特集「お正月」
年頭所感 日本折紙協会 理事長 内藤正光
あけましておめでとうございます。
昨年は愛知県で大規模な万博博覧会が開かれ、国内・海外合わせて2200万人もの参観者を集めました。その状況は連日テレビや新聞などのマスコミに流れましたが、地元の日本折紙協会の会員の皆様は人気のマスコット“モリゾーとキッコロ”などをモチーフとした折り紙作品を多数創作し、展覧会の宣伝を助け、各方面より賞賛を受けました。
一方、万博会場が盛況を極めた7月下旬、日本折紙協会は“世界のおりがみ展”と“折紙シンポジウム”を同時期開催し、内容の充実したイベントを展開しました。その内容は「月刊おりがみ」誌上で紹介したように“お国自慢”をテーマに地方文化の魅力や伝統行事の美を折り紙の造形に結集させたユニークな作品群で、猛暑など厳しい気象条件の下で全支部と会員の皆様が一丸となって達成した成果はなかなかのものであったと自負しております。
新年度は“世界のおりがみ展”で見せた効果を巡回展やその他の方法で全地域に広く伝達・宣伝し、協会の底力を知らしめる努力をしたいと念願しています。またこれとは別に時代の要請である高齢者の福祉問題や少子化に対処する年配の方や子どもが楽しめる折り紙の創造に向かって、会員の皆様の英知を集め、努力したいと考えています。
掲載作品と作者のコメント(☆はおりがみ級申請作品)
①おめでとうございます・川手章子
「福助さんのような小さな子が裃をつけ、両手をついてごあいさつしているようにお顔には一番よい笑顔を描いてみてください。するとこちらを向いてニコッと微笑んでくれますよ。」
②道行きコート・川手章子
「“道行きコート”は和装用コートをいい、私が幼かったころに母が着て外出するのを思い浮かべました。和風柄の折り紙で折って楽しんでください。」
③☆いぬ・丹羽兌子
「この犬は折り手紙として折ったものですが、尻尾をスタンドにすれば置物にすることもできます。折り図には折るための基準が示してありますが、角度や折り加減を工夫するといろんな表情が楽しめます。」
④ワンちゃんの折り手紙・亀山真代
「今やメールで会話や情報交換できる便利な時代。とはいえ折り手の温もりも一緒に伝わる折り手紙は勝るに劣らずです。折ったワンちゃんに目を入れてあげましょう。多くの場所でワンちゃんがお役に立ちますように。」
⑤犬・佐橋博子
「折り加減で顔の形が変わります。適宜のりづけしながら全体の形を整えましょう。目と鼻には黒色の和紙を小さく丸めて貼るとよいでしょう。かわいい犬を作ってください。」
ミニ知識・犬
ペットとして人気の高い犬は1万年も前から人間との共同生活をしてきました。犬は人間の狩猟を助け、かわりに人は犬にえさを与えました。
多産にもかかわらずお産が軽い犬は日本では安産の守り神とされ、妊娠5か月目の戌の日に腹帯を巻くという風習があります。また犬の語源は「行(い)き畢(ぬ)る」(畢るは「終わる」の意味)から“もののけが立ち去る”という意味で、犬は魔除けとされました。
ミニ知識・チワワ
メキシコでは古代からテチチと呼ばれる豚に似た小さな犬が飼育されていて、それがチワワの起源とされています。チワワの名の由来は1850年にアメリカ人がメキシコ市のチワワ市から基礎犬を連れ帰ったことからだそうです。
犬の中でもっとも小さいながら縄張り意識が強く、動作が機敏で番犬としての役目を十分こなす忠実で勇敢な犬です。
参考図書:「動物名の由来」(東京書籍)、「平凡社大百科事典」(平凡社)、「漢語林」(大修館書店)、「大日本百科事典ジャポニカ」(小学館)、「コートと羽織の事典」(婦人画報社)
⑤ヨークシャーテリア・土戸英二
「色分けがかわいらしい作品です。両面同色の用紙を使えばまた違った印象になります。」
⑥いぬ・松野幸彦
「しっぽは上向きにかぶせ折りしてもよいでしょう。後半の工程を工夫すれば、サイやゾウなど他の動物にも変えることができます。」
⑦☆チワワの顔・成田光昭
「テレビCMでますます人気者になったチワワの離れた目とかわいい表情をつくろうと折り紙用紙の両面を生かしました。顔の色を自由にして、目と鼻にあたる部分を裏面から別の色の折り紙を貼ってもよいでしょう。」
⑧チワワ・青木良
「普通の15cmの折り紙よりも大きくて薄い紙で折るとよいでしょう。」
⑨コマ・飯田和子
「年賀状、ポチ袋、はし袋などに貼っていただければと思っています。折り上がったときに芯が一本通っていればよいでしょう。」
~おってあそぼう~☆くんくんわんわん・アレンジ青柳祥子
「伝承の奴さんからこの作品は生まれました。しっぽを軽くたたくとクンクンしながら進み、お手もお座りもします。シドニーの折り紙教室でも人気者の一つでした。シドニー空港の検疫で大活躍のビーグル犬のようだといわれました。」
⑩鶴のたとう・青柳祥子
「できあがりがダイヤモンドと鶴の共演のようで美しいです。羽根を引っ張ると大切なものが中にしまえます。お正月らしく紅白や、その日の気分でいろんな色で(両面折り紙でも)お楽しみください。」
⑪鶴の薬玉(ユニット)・富永康平
「伝承の鶴を薬玉に仕立てました。作品は正四面体を基本骨格とし、稜線1本に鶴2羽を配置しましたが、他の多面体や稜線1本に鶴1羽で作ることもできます。」
⑫狐面・矢野由加里
「私の理想とする狐面の形に近づけたと思います。」
ミニ知識・狐の面
面をはじめとする郷土玩具は日本人が暮らしの中で生み育ててきた庶民的文化財です。面はもともと動物を招き寄せたり捕ったりする狩猟用、死者神霊をはらう呪術・祭事用、厄除けなどのために用いられました。
郷土玩具の面は江戸時代に入ってから子どもの遊び道具としてよく使われました。特に狐面は江戸時代に盛んだった初午祭りの影響から、たくさんの種類があります。また江戸時代には大晦日や正月に狐の面をかぶり、御幣をもち、太鼓をたたき「ご祈祷、ご祈祷」と呼びながら遊里を舞い歩いた芸人が多くいたそうです。
なお関東の稲荷の元宮である東京の王子稲荷には狐の面をかぶって練り歩く「狐の行列」という伝承行事があり、これは大晦日に1本の榎のもとに近郷在住の狐たちが集まってきて装束を整え、参拝したといういい伝えから始まったそうです。
⑬鶴・三菱、鶴・松竹梅・竹内恵子
「伝承の折り鶴が大好きです。その美しい姿を壊すことなく、いろいろな形を創りたいと思っています。またその過程も楽しみたいです。お正月飾りにふさわしい鶴が生まれました。」
⑭願い絵馬・木下一郎
⑮つばき・アレンジ三浦順子
「一度つけた山折り線と谷折り線を変えるだけで、紙の重なりが変わったりポケットができたり…折り紙ってホントに面白い!かわいい花姿の椿をお楽しみください。」
~おってあそぼう~携帯ねじりゴマ・川手章子
「ねじり込むように2つのパーツを組み合わせます。中心を押し込んで上下を合わせる時はフチに気をつけて少しずつまとめます。また中心をとがらせるとクルクル回ります。2つのパーツを携帯すると出先でもサッと作れます。」
◇◇支部だより◇◇
~広島支部「アトムクラブ」支部長 曽根泰子~
2005年3月21日~26日に日本折紙協会広島支部(アトムクラブ)と韓国折紙協会釜山支部との第2回日韓折紙合同展を釜山の区役所で開催しました。
私たちが会場に到着したときには、事前に送った作品の飾りつけは釜山の方々でほとんど終えてくださっていました。嬉しかったことは、韓国折紙協会の方々がソウルから来てくださったことです。盧英恵さん、張潤宇さん、金相憲さん、本当にありがとうございました。
会場もとても広く、作品も会場に負けないほど立派な作品ばかりで一つ一つのスケールの大きさに驚かされました。第3回日韓折紙合同展は未定ですが、広島で開催する予定です。
~練馬支部「ノア・こぶし会」~
2005年8月28日~31日に東京芸術劇場(東京都豊島区)5F展示ギャラリーで「第10回東京アワーズ2005・市民の祭典」が開催されました。生け花、陶芸など様々なジャンルの展示発表の中、練馬支部が「折り紙」の団体として参加、色紙や立体作品合わせて約70点を展示しました。
寄稿:小学校の共同制作で折り紙指導 小の林知恵美(栃木県)
「風土記の丘(今年のシンポジウムでお馴染みになりました)」の国分寺小学校で、2004年の人権教育推進事業の一環として中学年2学期総合学習の時間を担当しました。同年10月には創立130周年記念の共同制作として、3年生は夏の風景を6月紫陽花、7月校庭の椎木、8月花火で表現し、4年生93名は「川崎ローズ」を約300個折り、薔薇文字に仕上げました。
はじめは少々荷が重いかと心配でしたが、折りすじをつけるグループ、ねじって花の形にする係や接着係など、子どもの特性に合わせて分担作業で取り組みました。完成した作品を目の当たりにしたときは大きな歓声と拍手が響き渡りました。
寄稿:フランス折紙協会の方との出会い 曽根泰子(広島県)
「2005折紙シンポジウム(鬼怒川温泉)」に今回も参加させていただきました。私は歴史部会に出席ましたが、終わってから少し時間がありましたので「おりがみ広場」の部屋に入ってみました。お友だちが教えておられましたので見ていると、肩をトントンと叩かれ振り向くとフランス折紙協会の方でした。
フランス語の話せない私ですが、言葉がいらないのが折り紙の世界です。私は両面折り紙を出して360号に掲載の「なすび」を紹介しました。最後まで折られたので持参していたリボンとパンチでしおりにして差し上げたところ、とても喜んでいただき名刺の交換をしました。すると「広島に7月29日に行きます」といわれたのでお会いすることになり、平和公園でまた再会しました。
私にとって今年のシンポジウムは思いがけない出会いがあり、忘れられない思い出ができました。皆様もぜひお友達との楽しい思い出の1ページをつくってみてください。
「第12回おりがみカーニバル」記念作品入賞者発表(東京都渋谷区「こどもの城」)
審査員
有福一昭(こどもの城 造形事業課長)
井口由子(こどもの城 小児保健部長)
内藤正光(日本折紙協会理事長)
大橋晧也(日本折紙協会常任理事)
重松祥司(日本折紙協会常任理事)
[長野耕平賞] 臼井理子(新潟県)「メリー・クリスマス」
[日本折紙協会賞] 安長義高(京都府)「Peep Show “お月見”」
[こどもの城賞] 広瀬愛理(神奈川県)「ハッピイー、クリスマス」
[努力賞] 曽根泰子(広島県)「クリスマスツリー」
[奨励賞] 小佐野翔也(山梨県)「12ヶ月の時計」、峯岸道子(埼玉県)「大好きな夏」
[技術賞] 飯田和子(大阪府)「連花・アジサイ」
[アイディア賞] 青柳祥子(愛知県)「大好きな夏・A海の上B木陰C土の上」
[ミニチュア賞] 島田幸子(埼玉県)「素敵にアレンジ・こんなくす玉いかが!(小花)」
[特別賞] 島袋幸子(沖縄県)「寒緋桜の咲く頃」、左方文子(埼玉県)「収穫・晩秋」
[佳作] 都筑純子(東京都)「海を見た日」、坂間賀世子(東京都)「花時計」、藤森節子(神奈川県)「夜桜」、加賀谷智子(神奈川県)「秋の思い出」
~日本折紙協会(http://origami-noa.com)とは~
NIPPON ORIGAMI ASSOCIATION (NOA)
日本折紙協会は、折り紙を世界の国々により一層普及させたいという思いと、幼児教育に限らず、大人の趣味、高齢者や身障者の方のリハビリテーションなど様々な可能性をもつ「おりがみ」普及の一助となりたいという考えから1973年10月27日に結成されました。
現在では、月刊「おりがみ」の発行、「世界のおりがみ展」「折紙シンポジウム」の開催、「おりがみ級」「折紙講師」「折紙師範」「折紙上級師範」の認定、「おりがみの日」記念イベントの実施、「日本折紙博物館」との提携など、おりがみ普及のためにさまざまな活動を行っています。
~会員になるには~
月刊「おりがみ」の年間購読を申し込めばどなたでも会員になれます。会員の特典として、協会発行単行本と協会取扱い折り紙商品の割引購入、月刊「おりがみ」への創作作品投稿、「世界のおりがみ展」「おりがみの日」「折紙シンポジウム」など協会主催行事に参加および作品を応募できるほか、「おりがみ級」「折紙講師」の申請資格があたえられます。
~月刊「おりがみ」とは~
会員から投稿される創作折り紙作品(話題の動物やキャラクター、季節にそった行事・イベントに関するもの)の折り図(折り方を図で順番に説明したもの)を紹介するほか、会員の折り紙活動を紹介します。折り図の順番通りに折っていけば完成できるので、小学生から90代の方まで1万人を超える会員の方がおりがみを楽しんでいます。
月刊「おりがみ」は毎月末ごろお届けします。
~世界のおりがみ展とは~
日本折紙協会各支部がさまざまな風景や情景を折り紙で制作した美しい大型の立体パノラマ作品と国内外の個人創作作品を展示するほか、おりがみ教室の開催や、書籍と折り紙の販売コーナーを設置します。全国各地で不定期に行っています。
~折紙シンポジウムとは~
全国各地で毎年夏(7月下旬)に開催。講演会、児童教育部会、歴史研究部会、創作部会、折り紙教室などにより新たな折り紙の世界に触れる機会として、また会員相互の情報交換や懇親の場として2泊3日の日程を行楽地(温泉地)で楽しく過ごします。世界各国から毎年300名を超えるおりがみファンが集まる世界最大の「おりがみイベント」です。
~おりがみの日(11月11日)とは~
この日は世界平和記念日であり、また数字の「1」が4つで正方形折り紙の4辺を表すことから、日本折紙協会では「おりがみの日」としています。この日を中心にして、会員の皆さんから寄せられた創作作品の展示会(おりがみカーニバル)やおりがみ勉強会をこどもの城(東京都渋谷区)で開催します。
~「おりがみ級」と「折紙講師」とは~
「おりがみ級」とは、主に16歳未満の会員のための資格です。月刊「おりがみ」で指定している作品を規定数折って協会に送付し、認定されると「おりがみ級認定証」が授与されます。最初は10級からスタートします。16歳未満の1級取得者には申請により「こどもおりがみ博士」認定証と、NOA特製バッジが授与されます。(詳細は月刊「おりがみ」をお読みください)
「折紙講師」資格は、16歳以上の会員であればどなたでも申請できます。協会発行の「おりがみ4か国語テキスト」を購入し、テキスト掲載の全作品約60点を自作完成させた形で申請書(テキスト巻末)とともに協会に送付し、申請料2,100円を納付(下記口座番号へ郵便振替)します。その後審査会が全作品合格と認定した方に折紙講師認定証と講師バッジを授与します。不合格作品があれば、その作品のみ折り直して再提出いただきます。(詳細は月刊「おりがみ」をお読みください)。
おりがみ4か国語テキストの購入方法は、郵便局にある払込取扱票の通信欄に「テキスト1冊」とご記入の上、テキスト代1,020円+送料290円=1,310円を下記へ郵便振替で送金していただければ入金日より1週間~10日でお届けいたします。
口座番号00110-6-188035 加入者名「日本折紙協会」
~おりがみをおしえる~
老人ホームや社会福祉施設、自治体主催のサークル、保育関係施設・学校、文化センター、カルチャー教室などなど、さまざまな場所でおりがみは活躍しています。
独自にボランティアで教えている会員の方も多くおられますが、協会には全国から「おりがみを教えてくれる方を紹介して欲しい」という依頼が毎月あり、折紙講師資格をお持ちの会員の方に指導をお願いしております(協会より報酬を支給)。
おりがみ教室では、お子さんから年配の方まで「おりがみをおぼえたい」という気持ちにこたえようと講師も真剣です。熱のこもった授業を終えて帰られる皆さんの表情は満足そうですが、講師の方は生徒の「ありがとう」の言葉に安心しつつも、もっとわかりやすい説明はないだろうかと考えるようです。毎回真剣勝負なので様々な苦労がありますが、いろいろな形で努力が報われるようです。
日本折紙協会の公式メールマガジンです。全国のおりがみイベントを告知しています。
http://www.mag2.com/m/0000023495.html
月刊おりがみの無料サンプル
436号 (2011年11月01日発売)
436号 (2011年11月01日発売)をまるごと1冊ご覧いただけます
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