月刊 判例地方自治 発売日・バックナンバー

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3,190円
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【判例回顧】
 地方自治体をめぐる判例の動き
 ――本誌505号から513号までを回顧して――
  弁護士 内山忠明
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【判例解説 全19件】
1 給水義務の不履行に基づく損害賠償請求事件(宮古島市)
  弁護士 冨永忠祐

2 公共工事契約締結の議決に係る損害賠償請求控訴事件(青森県南部町)
  東海大学法学部准教授 塩原真理子

3 議員報酬等不当利得返還請求事件(大阪市)
  桃山学院大学名誉教授 寺田友子

4 市議会議員出席停止処分取消請求事件(岩沼市)
  横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授 板垣勝彦

5 契約無効確認等請求控訴事件(武雄市)
  京都産業大学法学部准教授 若狭愛子

6 異動、転任の違法を理由とする国家賠償請求控訴事件(千代田区)
  弁護士 中込一洋

7 部活動に関する損害賠償請求事件(古賀市)
  中央大学法学部教授 冷水登紀代

8 学校事故に関する損害賠償請求控訴事件(加古川市)
  早稲田大学法学部教授 橋本有生

9 県立高校教員の生徒対応をめぐる国家賠償請求控訴事件(静岡県)
  高岡法科大学法学部准教授 渡部朗子

10 指定管理委託契約の債務不履行に基づく損害賠償請求控訴事件(富山市)
  富山大学経済学部教授 神山智美

11 廃棄物処分場の除去工事費用に関する有益費償還請求控訴事件(敦賀市)
  弁護士 針原祥次

12 香川県ネット・ゲーム依存症対策条例に係る損害賠償請求事件(香川県)
  同志社大学法学部教授 黒坂則子

13 コロナ感染者立ち寄り店名公表に係る損害賠償請求控訴事件(徳島県)
  同志社大学法学部教授 佐伯彰洋

14 犯罪被害者等給付金不支給裁定取消請求事件(愛知県)
  神戸学院大学法学部教授 恩地紀代子

15 河川管理の瑕疵による損害賠償請求控訴事件(宇治市)
  茨城大学人文社会科学部准教授 福田智子

16 建物収去土地明渡請求控訴事件(滋賀県)
  弁護士 濱和哲

17 事業計画認可取消請求事件(東京都)
  元関西大学法科大学院教授 由喜門眞治

18 県道の倒木事故に関する損害賠償請求控訴事件(熊本市)
  日本大学法学部教授 大杉麻美

19 市道管理の瑕疵による損害賠償請求事件(広島市)
  青山学院大学コミュニティ人間科学部教授 信澤久美子


【索引】
● 項目別索引
● 法条別索引
● 裁判年月日別索引
● 自治体別索引
3,190円
連載・記事

〇はんれい最前線
公共工事契約締結を否決した議決は違法と訴え、議会の裁量権の限度は
藤原孝洋(弁護士)/古田 隆(神戸市)

〇自治体法務の風を読む  
第113回 自治体における内部統制制度
弁護士(元岐阜市特定任期付職員) 安田和広

〇児童相談所担当弁護士の実務(新連載)  
第1回 児童相談所の役割と権限・常勤弁護士の役割
横浜市中央児童相談所法務担当課長 金子祐子

〇自治体職員に身近な「事実認定」入門
第5回 ストーリーと「動かし難い事実」
春日井市総務部参事(中京大学非常勤講師・弁護士) 吉永公平

〇法律相談
児童生徒性暴力等に関する教育職員への懲戒処分の考え方
弁護士 板谷直樹
下水道設備の管理不全への対応
弁護士 中村健人

〇訴訟情報
安倍元首相演説やじ排除訴訟――賠償確定――最高裁決定 ほか



判決紹介

<議  会>
◎町議会だよりに掲載された記事についての損害賠償請求事件・神奈川県湯河原町
 湯河原町議会議員であった被控訴人が、湯河原町議会が配布した議会だよりに掲載された被控訴人に対する懲罰に関する記事により、名誉を毀損されたと主張して、損害賠償を求めた訴訟の控訴審において、原審の判断とは異なり、記事の掲載には合理性及び必要性があるとして、被控訴人の請求が棄却された事例
 〔東京高令和5年10月12日判決〕

<契  約>
◎有権者に対するアンケート調査住民訴訟控訴事件・奈良県
 県知事が委託して行った有権者に対するアンケート調査が違法であるとは認められないとされた事例
 〔大阪高令和4年6月23日判決〕

◎土地賃貸借契約に係る債務不存在確認等請求控訴事件・山梨県
 控訴人が、被控訴人との間で締結した土地賃貸借契約は、適正な価格によらずに貸し付けたものであるから地方自治法237条2項に違反し無効であると主張したことについて、裁判所が、当該財産が不動産である場合において、適正な価格によらずに貸し付けたものと認められるかは、その価額が客観的な算定方法に基づいた金額(賃料額)を下回るものであること、具体的には不動産鑑定評価基準における不動産の評価方法に即して算定された価格(賃料額)を下回るものであるか否かにより判断すべきものであるとした上で、本件の事実関係によれば、本件賃貸借契約が地方自治法237条2項の「適正な対価」によらずに貸し付けたものと認めることはできないとされた事例
 〔東京高令和5年8月4日判決〕

<公務員労働>
◎市職員の分限休職処分無効確認請求控訴事件・和光市
 和光市の職員である被控訴人(附帯控訴人)が分限休職処分を合計5回にわたって受けたことが違法であるとして、分限休職処分の無効確認等を求めた訴訟の控訴審において、原審が5回目の処分のみを無効としたのに対し、2回目から5回目の処分が無効であると判断された事例
 〔東京高令和4年3月10日判決〕

◎架電等差止請求控訴事件・大阪府
 大阪府が、動物愛護管理行政に関する大阪府の施策及びその実施に関して頻繁に架電した控訴人に対し、架電等の差止めを求めた訴訟の控訴審において、原審の認めた差止めの範囲が一部変更された事例
 〔大阪高令和5年4月27日判決〕

<教育・文化>
〇テニス大会中の事故に関する損害賠償請求事件・東京都
 都立中高一貫校に在籍しテニス部に所属していた原告が、都立高校のテニスコートで開催されたテニス大会の試合中にコンクリート壁に衝突して傷害を負った事故に関し、東京都に損害賠償を求めた訴訟において、東京都の教員らに安全配慮義務違反があったとされた事例
 〔東京地令和4年3月2日判決〕

<環境・衛生>
〇不法投棄された廃棄物や土砂の除去等請求事件・伊豆市
 宗教法人の所有する寺の敷地に廃棄物が混入した土砂が不法投棄され、廃棄物及び土砂が隣接する伊豆市の所有土地に流入したとして、伊豆市が原告となって宗教法人やその役員に対して廃棄物や土砂の撤去を求めた訴訟において、原告の請求が認められた事例
 〔静岡地沼津支令和5年3月3日判決〕

〇土砂埋立てに伴う土壌汚染による財産被害等責任裁定申請事件・稲敷市
 土砂等による土地埋立てについて条例上の許可権限を有する地方自治体が、条例上禁止された廃棄物による埋立てを許可し、さらに無許可地への埋立てに対する規制権限の行使を怠り土壌汚染等が生じたことについて、国家賠償法上の責任が肯定され、土壌中和処理費用及び周辺井戸水監視費用の損害賠償が認められた事例
 〔公調委令和5年10月31日裁定〕

<土  地>
〇行政財産の無断使用に関する住民訴訟事件・石垣市
 市の行政財産を民間企業がゴルフ場として権原なく使用したことに関し、民間企業と市長に対してそれぞれ使用料相当損害金の請求をするよう求めた住民訴訟において、民間企業に請求するよう求めた請求は一部認容され、市長に請求するよう求めた請求は棄却された事例
 〔那覇地令和5年4月21日判決〕

<まちづくり>
〇再開発事業からの撤退に関する損害賠償請求事件・徳島市
 徳島市が市街地再開発事業から撤退したことが市街地再開発組合の組合員である原告らに対する不法行為であると主張して、徳島市に対して損害賠償を求めた訴訟において、個々の組合員である原告らとの関係では不法行為とはならないと判断された事例
 〔徳島地令和4年9月28日判決〕



判決概要紹介

<自治一般>
◎市職員の発言に対する損害賠償請求控訴事件・横浜市
 〔東京高令和3年11月5日判決〕

<教育・文化>
◎いじめ行為に係る損害賠償等請求控訴事件・鳥栖市
 〔福岡高令和3年7月12日判決〕
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連載・記事

○はんれい最前線
新たに購入した公用車が高額過ぎると住民から訴え
海野仁志(弁護士)/窪田絢斗(世田谷区)
○自治体法務の風を読む  
第112回 地方自治体における内部通報
神戸市行財政局法務支援専門官(弁護士) 稲田 優
〇自治体職員に身近な「事実認定」入門
第4回 人証の信用性の判断方法
春日井市総務部参事(中京大学非常勤講師・弁護士) 吉永公平
○法律相談
自治体におけるドローン利活用時の留意点
弁護士 岩元昭博
措置要求を棄却する旨の判定の取消訴訟と義務付けの訴えへの対処方法
弁護士 濱 和哲
○訴訟情報
コロナ感染者立寄店名公表訴訟――適法確定――最高裁決定 ほか



判決紹介

<情  報>
◎公文書一部非公開決定取消請求控訴事件・鳥栖市
 鳥栖市等が建設を計画している次期ごみ処理施設に関する行政文書の公開請求をしたところ、非公開情報が記載されているとして、その部分を非公開とする旨の部分公開決定を受けたことについて、非公開とした部分の取消しを求めた訴訟の控訴審において、非公開情報に該当しないとした原審の判断が維持された事例
 〔福岡高令和6年3月15日判決〕

<財  政>
〇県有地の減免措置に関する住民訴訟事件・滋賀県
 県がホテル、レストランなどの営業をしている一般財団法人に行政財産の使用を許可し、使用料を減免していることが違法であると主張して、知事に対する損害賠償をするよう求めた住民訴訟において、減免措置は違法であるが知事には過失がないと判断された事例
 〔大津地令和4年9月9日判決〕

<税  務>
◎商業用建物下の参道に係る固定資産税等賦課決定取消請求控訴事件・大阪市
 17階建ての商業用建物のうち中央部の3階までの部分がその奥にある宗教施設への参道とするための空洞となっている場合に、当該建物の敷地は課税用途(商業施設の敷地)と非課税用途(境内地)の2つの用途に供されていることになるから、土地の全部に対し固定資産税及び都市計画税を賦課する決定は、非課税用途に供されている部分に賦課する限度で違法であるとして、同決定の一部が取り消された事例
 〔大阪高令和5年6月29日判決〕

<公務員労働>
◎県立病院看護師の割増賃金請求控訴事件・埼玉県
 県立病院の看護師が提訴した割増賃金請求事件の控訴審において、原審と同様に、看護師が始業時刻前にしていた作業が時間外労働として認められた事例
 〔東京高令和5年1月25日判決〕

〇市立病院の勤務医師の自殺に関する国家賠償請求事件・新潟市
 被告(新潟市)の設置運営する病院において後期研修医として勤務していた医師が自殺により死亡したことについて、医師は病院における長時間労働によりうつ病を発症し、自殺に至ったと認められるとして、被告に損害賠償が命じられた事例
 〔新潟地令和4年3月25日判決〕

<教育・文化>
◎県立高校教員の生徒対応をめぐる国家賠償請求控訴事件・静岡県
 課題研究の一環として予定されていた大学訪問研修を欠席しようとした生徒への県立高校教員の対応が、教員が生徒に対して行うことが許される教育的指導の範囲を逸脱するものであるとされた事例
 〔東京高令和4年12月7日判決〕

◎市の総合運動場への売店出店に関する損害賠償請求控訴事件・高知市
 市の総合運動場における売店出店に関し、市教育委員会教育長が現在許可している団体を優先的に選考したことが違法であると主張して、市に対し損害賠償を求めた国家賠償訴訟の控訴審において、原審の判断とは異なり、教育長の判断は一部裁量を逸脱していると判断された事例
 〔高松高令和5年1月20日判決〕

<環境・衛生>
◎廃棄物処分場の除去工事費用に関する有益費償還請求控訴事件・敦賀市
 敦賀市内に設置された廃棄物の最終処分場の除去工事を行った敦賀市が、処分場を営む民間事業者に廃棄物の処分を委託した一部事務組合らに対し、事務管理に基づく有益費償還請求権の支払を求めた訴訟の控訴審において、原審の判断とは異なり、一部事務組合らは除去のために必要な措置を講ずる義務を負わないとして、原判決が取り消され、敦賀市の請求が棄却された事例
 〔名古屋高金沢支令和4年12月7日判決〕

<厚  生>
◎犯罪被害者等給付金不支給裁定取消請求事件・愛知県
 犯罪被害者と同性の者は、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律5条1項1号括弧書きにいう「婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあつた者」に該当し得ると判断された事例(補足意見及び反対意見がある。)
 〔最高(3小)令和6年3月28日判決〕

<土  地>
◎米軍返還土地の売買に関する損害賠償請求控訴事件・沖縄県北谷町
 米軍から返還された土地を北谷町が売却したところ、買主が土地に地中埋設物が存在することを理由に瑕疵担保責任に基づく損害賠償を求めた訴訟の控訴審において、原審の判断と異なり、地中埋設物が存在すること自体から土地に瑕疵があったと判断された事例
 〔福岡高那覇支令和5年10月31日判決〕



判決概要紹介

<手  続>
◎公文書一部開示決定処分取消請求控訴事件・福島県
 〔仙台高令和4年10月6日判決〕

<公務員労働>
◎兼業に係る減給処分取消請求控訴事件・名古屋市
 〔名古屋高令和5年3月9日判決〕
3,190円
連載・記事

○はんれい最前線
再任用選考で面接官全員が0点評価とした不合格決定、元教職員が違法と訴え
 馬橋隆紀(弁護士)/幸田 宏(さいたま市)
○自治体法務の風を読む
第111回 個人情報を含む公文書を訴訟の証拠として提出する場合の留意点について
 東京都総務局総務部法務課法務担当課長 飯田隼矢
〇自治体職員に身近な「事実認定」入門
第3回 証拠の信用性と証明力
春日井市総務部参事(中京大学非常勤講師・弁護士) 吉永公平
○法律相談
庁舎内での居座りと不退去罪の成否
 弁護士 髙橋 英
公害紛争に対応する手段としての行政指導
 弁護士 針原祥次
○訴訟情報
条件付採用職員の分限免職取消確定――最高裁決定 ほか


判決紹介

<情  報>
〇行政文書非公開決定処分取消請求事件・名古屋市
 名古屋市長及び名古屋市の職員が名古屋城天守閣木造復元事業に関連して文化庁を訪問した際の資料の公開を請求したところ、一部非公開の決定を受けたため、非公開部分の取消しを求めた訴訟において、非公開部分の一部については非公開情報に該当しないとして、非公開決定が一部取り消された事例
 〔名古屋地令和4年3月30日判決〕

<議  会>
〇市議会議員出席停止処分取消請求事件・岩沼市
 市議会議員が議会運営委員会において行った他の議員による公開の議場における陳謝につき中身は事実とは限らないなどの発言が議会の品位を害するものであるとしてされた出席停止23日間の懲罰処分が、違法として取り消された事例
 〔仙台地令和5年3月14日判決〕

〇出席停止処分差止め請求事件・香芝市
 市議会の議員に対する出席停止の懲罰が国家賠償法上違法であるとされた事例
 〔奈良地令和6年1月16日判決〕

<財  政>
◎工場立地助成金返還債務不存在確認請求控訴事件・白山市
 市から工場立地助成金を交付された控訴人が工場を他社に譲渡したことを理由に助成金の返還を求められたことについて、助成金返還債務の不存在確認を求めた訴訟の控訴審において、控訴人には助成金の返還義務があるとした原審の判断が維持された事例
 〔名古屋高金沢支令和5年3月22日判決〕

<契  約>
〇ふるさと納税の業務委託に関する住民訴訟事件・小城市
 小城市の住民が、市がふるさと納税事業に関する業務を随意契約により委託したことが違法であるなどと主張した住民訴訟において、業務委託契約を随意契約とした判断が合理性を欠くとはいえないとされた事例
 〔佐賀地令和4年4月15日判決〕

◎業務委託契約無効確認等請求控訴事件・武雄市
 地方自治法96条1項5号及び8号所定の事件の議決を欠いた場合に、追認議決をすることによってその瑕疵が治癒された事例
 〔福岡高令和5年8月23日判決〕

<税  務>
◎使用料不徴収の違法確認請求控訴事件・栃木市
 市が都市公園の使用料を請求しないことが違法であることの確認を求める住民訴訟の控訴審において、使用料を免除することができる旨の条例の要件を満たさないとして、使用料を請求しないことが違法であることを確認した原審の判断が維持された事例
 〔東京高令和5年10月18日判決〕

<公務員労働>
◎県立病院看護師の割増賃金請求控訴事件・埼玉県
 県立病院の看護師が提訴した割増賃金請求事件の控訴審において、原審と同様に、看護師が始業時刻前にしていた作業が時間外労働として認められた事例
 〔東京高令和5年1月25日判決〕

<教育・文化>
◎学校事故に関する損害賠償請求控訴事件・加古川市
 市立小学校の図画工作の作業中、同級生が使用していたマイナスドライバーが眼に当たって負傷した控訴人(当時小学4年生)が、市に損害賠償を求めた訴訟の控訴審において、原審の判断とは異なり、担当教諭はマイナスドライバーの使用方法に関する説明義務及び指導義務を怠ったと判断され、市が損害賠償を命じられた事例
 〔大阪高令和5年1月12日判決〕

<厚  生>
◎介護給付費支給申請却下処分取消請求控訴事件・千葉市
1 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律による障害福祉サービスの介護給付費を受給していた者が、65歳に達するに際し、同法20条1項による介護給付費の支給申請をした場合において、申請者が介護保険法による要介護認定の申請をしないことを理由として申請を却下した処分は違法であるとされた事例
2 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律20条1項による介護給付費の支給申請却下処分に係る義務付けの訴えにつき、65歳に達する月の末日まで受けていた介護給付費と同内容の支給決定をせよとの請求が認容された事例
 〔東京高令和5年3月24日判決〕



判決概要紹介

<自治一般>
◎住民票の写し等の交付に係る損害賠償請求控訴事件・名古屋市・札幌市
 〔名古屋高令和4年8月9日判決〕

<情  報>
〇文書非開示処分取消及び文書開示処分義務付け請求事件・大田区
 〔東京地令和5年2月16日判決〕
3,190円
連載・記事
○はんれい最前線
納骨堂経営等許可取消しを訴えた周辺住民は原告適格を有するか
榎本洋一(弁護士)/加登屋毅(東京都)/河野貴昭(高浜市)
○自治体法務の風を読む
第110回 行政機関内部における個人情報の利用
町田市総務部法制課(弁護士) 松田勇貴
〇自治体職員に身近な「事実認定」入門
第2回 「物と人」という証拠の種類
春日井市総務部参事(中京大学非常勤講師・弁護士) 吉永公平
○法律相談
納骨堂の設置許可と住民の原告適格
弁護士 岩本安昭
私立学校法改正への対応
弁護士 小國隆輔
○訴訟情報
山梨県有地賃貸借契約関係訴訟の弁護士着手金1億4300万円違法訴訟――原告敗訴――甲府地裁判決(控訴) ほか



判決紹介
<自治一般>
◎給水義務の不履行に基づく損害賠償請求事件・宮古島市
配水池の貯水量を適正に保つという重要な役割を有する装置(ボールタップ)について、耐用年数を相当期間超過して使用を継続したことにより経年劣化して破損したことを原因とする断水は、水道法15条2項(平成30年法律第92号による改正前のもの)の「災害その他正当な理由があってやむを得ない場合」に該当せず、水道事業者である市が給水義務の不履行に基づく損害賠償責任を負うとされた事例
〔福岡高令和5年12月21日判決〕

<情  報>
〇行政文書非公開決定に対する取消請求事件・太宰府市
市体育複合施設新築工事の予定価格算定のため市が作成した見積比較表(見積比較検討書を含む。)の「複数業者の見積額のうち最も低額な見積額」等の情報の公開請求に対し、「見積比較表(見積比較検討書)の製造業者(①メーカー、②ファブリケータ-、③資材業者)の価格」は市情報公開条例が規定する非公開情報に該当するとして、上記各価格のうち最も低額な見積額を公開しないとした一部公開決定のうち、同見積額を非公開とした部分が違法であるとされた事例
〔福岡地令和4年3月30日判決〕

◎行政文書非公開決定処分取消請求控訴事件・神奈川県湯河原町
町議会の議事録の非公開決定処分の取消訴訟において、原審が、理由の提示の要件を欠くから取り消されるべき瑕疵があり、非公開情報に該当するともいえないと判断して処分の取消請求を認めたことから湯河原町が控訴したところ、実体要件に係る原判決の判断に拘束力は及ばず、控訴の利益を欠くとして、控訴が却下された事例
〔東京高令和4年10月31日判決〕

<議  会>
◎普通地方公共団体の議会の議員に対する懲罰等に係る損害賠償請求控訴事件・高知県東洋町
町議会の議員に対する懲罰が町議会の有する裁量の範囲を逸脱するものであるとして国家賠償法1条1項に基づく請求が一部認容された事例
〔高松高令和4年11月16日判決〕

◎議員報酬等不当利得返還請求事件・大阪市
1 公職選挙法251条の規定により遡って大阪市の議会の議員の職を失った当選人は、同市に対し、当該当選人を唯一の所属議員とする会派の行った大阪市会政務活動費の交付に関する条例(平成13年大阪市条例第25号)5条所定の政務活動に関し、不当利得返還請求権を有することはない。
2 公職選挙法251条の規定により遡って大阪市の議会の議員の職を失った当選人は、同市に対し、上記議会の議員として行った活動に関し、不当利得返還請求権を有することはない。
(2につき、補足意見及び反対意見がある。)
〔最高(3小)令和5年12月12日判決〕

<契  約>
〇防犯灯電気料補助金返還請求事件・茅ヶ崎市
原告(茅ヶ崎市)が被告ら(自治会)に対して防犯灯電気料を補助金として交付していたことに関し、補助金は負担付きで被告らに贈与したものであるが、被告らが負担を履行しなかったことから贈与契約を解除したと主張して、補助金の返還を求めた訴訟において、負担付贈与契約とは認められないとして請求が棄却された事例
〔横浜地令和4年4月8日判決〕

◎随意契約締結に係る住民訴訟控訴事件・徳島県美波町
随意契約の方法により鉄道敷地内の雨水管渠新設工事に関する契約を締結したことが地方自治法234条2項などに反する違法があると主張して、当時の町長に対し損害賠償を請求することを求めた住民訴訟の控訴審において、契約締結に違法な点はないとした原審の判断が維持された事例
〔高松高令和4年11月17日判決〕

<公務員労働>
◎異動、転任の違法を理由とする国家賠償請求控訴事件・千代田区
被控訴人が控訴人に対して職場環境に配慮せず不当な動機・目的をもって異動を命じたこと、控訴人の職種と異なる職種に転任させ、又は控訴人の職種と異なる職務を担当させ、長期間留め置いたこと等の一連の行為が違法な公権力の行使又は信義則上の安全配慮義務に違反するものであり、これにより控訴人が財産的、精神的損害を被ったなどと主張して、国家賠償法1条1項又は信義則上の安全配慮義務違反に基づく損害賠償を請求したことについて、被控訴人の控訴人に対する人事上の措置は、控訴人の健康状態を悪化させる恐れが高いものであり、裁量権を逸脱するものであって違法な公権力の行使に当たるとして精神的損害に対する損害賠償請求が認められた事例
〔東京高令和4年5月20日判決〕

◎公立学校教員の時間外勤務手当等請求控訴事件・埼玉県
埼玉県の市立小学校の教員が、労基法による時間外割増賃金の支払を求めた訴訟の控訴審において、公立学校教職員は労基法に基づいて時間外割増賃金を請求することはできないとした原審の判断が維持された事例
〔東京高令和4年8月25日判決〕

<教育・文化>
〇部活動に関する損害賠償請求事件・古賀市
原告が剣道部の部員として合同合宿に参加し、熱中症となったことに関し、原告が所属する剣道部の顧問は、温度を把握し得る環境を整備するなどの義務を怠ったとして、安全配慮義務違反が一部認められた事例
〔福岡地令和4年3月25日判決〕

<厚  生>
〇香川県ネット・ゲーム依存症対策条例に係る損害賠償請求事件・香川県
18歳未満の子どもの1日のゲーム時間の目安等を示した香川県ネット・ゲーム依存症対策条例の立法行為及び同条例の改廃をしないことの立法不作為は国家賠償法1条1項の違法に当たらないと判断された事例
〔高松地令和4年8月30日判決〕

◎コロナ感染者立ち寄り店名公表に係る損害賠償請求控訴事件・徳島県
飲食店を経営する会社が、徳島県知事が同意なく、新型コロナウイルス感染症の感染者の立ち寄り先として、飲食店の店名を公表したことにより、名誉・信用・営業の自由・財産権が侵害されたことを理由とする徳島県に対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求が、違法性を欠くとして請求を棄却した原判決が支持され、控訴が棄却された事例
〔高松高令和5年7月13日判決〕



判決概要紹介
<厚  生>
◎指定更新処分義務付け等請求控訴事件・神奈川県
〔東京高令和4年12月22日判決〕

<道  路>
◎道路管理瑕疵に係る賠償請求控訴事件・大阪府
〔大阪高令和4年2月24日判決〕
1,430円

地方公共団体が当事者となっている行政・民事の裁判例(地方自治判例)を収録。
重要判例には解説等を登載。
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【判例回顧】

地方自治体をめぐる判例の動き
──本誌492号から504号までを回顧して──
弁護士 内山忠明

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【判例解説 全17件】
1 道路の設計成果に関する行政文書非開示決定処分に対する取消請求控訴事件(岡山県)
同志社大学法学部教授 佐伯彰洋

2 市庁舎前広場使用不許可処分に係る損害賠償請求事件(金沢市) 
富山大学経済学部教授 神山智美

3 市議会議員の不当要求行為に対する警告措置の手続に係る国家賠償請求事件(姫路市)
弁護士 冨永忠祐

4 指名競争入札にかかる損害賠償事件解決を受けた元市長に対する求償金請求控訴事件(坂東市)
弁護士 中込一洋

5 ゴルフ場用地の登録価格の算定に係る国家賠償請求事件(丹波市)
茨城大学人文社会科学部講師 福田智子

6 公立高校教員過重労働事件(大阪府)
元新潟大学教授・法学博士 南 眞二

7 高等学校廃止処分取消請求控訴事件(奈良県)
元関西大学法科大学院教授 由喜門眞治

8 定年後の再任用を希望する公立高校教員の不採用に係る損害賠償事件(大阪府)
桃山学院大学名誉教授 寺田友子

9 市立中学生のいじめ対応に関する損害賠償責任(川口市)
中央大学法学部教授 冷水登紀代

10 市立小学校の臨時講師不任用に対する損害賠償請求事件(草津市)
東海大学法学部准教授 塩原真理子

11 納骨堂経営許可処分取消等請求上告事件(大阪市)
神戸学院大学法学部教授 恩地紀代子

12 ホームレスへの特別定額給付金の支給義務付け等請求事件(国・大阪市)
横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授 板垣勝彦

13 新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく営業時間短縮命令の違法性が争われた国家賠償請求事件(東京都)
京都産業大学法学部准教授 若狭愛子

14 生活保護申請却下決定の通知方法等に関する国家賠償請求控訴事件(西都市)
高岡法科大学法学部准教授 渡部朗子

15 造成工事に対する規制権限不行使の違法性(横浜市)
日本大学法学部教授 大杉麻美

16 農用地利用計画変更決定無効確認請求事件(大和市)
弁護士・法学博士 山村恒年

17 放置違反金納付命令処分取消請求控訴事件(岡山県)
弁護士 針原祥次


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【索引】

● 記事索引  

● 項目別索引  

● 法条別索引

● 裁判年月日別索引

● 自治体別索引
1,430円
連載・記事
○はんれい最前線
行政実例否定の最高裁判決は職員給与の返還にも影響あり?
 藤原孝洋(弁護士)/古田隆(神戸市)
○自治体法務の風を読む
第108回 災害ケースマネジメント
 神戸市行財政局法務支援専門官(弁護士) 稲田 優
○法律相談
普通財産である土地の貸付け
 弁護士 大田裕章
○訴訟情報
国際芸術祭検証委員会は条例に基づかず違法――知事に故意、過失なし――名古屋高裁判決ほか


判決紹介
<議  会>
◎公共工事契約締結の議決に係る損害賠償請求控訴事件・青森県南部町
 公共工事契約の締結を否決する旨の町議会の議決が違法であるとして国家賠償法1条1項に基づく請求が一部認容された事例
 〔仙台高令和4年3月22日判決〕

<財  政>
〇怠る事実の違法確認請求事件・渋谷区
 区が設置し、区が全部の株式を保有する公社が管理・運営する宿泊施設に関し、宿泊施設のした賃借料等の支払が不要な行為であると主張して、区長が責任追及等の訴えの提起を請求しないことの違法確認を求めた住民訴訟において、違法な怠る事実には該当しないと判断された事例
 〔東京地令和4年2月18日判決〕

<労  働>
〇懲戒処分取消等請求事件・長崎県
 県立高校に勤務していた原告が、不正に公務災害認定請求をしたこと等を理由に懲戒免職処分を受けたことが違法であると主張して懲戒免職処分の取消しを求めた訴訟において、原告の公務災害認定請求は不正ではないとして、懲戒免職処分が取り消された事例
 〔長崎地令和4年2月22日判決〕

<教育・文化>
◎教員再任用選考不合格決定に対する損害賠償請求控訴事件・福井県
 県立高校の教職員であった被控訴人が、県教委が公立学校再任用教職員採用選考において被控訴人を不合格とした決定は違法であると主張して、損害賠償の支払を求めた訴訟の控訴審において、不合格決定は違法であるとした原審の判断が維持された事例
 〔名古屋高金沢支令和5年3月15日判決〕

<都市計画>
〇事業計画認可取消請求事件・東京都
 再開発事業の施行区域内に土地及び建物を所有していた原告が、都市再開発法50条の2第1項所定の認可に先行する再開発事業に関する都市計画決定に違法があり、都市計画決定が違法である以上、認可処分も違法であると主張して認可処分の取消しを求めた訴訟において、都市計画決定は適法であるとして請求が棄却された事例
 〔東京地令和3年12月10日判決〕

<建  築>
〇委託業務の前払金返還請求事件・釧路市
 市立病院の新棟建設のための設計業務を発注した原告(釧路市)が、業務を受注した特定共同事業体の任意的訴訟担当である被告に対し、原告が指示した要領による積算が行われていないなどの問題があり契約を解除したと主張して、前払金の支払を求めた訴訟において、原告の請求が認められた事例
 〔釧路地令和4年3月22日判決〕

判決概要紹介
<土  地>
◎所有権移転登記手続請求控訴事件・山梨県
 〔東京高令和4年2月28日判決〕
1,430円
連載・記事
○はんれい最前線
全員協議会の取決め等を根拠にした非開示決定処分の適法性は
佐々木泉顕(弁護士)/山田敬之(弁護士)/岸本明大(北海道町村会)
○自治体法務の風を読む
第107回 要綱に基づく補助金
東京都総務局総務部法務課法務担当課長 飯田隼矢
○特別寄稿
同性パートナーに対する公的給付に関する自治体の取組と課題
弁護士 池田実佐子
○法律相談
要綱に基づく補助金の不正受給への対応
弁護士 小林大祐
○訴訟情報
当選無効による報酬返還について全額返還命令――最高裁判決 ほか


判決紹介
<財  政>
〇有識者会議設置等に係る損害賠償請求等義務付け請求(住民訴訟)事件・沖縄県
県と有識者等会議設置等支援業務スタートチームとの間で随意契約の方法で締結された業務委託契約が違法ではないと判断された事例
〔那覇地令和4年2月16日判決〕

<税  務>
◎固定資産税不徴収に関する住民訴訟控訴事件・神奈川県大磯町
固定資産税の課税対象物件であるにもかかわらず、税務課長が固定資産税の賦課に係る専決権限の行使を違法に怠ったとして、税務課長に徴収不能となった課税相当額の損害賠償金を請求するよう命じた原審の判断が控訴審において維持された事例
〔東京高令和5年2月15日判決〕

<労  働>
◎不当労働行為救済命令取消請求控訴事件・大阪市・大阪府
団体交渉の申入れに関する大阪市の対応が不当労働行為に当たるとして、大阪府労働委員会が大阪市に対し団体交渉に応ずるべきこと等を命じた救済命令の取消しを求めた訴訟の控訴審において、救済命令が適法であるとした原審の判断が維持された事例
〔大阪高令和4年2月4日判決〕

<教育・文化>
◎国際芸術祭負担金交付請求控訴事件・名古屋市
地方公共団体が、芸術祭を運営する団体(権利能力なき社団)に対し負担金を交付する決定をしたにもかかわらず、その後、事情の変更により特別の必要が生じたとして一方的に負担金額を減額変更したことが違法とされた事例
〔名古屋高令和4年12月2日判決〕

<環境・衛生>
◎公の施設に係る管理委託契約の債務不履行に基づく損害賠償請求控訴事件・富山市
公の施設の管理委託契約の終了について、指定管理の取消事由がないにもかかわらず、実体とは異なる外形を整えて指定管理の取消しを行ったものであり、指定管理者による契約の一方的な解約ではなく、合意解除であると判断された事例
〔名古屋高金沢支令和5年4月19日判決〕

<建  築>
〇違反建築物の使用制限命令処分取消請求事件・川崎市
川崎市内で簡易宿所として利用されていた建物の所有者である原告が、当該建物が建築基準法に違反し、緊急に使用を制限する必要があるとしてされた使用制限命令処分が違法であると主張して、使用制限命令処分の取消しを求めた訴訟において、同処分が適法であるとして請求が棄却された事例
〔横浜地令和4年3月2日判決〕


判決概要紹介
<厚  生>
◎生活保護停止処分に係る損害賠償請求控訴事件・前橋市
〔東京高令和4年2月22日判決〕
1,430円
連載・記事
○新春巻頭言
訴訟のデジタル化と国や地方公共団体を当事者とする訴訟について
法務省訟務局長/春名 茂
○はんれい最前線
コロナ感染防止対策に奮闘中の時短命令に違法の判断
弁護士 奥宮京子/元川崎市 高橋哲也
○自治体法務の風を読む
第106回 自治体における行政対象暴力等・カスタマーハラスメントへの組織的対応
弁護士(元岐阜市特定任期付職員)  安田和広
○法律相談
理由の提示に不備がある処分に対する審査請求に対する審理員審理のあり方
弁護士 濱 和哲
○訴訟情報
1日24時間重度訪問介護サービス支給請求訴訟――1日22時間以上のサービス支給命令――千葉地裁判決ほか


判決紹介
<議  会>
◎議会出席停止に係る損害賠償請求控訴事件・石巻市
Y市議会が本会議において市議会議員Xに対して8日間の出席停止懲罰を科したことは、懲罰対象行為の一部につき事実上の基礎を欠き、一部の行為については評価が著しく不当で、懲罰内容も不相当に過重であり、裁量権の範囲を逸脱・濫用したものであり、当該懲罰の事実を記載した「議会だより」を市の全戸に配布したことはXの名誉を毀損したもので、いずれも違法であるとして、Yに国家賠償法1条1項に基づく損害賠償責任を認めた事例
〔仙台高令和4年6月1日判決〕

<財  政>
◎公費によるセンチュリー購入に関する住民訴訟控訴事件・山口県
県が貴賓車としてトヨタセンチュリーを購入したことが違法であると主張して、当時の知事に損害賠償請求するよう求めた住民訴訟の控訴審において、トヨタセンチュリーの購入は適法であるとして、購入が違法であるとした原判決が取り消され、住民の請求が棄却された事例
〔広島高令和5年5月10日判決〕

<労  働>
◎退職手当支給制限処分取消請求控訴事件・小諸市
市の職員であった被控訴人が酒気帯び運転をしたため、市長から懲戒免職処分及び退職手当支給制限処分を受けたことについて、退職手当支給制限処分の取消しを求めた訴訟の控訴審において、退職手当支給制限処分は裁量権の範囲を逸脱した違法なものであるとした原審の判断が維持された事例
〔東京高令和4年1月14日判決〕

<厚  生>
〇生活保護廃止決定処分取消請求事件・山陽小野田市
生活保護を受けていた原告が、同居する二男が就労収入を得ていたことを知りながら申告しなかったことを理由として生活保護廃止処分を受けたことから、廃止処分の取消しを求めた訴訟において、廃止処分は裁量権を逸脱又は濫用したものであるとして、処分が取り消された事例
〔山口地令和4年10月19日判決〕

<都市計画>
〇業務委託契約に関する住民訴訟事件・鎌倉市
市が締結した調査業務委託契約に基づき委託業者が提出した成果品が不十分であり、委託契約が解除されるべきであるのに支出命令をしたことが違法であると主張して、市長に対し支出相当額の損害賠償を請求するよう求めた住民訴訟において、委託契約の本旨に従った履行がされているとして請求が棄却された事例
〔横浜地令和4年3月9日判決〕

<建  築>
◎指名停止措置等に関する損害賠償請求控訴事件・渋川市
市から運動場の造成工事を請け負った業者が、市の行った記者会見において業者による工事には重大な瑕疵があると発表され、さらに、指名停止1年間の措置を講じられたことが違法であると主張して損害賠償を求めた訴訟の控訴審において、損害額が原審よりも増額された事例
〔東京高令和3年12月21日判決〕

<道  路>
◎県道の倒木事故に関する損害賠償請求控訴事件・熊本市
県道沿いの私有地に生育していた樹木が県道に倒れ、県道を走行していた自動車に直撃して運転手が死亡した事故に関し、運転手の遺族が県道を管理していた熊本市等に損害賠償を求めた訴訟の控訴審において、熊本市には県道の設置又は管理の瑕疵があるとした原審の判断が維持された事例
〔福岡高令和4年1月28日判決〕


判決概要紹介
<厚  生>
○居宅介護サービス費等返還に係る損害賠償請求事件・高槻市
〔大阪地令和3年11月4日判決〕
1,430円
連載・記事
○はんれい最前線
不動産鑑定評価書の公開請求に対する一部非公開決定の適法性
弁護士 馬橋隆紀/さいたま市 幸田 宏
○自治体法務の風を読む
第105回 固定資産を「現に所有している者」と相続人代表者
町田市総務部法制課(弁護士) 松田勇貴
○法律相談
「いじめ」の違法性
弁護士 植村礼大
○訴訟情報
同性パートナー扶養手当不支給違憲訴訟――原告敗訴――札幌地裁判決ほか


判決紹介
<財  政>
◎補助金交付に関する住民訴訟事件・秋田県
補助事業により取得した財産を知事の承認を受けずに第三者に貸し付けたことが補助金の目的外使用に当たると主張して、補助金の交付を受けた会社に返還請求することを求めた住民訴訟の控訴審において、補助金の目的外使用には当たらないとした原審の判断が維持された事例
〔仙台高秋田支令和4年4月27日判決〕

<税  務>
〇市民税等賦課決定処分取消請求事件・大阪市
役員報酬があることを前提に市民税及び府民税の賦課決定処分を受けた原告が、原告は取締役報酬の合意をしていないと主張して処分の一部取消しを求めた訴訟において、役員報酬の合意がなかったとして原告の請求が認容された事例
〔大阪地令和3年9月24日判決〕

<労  働>
◎懲戒免職処分取消、退職手当支給制限処分取消請求事件・宮城県
1 職員の退職手当に関する条例(昭和28年宮城県条例第70号。令和元年宮城県条例第51号による改正前のもの)12条1項1号の規定により一般の退職手当等の全部又は一部を支給しないこととする処分の適否に関する裁判所の審査
2 職員の退職手当に関する条例(昭和28年宮城県条例第70号。令和元年宮城県条例第51号による改正前のもの)12条1項1号の規定により公立学校教員を退職した者に対してされた一般の退職手当等の全部を支給しないこととする処分に係る県の教育委員会の判断が、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとはいえないとされた事例
〔最高(3小)令和5年6月27日判決〕

<環境・衛生>
◎咬傷事故による損害賠償請求控訴事件・宮崎県
県から委託を受けて犬猫の譲渡推進事業等を行っていた団体のボランティア活動に参加していた被控訴人が、犬に手をかまれる事故に遭ったと主張して、県に対し、民法718条1項等に基づき損害賠償を求めた訴訟の控訴審において、県の責任を認めた原審の判断が維持された事例
〔福岡高宮崎支令和3年9月1日判決〕

<厚  生>
〇遺児手当資格取消処分等取消請求事件・北名古屋市
市の条例に基づき遺児手当等の支給を受けていた原告が、婚姻中であることを理由に支給処分を取り消す旨の処分及び遺児手当等の返還を請求する処分を受けたため、各取消処分の取消しを求めた訴訟において、各取消処分は適法であると判断された事例
〔名古屋地令和4年1月27日判決〕

◎指定居宅サービス事業者の指定取消処分の取消請求控訴事件・埼玉県
介護保険法に基づく指定居宅サービス事業者の指定を受けていた控訴人が、指定処分を取り消す旨の処分を受けたため、取消処分の取消しを求めた訴訟の控訴審において、取消処分に違法な点はないとして控訴人の請求を棄却した原審の判断が維持された事例
〔東京高令和4年3月29日判決〕


判決概要紹介
<議  会>
〇録音データ非公開決定処分取消等請求事件・大阪府能勢町
〔大阪地令和4年1月17日判決〕
1,430円
連載・記事
○はんれい最前線
部下への暴行等を繰り返した職員に対する分限免職処分は重きに失するか
自治体法務研究所  江原 勲/東京都 榎本洋一
○自治体法務の風を読む
第104回 学校における著作物利用の留意点
神戸市教育委員会事務局学校法務専門官(弁護士) 片山明子
○法律相談
プールの給水ミスに係る損害賠償責任
弁護士 髙橋 英
○訴訟情報
断絶決議で旧統一教会が北九州市を提訴――福岡地裁ほか


判決紹介
<財  政>
〇新庁舎建築に関する住民訴訟事件・東大阪市
旧庁舎を保存することなく解体し、新庁舎を建築する再編整備計画に瑕疵があり、事業契約に基づいて代金を支払うことも違法であると主張して、支出命令の差止め等を求めた住民訴訟において、再編整備計画に違法はないと判断された事例
〔大阪地令和4年2月17日判決〕

<労  働>
◎休職期間給与支給遅滞損害賠償請求控訴事件・京都府
休職者に対する休職期間中の給与の支給が遅滞したとして遅延損害金の支払を命じられた事例
〔大阪高令和4年4月15日判決〕

<環境・衛生>
〇時短協力金の支給を受けられる地位確認請求事件・大阪府
大阪市内で飲食店の食品衛生法上の営業許可を受けている原告が、大阪府営業時間短縮協力金支給規則に基づき申請した営業時間短縮協力金の支給を受けられる地位にあることの確認請求が、一部を除き認容された事例
〔大阪地令和4年9月30日判決〕

◎納骨堂経営許可処分取消等請求上告事件・大阪市
墓地、埋葬等に関する法律10条の規定により大阪市長がした納骨堂の経営等に係る許可の取消訴訟と納骨堂の周辺住民の原告適格
〔最高(3小)令和5年5月9日判決〕

<厚  生>
〇介護給付支給変更申請却下決定の取消請求事件・豊中市
障害者総合支援法に基づき介護給付費の支給を受けていた原告が同行援護の支給量の変更申請をしたところ、豊中市長から却下決定を受けたことについて、却下決定が違法であると主張して、その取消しを求めた訴訟において、却下決定に違法はないとして請求が棄却された事例
〔大阪地令和4年2月3日判決〕

<土  地>
◎土地明渡請求控訴事件・大阪府
日雇労働者への職業紹介などが行われていた複合施設を大阪市及び国と共有する大阪府が、同施設の敷地を控訴人らが共同占有していると主張して、控訴人らに対し同土地の明渡しを求めた訴訟の控訴審において、控訴人らに同土地の明渡しを求めることが権利の濫用に当たらないなどとした原審の判断が維持された事例
〔大阪高令和4年12月14日判決〕

<建  築>
◎公共工事の受注業者に対する違約金請求控訴事件・山形県大石田町
公共工事の受注業者の取締役が贈賄罪等により有罪判決を受けたことが請負契約における違約金条項に該当するとして、町が業者に対して違約金の支払を求めた訴訟の控訴審において、違約金条項に基づく請求は認められるがその額は信義則上制限されるとした原審の判断が維持された事例
〔仙台高令和4年8月31日判決〕


判決概要紹介
<教育・文化>
〇非公開決定取消請求事件・高石市
〔大阪地令和4年2月3日判決〕
1,430円
連載・記事
○はんれい最前線
両親のうち身体的・心理的虐待をしていない方の親に対する面会制限は違法?
弁護士・博士(医学) 楠井嘉行/三重県四日市県税事務所・博士(会計学) 𠮷田尚史
○自治体法務の風を読む
第103回 指定管理のモニタリング
神戸市行財政局法務支援専門官(弁護士) 稲田 優
○法律相談
土地改良区の用水路の一部の目的外使用契約の解約について
弁護士 山村恒年
○訴訟情報
山梨県有地の業者との賃貸借契約は無効とはいえない――東京高裁判決ほか


判決紹介
<自治一般>
〇公文書一部非公開決定処分取消請求事件・高槻市
高槻市に住所を有する原告が、高槻市が市所有の土地上に建物を所有する者に使用料相当額を請求したことに関する公文書の公開を求めたところ、一部を非公開とする旨の決定を受けたため、非公開とした部分の取消しを求めた訴訟において、非公開部分は部分公開すべきであるとして請求が認容された事例
〔大阪地令和3年9月16日判決〕

<議  会>
〇市議の発言についての損害賠償請求事件・鎌倉市
鎌倉市議の市議会及びSNSにおける発言によって、労働組合の職員である原告の名誉が毀損されたとして、鎌倉市に対し、国家賠償法1条1項に基づき,損害賠償の支払が命じられた事例
〔横浜地令和3年12月24日判決〕

<財  政>
〇市民体育センター建築工事費支出差止請求事件・彦根市
市民体育センター整備事業に関する支出が行われると市に回復し難い損害が発生すると主張して支出の差止めを求めた住民訴訟において、市民体育センターの建設が市の近い将来の財政破綻をもたらすとはいえないとして差止請求が棄却された事例
〔大津地令和4年2月15日判決〕

<税  務>
◎特別地方交付税の額の決定取消請求控訴事件・国・泉佐野市
1 地方交付税法の仕組みや目的等に照らすと、地方団体が国から法律の定めに従い地方交付税の分配を受けることができるか否かに関する紛争は、国と地方団体が、それぞれ行政主体としての立場に立ち、地方団体全体が適正に行政事務を遂行し得るように、法規(地方交付税法)の適用の適正をめぐって一般公益(地方団体全体の利益)の保護を目的として係争するものというべきである。
2 被控訴人泉佐野市の提起した訴えが、行政主体として法規の適用の適正をめぐる一般公益の保護を目的として提起したものであって、自己の財産上の権利利益の保護救済を目的として提起したものと見ることはできないから、裁判所法3条1項にいう「法律上の争訟」には当たらないとされた事例
〔大阪高令和5年5月10日判決〕

<教育・文化>
〇いじめ対応に関する損害賠償請求事件・川口市
市立中学生のいじめをめぐる市の教育委員会の対応が、重大事態の発生を認知すべきであったにもかかわらず、重大事態としての調査を怠り、また、中学校の教諭らに対する指導を行わなかったから、職務上の義務に違反すると判断された事例
〔さいたま地令和3年12月15日判決〕

<環境・衛生>
〇産業廃棄物処理施設の設置許可処分の取消請求事件・岐阜県
県知事による産業廃棄物処理施設の設置に係る許可処分が廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則12条の2の3第2号所定の経理的基礎に係る許可要件を満たしておらず違法であるとして取り消された事例
〔岐阜地令和4年5月16日判決〕

<厚  生>
〇生活保護申請却下決定の通知方法等に関する国家賠償請求事件・西都市
市の社会福祉事務所の職員が、親族による身体的・経済的虐待を受けていた生活保護申請者に対し、同じく虐待を受けていた世帯員が定期貯金を有することを理由に生活保護申請を却下する旨の通知を行うに当たり、あえて虐待を行っていた親族を同席させて、定期貯金の存在及び内容を告知したことは、公務員として職務上尽くすべき注意義務を怠ったもので国家賠償法上、違法であると判断された事例
〔福岡高宮崎支令和4年11月9日判決〕


判決概要紹介
<警  察>
◎運転免許取消処分に係る損害賠償請求控訴事件・東京都
〔東京高令和3年10月28日判決〕
1,430円
連載・記事
○はんれい最前線
住民基本台帳に記録されていない居住者への給付金不支給は違法か
藤原孝洋(弁護士)/古田隆(神戸市)
○自治体法務の風を読む
第102回 自治体による事業者等のネガティブ情報の公表と留意点
江戸川区副区長(弁護士) 船崎まみ
○法律相談
トランスジェンダーの職員への配慮
弁護士 小國隆輔
○訴訟情報
高校教諭の飲酒運転事故で懲戒免職・退職金全額不支給――退職金全額不支給も適法――最高裁判決ほか


判決紹介
<自治一般>
〇公文書部分公開決定処分取消請求事件・大津市
公文書公開請求に対して市長が行った公文書部分公開決定及び同決定で非公開とされた文書の一部を開示する旨の裁決につき、同決定及び裁決の取消し並びに非公開文書の公開を求められた事案において、同決定及び裁決が各文書の原本が存在しないとした点に違法はないが、人事課ファイル及び市長室ファイルといった写しが存在し、それぞれが組織共用性のあるものとして使用されていたことから、各ファイルを非公開とした部分が違法と判断された事例
〔大津地令和4年3月17日判決〕

<議  会>
〇議員報酬等不当利得返還請求事件・大阪市
1 普通地方公共団体が、公職選挙法251条により当選無効とされた当選人に対し、当該当選人に支給された議員報酬及び期末手当が不当利得に当たるとして返還を求めた訴訟につき請求が一部認容された事例
2 普通地方公共団体が、公職選挙法251条により当選無効とされた当選人に対し、当該当選人が所属するいわゆる一人会派に交付された政務活動費が不当利得に当たるとして返還を求めた訴訟につき請求が一部認容された事例
〔大阪地令和3年12月23日判決〕

<財  政>
〇ごみ処理施設用地の購入に関する住民訴訟事件・横須賀市
市がごみ処理施設の用地として土地を購入したことに関し、買収の必要性がない土地を対象としたなどの違法があると主張して、当時の市長らに対して損害賠償請求するよう求めた住民訴訟において、土地の購入に違法な点はないとして請求が棄却された事例
〔横浜地令和4年2月21日判決〕

<税  務>
◎固定資産評価審査委員会の審査決定取消請求控訴事件・いわき市
固定資産評価審査委員会の審査決定の取消しを求めた訴訟の控訴審において、審査決定は違法であるが、適正な時価を認定することができないとして、審査決定の全部を取り消した原審の判断について、審査決定は違法であるが、裁判所が適正な時価を判断すべきであり、全部取り消すことは相当でないとされた事例
〔仙台高令和4年5月26日判決〕

<教育・文化>
〇県立高校の制服製造業者の選考手続に係る国家賠償請求事件・熊本県
県立高校における制服の製造業者を選考する手続に不公正な点はなく国家賠償法上の違法があるということはできないとされた事例
〔熊本地令和4年3月3日判決〕

<環境・衛生>
〇山形県飽海郡遊佐町吉出字臂曲地内の岩石採取計画不認可処分に対する取消裁定申請事件・山形県
岩石採取計画認可申請に対する不認可処分にかかる取消裁定申請の審理中に、同計画地所在の地方公共団体がその条例に基づき同岩石採取計画を規制対象事業に認定した処分が有効であることが確定したため、同岩石採取計画について他法令の許可等を受ける見込みがないことが確定し、これにより同不認可処分が適法であることが確定したものとして、取消裁定申請を棄却した事例
〔公調委令和4年6月23日裁定〕

<厚  生>
〇世帯分離解除による生活保護廃止処分取消請求事件・熊本県
孫と同居し、生活保護を受給していた原告が、孫が准看護師の資格を取得し、収入が増加したことにより世帯分離を解除され、保護廃止決定がされたことが違法であると主張して、処分の取消しを求めた訴訟において、原告について世帯分離を解除することは認められないとして廃止決定処分が取り消された事例
〔熊本地令和4年10月3日判決〕

<土  地>
◎土地所有権確認請求控訴事件・東京都
控訴人が、都道の一部について黙示の公用廃止処分がされ、時効取得したと主張し、土地所有権の確認を求めた訴訟の控訴審において、黙示の公用廃止処分がされていたとは認められないとして控訴人の請求を棄却した原審の判断が維持された事例
〔東京高令和4年1月27日判決〕


判決概要紹介
<労  働>
◎条件付採用職員免職処分取消請求控訴事件・神奈川県
〔東京高令和4年8月19日判決〕
1,430円
★本誌は本号で創刊500号を迎えました!!



連載・記事
○500号に寄せて
判例地方自治創刊500号を記念して
自治体法務研究所 江原 勲
私の弁護士生活と判例地方自治
三重大学学長顧問・博士(医学)・弁護士 楠井嘉行
○はんれい最前線
市長の対立候補を応援した業者を市発注競争入札で指名せず訴え
佐々木泉顕(弁護士)/山田敬之(弁護士)/岸本明大(北海道町村会)
○自治体法務の風を読む
第101回 未成年者の保有個人情報開示請求
小牧市総務部総務課主幹(弁護士) 早川和希
○法律相談
ごみ屋敷への対応
弁護士 黒田修平
○訴訟情報
住民投票の地位確認訴訟――法律上の地位を否定――那覇地裁判決ほか


判決紹介
<自治一般>
◎個人情報保護条例に基づく開示請求に対する一部不開示処分取消等請求控訴事件・川崎市
川崎市個人情報保護条例に基づく生活保護ケースワーク記録の開示請求に対して、①本人以外の特定の個人が識別できる情報であり、開示することにより個人の権利利益を害するおそれがあること(本件条例17条3号)、②実施機関(処分行政庁)の適正な事務事業の遂行に支障を及ぼすおそれがあること(同条6号)を理由として一部不開示とした処分について、各不開示情報該当性を認めた原審の判断が維持された事例
〔東京高令和4年1月26日判決〕

<選  挙>
〇参院選比例代表選挙において自らの投票が正確に得票に計上されなかったことを理由とした損害賠償請求事件・堺市
参議院議員(比例代表選出)の選挙において、「候補者の当落にかかわらず自らの投票が正確に計上されること」が、公職選挙法上の権利又は保護された利益とはいえない以上、投票の点検を担う公務員が、個々の選挙人に対して、通常の公務員に要求される普通の注意をもって投票用紙に記載された候補者への得票として計上する義務を負うということはできず、上記注意を怠って投票の点検に誤りが生じたとしても、「投票の点検」を行うようなことが個々の選挙人の「候補者の当落にかかわらず自らの投票が正確に得票に計上される」権利又は法律上保護された利益を侵害するものとして、国家賠償法1条1項の違法が認められる余地はないというべきであるとされた事例
〔大阪地堺支令和4年3月22日判決〕

<教育・文化>
◎定年後の再任用を希望する公立高校教員の不採用に係る損害賠償請求控訴事件・大阪府
卒業式における国歌斉唱時の不起立により過去に2度の戒告処分を受けた大阪府立高校の教員が、府教育委員会に対し定年退職後の再任用の申込みをしたが再任用されなかったことを理由とする、府に対する国家賠償法1条1項に基づく損害賠償請求が、客観的合理性及び社会的相当性を著しく欠くもので裁量権の逸脱又は濫用に当たるとして、一部認容された事例
〔大阪高令和3年12月9日判決〕

<環境・衛生>
〇行政財産目的外使用許可取消処分取消請求事件・和泉市
市から市立小学校の屋根部分の目的外使用許可を受けて太陽光発電設備を設置していた原告が、市長から使用許可処分の取消しを受けたことについて、処分要件を満たさない違法があると主張して取消処分の取消しを求めた訴訟において、使用許可期間の経過により訴えの利益が消滅したとして、訴えが却下された事例
〔大阪地令和4年1月27日判決〕

<厚  生>
〇大阪市新型コロナウイルス感染症患者受入病床協力金請求事件・大阪市
民事再生手続中の医療法人である原告が、大阪市に対し、大阪市新型コロナウイルス感染症患者受入病床協力金交付要綱に基づく協力金の支払を求めた訴訟において、原告に対する貸金返還等請求権を自働債権とする相殺の抗弁が一部認められ、一部認められなかった事例
〔大阪地令和4年10月28日判決〕

<産  業>
◎随意契約に係る公金支出返還請求住民訴訟事件・長野県信濃町
信濃町が土地改良事業団体連合会との間で随意契約の方法により業務委託契約を締結したことが地方自治法等の規定に違反するなどと主張して、当時の町長に対し損害賠償請求等をするよう義務付けることを求めるなどした住民訴訟の控訴審において、業務委託契約の締結に違法はないとした原審の判断が維持された事例
〔東京高令和4年2月9日判決〕

<警  察>
〇運転免許取消処分取消請求事件・大阪府
運転免許の更新手続をせずに無免許運転をしたことを理由に運転免許取消処分を受けた原告が、新型コロナウイルス感染症のまん延という状況下にあったのであるから旧免許証の有効期間が自動的に延長されていると解すべきである等と主張して、運転免許取消処分の取消しを求めた訴訟において、法令等の根拠はなく、有効期間が自動的に延長されると解することはできないと判断された事例
〔大阪地令和3年12月3日判決〕


判決概要紹介
<税  務>
〇土地家屋の登録価格についての審査申出に係る処分取消等請求事件・枚方市
〔大阪地令和4年1月13日判決〕
1,430円
連載・記事
○はんれい最前線
三セクは実現可能な収支計画と透明性が重要
弁護士 奥宮京子/元川崎市 高橋京也
○自治体法務の風を読む
第100回 交付要求は処分ではない?-判例の射程-
鹿児島市総務課法制係(弁護士) 前原友紀子
○特別寄稿
江戸川区における政策法務推進に向けた取組(第3回(終))
江戸川区副区長(弁護士) 船崎まみ
○法律相談
児童相談所による養護施設への児童入所措置
弁護士 岩本安昭
○訴訟情報
ビル型納骨堂経営許可取消訴訟――周辺住民の原告適格認める――最高裁判決ほか


判決紹介
<自治一般>
◎公文書非公開決定処分取消請求控訴事件・日田市
控訴人らが、情報公開条例に基づき、市が依頼した不動産鑑定評価書の公開を請求したところ、一部を非公開とされたため、鑑定書の評価に関する根拠及び鑑定金額を非公開とした部分の取消しを求めた訴訟の控訴審において、非公開部分は非公開事由に該当するとした原審の判断が維持された事例
〔福岡高令和3年1月12日判決〕

◎金沢市庁舎前広場使用不許可処分に係る損害賠償請求事件・金沢市
金沢市庁舎前広場における集会に係る行為に対し金沢市庁舎等管理規則(平成23年金沢市規則第55号)5条12号を適用することは、憲法21条1項に違反しない。
〔最高(3小)令和5年2月21日判決〕

<財  政>
◎求償金請求控訴事件・坂東市
坂東市(被控訴人)が指名競争入札における違法な指名排除により損害を受けたとして損害賠償を求められ、解決金を支払う訴訟上の和解をしたことに関し、被控訴人が当時の市長であった控訴人に求償金の支払を求めた訴訟の控訴審において、被控訴人の求償金請求を認容した原審の判断が維持された事例
〔東京高令和3年11月4日判決〕

<教育・文化>
◎高等学校廃止処分取消請求控訴事件・奈良県
1 県立高等学校の廃止を定めた条例の制定は抗告訴訟の対象となる行政処分に当たらないとされた事例
2 条例の制定による県立高等学校の廃止が違法であるとして慰謝料の支払を求める在学生徒の請求が棄却された事例
〔大阪高令和3年3月17日判決〕

<厚  生>
◎同性パートナーに対する犯罪被害者給付金不支給裁定取消請求控訴事件・愛知県
犯罪被害者と交際していた同性の控訴人が、遺族給付金の支給をしない旨の裁定の取消しを求めた訴訟の控訴審において、被害者と同性の者は犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律5条1項1号所定の「犯罪被害者の配偶者」とは認められないとする原審の判断が維持された事例
〔名古屋高令和4年8月26日判決〕

<道  路>
〇道路管理の瑕疵を理由とする損害賠償請求事件・岡山市
クロスバイクを運転していた原告が、被告(岡山市)が管理する地下道に進入しようとした際に、通行止めバーとの衝突を避けようとして転倒して受傷したとして、国家賠償法2条1項(上記地下道の管理の瑕疵)に基づく損害賠償を求めた訴訟において、岡山市には道路の管理の瑕疵があったと判断された事例
〔岡山地令和4年3月28日判決〕


判決概要紹介
<産  業>
〇商店街イベントにおける補助金返還に関する権利行使懈怠に対する住民訴訟事件・杉並区
〔東京地令和3年5月13日判決〕
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