特集 春らんまん500号まつり
特選折紙ギャラリー
◆季節の窓辺
朝日 勇
連載 第8 回
春陽多彩
Colorful spring sunshine
ぽかぽかと春の陽は、生きているすべてのものを応援してくれているようです。ちょっとつかれたなと思っていても、何だかがんばれそうです。
長のどか閑な日和の 心地良さ
陽ひかり光がこの地に 降り注ぐ
春待ち顔の 草木もやがて
光包んで 活気づく
それぞれが持つ 有り様ようで
花の姿を 送り出す
遠目引くのは 桜花ばな
枯木が花への 七変化
芽から蕾で 花となり
思わぬ風に 吹雪花
人の歩みの 道みちのり程を
重ねては 桜はな花を慈しむ
◆ガーデンローズ
佐藤直幹
『500号』達成おめでとうございます。長野の片田舎で暮らしていた私にとって、雑誌『おりがみ』は、折り紙に関する唯一の情報源でした。その記念の『500号』に私の作品を載せていただけるとのこと、感無量です。(作者)
◆Star fish(ヒトデ)
ジョン・モントロール
正方形用紙から星形を折り出す試みで、最初にヒトデを発表したときは基本の形(⑭)までの工程が整理できていませんでしたが、のちに折りの基準を設けました。⑭は「5つのカドをもつ正方形」で、花にも応用できます。(作者)
◆500号記念創作折り紙特別寄稿
笠原邦彦
しろくまのおやこ Polar bear and bear cub by Mr. Kunihiko KASAHARA
とうとう500号の発刊! すごいですね。単純に12で割れば、創刊以来40年以上となるわけですね。
しみじみと懐かしむに、NOAマガジン創刊の頃は、私まあまあ力がありました。頭の中にイメージしたものは、次々と楽しく取り出せたことでした。しかし今はもう、しっかりと折ることもままならなくなったようで…40年とは、我が身で思うだけでも、そりゃ大変な年月です。
でもこの500号を(折り返し点)と考え、1000号までも継続、存在されていってほしい!
オバマさんが専用機の中で折った美しい「おりづる」を、広島市にプレゼントしてくれたというニュースに示されたように、おりがみは平和のシンボルでもありますから、この美しい世界を紹介するマガジンの号数を伸ばし続けることは、平和行動とも等しいと言えるでしょう。
さて今回、編集部より『500の数字に関連したような作品を』とのご依頼がありましたが、頭をひねってもアイデアは浮かんで来ませんでした。で、苦し紛れに、上記「500は1000の半分。」とのこじつけから、正方形のおりがみの(半分)からできる作品として、「白くま親子」と「雪山の飾り台」を思い付いて返事をお送りした次第。
ところで親子を、親子らしいサイズにするために、一般的な15センチ角の用紙で折ってみましたら、こどもが思うように折れません。(昔はこんなのすらすら折れたのに!)ただ「白くま」と「雪山」ですから、白い紙でいいわけです。そしておりがみ用紙より大きな白い紙といったら、A4のコピー用紙があります。これを使えば、楽々と折れるサイズが採れるでしょう。場合によったら、裏の白い(広告チラシ)でもいいですよね。
◆正五角形エコエコ封筒 藤田 文章
ECO friendly pentagon envelope by Mr. Fumiaki FUJITA
エコエコとは ecologica(l 環境を損なわない) and e エコノミカルconomica(l 経済的な)ということでECO friendlyと同じく非常にNOWな言葉です。(掲載号の作者の言葉より)
※正確には正五角形ではないので、少し平たい五角形になります。正五角形にしたいときは、
A4 サイズの場合、 長辺を8mmほど切り取ってください。
◆舞妓さん(だらりの帯) 窪田 八重子
Maiko-san(Japanese dancing girl) by Ms. Yaeko KUBOTA
思いがけない御便りに、光栄で胸が震えました。2月6日の誕生日プレゼント(96歳)で最高に幸せです。(作者)
古都特集で掲載した、大好評の作品です。紙選びを楽しみながらお作りください。作者の窪田さんは「貴花田・宮沢りえ」(『210号』掲載)、「トイレマーク」(『218号』掲載)、『チャップリン」(『257号』・
『おりがみ傑作選4』掲載)、「マリリンモンロー」など人物の形も多く創作されています。(編)
◆手(グー、チョキ、パー) 熊くまさか坂 浩ひろし
Hand(Stone、Scissors、Paper) by Mr. Hiroshi KUMASAKA
『こんにちは あかちゃん」という特集で、あかちゃんの手形として口絵で紹介されました。形をととのえるためにのりづけが必要ですが、グー、チョキ、パーのじゃんけんもできます。『500号』記念で、5本の指の、折り紙には欠かせない手です。お楽しみください。
◆ピュアランドパンダ サイ・チェン
イギリスの折り紙作家の Jジョンohn S スミスMITH さんが、“Pureland origami”を提唱しました。初心者にも折り紙に親しんでもらえるように、谷折りと山折りだけで作ることができる簡単な作品のことです。サイ・チェンさんは、台湾出身のアメリカ在住の折り紙作家で、1枚で折れるパンダは大人気でした。
◆梅のかんざし 飯田 和子
小さな紙でかんざし用に作った梅の花で、シベの代わりに水引がのりづけされています。この作品は「カーネーション」(『おりがみ4か国語テキスト100』収録、薗部光伸 創作)の8枚の花びらを3枚折り込んで5枚の花びらにしたもので、この方法を使って笠原邦彦さん、薗部光伸さんなど多くの作家も花や星などを1970年代に発表されています。
◆ショーケース 川手 章子
簡単に折れる作品です。掲載当時、この作品を秋祭りの屋台の商品ケースとして用いました。春なので、プランターにしてお花を飾ってもよいでしょう。逆さまの形でも使え、側面の外側や内側のポケットに、メモなどをさしこむこともできます。また、積み重ねて、積み木遊びもできます。表紙の500の数字には、この作品を使っています。
◆読者の広場
『月刊おりがみ通巻500 号』おめでとうございます!! リクエストです。よ
ろしくお願いします!!*ハイヒール『417 号』井上如童さん、巽 照美さん作 *洋傘『214 号』野間正路さん作 *門松『377 号』半田丈直さん作 *ソフトクリーム『312 号』石渡正一さん作 *飾り台『393 号』小倉隆子さん。もっと早くから『月刊おりがみ』を知っていれば… といつも思っています。
大阪府 米地さん
会員を四半世紀続けてきました。折り紙ボランティアの「跡継ぎ」もできました。入会して、本当によい体験をさせていただいたと思っています。
群馬県 奥原さん
◆折り紙遊びのはじまりと今も生きる「礼法」
現代における折り紙は、基本的には「遊び」です。
折り紙は勝敗を争うゲームではありませんが、遊びにはすべてルールがあります。ルールとは規則のことです。ルールのない競技はなく、法律のない国もないように、世の中は規則や制約でいっぱい、だからこそ秩序が守られているともいえます。
折り紙は、目に見える秩序です。
現代の折り紙遊び、つまり「遊戯折り紙」は「儀礼(礼法)折り紙」の余技として生まれたとされ、今こんにち日、両者ははっきり区別されているかのようですが、いくら「遊び」だからといっていい加減に折っていては美しい作品にならないように、あらためて、遊戯の中にも儀礼(礼法)が生きているというお話です。
◆武家社会で整備された礼法折り紙
室町以来、上流の武家社会の間で行われ、伝えられてきた日本独特の礼法のひとつが「折形」でした。
正式な礼法は、女性ではなく男性、武士のものでしたので、武具を包むための形もたくさんありました。
それらは、お止め流(秘伝)としてあくまで武家社会の中で伝えられてきました。
◆町人社会や女性の間にも普及
江戸時代に入り、紙が大量に生産、消費されるようになると、下級武士や町人、女性の間にも折り紙が広まっていきました。
秘伝だったものから一般へ普及したのには「雛形」の存在が大きいと考えられます。雛形は、折形のミニチュア版見本帳で、それは実際に物を包んでいませんので実用でなく形式的、平面的で、純粋に形を示したものとなっていて、今でいう(見立ての)「折り紙」の始まりといえます。
遊戯折り紙はこの頃生まれたと考えられていて、礼法家のいわば「余技」として、扱いの難しい紙に慣らすための練習用として弟子に教えることもあったでしょう。なお、「鶴」「薦
僧」「舟」の三点は、他に比べて早い段階で生まれていたようです。
もと武士の浪人は、家元とは関係のないところで「小笠原流」などを名乗り、礼法(折り紙はその一部です)を教えました。女性を含む裕福な町人たちは、上流をまねるため盛んに習いにきました。また「寺子屋の師匠」は、浪人に適した職業で、習字の書き損じの紙や障子の残片なども多くあったでしょうから、折り紙遊びの生まれる環境にありました。文献には、師匠が折り紙を折って子どもにあげている挿絵などもみられます。ここで注意したいのは、まだけっして折り紙が「子女の遊び」などではなく、武士の出で折り紙に関わりのあった師匠から、折った現物をもらう、という形だっただろうということです。
◆正方形用紙について
紙はもともと長方形に漉かれますから、正方形の用紙を取り出すには一手間かかります。現在、折り紙用紙といえば正方形が代表的ですが、それはなぜでしょうか。
「雛形」にある形を再現しようとするとき、あるいは先生と同じ形に折りたいとき、自分の手元には見本の用紙の相似形がなければいけません。たとえば「長方形」にもいろいろな縦横比があるので、それがまちまちでは見本と同じ形になりません。そこで便利なのが「正方形」で、わりとたやすくスタートラインを皆同じくすることができました。正方形はある意味特殊な形で、対称軸(半分に折るすじ)が2通りあること、線対称でもあり点対称でもある、四放射状でもあるので、多くの基本形に通じ、形の変化の可能性を多く秘めています。このようにして、遊戯折り紙に関しては、少しずつ紙形が正方形に集約されていったのです。
「折り鶴」も、正方形用紙がなければ生まれなかった形です。
◆礼法、作法、儀礼、様式、形式、所作
折り紙の歴史の話から少し離れます。「形(かた)を重んじる」という言い方があります。折形の「形」も同じですが、これは見本のカタチという意味だけでなく、手順や動作の決まり事という意味も含まれています。
小見出しに並べた言葉は皆、私達にとってとても大切なもの、身につけておきたいもの、というニュアンスがありますが、言葉で説明するのは難しく感じます。それはやはり「形」としか表現できないものだからでしょうか。柔道や剣道、能や歌舞伎、華道や茶道、横綱の土俵入り…皆、細かな決まりがあって、決まりが守られれば守られるほど、美しさが感じられるものです。私達は、そういった形(型)によって心と技を継承してきたのです。
◆折り紙遊びで培われる力
いま、折り紙を楽しむ中で培われる力は、次のようなものとされます。
・規則的で順序性のある物の考え方
(論理的思考力)
・創造性豊かな直感的な物の見方、
考え方(直感的思考力)
・線、形、色などの造形的美しさ
(紙の造形美)
・教え合う中での人間関係
(コミュニケーション力)
・伝統への正しい見方(伝統)
・完遂するねばり、集中力(意志力)
・秩序感など生活の良き習慣(習慣)
・造形表現の日常化(生活化)
近年、折り紙は、完成形の設計や、折り目の工学的機能などが「最先端」として注目されていますが、手遊びの中では「きちんと、ぴったり合わせて、美しい所作で、順序立てて」折らないと、美しい完成形は望めません。
折り紙遊びは、折形という武家社会の作法、礼法をルーツに持つということを、時に思い出して、「折り図という様式」や「講師の作法」を前にして、手順や所作を意識しながら少々かしこまった感じで取り組んでみると、既存の作品の中にも新たな発見があるかも知れません。
〔岡村昌夫さんよりひとこと〕
正式の礼法は武家のもので、男性社会の文化でした。江戸時代になって浪人たちが生活のために町人や女性に教えるようになったのです。女子の躾のためにできたのではないのです。紙は貴重でしたし、儀礼用高級紙は、慣れないと上手に折れません。慣れるために余技として折り紙が生じたのは自然の流れだったでしょう。長方形を斜めに使うと左右非対称の形になり、正方形だと対称になりやすいので、礼法では長方形を多く使用し、遊びの折り紙では正方形が多くなりました。正方形だと真似しやすいので、お弟子が減るのを恐れた「職業的礼法家」が敬遠したのかも知れません。 (折り紙歴史研究家)
◆海外で出会った「おりがみ」
青柳祥子
娘のありさが1歳の時に家族で渡豪しました。その娘が今21歳になります。
このお話は今から20年前の話になります。
主人の仕事の関係で、オーストラリアのシドニーで暮らすことになりました。1歳の娘と一緒に図書館に通ったり、市役所のボランティアの先生から英語を習ったりの日々でした。ある日、市役所のイベントのコーディネーターが、Shokoは日本人なのでおりがみを教えることはできないか? と尋ねられました。毎月1回クラフトの教室を企画している彼女は、おりがみはどうかと考えたわけです。その時私はおりがみが得意だったわけではないので、少し戸惑いました。おりがみは幼稚園以来でしたが、折り紙なら英語表現がきちんと話せなくても手元を見てもらえば何とかなると思い、やってみることにしました。それでシドニーの日本図書館に行って、箱、花、動物などを練習して、教室で紹介すると20人くらいの参加者は「ペーパーマジックだ!」と拍手喝采、何人かの人は自分ひとりで作品を完成することができ、嬉しさのあまり抱きついてくる人もいました。これが私の折り紙の始まりなのです。
折り紙って、すごい!こんなにたくさんの人を笑顔にさせるんだと、海外で初めて折り紙のすばらしさを再認識したのです。こんなに人を幸せにする折り紙をぜひ自分も伝えていきたいと思いました。
それから折り紙中心の生活が始まったわけですが、折り紙のことはまったくわかりませんでした。
基礎折りはもちろん、伝承折り紙もほとんど何も知らなかったからです。
その何もわからない私を、今にいたるまで導いてくれたのが、『月刊おりがみ』でした。
自宅には、おりがみの資料はなにもなかったので、シドニーの日本文化センター内にある日本図書館に行って情報の豊富な『月刊おりがみ』を見つけた時は、飛び上がるほどうれしかったです。
『月刊おりがみ』のバックナンバーをはじめ、貴重な折り紙の本がたくさんあり閲覧することができました。
大橋晧也理事長著の星の輪会出版の「折り紙の造形全2巻」『1見て折る本』『2見て創る本』(1978年発行)は、私にとってまさに折り紙の教科書でした。
近年『月刊おりがみ』で、シリーズになった新折り紙ツリーの基礎になったと思われる本です。これらのお陰で創作もできるようになったと思っています。
その後、私のユニークな教え方が広まり、いろんなところから折り紙の依頼が来ました。英語も勉強しないとならないし、折り紙も勉強しないとならないし、本当に忙しい日々でした。
耳の不自由な団体からの折り紙教室依頼、小さな子どもたちのための教室、ご高齢の方のための教室、大学で教えるとき、アートセラピーで教えるとき、中学生の折り紙クラブで教えるとき…、いつも課題とその準備で悩みましたが、月刊おりがみを通じて知り合った方々に貴重な経験談などをお手紙でアドバイスしていただき、試行錯誤しながら今に至っています。
北海道の宮本まり代さん、中野啓子さん、石塚壽美子さん(現在埼玉県)、愛知県の丹羽兌子さん、(故)守屋朝子さん、(故)山科節子さんなどは、特にお世話になりました。
山科節子さんの作品を色紙で作り市役所に飾ると、毎回誰かが持って行ってしまい(おりがみどろぼうです)何回も何回も作って貼ったことを覚えています。
最初は、折り紙を普通に教えるのでやっとでしたが、途中からお話をしながら作品を仕上げていくという「おはなしおりがみ」をするようになり、それが面白いと美術学校やニューサウスウエールス州立美術館の教育部門からも依頼が来て、裏千家(茶道)、墨絵、折り紙の3本柱の一つとして5年間仕事をさせていただきました。
その時に役に立ったのが、日本折紙協会で取得した、折紙講師の認定証でした。
この認定証のお陰で、相手も納得して仕事を契約してくれました。
日本ではちょっと笑ってしまいますが、海外で良く聞かれたことがあります。それは、「あなたはなんという折り紙大学を出たのですか?」という質問です。
私は、折り紙大学は出ていませんが、きちんとした講師認定証は持っていますと言って、NOAの認定証を見せると、向こうは安心しました。
シドニーは、キリスト教徒が多く、キリスト教の私立の学校での12月のおりがみには、NOAの『おりがみでクリスマス』の本がとても重宝しました。
日本折紙協会で知り合った仲間、先輩方そして、いつも温かく見守ってくださるスタッフ、先生方のお陰で、今の自分があると思っています。たくさんの人を笑顔にできる作品ができるよう私もNOAとともに精進したいと思っています。
創刊500号、心よりお祝い申し上げます。
◆タローのおりがみものがたり
中村桂一
2010年12月24日、日本折紙協会事務局は1979年(昭和54)年以来親しんだ東京都千代田区内から墨田区本所1丁目31番地5に引っ越しました。『月刊おりがみ』は、ここで毎月発行されています。
ここはもともとは中村紙工有限会社という折り紙工場があった場所でした。中村桂一常任理事が2010年まで経営され、「タローのおりがみ」という商標で、東京銀座の老舗文房具店伊東屋にも卸すほどの高品質の折り紙を製造販売していらっしゃいました。
『おりがみ500号』を記念して、 中村理事にノアちゃんがインタビューしました。毎日お世話になっている折り紙の楽しいお話が伺えそうです。
こんにちは。今日はよろしくお願いします。
はじめに、中村紙工さんのはじまりと、「タローのおりがみ」のマーク(男の子が桃から生まれた桃太郎の絵柄)の由来を教えてください。
中村紙工は、父の源蔵が古川折紙店という会社で修業したのち、1937(昭和12)年に創業しました。戦前から戦後にかけて、折り紙の製造は利益が大きい仕事だったようです。
父は健康な子どもに育つよう桃太郎印を商標としました。そのままももたろうでは長いというアドバイスがあり、途中からタローに変えたのを記憶しています。
「タロー」のマークには、優しい願いが込められていたのですね。たくさんの子どもたちがタローのおりがみを元気に折って大人になったと思います。
ところで、折り紙メーカー、ショウワグリム株式会社の人気折り紙「ハーモニーおりがみ」のデザインをなさったのは、中村紙工さんだと聞きました。「ハーモニーおりがみ」は、どのようにして生まれたのですか。
本州製紙という会社(現在は王子ホールディングス)があって、「ダイヤライトE」という紙を開発しました。色のついたグラシン紙(いわゆるパラフィン紙のことです)7色ほどだったと思いますが、それにエンボス加工して発売したのですが、これが全く不発で、相当量がデッドストックになっていました。
困っているのを聞いた親しい紙屋さんが、折り紙にならないかと持って来てくれました。折ってみますと、とても折りやすいし、できあがりもきれいなので、その当時はやっていたプラケースに入れて千羽鶴用の折り紙として発売しました。これが大当たりで30円の折り紙が主流の時代に200円くらいの価格でどんどん売れました。読者のなかにも買っていただいた方がいらっしゃるかもしれません。
ところがいいことは続かないですね。1972(昭和47)年8月8日、厚生省(現在の厚生労働省)による「食品衛生法施行規則及び食品、添加物等の規格基準」告示で、折り紙とつみ木が乳幼児用のおもちゃに加えられ、色が落ちる折り紙は販売できなくなったのです。
ダイヤライトEは色落ちする紙でした。翌年1月1日の法律の施行までの余裕はありましたが、ドル箱の商品を売ることができなくなるのは大変なショックでした。何
か替わりになるものをと、悩んで悩んでできたのがハーモニーおりがみです。
できた意匠登録のデザインを、株式会社グリム(現在のショウワグリム株式会社)も気に入って使用料を払って使ってくれたので、いい仕事をさせてもらいました。
また、近所の石川玩具の子会社の「こぐま」が持っていた「プラスペアおりがみ」と「エックスペアおりがみ」をグリムに紹介したのも私です。折紙協会が津田良夫さん創作の「げた」(『おりがみ13号』、ノアブックス『おりがみ傑作選1』収録)を折るのに都合がよいとプラスペアを宣伝したおかげか、プラスペアの方が人気だったようですが、実は製造するのはエックスペアの方が難しかったのです。正方形に裁断したときに、カドがぴったりとあわなくてはいけなかったので。
ハーモニーおりがみは、現在、1年に1回制作される墨田区役所の平和のオブジェ用の折り紙として使われています。区民が折った折り鶴で制作された、高さ約13m、幅約8mの巨大な壁画です。あのやわらかな色合いの紙は、世界平和を願う折り鶴を折るのにふさわしいと思います。
「プラスペアおりがみ」と「エックスペアおりがみ」は、現在は「いろわけおりがみ しかくとさんかく」という商品名で売られていて、プラスペアとエックスペアが一袋に同じ枚数ずつ入っています。以前はプラスペア10冊とエックスペア10冊が組みで一箱の納品で、「エックスペアだけが余る…」と担当者泣かせの商品でした(笑)。
中村紙工さんの折り紙は、とても折りやすいと定評があり、「形をととのえやすい造形用おりがみピタット」「タローのモノカラー両面染めおりがみ」など商品名もユニークでした。また、折り紙愛好者の要望に応えて商品化された折り紙もありましたね。
不切正方形で折る千羽鶴のために、薄くて張りのあるモノカラーの大判がほしいと熊坂 浩さんにいわれて作りました。また、芳賀和夫さんにオリガミクス用の紙がほしいと頼まれて、12cm角と12cmを短辺とする1:√2‒の用紙のセットを作りました。タント紙の単色セットも作りましたし、可能な限りご希望に添える商品を作ってきました。
『月刊おりがみ』に連載をお願いしていたころで、熊坂先生が大判のモノカラーをとても喜んでいらっしゃったのを覚えています。
ところで、大晦日には欠かせない、NHKの紅白歌合戦に中村紙工さんの折り紙が出演4 4 したことがあったそうですね。
紙吹雪です。2003年ごろから何年も、北島三郎さんの頭上で華やかに舞いました。それまでは紙吹雪の紙は型抜きで制作されたものを使っていて割高でした。舞台装置の会社の人と話す機会があって、四角なら安く作れますよと提案しました。白の薄うすようし葉紙を裁断し、一番小さい紙で2cm角でしたが、折るための紙ではないので、カドとカドがきちんとあわなくても大丈夫、おまけにきれいに重ねて納品する必要もない(笑)。
紙吹雪用はディズニーシー用のも作っていました。2cm×5cmの長方形で、5色のモノカラーを使いました。
折り紙用紙についてお尋ねしたいと思います。どのように作られていましたか。
中村紙工では、折り紙は色上質紙を仕入れて、組み合わせて裁断して、袋詰めして売っていました。そうそう、昔はビニール袋詰めはなく、セットした紙に2~3cmほどの帯を掛
けるだけでした。
折り紙製造を続けていく中でたくさんのご苦労があったと思いますが、中村理事のお言葉だと、製造はとてもシンプルですね。
今の折り紙の標準サイズは15cm角ですが、どうしてでしょうか。
15cm角は紙の取り都合で無駄がなく、また手の大きさに合って折りやすいといわれています。昔の尺しゃっかんほう貫法で5寸という大きさをセンチに置き変えたものだと思います。1寸は3.03cmなので、5寸は15.15cmになりますね。
標準的な、無地の折り紙が「教育おりがみ」という商品名になっていますが、どうしてでしょうか。
東洋紙工(現在の株式会社トーヨー)が発端だと思います。1954(昭和29)年のことで、よいネーミングなので各社が追随したのだと思います。
今の「教育おりがみ」のような折り紙は、大正時代に紙を正方形に切る技術が開発されてから製造されるようになったと思います。それ以前では、明治時代にゆしまの小林(東京都文京区にある江戸時代から続く紙舗)が、片面に色をつけた、いわゆる「いろがみ」を最初に売ったといわれています。
明治時代にフレーベル(ドイツの幼稚園の創始者)の保育法が日本に輸入され、その中に折り紙も含まれていました。幼稚園や小学校の教材に折り紙が取り入れられた影響だと思いますが、いつの間にか折り紙は子どもの遊びになっていったんですね。折り紙は、教育には必要なものです。紙を折ることによって、図形に対するセンスが磨かれます。楽しんで、学べるって、素敵なことではないですか。
今日は貴重なお話ありがとうございました。
中村理事が人々に喜ばれる折り紙を、自分自身も楽しんでお作りになっていたように、私たちもこの場所を「月刊おりがみの工場」として、会員に愛される『月刊おりがみ』を作っていけたらとの思いを新たにしました。
◆~おりがみ教室とは~◆
日本折紙協会事務局では、全国の日本折紙協会公認の折紙講師を派遣しています。
おりがみ教室をご依頼いただく際は、専用の申込書をご提出いただきますので、協会ホームページをご覧ください。
必要事項をご記入の上、実施日の最低1~2月前にご提出ください。
[折り紙教室料金表]
1.講師報酬:講師1名につき、12,600円(拘束3時間以内・対象40名まで)
※対象60名まで2名、80名まで3名、100名まで4名の講師が必要です。
※標準的な時間割は、講習1コマ45分(2作品)、準備・休憩15分です。
2.超過料:3時間を越える1時間毎に講師1名につき、2,100円を加算
3.材料費(折り紙):実費(一人100円程度+会場宛送料)※そちらで用意する場合は不要。
4.教材費(教本等):実費(内容により不要)
5.講師交通費:実費
6.講師昼食代:実費(時間帯による)
7.講師宿泊費:実費(日程による)
8.管理費:上記1~7の合計金額の50%がマネージメント料として加算されます。
※上記料金は消費税込み
※折り紙教室料金のご請求とお支払いについて
折り紙教室実施後、講師が協会に提出する「折り紙教室実施報告書」に基づき請求書を作成し、ご送付申し上げますので、ご検収の上日本折紙協会へお支払いください。
※講師への報酬等は日本折紙協会から講師にお支払いいたします。
折り紙教室でご準備いただくもの
1.予定参加人数分の机とイスをご用意ください。
2.入門証等の証明パスが必要な場合は、手続き方法と通用口をお知らせください。
3.宿泊を必要とする場合は、宿泊場所の手配の有無をお知らせください。
4.講師の人数に応じた講師控え室を教室付近にご用意ください。
5.作品展示をご希望の場合は、事前にご相談ください(別料金)。
教室時間割(プログラム)その他ご不明・ご要望は担当佐野までお気軽にご相談ください。
TEL:03-3262-4764 / FAX:03-3262-4479
日本折紙協会の公式メールマガジンです。全国のおりがみイベントを告知しています。
http://www.mag2.com/m/0000023495.html
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