月刊おりがみ 482号 (発売日2015年09月01日) 表紙
  • 雑誌:月刊おりがみ
  • 出版社:日本折紙協会
  • 発行間隔:月刊
  • 発売日:毎月1日
  • 参考価格:[紙版]880円
月刊おりがみ 482号 (発売日2015年09月01日) 表紙
  • 雑誌:月刊おりがみ
  • 出版社:日本折紙協会
  • 発行間隔:月刊
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  • 参考価格:[紙版]880円

月刊おりがみ 482号 (発売日2015年09月01日)

日本折紙協会
月刊おりがみ482号
特集 ハロウィンと魔女のおうち

Halloween and Witch’s house

◆ほうきに乗った妖婆 Witch on a broomstick by Mr.Ichiro- KUROKAWA
黒川 一郎

この作品は日本折紙協会主催の定...

月刊おりがみ 482号 (発売日2015年09月01日)

日本折紙協会
月刊おりがみ482号
特集 ハロウィンと魔女のおうち

Halloween and Witch’s house

◆ほうきに乗った妖婆 Witch on a broomstick by Mr.Ichiro- KUROKAWA
黒川 一郎

この作品は日本折紙協会主催の定...

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目次

月刊おりがみ482号
特集 ハロウィンと魔女のおうち

Halloween and Witch’s house

◆ほうきに乗った妖婆 Witch on a broomstick by Mr.Ichiro- KUROKAWA
黒川 一郎

この作品は日本折紙協会主催の定期講習会で1979年10月27日に、4日後のハロウィンにあわせて講習されたものです。20~27はぐらい折りですが、鷲わしばな鼻の様子が出るようにうまく折ってください。(編)


◆ドラゴン2 Dragon by Mr.Edwin CORRIE
Eエドウィンdwin C コリーORRIE

エドウィン・コリーさんはイギリスの折り紙作家です。この作品は1992年12月11日に創作されたものです。当時、ご自身で作られた2つ目のドラゴンでした。


◆ミニ知識

○コウモリ…アブラコウモリは、体長4cm の小型のコウモリです。都会にもいて、民家の屋根裏や戸袋、ビルの通気口などに群れですんでいます。夕方になると前足を羽のように広げてジグザグに飛び回り、蚊などの小さな虫をたべています。コウモリはコウモリは空を飛べる、唯一の哺乳類で、昔は「蚊食い鳥」や「川守り」や「川掘り」などと呼ばれていました。西洋では悪魔、死、吸血などを連想させ、気味の悪い動物とされました。魔女はコウモリに化けて、家々を訪れると考えられていました。一方、中国では古くから霊薬と信じられました。また、漢字で「蝙蝠」と書きますが、「蝠」が「福」と同音なことから幸福の表象とされ、吉祥の装飾意匠として使われてきました。


◆コウモリBat by Ms.Sho‒ ko AOYAGI
青柳 祥子

これは、あぶらコウモリがモデルです。体は親指くらいで翼開長は、20cmくらい。フレーベルの模様折りから折り込んでいくとできた作品です。「翼手の骨格ライン」も折りこみました。コウモリは蚊、蝿などの害虫を食べてくれる益獣です。(作者)


◆フクロウ Owl by Mr.Katsuhisa YAMADA
山田 勝久

顔の部分部分、24はクチバシ、25は目と意識しながら、それっぽく仕上げて下さい。(作者)


◆ジャックオーランタンカードJack-o’-lantern card by Ms.Sho‒ ko AOYAGI
青柳 祥子

基本折りで、簡単に折れるおばけかぼちゃのカードです。口は、上下に動かせます。お口にメッセージを書くとそのままカードになります。いろんなサイズで作ってお楽しみくださいませ。(作者)


◆おしゃれなほうき Broom by Ms.Kazue ASAI
浅井 かづゑ

18で谷折りすると扇状の部分が固定できる、この形が気に入り、ほうき、大根、てるてるぼうずの順に折ってきました。19からはふくらみがあるので、折りにくいですが、すてきな紙でおしゃれなほうきに仕上げてくださいね。


◆ミニ知識

○ハロウィン…10 月31 日。ハロウィンは、ヨーロッパの先住民のケルト人の新年(Samhain)を起源とします。ケルトの暦では11 月1 日が新年の元日にあたり、大
晦日の夜にあたる10 月31 日には死者の霊が家に戻ってくるとされていました。妖怪や魔女も現れて冬の訪れを喜び、人々にいたずらをして回ると考えられていました。人々は身を守るために仮面を付け、篝火を焚きましたが、これは一年の収穫に感謝するためでもありました。のちにキリスト教徒がケルト人に布教活動をするときに、この祭を取り込んで、「万聖節(All Hallow‘s Even)」にしました。ハロウィン(Halloween)はこの言葉を短縮したものです。

○ハロウィンパーティー…ヨーロッパではいったん廃れたハロウィンの行事は、移民としてアメリカに渡った人々の間で大切に守られ、子どもたちの楽しいイベントになりました。魔女やおばけの姿に仮装した子どもたちが、“ Trick or Treat!.”(ごちそうくれなきゃ、いたずらするぞ!)と言って家々を回り、”I’m scared.”( わあ恐い)と言って、お菓子や果物をあげます。「ジャック・オー・ランタン」と呼ばれる、カボチャをくりぬいた中にロウソクを立てたおばけかぼちゃが飾られます。近年、ハロウィンはいろんな形で世界各地に広まっています。昨年の東京・渋谷でのハロウィン仮装大行列が記憶に新しいニュースですが、日本では「コスプレ(アニメや漫画などのキャラクターに扮装すること)」の祭ともなっているようです。

○魔女…魔女といえば、おばあさんの姿で、ほうきの乗って空を飛ぶというイメージですが、この魔女像がヨーロッパの人々に定着するのは、キリスト教会の正統教会の教義から外れた人々が異端者とされ、異端審問が制度化された13 世紀以降です。それ以前にも予言や占いができる不思議な力を持つ人たちはいて呪術師などと呼ばれ魔女のルーツとされています。15 ~ 18 世紀の400 年間、魔女は異端者として憎まれ、逮捕されました。裁判で「魔術を使える、悪魔と契約している、魔女の集会に参加する」などの魔女の定義にどれかひとつでもあてはまると魔女にされ、火あぶりなどで処刑されました。魔女は女性ばかりでなく、男性も子どもも魔女とされました。この「魔女狩り」で5 万人が犠牲になったとされています。気候の寒冷化のために起こった飢饉やペスト(黒死病。ネズミを通して伝染する病気)の大流行など都合の悪いすべてのことが魔女の仕業にされたのです。日本には「魔女狩り」の歴史がなかったので、女の子の姿の愛される魔女が生まれました。「魔女ブーム」のきっかけになったのが1966 年にアニメ放送が始まった「魔法使いサリー」だと考えられています。


◆テーブルTable by Ms.Minako ISHIBASHI
石橋 美奈子

18で天板の部分を広げますが、やや難しい。18.20の図をよく見てください。もとの
紙の4分の1の大きさの紙をざぶとん折りして中に入れると補強になります。ソファーとのバランスを考えたため子どもたちには難しい作品になりました。伝承の箱をひっくり返したものをテーブル代わりにしてもよいでしょう。(作者)


◆ミニ知識

○フクロウ…日本全国で見られる留鳥。耳のように見える飾り羽(羽角)のないものをフクロウ、あるものをミミズクと呼んでいます。夜に活動し、羽音をたてずに飛んで野ネズミやウサギなどの哺乳類や小鳥を生きたまま捕らえるので、「夜の狩人」と呼ばれます。今月号の作品はそのハンター姿のフクロウを表現しています。低く太い声で「ホーホー、ゴロスケホーホ」と鳴きます。西洋では「夜の鳥」のイメージから不吉な鳥とみなされてきました。一方でギリシア神話のアテナ(ゼウスの頭から武装した姿で生まれ、技術・学芸や戦いを司るとされる女神。ローマ神話ではミネルバのこと)の聖鳥であることから知恵の象徴ともなっています。

○ドラゴン…ドラゴンとは、「鋭い目をしたもの」という意味だそうです。翼と鋭い爪を持ち火を吹く伝説上の怪獣で、キリスト教では悪と罪の象徴とされています。

●ミニ知識参考図書:『日本の生きもの図鑑』(講談社)、『まちのコウモリ』(ポプラ社)、『フクロウ』(あかね書房)、『絵でつづるやさしい暮らし歳時記』(日本文芸社)、『ハロウィーンの文化誌』(原書房)、『図説世界魔女百科』(原書房)、『ミステリアス・ケルト』(平凡社)、『図説魔女狩り』(河出書房新社)、『ジーニアス英和辞典』(大修館書店)、『英語語源辞典』(研究社)、『世界大百科事典』(平凡社)、『朝日新聞』(朝日新聞社)


◆ソファーSofa by Ms.Minako ISHIBASHI

石橋 美奈子

今から30年前に創作し、1989年にスペインの会報誌“PAPIROFLEXIA”で発表した作品です。⑤から⑥の一瞬でかわる形の変化は、手品のようで折り紙の楽しみのひとつですね。まいごにならないように図をしっかり見てください。(作者)(作者)


◆隅戸棚(コーナーラック)Corner cabinet(traditional model)
伝承

この作品はオランダのエリーズ・ファン・カルカル著の1864年(第2版)発行の“De KLEINE PAPIERWERKERS (” 小さな紙細工師)という、オランダ語の本に描かれていた作品です。(編)


◆フロシキ box FUROSHIKI box by Ms. Alice GIANNA
Alice GIANNA

アリッチェさんはイタリアの女性折り紙作家で、日本折紙協会の会員も長年継続してくださっています。この作品は、日本の風呂敷包みのような形だと思ったので名付けたそうです。(作者)


◆Pop-up double cube ポップアップダブルキューブ
Eric KENNEWAY

平面の形から中にある2つのかどを左右に引っ張ると、パッと立ち上がるように直方体の箱ができあがります。作者のエリックさんはイギリスの折り紙作家で、折り紙の楽しさは見ることよりも折ることだと生前おっしゃっていたそうです。この作品はそんなエリックさんらしい作品です。(編)


◆お花Flower by Ms. Ayako KAWATE
川手 章子

置いて飾っておけそうなお花に思われました。花芯と葉を組み合わせるとツバキの花のようでもあります。年を重ねるごとに“花”っていいなあと思います。(作者)


◆ほのぼのデイケア折り紙
Heartwarming origami workshop in the day care service
石倉 君代

第2 回 うれしい収穫
Harvest season

秋はうれしい収穫。こびとちゃんが、ぼうしに入れてはこびます。途中ころびそうになって、ぼうしの中のものが落ちてしまいそう! あわてないで、いそがないで、大切にはこんでネ。小さな子たちが、「おとなのようにできるぞー」と自分より大きなものをはこぼうとする姿を見ると、思わずほほえんでしまいます。そんな場面を作ってみたつもりです。
 収穫物はたくさんの種類を入れていますが1品でも、また、大きくても小さくてもOK です。ぼうしが難しいときは、三角に折って、かどを折るなどだけで作ったかごの形でもいいと思います。なお、色紙作品にりんごの葉をつけていますが、折り図は省きました。5cm 角の紙で菱ひしがた形基本形から伝承の葉のように折って作った葉です。もしさびしいなあと感じる方はいろいろと工夫して楽しんでくださいね。


◆新オリガミツリー
~創作のための折り構造と見立ての系統樹~
大橋 晧也

新オリガミツリーNo.21は、ざぶとん基本形+正方基本形です。この複合基本形からできる代表的な伝承作品はさんぼう(三方)でしょう。規則的で折っていてとても気持ちのいい作品です。さんぼうからすぐ足付きさんぼうができますが、これからの発展が三春駒や子犬などです。またこの複合基本形から伝承のつの香箱を折り、ざぶとん折りした四つの角を加えると「花つの香箱」ができます。これは、形がくずれない利点があります。この「花つの香箱」を子ども向きの作品とします。三角バラは、四角の二辺を重ね折りして三角錐をつくる方法で、すでに何回か同じ技法で作る作品は紹介済みです。三角の底辺を正六角形になるように折れば丸みを帯びたバラにもなり、また、花弁をカールさせるといっそうバラらしくなります。この三角バラを発展させたのは三角屋根の家です。三角にしないで四角のまま折れば、ほうぎょう(方形)屋根の御堂ができます。一般向きの作品として今回は、この三角屋根の家を取り上げてみました。屋根の色を変えるとさまざまな家ができます。椿はいったん沈め折りをしてから花弁を開くようにすると、めしべやおしべが浮かび上がります。沈め折りや花弁の折り方を変化させることによって、さまざまな花を折ることができます。皆さんも工夫してみてください。


◆読者の広場
『479号』(特集:七夕と海の日)宛てにいただいたお便りをご紹介します

娘を保育園に預けていた10 年以上前、お迎えのとき娘が自分で折った素朴な折り紙を「ママにあげる!」と言って渡されたのをキッカケに、私も子どものころに遊んだ折り紙の世界に戻ってきました。折り紙を再び楽しむようになって最初に折りたいと思ったのは伝承作品の他に花、特に立体的な花でした。そしてさまざまな経緯をたどりながら川崎敏和先生の「バラ」に行きつきました。先生の折り図の線の長さや角度を少し調整して、自分なりに「最高に美しい一輪」を折るための試行錯誤を続けています。
秋田県 眞坂京子さん


 児童館の壁飾りを「スイミー」にしようと思っています。今月号の作品が参考になりました。ありがとう。
愛知県 田中愛子さん

 「マナさんの折り紙」がよかったです。今月号は全体的におもしろい作品が多かったのでよかったです。今興味を持っていることはルービックキューブです。
北海道 松林 黎さん


◆羽田空港「七夕Festival 2015」で折り紙体験コーナー
城南支部「おりがみトップス」支部長 小宮はじめ/東京都

7月4日(土)、羽田空港国際線旅客ターミナルで、「七夕Festival 2015」が開催されました。
 「江戸舞台」での記念撮影コーナーやダンスショー、プラネタリウムなどの各種プログラムが行われる中、5階「E▶DOホール」では、「“願いをこめて”折紙七夕飾りつくり」の体験コーナーが設けられ、城南支部「おりがみトップス」が、月刊『おりがみ』掲載作品を中心とした七夕関連の折り紙の指導にあたりました。
 城南支部は東京都内の大田区品川区在住の会員を中心に6月に生まれた支部で、このイベントが支部としての最初の活動となりました。
 開催は11:00~19:00ということで、指導した私たちにとっては長丁場にも感じられましたが、旅行出発前の待ち時間に参加された方は皆、時の経つのを忘れて夢中になって折っていました。


◆みんなの作品展

折り紙で結婚式のディスプレイとアクセサリー

6月28日の日曜、東京都文京区の椿山荘ホテル「ボールルーム」で友人のお嬢さんの結婚披露宴があり、折り紙の作品で式に色を添えました。
 当初は何かお願いしますとの依頼でしたが、お嬢さんの披露宴は和テイストで、個性を出したいとの要望から話が広がり、①ピアス②髪飾り③ゲストテーブルの飾り2種④ウエ
ディングケーキを飾るもの になり、「折り紙」がかなり重要な位置になってしまいました。
 友人・お嬢さん・ホテルと打ち合わせを重ね、修正・変更をしながらなんとか式前日に納めることができました。
 友人、お嬢さんを始め、親戚の方からも「こんなことできるんですね」ととても喜ばれました。


◆和紙ものがたり

連載〔第25 回〕絵画用の麻紙
「芸術の秋」には絵に関心が向かいます。右の写真は1927(昭和2)年制作、横山大観と下村観山による名画『明暗』です。この日本画は直径44.5cm、重さ12kgもの大きな「麻
まし紙」に描かれています。
「麻紙」とは麻布のぼろや生の麻から採った繊維を原料に漉かれている紙のことです。
 今回は、『明暗』を収蔵されている早稲田大学會津八一記念博物館、当時世界最大の大きな麻紙を漉いた岩野平三郎の技術を受け継ぐ岩野平三郎製紙所、越前和紙の里 紙の文化博物館、福井県和紙工業協同組合にご協力いただきました。

〇廃れた古代麻紙

麻紙は麻の繊維を原料にした紙です。紀元前に中国で生まれた製紙法は、麻を原料にしたものでした。朝鮮半島を経由して日本に製紙法が伝わった当初は、中国の製法どおり麻が原料で漉かれていました。
 麻の繊維は強靭で長く、紙の原料にするには5mm ほどの長さに切らなければなりません。また、漉きあがった紙は紙肌が粗く、ごわごわとしたもので、さらに槌で打ったり、猪の牙で磨いてつやを出していたそうです。
 しだいに、処理に手間がかかる麻に変わって、製紙の原料は楮が使われるよう
になりました。楮は各地に自生していたので入手も簡単で、処理もしやすかったからです。
 麻の原料不足もあって、平安時代末期には麻による製紙は廃れてしまいました。

〇画用材の布から紙への変遷

奈良時代には仏教文化が盛んになり、仏画が壁や衝立や屏風などの屏障具に描かれ、画用材としては紙よりも絹や麻の布が多く用いられました。
 平安時代の中期以降、遣唐使の廃止により国風文化(日本の風土にあった貴族文化)が隆盛、それまでの中国の唐絵に変わって大和絵がはやります。屏障具に布のかわりに紙が張られるようになったことにより、紙に絵が描かれることが多くなりました。紙は絵具や墨をよく吸い、独特なにじみも出て、絵画表現の幅を広げました。
 中世(鎌倉時代と室町時代)には、雁皮を原料にした鳥子紙も画用紙になりますが、主流は楮紙でした。

〇古代麻紙の復元

越前(今の福井県)の初代岩野平三郎(1878 年~ 1960 年)は、あらゆる紙を漉きこなす名人でした。
 1921(大正10)年ごろ、日本画家の冨田溪仙(1879 年~ 1936 年)と知り合い、その紹介で竹内栖鳳(1864 年~ 1942 年) や横山大観(1868 年~1958 年) といった名だたる日本画家たちが、越前の和紙を画用紙として使うようになります。

1926(大正15)年、東洋史学者で、中国の文化に詳しい内藤湖南(1866 年~ 1934 年)から送られた古代の麻紙を参考に、平三郎は苦労して麻紙を復元しました。この麻紙をもとに画家たちの意見を聞いて、「白麻紙」(麻と楮を混ぜて、白く晒したものを紙料とした紙)や「雲肌麻紙」(麻と楮に雁皮を少し加えたものが紙料。通常の裏を表として使い、繊維の様子が雲のように見えるため名付けられました)などの日本画用の紙を開発しました。

平三郎が漉いた麻紙は厚くて丈夫でありながら、肌理の細かさをも持ったもので、 絵具の重ね塗りに適していました。この紙は、近代の日本画を飛躍的に発展させました。

〇明暗

1925(大正14)年、早稲田大学に東洋一を誇る図書館が建設されました。「明暗」は、そのホール正面を飾る壁画として、横山大観と下村観山(1873 年~ 1930 年)への依頼により誕生した絵画です。「混沌とした暗闇から知恵の日が昇る」という絵を、「書物を読まなければ暗く、読めば明るくなる」と意味で『明暗』と名付け、知識を得る素晴らしさを説いているそうです。

この絵の画面が岩野平三郎が作った麻紙です。5.4m 角の大きな漉き舟で、何人もの人の手によって、雑菌がなく、粘剤(水中で固まり沈みやすい紙料繊維をばらばらにし浮遊させておくために使う植物粘液)との相性もよい水を使った紙料液の中で、ゆったりと何回もゆすって繊維をからませあい、紙の層をていねいに作ってできた暖かみに満ちたしなやかな紙は、学生の勉学の場にふさわしい絵を誕生させました。希望あふれる多くの若者たちが、その絵に励まされ、巣立っていったことと思います。

当時の図書館は、今は會津八一記念博物館となりました。『明暗』は同じ場所で公開展示され、人々を見守り続けています。

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■ 436号 (2011年11月01日発売)

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