●特集『海洋プラスチック汚染と生物影響』
われわれの身近にあふれるプラスチック。海に流れ出たプラスチックは,現在の研究手法では検出できないほどのサイズへと微細化していく。これらの微細化したプラスチックは,自身に添加された化学物質によって,またPOPsや環境ホルモンなどさまざまな有害化学物質を吸着しながら洋上を漂うことによって,世界中の海洋を汚染している事実が明らかとなってきた。ある海域ではプランクトンよりも多くの数の微細化したプラスチックが見つかっている。
そして微細化したプラスチックを摂取することにより,海鳥類や魚類をはじめ,生物生産の底辺を支えるプランクトンに至るまで,多くの海洋生物が,化学物質や物理的障害による影響を受けることも分かりつつある。
環境ホルモン問題を扱った“Our Stolen Future(「奪われし未来」)”が世に出されてからおよそ18年。おもに化学物質がひきおこす,世界的に新たな環境問題として認識されてきた海洋プラスチック汚染問題について,世界の第一線で活躍する研究者に,最新の研究と現状,そして対策・取り組みを解説してもらう。
【特集目次】
・海洋プラスチック汚染の概況と今後の課題(高田秀重・山下麗/東京農工大学)
・東日本大震災に伴う津波を起因とした洋上漂流物の現状(藤枝繁/鹿児島大学,金子博・小島あずさ/一般社団法人JEAN,東政能・幅野明正/鹿児島大学水産学部附属練習船かごしま丸)
・漂流するプラスチック微細片の物理学(磯辺篤彦/九州大学,徳茂昂子/愛媛大学,中島悦子/高知大学)
・プラスチックが媒介する有害化学物質の海洋生物への暴露と移行(高田秀重・田中厚資・青木千佳子・市川馨子・山下麗/東京農工大学)
・漂着プラスチックごみ由来の重金属による海岸汚染の定量評価 -長崎県五島市大串海岸における研究-(中島悦子/高知大学,磯辺篤彦/九州大学,加古真一郎/鹿児島大学,板井啓明・高橋真/愛媛大学)
・海鳥によるプラスチック飲み込みとその影響(綿貫豊/北海道大学)
・さまざまな栄養段階の海洋生物へのプラスチック摂食の影響(山下麗・高田秀重/東京農工大学)
・発泡スチロールによる海洋ごみ問題とその対策(藤枝繁/鹿児島大学)
・環境省における海洋ごみ対策(石丸嵩祐・三枝隼/環境省水・大気環境局)
●連載
・海藻標本採集者列伝(北山太樹(国立科学博物館))
【12】新渡戸稲造(1862-1933)
・海藻標本採集者外伝(北山太樹)
【弐】江の島産海藻採集者(1877-2014)
・小さな離島の暮らしと漁業(乾政秀/(株)水土舎)
【10】北海道・焼尻島
・日本産十脚甲殻類の幼生(小西光一/(独)水産総合研究センター)
【14】コエビ下目(6)発育段階と科の検索
コラム:多岐亡論
・日本産等脚目甲殻類の分類(下村通誉/北九州市立自然史・歴史博物館,布村昇/金沢大学環日本海域環境研究センター)
【30】ミズムシ亜目 ヒメミズムシ科(5)ムネトゲヒメミズムシ属(1)
・日本産南方系ホンダワラ属(島袋寛盛/(独)水産総合研究センター)
【13】タマキレバモク
●コラム
・海でひろった万華鏡:調査機材の工夫あれこれ(飯島明子/神田外語大学)
・魚影逍遥 - 魚に発信機をつけて:まずは言葉と笑顔から(三田村啓理/京都大学)
●なまものけん通信
・黒潮いるか通信ー御蔵島からの便り/ELNA(エバーラスティング・ネイチャー)ほか
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