目次
特集:よく出る漢方薬ABC
≪はじめに≫
北大学病院産科婦人科・同漢方内科 大澤 稔
「漢方薬」と聞くと皆さんはどんなイメージをお持ちですか? 「古くさい」「長くのまないと効かない」「煎じるのが面倒」などといったネガティブなイメージを抱かれている方々が少なくないのではないでしょうか? 実は私もかつてはこのようなイメージを持っていました.しかし人は変わるものです.あるとき,私は尿管結石を発症し,NSAIDsやスコポラミンを用いてもなかなか痛みが取れませんでした.そのときに,MRさんから聞いた「芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)」の説明を思い出し内服したところ,ものの5分程度で症状(疼痛)が取れたではないですか.
そんな治療ポテンシャルを秘めた漢方薬をもっと使ってみたい,特に,私の専門である更年期障害をはじめ,「西洋医学で症状が改善しない患者さん」に応用してみたいという思いに駆られたのはわずか10数年前のことです.当時は各種漢方入門セミナーを手当たり次第に受講した記憶があります.ただし,漢方薬を学ぶにあたり,大きな障壁がありました.漢方と言えば「証(しょう)」(漢方医学における患者状態を指す言葉,診断)の知識が必要です.気(き)・血(けつ)・水(すい)理論,陰陽虚実(いんようきょじつ)といった独特な患者状態の把握法(診断法)をクリアしないと次に進まないのです.これらは「漢方医学」という日本の伝統医学を学ぶうえでのいわゆる総論として大変重要な部分ですし,いずれは体得することが勧められます.かく言う私も,一時は診察法(望診(ぼうしん)・聞診(ぶんしん)・問診(もんしん)・切診(せっしん))に没頭したこともありました.
しかし,十分に漢方医学を精通する前に,漢方薬の必要性が日常診療で上回りました.そのとき,まずは漢方薬を西洋薬と同様にひとつの薬として特徴を学ぶことで,適切な選択ができることに気付かされたのです.そこで,本特集は私の臨床経験を交えながら,「漢方薬」という各論を習得することを目的に構成しました.また,後に必要性が高まる漢方医学の総論にもスムースに入り込めるよう,その知識も幾分盛り込みつつ解説しました.
読み方さえ曖昧な漢方薬を学ぶ“第一歩”として本特集をお役立ていただき,目の前にあるハードルを飛び越えるきっかけとなることを期待しています.この一歩が,漢方薬の適正使用,さらには患者さんのアドヒアランス向上へとつながることと確信いたします.
ようこそ,古くて新しい漢方薬の世界へ(^O^)/
≪漢方薬の使い方のキホン≫
1.入門! 実践的漢方薬服薬指導
・問診だけでも漢方薬は選択できる
2.漢方薬のイメージを変える5つの習慣
・第1の習慣:漢方薬で病気を治療するイメージを掴む
・第2の習慣:急性期の症状に使う漢方薬を知る
・第3の習慣:きめ細かな服薬指導を実践する
・第4の習慣:漢方薬へのよくある不満・疑問に答える準備をする
Q1 のんだらかえって調子が悪くなりました.のむのをやめたほうがよいですか?
Q2 のんでも効いている感じがしない漢方薬は変更したほうがよいですか?
Q3 まずくてのめないです.どうしたらよいでしょうか?
Q4 吐き気があってのめません.よい方法はありますか?
Q5 エキス剤が苦手です.どうしたらよいでしょうか?
Q6 お昼の分をよくのみ忘れます.どうしたらよいでしょうか?
Q7 食後3回服用の薬もあるのですが,服用回数を減らせませんか?
Q8 子どもにのませることはできますか?
Q9 妊娠を考えている場合,妊娠・授乳中でも漢方薬はのめますか?
Q10 服薬する水でお腹がいっぱいになってしまいます.よい方法はありますか?
Q11 漢方薬は効きが遅いですか?
Q12 いつまでのみ続ければよいですか?
・第5の習慣:次の来局につながる“声かけ”をする
3.くすりのかたち~偽アルドステロン症~
・グリチルリチンの消化管吸収
・グリチルレチン酸≒ステロイド?
・偽アルドステロン症にはコルチゾールが関わっている!
・構造の大きい・小さいを比べてみよう
≪漢方薬を“みえる化”して「使える武器」にする≫
漢方薬を作用で整理する
体力を回復する「補剤」
・補中益気湯
・六君子湯
・十全大補湯
微小循環障害治療薬「駆お血剤」
・当帰芍薬散
・加味逍遙散
・桂枝茯苓丸
水分調整薬「利水剤」
・五苓散
・猪苓湯
その他の知っておくと得する薬
・抑肝散
・桂枝加竜骨牡蛎湯
・半夏瀉心湯
・葛根湯
・牛車腎気丸
・麦門冬湯
・大建中湯
≪処方例から学ぶ! 漢方処方の意図をひも解くロジック≫
case1 慢性膀胱炎の60代女性
case2 慢性頭痛,肩凝りが治らない30代女性
≪コラム≫
・漢方薬に含まれる有効成分の形“配糖体”
・救急室で使用できる漢方薬
・構造式から考える漢方薬の用法
・足し算の医療と引き算の医療
・食前,食間になじめない日本人向けに
・高齢者の安全な漢方処方について
・漢方薬を増やすか,減らすか,変更か?
・甘草と偽アルドステロン症
≪Series≫
・ハマゾン.co.jp
蒼天すでに死せり,黄天まさに立つべし
・エビデンスと実臨床の架け橋~臨床疑問のゆくえ~
がん患者の倦怠感に漢方は効く?
≪巻末付録≫
・医薬品集カスタマイズツール
漢方薬
≪次号予告≫
「妊娠期のマイナートラブル」
―薬での管理は必要?グレーゾーンの臨床判断!―
・「産科学×薬学」の基本を学ぶ
・薬によるマイナートラブル管理
・処方例から学ぶ”妊娠期のマイナートラブルへの対応
・要点整理!周産期母子の解剖生理学 など
≪はじめに≫
北大学病院産科婦人科・同漢方内科 大澤 稔
「漢方薬」と聞くと皆さんはどんなイメージをお持ちですか? 「古くさい」「長くのまないと効かない」「煎じるのが面倒」などといったネガティブなイメージを抱かれている方々が少なくないのではないでしょうか? 実は私もかつてはこのようなイメージを持っていました.しかし人は変わるものです.あるとき,私は尿管結石を発症し,NSAIDsやスコポラミンを用いてもなかなか痛みが取れませんでした.そのときに,MRさんから聞いた「芍薬甘草湯(シャクヤクカンゾウトウ)」の説明を思い出し内服したところ,ものの5分程度で症状(疼痛)が取れたではないですか.
そんな治療ポテンシャルを秘めた漢方薬をもっと使ってみたい,特に,私の専門である更年期障害をはじめ,「西洋医学で症状が改善しない患者さん」に応用してみたいという思いに駆られたのはわずか10数年前のことです.当時は各種漢方入門セミナーを手当たり次第に受講した記憶があります.ただし,漢方薬を学ぶにあたり,大きな障壁がありました.漢方と言えば「証(しょう)」(漢方医学における患者状態を指す言葉,診断)の知識が必要です.気(き)・血(けつ)・水(すい)理論,陰陽虚実(いんようきょじつ)といった独特な患者状態の把握法(診断法)をクリアしないと次に進まないのです.これらは「漢方医学」という日本の伝統医学を学ぶうえでのいわゆる総論として大変重要な部分ですし,いずれは体得することが勧められます.かく言う私も,一時は診察法(望診(ぼうしん)・聞診(ぶんしん)・問診(もんしん)・切診(せっしん))に没頭したこともありました.
しかし,十分に漢方医学を精通する前に,漢方薬の必要性が日常診療で上回りました.そのとき,まずは漢方薬を西洋薬と同様にひとつの薬として特徴を学ぶことで,適切な選択ができることに気付かされたのです.そこで,本特集は私の臨床経験を交えながら,「漢方薬」という各論を習得することを目的に構成しました.また,後に必要性が高まる漢方医学の総論にもスムースに入り込めるよう,その知識も幾分盛り込みつつ解説しました.
読み方さえ曖昧な漢方薬を学ぶ“第一歩”として本特集をお役立ていただき,目の前にあるハードルを飛び越えるきっかけとなることを期待しています.この一歩が,漢方薬の適正使用,さらには患者さんのアドヒアランス向上へとつながることと確信いたします.
ようこそ,古くて新しい漢方薬の世界へ(^O^)/
≪漢方薬の使い方のキホン≫
1.入門! 実践的漢方薬服薬指導
・問診だけでも漢方薬は選択できる
2.漢方薬のイメージを変える5つの習慣
・第1の習慣:漢方薬で病気を治療するイメージを掴む
・第2の習慣:急性期の症状に使う漢方薬を知る
・第3の習慣:きめ細かな服薬指導を実践する
・第4の習慣:漢方薬へのよくある不満・疑問に答える準備をする
Q1 のんだらかえって調子が悪くなりました.のむのをやめたほうがよいですか?
Q2 のんでも効いている感じがしない漢方薬は変更したほうがよいですか?
Q3 まずくてのめないです.どうしたらよいでしょうか?
Q4 吐き気があってのめません.よい方法はありますか?
Q5 エキス剤が苦手です.どうしたらよいでしょうか?
Q6 お昼の分をよくのみ忘れます.どうしたらよいでしょうか?
Q7 食後3回服用の薬もあるのですが,服用回数を減らせませんか?
Q8 子どもにのませることはできますか?
Q9 妊娠を考えている場合,妊娠・授乳中でも漢方薬はのめますか?
Q10 服薬する水でお腹がいっぱいになってしまいます.よい方法はありますか?
Q11 漢方薬は効きが遅いですか?
Q12 いつまでのみ続ければよいですか?
・第5の習慣:次の来局につながる“声かけ”をする
3.くすりのかたち~偽アルドステロン症~
・グリチルリチンの消化管吸収
・グリチルレチン酸≒ステロイド?
・偽アルドステロン症にはコルチゾールが関わっている!
・構造の大きい・小さいを比べてみよう
≪漢方薬を“みえる化”して「使える武器」にする≫
漢方薬を作用で整理する
体力を回復する「補剤」
・補中益気湯
・六君子湯
・十全大補湯
微小循環障害治療薬「駆お血剤」
・当帰芍薬散
・加味逍遙散
・桂枝茯苓丸
水分調整薬「利水剤」
・五苓散
・猪苓湯
その他の知っておくと得する薬
・抑肝散
・桂枝加竜骨牡蛎湯
・半夏瀉心湯
・葛根湯
・牛車腎気丸
・麦門冬湯
・大建中湯
≪処方例から学ぶ! 漢方処方の意図をひも解くロジック≫
case1 慢性膀胱炎の60代女性
case2 慢性頭痛,肩凝りが治らない30代女性
≪コラム≫
・漢方薬に含まれる有効成分の形“配糖体”
・救急室で使用できる漢方薬
・構造式から考える漢方薬の用法
・足し算の医療と引き算の医療
・食前,食間になじめない日本人向けに
・高齢者の安全な漢方処方について
・漢方薬を増やすか,減らすか,変更か?
・甘草と偽アルドステロン症
≪Series≫
・ハマゾン.co.jp
蒼天すでに死せり,黄天まさに立つべし
・エビデンスと実臨床の架け橋~臨床疑問のゆくえ~
がん患者の倦怠感に漢方は効く?
≪巻末付録≫
・医薬品集カスタマイズツール
漢方薬
≪次号予告≫
「妊娠期のマイナートラブル」
―薬での管理は必要?グレーゾーンの臨床判断!―
・「産科学×薬学」の基本を学ぶ
・薬によるマイナートラブル管理
・処方例から学ぶ”妊娠期のマイナートラブルへの対応
・要点整理!周産期母子の解剖生理学 など
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