目次
特集●ケロイドを知る,診る
企画編集/小川 令
<特集にあたって>
傷あとで悩んでいる患者さんはわれわれが想像する以上に多いものです.レーザー,フィラーやスレッドリフトなどちょっとした手技によっても傷あとはできます.ほとんど目立たない傷になると説明されたのに,傷あとが炎症を持ち続け赤く隆起したケロイドができたときには,患者さんはたいへんな不安を感じます.その結果,患者さんは期待とは裏腹に鬱々とした日々を送ることになってしまいます.
傷あとの研究は近年飛躍的に進みました.いわゆる「ケロイド体質」と漠然と表現されてきたケロイドの悪化因子や原因の一部がわかってきたことにより,今まで難しかった治療ができるようになりました.傷あとにかかる張力が傷あとで炎症を遷延・増強させること,女性ホルモンや高血圧などの全身的因子も傷あとの炎症を悪化させることがはっきりとわかってきました.美容皮膚科における侵襲的手技の前に,これらの体質を理解することで,リスクを明確にすることができます.その患者さんの過去の傷あとを見せてもらうことも大切な判断材料になります.
治療においては,とくにデプロドンプロピオン酸エステルのテープ剤の効果は大変高く,ケロイド・肥厚性瘢痕の発症しはじめに使用すれば悪化を防ぐことが可能となります.発症後時間がたっても,ケロイドの本体は真皮網状層で持続する炎症であるため,副腎皮質ステロイドのテープ剤で,時間はかかりますがかなりのものが治療できます.さらに重症例では手術や放射線治療,副腎皮質ステロイド薬を複合的に組み合わせることでケロイドを完治させることができるようになりました.
長い間,医療は「命を助ける」ことが目的となってきました.がん治療もその1つです.しかし昨今のめざましい医療技術の発達のおかげで,日本では平均寿命が男女ともに80歳を超えています.このような時代にこそ重要性を増してきたことは,いかにQOLを高められるか,という命題です.美容皮膚科はその一端を担っていますが,その手技によってケロイドが生じ悪化してしまうと逆にQOLを下げることになってしまいます.傷あとのケアは心のケアなのです.
本特集号をお読みいただくと,昔は難しかった傷あとの治療がここまで進んだのか,ということをご理解いただけると思います.患者さんのQOLを高めるために読者の皆さまとともに頑張っていければと願っております.最後に,本特集号の企画から出版までご尽力いただいた株式会社医学出版の皆さんに心より御礼申し上げたいと思います.
小川 令(日本医科大学 形成外科学教室 教授)
<目次>
〔特集〕
1.ケロイドとは?―ケロイドが発症するリスク因子を理解する―/小川 令
2.ケロイドの病理組織学的所見/西本あか奈,安齋眞一
3.ケロイドの分子遺伝学的所見/土佐眞美子
4.本邦でのケロイド・肥厚性瘢痕の診断・治療指針/清水史明
5.ケロイドの予防/荒牧典子
6.ケロイドの治療:内服薬/岡部圭介
7.ケロイドの治療:圧迫・固定/土佐泰祥
8.ケロイドの治療:副腎皮質ホルモン剤/村尾尚規
9.成熟瘢痕・肥厚性瘢痕・ケロイドに対するレーザー治療/河野太郎
10.ケロイドの治療:手術および術後放射線治療/土肥輝之
11.ケロイドの治療:メイクアップセラピー/朝日林太郎,かづきれいこ,小川 令
企画編集/小川 令
<特集にあたって>
傷あとで悩んでいる患者さんはわれわれが想像する以上に多いものです.レーザー,フィラーやスレッドリフトなどちょっとした手技によっても傷あとはできます.ほとんど目立たない傷になると説明されたのに,傷あとが炎症を持ち続け赤く隆起したケロイドができたときには,患者さんはたいへんな不安を感じます.その結果,患者さんは期待とは裏腹に鬱々とした日々を送ることになってしまいます.
傷あとの研究は近年飛躍的に進みました.いわゆる「ケロイド体質」と漠然と表現されてきたケロイドの悪化因子や原因の一部がわかってきたことにより,今まで難しかった治療ができるようになりました.傷あとにかかる張力が傷あとで炎症を遷延・増強させること,女性ホルモンや高血圧などの全身的因子も傷あとの炎症を悪化させることがはっきりとわかってきました.美容皮膚科における侵襲的手技の前に,これらの体質を理解することで,リスクを明確にすることができます.その患者さんの過去の傷あとを見せてもらうことも大切な判断材料になります.
治療においては,とくにデプロドンプロピオン酸エステルのテープ剤の効果は大変高く,ケロイド・肥厚性瘢痕の発症しはじめに使用すれば悪化を防ぐことが可能となります.発症後時間がたっても,ケロイドの本体は真皮網状層で持続する炎症であるため,副腎皮質ステロイドのテープ剤で,時間はかかりますがかなりのものが治療できます.さらに重症例では手術や放射線治療,副腎皮質ステロイド薬を複合的に組み合わせることでケロイドを完治させることができるようになりました.
長い間,医療は「命を助ける」ことが目的となってきました.がん治療もその1つです.しかし昨今のめざましい医療技術の発達のおかげで,日本では平均寿命が男女ともに80歳を超えています.このような時代にこそ重要性を増してきたことは,いかにQOLを高められるか,という命題です.美容皮膚科はその一端を担っていますが,その手技によってケロイドが生じ悪化してしまうと逆にQOLを下げることになってしまいます.傷あとのケアは心のケアなのです.
本特集号をお読みいただくと,昔は難しかった傷あとの治療がここまで進んだのか,ということをご理解いただけると思います.患者さんのQOLを高めるために読者の皆さまとともに頑張っていければと願っております.最後に,本特集号の企画から出版までご尽力いただいた株式会社医学出版の皆さんに心より御礼申し上げたいと思います.
小川 令(日本医科大学 形成外科学教室 教授)
<目次>
〔特集〕
1.ケロイドとは?―ケロイドが発症するリスク因子を理解する―/小川 令
2.ケロイドの病理組織学的所見/西本あか奈,安齋眞一
3.ケロイドの分子遺伝学的所見/土佐眞美子
4.本邦でのケロイド・肥厚性瘢痕の診断・治療指針/清水史明
5.ケロイドの予防/荒牧典子
6.ケロイドの治療:内服薬/岡部圭介
7.ケロイドの治療:圧迫・固定/土佐泰祥
8.ケロイドの治療:副腎皮質ホルモン剤/村尾尚規
9.成熟瘢痕・肥厚性瘢痕・ケロイドに対するレーザー治療/河野太郎
10.ケロイドの治療:手術および術後放射線治療/土肥輝之
11.ケロイドの治療:メイクアップセラピー/朝日林太郎,かづきれいこ,小川 令
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