日本版LLP制度等創設の意義と活用の効果及び税務上の課題 日本大学教授
平野 嘉秋
新会社法においては株式会社等のあり方の見直しが検討されているが、並行して人的資産集約型の組織体の見直しもされ、日本版LLP制度の導入の検討がなされている。構成員の有限責任が保たれ、課税形態は構成員課税が基本形だという日本版LLP制度とはどのような制度で、どのような活用が期待されているのか。また、この日本版LLP制度の課税上の課題にはどのようなものがあるのかを論考いただいた。
減損会計基準に対処すべき税務の問題点 税理士
右山 昌一郎
減損会計は、今年4月以降に開始する一定の株式会社に適用される。だが、この減損会計と税務間の調整に関して、大きな課題が存在する。減損会計の開始時における税務における評価損の認容、そして減損時の税務における除却による損金算入の必要性の2点を、具体的に検証しながら指摘する。
財産の信託によって発生・移転する受益権の課税上の問題点 水戸短大講師・税理士
橋本 守次
信託は本来財産管理のための制度で、自ら財産管理が困難な者が信頼できる第三者に財産権を移転し、自らの目的を達成しようとするもの。最近は、遺言信託や、あるいは福祉のために差し出す信託などが発達。最近の信託法の改正で、信託銀行以外の取扱いもできるようになった。ここでは、信託についてしばしば税務上問題となる、信託の受益権の発生評価と、受益権を信託設定者以外の者に指名あるいは移転させた場合の課税関係がどのようになるかを検討する。
節税を目的としたリース商品の税務否認と今後の動向 税理士・公認会計士
杉本 茂
最近、航空機・船舶等のリース事業を使った節税商品の税務取扱いが話題になっている。中でも最も実務家の耳目を集めたのは、平成16年10月28日の名古屋地裁判決だ。これは、民法上の組合契約を締結した航空機のオペレーティング・リースで、出資した個人投資家は「不動産所得」として損益の計算をしたが、課税庁は「利益配当契約=雑所得」であるとして、損益通算を否認した事案。判決は納税者に軍配を上げ、民法上の組合に当たると認定した。本稿では、この判決のポイントを検証するとともに、同様の民法組合商品を封鎖した平成17年度改正の概要を解説する。
特集 新会社法で変わる中小会社の運営
商法の現代化に伴う新会社法の要綱案が固まり、平成17年の通常国会で上程が予定されている。本改正は、現行の株式会社と有限会社という会社の類型を見直し、会社法という一つの法律体系にまとめることなど、実態に合わせた制度の見直しが数多くされている。そこで、本特集は、新会社法の概要を踏まえて、関与先の中小企業に対する指導のポイントを示す。(「会社法制の現代化に関する要綱案」は巻末付録『税務情報』42頁参照)
<総論>
会社類型の変更・整備と新しい会社形態の設置 筑波大学大学院教授
弥永 真生
1. 有限会社の新設は認められなくなるが、既存の有限会社であり続けることができる。
2. 株式会社についての規律は株式譲渡制限会社であるか否か、大会社であるか否かによって異なり、株式譲渡制限会社には取締役会も監査役も設置することを要しない。その他、規律が緩和される。
3. 監査役は業務一般について監査制限を有するが、株式譲渡制限会社では、定款に定めておくことによって、会計事項に権限を限定できる。もっとも、そのような会社においては、株主の監督是正権が強化される。
4. 合同会社は内部的には合名会社・合資会社と同じ規定の適用を受け、外部的には社員の間接有限責任が認められる。したがって、出資、剰余金の分配などについては、株式会社と同様の規律がなされているが、一定の債権者保護手続を条件に、退社に基づく払戻しが認められる点で異なる。
中小企業における株式譲渡制限会社の活用可能性 中小企業庁
平井 裕秀
1. 今次の会社法制の見直しに当たっては、会社制度の最大ユーザーである中小企業の実態を踏まえた議論が重要なテーマの一つとなった。
2. 同じ株式会社であっても、大企業と中小企業では、会社法制上の問題点が異なっており、経営と所有が一致している中小企業においては、主に訴訟リスク及びコスト負担の低減といった観点から、意思決定に係る手続や機関設計についての簡素化が検討された。
3. 経営と所有の分離の有無についてのメルクマールとして、定款における株式譲渡制限の定めの有無が採用され、当該定めのある会社については、機関設計の柔軟化や各種の特例措置が設けられた。
4. 株式譲渡制限会社に係る規制緩和に際し、決算公告義務の維持や会計参与制度の導入など、ディスクロージャーの重要性の再確認とその担保が前提としてあることに留意が必要である。
<各論>
会社設立規制の緩和~最低資本金・類似商号規制等の撤廃 税理士
金井 恵美子
1. 登記実務において、会社の目的は厳格な語句の使用基準により審査が行われているが、その包括的な記載が可能となる。
2. 本店所在地が異なれば、目的が同じであっても同市町村内に同じ商号の会社を設立することができることとなる。
3. 最低資本金規制が廃止され、会社設立時の自己資本の確保が不要となる。
4. 株式譲渡制限会社においては、監査役を置かず、取締役は1人とすることができるので、会社設立時の人材の確保が不要となる。
5. 会社設立の形式的なハードルが低くなることにより、新規起業には、実質的な事業計画の検討がより重要となる。
最低資本金の撤廃で変わる会社の信用力とB/Sの整理 税理士
植田 卓
1. 会社法の現代化によって最低資本金制度が撤廃され、既存の会社は資本金の額を自由に増減させることができるようになった。
2. 増資と減資に関する手続は、従来の手続と基本的に変わるところはなく、特に減資については債権者保護手続が必要であるため、現実には一定の制約がある。
3. 会計参与制度の導入にもみられるように、計算書類の適正化については、従来よりも強く要求されていることから、単に正確性だけではなく、会社の実態にふさわしい計算書類を整えていくことも必要であろうと考えられる。特に、資本金のあり方をはじめ、資本の部の計数のあり方については、関心を持たれることが期待される。
簡素・機動的になる会社運営の主体と決定の方法 税理士・公認会計士
櫻庭 周平
1. そもそも現行の株式会社は公開会社を念頭に置いた会社類型であり、有限会社は中小会社を念頭に置いた会社類型であった。
2. この二つの会社類型を統合する新会社法は、会社の運営主体である機関について、表面的には看過されがちだが、根本的な変更を内在している。
3. 新会社法では、株式譲渡制限性と規模の違いで機関の設計が異なる。
4. 株式譲渡制限会社でない大会社の機関設計は、現行と同様である。
5. その他の株式会社に関しては、株式譲渡制限の有無・会社の規模に応じて、現行よりも大幅に機関設計の選択肢が増える。
6. 会計参与制度は戦略的な見地から活用を検討すべき価値が大である。
7. 中小企業の多くは株式譲渡制限会社だが、名目的な取締役会・監査役等といった暗部にメスを入れることで経営改革の端緒となり得る。
自由に選択できる会社の機関設計 税理士・公認会計士
吉田 恵子
1. 今回の商法改正では定款自治を重視し、それぞれの会社で機関設計を自由に選択できるようになる。特に中小・会社では選択の幅が広い。
2. その中でどういう機関設計が最適かアドバイスするのは、税理士の役割である。
3. アドバイスに当たっては、コストと効果を説明する。
4. 会社が成長していく過程で、その時期にあった機関設計をアドバイスしていくことも必要である。
計算書類の公正性を高める制度と会計参与の設置の意義 税理士・公認会計士
吉田 恵子
1. 今回の商法改正では定款自治を重視し、それぞれの会社で機関設計を自由に選択できるようになる。特に中小・会社では選択の幅が広い。
2. その中でどういう機関設計が最適かアドバイスするのは、税理士の役割である。
3. アドバイスに当たっては、コストと効果を説明する。
4. 会社が成長していく過程で、その時期にあった機関設計をアドバイスしていくことも必要である。
計算書類の公正性を高める制度と会計参与の設置の意義 税理士
辻 堅太郎
1. 会計参与制度は、中小会社の計算書類の適正性を高めるために、会社内部の組織として創設された。
2. 会計参与は株主総会で選任し、その任期・報酬・責任については、社外取締役と同様の規律に従うものとされている。
3. 会計参与制度は、金融機関等の要請にも合致した制度である。
4. 会計参与の報酬は、その専門知識と責任に価する額でなければ、会計参与制度は定着しないものと思われる。
株式の分散化を防ぎ集中化を高める株式制度 公認会計士
都井 清史
1. 事業承継に当たり商法上大きな障害となるものに少数株主権があり、具体的には取締役等の解任請求権等がある。この少数株主権は新会社法ではその権利がさらに拡充する予定である。
2. 少数株主対策として、現行商法では議決権のない株式を利用することで少数株主権を排除することが可能であるが、新会社法の施行後は議決権のない株主でも少数株主権を持つことが予定されている。
3. これに関する対策としては、まず現在の少数株主から株式を買い受けて権利をなくし、相続等により一時的に株式が分散しても、早期の買受けによって解決することが最も合理的な方法である。
(イ) 少数株主からの金庫株としての株式の買受け
(ロ) 少数株主からのオーナー個人の株式の買受け
(ハ) 持株会社の設立と少数株主からの株式の買受け
剰余金とその配分の自由度の拡大 税理士
鈴木 修三
1. 今回の商法改正により、年間に複数回の配当ができるようになる。
2. 株式譲渡制限会社は、定款で種類株式の発行を定めることができる。
3. 減資等の資本の部の計数変更がやりやすくなる。
有限会社の存続・組織変更と合同会社の創設 税理士
苅米 裕
1. 有限会社制度は廃止となるが、経過措置により存置が認められる。
2. 関与先の有限会社に対して、株式会社へ組織変更を行う場合のメリット・デメリットを説明すべきである。
3. 合同会社の創設に伴い、中小企業レベルでも活用の余地があるケースを検討する。
4. 合同会社の税務上の取扱いとして、パススルー課税が認められることになるのか、注視する必要がある。
裁決例から探る 青色専従者給与の税務否認回避策 税理士
載本 高広
平成12年に会計検査院の調査があって以来、青色事業専従者給与のチェックが厳しくなっている。本稿では、専従者が労務に従事した期間、労務の性質、他の使用人や同種・同規模事業者との比較、収益状況などにつき、過去の裁決例等を参考にしつつ否認を受けないための対策を検討する。また、経営状態が悪く未払いが累積している場合や専従者がパート労働をしているケースなど留意すべき事項についても検討する。
ネット取引に係る課税庁の対応と確定申告に向けての留意点 税理士・公認会計士
松澤 進
最近、インターネットを通じたショッピングやネット・オークションでの売買をする人が増えている。こうした個人の取引は「税金のことなど無関係」と思ってしまいがちだが、ネットを通じた売買や広告収入が一定のラインを超えれば、当然、課税対象となってくる。事実、課税庁はネット取引の所得隠しに眼を光らせており、平成15事務年度では、1件当たり平均955万円の申告漏れ所得金額を指摘したという。そこで本稿では、ネット取引で生じがちな税務上の留意点を整理したうえで、トラブルを未然に防ぐ事前対策を提示する。
相続に伴う事業承継者の手続と確定申告の留意点 税理士
在原 一憲
平成16年分の確定申告を見据えて、16年に発生した相続に伴う事業承継者に特有の確定申告事項を中心に、その留意点を確認する。事業承継者の留意点としては、所得税以外にも消費税に関しても注意が必要となることから、併せて検討を行う。また、これら申告に付随する申請・届出等の手続面での注意事項をも整理する。
法人税調査で増加する源泉税トラブルと否認の傾向 税理士
田添 正寿
最近、総合調査あるいは全体の税収が上がらないためか、源泉税の調査が多いと聞く。雇用の形態の多様化があることも原因で、雇用か請負かでの判断、派遣労働者に対する役務の提供の対価や契約社員への手数料など、雇用や契約の状態によって源泉徴収義務があったり、なかったりする。また、最近の租税条約の改正で、アメリカの工業所有権の使用については源泉徴収しなくてよいこととなったが、海外との取引での源泉税も取扱いに変化があり注意が必要になっている。
中古資産の取得と改良・改修等に係る税務留意点 税理士
後藤 政則
中古資産の取得、特に関係会社間で行う中古資産の売買では、その取得価額の適正性をめぐって税務署から目を付けられやすい。また、取得した中古資産に対して自社に適合するように改良・改修を行った場合には、資本的支出か修繕費か、という問題が待ちかまえている。そして、一定以上の資本的支出を行えば新品の取得とみなされ、減価償却に大きな影響を及ぼすことになる。このように中古資産の取得をめぐり発生する問題のうち、特に注意すべき事項について、設例を交えて検討する。
同族会社による役員借入金利息の肩代わりと課税関係(上) 税理士
松井 宏
役員個人の借入金の利息を会社が払った場合、その金員は「役員賞与」とみなされる。しかし、これを「役員報酬」と認定した源泉税の納税告知処分は違法か否か? このことが争われた裁判で、1審、2審は「違法」と判断し納税者が勝訴したものの、最高裁は「年月・金額が一致する限度で適法」と判断、一転国側勝訴となった。本稿では、この事件のポイントを1審・控訴審・上告審を比較しながら詳細に検討していく。
損益通算規制対応! 資産譲渡に係る収益の認識とその留意点 税理士
田中 宏志
16年度改正に係る土地・建物の損益通算規制や100万円控除廃止への対応策として、15年の契約・16年の引渡しのケースでは、収益計上時期を引渡ベースに基づいて申告することが可能である。では、この対応策を講じる場合には、どのような点で留意する必要があるのだろうか。引渡ベースに係る申告についての確認を行った上で、引渡ベースとすることで出てくるトラブルなど、留意したい点をピックアップして検討を行う。
ケーススタディ 相続時精算課税制度の安全・確実な活用法 税理士
守田 啓一
財務省から発表された「平成15年分相続時精算課税制度に係る贈与税の申告実態調査」により、精算課税制度が多くの人に活用されたことが明らかになった。本稿では、精算課税制度に関する基礎知識を有することを前提に、安全・確実に精算課税を実行するうえで気をつけておきたいポイント(遺留分、予想を超えた資産価格の変動リスクなど)を指摘し、その対策を示す。また、併せて、役員退職給与の支給と精算課税制度を利用した同族株式の贈与を組み合わせた活用法を紹介。
評価減額を引き出すための不動産鑑定評価の活用策 税理士・不動産鑑定士
下崎 寛
税理士が評価の現場にあって、不動産鑑定士の手法を加味すると、より大きな減額を行い得るケースがある。そのためには、税理士は、鑑定士とどのように付き合い、また鑑定評価をどのように扱うべきなのであろうか。鑑定士・税理士の資格を持つ筆者が、その勘所を解説する。
非営利法人に対する特定収入の特例とその実務留意点 税理士・公認会計士
築地 宏明
簡易課税選択の判定基準が引き下げられたことによって、今後、本則課税を採らざるを得ない非営利法人が増えることが予想される。消費税法60条に定める非営利法人に対する特例のうち、本則課税に特有な概念である特定収入については、消費税法上の規定が非常に複雑であるために、その取扱が難しいものとなっている。本稿では、実務上、十分な理解が不可欠である特定収入の特例に関する留意点を検討する。
特定の相続人に死亡保険金の受取りと特別受益をめぐる問題 弁護士森田 茂夫
弁護士榎本 誉
ある一人の相続人が、被相続人の死亡保険金を独占してしまった場合、この保険金は「特別受益」になるか否か。これに関してこのほど最高裁は、「特段の事情がない限り、相続財産に加えるべきではない」との初判断を示した(最判平16.10.29)。問題は、「特段の事情」、つまり他の共同相続人との間に著しい不公平が生じる場合とはどの程度かということだ。本稿では、相続における死亡保険金の原則的な取扱いを概説した上で、本判決で示された判断の意義を検証し、今後の実務における留意点を探っていく。
婦人服販売業のモデル利益計画 中小企業診断士
平村 一紀
長引く景気低迷、海外製品の台頭、大型・チェーン店の増加など、婦人服販売店の経営環境はめまぐるしく変化しており、難しい舵取りが迫られている。本稿では、駅から徒歩圏内の住宅街に位置する店舗をモデルに、「不良在庫の増加傾向」「固定的な人件費負担」「客数のばらつき」といった問題点への対応策を紹介し、質の高いサービス実現への処方箋を示す。
・ポイント・オブ・ビュー
政府税制調査会特別委員 尾崎護氏に聞く
・税理士事務所みてある記
税理士法人川原経営(東京都中央区)
・好調関与先にはワケがある!
株式会社カネコ(愛媛県宇和島市)/山中勝雄税理士(四国税理士会宇和島支部)
・クローズアップ税務争訟
「ソフトウエア使用料の国内源泉所得該当性」/朝倉洋子
・クマオーの消費税トラブル・バスター
「届出書の履歴には、要注意!(2)」/熊王征秀
・法律問題ワンポイント・レクチャー
「テナントに泥棒で、オーナーの責任は?」/服部弘
・金融機関との上手な付合い方実践編
「非財務項目のココがチェックされる」/甲賀伸彦
・医療法人制度の最新事情
「自治体病院の管理運営委託~指定管理者制度と税務」/東日本税理士法人
・改正税理士法理解→実践のステップアップ/近藤新太郎
・新時代の中小企業会計
「会計」と「税務」の違いを認識する!/長岡勝美
・実務の焦点
「譲渡担保の税務と留意点」/松浪昭二
「減資に係る企業会計と税務の相違」/辻富世
・税務会計相談コーナー
「国外で勤務していた場合の外国税額控除の計算方法」(所得税関係)/近江修
「土地の無償返還届を出している場合の株式評価」(資産税関係)/渡邊正則
「市場価格のない株式の減損処理」(会計関係)/波多野直子
・租税訴訟裁判への扉
「文書提出命令と守秘義務」/藏重有紀
・ケース・スタディ 多税目取引の落とし穴~税目違えば、扱い変わる!
・ 私のKeyword/松浦薫税理士の休日/望月光男
●巻末付録
税務情報平成17年度税制改正大綱(自由民主党、公明党)
平成17年度税制改正の大綱(財務省)
会社法制の現代化に関する要綱案(法制審議会会社法(現代化関係)部会)
●別冊付録
平成16年分所得税・消費税等・贈与税の申告実務
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