週刊 パーゴルフの編集長インタビュー

編集長プロフィール

パーゴルフ
「パーゴルフ」編集長 山村惣さん

やまむらおさむ 1964年生まれ、青森県出身。日本ジャーナリスト専門学校卒業後、サッカー雑誌「ストライカー」(学研パブリッシング)に携わる。その後、「週刊パーゴルフ」に移動し、2011年4月、編集長に就任。

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第75回 パーゴルフ 編集長 山村惣さん

ニュースとレッスンと用品の3本柱で勝負です

――山村さんはどのくらいで回られるんですか。

打ちっぱなしもできるスタジオが社内に
打ちっぱなしもできるスタジオが社内に

いやぁ私は全然たいしたことなくって、100前後ですよ。週刊誌なんで、なかなか時間をつくるのも難しく、月1ゴルファーですから。
でも、ゴルフって不思議なもので、最初は難しくっていろいろ考えちゃうんですが、やってるうちに本当に面白くなりますよね。小西さんはどのくらいで回られるんですか?

――私も100前後ですね。キャリアは長いんですが、年に数回しか行けてませんから。

でも、それくらいの人って多いですよね。ゴルフに興味をもって、練習場に通って、コースに出て、それでも最初は130とか叩いて・・・だんだん100切れるようになってくる。そのころが一番面白いかもしれません。あとはもう少し進歩して90切るようになると、より面白いといいますね。

――では、読者層もそのあたりということですね。

はい。100前後の方、90前後の方が、コアなゴルフ人口かと思いますので、そういった方々をメインの読者として雑誌をつくっています。もちろん初心者やトップアマチュアも意識してはいますが、とくに90前後というのは一番意識していますね。

――「パーゴルフ」の特徴というとどういう企画になるのですか。

やはり週刊誌ですからニュースをいかに伝えるかということに力を入れてます。あとは90を切るためのレッスンとそこに合わせた用品特集、この3本柱ですね。
もうひとつ、やはり安くラウンドしたい人たちの要求って多いですから、それに応える企画も大切です。価格のニュースだけですとネットに勝てませんから、こちらはゴルフ場の魅力を写真などでいかに伝えていくかということなんです。

――やはり男性読者ですよね。

9割5分は男性です。40代後半~70代ですね。メーカーのメーンターゲットも、同じような顧客層を想定していますからね。しかし、最近は女性が増えましたね。これはゴルフ界にとってはいいニュースです。女性が参加してくると、やはり活気がでてきます。

――ゴルフ人口って減ってるんですか。

一時は1千万人といってましたが、いまは850万人くらいでしょうか。いままでゴルフを支えてきた人たちが会社をリタイヤする一方、なかなか若い人が育ってないのが現状でしょうね。不況の影響ももちろんあって、途中でやめちゃう人も多くなりました。
昔は会社の先輩が後輩を連れていったんですよ。サラリーマンになったらゴルフはマストだみたいなところがあって。接待ゴルフみたいに揶揄された時代ですが、若い人はゴルフの楽しさとマナーを学び、そこで社交性を身につけたものでしたけどね。

――ゴルフが社交のツールだった時代は、なんとなく過去のものになった気がしますが、今度はファッショナブルなゴルファーが増えてきた。

そうなんですね。ですから私どももファッションのページなどを用意したり(笑)。そのこと自体はいいと思うのですが、マナーを学習していない若い人が多いのは問題なんです。昔のように先輩に連れてこられ、「打ったらとにかくアイアン3本もって走れ」と教えられたようなことが継承されていないから、うしろの人たちのことを考えずにダラダラ時間をかけて回ったりする。ゴルフ場はマナーを学ぶ場所でもあるんですよね。

――ゴルフ場も最盛期に比べるとずいぶん安くなりましたから、若いゴルファーはやりやすい環境にある。でも、基本的なマナーはまず学んだ上でコースに出て欲しい。社交の場であるわけですから当然と言えば当然ですね。

雑誌から生まれたベストセラー
雑誌から生まれたベストセラー2
雑誌から生まれたベストセラー

そうですね。ゴルフってバブルの象徴みたいに言われて、そこは少し不幸な感じもします、垣根の高かった時代でも、一度始めたらゴルフの魅力にとりつかれて、一生懸命やってました。その人たちにいまでも支えられているのだと思います。バブルというと悪い面だけが強調されますが、決してそうではないと思うんです。だって、あのお陰でゴルフは繁栄したんですから。

――読者の声で多いのはどんなことですか。

「うまくなりたい」「こんな用品が欲しい」「ファッション」「ゴルフ場情報」「かわいい女子プロをみたい」(笑)。いろいろありますよ。そういった声をうまく集約していって、いろんな切り口で紹介していますね。

――編集部の構成を教えてください。

常駐スタッフが15人くらいいて、あとは外部のライターさんとかでつくってます。「トーナメント班」「レッスン班」「用品班」「連載班」と4つに分かれていて、まあまあうまく回せていると思っています。週刊誌といっても、土日とかは休めてますから(笑)。

――土日は何をされてるんですか。ゴルフですか。

いや、僕は寝てます(笑)。ゴルフは行くとしても仕事絡みなので、平日が多いんです。休みのときは、ひたすら体を休めることに専念してます(笑)。校了が水、木、金と続いて、ちょうど土曜に休める形ができているから、その点はラクですね。

――マンガの連載って欠かせないものですか。

マンガはこの雑誌に欠かせないコンテンツだ
マンガはこの雑誌に欠かせないコンテンツだ

はい。これは他誌も同じだと思いますが、いい息抜きになるんでしょうね。海外の雑誌ではまず見られない現象ですが(笑)。そもそも週刊誌って隅から隅まで読むってものじゃなくって、好きなものを拾い読みするって感覚ですよね。日本の文化ともいえるマンガは欠かせません。火曜、水曜の新幹線に乗ると、ゴルフ雑誌を読んでるサラリーマンが多いのに気づきますが、ちらっと見るとマンガだったり(笑)。

――山村さんはゴルフが好きでこの世界に入られたのですか。

いえ、そうではないんです。もともと本が好きで編集の世界に憧れてこの世界にきました。最初はサッカー雑誌の編集をやって、それからこの「パーゴルフ」に移動になりました。他の媒体の方はゴルフが長い人が多いようですが、違うスポーツを経験してきたという強みもあると自分では思っています。そして、いずれは編集長を卒業するでしょうが(笑)、その後もなんらか本づくりには関わっていたいと思っています。

――「パーゴルフオンライン」(http://www.par-golf.com/)というサイトも丁寧につくられていますが、これも編集部で制作されているのですか。

ええ、そうです。電子書籍も週刊誌と一体になってつくっています。コンテンツが多様化していますので、それに合う形でアウトプットできればいいんです。私としては紙のコンテンツをいかにうまくオンラインで使うかということが大切だと思っています。
まずはここに人を集め、みんなに興味を持ってもらって雑誌にも来てもらう。ですから動画も大切なコンテンツであり、取材のときにはなるべくビデオを回すようにも心がけています。
紙をやってる人とオンラインの人とでは、表現の方法が違うので相容れないものもあるのでしょうが、お互い新しい発見があるので面白いです。フェイスブックのファンページでは172万人の人が「いいね!」といってくれてますし、いままでは表に出なかった情報が新たな価値を生んでいる感じがありますね。

――プロゴルフ界は若い選手の活躍が目立ちます。今後が楽しみです。

壁には歴代の表紙が飾られていた
壁には歴代の表紙が飾られていた

とくに石川遼や宮里藍の功績は大きいですね。その他の若い人もそうですが、彼らがゴルフ界をいい方向に引っ張っていってくれていると思います。やはりスポーツはスターがいないとダメですね。サッカーがカズによって軌道に乗り、ヒデが生まれてきたような流れができてくるといいです。
石川遼や松山英樹が、世界で活躍してくれるのを本当に願っています。そんなワクワクした気分のなかで雑誌をつくれたらいいです。
2016年のオリンピックからゴルフが正式競技になるわけですから、そこでメダルを獲ってもらいたい。なでしこジャパンがワールドカップ、オリンピックで名を馳せたように、石川がオリンピックで金を獲ったりしたらもう大変、大フィーバーでしょうね。
韓国選手は本当にオリンピックに照準合わせてトレーニングやって出てきますから、ここは日本勢になんとか頑張ってもらいたいです。そのために、選手個々人が努力するのはもちろんですが、ゴルフ界全体で盛りあえげていけるバックアップ体制が必要だと思っています。

編集長の愛読誌

  • 4.週刊現代(講談社)

    本来ならすべての週刊誌に目を通したいのですが、時間の関係上(笑)、以上の4誌は欠かさず読んでいます。ゴルフという枠組みには収まっていますが、基本的なスタンスは他の週刊誌と同様に旬なネタが勝負だと思っていますので。

  • 5.週刊少年マガジン(講談社)

    本来ならすべてのマンガ誌に目を通したいのですが(笑)、好きなマンガがあるので愛読しています。具体的にはバスケットボールのマンガですが、スポーツの青春ものはいくつになってもワクワクさせられます(笑)。

(2011年12月)

取材後記
「パーゴルフ」の編集部にお邪魔すると、ちょうどクリスマス・シーズンでもあったので、ゴルフボールやティーなどで綺麗に飾られたツリーが出迎えてくれました。それから通された部屋が、なんと打ち放しができるスタジオ兼試打ブース。これが「パーゴルフ」名物の打ち合わせ部屋なのでした。近ごろゴルフの練習ができて食事もできるカフェやバーをよく見かけますが、目の前に練習場? があると、なにやら開放的な気分で話ができます。
かつては土日のゴルフ、グリーン上でいろんな商談がまとまったりしたといいます。山村さんのお話を聞くうち、グリーンに出て、開放的な気分のなかで物事を決めるというのも、あながち間違っていないなという気になりました。

インタビュアー:小西克博

大学卒業後に渡欧し編集と広告を学ぶ。共同通信社を経て中央公論社で「GQ」日本版の創刊に参画。 「リクウ」、「カイラス」創刊編集長などを歴任し、富士山マガジンサービス顧問・編集長。著書に「遊覧の極地」など。

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