□注目判決動向
2005年12月10日―2006年1月17日
□連載[裁判例総覧]
第4回
営業権侵害をめぐる裁判例(4)
升田 純
□判例解説
[民・商事]
升田 純
○船舶の衝突によって生じた不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効(商法798条1項による1年間)の起算点は、民法724条所定の被害者が損害及び加害者を知った時から進行する(最高裁平成17年11月21日第二小法廷判決)
○公立病院の診療に関する債権の時効期間は、地方自治法236条1項所定の5年ではなく、民法170条1号所定の3年である(最高裁平成17年11月21日第二小法廷判決)
○JVが請け負った土木工事のための工事用土砂の運送について、JVが商法753条1項所定の荷受人と認められなかった事例(名古屋高裁平成17年9月8日判決)
○1 ゴルフ場の経営会社が会社分割(物的分割)により新設会社にゴルフ場の営業を承継させた場合において、ゴルフクラブの会員の契約上の地位が新設会社に承継されていないとされた事例
2 前記の会社分割において、新設会社が商法26条1項の類推適用により、分割会社のゴルフクラブの会員に対する保証金の返還債務を負うとされた事例
(名古屋高裁平成17年10月6日判決)
○1 証券会社の従業員が高齢者に円建他社転換特約付債券(EB)を勧誘して販売したことにつき、適合性の原則違反が否定された事例
2 上記勧誘につき証券会社の従業員の説明義務違反が肯定された事例
(名古屋地裁平成17年8月10日判決)
○高齢者の作成した自筆遺言証書が自書したものではないとして無効とされた事例(松山地裁平成17年9月27日判決)
○1 新築建物の瑕疵が認められ、請負業者の瑕疵担保責任が認められた事例
2 前記請負業者の代表取締役の商法266条ノ3所定の責任が認められた事例
3 前記建物の工事監理を行った建築士の不法行為責任が認められた事例
(札幌地裁平成17年10月28日判決)
○生命保険会社の従業員が高齢者に相続税対策として銀行から融資を受けて保険料を支払うことにより変額保険に加入することを勧誘し、高齢者が変額保険に加入した場合について、説明義務違反による生命保険会社、銀行の共同不法行為責任が肯定された事例(東京地裁平成17年10月31日判決)
○1 広汎性発達障害等を有し、保育園における給食指導が原因で外傷性ストレス障害(PTSD)を発症した児童が小学校に就学中症状が悪化したことにつき、担任教諭の給食指導上の義務違反が否定された事例
2 上記児童の症状悪化につき、小学校の校長の児童の状態、配慮すべき事項について、十分な聞き取りを行い、担任教諭等に周知する体制を整えるべき義務違反が肯定された事例
(大阪地裁平成17年11月4日判決)
○1 準共有株主による権利行使者の指定に当たり、一部の準共有者が参加の機会が与えられなくても、やむを得ない事情があるとし、指定が有効とされた事例
2 真実の株主に招集通知を発することなく、実質的権利を有しない名義上の株主に招集通知を発することは、株主に対する株主総会の招集通知を定めた商法232条1項に違反するとされた事例
3 代表取締役が、株主名簿上の株主が実質的な株主でないことにつき疑いが生じた場合には、その株主に権利の行使を認めることにより株主総会における決議等会社の行為の効力が後に覆滅することがないよう、株主権の帰属につき必要な調査を尽くすべき注意義務に違反しないとされた事例
4 株主総会開催禁止の仮処分命令を肯定するだけの会社に回復困難な損害が認められなかった事例
(東京地裁平成17年11月11日決定)
[民事手続]
慶應義塾大学民事手続判例研究会
(監修)三木浩一
○1 宗教法人の責任役員及び代表役員を選定する檀信徒総会決議の不存在確認の訴えにつき確認の利益があるとされた事例
2 責任役員又は責任役員代務者と称して宗教法人の運営にかかわってきた檀信徒が責任役員及び代表役員を選定するための檀信徒総会を招集することが許されるとされた事例
(最高裁平成17年11月8日第三小法廷判決)
○更生会社の管財人が旧会社更生法(平成14年法律第154号による改正前のもの)78条1項1号に該当する行為についてした否認の効果は、当該行為の目的物が複数で可分であったとしても、目的物すべてに及ぶ(最高裁平成17年11月8日第三小法廷判決)
○市の議会の会派に所属する議員が政務調査費を用いてした調査研究の内容及び経費の内訳を記載して当該会派に提出した調査研究報告書が、民訴法220条4号ニ所定の「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」に当たるとされた事例(最高裁平成17年11月10日第一小法廷決定)
○根抵当権者が競売の申立ての際に提出した登記事項証明書に、当該根抵当権の登記のほかに譲渡担保を原因とする同人への所有権移転登記が記載されていても、同登記事項証明書は、民事執行法181条1項3号の文書に当たる(最高裁平成17年11月11日第二小法廷決定)
[行政]
橋本 勇
○1 町が設置した公の施設を運営する団体に対する補助金の支出が「公益上必要がある場合」に該当しないとすることはできないとされた事例
2 住民訴訟において原告である住民は請求を放棄することはできない
(最高裁平成17年10月28日第二小法廷判決)
○市と外国都市との間の高速船運航事業を目的として設立された第3セクターに対する市の補助金の交付が地方自治法232条の2所定の「公益上必要がある場合」に当たるとされた事例(最高裁平成17年11月10日第一小法廷判決)
○市の助役が民間団体の開催する会合に出席した際の会費相当額として支出された市長交際費が社会通念上相当と認められる範囲を超えるものとした原審の判断に違法があるとされた事例(最高裁平成17年11月15日第三小法廷判決)
越智敏裕
○1 都市計画事業の事業地の周辺に居住する住民のうち事業が実施されることにより騒音、振動等による健康又は生活環境に係る著しい被害を直接的に受けるおそれのある者は同事業認可の取消しを求める訴訟の原告適格を有する
2 鉄道の連続立体交差化を内容とする都市計画事業認可の取消訴訟において事業地の周辺に居住する住民が原告適格を有するとされた事例
3 鉄道の連続立体交差化に当たり付属街路を設置することを内容とする都市計画事業認可の取消訴訟において事業地の周辺に居住する住民が原告適格を有しないとされた事例
(最高裁平成17年12月7日大法廷判決)
[知的財産権]…著作権等
小倉秀夫
○社内的に反対を受けつつも作成したプログラムや在外研修中に作成したプログラムについても職務著作の成立を認めた事例(東京地裁平成17年12月12日判決)
[知的財産権]…不競法
今給黎泰弘
○競業者が「特許権を無断で実施したため仮処分を申し立てた」旨記載した文書を自社のインターネット上のウェブサイトにのせた行為が不法行為にあたらないとされた事例(大阪地裁平成17年10月31日判決)
□米国注目訴訟
企業経営・株主代表訴訟関連/知的財産関連/クラスアクション関連
商品情報・内容
- 出版社:レクシスネクシス・ジャパン
- 発行間隔:月刊
■ アメリカに本拠を置く世界最大級の法律情報出版及びデータベースサービス企業、レクシスネクシスによる判例誌。
著名な学者、実務家による重要判例のコメントをどこよりも「早く」「わかり易く」提供することに編集の主眼を置く。また、膨大な裁判例をテーマ毎に類型化し、解説した「裁判例総覧」(執筆:元東京高裁判事 升田純・中央大学法科大学院教授)や、米国の株主代表訴訟、集団訴訟、知的財産権に関する訴訟等を紹介した「米国注目訴訟」、最新の裁判例を網羅した「注目判決動向」など、他のコーナーも充実。
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