デイリー・マネタリー・アフェアーズ 発売日・バックナンバー

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デイリー・マネタリー・アフェアーズ 2024.03.29
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  本日のフィナンシャル・モニター   
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<国内モニター>

 **日経平均は前日比594円66銭安
  配当落ちが重荷。年金基金が株持ち高を減らすとの観測も。一時700円超下落。

 **日銀3月会合「2%目標見通せる状況に」
  主な意見で、急速な利上げには慎重論。

 **2024年度予算が成立
  歳出総額は過去2番目の112.6兆円、国債費は過去最大。裏金問題で財政論議は二の次に。

 **政府がガソリン補助金延長へ
  4月末期限を5月以降も継続する方向で調整。電気・ガス負担軽減策は5月使
  用分までで終了。

 **北海道「ラピダス軸に半導体関連産業集積」
  10年間の振興ビジョン発表。熊本と連携、地価上昇や人手不足には懸念も。

 **三井物産がEV100万台分の電池生産用リチウム精鉱を確保
  ブラジル鉱山に3000万ドル投資。中国で精製開始、内外自動車・蓄電池メーカーに販売。

 **トヨタ2月世界販売台数は前年同月比7%減
  719,630台と13か月ぶり前年割れ。ダイハツと豊田自動織機の認証不正が影響。

 **岩谷産業がコスモエネ株追加取得
  議決権比率は20.07%で持ち分法適用関連会社に。

 **東電が柏崎刈羽原発で核燃料搬入
  再稼働目指し7年ぶり作業開始へ。

 **野村証券がプロ個人投資家に非上場株式販売開始
  新興企業の資金調達に選択肢。小粒IPOが可能に。

 **三井住友銀行がドル建て「ソーシャル預金」開始
  資金使途を社会課題解決につながる融資に限定。サステナブル関連融資拡大へ。

<海外モニター>

 **米ダウは前日比47.29ドル高
  3連休控え薄商い。長期金利は4.21%へ上昇、2年・10年マイナス格差は42BPに拡大。

 **米10-12月期GDP成長率確定値は3.4%増に上方修正
  個人消費が3.3%増と0.3ポイント、設備投資は3.7%増と1.3ポイントそれぞれ上振れ。

 **米2月中古住宅販売成約指数は前月比1.6%上昇
  1月の4.7%低下から回復、中西部が10.6%上昇。

 **米3月ミシガン大消費者信頼感指数確報値は上振れ
  速報値から2.9%上振れ79.4と2021年7月以来の高水準。5-10年先のインフレ期待は
  2.8%と昨年99月以来の低水準に。

 **米新規失業保険申請件数は前週比2000件減
  210,000件と予想下回る。雇用は依然堅調。

 **米政府が廃炉原発の再稼働支援
  ミシガン州パリセイズ原発に約15億ドル融資、異例の再稼働へ。

 **中国国営銀行の不良債権比率が上昇
  昨年末時点で中国工商銀行の住宅ローン不良債権は9.6%増、交通銀行の不動産部
  門不良債権比率は4.99%にそれぞれ上昇。不動産から金融へ。

 **中国が豪産ワイン関税撤廃
  関係改善、年間12億豪ドル相当の輸出再開へ。

 **ユーロ圏2月企業・家計向け融資は引き続き停滞
  高金利で借り入れ需要低迷。家計向けは前月比0.3%増と横ばい、企業向けは同0.4
  %増と小幅加速。

 **中国スマホの小米がEV市場参入
  初のEV「SY7」は約450万円から。発売から27分で5万台突破。テスラ追撃。

 **中国不動産大手の碧桂園が決算発表延期
  危機が新たな段階に。香港取引所は株式売買停止。
 
<地政学モニター>

 **ロシア「モスクワ・テロにウクライナが関与」
  連邦捜査委員会が押収機器を分析。ウクライナ民族主義者との関係を確認と発表。

 **パレスチナ自治政府に新内閣
  アッバス議長がガザ戦後統治を見据えた新内閣を承認。23名の閣僚に5名のガザ出身者。

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  現代金融の遠近法               暗い中国経済見通し
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 米国の経済は相変わらず堅調で、日本は株高・賃金高でムードが好転中である。欧州も利下げが
視野に入って景気はボトムアウトするとの期待も生まれ始めている。その中で全く明るい材料の見
えないのが中国である。一部には、5%の政府目標達成に向けて好スタートを切ったという論調もあ
るが、消費回復は春節における一時的な「線香花火」で持続性はないとの見方が大勢だ。政府に不
動産開発問題への解決意思は依然として見られず、住宅購入促進といった小手先の弥縫策に終始し
ている限りは、先行きの経済に対する内外の信頼感が得られないのも当然だろう。昨日も最大手の
碧桂園が決算発表延期という悲惨な状況に追い込まれている。

 海外資本の中国離れが定着する中、先般習主席は米国などの企業経営者らを招いて会談し、中国
の成長ペースは頭打ちになった訳ではないと力説し、中国への投資拡大を促している。李首相も不
動産問題は危機的状態ではないと主張し、解決可能だと強調している。だが「中国の日本化」とい
うイメージは既に定着した感がある。機関投資家の中には中国が「Lost Decade」の局面に入ったと
の認識を示す向きもある。更に1990年代の日本よりも厳しいのは、米国が対中規制を強めていると
いう政治的な弱点である。内外に吹き荒れる中国経済への逆風は、日本を含む世界経済への影響も
皆無とは言えないだろう。
 
 特に米国の対中嫌悪感の高まりは、大統領選の結果如何にかかわらず長期化する可能性が高そう
だ。トランプ関税から始まった対中強硬姿勢は、ファーウェイ排除へそしてTikTok禁止へと広がっ
てきた。バイデン政権でも対中関税引き上げ論が強まるなど、留まるところを知らない規制強化に
対してあるエコノミストは「行き過ぎた中国恐怖症」と指摘し、やり過ぎが逆に米国にとってマイ
ナス材料になりかねない、と警告を発している。確かに中国にはスパイ行為やハッキング行為など
疑わしい点は多いが、現時点では状況証拠に過ぎない。米国は明確な証拠がないのに攻撃した前歴
を持つ。米中間の軋轢を取り除く仲介役が居ないことは、今後の経済見通しの重要なパラメータと
して付け加えておくべきなのかもしれない。
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【MAFS Daily Magazine】
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デイリー・マネタリー・アフェアーズ 2024.02.29  
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  本日のフィナンシャル・モニター   
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<国内モニター>

 **日経平均は前日比31円49銭安
  新規材料なく小動き。4日ぶり反落。

 **ウエルシアとツルハが経営統合発表
  イオンがツルハ株を追加取得、ウエルシアがツルハの傘下に。売上高2兆円超の巨大ドラッグ
  ストア誕生。

 **トヨタが国内生産ライン全稼働へ
  ダイハツ不正で1月末操業停止の二つの完成車工場を3月4日から再開。1月国内販売台数は前
  年同月比13.7減と13か月ぶり前年割れ。世界販売は同10.5%増と1月過去最高を更新。

 **ホンダが新型燃料電池車を今夏に国内販売
  水素燃料で600キロメートル以上走行。新たにプラグイン機能を追加。

 **日産が新たな自動運転サービス開始へ
  横浜市内で実証実験、2027年度以降に全国数か所で有償移動サービス提供へ。

 **ラピダスがAI向け半導体の生産受託
  カナダのテンストレントが設計・開発。「エッジAI」向け半導体。

 **三菱商事が日本KFC全株売却へ
  35%保有のケンタッキーを入札で。資産入れ替え。

 **大塚製薬がバイオベンチャーキャピタルに出資
  「ANベンチャーパートナーズ」と契約、3000万ドルで日本発バイオ企業の米国起業を支援。
  人材も派遣。

 **三菱重工が本牧工場用地を譲渡
  財務体質強化、約500億円の譲渡益計上へ。

 **セブンの「SIPストア」始動
  千葉県松戸市に開設。コンビニとスーパーのいいとこ取りか中途半端か。

 **1月国内建設受注額は前年同月比14%増
  2か月ぶりプラス。自治体や不動産業などからの受注が牽引。

<海外モニター>

 **米ダウは前日比23.39ドル安
  PCEに警戒感、軟調推移。長期金利は4.26%へ低下、2年・10年マイナス格差は37BPへ縮小。

 **米10-12月期実質GDP改定値は前期比年率3.2%増
  速報値から0.1ポイント下方修正。個人消費は0.2ポイント上方修正。在庫投資が下振れ。

 **米共和党マコネル上院議員が院内総務退任へ
  11月選挙後にトップの座から降りる意向を表明。82歳。

 **NZ中銀が政策金利据え置き
  5会合連続で5.5%に。コアインフレ率低下は評価。

 **中国碧桂園の債権者が香港高裁に法的整理申し立て
  約300億円のローンや利息の支払いを巡り清算を求める動き。

 **ユナイテッドヘルスに米司法省調査
  反トラスト法違反の疑い。医療費高騰が調査の背景に。

 **ビットコインが6万ドル突破
  約2年ぶりの高水準、今月で42%上昇。現物ETFが追い風に。

<地政学モニター>

 **ロシア軍がウクライナ西方向へ展開
  南部など各地で攻撃相次ぐ。

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  現代金融の遠近法             米国経済概観         
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 米国の昨年第4四半期の実質GDPは僅かに下方修正されたが、個人消費は0.2ポイント上振れ
の3.0%増と、力強いペースを保った。今年に入ってもその好調さに著変は無さそうだ。余剰貯
蓄は年末に底をつくと見られていたが、その影響が表れたのは所謂低所得者層に限定されてお
り、富裕層は言うまでもなく中間層は好調な雇用環境に支えられて高い消費水準を維持してい
ると見られる。カードローンや自動車ローンの延滞増加を指摘する人も居るが、それは低所得
層見られる現象である。全体的にはまだ米国の消費は堅調と言って良さそうだ。その変曲点は
下半期以降、故に利上げはもっと後ズレ、というのが恐らくは妥当な見通しだろう。

 先日とある勉強会で、米国の個人消費の強さを皆が見誤った理由は何か、という質問を受け
た。それはなぜ米国の雇用がここまで強いのかという質問と同義である。勿論バイデン財政の
過剰な支援という側面もあったが、その効果が尽きても消費が強いのは米国の実質賃金が上昇
し続けているからである。実質減が続く日本としては羨ましい限りだ。労働力が恒常的に不足
している供給制約面と企業の強い人員確保意欲という需要面が重なる中で、米企業の労働組合
の力が復活してきたことも、見過ごされがちな点だろう。それは欧州も同じであって、景気が
悪いのに賃金が上がり続け、ECBは利下げに踏み切れなくなっている。

 米国の賃上げ圧力に関しては、来週発表される2月雇用統計で足許の状況が判明することに
なるだろうが、これもまた急変するようなことは無いように思われる。ハイテクや金融などの
人員削減が目立っていることで、米国の雇用市場にも変曲点が近いと指摘する声も聞かれるが、
年初の人員削減数としては昨年の方が大規模であった。まだ米企業に吸収力はあると考えてお
いた方が無難だろう。そして本日は1月のPCEデフレーターが発表されるので、その水準次第で
「ひょっとして年内の利下げはないかも」といった疑心暗鬼が強まれば、債券・株式双方に一
段の下押し圧力が加わっても不思議であるまい。
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【MAFS Daily Magazine】
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デイリー・マネタリー・アフェアーズ 2024.01.31  
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  本日のフィナンシャル・モニター   
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<国内モニター>

 **日経平均は前日比38円92銭高
  決算本格化の前に様子見。FOMCや米ハイテク決算も待ち要因に。

 **IMFが日銀に利上げ準備を提言
  インフレが予想外に急進した場合に備える必要ありと指摘。現状は緩和継続が適切、とも。

 **トヨタが国内4工場6ラインの生産停止
  豊田自動織機のエンジン認証不正問題で2月1日まで停止。豊田会長は「創業の原点を見失
  っている」と危機感表明、現場主権への回帰へ。

 **楽天がドル建て債発行増額へ
  10億ドル増の18億ドルに。利回り12.125%のジャンク債に投機筋が殺到。
 
 **JR北海道が赤字路線8区の判断3年先送り
  コロナ禍で活動出来ず費用分担の議論に踏み込めず。

 **2023年東京都転入超過は68,285人
  前年比30,262人増、2年連続で増加。コロナ禍で一時減少、足元では増加傾向に転換。東京
  圏への転入超過も前年比26,996人増の126,515人と2年連続前年超え。

 **12月完全失業率は前月比0.1ポイント低下
  2.4%と2023年1月得来の低水準に。非自発的な離職が減少。

 **12月有効求人倍率は前月比0.01ポイント低下
  1.27倍と2か月連続で改善ペース鈍化。2023年通年では前年比0.03ポイント上昇の1.31倍と
  2年連続上昇。

<海外モニター>

 **米ダウは前日比133.86ドル高
  金融株堅調、ハイテクは下落。長期金利は4.04%へ低下、2年・10年マイナス格差は30BPへ
  拡大。

 **米12月求人件数は前月比101,000件増
  902万6000件と予想を上回り2か月連続増加と底堅い労働市場。失業者1人に対し1.44件の求
  人。

 **米12月CB消費者信頼感指数は前月比6.8ポイント上昇
  114.8と2021年12月以来の高水準。物価見通し落ち着き、景気や雇用情勢が良好に。

 **米11月FHFA住宅価格指数は前月比0.3%上昇
  前年同月比では6.6%上昇。息を吹き返す米住宅市場。
 
 **ユーロ圏10-12月期実質GDPは前期比ゼロ%
  年率換算プラス0.1%と低迷。辛うじて2期連続マイナス成長を回避。独が前期比0.3%減、仏
  は同ゼロ%、伊は0.2%増、西は0.6%増とまちまち。

 **メキシコ2023年実質GDPは前年比3.1%増
  3年連続プラス成長。自動車生産など第二次産業堅調。

 **IMFが今年の世界実質経済成長率見通し引き上げ
  米経済の底堅さなどを背景に0.2ポイント上振れの3.1%と予想、コロナ前比では低水準。
  インフレ再燃に拠る成長率鈍化リスクも指摘。

 **サウジアラムコはが原油生産能力拡張計画停止
  サウジ政府から指示。2027年までに日量1300万バレルに引き上げる計画を撤回へ。

 **マイクロソフト10-12月期売上高は前年同期比18%増
  純利益は同33%増の218億7000万ドル。ゲーム大手買収や生成AI活用のクラウド好調。

 **アルファベット10-12月期売上高は前年同期比13.5%増
  純利益は52%増。広告ビジネスの伸びは予想に届かず

 **米物流大手UPSが12,000人削減へ
  10-12月期売上高が前年同期比7.8%減、純利益が54%減と不調。経営再建へ2%強人員削減。

<地政学モニター>

 **ウクライナ軍トップ解任か
  ゼレンスキー大統領がザルジニー司令官解任との報道。同国国防省は否定するも両者に深い溝。

 **イスラエルがシリアに空爆か
  7名死亡、イラン革命防衛隊を標的に、とイランが主張。  

 **バイデン大統領「米兵殺害はイランに責任」
  報復準備の一方で紛争拡大は望まないとも発言。

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  現代金融の遠近法                IMF見通しとFOMC              
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 IMFが世界経済見通しを公表し、2024年の成長率見通しを昨年10月時点から0.2ポイント上方修正
した。但し3.1%という水準は、2000-2019年の平均値である3.8%より大幅に低く、中国の成長ペー
ス鈍化や米中新冷戦、地政学的緊張、コロナ禍の後遺症といった様々な要因に拠って、経済成長のエ
ンジンが振るわなくなった状況を暗示している。IMFはソフト・ランディングの可能性が高まってい
ると評価しているが、一説には「ソフトランディングは景気後退への橋渡し的過程」とも言われてお
り、まだ警戒が必要だ、と見る向きもある。何度も言う通り、インフレ再燃リスクは常に経済の下押
し要因として存在し続けるだろう。

 2024年の見通しを国別で見れば、米国は0.6ポイントという大幅上方修正で2.1%と予想されている。
チーフ・エコノミストのグランシャ氏は「財政支援と好調な個人消費」を要因に挙げている。また中
国も0.4ポイント引き上げて4.6%とし、昨年よりも減速するが、財政支援に拠る底支えを予想する。但
し2025年は4.1%と減速が続く可能性も指摘している。ユーロ圏はドイツの不振を背景に0.9%へと0.3
ポイント下方修正した。因みに日本は0.1ポイント下振れの0.9%成長の見通しとなっている。新興国
ではインドが0.2ポイント上振れの6.5%、ロシアが1.5ポイント上振れの2.6%、ブラジルは0.2ポイント
上振れの1.7%、メキシコは0.6ポイント上振れの2.7%など、総じて上方修正されているのが特徴的で
ある。

 まあこうした見通しも少なからぬ攪乱要因に拠って四半期ごとに上振れたり下振れたりするので、
飽くまで現時点での参考値として見ておくに止めるのが良いだろう。特に今年は主要国の金融政策次
第という側面もあるし、米大統領選や地政学などの影響に関する予測にも限界がある。但し、金融市
場内で想定しうる限りの見通しを設定するとすれば、やはり米国の利下げ時期・利下げ幅、そして量
的引き締めの動向が最大のポイントになることは否定し難い。1月のFOMCに関しては、3月乃至5月
の利下げへのヒントを掴もうと市場は目を皿のようにして待っている。QTに対する関心が急浮上して
きた印象も受ける。だが足許の米国経済指標があまりに良すぎるのも事実である。その状況を踏まえ
ながら、果たして緩和へ舵を切る検討は何処まで進むのだろうか。
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【MAFS Daily Magazine】
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デイリー・マネタリー・アフェアーズ 2023.12.29  

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  本日のフィナンシャル・モニター   
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<国内モニター>

 **日経平均は前日比141円62銭安
  円高が重荷、5日ぶりに反落。ドル円は一時140円25銭と7月以来の水準に。

 **東京地検特捜部が柿沢衆院議員を逮捕
  江東区長選をめぐる買収容疑など。一連の捜査で逮捕第一号。

 **トヨタがダイハツ仕入先・販売先へ全面的に資金支援
  補償対象は500社超。補償費用に対して融資準備。

 **ジェットスターはストで9便欠航
  1500人に影響。長引く労使対立。

 **小売りや外食の年始休業拡大
  東急ストアは三が日休業、松屋銀座も2日は休業。従業員負担軽減へ。
 
 **11月小売業販売額は前年同月比5.3%増
  値上げで食品販売額が増加、自動車納車状況改善も寄与。

 **11月鉱工業生産指数は前月比0.9%低下
  3か月ぶり低下。基調判断は一進一退で据え置き。小型乗用車、自動車用エンジンな
  どが不調。

<海外モニター>

 **米ダウは前日比53.58ドル高
  利下げ期待で続伸、ナスダックは小反落。長期金利は3.85%へ上昇、2年・10年マイナス
  格差は43BPへ縮小。

 **米新規失業保険申請件数は前週比12,000件増
  218,000件と2週連続増加。まだ低水準。

 **米11月中古住宅販売成約指数は前月から横ばい
  71.6と統計開始2001年以降で最低続く。在庫不足と高価格が市場圧迫。

 **米政府が既存予算で最後の軍事支援
  2.5億ドルの武器支援で対ウクライナ予算払底。新予算は越年。勝てないウクライナ。

 **中国でコロナ新変異型「JN・1」が増加
  WHOが「注目すべき変異株」に指定。年末年始や旧正月で感染拡大も。

 **独ザクセン州首相「ウクライナは領土譲渡を」
  停戦に向け対露政策転換を訴え。徐々に強まる欧州のウクライナ離れ。

 **ヒズボラがイスラエル北部を砲撃
  34回以上の砲撃で住宅など破壊。イラン革命防衛隊幹部殺害の報復。泥沼化する
  中東情勢、年末年始もウォッチ必至。

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  現代金融の遠近法                 数値偏重主義の現代経済
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 本日は大納会で金融の仕事納めの日でもある。2023年もいろいろな出来事が起きた年であった
が、今年に限らず昨今の社会を眺めているとあちこちで特定の数字に振り回されている印象が否
めない。金融で言えば、主要中銀が掲げる2%の物価目標は金科玉条のご宣託と化し、何を犠牲に
してでも守らねばならない数字に祭上げられている。日本社会では賃上げ5%が新たな国家目標に
なり金融庁が「2000万円」で老後不安を煽った結果、今度は新NISAで「1800万円」が独り歩きし
始めた。東証は「PBR1倍」を金看板に掲げ、各社はROE8%とか10%とかいった数値を経営のKPIに
設定せざるを得なくなった。世の中、数値縛りが横行している。

 数値目標で思い出すのは、米銀がROE20%を目指して突っ走り、オフバラ・ビジネスに総攻撃を
掛けてバンカースがデリバティブズで大失敗し、更に大手金融が最終的にサブプライムで撃沈し
た経緯である。中国は5%成長目標に悪戦苦闘し、欧州も固定的債務比率への回帰で自らの首を締
めようとしている。米当局の大手行に対する極度に厳しい自己資本比率ルールも、金融の柔軟性
を奪いつつある。数値が悪いとは言わないが、それだけに目標が集約されると中期的視点を失う。
現代経済は一種のノルマ営業に落ち込んでいるのではないか、とさえ疑いたくなる。数値偏重主
義が視野狭窄の弊害をもたらしかねないことは、警戒すべきだろう。狭窄症など、脊柱管の病だ
けで十分である。

 かくいう筆者も、数値塗れの世界であくせく働いてきたので偉そうなことを言える資格は無い。
今から思えば、社会倫理を踏み外しそうになったことは何度もあったように思われる。現場を離
れてから、漸く「数値」と「史観に基づく構造論」とのバランスが取れるようになった。そうし
た私見に基づく視座からすれば、今日の経済や市場が何処か大局観を失っているような気がして
ならない。今年も財政政策や金融政策、そしてアマチュア的なメディア報道や投資家の行動など
にケチを付け続けてきたが、それも地政学的大変動や脱炭素のような歴史的大転換などの構造変
化を軽視して、目先の数値だけを凝視するような小手先の行動に終始していることに不満を抱い
てきたからである。少々毒気を孕んだ偏狭なコラムではあるが、今年も最後までお読み頂いたこ
とに、あらためて感謝申し上げたい。

 2023年のデイリー・マネタリー・アフェアーズは本日で最後となります。来年は1月3日から開
始予定です。それでは読者の皆さま、どうぞ良いお年をお迎え下さい。 店主敬白

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【MAFS Daily Magazine】
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デイリー・マネタリー・アフェアーズ 2023.11.30

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  本日のフィナンシャル・モニター   
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<国内モニター>

 **日経平均は前日比87円17銭安
  146円台の円高嫌気、一時200円超下落。押し目買いでの反発も限定的。3日続落。

 **訪日客の免税品購入1億円以上が374人
  国内転売の可能性大。免税制度見直しへ。

 **大阪万博にロシアが不参加表明
  ウクライナ問題が万博にも波及。メキシコ、エストニアに次ぐ「欠席」。

 **海外ファンドが妙高高原に2000億円投資
  シンガポールのペイシャンス・キャピタル。世界のスキー人口増加を商機に。

 **住友商事が携帯電話基地局整備
  5G向け基地局を大阪・関西万博で設置後、全国展開へ。

 **トヨタが水素エンジン搭載車の公道実験開始
  まず豪州で。市販化まで「7合目」との感触。また10月世界生産台数は前年同月比
  17%増、うち海外生産は同9%増と、ともに10月として過去最高。

 **トヨタが一部生産ラインを再停止
  再開の矢先に「誤った部品使用」が発覚。

 **ホンダが電動二輪製造開発に5000億円投資
  2020年までに累計30モデル投入、生産効率改善でコスト半減目指す。

 **沖縄パークに銀行団が366億円協調融資
  商工中金アレンジ、地銀や政府系など13機関が「ジャングリア」向け融資に参加。

 **三菱UFJが50歳以上にFA行使制度導入
  自ら異動を志願。融資や運用の経験・知識を活用。

<海外モニター>

 **米ダウは前日比13.44ドル高
  小動き。長期金利は4.27%へ低下、2年・10年マイナス格差は38BPへ縮小。

 **米7-9月期実質GDP改定値は0.3ポイント上方修正
  前期比年率換算比5.2%増。設備投資や地方政府支出の伸びが上振れ、個人消費
  は下振れ。

 **米地区連銀報告「消費者の支出手控えで経済減速」
  裁量的アイテムや耐久消費財が軟調。5%台の成長からの減速は当たり前。旅行・観光
  業は依然好調。

 **独11月消費者物価指数は前年同月比2.3%上昇
  伸び率は2021年6月以来の低水準。エネルギー価格下落が主導。

 **NZ中銀が政策金利据え置き
  5.5%で現状維持。利上げ再開のリスク高まりを示唆。新政権は中銀権限縮小も検討。

 **OECDが2023年成長見通し下方修正
  0.1ポイント引き下げて2.9%、2024年は2.7%で据え置き。中国は底入れとの指摘。

 **欧州不動産大手シグナが破産手続き
  オーストリアの裁判所に申請。金利上昇、コスト増で資金繰り悪化。

 **アップルがゴールドマンにクレカ提携解消打診
  WSJ報道、預金サービスも提携解消へ。

 **GMが総額100億ドルの自社株買い実施へ
  2024年初から約3割の増配も実施。労組ストやEV事業減速で低迷する株価の梃子入れへ。

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  現代金融の遠近法                     ノーランディング予想━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 今年の米国経済に関しては、ハードランディング説、スタグフレーション説、ソフトランディング説、そしてノーランディング説など、様々なシナリオが描かれてきたが、結局前者の二つは消えて、市場は確率が低いと見られていたソフトランディングのイメージを強めながら、年末へと向かっている。金融引き締めが適切に効いたという見方もあるが、個人的には、エネルギーが下落し、物流などのボトルネック要因が?げ落ちたことによる外生的ショックの緩和が主因であり、内生的なインフレ要因は利上げでも消えていない、という解釈を抱き続けている。即ち、雇用や住宅、財政などの米国内構造にはまだインフレの匂いがプンプンするノーランディング説が筆者にとっては現実的なイメージだ。

 昨日はOECDが世界経済見通しを公表しており、今年も来年も3%割れという低調な予想となってい
る中、米国も今年の2.5%から1.5%に減速する見通しが描かれている。一方で欧米金融機関の予想
を概観すると、楽観的な2.1%予想のゴールドマンから悲観的な1.1%予想のUBSまでかなりバラツキがあり、来年もなかなか予想のコンセンサスが見出しにくい印象を抱いている。OECDの予想はその真ん中であり、無難な見通しと言えそうだが、これまでの米国経済の軌跡や中国・欧州の景気底入れの可能性などを考えると、市場が予想するよりやや高めの成長率となってインフレ率もそれほど下がらない、といった米国の経済像がぼんやりと見えてき始めたような気もしている。

 同国のインフレに関しては何度も書いたので食傷気味であろうが、また一つ気になる点が出てきたので忘れぬように書いておく。住宅の賃料である。米国の消費者物価指数を押し上げてきた「悪」の一つとしての住居費が低下に向かうことでインフレ鈍化が加速する、との見方が早期利下げ論の一角を為しているが、住宅価格の高止まりに拠って全米における住宅の買い手が意気消沈しており、今後賃貸需要がさらに強まって賃料が下がらないどころか上昇する可能性がある、という指摘にも説得力がある。これは、コア・インフレ高止まり予想を正当化することになるかもしれない。まだ仮説に過ぎない、インフレ警戒論者としては、暫くウォッチしておく必要がありそうな気がしている。
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デイリー・マネタリー・アフェアーズ 2023.10.31

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  本日のフィナンシャル・モニター   
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<国内モニター>

 **日経平均は前週末比294円73銭安
  ダウ下落、中東情勢不安、日銀警戒で売り優勢、反落。

 **長期金利が0.89%まで上昇
  日銀警戒で10年3か月ぶり高水準。本日YCC再修正議論との観測でドル円は148円台。

 **補正予算財源に予備費充当
  賃上げ促進の環境整備に。JAXA向け1兆円の宇宙戦略基金も設定。 

 **トヨタ4-9月期世界販売台数は前年同期比9%増
  517万2387台と半期として過去最高、2年ぶりの前年超え。欧米需要旺盛で、国内実績も
  好調。世界生産も同13%増の505万8248台と過去最高に。

 **パナソニック9月中間決算純利益は前年同期比約2.7倍
  2883億円と中間期過去最高。EV電池の米政府補助金が544億円押し上げ。

 **住友電工がメキシコにEV用電池部材工場新設
  2025年6月稼働。投資額や生産規模は非公表。

 **JR東海3月期連結純利益は前期比40%増見通し
  従来予想を上回る。観光需要増で東海道新幹線の利用が想定以上で推移。

 **パチンコのガイアが民事再生法適用申請
  負債総額は単体で約850億円、グループ全体で約1133億円。パチンコ業界では過去最大の
  経営破綻。コロナ禍と電気代高騰で債務返済不能に。

 **マリオットが鳥取砂丘近くに高級ホテル
  2026年度中の開業目指す。鳥取に「潜在的商機」、1泊6万円以上を想定。

<海外モニター>

 **米ダウは前週末比511.37ドル高
  長期金利は4.89%へ上昇、2年・10年マイナス格差は16BPへ縮小。

**イスラエル軍がガザ市郊外まで進軍
  1万人超滞在の病院に退避警告。

 **独7-9月期実質GDPは前期比マイナス0.1%
  家計の購買力低下と金利上昇が重し。第4四半期も望み薄。10月消費者物価指数
  は前年同月比3.0%上昇、前月から1.3ポイント急低下。

 **世銀が原油150ドルのリスクを指摘
  四半期ベースのコモディティ・レポート。メインシナリオは価格低下、中東とウクライナ情勢次
  第で急騰リスクも。

 **恒大集団の清算審理は12月4日に延期
  香港高等法院が決定。再編計画巡り最後の猶予。

 **ウエスタンデジタルが会社2分割を発表
  キオクシアとの統合破談観測、フラッシュメモリー事業スピンオフで上場企業2社に。

 **UAWがGMとも賃上げ合意へ
  ビッグスリーのストライキは46日で終結見通し。

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  現代金融の遠近法                  さて日米金融政策
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 今週は日銀の金融政策決定会合、米国ではFOMCという日米金融政策の方向性を決める重要
な日程が組まれている。先週まではどちらも現状維持との見方が大半だったが、足許の日本の長期
金利上昇ペースから、日銀はYCCの再修正を急がざるを得ない、との見方が強まってきた。これを放置
すれば、天井と想定した1%でまた無駄な防戦をせねばならなくなるのは明白で、25BPでも50BPでも取
り敢えずは引き上る、というドタバタ劇になるのだろうか。さっさと撤廃してしまった方がよほどスッキリ感も
あるが、減税と歳出増に邁進する永田町の意向には逆らえない。為替は取り敢えず円高方向には動
いているが、海外勢の巻き戻しも限定的ではないかと思っている。

 一方で米国では現状維持との見方は変わらず、焦点は12月と1月の判断に向けられている。米国
経済は鈍化見通しが強いが、その時期はどんどん先送りされている状況で、先週発表されたスーパー・
コアPCEも前月比0.4%上昇するなど、景気と物価の基調はまだ強い。今週発表される雇用統計で
はUAWのストの影響で雇用鈍化の印象が強まると見られており、実態を掴むのは難しそうだが、逼迫解
消が視野に入る時期はまだ先の可能性が高そうだ。長期金利も安定には程遠く、ボラティリティの高さ
は年末年始へと持ち越されることだろう。日米ともに、長期金利に関してはまだまだ落ち着かない日々が
続く。激しい値動きを体験した現役時代の記憶が蘇ってくる。

 そんな金利観と中東情勢の悪化懸念を背景に、株式市場ももたついている。昨日の米国株は大幅
下落後の自律反発狙いの買いなどで急反発しているが、先週末にはS&P500が直近ピーク比10%超下
落して調整局面入り、ダウも年初来でマイナスに転落するなど、基調は強くない。7-9月期の決算は予
想以上に良好だったとはいえ、10-12月期や来年の見通しを下方修正するアナリストが増えている、とブ
ルームバーグは報じている。金利高止まり、地政学的緊張の悪影響、そして中国経済の低迷継続という
世界の三大マイナス要因に国内消費の減衰傾向が加われば、米国株のバリエーションも一段下がって長
期投資を考える向きには良い環境になることも想定されよう。ただ下げ相場が行き過ぎることも往々にし
てある。果報は寝て待て、というがその睡眠時間も少し長めに設定しておいて損はないかもしれない。
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デイリー・マネタリー・アフェアーズ 2023.09.29

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  本日のフィナンシャル・モニター   
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<国内モニター>

 **日経平均は前日比499円38銭安
  権利落ちに加えて原油高や米国株不安も重荷に。1か月ぶりに32,000円台割れ、長期金利
  は0.75%へ上昇。

 **東京都が新興企業支援の拠点開設へ
  内外ベンチャーキャピタルや企業、大学、行政向けに「Tokyo Innovation Base」プレオープン。2024
  年5月に本格開業。

 **国交省がタクシー規制緩和
  過疎地での個人タクシー営業が可能に。年齢も80歳未満に引き上げ。乗り合いタクシー事業開
  始も容易に。

 **トヨタ8月世界販売台数は前年同月比10%増
  853,285台と7か月連続増加、8月としては4年ぶりに過去最高更新。北米や国内で伸長、中
  国を除くアジア地域では前年並み。

 **ルノーが日産・三菱自との共同購買契約解消
  部品共通化などの戦略を転換、経営の独自性を尊重へ。

 **SBI新生銀行株を旧村上ファンド系が保有継続か
  エスグラントの9.75%保有が判明、上場廃止後もSBI・政府系とともに株主残留観測。

 **三菱UFJがAI活用の新興企業投資ファンド設立
  海外スタートアップに最大5億ドル投資。

 **8月対中魚介類輸出総額は前年同月比75.7%減
  処理水海洋放出への反発で8月24日から水産物の輸入全面停止。


<海外モニター>

 **米ダウは前日比116.07ドル高
  金利上昇や原油高の一服で3日ぶり反発。長期金利は4.58%へ低下、2年・10年マイナス
  格差は48BPへ縮小。

 **米4-6月期個人消費は大幅下方修正
  GDP確定値は前期比年率2.1%不変。個人消費は1.7%増から0.8%増に大幅下振れ。
  設備投資が7.4%増と1.3ポイント上方修正、輸出と在庫も上振れで相殺。

 **米8月中古住宅販売成約指数は前月比7.1%低下
  71.8と2020年4月以来の低水準に。価格上昇、成約不振のスタグフレーション継続。

 **米新規失業保険申請件数は前週比2000件増
  204,000件と予想を下回る。労働市場は盤石。

 **米政府機関一部閉鎖が濃厚に
  閉鎖回避への交渉難航、依然として合意の目途立たず。

 **中国次期財務部長に藍仏安氏
  劉昆氏が退任、山西省書記が就任へ。

 **ユーロ圏9月景況感指数は前月比0.1ポイント低下
  93.5と5か月連続低下。サービス業、小売業、消費者のマインド悪化。

 **独9月消費者物価指数は前年同月比4.3%上昇 
  エネルギー高騰一服で伸び率は2年ぶり低水準。原油高再燃で先行きには不透明感。

 **英政府が2024年からZEV販売義務化
  自動車メーカーにゼロエミッション車最低22%の販売を義務付け。2030年の80%まで段階
  的に引き上げ。

 **メキシコ中銀は政策金利を11.25%で据え置き
  4会合連続で現状維持。インフレ率は低下、2024年前半には利下げとの観測。

 **オープンAIが消費者向けAI端末開発企業立ち上げへ
  FT紙報道。元米アップルのデザイン責任者、孫社長とベンチャー設立協議。

 **恒大集団の株取引が再停止
  香港取引所で売買停止。上場子会社の恒大物業集団やEVメーカーの恒大新能源汽車
  集団も停止。

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  現代金融の遠近法               米国資本システムの脆弱性
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 米国長期金利の行方についてはまだ明確なコンセンサスはなく、5%に向かうとの悲観派から当面
は4%台後半での推移が継続との慎重派、足許の動きはクレージーと見る楽観派がそれぞれの主張
を繰り出している。いずれにせよ、こうした不安定な動きが投資家の不安感を増幅させるだけで、また
金融事故のリスクが高まることも事実である。3月の米国地銀破綻連鎖は何とか局所的な危機で
収まったが、米国資本システムにおける火種は燻ったままであり、早期利下げ観測が遠のいた以上、
シナリオ修正がもたらすマネー循環の変化が、緩和継続気分に染まった脆弱なシステムを動揺させ
る可能性はゼロではなかろう。

 いま金融当局が最大の懸念を示しているのが、まさに米国債市場におけるハイ・レバレッジのベー
シス取引である。ヘッジファンドに拠るポジションが急増しているのは公式統計から明らかであり、コロ
ナ禍で起きたような急激なアンワインドに拠る市場大変動の再来が警戒されている。ゴールドマンなど
はリスクは限定的だと主張しているが、何が起こるのか解らないのが相場である。絶対安全と思われ
ていたMMFが金融危機の際に元本割れしたことも忘れないでおきたい。MMFは何度も制度改革され
てきたが、それでもCPやCDなどを組み込むリザーブ型MMFに関しては、クレジット市場不安などを背景
に解約急増で元本割れが起きる可能性は有る。

 また、商業用不動産融資やレバレッジド・ローンを組み込んだファンドの集中的解約に対する脆
弱性も注意すべきだろう。英国市場では昨年来大手が運営するファンドの動向が注目されており、
米国市場でも景気失速の兆候が明らかになればリスクは高まる。昨日発表された米4-6月期GDP
確定値における個人消費の大幅下方修正は、下半期以降への警戒シグナルだと読んでも良いよ
うに思われる。眉唾のソフトランディング説はまだ健在で、失業なきインフレ鈍化のイメージを抱き続
ける人も少なくないが、百歩譲って米国経済の堅調さは暫く継続すると仮定するにしても、だから
と言って資本システムが健康だとは限らない。緩和長期化がばら撒いた危機のタネは、至る所に
開花を待って潜んでいることを忘れるべきではない。
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デイリー・マネタリー・アフェアーズ 2023.08.31

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  本日のフィナンシャル・モニター   
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<国内モニター>

 **日経平均は前日比106円49銭高
  先物買いが継続、戻り待ち売りとの攻防で上げ幅縮小。

 **田村日銀委員「2%目標実現が明確に視界に」
  北海道で講演。不確実性も残る現状では緩和継続が適切、との判断も。

 **ガソリン価格が最高値更新
  全国平均は前週比1.9円高のリッター185.6円。円安・補助金縮小で15週連続上
  昇。岸田首相は「補助拡大で10月には175円台」と表明。 

 **金融庁が損保ジャパンの責任追及へ
  ビッグモーター取引再開時に不正の可能性を認識。

 **SBI証券と楽天証券が日本株売買手数料ゼロに
  国内初の無料、9月から。米国流ネット売買無料拡大の可能性も。

 **グーグルが日本語でも「生成AI検索」導入
  30日から試験的にサービス開始。希望する利用者の閲覧ソフトやアプリに機能提供。

 **KDDIとスペースXが衛星・スマホ直接通信サービス開始へ
  スターリンクをauスマホで利用、2024年から。

 **西武池袋店は本日全館休業
  セブン&アイが西武・そごう売却を本日決定、債権900億円放棄へ。約5000人の雇用
  を守る姿勢見せるも労組はスト決行。

 **トヨタ7月世界生産台数は前年同月比15%増
  809,400台と7か月連続増。7月としては8年ぶり過去最高更新。中国では生産・販
  売ともに前年割れ。2023年世界生産計画は約1020万台に。

 **北陸新幹線の金沢・敦賀は3月16日開業へ
  JR西日本・東日本が発表。東京・敦賀間を最速3時間8分で。

<海外モニター>

 **米ダウは前日比37.57ドル高
  金利上昇懸念緩和で小幅続伸。長期金利は4.11%へ低下、2年・10年マイナス格差
  は76BPで横ばい。

 **米8月ADP民間就業者数は前月比177,000人増
  予想を下回り雇用逼迫緩和を示唆。教育・医療、物流は堅調、娯楽は鈍化。賃金は
  前年同月比5.9%増。

 **米8月中古住宅販売成約指数は前月比0.9%上昇
  77.6と予想外に2か月連続のプラス。

 **米4-6月期実質GDP改定値は前期比年率2.1%増
  設備投資下振れで0.3ポイント下方修正。個人消費は1.7%増と0.1ポイント上振れ。

 **中国が「一帯一路」首脳会議開催へ
  ロシアなど関係国に通知。10月17日に北京市内で開催予定。

 **独8月消費者物価指数は前年同月比6.4%上昇
  予想ほど低下せず。スペインでは同2.4%と2か月連続の加速。

 **独政権が中小企業減税など新経済対策を閣議決定
  320億ユーロ規模の税負担軽減で環境投資・研究開発を支援。

 **2023年スマホ世界出荷台数は前年比4.7%減見通し
  IDCが11億5000万台と下方修正、過去10年間で最低に。

 **碧桂園1-6月期最終損益は約1兆円規模に
  489億元と過去最大の赤字計上。負債総額は1兆3642億元。

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  現代金融の遠近法                  金価値の再考
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 国内での金価格がグラム10,000円台に乗せたことが話題になっている。筆者は金には
昔から強い関心があり、金融史を学び始めた一つのきっかけが金に潜む魅力を理解したい
という願望であった。金は制度的には「廃貨」されたことになっているが、富の保存手段とし
ては何千年もの歴史を持っており、その辺の信用通貨とは出来が違うのである。大昔の話
だが、銀行に入って2年目のボーナスではクルーガーランド金貨を買ったこともある。本格的に
金投資を始めたのは日銀が量的緩和を始めた時期であった。当時はグラム2500円くらい
であったと記憶している。ニクソン・ショックのころはたしか700円台であった。

 金には利息が無いのでゼロ金利時代から有金利時代へシフトする過程では魅力が急減
すると言われているが、市場では2000ドル台に接近する動きも見られている。国内では円安
で弾みが付いているが、ドルベースでも結構しぶとい値動きをとなっているのが興味深い。金は
誰の債務でもなく簡単には「増量」出来ないという点も長所と言われてきた。特に今後各国
の財政赤字問題に焦点が当たり始めれば、金選好を強める投資家が増えるかもしれない。
また、ドルに拠る金融制裁を振りかざす米国に辟易している新興国が「BRICS拡大」を通じて
金準備の増強を協調して図る可能性もあるかもしれない。勿論、金は急落するリスクも抱えて
いることは言うまでもない。

 ドル覇権が急低下するという説には乗らないが、決済の利用比率や準備に占める割合が
徐々に低下してくのは止められないだろう。金が再び主役になるという話ではない。国際金融
システムも史的変遷過程にある一つの体系に過ぎない。金価値がドル信認低下と比例してい
ることは、ニクソン・ショック以降の半世紀にわたって実証されてきた。客観的価値の裏付けのな
い金はいつか暴落するとも言われてきたが、歴史を振り返れば、金に絶対的価値を見出す人が
少なくないことも明白だろう。信用通貨は確かに便利だが、意図的に操作され、有事には脆く、
下落が始まると止まらないこともある。ドルや米国債は安全資産と言われるが、それは現代的
な幻想に過ぎない可能性を、筆者が学んだ金融史は示唆しているように思われる。
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デイリー・マネタリー・アフェアーズ 2023.07.31

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  本日のフィナンシャル・モニター   
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<国内モニター>

 **日経平均は前日比131円93銭安
  YCCショックで輸出関連に売り圧力、海外勢の売りで一時850円下落するも押し目買
  いに下げ幅縮小。ドル円も乱高下の末に138円割れ寸前から141円台に。

 **日銀が長期金利上限突破を容認
  長期金利の指し値オペを1%に引き上げ、事実上のYCC修正。物価見通しは2023年度
  2.5%へ大幅上方修正。2024年度は1.9%と小幅引き上げ。

 **長期金利が0.5%突破
  日銀政策修正で上限超え、0.575%まで上昇。約9年ぶりの水準に。

 **厚労省が最低賃金全国平均1002円に
  中央最低賃金審議会小委員会が取り纏め。過去最大の引き上げ額に。

 **金融庁がビッグモーターと損保大手に報告徴求命令
  保険の取り扱い調査へ事実関係の説明や関連資料の提出を要求。

 **7月都区部消費者物価コア指数は前年同月比3.0%上昇
  電気・ガス代など低下で伸びは2か月ぶり縮小。食品や日用品は依然高い伸びで
  コアコアは4.0%上昇と0.2ポイント加速。

 **東京国税局が三越伊勢丹に7億円追徴課税
  約6億4000万円の申告漏れ指摘。免税販売でパスポート確認せず。

 **国内レジャー施設の43.2%が入場券値上げ
  帝国データバンク調査、190施設中82施設が値上げ実施又は検討中。

 **オリエンタルランドの4-6月期連結純利益が過去最高に
  前年同期比2.3倍の274億円。開業40周年イベントが貢献、売上高は43%増の1406億
  円、営業利益は2.3倍の386億円と過去最高。

 **トヨタグループが上半期世界販売台数で首位に
  前年比5.5%増の541万9841台とVWを上回り4年連続で上半期首位。世界生産台数
  は同10%増の562万台と過去最高を更新。

 **トヨタが保有KDDI株の一部売却方針
  1/5程度の約2500億円を売却。政策保有株売却で電動化シフトに資金充当。

 **アサヒが外食事業から撤退
  なだ万やビール園などの事業売却、酒類事業に経営資源集中。

<海外モニター>

 **米ダウは前日比176.57ドル高
  インフレ鈍化を好感。長期金利は3.95へ低下、2年・10年マイナス格差は93BPで横ばい。

 **米6月コアPCE物価指数は前年同月比4.1%上昇
  伸びが縮小、前月比は0.2%上昇。総合指数上昇率は前年比3.0%、前月比0.2%
  上昇。個人消費支出は前月比0.5%増、個人所得は同0.3%増。

 **米4-6月雇用コスト指数は前期比1.0%上昇
  2年ぶり低水準に。前年比でも4.5%上昇と鈍化。

 **米7月ミシガン大消費者信頼感指数は前月比7.2ポイント上昇
  確定値は71.6と2021年10月以来の高水準。1年先インフレ期待は3.4%と前月から
  0.1ポイント上昇。

 **WTI期近物が3か月ぶり高値
  米国景況感堅調で需給改善期待に一時80.70ドルまで上伸。

 **中国が消費者向け産業の後押し計画発表
  軽工業の成長を促進、小規模企業の資金調達支援へ証券取引所の成長促進策も
  導入。

 **中国6月末住宅ローン残高は前年比0.7%減
  38兆6000億元と2008年統計開始以来初の減少。景気不安で前倒し返済拡大。

 **ECB「域内銀行の財務は安定」
  ストレステスト結果公表。「深刻な景気低迷にも耐えられる」と総括するも最悪シナリオで
  は3行が資本不足と判定。

 **独4-6月期実質GDP速報値は前期比横ばい
  3四半期ぶりマイナス成長回避。景気低迷感は払拭出来ず。7月消費者物価指数上
  昇率は前年同月比6.5%、コアも同5.5%と前月からともに0.3ポイント減速。

 **英中銀がバーナンキ氏に経済予測手法見直し委託
  インフレ抑制失敗への批判緩和策。

 **サウジがウクライナ和平国際会議を開催へ
  WSJが来月開催と報道。欧米やグローバルサウスの高官招待、ロシアは不参加。

 **メキシコ財務省が国営ぺメックスに資本注入
  1000億ドル超の巨額債務負担軽減へ約50億ドル規模の支援。

 **トルコ政府が中銀副総裁3人交代と発表
  米NY連銀勤務経験のあるエコノミストらを任命。引き締め転換の一環か。

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  現代金融の遠近法                日米それぞれの「緩和」
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 日銀は「情報リーク」通りに金利操作に柔軟性を採り入れ、長期金利の固定範囲を緩めて
1%までの上昇余地を形成することになった。市場は消化不良を起こして為替は乱高下、株価
も急落後に急反発するなど、YCCの実質的な修正なのか、緩和基調の中での微調整なのか、
皆目見当が付かないままに植田総裁の記者会見を迎えることになった。市場では金利正常化
への第一歩と見做した向きが多く、事実上の利上げだというヒトも居たようだが、総裁発言から
はそうしたニュアンスは感じられない。案の定、東京で138円台割れ寸前まで下落したドル円は
海外市場では141円に戻ってしまった。
 
 確かに今回の解釈は様々有り得よう。だが、野球の投手が投じた球筋を見て球種を探るより、
そのボールの握り方を見る方が投球意図が明確になることを思えば、やはり総裁が何度も繰り返
している物価の見方を視座に据えて解釈するのが現実的であろう。足許の物価上昇の読みは間
違えたが、今後低下するのは確実で、最大の予測の難関はその後だ、というのが基本認識であ
る。低下後に再上昇するのか自信がない、という総裁の発言は展望レポートにそのまま反映され
ており、2024年の物価見通しは僅かながら下方修正されている。従って、このシナリオの下で金利
正常化だとか事実上の利上げだとかいう結論を出すのは、適当ではないだろう。愚策の手直しと
いうくらいが、存外正しい観察結果なのかもしれない。ただ、その幾らか甘いように思われる物価
判断が正しいのかどうかは別問題だ。

 さて米国では6月のPCEデフレーターが総合・コアともに順調に低下して、インフレ鈍化期待を益
々高めることになった。「利上げはもうない」「景気は堅調」というムードが市場に行き渡り、米国
株式市場はゴルディロックス状態で、14連騰を阻まれたダウも仕切り直しとばかり反発している。
夏枯れの中でその流れに歯向かうのは危険な状態になっているが、視線を年末にまで向けてみれ
ば、原油相場や食糧価格の再上昇という物価反転への懸念、そして余剰貯蓄消滅や学資ロー
ン返済再開などの消費への影響といった難しいハードルが幾つか待ち構えている状況が見えてくる。
さらに「利上げ効果の浸透」という不気味な要素もある。もう一つ、ついでに言えば株価や社債の
安定化という「金融環境の緩和」がインフレを再燃させるリスクもある。最後のポイントは、ソフトラ
ンディング期待の盲点と言っても良いかもしれない。
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デイリー・マネタリー・アフェアーズ 2023.06.30

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  本日のフィナンシャル・モニター   
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<国内モニター>

 **日経平均は前日比40円15銭高
  先物主導で続伸するも高値警戒で上げ幅は限定的。

**政府が「年収の壁解消」へ助成案
  当面の対応として雇用保険から一人50万円を拠出。付け焼刃。

 **政府が大規模洋上風力の第2弾公募へ
  伊藤忠商事や東京ガスなどが応札検討。対象は長崎・新潟・秋田の4海域。

 **ニトリが全国300店にEV充電網整備
  100%再エネ由来の電気を供給、2024年末までに750基稼働へ。

 **トヨタ5月世界生産台数は前年同月比33%増
  5か月連続増加、5月として過去最高更新。半導体供給回復、生産能力増強で
  北米やアジアで生産拡大。

 **ソフトバンクが生成AIを独自開発へ
  スパコン整備し、金融や医療などの分野特化型として提供検討。

 **ソニーが静岡県湖西市の工場閉鎖へ
  業務用ビデオカメラ生産を愛知県幸田町の工場に集約。
 
 **京都銀行が英ファンドの特別配当提案否決
  株主総会でシルチェスターの要求を拒絶。

 **EUが日本産食品輸入規制完全撤廃へ
  福島県産水産物など放射性物質検査証明を不要に。

 **6月消費者態度指数は前月比0.2ポイント上昇
  36.2と4か月連続上昇。賃上げで収入・雇用見方が改善。

<海外モニター>

 **米ダウは前日比269.76ドル高
  力強い経済指標を好感。長期金利は3.84%へ上昇、2年・10年マイナス格差は103
  BPへ拡大。

 **米1-3月期実質GDP確定値は前期比年率換算2.0%増
  改定値から0.7ポイントの大幅上方修正。個人消費が4.2%増と7四半期ぶり高水準。
  設備投資は0.6%増と0.8ポイント下振れ、住宅投資は4.0%減と1.4ポイント上振れ。

 **米5月中古住宅販売成約指数は前月比2.7%低下
  在庫不足で年初来最低水準に。4地域のうち3地域で低下。

 **米新規失業保険申請件数は前週比26,000件減
  239,000件と予想を下回る。総受給者数は前週比19,000人減の174万2000人。

 **米金融監督当局が商業用不動産支援を要請
  金融機関にローン支払い猶予や部分返済など異例の支援要請の共同声明発表。

 **独6月消費者物価指数上昇率は前年同月比6.8%
  スペインは1.6%と急低下で対照的。

 **ハンガリー議会がスウェーデンNATO加盟批准延期
  トルコも批准せず、加盟は先送り濃厚。

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  現代金融の遠近法                  米欧日の経済格差 
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 米国経済の力強さを1-3月期GDP確報値があらためて印象付けている。前期比の成長率
は2.0%と改定値から0.7ポイントもの上振れとなった。大幅に上方修正された個人消費が
牽引したもので、住宅市況の回復も支えとなっている。昨日「誤算」について若干イチャモンを
付けたが、これこそ経済にとっては嬉しい誤算だろう。バックミラーに映った統計に過ぎないことは
事実だが、コアインフレの粘着性もこれで納得できるというものだ。雇用逼迫と余剰貯蓄の効
果はてきめんである。FF金利は5%台では済まないかもしれない。

 一方、リセッションに陥ったユーロ圏では、景気や物価に関する主要国の温度差が激しいの
が悩みのタネであろう。景気後退とインフレの双方で足を引っ張っているのはドイツである。マイナ
ス成長からの脱却はまだ視野に入らず、物価に関しても昨日発表された6月の消費者物価指
数は前月比6.8%と再拡大、コア指数も5.8%と伸びが加速している。一方でスペインは1.6
%上昇と急低下しており、イタリアも6.7%と鈍化を見せている。本日ユーロ圏の指数が発表さ
れるが、仮に鈍化していても、ドイツの状況を見ればECBは利上げ継続姿勢を止める訳にはいか
ないだろう。

 英中銀も含めて「ECBフォーラム」では欧米中銀の利上げ継続大合唱の雰囲気だったようだ。
そんな中で円安の背景を問われた植田総裁は、その三中銀の金融政策に言及してみせたが、
日銀の慎重姿勢が最大の要因であることは誰の目にも明らかだろう。ドル円は昨日145円台目
前まで上昇した。介入警戒感は強いが、昨年に比べれば円安は必ずしも「急激」とは言い難く、
150円までは無風といった大胆な声も散見される。昨年の円安には驚きもあったが、今年の円安
に関しては誰もサプライズ感を抱いていないように思われる。貿易赤字の解消やYCC撤廃で多少
は円高にブレるだろうが、基調的な円安時代の定着は否定しようがなくなってきた。これもまた経
済格差の象徴なのだろう。
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デイリー・マネタリー・アフェアーズ 2023.05.31

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  本日のフィナンシャル・モニター   
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<国内モニター>

 **日経平均は前週末比94円64銭高
  利食いに押されて反落するも下値堅く小反発。

 **植田総裁「今年度後半と来年度以降の物価見通しはかなり不確実」
  持続的・安定的な物価目標達成には「まだ間がある」と緩和継続方針。

 **財務省・金融庁・日銀が情報交換会
  円安進行で幹部会談、いつもの相場牽制。

 **5月東証上場企業自社株買いは約3.2兆円超
  2004年以降で過去最高に。資本効率改善が株価を後押し。

 **日野自動車と三菱ふそうが経営統合へ
  親会社のトヨタとダイムラーが共同出資で持株会社設立、完全子会社に。規模拡
  大で先進技術への投資加速。

 **ANAがNFT取引に参入
  航空会社初の非代替性トークン・プラットフォーム開設。3D航空機2種類販売へ。

 **「らくらくホン」のFCNTが経営破綻
  東京地裁が民事再生手続き開始申し立を受理。スマホ出荷で国内3位、負債総額は
  1300億円程度。競争激化と円安で資金繰り悪化。

 **自動車大手8社の4月世界生産台数は前年同月比14.5%増
  190万539台でと3か月連続で増加。半導体不足解消で反動増。

 **4月有効求人倍率は前月比横ばい
  求人見送りも散見、1.32倍に。完全失業率は前月比0.2ポイント低下の2.6%。


<海外モニター>

 **米国市場は前週末比50.56ドル安
  米議会の行方を警戒、ナスダックは続伸。長期金利は3.69%へ低下、2年・10年マ
  イナス格差は77BPへ拡大。 

 **米5月CB消費者信頼感指数は前月比1.4ポイント低下
  102.3と2か月連続マイナス、2022年11月以来の低水準。強まる景気懸念。

 **米3月全米住宅価格は前月比1.3%上昇
  S&Pコアロジック・ケース・シラー指数は2か月連続プラス。上昇率は10か月ぶりの幅に。

 **マスク氏が中国外相と会談
  対立激化の最中に訪中。「デカップリングや供給網分断に反対」と表明。

 **ロシアがウクライナ4州で地方選挙実施へ
  ドネツク州など支配の既成事実化を狙う。

 **ギリシアは6月25日に再選挙へ
  安定政権樹立へ与党・新民主主義党(ND)の単独過半数が焦点に。

 **エヌビディア時価総額は一時1兆ドル突破
  最高値更新で半導体初の大台。過熱感も。

 **ゴールドマンが追加人員削減計画
  昨年9月以来3回目のリストラ。上級職も対象に。

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  現代金融の遠近法                エヌビディア雑感 
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 エヌビディアの時価総額が一時1兆ドルを超えて、アップル、マイクロソフト、アマゾン、アルフ
ァベットに次ぐ「1兆ドル・クラブ」の仲間入りを果たした。創業30年での快挙に、米ハイテク企
業の凄みを感じない訳にはいかない。当初はニッチ部門であった3Dグラフィック画像ビジネスに
特化し、OpenAIが火をつけたChatGPTブームに乗って市場を席巻するに至った。サプライヤー
として勝ち馬を選択するのは難しいが、トレンドさえ掴めれば大勝ち出来る典型例だと言って
良いだろう。まさに「新コンピュータ時代」であるが、日本勢がその意味でも「お零れ頂戴組」に
しかなれなくなったのが残念である。

 とはいえ、昨今の生成AIブームに末恐ろしさを感じる人も少なくないだろう。既に米法曹界
ではフェイクな情報への危機感が示されている様子であり、政治・経済から日常生活に至るま
で、何を信じて良いのか判らなくなる時代がもうそこまで来ている、という印象である。筆者もこ
れまで何度かchatGPTを試してみたが、言語的にはOKでも内容があまりにみすぼらしくて、仕
事にはまだ使えない感じを抱いている。ただ、意図的な悪用だけでなく、善意での濫用も可能
になることを考えれば、脅威的な道具になり得ることは自明だ。ルールを作っても情報的犯罪は
抑えられないだろう。情報産業である金融市場も、新たな「敵」に翻弄されるかもしれない。

 米国では早速、2024年の大統領選に向けたフェイク情報合戦が始まりそうな気配である。
共和党では注目されたデサンティス氏が名乗りを挙げたが、トランプ氏には全く歯が立たない
情勢である。トランプ氏が得意のSNS戦法でデサンティス攻撃を強めているのが奏功していると
言われているが、ここにフェイク情報が投入されれば、報復も含めた情報戦争に陥る可能性
もあろう。投機筋がそうした混乱に乗じてフェイク情報で市場を描き回すことも想定される。金
融政策や財政政策などを真面目に分析しようとしても、基礎となるデータが信用出来なくな
ればお手上げである。エヌビディアの株が上がって日本株にも追い風が吹いた、と手放しで喜
べない理由はそこにある。
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デイリー・マネタリー・アフェアーズ 2023.04.28

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  本日のフィナンシャル・モニター   
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<国内モニター>

 **日経平均は前日比41円21銭高
  決算本格化、好業績期待で小幅高。

**トヨタ2022年度世界生産・販売最高更新
  部品の調達難緩和、生産は前年度比6.5%増、販売は同1.0%%増。

 **ホンダとGSユアサが国内電池工場に4000億円投資
  電池や部材の開発へ共同出資で新会社設立、経産省が1500億円補助へ。

 **キリンが豪州健康食品大手を買収
  ブラックモアズを約1692億円で全株取得、完全子会社に。ヘルスサイエンス分野を
  強化。

 **九州電力が2000億円の資本増強へ
  日経報道。優先株発行、みずほと政投銀がそれぞれ800億円、三菱UFJが400億
  円引き受けか。

 **三井住友がジェフリーズ持ち分引き上げ
  戦略的資本・業務提携を深化、保有比率を4.5%から最大15%まで。

 **三菱UFJが振込手数料990円に引き上げ
  10月2日から窓口・ATMで他行向け引上げ。

 **ユニゾ社債610億円が債務不履行状態に
  国内公募でのデフォルトは2017年のタカタ以来。

 **2022年度国内建設受注額は前年度比8.4%増
  過去20年で最高。サプライチェーン国内回帰で半導体など大型設
  備投資増加。安全保障関連も好調。

 <海外モニター>

 **米ダウは前日比524.29ドル高
  ハイテク期待で大幅反発。長期金利は3.53%へ上昇、2年・10年マイナス格差は55
  BPへ拡大。

 **米1-3月期実質GDPは前期比1.1%増
  プラス幅は前期から縮小、予想を下回る。個人消費は3.7%増と堅調、設備投資や
  在庫が低調。コアPCE物価指数は4.9%上昇、1年ぶりの高い伸び。

 **米3月中古住宅販売仮契約指数は前月比5.2%低下
  78.9と4か月ぶり低水準、上昇予想に反してマイナスに。在庫不足が制約に。

 **米新規失業保険申請件数は前週比16,000件減
  230,000件と3週間ぶり減少。

 **中国1-3月工業利益は前年同期比21.4%減
  1-2月の22.9%減からやや改善。3月単月では前年同月比19.2%減。回復
  はだ定着せず。

 **独政府が化学品の対中輸出制限を協議
  先端半導体製造に必要な部材やサービスを断ち切る措置。メルクやBASFなどに拠る中国
  販売に制限検討。

 **トルコ中銀は政策金利据え置き
  2会合連続で現状維持。インフレ率は依然として50%超。5月14日には大統領選と
  議会選。

 **アマゾン1-3月期売上高は前年同期比9%増
  す営業利益は同30%増の増収増益。クラウド事業は減速、費用は抑制。

 **インテル1-3月期売上高は前年同期比36%減
  最終損益は27億5800万ドル赤字。PC需要低迷、データセンター向けも不振、2四半期連
  続での最終赤字。

 **米ギャップが新たに約1800人削減
  昨年9月の500人削減に次ぐリストラ。

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  現代金融の遠近法                米国GDPの中身
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 米国の1-3月期GDP速報値が発表され、成長率は年率換算で前期比1.1%増と昨
年10-12月期の2.6%から急速にペースダウン、2%前後の市場予想を大幅に下回る結果
となった。これだけ見ると、米国の景気減速は鮮明だと言えそうだが、個人消費が3.7%
増と前期の1.0%増から大幅に伸びていることを見れば、まだ力強さを残しているとも言え
るだろう。余剰貯穀はまだ残っており、雇用市場も堅調である。銀行不安も消費意欲の
低下をもたらしているようには見えない。

 さらにインフレ指標を見れば、PCEデフレーターは総合で4.2%、コアは4.9%とともに予
想を上回っており、特に後者は伸びが加速して1年ぶりの高水準になっている。とてもFRB
が予想(期待?)する年末3.5%といった水準には低下しそうにない。年内利下げ予想
は論外であるだけでなく、5月に利上げ打ち止めする余裕があるのだろうか、とも疑いたくな
る数字である。PCEの3月単月の数字は本日発表されるので、債券市場はあらためてその
内容を吟味せざるを得なくなるだろう。日銀が現状維持となれば、円安に弾みがつく可
能性もある。

 消費とインフレという引き締め要因が目立つとは言え、成長率を引き下げた設備投資と
在庫投資を無視することも出来ない。いずれも利上げ効果に拠る消費減退を見込んでの
低迷や縮小だろうと思われる。大企業中心とする人員削減がハイテク・金融から小売など
サービス業にも及び始めており、企業が逆風に備え始めているのは明白だ。株式市場は予
想ほど悪化しなかった1-3月期の好決算を歓迎しているが、先を見据えれば、売上を楽観
することは危険だ。概して言えば、1-3月期のGDPはミニ・スタグフレーションへの道程がより明
確になってきたように思われる。英エコノミスト誌の言う「モナリザ」の表情が、微笑から冷笑に
変化し始めたことを示唆している、と言っても良いかもしれない。
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デイリー・マネタリー・アフェアーズ 2023.03.31

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  本日のフィナンシャル・モニター   
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<国内モニター>

 **日経平均は前日比100円85銭安
  配当落ちで反落。ハイテク買いが下支え。

 **東証がPBR1倍割れ1800社に改善策開示要請
  個別企業だけの問題なのか。

 **4月予定の値上げ品目は4892品目
  帝国データ調査。年初累計では14,000品目超に。

 **公取委が電力各社に総計1010億円の課徴金
  独禁法違反の中国電、中部電、中部電力ミライズ、九電に過去最高の納付命令。

 **新東名高速の一部に自動運転車用レーン設置へ
  夜のトラックで「レベル4」実用化を想定。省人化技術活用。

 **トヨタ2月世界販売台数は前年同月比10.3%増
  773,271台と3か月ぶり増加、2月として過去最高を記録。半導体不足で新車納車
  遅延は解消せず。

 **ホンダが自転車電動アシストのシステム開発
  スマホ利用の「スマチャリ」。従来の電動アシスト自転車より2-3割安価に。

 **ANAとJALが伊藤忠から再生燃料を初調達
  伊藤忠がフィンランドのネステからSAの原液輸入しジェット燃料と混合。

 **LINE銀行は準備会社も清算へ
  みずほと共同事業断念を正式発表。

 **2月都心6区中古マンション平均価格は前月比0.7%上昇
  東京カンティ調査で73万円高の1億38万円。3か月ぶり1億円台で最高値更新。

<海外モニター>

 **米ダウは前日比141.43ドル高
  ハイテク堅調で続伸、PCE発表前に上値は限定的。金利は3.56%へ低下、2年・10年
  マイナス格差は55BPへ拡大。

 **米NY大陪審がトランプ前大統領を起訴
  米主要メディア報道。初の大統領経験者起訴、次期出馬に大打撃。

 **米10-12月期GDP成長率確定値は2.6%
  0.1ポイント下振れ。企業利益が2020年第4四半期以来の大幅マイナスに。

 **米新規失業保険申請件数は前週比7000件増
  198,00件と3週間ぶりに増加た。それでもまだ低水準。
 
 **独3月消費者物価指数は前年同月比7.8%上昇
  伸び率は大幅鈍化、市場予想は上回る。資源高は一服するも食品・サービスの価格
  は高騰。スペインも総合指数は3.1%、コア指数は7.5%と伸びに大幅な落差。

 **ユーロ圏3月景況感指数は前月比0.3ポイント低下
  99.3と予想を下回る。製造業が大幅に悪化。

 **メキシコ中銀が25BP利上げ
  政策金利を11.25%に引き上げ。インフレ率低下で利上げ幅縮小。

 **ディズニーがマーベル会長を解雇
  アクティビストに肩入れ、CEOらと確執。

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  現代金融の遠近法             「2%の物価目標」再考
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 昨年来の欧米諸国における「インフレ抑制」は今年は「コア・インフレ抑制」への切り替え
が進行中である。米国では総合指数上昇率の鈍化が続く一方でコア指数では加速してお
り、パウエル議長もサービス価格に重点を置いて「住宅を除くコア」を意識した発言が増えて
いるが、ユーロ圏でもその構図は同じである。昨日発表されたドイツとスペインの消費者物価
指数は、それぞれ資源安を背景に総合指数は明確に鈍化しているが、コア指数の伸びは一
段と上向いている。特にスペインの落差は激しい。

 コロナ禍とウクライナ戦争で世界的にインフレ率上昇が顕著になり、コロナ禍の収束過程
ではインフレの二重構造が浮き彫りになってきた。金融政策は、欧米どちらもコアインフレの鎮
静化を最優先せざるを得ず、市場期待とは裏腹にまだ政策金利は上昇余地があるとともに
高止まりするシナリオは簡単には崩れないように思われる。但し「2%の物価目標」を追い掛け
続ける事の正当性は薄れつつあるようにも思われる。そうした厳しい目標は必要以上に景気
を減退させ、またどこかで金融事故を発生させるリスクを高めてしまうからだ。手綱さばきは想
像以上に難しい。

 そもそも米地銀の金融事故やクレディスイスの経営難は、超低金利の長期化が生んだリ
スクテイクの失敗であるが、もう一歩踏み込んで、超低金利の長期化を生んだのは「2%の物
価目標」であった、と考えても良いように思われる。なかなか目標に達しないことで緩和が過
剰になり、民間のリスク感覚麻痺を生んで金融不安の種がばら撒かれた、という仮説もあな
がち間違いではないだろう。過剰緩和の土壌で生まれた事故の種が急激な引き締めで「開
花」してしまったのだ。それは緩和時期に指摘されていたリスクでもある。たまたま米地銀での
「開花宣言」となったが、世界中にそうした種の成長が進んでいるような気がして、あまり愉快
ではない。思えば昨秋の英国市場パニックもその一つであった。硬直的で視野狭窄に陥った
インタゲの欠陥は、もっと冷徹に分析されて良いのではないだろうか。
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デイリー・マネタリー・アフェアーズ 2023.02.28
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  本日のフィナンシャル・モニター   
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<国内モニター>

 **日経平均は前週末比29円52銭安
  米国株安で売り優勢、ハイテク株下落。円安で押し目買いも。

 **半導体ラピダスが北海道千歳市に工場新設へ
  2020年代後半の量産化へ5兆円規模の投資計画。

 **トヨタ1月世界販売は前年同月比5.6%減
  米中市場が部品不足で不振、70万台と2か月連続前年割れ。国内は3か月ぶ
  りに回復。

 **日産がEV対応に2兆円投資方針
  2022-26年度に電動化投資拡大、2030年度までにEV15車種など23車種の新
  型電動車投入へ。欧州の電動化率目標は98%に引き上げ。 

 **日本郵政がゆうちょ銀行株式を売却へ
  3月にも出資比率を89%から60%程度に引き下げ。売却額は1兆円超見通し。

 **富士通ゼネラルの買収候補に3社
  二次入札へKKR、ベイン、ニーベの海外勢の争いに。
  
 **東芝株が12日続落
  JIPが買収資金の1兆円調達できない可能性浮上、との報道。

 **ANAとJALが国内線でセール実施へ
  ANAは平日片道7000円 JALは6600円と大盤振る舞い。

 **そごう・西武元社員と労組が売却差し止め仮処分申請
  フォートレスへの売却で東京地裁に申し立て。

 **1月外食売上高は前年同月比15.3%増
  営業制限なく2019年1月比でも4.2%増。値上げで客単価も上昇。

<海外モニター>

 **米ダウは前週末比72.17ドル高
  自律反発狙いや押し目買いで反発。長期金利は3.92%へ低下、2年・10
  年マイナス格差は86BPで横ばい。

 **米1月コア資本財受注は前月比0.8%増
  市場予想を大幅に上回る伸び。出荷も同1.1%増。

 **米1月中古住宅販売成約指数は前月比8.1%上昇
  2020年6月以来の伸び。住宅ローン金利低下が寄与。

 **中国2月16都市新築住宅販売は前月比31.9%増
  中国指数研究院調査で1月の34.3減から急回復。中小都市で需要拡大。

 **海外資本の中国投資が18年ぶり低水準
  2022年下期は前期比73%減。米中対立激化や習主席不信が背景に。

 **英とEUが北アイルランド問題解決で合意
  通商ルールを巡る摩擦。物流の障壁軽減へ。

 **エリクソンが世界全体で8500人削減へ
  スウェーデン通信機器大手が北米などで大規模な縮小計画。

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  現代金融の遠近法             絶好調の米経済指標に注意
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 米国の1月経済指標は仰天の雇用統計から始まって、CPIやPPI、小売売上高、
住宅販売、PCEデフレーター、そして昨日発表されたコア資本財受注・出荷と、
予想を超える数字の連発である。インフレ懸念で不振と見られていた個人消費
は引き続き堅調だ。そしてあまり目立たないが、米企業の設備投資も積極的な
拡大が続いている。FOMC議事要旨では投資減退と記されていたが、10-12月期
のGDPでは速報値から大幅に上方修正されていた。GDPに占めるシェアは個人消
費より小さいが、大企業はヒトを減らしながらも、ソフトウェアなどにはふん
だんにカネを使っているのである。

 企業が投資を進めているのは日欧なども同じである。その背景には、AI活用
や脱炭素という時代の要請がある。またヒト代替のロボット使用、グローバル
サプライチェーンの見直し、旧時代のインフラ刷新といった需要もある。最近
ではこれらに「軍需」が加わり始めている。地政学は一般的には経済へのマイ
ナス作用が大きいが、一部企業にとっては「特需」になる。かくして設備投資
はコンスタントに拡大し、一定のペースで経済全体を底支えすることになるよ
うに思われる。但し、その多くは結果的に生産コスト上昇に繋がり易い。

 ただ、こうして米国経済の好調な指標を眺めていると「出来過ぎ感」も否め
ない。1月は全米で異例の暖冬であった、という点も割引いておく必要がある
かもしれない。経済活動の急拡大の反動が2月以降に出てくることも警戒すべ
き、といった指摘も散見される。景気後退シナリオをいま持ち出す必要もない
だろうが、「データ」を重視しながら一方で「アネクドータル」な話題にも気
を配りながら、冷静な目で経済を分析することが必要だ。気候変動が激しくな
った今日では、一層そうした複眼術が必要になると思われる。データ次第とい
いながら失敗を続ける当局の轍を踏んではなるまい。
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デイリー・マネタリー・アフェアーズ 2023.01.31
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  本日のフィナンシャル・モニター   
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<国内モニター>

 **日経平均は前週末比50円84銭高
  米中の株高が支え。一時的円高にも反応薄。

 **令和臨調が政府・日銀共同声明見直し提案
  金融政策柔軟化へ2%物価目標を長期的目標に。ドル円は一時129円20銭
  台まで低下、その後は130円台回復。

 **東京都への「転入超過」が3年ぶりに拡大
  2022年は38,023人と前年比倍増。22道県で流出拡大。コロナ禍の影響が
  希薄化。

 **日産とルノーが日産株出資交渉で合意
  ルノーが43%を15%まで引き下げ、資本関係は対等に。

 **トヨタグループが2022年世界新車販売で3年連続首位
  前年比微減の1048万台。VWを抑え首位キープ。

 **ENEOSが水素の常温輸送技術を実用化へ
  実証設備を2月に稼働、2025年度にも装置を大型化。川崎重工は超低温で
  の水素輸送大型運搬船を開発。

 **オリエンタルランドが利益8倍増予想
  3月期純利益は前期比8.4倍の681億円見通し。政府の旅行支援で客数増、
  客単価も拡大。

 **ヤマダが中古家電再利用の工場新設
  リユース年間生産台数の6割増目指す。

 **関電の高浜4号機が自動停止
  検出器から異常警報、放射線の影響なしと説明。原因不明。

<海外モニター>

 **米ダウは前週末比260.99ドル安
  FOMC警戒で下落。長期金利は3.55%へ上昇、2年・10年マイナス格差は
  70BPで横ばい。

 **ユーロ圏1月景況感指数は前月比2.8ポイント上昇
  99.9と昨年6月以来の高水準。消費者と企業のインフレ期待も大幅低下。

 **独10-12月実質GDPは前期比0.2%縮小
  予想を下回るマイナス成長。リセッション懸念払拭出来ず。

 **印アダニ・グループへUAEが投資
  空売り屋ヒンデンブルグの不正会計・株価操縦指摘に反論、投資家繋ぎ
  止めへ。

 **フィリップスが追加人員削減へ
  新たに約6000人、2022年10月発表分と合わせ13%相当の1万人に。

 **フォードがEV「マスタング・マッハE」値下げ
  平均4500ドル引き下げでテスラに対抗。

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  現代金融の遠近法            日本の先送り、米国の先走り
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 昨日は「令和臨調」とう聞きなれない組織のアコード見直し提案を受けて、
ドル円が1円下落した。どういう話なのか良く掴めないまま、相場も徐々に切
り返して130円台に戻っている。昨年6月に出来た「令和国民会議」という体制
らしいが、不勉強のせいか、興味がないせいか、全く存じ上げませんでしたと
いうしかないその組織の発表は、別に目新しいものでもなく、市場思惑そのも
のの内容なので、相場が切り返したのも当然だろう。まあIMFの政策修正提案
も似たようなものである。

 換言すれば、それだけ金融政策の修正が大幅に遅れている、ということでも
あろう。総裁人事を待って歪みを長期化させるのもどうかと思うが、それが日
本社会の限界である。体裁を整える為に実害の拡大を許容する空気は、政府・
日銀だけでなく企業や自治体などにも蔓延している、日本病の症状の一つと言
えるだろう。筆者は愚策はさっさと撤廃した方が良いとは思うが、外堀を埋め
てコンセンサスを醸成しながらコラテラル・ダメージを最小化するのだ、とい
う反論もあるだろう。とはいえ、市場にそれが通用するのかどうかは全く解ら
ない。先送りが逆効果になることも有り得る。

 さて日本と違って利上げが急速に進んだ米国市場では、FRBの意に反して年
初来の株価は堅調に推移しており、昨年の悪夢を払拭してリターンを取り戻そ
うとやや先走りし始めた印象もある。流石に昨日はFOMCへの警戒感で上昇ペー
スが一服しているが、ナスダックは年初来二桁上昇と好調で、ソフト・ランデ
ィング期待はじわじわと市場に行き渡り始めているようだが、そんなに簡単な
話ではないとの思いは消えない。昨年インフレを過小評価した米国市場は、今
年は景気後退リスクを甘く見ているような気もする。昨日のドル円のように、
今年の相場は往ったり来たりを繰り返し、大したリターンが得られないことに
なるのかもしれない。
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