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デイリー・マネタリー・アフェアーズ 2025.04.30
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本日のフィナンシャル・モニター
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<国内モニター>
**東京市場は休場
**イオンが全国でフランス・フェア開始
イオン・イオンスタイル・マックスバリュなど約5000店舗で554品目を
取り扱い。大型連休で来店増見込む。
**QR決済からLINEペイが撤退
乱立から大手集約への動き。
<海外モニター>
**米S&P500は前日比32.08ポイント高
好決算や関税緩和期待に続伸。長期金利は4.18%へ低下、2年・10年利回り
格差は52BPへ縮小。
**米3月求人件数は前月比288,000件減
719万2000件と昨年9月以来の低水準。労働需要の減退示唆。
**米4月CB消費者信頼感指数は前月比7.9ポイント減
86.0と5か月連続悪化で約5年ぶり低水準。期待指数は同12.5ポイント低
下の54.4と2011年10月以来の低水準。
**米3月モノ貿易赤字は前月比9.6%増
1620億ドルと駆け込み輸入急増で過去最高に。消費財輸入は27.5%増。
1-3月期GDPはマイナス予想も。
**全米2月住宅価格指数は前年同月比3.9%上昇
S&Pコアロジック・ケースシラー指数。前月比では0.3%上昇、過去最高。
在庫逼迫の中西部で価格高騰。
**トランプ大統領が自動車・部品関税負担軽減
米国内生産の完成車対象に輸入部品の関税を一部免除。
**ベッセント財務長官「減税法案は7月4日までの成立目指す」
議会の調整は難航、期限を設けて決着促す。
**カナダ総選挙で与党・自由党が勝利
カーニー首相続投、「反トランプ」の強硬姿勢に支持集まる。過半数確
保は微妙な情勢。
**UPSが2万人人員削減へ
関税に拠る物流需要縮小・アマゾン宅配需要減少に備えコスト削減。
**アマゾンが初の商用衛星打ち上げ成功
高速ネット通信提供へ先行するスペースXを追い上げ。関税費用表示の計
画は政権からの圧力で撤回。
**メタが対話型の専用AIアプリを提供
最新生成AIモデル「Llama4」を搭載、ChatGPTに対抗。
**OPEN AIがCHAT GPTに買い物機能追加
検索機能強化の一環、グーグルと競合も。
<地政学モニター>
**プーチン大統領が米停戦説得を拒否
ウクライナ4州完全支配は不可欠と主張。和平交渉進展せず。
**日比首脳が情報保護協定の締結方針合意
中国軍の動向監視で連携へ。
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現代金融の遠近法 トランプ大統領への逆風
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トランプ大統領が自動車・部品に関する関税措置を一部免除すると発表、なし
崩し的に狂気の関税方針が修正されつつある。合意を急ぐのは米国も同じであっ
て、日本やインドの名前を挙げて協議の進展をアピールしているが、中国はトラ
ンプ大統領の「習主席から電話」との発言を全面否定し、対話するならまず関税
撤廃を、との姿勢を崩していない。中国は対米輸出で打撃を被る企業への金融支
援や今後の金融緩和方針を発表、対米輸入に関しては主流の農産物やエネルギー
は代替先の確保が容易だとして「米国無しでもやっていける」と国民を鼓舞して
いる。?せ我慢の印象は拭えないが、対米強硬姿勢の看板は降ろさない。
米中の我慢比べにも限界があり、いずれ各国と同様に大幅な譲歩も見られよう
が、トランプ政権時に自由貿易に戻ることは想定し難く、関税も含めた冷戦は続
くことになるだろう。そして本物の戦争の停戦期待も怪しくなってきた。トラン
プ大統領はプーチン大統領とウマが合うと思い込んでいたようだが、政治力では
プーチン大統領の方が一枚も二枚も上手であり、欧米の足並みの乱れを利用して
とことんロシアの有利な条件を引き出すまでは停戦には応じない雰囲気である。
またイランとの核交渉が躓けばイスラエルが暴発する恐れもある。停戦という同
大統領への唯一の期待も、怪しいムードに陥り始めている。
米国内の経済にも低迷感が広がってきた。先行した心理指数などソフト・デー
タの悪化に、ハード・データが追随し始めている。中古住宅や資本財受注などの
鈍化に加えて、今後はデ・ミニミス撤廃に拠る中国製品価格急騰で消費や物流へ
の影響も出てくるだろう。雇用はまだ堅調といわれるが、悪化は時間の問題のよ
うにも思われる。1-3月期の米国はマイナス成長との見方が強まっており、FRBが
当面動けないのも明白で、同大統領への支持率は今後も下がり続けるだろう。カ
ナダ総選挙勝利で続投が決まったカーニー首相は対米強硬姿勢を貫くと見られる。
米政権への逆風は内外から吹き荒れる可能性も出てきた。株価や債券は安定しつ
つあるがそれも目先の話であって、市場が米国に対して一度抱いてしまった不信
感や失望感は、そう簡単には消えないだろう。
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【MAFS Daily Magazine】
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