【解説】放射線によるDNA 切断反応の瞬間──飛びだした電子が分子の結合を切る! ●馬 峻・関 修平
【解説】結晶? 液晶? 液体?どれにも分類されない新物質を発見
──分子自己集合体の科学における新しい知見 ●梶谷 孝・福島孝典
【紹介】シリコーン多孔体・マシュマロゲルを用いたDIY実験ツールの開発 ●早瀬 元
☆新連載☆
◆ケミストが語る
形成・美容外科学 よもやま話(1)発毛のカガク(前編)
──発毛剤ミノキシジルの歴史とGuinter Kahn博士 ●高田弘弥
★好評連載★
◆カガクへの視点 化学工業とものづくり ●藤本隆宏
◆化学つれづれ草(29)お気に入りの教科書 ●田中一義
◆誰も教えてくれない! 物理化学(5)スペクトルの基本,わかってる?
──吸収スペクトルは分子の何を見ている?(実践編Part1) ●宮川雅矢(監修:田中秀樹)
本文演習問題解答 本文演習問題解答
◆化学の特許はおまかせ! 中務先生のやさしいカガク特許講座(9)特許請求の範囲とは?(前編) ●中務茂樹
◆化学者のための哲学──哲学は化学を挑発する(21)分子「構造」について ●落合洋文
◆分析機器の進化から見た 現代化学史(9)核・放射化学の発展と応用
──化学研究の進歩を加速させた放射性核種 ●廣田 襄
◆化学ナンバープレイス
◆化学の本だな 書評・新刊紹介
◆化学掲示板(7月)
◆編集室から
【2019年の化学】
<注目の論文>
バイオプリンティングで肺を再現/タンパク質の翻訳後修飾を操る/狙った場所に置換基を!/気体-固体界面における複雑な相互作用
<最新のトピックス>
ベイポクロミズム機能をもつ分子液体/カルコゲン結合を利用した触媒反応/現代の錬金術と理論化学/ホウ素元素をいかに利用するか?
商品情報・内容
- 出版社:化学同人
- 発行間隔:月刊
- サイズ:A4変
■ 最新の情報から話題のトピックスまで,研究者がいちばん知りたい,化学のおもしろい情報を満載した総合誌
ナノテク,バイオ,環境など今話題の研究は,もとをただせば原子と分子の世界,つまり化学です.21世紀の化学はさまざまな周辺領域に広がりながら新しい学問を生みだし続けています.本誌は,第一線で活躍する研究者が解説した「注目の論文」や「最新のトピックス」をはじめ,研究に役立つスキルの向上を目的とした連載講座,研究者自身の人柄や研究姿勢などをテーマに独自の切り口で編集した記事を多数掲載.「内容は高く,表現はやさしく」をモットーに,化学のおもしろい情報と話題を提供します。
化学 9月号(2019-08-17発売) の特集を少しご紹介
放射線によるDNA 切断反応の瞬間
飛びだした電子が分子の結合を切る!
P.12~P.17
放射線を用いたがん治療は,身体への負担が小さい治療法としてすでに世界各国で広く行われ,外科的治療や化学療法と並んでがん治療における有力な選択肢となっている.
人体に放射線が照射された際,最初に起こる過程として,放射線が人体を構成する最も大きな成分である水分子から電子を弾き飛ばす「イオン化」を考えてみる.孤立した水分子の第一イオン化エネルギーはおよそ12.6 eV なので,一般にこれより大きいエネルギーが放射線によって電子へ与えられてイオン化が引き起こされる.イオン化の収量について,「G値」あるいは「W 値」という指標が放射線化学分野においてよく用いられており1),G 値は放射線によって与えられたエネルギー100 eV あたりの反応数,逆にW 値は一つのイオン化を引き起こすために平均的に必要なエネルギーとして定義されている.
結晶? 液晶? 液体?どれにも分類されない新物質を発見
分子自己集合体の科学における新しい知見
P.35~P.40
通常,私たちの身のまわりの物質は,固体,液体,気体のいずれかの状態で存在している.加えて,固体(結晶)と液体の性質を併せもつ液晶や,柔粘性結晶と呼ばれる状態を示す物質がある1).
液晶2)は一般に棒状や円盤状といった異方的な構造をもつ分子が発現する中間相であり,液体のような流動性と結晶に見られる分子の相対的な向き(「配向」と呼ぶ)の秩序をもつことから,液体(liquid)の「液」と結晶(crystal)の「晶」の字を取って名づけられた.すなわち,結晶状態において,構成要素である分子は三次元的な位置の秩序をもって集まっているのに対して,液晶状態にある分子は三次元的な位置の秩序をもたず,その配向だけを一次元または二次元の規則性を生じるように揃えてゆるく集まっている.それゆえ,液晶状態では異方的*1 な分子の回転運動や並進運動が可能である.液晶状態にある物質を加熱すると配向秩序もなくなり,分子が制限を受けず自由に運動できる液体状態へと変化する.
ケミストが語る形成・美容外科学 よもやま話
?発毛のカガク(前編) ─発毛剤ミノキシジルの歴史とGuinter Kahn 博士
P.20~P.24
2014 年9 月17 日の朝, アメリカのフロリダ州マイアミ市内にあるホスピスでGuinterKahn 博士が永眠した(享年81歳).これからお話しする発毛剤ミノキシジルの歴史は,大胆不敵に研究開発を進めたKahn博士抜きではけっして語ることはできない.
今から133 年前の1886 年,アメリカ中西部のミシガン州カラマズー市にUpjohn Pill & Granule 社(以下Upjohn社)という製薬会社が設立された.創業者は地元・ミシガン大学医学部を卒業した,当時弱冠33 歳のWilliam ErastusUpjohn 氏である.飲み薬の形態がそれまで主流だった粉薬から錠剤へ移行しつつある時期に,消化・吸収されやすい「もろい錠剤(friable pills)」を開発し,その製造販売をはじめたUpjohn 社は,「親指で粉になるのはUpjohn 製」というロゴ(図1)で実にキャッチーなプロモーションを仕掛けて事業を拡大した.
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