特集 ひなまつり
◆おりがみ日本むかし話シリーズ
Origami picture of Japanese falk tales made by Ms.Sumiko TACHIBANA
構成 立花 澄子
第3話 花咲じいさん
THE OLD MAN WHO MADE THE DEAD TREES BLOSSOM.
3 月といえば桜! そうなれば「枯れ木に花を咲かせましょう!」という台詞が浮かんで来て、今月は「花咲じいさん」にいたしました。本来ならクライマックスの花を咲かせる場面がよいのかもしれませんが、あえておじいさんに小判のありかを教えてあげた犬を折りたくてこの場面にしました。
「お家」と「くわ」は笠原邦彦さん、「犬」は松野幸彦さんの干支の犬が日本犬でしたので使わせていただきました。15cm 角でもよいのですが、大きめに! 色は白にしましたが、お好きな色で楽しんでください。「ここ掘れワンワン!」すると小判がザックザク! 私も体験してみたいです!(笑)
「花咲じいさん」は前回の「こぶとりじいさん」のこぶを耳に変化させました。そして横から顔を出しているのは「ひょっこりはん」ならぬ隣のいじわるじいさん、悪そうな顔をしています。花咲じいさんより顔色を白く細長い顔にしました。小判は金紙に最初に横の折り線を入れてからかんのん折りをして作ります。 和紙の間にさしこんで貼ると、地面にたくさんの小判が埋まっている感じが出ます。小さな用紙で折りましたが、もっと大きな小判にしても面白いと思います。
台紙は大色紙(27cm × 24cm)に越前和紙をさいて貼りました。色味が少なく寂しかったので、桃色をちぎって貼ったら3 月らしくなりました。(立花澄子)
※「花咲じいさん」の体、着物、はかまは『522 号』P14-15をご覧ください。なお、「花咲じいさん」のあらすじは、P31のミニ知識の欄に掲載しています。
◆おひなさまHina dolls by Ms. Toshie TAKAHAMA
高濱 利恵
『おりがみ127号』(1986年3月号)とノアブックス『おりがみでひなまつり』などに掲載された作品です。今回、工程を見直し、より折りやすい図になりました。手の位置などを気にしながらお気に入りの形にしあげてください。なお、写真の作品はおびなとめびなが15cm角、それ以外は12.5cm角で折ってあります。
◆桃Peach blossoms by Ms. Tomoko TANAKA
田中 具子
パーツが折れたら大色紙(27cm×24cm)に写真や下の図を参考にのりづけしましょう。横向きの花やつぼみはがくにさしこんでのりづけします。作者の作例をきちんと再現するには用紙のサイズが小さいので、折りにくいときは構図や台紙、花の大きさや数などを工夫してみてください。
◆ごあいさつの女の子 Girl bowing her head by Ms. Ayako KAWATE
川手 章子
「ようこそ、いらっしゃいませ!」「こんにちは!」「どうぞよろしく!」などと、ご挨拶をしている女の子のように思われました。上体を少し傾けると、ごあいきょうがよく見えそうです。(作者)
◆ちょうButterfly by Mr.Yukihiko MATSUNO
松野幸彦
形はそれなり、考え方も単純ですが、最後の仕上げの折りがきついのが難点です。本の下に半日はさんでおけば平らになります。翅はねの色は模様なしの同一色にもできますが、面倒で手順長くなるので…。(作者)
◆ミニ知識
◇花咲じいさん…昔話。江戸時代の赤本(17 世紀の終わりから18 世紀の中ごろにかけて発行された子ども向けの本文10 ページの絵本。表紙が赤い色だったことが名前の由来)に「枯木に花さかせ親仁」とあり、それがもともとの題名だと考えられています。明治時代になって国語の教科書や唱歌にも取り上げられました。川で拾って育てた犬がきっかけとなり次々と幸運を得る正直なおじいさんと、それをうらやむ隣の欲の深いおじいさんの失敗の物語です。あらすじは次のとおりです。正直じいさんが拾ってかわいがっていた犬が示す場所を掘ると宝物が出てきました。それを見ていた隣のじいさんが犬を借りて引き連れていくと、犬が転んだのでそこを掘ると、汚物や犬のフンがたくさん出てきます。怒った隣のじいさんは犬を殺します。悲しんだ正直じいさんは、犬を木のそばに葬ります。夢枕に現れた犬が告げるとおりに、その木から臼うすを作って餅をつくと小判が出てきます。隣のじいさんは臼を借り餅をつきますが、また汚物と犬のフンが出てきます。怒って臼を燃やします。正直じいさんはその灰を持って帰ります。その灰をまくと、枯れ木にたくさんの花が咲き、殿様を喜ばせて褒ほうび美の宝物をもらいました。隣のじいさんも同じようにまきますが、灰が殿様の目に入り、罰を受けました。
◇雛祭り…3月の最初の巳み の日に水辺で体を清め、桃の酒を飲んで、穢けがれをはらうという中国の昔の風習(上巳)が、海や川に出かけ、紙や植物で作った人ひとがた形に息を吹きかけ、体をなでて川にながし、身の穢れをおとして健康を願うという日本に古くからある信仰と結びつきました。また、中国から伝わり、奈良、平安時代に貴族の間で行われた、曲がりくねった流水に酒杯を浮かべて杯が自分の前を通り過ぎる前に和歌を詠むという風流な「曲水の宴」がありました。一方、貴族の女の子たちの
お人形さんごっこの「雛遊び」があり、形かたしろ代としての人ひとがた形と雛人形が結びつき、今の雛祭りの始まりとなりました。
◇雛人形…雛祭りに飾る人形。天皇夫妻をかたどっているものではなく、皇族や公家の生活は「おおよそこのようなものだろう」という武家や庶民の憧れが反映されています。毛氈(フェルト)の上に紙雛や内裏雛を並べていましたが、五段や七段など階段状の雛壇に道具や供え物をあわせて飾り、豪華さを競うようになりました。最上段に男雛と女雛の内裏雛、雪洞、金屏風を置きます。向かって左に男雛、その隣に女雛を飾ることが多いです。これは、昭和天皇(大正天皇という説もあります)の即位式での西洋式の並びが流行したためとされています。もともとは天子(天皇)は南を向いて位置すると、日が昇る東側が上座になるという古来の考え方から、向かって右に男雛が置かれていました。現在は男女左右どちらでもよいとされています。二段目に三人官女です。通常、真ん中が三方を持って坐り、両側は長柄の酒入れと銚子という柄のない酒入れをそれぞれ持って立っています。三段目にあどけない少年の五人囃子です。向かって左から太鼓、大鼓、小鼓、笛、謡の順で並びます。これは能楽の囃子方と謡の並びと同じです。その下には右大臣と左大臣と呼ばれる随身です。白い鬚ひげの老人が位が高い左大臣、若い方が右大臣とされています。五段飾りの一番下の人形が仕丁です。泣き顔の真ん中、向かって右の笑顔の老人、怒った若い男、この3 人の表情から三人上戸ともいわれています。
◇啓蟄…二十四節気(地球から見た太陽がえがく大きな円の位置で1 年を24 に分けたもの)のひとつで、3 月6 日ごろです。地中で冬ごもりの虫が春の訪れを感じ、草木が芽吹くのにあわせて、地上へ出てくるという意味です。東京ではモンシロチョウが見られるころです。
●ミニ知識参考図書:『対訳日本昔噺集』(彩流社)、『日本昔話大成』(角川書店)、『日本の昔話百科』(河出書房新社)、『植物と行事』(朝日新聞社)、『節供の古典』(雄山閣)、『川原慶賀の「日本」画帳』(弦書房)、『年中行事・儀礼事典』(東京美術)、『江戸ごよみ十二ケ月』(人文社)、『浮世絵で読む、江戸の四季となわわし』(NHK出版)、『母と子のお雛さまめぐり』(美術出版社)、『雛まつり 親から子に伝える思い』(近代映画社)、『世界大百科事典』(平凡社)、『朝日新聞』(朝日新聞社)
◆英語でオリガミしよう Let’s enjoy both Origami and English!
花びらたとう
吉田 淳子
たとう折りからの発展作品です。 下の写真のように、何段階かの小さいサイズの紙で折って重ねたり、同じ大きさの紙で折って、のりづけしてリースを作っても楽しいです。(作者)
This model is a developed version of “Tatou(envelop)” fold. As shown in the
pictures below, you can superimpose models made of different sizes of paper
or glue models made of the same size of paper to create a wreath. (Author)
◆毘沙門天Bishamonten: Vaisravan a( Guardian god of Buddhism) by Mr.Eiji TSUCHIDO
土戸英二
この七福神のシリーズは、体の⑪の形から頭と体を作るように工夫するのを目標にしましたが七柱のうち四柱は変形させています。毘沙門天もその一つで、基本からどう変形させているかを考えてみるのも面白いと思います。同じ基本形のバージョンは(右図)、小さくなるのでお蔵入りになっています。(作者)
◆読者の広場
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たくさんのサンタさんを作りました。12 月に折り紙展をしますので、どれを飾ろうか迷っています。「くるみ」も作りました。とてもリアルにできました。
京都府 井上さん
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「くまさん」がよかったです。今月号はクリスマスの作品が多くてうれしかったです。立体作品に興味があります。
大阪府 井上さん
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いろいろなサンタさんが登場して、楽しく折れました。12 月号には来年の干支の作品を載せてほしいです。
静岡県 青木さん
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◆みんなの広場
2018年の活動報告 鶴嶋ひろみ(埼玉県)
折紙講師資格をとって14年、デイサービスや学童などのボランティア活動も10年が過ぎました。折り紙を通してこんなにも皆さんと交流がはかれるとは思ってみませんでした(もちろん日本折紙協会の会員さんとの交流も含んでいます)。お年寄りと学童とでは作るものは違っても、できあがったときはとても喜んでくれるのは同じです。学童はヘビがとても気に入ってたくさん作り、お年寄りの施設訪問のおみやげにしました。施設の方々は季節のものを喜びますネ。いくつか作品を紹介したいと思います。
高坂丘陵地区文化祭
デイサービス
学童保育
2018年も11月10日(土)・11日(日)、東松山市高坂丘陵地区の文化祭に参加しました。参加することが当たり前になってきた今回はそれぞれの個性も出てきて、仕上げもとても見栄えよくなりました。これからが楽しみです。
◆円ひな
沓名輝政
カンタンに立体になり外国人にも人気。美しい和紙で折って贈り物に。アレンジして和装の人形いろいろ。みんなで楽しく折って世の中まーるく。(^^)。(作者)
◆高木 智 氏 収蔵資料より
解説 岡村昌夫
【資料7】『森脇家旧蔵おりがみ資料群』(もりわきけきゅうぞうおりがみしりょうぐん)
その2(3回連続で高木氏が分類・整理されたファイルを写真で紹介します)
参考図書:『折るこころ 折り紙の歴史』執筆 岡村昌夫、1999年
龍野市歴史文化資料館(現:たつの市立龍野歴史文化資料館)発行
江戸時代には鶴、薦僧、三さんぼう方など、正方形の紙を切り込みなしで折る作品が広く知られていた一方で、「人物折形」はその独特の世界を作っていました。まず、「鶴の基本形」を折り、広げて正方形の各辺の中央から用紙の中心に向けて切り込みを4本入れてから折り始めるのが基本で、さらに複雑な形にしたいときは切り込みの数を多くしたり、用紙の形を複雑にするような工夫も行われました。紙の中央で人物の頭を作るので、柔軟かつ強靭な和紙が欠かせないこともあって、昭和期に入って和紙の衰退とともに作られなくなったという経緯があります。
前回から紹介の「森脇家旧蔵おりがみ資料群」にも「人物折形」が多くあります。なお、作品名に見られる「したかた」とは見本のことです。
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