【解説】オリゴ核酸を10 分で細胞質内へ送達!
──核酸医薬実用化への新たな一歩 ●阿部 洋・木村康明・Shu Zhaoma
【解説】分子触媒を用いた アンモニア生成反応のブレークスルー
──常温常圧で世界最高の触媒活性を達成 ●芦田裕也・荒芝和也・中島一成・西林仁昭
【解説】高性能な“低毒性” 量子ドットを開発!──イメージングとディスプレイへの応用が期待できる新素材
●鳥本 司・亀山達矢・上松太郎・桑畑 進
【紹介】あと一歩まで近づいていた 日本人による核分裂の発見──悔恨の思いの仁科芳雄と木村健二郎 ●野津憲治
★好評連載★
◆カガクへの視点 はかってなんぼ ●横井邦彦
◆誰も教えてくれない! 物理化学(4)スペクトルの基本,わかってる?
──吸収スペクトルは分子の何を見ている?(基礎編) ●宮川雅矢(監修:田中秀樹)
◆化学つれづれ草 (28)外国の研究者との交流 ●田中一義
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(8)特許出願に必要な実験データとは? ●中務茂樹
◆分析機器の進化から見た 現代化学史(8)放射能の発見と元素の変換
──新しい原子の概念の誕生 ●廣田 襄
◆化学者のための哲学──哲学は化学を挑発する(20)科学的実在論の問題点 ●落合洋文
◆化学ナンバープレイス
◆化学の本だな 新刊紹介
◆化学掲示板(6月)
◆編集室から
【2019年の化学】
<注目の論文>
一つの分子を引っ張る/開始剤のないラジカル重合が実現/アクアポリンに匹敵!/医薬品の直接的かつ位置選択的官能基化
<最新のトピックス>
視覚的に解析できる速度論解析法/海水を淡水化しながら電力を獲得/硬い結晶の柔らかい化学/プラズモニックナノ構造触媒の研究動向
商品情報・内容
- 出版社:化学同人
- 発行間隔:月刊
- サイズ:A4変
■ 最新の情報から話題のトピックスまで,研究者がいちばん知りたい,化学のおもしろい情報を満載した総合誌
ナノテク,バイオ,環境など今話題の研究は,もとをただせば原子と分子の世界,つまり化学です.21世紀の化学はさまざまな周辺領域に広がりながら新しい学問を生みだし続けています.本誌は,第一線で活躍する研究者が解説した「注目の論文」や「最新のトピックス」をはじめ,研究に役立つスキルの向上を目的とした連載講座,研究者自身の人柄や研究姿勢などをテーマに独自の切り口で編集した記事を多数掲載.「内容は高く,表現はやさしく」をモットーに,化学のおもしろい情報と話題を提供します。
化学 8月号(2019-07-18発売) の特集を少しご紹介
オリゴ核酸を10 分で細胞質内へ送達!
核酸医薬実用化への新たな一歩
P.34~P.37
近年期待を集めている核酸医薬では,薬効分子であるオリゴ核酸を効率的に細胞内へ導入する技術が重要である.従来のデリバリー手法は,送達効率・時間や分子の均一性などの観点から必ずしも医薬応用には適しておらず,いずれの方法でもオリゴ核酸はエンドソームに移行し,細胞質へ放出される効率が悪い.オリゴ核酸の末端にジスルフィドユニットを5 個導入するという非常にシンプルな分子設計を基盤として,従来法では不可能だった薬理活性オリゴ核酸の細胞質内への直接導入に成功した.核酸医薬に適したオリゴ核酸の細胞質内デリバリー法として非常に有望である.
近年,アンチセンス核酸やRNA 干渉を利用した核酸医薬に注目が集まっている.これらの方法では,配列を設計したオリゴ核酸を生体に導入するだけで,標的とするメッセンジャーRNA (mRNA)からのタンパク質合成を特異的に止めることができる(図1).この原理を利用すれば,病気の原因となるmRNA のタンパク質発現を止めることで病気の治療が可能となる.
高性能な“低毒性” 量子ドットを開発!
イメージングとディスプレイへの応用が期待できる新素材
P.44~P.48
近年,毒性の高いCd を含まない量子ドットの一つであるI-III-VI 族半導体量子ドットの液相合成法の開発と,その高性能化を目指す研究が世界的にさかんである.ごく最近,筆者らは鋭いバンド端発光ピークを示すAg-III-VI 族量子ドットを液相合成し,粒子組成による発光波長の制御を報告した.
“量子ドット” 漢字カタカナ交じりの風変わりな単語であるが,次世代のさまざまなデバイスに応用が期待されるナノ材料を表す技術用語として,最近よく目にするようになった.この用語が表すものは,単結晶などの大きな固体と分子とのあいだの中間的なサイズ領域に位置する材料である.
量子ドット(quantum dot)は,半導体ナノ粒子,半導体ナノ結晶,QD とも呼ばれ,粒径が2 ~ 10 nm 程度の(原子数では102 ~ 104 個程度から構成される)半導体からなる非常に小さな粒子である.
あ と一歩まで近づいていた日本人による核分裂の発見
悔恨の思いの仁科芳雄と木村健二郎
P.12~P.18
原子核が分裂する現象の発見は,20 世紀最大の科学的発見といえる.しかし,この発見からわずか数年で原子爆弾の製造へとつながり,広島・長崎の悲劇を生んだ.さらに原子炉でもチェルノブイリや福島第一原子力発電所の事故により負の側面を晒しだした.このように人類社会にきわめて大きな影響を与えた核分裂は,O. Hahn が1938 年に発見したが,同じころ日本においても,仁科芳雄と木村健二郎が核分裂の発見に迫っていたことを忘れてはならない.
核分裂の発見は,E. Fermi による人工放射性核種の生成実験にまで遡る.1934 年初頭にJoliot-Curie 夫妻はAl (アルミニウム), B( ホウ素), Mg( マグネシウム)にα粒子を照射し,人工放射性核種 30P( リン), 13N( 窒素), 28Al の生成にはじめて成功したが1),原子番号が大きい原子にα 粒子を当てても,同様の核反応は起きなかった.Fermi は電荷をもたない中性子を照射すれば多くの元素で人工放射性核種ができると考え,226Ra (ラジウム)のα 線をBe (ベリリウム)粉末に当ててできる中性子線を63 種の元素に照射し,約40 種の元素で放射性核種を発見した2).
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