●特集『内湾の機能回復のための海と陸からのアプローチ』
水産物は古くから重要なタンパク質供給源として利用されており,現在も動物性タンパク質供給量の約4割を占めている。水産物に関わる水産業は食料の供給という,ひじょうに重要な役割をはたすとともに,漁獲を通して水圏と陸圏をつなぐ物質循環の一端を担っており,栄養塩の系外移送という観点から水質浄化の役割をはたしているともいえる。
近年,沿岸域,とくに内湾域ではノリの色落ちや貝類の減少,赤潮発生,貧酸素化,藻場・浅場の減少など,水産業をとり巻く環境の悪化が問題となっている。安定して水産物を供給するためには漁場環境の確保が必要であり,そのためには陸域からの水や栄養塩,土砂などの供給が不可欠である。しかし,このような観点で森・川・海それぞれの関係者のあいだで十分な議論がなされる機会は少ない。森から海まで『水によってつながっている』さまざまな関係者による内湾の環境の現状と課題について,その解決と今後のあり方を模索していこう。
・はじめに(原 武史)
・内湾の水質環境の現状と課題-伊勢・三河湾を例として(鈴木輝明・大橋昭彦・和久光靖)
・内湾の物質循環(中田喜三郎)
・河川を通じた土砂供給と汽水域環境(横山勝英)
・都市域からの物質供給-下水道を中心とした窒素リン削減の取り組み(田中宏明)
・農地から排出される栄養塩の特徴(白谷栄作)
●連載
有害有毒赤潮の生物学【14】:シャットネラの殺藻細菌(今井一郎)
日本産等脚目甲殻類の分類【8】:ヘラムシ亜目ヘラムシ科4-ヘラムシ属(下村通誉・布村 昇)
●Research Article
第二期北西太平洋鯨類捕獲調査(JARPN II):その起源,調査目的及び最初の6年間(2002~2007年)の調査の進捗状況と今後の調査に対する科学的検討
(Luis A. Pastene,畑中 寛,藤瀬良弘,上田真久,村瀬弘人,田村 力,安永玄太,木白俊哉,吉田 英可,宮下富夫 ,加藤秀弘)
●コラム
山から海へ-水と命の回廊をめぐる:セガレとカヤック(洲澤育範)
海でひろった万華鏡:春の二枚貝(飯島明子)
魚影逍遥-魚に発信機をつけて:ポースケ(三田村啓理)
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