●注目判決動向 2005 年9月1日▶2005 年9月30 日
●連載[裁判例総覧]
第1回 営業権侵害をめぐる裁判例(1)
●判例解説
[民・商事]升田 純 ○証券会社の担当者が、顧客の意向と実情に反して、明らかに過
大な危険を伴う取引を積極的に勧誘するなど、適合性の原則から著しく逸脱した証券取引の勧誘をしてこれを行わせたときは、不法行為上も違法になるところ、顧客である株式会社に株価指数オプョンの売り取引を勧誘したことが適合性の原則から著しく逸脱したとはいえないとし、不法行為が否定された事例 (最高裁平成17 年7月14 日第一小法廷判決)
○貸金業者は、債務者から取引履歴の開示を求められた場合、開
示義務を負うか(積極) (最高裁平成17 年7月19 日第三小法廷判決)
○会員制リゾートクラブを経営していた会社から顧客らが預託金を預託して会員権を購入したところ、会社が倒産するとともに、会員権の預託金返還債務を保証していた会社が倒産したため、顧客らが保証会社の親会社である銀行に対してした預託金の返還債務の保証の履行請求、損害賠償の請求を棄却した事例
(札幌高裁平成17 年5月18 日判決)
○有責配偶者からの離婚請求を認容した事例 (名古屋高裁平成
17 年5月19 日判決)
○ニレコ事件
敵対的買収者が出現した場合に新株予約権が行使され、会社の
発行済株式総数が増加することを内容とする敵対的買収の事前
対策として実施された新株予約権の発行が不公正な取引方法に
当たるとされ、差止請求を認めた仮処分に対する保全抗告が棄
却された事例 (東京高裁平成17 年6月15 日決定)
○株式の所有者の死亡、名義貸しの伴う株主をめぐる紛争がある
場合において、抗告人が一応株主であることを認めたものの、会社に回復困難な損害を与えるということができない等とし、株主総会開催禁止の仮処分の申立てを却下した原決定を維持し、即時抗告を棄却した事例 (東京高裁平成17 年6月28 日決定)
○権利能力のない社団につき犯罪行為を指摘する週刊誌の記事が名誉毀損に当たり、記事を掲載、出版した出版社が真実と信じ
る相当の理由がないとし、出版社の不法行為責任を肯定した事例(慰謝料を200 万円認めた事例) (東京地裁平成17 年5月13 日決)
○経営破綻した銀行の元取締役につき違法配当に関する善管注意義務違反、忠実義務違反が否定された事例 (東京地裁平成17年5月19 日判決)
○弁護士が会社の法務担当者らにつき民事事件における承認に対して偽証教唆があった旨の告発、記者会見をした場合について、その内容が真実と信じる相当な理由があるとし、名誉毀損を否定し、名誉毀損を主張した民事訴訟の提起が不法行為に当たらないとした事例 (大分地裁平成17 年5月26 日判決)
○マンションの販売業者の従業員がマンションの販売に当たって顧客に対してペットの飼育の許否につき正確な情報の提供をしなかった場合について、マンションの販売業者の顧客に対する不法行為を肯定し、慰謝料の損害を認めた事例 (大分地裁平成17 年5月30 日判決)
○ニレコ事件
1 企業買収の事前の対抗策としての新株予約権の発行が法令に違反しないとされた事例
2 前記新株予約権の発行が著しく不公正な方法によるものとされ、新株予約権の発行の差止仮処分申請が認容された事例 (東京地裁平成17 年6月1日決定)
○1 スキューバダイビングのライセンス取得を目的とした主催旅行に参加した者がダイビングスクールの海洋実習中に溺死した事故につき、ダイビングスクールのインストラクターの不法行為責任が肯定された事例
2 ダイビングスクールの開催者の使用者責任が肯定された事例
3 旅行を主催した旅行業者の安全配慮義務違反による債務不履行責任が否定された事例 (大阪地裁平成17 年6月8日判決)
○ニレコ事件
敵対的買収者が出現した場合に新株予約権が行使され、会社の
発行済株式総数が増加することを内容とする敵対的買収の事前対策として実施された新株予約権の発行が不公正な取引方法に当たるとされ、差止請求を認めた仮処分が認可された事例 (東京地裁平成17 年6月9日決定)
○夢真HD 事件
株式分割につき商法280 条ノ10 の規定の適用、類推適用が否
定され、株式分割の差止を請求する仮処分申請が却下された事
例 (東京地裁平成17 年7月29 日決定)
●判例解説[民事手続]
慶應義塾大学民事手続判例研究会
(監修)三木浩一 ○被告が、抗弁として主張する弁済の事実に対応する書証を提出しているものと誤解していることが明らかであるにもかかわらず、裁判所が、同抗弁に係る立証等について釈明権を行使せずに同抗弁を排斥したことには、釈明権の行使を怠った違法があるとされた事例 (最高裁平成17 年7月14 日第一小法廷判決)
○第三者異議の訴えの原告の法人格が執行債務者に対する強制執行を回避するために濫用されている場合には、原告は、執行債務者と別個の法人格であることを主張して強制執行の不許を求
めることは許されないとされた事例 (最高裁平成17 年7月15
日第二小法廷判決)
●判例解説[行政]
越智敏裕 ○指定確認検査機関の確認に係る建築物について確認をする権限を有する建築主事が置かれた地方公共団体は、指定確認検査機関の当該確認につき行政事件訴訟法21 条1項所定の「当該処
分又は裁決に係る事務の帰属する国又は公共団体」に当たると
された事例 (最高裁平成17 年6月24 日第二小法廷決定)
○医療法(平成9年法律第125 号による改正前のもの)30 条の7の規定に基づき都道府県知事が病院を開設しようとする者に対して行う病院開設中止の勧告は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるとされた事例 (最高裁平成17 年7月15 日第二小法廷判決)
○医療法に基づく病院開設中止勧告に従わないことを理由とする
健康保険法(平成10 年法律第109 号による改正前のもの)43条ノ3第2項に基づく保険医療機関指定拒否処分が適法である等とされた事例 (最高裁平成17 年9月8日第一小法廷判決)
●判例解説
[知的財産権]…侵害訴訟
岩原将文 ○一太郎事件
ソフトウエアの製造、譲渡等が特許法101 条4号所定の間接侵
害に該当せず、進歩性が欠如するとして特許法104 条の3第1項により特許権を行使することができないとされた事例 (知的財産高裁平成17 年9月30 日判決)
●判例解説
[知的財産権]…著作権等
小倉秀夫 ○被告が著作権侵害を行って利益を得ていたと指摘する判決に目を付けて、その利益を損害賠償金として取得しようとして当該
著作権を譲受した者による著作権侵害に基づく損害賠償請求は
権利の濫用に当たるとされた事例 (東京地裁平成17 年9月9
日判決)
●米国注目訴訟 企業経営・株主代表訴訟関連/知的財産関連
商品情報・内容
- 出版社:レクシスネクシス・ジャパン
- 発行間隔:月刊
■ アメリカに本拠を置く世界最大級の法律情報出版及びデータベースサービス企業、レクシスネクシスによる判例誌。
著名な学者、実務家による重要判例のコメントをどこよりも「早く」「わかり易く」提供することに編集の主眼を置く。また、膨大な裁判例をテーマ毎に類型化し、解説した「裁判例総覧」(執筆:元東京高裁判事 升田純・中央大学法科大学院教授)や、米国の株主代表訴訟、集団訴訟、知的財産権に関する訴訟等を紹介した「米国注目訴訟」、最新の裁判例を網羅した「注目判決動向」など、他のコーナーも充実。
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