GLAMOROUS(グラマラス)の編集長インタビュー

編集長プロフィール

講談社
「グラマラス」編集長 藤谷英志さん

ふじたにひでし 福岡県福岡市出身。早稲田大学政治経済学部卒。85年講談社入社後、「FRIDAY」編集部、「週刊現代」編集部にそれぞれ延べ10年在籍。2007年2月より「GLAMOROUS」編集長。趣味はバンド活動、カラオケ、ゴルフ、ピアノ、将棋。座右の銘は「やりたいことを全部やって死ぬ」。双子座、O型。

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第12回 GLAMOROUS(グラマラス)編集長 藤谷英志さん

ロックな気分満載で媚びない最先端で勝負します

――渋谷で「グラマラス」の記事が載ったフリーペーパーを見ました。他媒体や商品とのコラボには積極的なのですか。

フリペは年何回か配っています。講談社の雑誌宣伝部が行っています。読者調査の役割を兼ねているんですよね。
「グラマラス」の名前を使ったアイテムでは携帯電話(ソフトバンクモバイル 821N GLA)やPC(NEC LaVie G グラマラスモデル)もあります。ファッションでは、いろいろなブランドと組んでオリジナルのコラボ商品を開発したりもしています。既製品より値段は少し高めですが、人気はあるようです。ユニクロとコラボしてグラマラスモデルのデニムを作ったときも通常2900円~3900円のデニムを4900円の特別価格で販売したのですが、12万本がほぼ完売しました。

――創刊数年でブランドになってしまった感じですね。どういった読者に支えられているのでしょう。

壁には創刊時のポスターが残っている
壁には創刊時のポスターが残っている

「グラマラス」は「ViVi」(20歳前後の読者)のお姉さん版として創刊されました(2005年4月号)。最初は「ViVi」の増刊という形で何冊か出した後に本創刊になりました。25歳から30歳前半がメインターゲットですが、もはや「ViVi」のお姉さんという感じのものにはなっていませんね。
むしろいままでの女性ファッション誌に満足していなかった人たちに注目される雑誌になっていると思います。弊社でいうとこの上の世代の女性誌は「グラツィア」ということになるのでしょうが、それとも違うかなり特殊なものになっていますね。
いわゆるマス狙いの雑誌でもないので、立ち位置としてはおもしろいと思います。インターナショナルな匂いがあるし、コンサバじゃないし、モードを意識しながらちゃんと日本流リアルに落とし込んでいるし。この世代の日本の女性って本当にお洒落の感度が高くなったと思うんです。

――いまの日本の若い女性には世界基準のカジュアルセンスが身についていますね。

ええ、みんな年々成熟しているんだと思います。
だから日本のファッションはアジアでもすごく注目されていて、「グラマラス」は中国でも現地版を出しています。反響はとてもいいです。日本に服を買いに来る人たちも多いですからね。中国って「通勤服」の概念がないのでコンサバ雑誌やOL雑誌はあまり売れないんですよ。

――webサイトもかっこいいですが、編集部でつくっているのですか。

ええ。web担当の編集が3人いて外部の制作会社と協力してつくっています。携帯コンテンツも充実させていくようにしていますが、まだビジネスとして成立するといったところにはなっていません。

――読者の声はどのくらい聞きますか。

壁には読者からの人気の高いコーディネートが
壁には読者からの人気の高いコーディネートが

アンケートやイベントなどで読者の声を聞いたり、ファッション業界の人たちの意見を聞いたりしますが、それはあくまで参考程度に留めます。
何かに迎合するよりはやはりこちらが皆を引っ張っていく気持ちでつくりたいんですよ。流行ってパリやニューヨークのコレクションから出てくる流れをファッション・アイコンの有名人などが取り上げて、パパラッチがあおって、それがマスコミに載り、読者が注目して・・・みたいな流れですが、これじゃ時間がかかりすぎ。
うちはリアルタイムで世界の最先端の部分を持ってきちゃうんです。だからトレンドについてもどこの雑誌より早いし、新しいものを積極的に取り上げる。ちょっとまだ早すぎるんじゃないか、と思うことをあえてやってみる。女性誌によくある“着回し”企画。これは現実的なニーズがあるので少しはやりますが、あまり積極的にはやらないですね。

――創刊時に「ニキータ」(主婦と生活社・休刊)と比較されたりしましたが。

「ニキータ」は“モテる”ということに力点を置きましたが、想像の世界が多かったと思います。
女性は当然男目線を意識しますが、「グラマラス」はあえてそれを意識してないんです。むしろ女子のなかでしっかり目立ってお洒落でカッコイイと一目置かれることが重要なんですね。
「グラマラス」読者にふさわしい男性を「グラ男」と名づけて年1回「グラ男100人」という特集をやっていますが、これもその男たちにモテるという主旨ではなくて、あくまでも選択権は読者側にあるという立場でつくっています。

――そういう強い読者がターゲットだからモデルのとるポーズなんかもクールで強いものが多いんですね。岩堀せりさんの睨みポーズみたいな。

いわゆる可愛いだけモデルではなく骨太で、服をかっこよく着こなせるかどうかが重要な条件です。その上でちゃんとした自己主張がある。
岩堀せり、佐田真由美、山田優、道端ジェシカ、松島花、黒田エイミ・・・みんな「グラマラス」を代表するモデルですが、共通してることは“強さ”ですね。ひとりひとりしっかりキャラが立っているんです。黒田エイミなどはこれからまだまだ良くなっていくと思いますよ。
読者はそんなキャラの立ったモデルの着こなしのこの部分を真似たい、生き方のここを真似たいと思うんです。

撮影商品に埋もれる編集部
撮影商品に埋もれる編集部

――編集と一緒に動く外部スタッフはどんな人たちですか。

カメラマン、スタイリスト、ライターとそれぞれ個性的で勢いのある人たちが多いです。
写真はとにかくスタイリッシュに見せられるかどうかが大切です。商品写真も商品の世界観を引き出してあげるような、クリエイティヴな撮り方を心がけています。
スタイリストは白幡啓さん、野口強さん、風間ゆみえさん、安藤真由美さんなど、流行の先端に敏感で人脈もある人たちに協力してもらっています。
ライターがまた重要で、「グラマラス」独自の書き方ってあるんですよ。世界観をきちんと表現できるライターが求められるんです。

――確かに読み物の内容が深いし、しっかり尖がっていますね。

乳ガン撲滅運動のヌードが掲載された号
乳ガン撲滅運動のヌードが掲載された号
エミリオ・プッチの端切を使った箸ケースが付いた号
エミリオ・プッチの端切を使った箸ケースが付いた号

ロックですよね(笑)。 なんか攻めてるモードなんですよ。
ファッションで言うと高いブランドの服をカジュアルダウンしていかにかっこよく着こなすかみたいなスタイルが、そもそも既成の価値観に媚びないスタンスだと思うんですが、そんなロックでお洒落な気分で行きたいと。
それで、社会貢献といったらおこがましいですが、メディアなんだから少しは社会の役にたつこともしようと、昨年“乳ガン撲滅キャンペーン”や“エコプロジェクト”などもやりました。乳ガン撲滅キャンペーンでは、チャリティーの一環で蜷川実花さんによる女優やモデルのヌードの撮り下ろしをやったり(2008年4月号)、エミリオ・プッチと組んでプッチ商品をつくるときに出る余り布で箸袋をつくったり(2008 年11月号)といった試みもしています。
この次にやろうとしているのは“グラマラス・ママ”。子供を産んで育てるということをしっかり考えようということで、子供のいるタレントやモデルに登場してもらい、子育ての大切さをしっかりメッセージとして出していきたいと思っています。 「グラマラス」って生き方を指す言葉でもありたいんです。

――藤谷さんは女性ファッション誌の編集長としては一風変わった視点をお持ちのようですが、以前はどんな雑誌を編集されていたのですか。

「週刊現代」です(笑)。その前は「フライデー」(笑)。「グラマラス」創刊編集長の田村に呼ばれて2年半前にここに来たのですが、いわゆる普通の可愛い女性誌をやれということなら出来なかったでしょうね。それにロックな気分と言ったのは、僕がいまでもバンドをやってるからかもしれません。「Close to Edge」という名前のロック・バンドでヴォーカルをやってます。僕にとっては仕事も遊びもスタンスは一緒なんです。やりたいことだけをやる。嫌なことはやらない。極めてシンプルです。だからこれからも周囲のことは気にせず、媚びない最先端の雑誌づくりをしていきたいですね。

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(2009年8月)

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