巻頭論文
「中小企業の会計」及び会計参与制度と中小企業金融
中小企業庁事業環境部財務課長 平井裕秀
この8月、日本税理士会連合会をはじめとする民間4団体が、中小企業の会計のあり方を示す「中小企業の会計に関する指針」を策定し、公表した。公正な中小企業の計算書類の表示を目指すもので、会計参与が作成する計算書類においても、指針となることが期待されている。計算書類の信頼性が増せば、中小企業の融資における信用が増すことになり、金融機関においての活用も見込まれる。「中小企業の会計指針」の意義と融資制度への影響を概観していただいた。
税務研究
知的財産分野における税務問題と今後の課題
税理士 崎山強
近年、知的財産分野における取引・訴訟が活発化しつつある。このような日々進歩している知的財産分野に対し、税務上はどのように考えていけばよいか。本稿では、1)知的財産法上の各種権利は税法上の資産性を有するか、2)正当な価額をいかに算出するかという評価の問題、3)各種権利が取引される場合における当該取引の法的性格の問題――につき検討する。
特集/どう活用する LLPの設立運営と税務のポイント
" 今年8月1日の法律施行に伴って動き出したLLP(有限責任事業組合)は、組合員が有限責任である一方、パススルー課税が行われ、また契約により出資割合と異なる利益の配分も可能となるなど、これまでに見られない魅力ある制度である。
この新しい事業体であるLLPは、どのような事業に向いているのだろうか。また、活用のために、設立、組織運営、そして税務の面で、どのような点に留意すべきか。本特集は、注目を集めるLLPを検討する。"
【座談会】LLP(有限責任事業組合)はこう活用する!
経済産業省・石井 芳明
公認会計士・山田 真哉
中小企業診断士・阿部 隆
有限責任事業組合法(LLP)法の立案、作成に当たった経済産業省産業組織課の石井芳明氏と8月1日の施行日にそれぞれがいち早くLLPの設立登記を申請した、山田真哉税理士・公認会計士と阿部隆中小企業診断士により、LLPという組織体の特徴や活用の方法、また設立・運営の場合の留意点を話し合う。
有限責任事業組合契約に関する法律の概要
経済産業省 石井 芳明
1.LLPは、人的資産を活かす共同事業のための事業体である。
2.LLPの特徴は、(イ)有限責任、(ロ)内部自治、(ハ)構成員課税である。
3.LLP法の重点は、債権者保護規定と共同事業要件にある。
LLPとLLC(合同会社)との相違点
税理士 冨田光彦
1.LLPの課税は構成員課税(パス・スルー)とされ、LLCは来年の会社法の施行に伴い制度化され、法人課税とされる見通しである。
2.LLCは法人格を有し「会社」類型の一つであるのに対して、LLPは法人格を有さず、「組合契約」を登記するものである。LLPには、法的安定性のための措置が施されている。
3.LLPはLLC同様、有限責任制を採っている。
4.税理士業務をLLP契約とすることはできない。
海外におけるLLP等の概要と活用パターン
日本大学教授 平野 嘉秋
1.日本版LLCは法人課税が適用されるが、米国におけるLLCは、日本版LLCと異なり、構成員課税を選択できる。
2.日本版LLPを税理士及び会計士等は共同事業体として利用できないが、米国及び英国におけるLLPは、日本版LLPと異なり、会計事務所の共同事業体として多く利用されている。
3.米国には所定の条件を満たせば、株式会社であっても構成員課税を適用できるS法人(いわゆる「みなし個人課税制度が適用できる法人」)がある。
LLPの特性と事業への活用
税理士 秋葉武
1.出資比率によることのない貢献度等に応じた利益分配を行うことが可能である。また、パス・スルー課税を適用することにより、損失が出る場合には、組合員固有の所得と通算できる。
2.産学連携、ゲノム・バイオテクノロジー等の共同事業、農業、街づくり、商店街等における共同事業及び情報、通信、交通、新素材等の共同事業等において、LLPを有効に活用すべきである。
3.LLPのパス・スルー課税が租税回避にも活用される恐れがあるとして、人為的に節税効果を用いたスキームは、今後の税制改正によって封じられる可能性がある。
LLPの設立・登記手続
税理士 木村 聡子
1.LLP設立は、手続も非常に簡素であり、設立手続に必要な期間は1週間程度である。
2.設立に必要な書類も少なく、費用的にも負担が少ない。
3.ただし、LLPは組合契約による内部自治が特徴であるので、組合契約の内容のうち必須記載事項以外の部分については、組合員全員で十分に検討すべきである。
4.登記手続前に、所轄法務局の登記官への事前の相談(根回し)をすることが、スムーズな設立のためにも必要である。
組合員の出資、損益・財産の分配と責任
公認会計士 佐藤敏郎
1.LLPの性格を把握するためにも有限責任事業組合の3原則と組合員の出資・損益の分配と責任の関係を整理する必要がある。
2.出資者の有限責任性及び義務について検討することで、LLPの本質を探る。
3.実際のLLPの運営上、損益分配と財産分配との関係及び矛盾点を整理・把握することが肝要である。
4.LLPの解散についても。残余財産分配の手続上の流れを把握する必要がある。
LLPの事業の推進と運営上の留意点
公認会計士 今井章
1.LLPは、個性や能力を持った各組合員がLLPの行う営利事業に対して主体的に参加し、その目的を達成することが予定されている制度である。したがって、LLPの業務意思決定及び執行は、原則としてLLPの組合員全員が行う。
2.LLPは民法上の組合の特例であり、法人格は有しないものの一定の法的主体性を有し、契約の主体となること、財産を所有することができる。
3.LLPの組合員は有限責任であり、LLPの債権者を保護する諸規定が置かれている。
LLPと一般法人の税負担比較
税理士 宮崎剛
1.(イ)LLPの組合員として利益の分配を受けた場合、(ロ)株式会社の株主として配当で利益を受けた場合、(ハ)株式会社の役員として報酬で利益を受けた場合の三つの場合での税負担を比較する。
2.(イ)LLPの組合員として損失の分配を受けた場合、(ロ)株式会社で損失が発生した場合の二つの場合での税負担を比較する。
3.LLPの個人組合員と法人組合員については、損失の繰越しができるか否かの違いがある。
LLPをめぐる税務・会計上の諸問題 "税理士
西村 善朗"
1. LLPでは、設立時及び毎事業年度に財務諸表の作成が義務付けられている。
2.有限責任性を採用するLLPでは、財務諸表について公告の義務はないが、債権者からの求めに応じて開示が求められる。
3.財務諸表で開示する内容については、有限責任事業組合契約に関する法律、法律施行規則のほか、一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行に従うものとされている。
4.財産の評価は、原則として時価評価が求められている。現物出資時においては税務上の問題が存在する。また、LLPと組合員との評価基準が異なる場合、調整をどのようにするかの問題がある。
5.組合員の損益分配は、原則として出資額基準であるが、それ以外の基準で定めることも可能である。その場合、当該基準が適正であるか否か、税務上問題となる。
法人税実務
リースバック契約の活用と税務否認回避策
税理士 高橋 敏則
リースバックは、企業が所有する物件をリース会社に売却して、設備をリース会社から借り受ける契約をするもので、所有していた企業はリースという形式で売却後も変わらず使用できることになる。最近リースバック契約が増えて、自動車やOA機器のほか、機械設備や不動産もその対象となることがある。企業は手持ち資産で資金調達ができるばかりでなく、資産のオフバランス化や含み損益の顕現化ができ、多大なメリットをもたらすことがある。しかし、企業が変わらずに使用している状況であり、形式的には資産を担保に融資をしている状況なので、契約によっては税務上金融取引としてみなされ売買・賃貸借取引がなかったものとされることがある。税務否認される場合と、その回避策を検討する。
資産税実務
今年末で期限切れ? 住宅取得資金贈与の特例と実行のポイント
税理士 山本 和義
住宅取得資金贈与の特例は、1)暦年贈与による方式(5分5乗方式。550万円まで非課税)と、2)相続時精算課税による方式(3,500万円まで非課税)の二つがあるが、措置法上は双方とも今年の12月31日で適用期限が切れることになっている。国土交通省や経済産業省では延期を求める税制改正要望も出ており、年末に大綱が出るまで予断は許さないが、近い将来に適用を考慮していた人は年内実施に向けて準備を万端にしておく必要がある。そこで本稿では、特例のしくみと要件を再確認し、適用における留意点を検討・解説していく。
法務と税務
公益法人等の解散と法務・税務のポイント
税理士・公認会計士 田中 義幸
少子化の影響を受けて、学校法人や保育園などの破綻が相次いでいる。公益法人も民間企業である以上、業績が不振であれば倒産は避けられないが、解散・清算に伴う税務や法的手続は一般法人とは異なる点も多い。そこで本稿では、公益法人が解散した場合の法務を学校法人、宗教法人、社会福祉法人等の法人種類別・段階別に解説し、固定資産の処分等における課税のポイントを検討していく。
増加するマンションの建替えと税務上の留意点
税理士 土屋 栄悦
老朽化したマンションが急増していることから、マンションの建替え需要は相当数あるものと考えられる。しかし、マンション建替えの阻害要因があり進まない状況であったが、平成14年6月に「マンション建替法」が制定され、同年12月に「建物区分所有法」改正など法整備がなされ、実行しやすくなった。そこで、マンション建替えの事業形態を整理し、それに伴って生じる区分所有者等及びマンション建替組合に対する税務の対応についてまとめたもの。
利益計画
Webサイト制作・運営業のモデル利益計画
中小企業診断士 池田 しのぶ
インターネットの人口普及率は62.3%にのぼり、日常生活とビジネスの両面において、すでに身近な存在として浸透している。既に約80%の企業が自社のWebサイトを構築し、商品販売やマーケティングに活用しており、今後もWebサイトの制作・運営に対するニーズは高まっていくものと予想されている。しかし、市場参入の容易さから競争環境は厳しく、価格競争の消耗戦に陥りやすい。そこで、本稿では、既存事業分野の効率化、新事業分野への進出策について検討し、経営基盤強化の実現を目指す。
連載
ポイント・オブ・ビュー
明治安田生活福祉研究所 主任研究員 松原由美 氏に聞く
税理士事務所みてある記
細谷・伊藤 税務会計事務所(千葉県成田市)
好調関与先にはワケがある!
マルコメ(株) (長野県長野市)/金子和夫 税理士(関東信越税理士会長野支部)
クローズアップ税務争訟
第三者間取引における低額譲渡/田代行孝
クマオーの消費税トラブル・バスター
通算調整割合って、何だ?/熊王征秀
法律問題ワンポイント・レクチャー
更新料の支払いは拒否できる?/菅原万里子
金融機関との上手な付合い方 実践編
中小企業庁の支援策の活用/甲賀伸彦
新時代の中小企業会計 中小企業会計指針編
(2) 「指針」の方針と留意事項/長岡勝美
実務の焦点
消費税の納税義務の判定における個人と法人の相違/川島雅
公益法人における仕入控除税額の調整計算/星山光雄
税務・会計相談コーナー
「減損損失の計上に伴う債務超過の状態と有価証券の評価損」(法人税関係)/内山裕
「土地の使用貸借と相続時の評価、売却時の代金配分」(資産税関係)/渡邉正則
「排出権の会計処理」(会計関係)/古内和明
ケース・スタディ 多税目取引の落とし穴~税目違えば、扱い変わる!
私のKeyword/榎元俊之
税理士の休日/義之岳史
別冊付録●税務情報
類似業種目別株価一覧 平成17年5,6月分・ほか
目次
◼︎ 目次配信サービス
月刊 税理最新号の情報がメルマガで届く♪ メールアドレスを入力して登録(解除)ボタンを押してください。
※登録は無料です
※登録・解除は、各雑誌の商品ページからお願いします。/~\Fujisan.co.jpで既に定期購読をなさっているお客様は、マイページからも登録・解除及び宛先メールアドレスの変更手続きが可能です。
以下のプライバシーポリシーに同意の上、登録して下さい。
おすすめの購読プラン
この雑誌の読者はこちらの雑誌も買っています!
月刊 税理の所属カテゴリ一覧
Fujisan.co.jpとは?
株式会社富士山マガジンサービスが運営する、
日本最大級の雑誌オンライン書店です。
一般的な書店と異なり、
定期購読サービスに特化しています。
雑誌、新聞、シリーズ書籍、漫画や
本屋にも無い古い本も見つかる!
法人サービスはこちら >
-
タイトル1万以上
豊富なラインナップで
書店に並ばない本とも出会える -
試し読み
バックナンバー1冊まるごと試し読み
したり、最新号も試し読みできる -
タダ読み
5,000冊以上の雑誌が
無料で読み放題 -
500円OFF
普段読んでいる雑誌のレビュー投稿で
500円割ギフト券をプレゼント -
事前予約
気になる本は
発売日前から事前予約可能 -
割引や特典付き
定期購読なら
お得に本が読めて
送料無料の雑誌も!
デジタル雑誌をご利用なら
最新号〜バックナンバーまで7000冊以上の雑誌
(電子書籍)が無料で読み放題!
タダ読みサービスを楽しもう!