■月刊フーガ 2007年11月号
おかげさまをもちまして、完売致しました。
北山ひとみの知性と感性が、文化とビジネスの幸福なマリアージュをもたらした
世界中の洗練された人たちを惹きつけるアマンリゾーツなどのスモールラグジュアリーホテルと比べてもまったく遜色のないホテルが、那須にある。その名は、二期倶楽部。一九八六年、わずか六室で開業してから徐々に進化をとげ、今や国内最上級のカルチャーリゾートとあいなった。四万二千坪という広大な敷地と多彩な表情の地形を生かし、いくつかのタイプの異なるパビリオン(宿泊棟)、レストラン、スパ、自家農園、野外劇場、アート・ビオトープ(陶芸やガラス工芸などを学びながら長期滞在できる施設)などが効果的かつ有機的に配されている。
二期倶楽部への道中、案内看板はほとんどないが、物だけでは満たされることのない上質の時間を求めて、リピーターが間断なく訪れる。その二期倶楽部の代表が、今回紹介する北山ひとみさんである。
創業以来、「文化はビジネスにならない」と言われ続けてきたが、北山さんは世間の揶揄をよそに、見事な空間を創り上げてしまった。二期倶楽部の成熟をもって、日本人の精神性のある到達と言っても過言ではないだろう。なぜなら、心の豊かさを求めない人たちばかりであったなら、二期倶楽部はとうに消滅の憂き目にあっていたはずだから。また、より多くの利益を生むことだけがビジネスの目的だと信じて疑わない経営者にとって、北山さんが実践したビジネスのアプローチは想像することさえできないかもしれない。
二十年以上も前のこと、北山さんは現在二期倶楽部がある場所に立って那須連山を眺めた時、その男性的な眺望に圧倒されたという。まさにここは聖地だ、と。以来、北山さんは長い時間をかけ、二期倶楽部という壮大な作品を創り上げた。あまたの芸術に精通し、幅広いジャンルのアーティストたちと交流のある北山さんでなければ、このように知的で静謐な空間はできなかっただろう。
北山さんのビジネスが多くの人々を幸福にしていることを考えると、ひとくちに「ビジネス」と括ることの無意味を思わないではいられない。
さて、いかにして北山ひとみは自分の理想をビジネスとして具現していったのか、その一端を紹介したい。
●企画・構成・取材・文・制作/高久 多美男
●写真/渡辺 幸宏
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