連載・記事
〇はんれい最前線
公共工事契約締結を否決した議決は違法と訴え、議会の裁量権の限度は
藤原孝洋(弁護士)/古田 隆(神戸市)
〇自治体法務の風を読む
第113回 自治体における内部統制制度
弁護士(元岐阜市特定任期付職員) 安田和広
〇児童相談所担当弁護士の実務(新連載)
第1回 児童相談所の役割と権限・常勤弁護士の役割
横浜市中央児童相談所法務担当課長 金子祐子
〇自治体職員に身近な「事実認定」入門
第5回 ストーリーと「動かし難い事実」
春日井市総務部参事(中京大学非常勤講師・弁護士) 吉永公平
〇法律相談
児童生徒性暴力等に関する教育職員への懲戒処分の考え方
弁護士 板谷直樹
下水道設備の管理不全への対応
弁護士 中村健人
〇訴訟情報
安倍元首相演説やじ排除訴訟――賠償確定――最高裁決定 ほか
判決紹介
<議 会>
◎町議会だよりに掲載された記事についての損害賠償請求事件・神奈川県湯河原町
湯河原町議会議員であった被控訴人が、湯河原町議会が配布した議会だよりに掲載された被控訴人に対する懲罰に関する記事により、名誉を毀損されたと主張して、損害賠償を求めた訴訟の控訴審において、原審の判断とは異なり、記事の掲載には合理性及び必要性があるとして、被控訴人の請求が棄却された事例
〔東京高令和5年10月12日判決〕
<契 約>
◎有権者に対するアンケート調査住民訴訟控訴事件・奈良県
県知事が委託して行った有権者に対するアンケート調査が違法であるとは認められないとされた事例
〔大阪高令和4年6月23日判決〕
◎土地賃貸借契約に係る債務不存在確認等請求控訴事件・山梨県
控訴人が、被控訴人との間で締結した土地賃貸借契約は、適正な価格によらずに貸し付けたものであるから地方自治法237条2項に違反し無効であると主張したことについて、裁判所が、当該財産が不動産である場合において、適正な価格によらずに貸し付けたものと認められるかは、その価額が客観的な算定方法に基づいた金額(賃料額)を下回るものであること、具体的には不動産鑑定評価基準における不動産の評価方法に即して算定された価格(賃料額)を下回るものであるか否かにより判断すべきものであるとした上で、本件の事実関係によれば、本件賃貸借契約が地方自治法237条2項の「適正な対価」によらずに貸し付けたものと認めることはできないとされた事例
〔東京高令和5年8月4日判決〕
<公務員労働>
◎市職員の分限休職処分無効確認請求控訴事件・和光市
和光市の職員である被控訴人(附帯控訴人)が分限休職処分を合計5回にわたって受けたことが違法であるとして、分限休職処分の無効確認等を求めた訴訟の控訴審において、原審が5回目の処分のみを無効としたのに対し、2回目から5回目の処分が無効であると判断された事例
〔東京高令和4年3月10日判決〕
◎架電等差止請求控訴事件・大阪府
大阪府が、動物愛護管理行政に関する大阪府の施策及びその実施に関して頻繁に架電した控訴人に対し、架電等の差止めを求めた訴訟の控訴審において、原審の認めた差止めの範囲が一部変更された事例
〔大阪高令和5年4月27日判決〕
<教育・文化>
〇テニス大会中の事故に関する損害賠償請求事件・東京都
都立中高一貫校に在籍しテニス部に所属していた原告が、都立高校のテニスコートで開催されたテニス大会の試合中にコンクリート壁に衝突して傷害を負った事故に関し、東京都に損害賠償を求めた訴訟において、東京都の教員らに安全配慮義務違反があったとされた事例
〔東京地令和4年3月2日判決〕
<環境・衛生>
〇不法投棄された廃棄物や土砂の除去等請求事件・伊豆市
宗教法人の所有する寺の敷地に廃棄物が混入した土砂が不法投棄され、廃棄物及び土砂が隣接する伊豆市の所有土地に流入したとして、伊豆市が原告となって宗教法人やその役員に対して廃棄物や土砂の撤去を求めた訴訟において、原告の請求が認められた事例
〔静岡地沼津支令和5年3月3日判決〕
〇土砂埋立てに伴う土壌汚染による財産被害等責任裁定申請事件・稲敷市
土砂等による土地埋立てについて条例上の許可権限を有する地方自治体が、条例上禁止された廃棄物による埋立てを許可し、さらに無許可地への埋立てに対する規制権限の行使を怠り土壌汚染等が生じたことについて、国家賠償法上の責任が肯定され、土壌中和処理費用及び周辺井戸水監視費用の損害賠償が認められた事例
〔公調委令和5年10月31日裁定〕
<土 地>
〇行政財産の無断使用に関する住民訴訟事件・石垣市
市の行政財産を民間企業がゴルフ場として権原なく使用したことに関し、民間企業と市長に対してそれぞれ使用料相当損害金の請求をするよう求めた住民訴訟において、民間企業に請求するよう求めた請求は一部認容され、市長に請求するよう求めた請求は棄却された事例
〔那覇地令和5年4月21日判決〕
<まちづくり>
〇再開発事業からの撤退に関する損害賠償請求事件・徳島市
徳島市が市街地再開発事業から撤退したことが市街地再開発組合の組合員である原告らに対する不法行為であると主張して、徳島市に対して損害賠償を求めた訴訟において、個々の組合員である原告らとの関係では不法行為とはならないと判断された事例
〔徳島地令和4年9月28日判決〕
判決概要紹介
<自治一般>
◎市職員の発言に対する損害賠償請求控訴事件・横浜市
〔東京高令和3年11月5日判決〕
<教育・文化>
◎いじめ行為に係る損害賠償等請求控訴事件・鳥栖市
〔福岡高令和3年7月12日判決〕