1とその数自身以外では割り切れない2以上の自然数を素数といいますが,数の世界の根源として,素数研究の歴史は古代に遡り,多くの人々を魅了してきました.今日では,素数の性質は暗号など情報分野にも応用され,また物理学との深い関係も注目されています.さらに素何々という素数に類似する概念は数学のいたるところで現れ,整数論と対比した研究もなされています.本特集では素数の性質,未解決問題や予想,他分野に現れる素数的概念についても解説し,様々な切り口から広く深く素数の謎と魅力に迫ります.
特集
素数のイデアと描像
森下昌紀
素数と暗号
高木 剛
双子素数予想に関わる最近の進展
宗野惠樹
多項式における“素数”
八森祥隆
離散力学系のゼータ関数
杉山健一
Chebotarev絡み目とイデール的類体論
植木 潤
作用素環論と数論
武石拓也
深リーマン予想
小山信也
コラム
物理学における素数
~ 分配関数とゼータ関数 ~
加藤晃史
書評
相対性理論講義
~ 入門から弦の相対論的古典力学まで ~
石橋延幸
連載
例題形式で探求する複素解析の幾何学 17
~ コンパクトリーマン面の変形とフックス群の表現 ~
志賀啓成
例題形式で探求する集合・位相 18
~ パラコンパクト空間 ~
丹下基生