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七緒(ななお)の編集長インタビュー

編集長プロフィール

プレジデント社
「七緒」編集長 鈴木康子さん

すずきやすこ 1973年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後プレジデント社に入社。食のエンターテイメント誌『dancyu』の編集部に配属。2004年10月に『七緒』を創刊。 

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第49回 七緒 編集長 鈴木康子さん

着物を着ると日本文化へのトビラがあちらこちらで開くんです

―いつも着物で出勤されるのですか。

いえ今日は撮影があるというので張り切って着てきました。普段は洋服で仕事をしています。仕事柄荷物を運んだり机を拭いたり雑務が多いので、そのほうが便利ですから。
でも着物が好きですので、週1、2回は着ています。とくに「着物ちょい飲み部」という編集部中心の飲み会を月一でやっていて、そのときばかりは雨が降ろうが槍が降ろうが全員着物で、神楽坂あたりに繰り出すと。
でも、ちょい飲みで終わらなくて・・・陰の名前が「がぶ飲み部」(笑)。

―植木等の歌みたい(笑)。もともと鈴木さんは着物好きだったんですか。

そういうわけではなかったんです。最初「dancyu」編集部で仕事をしていて、器好きが高じてお茶を習いにいったんです。そのとき出会った先輩がとてもチャーミングで、着物姿が本当に素敵だったんです。私も歳を重ねていくうちに、こんな人みたいになれたらいいなって思ったのがすべてのきっかけでした。そこで、リサイクルショップに連れて行ってもらって、アドバイスをもらいながら安い着物を買って、少しずつ自分なりに着物に接していったんです。
出会った最初からそうでしたが、こんな楽しいものが世の中にあったのか、というのが実感で、もちろんいくつかのハードルはあるのですが、もうはまってしまうと、こんな素敵なものはないというのが正直な思いなんです。ですから、「dancyu」でも、平日は流石に遠慮しましたが、休日出勤時などはたまに着物で出かけるようになりました。

―では、創刊はまだ「dancyu」におられたころですか。

そうですね。ことし創刊6年なんですが、1冊目は「dancyu」の片隅で編集していました。「KIMONO姫」という雑誌が結構流行っていて、若い人たちにちょっとした着物ブームみたいなものがありました。それはアンティークなものをファッショナブルに着こなすみたいな感じで、それはそれでお洒落なんですが、私はもっと自分に等身大のものがやってみたかったんですね。
ハガキや電話など読者からの反響も多く、好評でしたので、では続けてみろと言われていまに至っています。

―たしかに若い女性にとって着物は結構身近なものになっていますよね。

ええ、そうなんです。それに一度着てみると、本当にみんな好きになると思います。これって日本女子のDNAみないなものだと思うんです。以前はよりフォーマルな場所でしか着れなかったイメージがありますが、いまは結構いろんな場所で着ることができますよね。
地方ではまだまだ着ていく場所がないといった声も聞かれますが。

―それに比べて男子は保守的ですね。

そう思います。男の人も和服を着ると本当にかっこいいのにって思います。そんな場所がもっと増えるといいですよね。せっかくのいい文化なのに、着る機会が少ないのは残念です。実は、2010年12月号では男の着物を特集しているんですよ。初の試みなのですが、そろそろやってもいいかなと。
それにひとり男性編集部員が増えたので、彼に頑張ってもらえるかなと(笑)。

―編集部員は男性ひとり以外はすべて女性なんですか。

全員といっても4人編集部で、3人が女性ということです。いま季刊4冊と別冊2冊の計6冊ですから、まあそんなものでしょうか。

―和的スローライフを標榜するニュートラルな生活誌といった趣ですが。

ちょうど印刷所から上がってきた色校
ちょうど印刷所から上がってきた色校

そうですね。いわゆる着物雑誌といったテイストとはちょっと違いますし、上から目線ではないですね。近所の人たちと一緒に話している感じを大切にしています。着物好きの人に聞きに行って教えてもらうような部分を大切にしています。
読者の平均年齢は30代後半ですが、30,40,50代とバランスよく読まれています。男性読者も決して少なくないんです。

―でも男性目線は入ってないですよね。

こうすればモテる、みたいなことは話すこともあるんです(笑)。キャッチに少しそんなモテ路線の言葉を配してみたり。でもたとえば女性誌によくあるような「これを着てデートに行こう」がうちでは「居酒屋に行こう」になってしまう(笑)。デートという言葉はないですね。もうちょっと格というか知的な部分に訴えたいのかもしれません。
またエロティックな着こなしは紹介していません。よく言われるような「うなじ」が色っぽいみたいなのも禁止(笑)。貴女と書いて「あなた」とか読ませてしまうようなのも(笑)。

―よく分かります(笑)。創刊時に参考にした雑誌はありましたか。

私、「住む。」(農山漁村文化協会)という雑誌が好きで、バックナンバーも全部とってあるのですが、こういった地に足の着いた雑誌っていいなと思って、結構影響を受けました。
地に足が着く感覚ってとても大事で、これは編集をやるなかでも常に気をつけています。自分たち目線から外れないように、本当に自分たちのなかから出てくる問題に納得して解決できているのかを常に考えるようにしています。

―季刊なので季節ごとのネタをうまく処理していくことが大切なのでしょうが、そんななかでも、これをやれば売れるといったものってあるのですか。

「七緒」の別冊。すべて人気の特集だ
「七緒」の別冊。すべて人気の特集だ

やはり「着付け」でしょうね。うちでは結構細かく説明していますから、いろんな方から喜ばれています。着物にかなり慣れた人でもニーズはあるようです。DVD付の別冊を出したりしたこともあるのですが、これはいままでで一番売れました。基本的な着付けができるようになると、もっと上手になりたいとかいった欲求もでてくるんですね。

―着物を素敵に着こなすコツってあるんですか。

もともとのセンスの問題はあると思いますが、着物って、今日たとえば着始めたとしたらその日が0歳児で、そこから学習していくものだと思うんです。やはり、洋服ではかっこいい着こなしができる人だって、振袖にカランカランと音の鳴る下駄を合わせたりしては拙いですよね。
じっくり物を見て少しずつ学習していくということが、あたりまえですが大切だと思います。いいものに触れる経験を重ねるということですね。それがコツといえばコツでしょうか。

―男の着物の次は、どんなことを考えておられますか。

各編集部に共通のカフェ
各編集部に共通のカフェ

「七緒」という名前はそもそも、さまざまな糸や弦を表す古語なんです。着物ってそれらを紡ぎ合わせてつくるものですよね。着物を着ると、日本の暦とか古い文化へのトビラが一斉に開き始めたという実感があるんです。日本の古きよきものを、そんなトビラを通じてもっと知りたいし紹介していきたいです。
2011年1月に「七緒」のダイジェスト版が英訳されて海外で出版されます。海外の人にもそんなことを広く知ってもらえたらいいなと思います。

編集長の愛読誌

(2010年11月)

取材後記
若いころ海外生活を経験した人の多くが日本の良さを口にします。外から日本を見て初めて自分の置かれてきた環境が素晴らしいものであった、ということを実感するらしい。
いまの若い人たちは、意外に外側から日本を見る目線になれているので、ある意味、自然な形で日本の古きよきものに接することができるようです。着物の流行などもすごく自然な流れだと思います。
女性はとくに鋭いから、そんな時代の空気をすぐに察し、身近でわかりやすい表現として着物に触れ、その素晴らしさの本質を理屈ぬきに理解しているのだと思います。
鈴木さんは、着物を着るようになって日本文化のトビラがあちこちで開いたと言われます。これ、とてもすごいことだと思います。等身大の実感として、実に的確な言葉だと思います。なんだかやおよろずのすべての叡智が着物というものに集約されている感じなんですね。
私は旅を生業としていたので、100カ国近く訪問している計算にはなるのですが、いまでも間違いなく日本が一番好き。それは、簡単に言えば、お正月に和服を着て畳の間でごろりとしながら日本酒を飲む瞬間などに、しみじみ沸いてくる無上の喜びを否定できないからなんです。

インタビュアー:小西克博

大学卒業後に渡欧し編集と広告を学ぶ。共同通信社を経て中央公論社で「GQ」日本版の創刊に参画。 「リクウ」、「カイラス」創刊編集長などを歴任し、富士山マガジンサービス顧問・編集長。著書に「遊覧の極地」など。

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