============================================================
デイリー・マネタリー・アフェアーズ 2024.09.30
============================================================
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
本日のフィナンシャル・モニター
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
<国内モニター>
**日経平均は前日比903円93銭高
「高市トレード」の円安が株価押し上げ。ドル円は一時146円台、石破氏勝利で
一転142円台に。株価も急反落。
**自民党総裁に石破茂氏
決選投票で高市氏を逆転。過剰な保守姿勢に党内でも警戒感。補正予算で物価高
対策検討の方針示す。衆院選は「10月15日公示・27日投開票」へ。
**財務相に加藤元官房長官、外相に岩屋元防衛相
防衛相は中谷氏が再登板。経済産業相には武藤元経産副大臣、経済再生相に赤沢
財務副大臣。
**トヨタ8月世界生産台数は前年同月比11%減
7か月連続前年割れ。認証不正による国内工場生産停止や北米でのリコールが
響く。国内生産は22%減、海外生産は6%減。
**富士フイルムが次世代半導体材料開発生産拠点新設へ
静岡県の拠点に約130億円投資を投じて新棟建設、1ナノ台半導体向け材料を供給。
**SBIが台湾半導体PSMCとの提携解消
PSMCから提携解消要請、EV需要見誤る。宮城県での半導体工場計画は維持、新
たな提携先摸索の方針。
**JALが再雇用シニアの年収維持
10月に再雇用制度改定、高評価者は1000万円超。
**9月都区部消費者物価コア指数は前年同月比2.0%上昇
伸びが5か月ぶりに縮小。補助金再開で電気・ガス代上昇幅が縮小。11月以降は
不透明。
**8月国内建設受注額は前年同月比4%増
工事単価上昇で2か月連続プラス。大型案件減少で伸びは鈍化。
<海外モニター>
**米ダウは前日比137.89ドル高
ナスダックは下落とまちまち。長期金利は3.76%へ低下、2年・10年利回り格差は
18BPに拡大。
**米8月PCEコア物価指数は前年同月比2.7%上昇
前月から加速、前月比の伸びは0.1%に鈍化。総合指数は前年比2.2%へ鈍化
個人消費支出は0.2%増。
**米MMFに先週1291億ドル流入
過去1年半で最多、過去10年で5番目の高水準。利下げにもかかわらず短期に大量
資金が流入。株式には254億ドル、債券には127億ドル流入。
**中国8月工業利益は前年同月比17.8%減
昨年4月以来の大幅減。製造業低迷続く。1-8月期では前年同期比0.5%増。
**中国主要3都市が住宅購入規制を緩和へ
政府の最新てこ入れ策を実行。広州は規制を全撤廃、上海と深?は郊外住宅購入へ
の条件緩和。
**ユーロ圏1年後物価上昇率予想は2.7%
ECB調査。前月から0.1ポイント低下、2021年9月以来の低水準。3年先も2.3%と
0.1ポイント低下。
**仏・西で9月インフレ率が1%台に
フランスは前年同月比1.5%、スペインは同1.7%とともに予想を下回る。ECBの
今月利下げ観測強まる。
**墺国民議会選で極右政党が第一党に
親ロシアの自由党。与党の国民党は第二党に転落。
**VWが12月通期売上高見通しを下方修正
増収予想一転、前期から23億ユーロ減収見込み、EV販売不振。
<地政学モニター>
**イスラエルがヒズボラ本部を空爆
爆弾80発以上投下、指導者ナスララ師を殺害。イエメンでも港湾と発電所を空爆、
フーシ派の攻撃に報復。
**イラン最高指導者が報復宣言
アリ・ハメネイ師が声明発表、イスラエルに「壊滅的な打撃」を予告。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
現代金融の遠近法 石破新総裁への期待
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
石破茂氏が自民党総裁選で勝利した。同郷人として個人的に応援してきたこともあり、
年代もほぼ同じで「アンチ・アベノミクス」という点でも共感を抱いていたので、今後
の政治運営に期待するところ大である。腐敗した自民党体質を少しでも浄化させること
が出来るのも、石破氏くらいだろう。高市氏有利と見て燥いでいた市場は、円高・株安
の逆流となりそうだが、中長期的に見れば、アベノミクスの余韻が払拭されて金利の正
常化が進むことは大変結構な事であり、新総裁就任を歓迎したい。党内バランスへの配
慮でジグザグ運営になる場面もあろうが、奮闘を期待したい。
さて海外市場では米国の8月PCE物価指数が発表され、前月比でコア・総合ともに伸び
が0.1%に止まったことで、インフレ沈静化への期待が一段と高まっている。前年比では
コアが2.7%へと加速、総合指数が2.2%へと鈍化というコントラストが見られるが、これ
はエネルギー価格低下と住居費高止まりという要因、そして財価格が下落しサービス価格
が上昇という対照的な現象で説明できるだろう。全体としては落ち着いた印象だが、FRB
の物価目標に達するにはサービス価格が十分に低下し切って居ない。利下げ幅は25BPへ
と移行する可能性が高いと見ておきたい。
一方でユーロ圏ではインフレ率低下がより鮮明になっている。フランスやスペインの
8月消費者物価指数は2%台を割り込み、ドイツ程ではないにせよ、景気の冷え込みが懸
念されるようになった。ECB調査に拠る域内インフレ率予想も低下しており、ECBも今
月の利下げは不可避の情勢だ。欧米ともに方向性は同じであるが、実体経済の勢いには
大きな差がある。それは9月のPMIでも観測されている。然るに為替市場ではユーロドル
が依然として1.11ドル台に保たれているのは不思議な気もする。ドル円は勿論最大の注
目点だが、欧州政治経済にやや不安が見られる中では、ユーロドルにもちょっと気を配
っておきたい。
=====================================================
【MAFS Daily Magazine】
=====================================================