目次
とかげ
竹中践 文/石森愛彦 絵
■内容のご紹介
とかげは、都会の道端や公園などでも見ることのできる、身近な爬虫類の代表です。
巣穴を掘って暮らしていたり、母とかげが卵の世話をしたり、大人と子どもで身体の色や模様が全く異なっていたりと、その生態は驚きに満ちています。
私たちの暮らしのすぐそばで懸命に生きている小さな生き物の、知られざる奮闘ぶりを描いた絵本です。
■編集部より
春、公園に行くと、石垣や縁石の上で、とかげが気持ちよさそうにひなたぼっこをしているのをよく目にします。姿が見えなくても、不意に草むらで「カサカサッ!」という音がしたとき、音の出どころをじっくり観察すると、とかげがひょこっと顔を出すことがあります。とかげは、かなへびと並んで、子どもたちに最も身近な爬虫類と言えます。
しかし公園で子どもたちを観察していると、とかげを見て「あ! かなへびだ!」と言う子がいたり、逆に、かなへびを見て「とかげがいるよ!」と言う子がいたりして、とかげとかなへびは、非常に混同されやすい生き物なのだとも感じます。
この絵本では、子どもたちにとって身近な存在なのに意外と知られていない、とかげの暮らしぶりに迫りました。一見似ているかもしれませんが、とかげとかなへびはその生態が全く異なります。どこが違うのか、ぜひ『かなへび』(かがくのとも絵本)と見比べて感じてみてください。
そしてぜひ、絵本を読んだあとは、お近くの公園で、とかげやかなへびを探してみてください。特にとかげは非常に警戒心が強くすばしっこいので、身体がまだ温まりきっていない午前中の観察がおすすめですよ。
■作者のことば
「身近な生き物の代表」竹中践
トカゲを見かける場所はだんだん減ってきています。それでもトカゲは、身近な生き物の代表と言えるでしょう。それは、そっと近づいて、ゆっくり観察できるからです。私が子供の頃からトカゲを観察している場所は、東京都庁が見える緑地公園ですが、石垣に出てきてじっとしているトカゲを今でも観察できます。
現れたトカゲを観察する場面は、日光浴を行っていることが多いと思います。は虫類は、草むらでとぐろを巻いているヘビや、池のふちの石の上で「こうら干し」をしているカメなど、日光浴をしているところをよく見かけます。日光浴は体温を上げるためで、あたたまるとすばやく動いて、獲物をつかまえ、天敵から逃げるといった暮らしをしています。夜に出てくるヤモリはどうなの、と思うかもしれません。ヤモリも昼間、日が当たっているところに出てくることがありますが、夜は、さすがに体温が低くなります。は虫類は体温を上げることもあるけど、体温が低いままでもだいじょうぶという動物なのです。トカゲも体温が下がる巣穴の中で生活して、産んだ卵の世話をすることもあります。
ところで、「トカゲ」と呼んでいる種類には、ニホントカゲ、ヒガシニホントカゲ、オカダトカゲの3種類がいます。また、奄美大島や沖縄島などにはオオシマトカゲやオキナワトカゲなどがいます。これらの「トカゲ」(トカゲ属)の生態や習性はよく似ていますので、この本の「トカゲ」はお住まいのある所の「トカゲ」と考えていただいてよいでしょう。ちなみに北海道はヒガシニホントカゲ、四国と九州はニホントカゲです。
トカゲの幼体はしっぽが青いことがよく知られています。光沢のある青いしっぽが切れてばたばた動くとヘビなどの天敵の目を引くのは確かですが、「それなら、なぜ目立つ色なの、目立たないほうがねらわれないのに」と言った声が聞こえてきそうです。実はこの目立つしっぽの色の理由は研究者のあいだでも意見がいろいろあります。尾が容易く切れることを自切と言いますが、青い尾が自切する場面など、トカゲが成長して生活していくときに何がおきるか、トカゲの身になって考えてみるとおもしろいかもしれません。
トカゲのメスは産卵後に、そのまま巣穴にとどまって卵の世話をします。卵の発生が進んでいくためには適度な湿度が必要で、巣の中の適度な湿り気の場所に運びます。また、カビがつかないようになめて世話をすると言われています。
トカゲのオスは、他のオスと出会うと咬みあってたたかいます。お互いに頭を突き出して噛みつかせて、離れていったほうが負けとなります。大人のオスはあごから喉にかけてオレンジ色になりますが、堂々とオレンジ色を見せているオストカゲの姿は、まるでその場所の支配者のようです。
■著者情報
竹中践(たけなかせん)
1950年、東京都生まれ。筑波大学大学院生物科学研究科修了、理学博士。東海大学名誉教授。カナヘビ類など爬虫類の繁殖生態を研究してきて、トカゲ類の飼育方法や野外での観察方法などに精通している。著書に『はっけん! カナヘビ』(編著/緑書房)、『かなへび』(絵・石森愛彦/福音館書店)などがある。
石森愛彦(いしもりよしひこ)
桑沢デザイン研究所卒。猫と虫と音楽が大好き。もちろんトカゲも大好き。著書に『うちの近所のいきものたち』『昆虫って、どんなの?』(ともにハッピーオウル社)、『はさみむし』、絵を担当したものに『かなへび』『まぼろし色のモンシロチョウ』『かなへびのきょうだい』(以上、福音館書店)、『素数ゼミの謎』『言葉はなぜ生まれたのか』(ともに文藝春秋)『ちいさないきものずかん』シリーズ(童心社)などがある。
竹中践 文/石森愛彦 絵
■内容のご紹介
とかげは、都会の道端や公園などでも見ることのできる、身近な爬虫類の代表です。
巣穴を掘って暮らしていたり、母とかげが卵の世話をしたり、大人と子どもで身体の色や模様が全く異なっていたりと、その生態は驚きに満ちています。
私たちの暮らしのすぐそばで懸命に生きている小さな生き物の、知られざる奮闘ぶりを描いた絵本です。
■編集部より
春、公園に行くと、石垣や縁石の上で、とかげが気持ちよさそうにひなたぼっこをしているのをよく目にします。姿が見えなくても、不意に草むらで「カサカサッ!」という音がしたとき、音の出どころをじっくり観察すると、とかげがひょこっと顔を出すことがあります。とかげは、かなへびと並んで、子どもたちに最も身近な爬虫類と言えます。
しかし公園で子どもたちを観察していると、とかげを見て「あ! かなへびだ!」と言う子がいたり、逆に、かなへびを見て「とかげがいるよ!」と言う子がいたりして、とかげとかなへびは、非常に混同されやすい生き物なのだとも感じます。
この絵本では、子どもたちにとって身近な存在なのに意外と知られていない、とかげの暮らしぶりに迫りました。一見似ているかもしれませんが、とかげとかなへびはその生態が全く異なります。どこが違うのか、ぜひ『かなへび』(かがくのとも絵本)と見比べて感じてみてください。
そしてぜひ、絵本を読んだあとは、お近くの公園で、とかげやかなへびを探してみてください。特にとかげは非常に警戒心が強くすばしっこいので、身体がまだ温まりきっていない午前中の観察がおすすめですよ。
■作者のことば
「身近な生き物の代表」竹中践
トカゲを見かける場所はだんだん減ってきています。それでもトカゲは、身近な生き物の代表と言えるでしょう。それは、そっと近づいて、ゆっくり観察できるからです。私が子供の頃からトカゲを観察している場所は、東京都庁が見える緑地公園ですが、石垣に出てきてじっとしているトカゲを今でも観察できます。
現れたトカゲを観察する場面は、日光浴を行っていることが多いと思います。は虫類は、草むらでとぐろを巻いているヘビや、池のふちの石の上で「こうら干し」をしているカメなど、日光浴をしているところをよく見かけます。日光浴は体温を上げるためで、あたたまるとすばやく動いて、獲物をつかまえ、天敵から逃げるといった暮らしをしています。夜に出てくるヤモリはどうなの、と思うかもしれません。ヤモリも昼間、日が当たっているところに出てくることがありますが、夜は、さすがに体温が低くなります。は虫類は体温を上げることもあるけど、体温が低いままでもだいじょうぶという動物なのです。トカゲも体温が下がる巣穴の中で生活して、産んだ卵の世話をすることもあります。
ところで、「トカゲ」と呼んでいる種類には、ニホントカゲ、ヒガシニホントカゲ、オカダトカゲの3種類がいます。また、奄美大島や沖縄島などにはオオシマトカゲやオキナワトカゲなどがいます。これらの「トカゲ」(トカゲ属)の生態や習性はよく似ていますので、この本の「トカゲ」はお住まいのある所の「トカゲ」と考えていただいてよいでしょう。ちなみに北海道はヒガシニホントカゲ、四国と九州はニホントカゲです。
トカゲの幼体はしっぽが青いことがよく知られています。光沢のある青いしっぽが切れてばたばた動くとヘビなどの天敵の目を引くのは確かですが、「それなら、なぜ目立つ色なの、目立たないほうがねらわれないのに」と言った声が聞こえてきそうです。実はこの目立つしっぽの色の理由は研究者のあいだでも意見がいろいろあります。尾が容易く切れることを自切と言いますが、青い尾が自切する場面など、トカゲが成長して生活していくときに何がおきるか、トカゲの身になって考えてみるとおもしろいかもしれません。
トカゲのメスは産卵後に、そのまま巣穴にとどまって卵の世話をします。卵の発生が進んでいくためには適度な湿度が必要で、巣の中の適度な湿り気の場所に運びます。また、カビがつかないようになめて世話をすると言われています。
トカゲのオスは、他のオスと出会うと咬みあってたたかいます。お互いに頭を突き出して噛みつかせて、離れていったほうが負けとなります。大人のオスはあごから喉にかけてオレンジ色になりますが、堂々とオレンジ色を見せているオストカゲの姿は、まるでその場所の支配者のようです。
■著者情報
竹中践(たけなかせん)
1950年、東京都生まれ。筑波大学大学院生物科学研究科修了、理学博士。東海大学名誉教授。カナヘビ類など爬虫類の繁殖生態を研究してきて、トカゲ類の飼育方法や野外での観察方法などに精通している。著書に『はっけん! カナヘビ』(編著/緑書房)、『かなへび』(絵・石森愛彦/福音館書店)などがある。
石森愛彦(いしもりよしひこ)
桑沢デザイン研究所卒。猫と虫と音楽が大好き。もちろんトカゲも大好き。著書に『うちの近所のいきものたち』『昆虫って、どんなの?』(ともにハッピーオウル社)、『はさみむし』、絵を担当したものに『かなへび』『まぼろし色のモンシロチョウ』『かなへびのきょうだい』(以上、福音館書店)、『素数ゼミの謎』『言葉はなぜ生まれたのか』(ともに文藝春秋)『ちいさないきものずかん』シリーズ(童心社)などがある。
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