目次
GHQの占領下、戦後の日本社会の根本のシステムが作られていった。なかでも、もっとも重要なのは、「憲法」である。近代国家をめざしたわが日本国は、20余年の歳月をかけて「大日本帝国憲法」を作り上げた。ところが、現在の憲法は、敗戦1年足らずの間に、占領下の体制の中でアメリカ憲法のような“追記”ではなく、GHQ主導の下に全面改訂された。わが国民の主権なき時代に支配者によって作られたのである。そこから「民主主義」が標榜され、「アメリカ化」の時代が始まっていた。
「『日本とは何か』を問うことは、『アメリカとは何か』を問うことである」 爾来、朝鮮戦争やベトナム戦争の特需、高度成長……と経済発展のスピードはめざましく、欧米の人々にも恐れられるような存在になった。しかし、1990年代に入ってまもなくバブルがはじけ、経済的な豊かさの崩壊が始まり、「失われた20年」が今日に至るも続いている。
前号より、先の命題を掲げて、「アメリカとは何か」をあらゆる角度から問う特集を開始した。2回目となる本号では、ペリー来航以来の150年余の日米関係と、その中で形成されてきた「内なるアメリカ」を俎上に載せたい。
日本が近代化に邁進するなかで、あまりにもアメリカと接近し、主体性を喪失し、「内なるアメリカ」が拡大していく過程から何が見えるのか。そして、“リーマン・ショック”、東日本大震災以後、アメリカとの関係をどう問い直すべきなのか。
本号では、緊密な二国間関係の相手国であると共に、グローバリズムの象徴でもあるアメリカとの関係を「内なるアメリカ」として、さまざまな角度から考えてみたい。
■■ 特集:内なるアメリカ ――アメリカとは何かII ■■
〈インタビュー〉国家目標としての安全と独立
〔日本に突き付けられている相反する「価値」〕 粕谷一希(聞き手=開米潤)
60年安保以降の世界史の中の日米関係〔「米意日達」を是正できるか〕 中馬清福
日本と米国について〔GHQの指導に基づく日本国憲法〕 塩川正十郎
復帰40年の節目に反問する〔二つの疑問〕 大田昌秀
初心に帰って出直すべきとき〔日米親善の未来図〕 武者小路公秀
安保体制の根本転換を求めて 吉川勇一
愛憎の中の日米関係 藤原作弥
哲学・国家論・外交の総合を再び 東郷和彦
政治・安保と経済とのせめぎ合いの中で 伊奈久喜
法治の国とどう向き合うか〔私にとってのアメリカ〕 池村俊郎
失われた環にするな 高成田享
日本へのテレビの導入とアメリカ合衆国の情報・通信政策 有馬哲夫
未だに「アメリカという国」を捉えていない日本
〔銃乱射事件はなぜ後を絶たないのか〕 松尾文夫
アメリカへのアンビバレンス〔今、江藤淳を読む〕 会田弘継
アメリカは小さい国である〔近代日本の知の「慣習」を脱するために〕 三谷博
依存するアメリカ 伊勢﨑賢治
グローバルな視点を通して歴史を考える 入江昭
「危険思想」に魅せられて〔私にとっての日米琉関係〕 平恒次
日本の主権、アメリカの主権〔過去・現在・未来〕 玉野井麻利子
ツーバイフォー建築と日本〔木造建築再考〕 内田純一
私とアメリカ映画 佐藤忠男
〈座談会〉1920年代の世界史と日米関係
〔『「排日移民法」と闘った外交官』をめぐって〕
小倉和夫+開米潤+チャオ埴原三鈴 (司会)中馬清福
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□□ 小特集:今、水俣病を考える〔追悼・原田正純〕 □□
〈インタビュー〉「人間の革命」が求められている 緒方正人
〈インタビュー〉水俣は近代化の供犠にされている 石牟礼道子
3・11と5・1〔原田先生と水俣学〕 花田昌宣
〈絶筆〉「5・1」を考える〔水俣病公式確認56年〕 原田正純
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〈インタビュー〉ソ連崩壊を予言したデビュー作『最後の転落』と、マルクスを語る
エマニュエル・トッド
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■■ 中日国交正常化40周年 特別寄稿 ■■
〈特別寄稿〉中日国交正常化40周年に寄せて 劉徳有
園田天光光 「日中平和友好条約」締結の秘話
[附]
日本国政府と中華人民共和国政府の共同声明(1972年)
日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約(1978年)
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■■ 寄稿 ■■
〈寄稿〉コモディティ戦争の勃発
〔米中に市場支配される時代へ〕 阿部直哉
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■■ 追悼 吉田秀和 ■■
堤剛/磯崎新/吉田光男
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■■ 追悼 永畑道子 ■■
久野啓介/向井承子/林郁/尾形明子/入江観
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■■ 追悼 中川志郎 ■■
菅谷博/西舘好子/中川渉/中川リカ・美晴
中川志郎「福島原発事故と被災動物たち」
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〈座談会〉坂本多加雄 没十年に想う〔思想・国家・宗教〕
粕谷一希+杉原志啓+富岡幸一郎
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■■ 〈山百合忌〉鶴見和子さん 七回忌 ■■
中村桂子 「内発的発展論と生命誌〔鶴見和子と南方熊楠〕」
西舘好子 「鶴見さんの『ありがとう』」
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□□ 書物の時空 □□
●名著探訪
岡田英弘 『史記』(司馬遷著)
星 寛治 『複合汚染』(有吉佐和子著)
角山 榮 『日本教会史(上)』(ロドリーゲス著)
小林 登 『安部磯雄の生涯』(井口隆史著)
●書評
瀧井一博 『私の郷土史・日本近現代史拾遺』(有泉貞夫著)
真野倫平 『“ヨーロッパ”とは何か?』(フェーヴル著)
藤原晶彦 『なぜ税金で銀行を救うのか』(片桐幸雄著)
●連載 明治メディア史散策13
粕谷一希 陸奥宗光・星亨・原敬
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■■ 新連載 ■■
●生の原基としての母性 1
三砂ちづる 出産の場にたちあがるもの
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□□ 連載 □□
●放射能除染と地域再生 2(短期集中連載)
山田國廣 除染は、「雑草」と「泡洗浄」に任せればよい
〔土を大量に剥がない、高圧洗浄しない〕
●旧約期の明治――「日本の近代」の問い直しのために 2
新保祐司 第一章 山田風太郎の明治小説
●井上ひさし、または吉里吉里国のゆくえ 2
赤坂憲雄 第一章 「うんにゃ」とともに分離独立へ
●携帯電話基地局の電磁波汚染 3(短期集中連載・最終回)
古庄弘枝 住宅地のなかに基地局ができた
●詩獣たち 8
河津聖恵 風の痛み〔尹東柱〕
●伝承学素描 27
能澤壽彦 仁宮武夫の精神圏
金子兜太の句 日常
石牟礼道子の句 残夢童女
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商品情報・内容
- 出版社:藤原書店
- 発行間隔:季刊
■ 新しい時代に向けてトータルな知の総合を企図する学芸総合誌! 多くの読者の皆様方からのご支持をいただき、創刊10周年!
われわれはいったいどこに立っているのか、どこへ行こうとしているのか。われわれは先の見えない混沌の中にいる。今こそ、世界史のダイナミズムのうちに、みずからが存在していることを自覚しなければならない。学問の真の目的は、現実をどう認識するか、にある。しかし現実は、諸学の狭隘な視野を越えるトータルな知と、大地に立って物事の本質を掴む歴史意識において、はじめて姿を現すものなのである。今われわれが混沌の中にいるとすれば、それは、歴史に向かいあう主体のあり方を顕示する学の不在を示している。必要なのは、学の総合と、学における歴史意識の回復である。そして、それは作り手と読み手の問題意識、現実認識、すなわち歴史認識が、より直接的に反映されうる総合誌においてこそ、試みられるにふさわしい企図であろう。現実を、歴史を、「全体」として捉えるようなトータルな知をこの雑誌で提示していきたい。
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