フランスに永く在住した著者ならではの、フレンチテイスト溢れる長編ミステリー。
20世紀末のパリ。華やかなイメージに彩られたその街に暮らすひとりの日本人・村上拓也は、日々、商売上での駆け引きに神経をすり減らしていた。そんなとき、友人アンリから山口涼子という日本人女性を紹介され、1枚の絵を預かることになる。だが、それを機に次第に不穏な出来事が村上の周囲に起こり始める。パリのイメージを背景に、「裏社会」と主人公の暗い過去が緻密かつ巧妙に交錯しつつ展開される、著者渾身の長編ミステリー。