目次
『てんとうむし、とんだ!』澤口たまみ 文/廣野研一 絵
葉っぱの上に、てんとうむしをみつけたよ。てんとうむしは、葉っぱを伝い、茎をのぼり、上へ、上へと歩いていく。
草のてっぺんにたどりつくと、はねを広げて、大空へ飛んだ!
今度はわたしの手から飛ばしてみたいな。てんとうむしを手のひらにのせると、指をのぼり、はねを広げて飛んでいった! おてんとさんに飛んでいった!
■作者のことば
「虫は自然の小さな使者」
澤口たまみ
子どもの目は、こんなにも強い輝きを放つものなのだと、心から驚かされた経験が何度かあります。それはわたしの知る限り、おもちゃで遊んでいるときにはほとんど見ることのない光です。
子どもが虫という生き物に興味を持ち、もっとよく見たいと願うようになったそのとき、子どもの傍らにいるおとなが、それと分からぬほどのさりげなさで、虫と子どもの橋渡しをすることができれば、多くの子どもは歓声をあげるでしょう。
「あっ、虫がわたしの手のうえを歩いてる!」
子どもの目が強い輝きを発するのは、いつも決まってこの瞬間です。子どもはこのとき、虫に「いのち」があるのだと、感覚的に理解しているように思います。小さくて動くだけなら、虫とおもちゃの違いはありません。でも虫は生きていて、脳があって意志を持ち、こちらの思い通りにはならないのです。わたしたち人間にとって自然は必要不可欠ですが、自然が思い通りにならないことも事実です。虫たちは、そんな自然からの小さな使者のように、わたしには感じられます。
思い通りにならないからこそ、子どもたちは虫と触れ合うなかで、その後の人生において大切な意味を持つ経験をし、考えを深めるでしょう。
今回のおはなしは、わたし自身が鮮明に記憶していた子どものころの体験と、その日の晩に、覚えたての字でお気に入りのノートに書いた「てんとうむしが とんでった。てんとうむしが わたしの ゆびから とんでった」という短い詩がもとになっています。そのとき幼いわたしの目は、テントウムシと触れ合った喜びに輝いていたことだろうと、いまも懐かしく思い出すのです。
■編集部より
テントウムシ1匹の重さを知っていますか? 絵本『昆虫の体重測定』(たくさんのふしぎ傑作集、福音館書店・刊)によれば、0.05グラム、切手一枚と同じ重さだそうです。
そんなに軽いテントウムシですが、いざ自分の手にのせてみると、0.05グラムしかないはずのテントウムシの重さ、歩みの力強さ、そして指の先から飛び立つときの解放感など、テントウムシの「生」を感じることができます。
今回の絵本で、著者の澤口さんと廣野さんが目指したのは、ただテントウムシを手のひらにのせて、飛ばすだけのことではなく、命を手のひらで感じることでもあるのです。読んでもらった子どもたちは、自分の手にテントウムシをのせて、じつにたくさんのことを感じてくれるにちがいありません。
原っぱに飛び立つテントウムシと、4月にあたらしい年度が始まる子どもたちは、どこか重なる部分があるような気がします。あたらしい園、あたらしいクラス、あたらしい先生、あたらしい友だち。新たな環境、世界に飛びだす子どもたちが、気持ちよく羽ばたいていけることを願いつつ、『てんとうむし、とんだ!』を4月号としてお届けいたします。
■著者情報
文 澤口たまみ(さわぐちたまみ)
岩手県生まれ。岩手大学農学部で応用昆虫学を専攻、修士課程修了。盛岡大学短期大学部幼児教育科准教授。著書に『自然をこんなふうに見てごらん 宮澤賢治のことば』(山と渓谷社)、『虫のつぶやき聞こえたよ』(白水社)、絵本に『だんごむしの おうち』『どんぐりころころむし』『わたしのあかちゃん』『はるのにわで』『いろんな いきもの かぞくのカタチ』『虫の生きかたガイド』(以上、福音館書店)など。「ちいさなかがくのとも」に、『ようこそ ぼくの てのひらへ』『たんぼに あおぞら みーつけた!』『つっぴーちゅるる』『ふきの はのうえに』『みちては ひいて』『しも』『ひぐらし』『むしの へんしん』などがある。岩手県在住。
絵 廣野研一 (ひろのけんいち)
埼玉県生まれ。北里大学水産学部水産生物科学科卒業後、東京デザイン専門学校イラストレーション科卒業。現在は、フリーのイラストレーターとして、主に生物関係のイラストを描いている。絵本に『ぞうきばやしのすもうたいかい』『カブトムシの音がきこえる』『南極のさかな大図鑑』、「いきものづくし ものづくし」シリーズでは「およぎのとくいなさかな(1巻)」「いわばのさかな すなぞこのさかな(2巻)」「こうちゅうのはね(3巻)」(以上、福音館書店)などの絵を担当。「ちいさなかがくのとも」に『ハンミョウの みちあんない』がある。千葉県在住。
葉っぱの上に、てんとうむしをみつけたよ。てんとうむしは、葉っぱを伝い、茎をのぼり、上へ、上へと歩いていく。
草のてっぺんにたどりつくと、はねを広げて、大空へ飛んだ!
今度はわたしの手から飛ばしてみたいな。てんとうむしを手のひらにのせると、指をのぼり、はねを広げて飛んでいった! おてんとさんに飛んでいった!
■作者のことば
「虫は自然の小さな使者」
澤口たまみ
子どもの目は、こんなにも強い輝きを放つものなのだと、心から驚かされた経験が何度かあります。それはわたしの知る限り、おもちゃで遊んでいるときにはほとんど見ることのない光です。
子どもが虫という生き物に興味を持ち、もっとよく見たいと願うようになったそのとき、子どもの傍らにいるおとなが、それと分からぬほどのさりげなさで、虫と子どもの橋渡しをすることができれば、多くの子どもは歓声をあげるでしょう。
「あっ、虫がわたしの手のうえを歩いてる!」
子どもの目が強い輝きを発するのは、いつも決まってこの瞬間です。子どもはこのとき、虫に「いのち」があるのだと、感覚的に理解しているように思います。小さくて動くだけなら、虫とおもちゃの違いはありません。でも虫は生きていて、脳があって意志を持ち、こちらの思い通りにはならないのです。わたしたち人間にとって自然は必要不可欠ですが、自然が思い通りにならないことも事実です。虫たちは、そんな自然からの小さな使者のように、わたしには感じられます。
思い通りにならないからこそ、子どもたちは虫と触れ合うなかで、その後の人生において大切な意味を持つ経験をし、考えを深めるでしょう。
今回のおはなしは、わたし自身が鮮明に記憶していた子どものころの体験と、その日の晩に、覚えたての字でお気に入りのノートに書いた「てんとうむしが とんでった。てんとうむしが わたしの ゆびから とんでった」という短い詩がもとになっています。そのとき幼いわたしの目は、テントウムシと触れ合った喜びに輝いていたことだろうと、いまも懐かしく思い出すのです。
■編集部より
テントウムシ1匹の重さを知っていますか? 絵本『昆虫の体重測定』(たくさんのふしぎ傑作集、福音館書店・刊)によれば、0.05グラム、切手一枚と同じ重さだそうです。
そんなに軽いテントウムシですが、いざ自分の手にのせてみると、0.05グラムしかないはずのテントウムシの重さ、歩みの力強さ、そして指の先から飛び立つときの解放感など、テントウムシの「生」を感じることができます。
今回の絵本で、著者の澤口さんと廣野さんが目指したのは、ただテントウムシを手のひらにのせて、飛ばすだけのことではなく、命を手のひらで感じることでもあるのです。読んでもらった子どもたちは、自分の手にテントウムシをのせて、じつにたくさんのことを感じてくれるにちがいありません。
原っぱに飛び立つテントウムシと、4月にあたらしい年度が始まる子どもたちは、どこか重なる部分があるような気がします。あたらしい園、あたらしいクラス、あたらしい先生、あたらしい友だち。新たな環境、世界に飛びだす子どもたちが、気持ちよく羽ばたいていけることを願いつつ、『てんとうむし、とんだ!』を4月号としてお届けいたします。
■著者情報
文 澤口たまみ(さわぐちたまみ)
岩手県生まれ。岩手大学農学部で応用昆虫学を専攻、修士課程修了。盛岡大学短期大学部幼児教育科准教授。著書に『自然をこんなふうに見てごらん 宮澤賢治のことば』(山と渓谷社)、『虫のつぶやき聞こえたよ』(白水社)、絵本に『だんごむしの おうち』『どんぐりころころむし』『わたしのあかちゃん』『はるのにわで』『いろんな いきもの かぞくのカタチ』『虫の生きかたガイド』(以上、福音館書店)など。「ちいさなかがくのとも」に、『ようこそ ぼくの てのひらへ』『たんぼに あおぞら みーつけた!』『つっぴーちゅるる』『ふきの はのうえに』『みちては ひいて』『しも』『ひぐらし』『むしの へんしん』などがある。岩手県在住。
絵 廣野研一 (ひろのけんいち)
埼玉県生まれ。北里大学水産学部水産生物科学科卒業後、東京デザイン専門学校イラストレーション科卒業。現在は、フリーのイラストレーターとして、主に生物関係のイラストを描いている。絵本に『ぞうきばやしのすもうたいかい』『カブトムシの音がきこえる』『南極のさかな大図鑑』、「いきものづくし ものづくし」シリーズでは「およぎのとくいなさかな(1巻)」「いわばのさかな すなぞこのさかな(2巻)」「こうちゅうのはね(3巻)」(以上、福音館書店)などの絵を担当。「ちいさなかがくのとも」に『ハンミョウの みちあんない』がある。千葉県在住。
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