並木道に、こういう所が自分の田舎だったら。こういう所で生まれ育ったら……なんていろんな妄想が膨らんじゃいました(笑)」
 そんなフクギ並木にある地元の食堂で、楽しみにしていたソーキそばを汁まで堪能。ちゃっかりゴーヤチャンプルーや島らっきょうも頼んじゃったりして、沖縄グルメを満喫。残すは“海”ということですね!

ソーキそばも忘れずに

沖縄のうちなーグルメはいろいろあるけれど、やっぱり食べておきたいソーキそば。フクギ並木にある地元で有名な食堂で、お昼ごはん。「ほろほろのソーキ(スペアリブ)に出汁の効いたスープが飲みほしたいほど! 美味しさに感動しました!!」

レストラン岬
沖縄県国頭郡本部町
備瀬567
TEL 0980-48-3253

フクギ並木をしっぽりお散歩。

本部町の備瀬地区は、住宅のほとんどがフクギの屋敷林に囲まれた、温かみのある集落。このフクギは、ふるくから防風林として用いられているそう。「木陰が太陽から守ってくれるから、木のぬくもりを感じてゆったり走れる。真夏のツーリングの癒やしスポットですね!」並木からのぞく小道や小さなお店に誘われながら、のんびりお散歩ツーリングを楽しみました

透き通った沖縄の海に
心も体も癒やされます。

 今回の旅の目的は、沖縄の森を探検すること。その目的は果たしたけれど、夏を求めてここに来たなら、やっぱり海は外せない!!
ということで、沖縄でも指折りの天然ビーチがある瀬底島に上陸です。瀬底島は外周が約7キロほどの小さな島。西側にある瀬底ビーチは、透明度が高く指の隙間をこぼれ落ちる白砂が美しい、地元の人にも愛されている名スポットなんだとか。沖縄本土から青く澄んだ海の上をかけ抜け、浜辺に向かってまっしぐら!「前回走った古宇利大橋もそうですが、サンゴが見えるほど透き通った海の上を走れるのは、沖縄ならではの特権でしょう! 自然とニマニマしちゃって。気持ち良すぎて、海に向かわずにはいられなくって、全速力で橋をかけ抜けちゃいました(笑)。そんな橋を渡って、旅の最後に入った海は、もう至福!!
 汗をかいた体もスッキリ。プカプカ浮かんでいるだけで、旅の疲れが癒されました」 知らなかった世界に出会い、焦がれていた景色に癒やされた今回の旅。
「沖縄=海とばかり思っていたけど山も、食事も、まだまだ出会えるものってこんなにあるんだと、驚きでいっぱいの旅になりました。そして何度見ても、海の美しさには感動!この景色に出会いに、何度でも訪れたくなります」
 ジャングルのような秘境を探検したかと思えば、穏やかに流れる時間と、美しく輝く海に癒されて。沖縄のもついろんな表情を、身にしみて実感したノベトキちゃん。またひと回り、ハーレー乗りとして、絶景ハンターとして成長したのではないでしょうか。……羨ましい限りです。
次回で2年目を迎える絶景道の旅。実は今まで1人でしか走ったことがないというノベトキちゃんを、編集部員と走れるカメラマンがビシバシ振り回してやろうと思います。一緒に遊びに行きたいだけじゃないですよ。決して。羨ましいわけじゃありません。何事も経験ですよね。ということで、これからも、まだ見ぬ景色と貴重な経験を求め、ノベトキちゃんの旅は続きます。



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