機能材料 発売日・バックナンバー

全251件中 106 〜 120 件を表示
【著者一覧】
大久保雅章  大阪府立大学
大久保雄司  大阪大学
山村和也  大阪大学
川口雅弘  東京都立産業技術研究センター
水越克彰  東北大学
玉井鉄宗  龍谷大学
清野智史  大阪大学
堀部博志  ㈱栗田製作所
西村芳実  ㈱栗田製作所
田村豊  春日電機㈱
宮原秀一  東京工業大学,プラズマコンセプト東京
沖野晃俊  東京工業大学,プラズマコンセプト東京
加藤高志  ㈱オハラ
新岡宏彦  大阪大学
山本修也  大阪大学
大東寛典  大阪大学
浅谷学嗣  大阪大学
三宅淳  大阪大学
鷲尾裕之  特許戦略/ポリマー技術コンサルタント



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【特集】プラズマを利用する表面処理技術

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特集にあたって
Introduction to Special Issue

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プラズマ表面処理プロセスの動向とフッ素樹脂接着への応用
Research Trends of Plasma Surface Treatment and Applications to Adhesion of Fluoropolymer Plastics

 近年応用が盛んになってきたプラズマ表面処理技術に関して,はじめに,CVD(Chemical Vapor Deposition)処理,DLC(Diamond‒Like Carbon)処理,触媒表面処理,自動車部品の処理,エレクトロスピニング,医療器具の処理,生体表面処理,航空機材料処理などの各種プロセスとその研究動向について述べる。次に応用の一例として,筆者のグループでは医療器具,生体適合材料への応用に向けたフッ素樹脂(テフロン)の接着性改良のための大気圧プラズマ複合表面処理を展開しており,それらへの適用を目指した試作と性能試験結果を紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. プラズマ表面処理プロセスの動向
 2.1 誘導結合型RF プラズマによる表面処理
 2.2 DLCプラズマ表面処理
 2.3 プラズマによる触媒表面処理
 2.4 その他のプラズマによる表面処理の動向
3. プラズマ処理とプラズマグラフト重合処理
 3.1 プラズマ処理の電極系の例
 3.2 プラズマ表面処理とプラズマグラフト重合処理の効果
 3.3 大気圧プラズマグラフト重合と接着性向上の原理
 3.4 大気圧プラズマグラフト重合装置の概要
 3.5 フッ素樹脂フィルムのブチルゴムに対する接着性向上と応用例
 3.6 フッ素樹脂フィルムのブチルゴムに対する接着性向上の加硫(架橋)および接着の方法
 3.7 フッ素樹脂フィルム―ブチルゴム複合体の剥離試験と試験結果
4. おわりに

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熱アシストプラズマ処理によるフッ素樹脂の表面改質
Surface Modifi cation of Fluoropolymers via Heat‒Assisted Plasma Treatment

 フッ素樹脂は,化学的に安定であり表面エネルギーが低く,異種材料との接着が極めて困難な材料であり,他の樹脂と同条件でプラズマ処理しても十分な密着性は得られない。筆者らはプラズマ処理中の圧力と試料表面温度がフッ素樹脂の密着性に大きな影響を及ぼすことを見出した。プラズマ処理中の圧力調整と加熱の効果について解説する。

【目次】
1. はじめに
2. フッ素樹脂
3. プラズマ処理中の圧力の影響
4. プラズマ処理中の試料表面温度の影響
5. おわりに

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プラズマイオン注入法による表面改質技術
Surface Modifi cation by Plasma Based Ion Implantation and Deposition

 近年のプラズマ技術,イオン注入技術,パルス制御技術などは目を見張る発展を遂げてきており,これらを組み合わせた技術の一つであるプラズマイオン注入法は,すでに色々な産業部品・製品に実用化されている。本解説ではプラズマイオン注入法の仕組みや表面改質メカニズム,新しい研究成果の紹介などについて概説する。

【目次】
1. 緒言
2. 高周波―高電圧パルス重畳型PBII&D法とは
 2.1 概要
 2.2 重畳型PBII&D法の独自のパラメータ
 2.3 注入・成膜の同時処理
 2.4 注入深さ
 2.5 利点と欠点
3. 複雑形状・微細形状への注入成膜
4. 結言

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流水中における放電プラズマ発生システムの開発と応用
Development of Discharge Plasma Generation System in Flowing Water and its Applications

 水中に配置した金属電極に高周波数でパルス状の高電圧を印加すると,水中に安定的にプラズマを点灯できる。本稿では,この新しい水中励起反応場を用いたナノ粒子の調製や水質浄化について紹介した。また流水中に点灯可能なプラズマシステムを開発し,大量・連続水処理が可能であるという特性を活かした農業,衛生分野への応用・展望について紹介した。

【目次】
1. 水中での放電によるプラズマの生成
2. 水中プラズマによる金属ナノ粒子の生成
3. プラズマによる有機化合物の分解と活性酸素種の発生
4. フロー式プラズマの開発
5. おわりに

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コロナ処理による表面改質技術
Surface Treatment Technology by the Corona Discharge Processing

 プラズマを工業用途に使用しているものは様々であるが,最も歴史が古く,かつ汎用的に利用されているコロナ表面改質装置について,実用上の要点について一端を紹介する。改質の対象物は,高分子材料がメインではあるが,最近は金属箔や不織布といった材料にも利用されており,特殊基材の処理例についても概要を述べる。

【目次】
1. はじめに
2. コロナ処理装置の構成
 2.1 コロナ処理装置の構成
 2.2 導入事例
 2.3 放電部の構成
3. 表面の改質効果
 3.1 接触角・ぬれ張力
 3.2 化学的改質
 3.3 物理的改質
4. 経時変化
5. 金属箔への処理
6. 不織布への処理
7. おわりに

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大気圧プラズマ表面処理装置の開発
Development of New Atmospheric Pressure Plasma Source for Surface Treatment

 大気圧プラズマは真空容器や排気システムを必要とせず,プラズマを処理対象物に直接照射することが可能である。このため,処理装置は簡便になり,かつ連続的な処理が実現できるため,産業応用を考えた場合のメリットは極めて大きい。さらに,比較的温度が低く,放電損傷も少ない大気圧プラズマ装置が開発された結果,ここ5年ほどの間に,大気圧プラズマの研究と産業応用が飛躍的に進んでいる。本稿では,表面処理用に開発された大気圧プラズマ源とその応用事例について、最新の結果を報告する。

【目次】
1. はじめに
2. 新しい大気圧プラズマ装置
 2.1 マルチガスダメージフリープラズマジェット
 2.2 平面処理用リニア型ダメージフリープラズマ
 2.3 大気圧マルチガスコロナ
 2.4 大気圧マルチガスマイクロプラズマ
 2.5 マルチガス高純度熱プラズマ
 2.6 温度制御プラズマ
3. 大気圧プラズマを用いた表面処理
 3.1 表面の親水化処理
 3.2 銅酸化膜の還元処理
 3.3 半導体レジストの剥離
4. 低温プラズマを用いた表面付着物分析
5. おわりに

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[ Material Report -R&D- ]

リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス(LICGC™)焼結体‒01
Lithium Ion Conductive Glass‒Ceramics(LICGC™)Sintered Plate‒01

 光学ガラス製造の㈱オハラは,新製品LICGC™焼結体‒01を製品リリースした。同製品はグリーンシート工法を用いており,将来的に実用化が期待されているリチウム金属電池のような次世代電池需要に対する量産対応が可能である。本稿では,LICGC™の特徴ついて紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. リチウムイオン伝導性ガラスセラミックス(LICGC™)
3. LICGC™焼結体‒01(新製品)
 3.1 バックゲートを用いたトランジスタ動作
 3.2 電気二重層を用いたトランジスタ制御
4. おわりに

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ディープラーニングの世界―新たな人工知能による産業の躍進に向けて― 最終回

ディープラーニングのバイオへの応用
Application of Deep Learning to Biology

 前回までに,ディープラーニングの構造や特徴,その応用範囲と応用例について解説がなされてきた。これまでの連載ではあまり語られなかったが,バイオテクノロジー分野のデータ解析もディープラーニングによって新たな展開が期待されている。CT画像,MRI画像,病理画像など,画像と名の付くものは畳み込みニューラルネットワークの対象となり,あるデータに対してその相関関係を得ようとする際はAutoEncoderを用いることができる。本稿では,我々の研究室で行っている研究から,ディープラーニングを用いた培養細胞画像解析やウィルスDNA解析について紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. 畳み込みニューラルネットワークによる細胞画像判別
 2.1 細胞画像の準備
 2.2 CNNの構造
 2.3 細胞分化の識別
 2.4 細胞画像識別について今後の展望
3. フラビウィルスDNA の解析
 3.1 フラビウィルスDNAデータ
 3.2 Stacked AutoEncoder
 3.3 ウィルスDNAの2次元プロット
4. おわりに

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知的財産情報から見る熱可塑性エラストマー(オレフィン系,スチレン系)組成物の開発と利用 最終回

TPS,TPOにおける架橋とは何か
Crosslinking in the TPS, TPO

 今回は,スチレン系エラストマー組成物(TPS),オレフィン系エラストマー組成物(TPO)における「架橋反応とは何か」について説明する。特に「耐熱性や耐油性を要求される場合に行われる処理(コンパウンディングにおける動的架橋)であり成形加工や成形品を取り扱う際のトラブル対応には必須の考え方」について解説を行う。

【目次】
1. 熱可塑性エラストマー組成物の架橋とは?
2. まとめ
4,400円
【著者一覧】
寺倉清之  (国研)物質・材料研究機構
押山淳  東京大学
佐藤啓文  京都大学
伊藤聡  (国研)理化学研究所
吉田亮  大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構,(国研)物質・材料研究機構
及川勝成  東北大学
足立吉隆  鹿児島大学
金澤徹  東京工業大学
雨宮智宏  東京工業大学
宮本恭幸  東京工業大学
田川聖一  大阪大学
浅谷学嗣  大阪大学
三宅淳  大阪大学
鷲尾裕之 特許戦略/ポリマー技術コンサルタント




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【特集】計算科学・データ科学から迫る材料研究最前線

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特集にあたって
Introduction

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〔Part 1〕計算科学からのアプローチ

計算科学から迫る材料研究の現状と展望
Current Status and Future Perspective of Computational Materials Science

 コンピュータの高性能化と数理手法およびアルゴリズムの進展は,物質科学計算を質的に革新しつつある。量子論の第一原理に立脚した物質科学計算は,バルクからナノに至る,広範な物質群の構造的,電子的性質の静的および動的側面を基礎方程式から解明し,また新たな現象と材料機能を予測している。その現状と今後の展望を概観する。

【目次】
1. はじめに
2. 密度汎関数理論の成功
3. 多体論の物質への適用:精度軸での挑戦
4. 大規模高精度計算に向けて:空間軸での挑戦
5. ダイナミクスと原子反応:時間軸での挑戦
6. 今後の展望:コンピューティクス・アプローチ

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液体の計算分子科学
Theoretical and Computational Chemistry for Liquids

 液体は化学反応の場を提供するだけでなく,そのものが機能を有する場合もある。また最近では,気液や固液の界面,バイオ関連でも新しい展開が進んでいる。本稿では計算分子科学における溶液・液体に対するアプローチを概観するとともに,具体的な事例を通じてその有効性や留意点について述べる。

【目次】
1. はじめに
2. 液体に対するアプローチ
 2.1 分子間の相互作用
 2.2 統計集団
3. その他のアプローチ
 3.1 QM/MM法
 3.2 液体の積分方程式理論との融合
4. おわりに

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スーパーコンピュータ「京」の産業展開
Industrial Promotion by the K Computer

 2012 年に共用を開始したスーパーコンピュータ「京」は産官学が広く利用することのできる世界最高性能レベルの汎用計算機システムである。本稿では「京」によってはじめて可能となった,ものづくりにおける大規模最適化設計,医薬品高速スクリーニングなどの活用事例を紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. スーパーコンピュータ「京」の概要
3. 産業界での活用事例
4. おわりに―「京」からポスト「京」へ―

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〔Part 2〕データ科学からのアプローチ

物性研究におけるデータ科学活用の現状と展望
Data Science for Materials Research ‒Presents and Future Prospects‒

 物質・材料科学におけるデータ科学の活用について概説する。特に定量的構造物性相関解析における順問題(物性予測,仮想スクリーニング)と逆問題(設計)という切り口からマテリアルズインフォマティクスの最新動向を紹介し,物性研究におけるデータ科学の現状と今後の課題を整理する。

【目次】
1. 情報統合型物質材料探索
2. 定量的構造物性相関解析(QSPR)
 2.1 ケモインフォマティクス
 2.2 仮想スクリーニング
 2.3 記述子
 2.4 実験計画法
3. 逆構造物性相関解析(Inverse‒QSPR)
4. R 言語パッケージ “iqspr”
5. まとめ

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金属系材料における計算状態図とその応用
Calculation of Phase Diagrams and its Application in Metal‒Base Alloys

 CALPHAD 法による熱力学データベースの構築の方法や,計算ソフトなどを紹介するとともに,近年のCALPHAD 法の動向,CALPHAD 法を利用した合金設計,各種シミュレーションへの応用例などを紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. CALPHAD 法
3. CALPHAD 法の応用例
4. CALPHAD の新しい展開
5. おわりに

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材料工学における人工知能の活用―深層学習による材料組織の画像認識を例に―
AI‒Materials Science and Engineering ‒Microstructure Recognition by Deep Learning‒

 人工知能を材料工学に活用する試みの一環として,本稿ではコンピュータビジョンの一つである深層学習ディープラーニング)の概要について説明するとともに,深層学習を材料組織の識別に利用する試みについて述べる。

【目次】
1. 緒言
2. 画像認識とは
3. 畳み込みニューラルネットワークによる画像データの深層学習
4. 従来の画像識別法との比較
5. 材料組織のパターン認識
6. まとめ

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[ Material Report -R&D- ]

二次元材料HfS2を用いたMOS トランジスタ

 単原子層までのチャネル薄層化が可能な二次元層状物質は将来の極短チャネルMOSトランジスタへの応用が期待されている。本稿では,新たな二次元材料であるHfS2についてトランジスタへの応用を主眼に,半導体材料としての基本的な物性, 試作したトランジスタの特性や今後の課題など,筆者らの取り組みを中心に紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. 二硫化ハフニウムの基本的性質
3. HfS2を用いたトランジスタ
 3.1 バックゲートを用いたトランジスタ動作
 3.2 電気二重層を用いたトランジスタ制御
4. 現在の課題と特性改善への取り組み
 4.1 現在の課題
 4.2 表面保護による特性の向上
 4.3 今後の展望
5. おわりに

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ディープラーニングの世界―新たな人工知能による産業の躍進に向けて― 第4回

確率とディープラーニング
Deep Learning Based on Probability Theory

 前回までにディープラーニングがいかにして与えられたデータからデータを正確に分類・識別するための特徴を抽出するかを解説し,その応用が現実に活用される場面を紹介してきた。本稿では,ディープラーニングによりデータを生成する手法を紹介する。データをさまざまなクラスに正確に分類できるということは,データ間の差異や類似性の特徴を理解していることを意味する。完全にランダムなデータはデータ間でも差異も類似性も抽出できないが,クラス分類や識別が可能なデータは一般的にクラス内のデータ間で共通点を持ち,同時にわずかな差異も存在する。つまり分類できるということは生成もできるはずであるといえ,あるクラスに分類されるべきデータがある確率分布に従って存在すると仮定することにより,データの認識の逆問題として生成が可能となる。本稿では確率モデルを学習するディープラーニングの手法として,Boltzmann Machine とGenerativeAdversarial Network を概説する。

【目次】
1. はじめに
2. 確率と推論
3. Boltzmann Machine
4. Generative Adversarial Network
5. ディープラーニングによる確率的生成モデルの将来の展開

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知的財産情報から見る熱可塑性エラストマー(オレフィン系,スチレン系)組成物の開発と利用 第3回

TPS,TPOに使用される添加剤と特許情報から得られる配合パターンの整理
Additives Used in TPS, TPO and Classifi cation of Formula from Patent Information

 今回は,スチレン系エラストマー組成物(TPS),オレフィン系エラストマー組成物(TPO)に使用される添加剤と特許情報から得られる配合パターンについて説明する。特に「TPSやTPO にさらなる耐油性や耐熱性を付与する架橋剤についての例示」と「特許情報から得られる配合パターンの整理」を行う。なかでも後者は,一般文献では見当たらない新しい試みであることを強調しておく。

【目次】
1. TPSやTPOに使用される架橋剤及び架橋助剤,架橋促進剤
 1.1 有機過酸化物の特許情報からの例示
 1.2 フェノール樹脂系架橋剤の特許情報からの例示
 1.3 架橋助剤,架橋促進剤
2. 特許情報から得られる配合パターンの整理
 2.1 配合成分による出来上がったエラストマー組成物物性への影響について
 2.2 特許情報から見た配合パターン
3. まとめ
4,400円
【著者一覧】
上利泰幸 (地独)大阪市立工業研究所
能村貴宏 北海道大学
秋山友宏 北海道大学
加藤之貴 東京工業大学
田中耕太郎 芝浦工業大学
大石知司 芝浦工業大学
佐久間洋司 大阪大学
浅谷学嗣 大阪大学
田川聖一 大阪大学
三宅 淳 大阪大学
鷲尾裕之 特許戦略/ポリマー技術コンサルタント



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【創刊35周年特集】放熱から蓄熱材料分野へも拡がるサーマルマネージメント材料

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特集にあたって
Introduction

 電子機器が高密度化および軽薄短小化する中,急激に進歩した放熱材料への要求がさらに進化し,最近ではCOP21 やスマートシティー構想,次世代自動車などに対応するため,熱を制御する(サーマルマネージメント)材料が望まれるようになった。ここでは,蓄熱材を特集した後,他のサーマルマネージメント材料の現状も紹介した。

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高熱伝導性潜熱蓄熱材料の開発状況
Recent Advance on Development of High Thermal Conductivity Latent Heat Storage Material

 PCM(相変化物質:Phase Change Material)を用いた潜熱蓄熱技術は,PCM の固液相変化潜熱を利用するため,顕熱蓄熱技術と比べて高密度に蓄熱可能な点で注目されている。しかし,熱入出力特性の点で多くの課題が残っている。本稿では,潜熱蓄熱技術における熱入出力特性向上の鍵となる,PCM の高熱伝導化を目的とした材料開発状況を紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. 潜熱蓄熱技術概説
 2.1 潜熱蓄熱の作動原理
 2.2 使用可能なPCM
 2.3 熱交換器
3. PCM の高熱伝導化対策
 3.1 概論
 3.2 プレス成型法
  3.2.1 手法
  3.2.2 手法の特徴
  3.2.3 試行されたフィラー材料の種類
  3.2.4 事例紹介
 3.3 含浸法
  3.3.1 手法
  3.3.2 手法の特徴
  3.3.3 試行されたフィラー材料の種類と物性
 3.4 金属・合金PCM 利用
  3.4.1 手法
  3.4.2 手法の特徴
  3.4.3 試行された金属PCMの種類と物性
  3.4.4 事例紹介
4. 総括

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熱利用の高度化に向けた化学蓄熱材料の開発
Development of Thermochemical Energy Storage Material for Unused Heat Utilization

 省エネルギーにおいて排熱の回収,有効利用技術は重要であり,特に200 ~ 400℃域の中温熱の活用は国規模で量的な効果がある。化学蓄熱は中温熱有効利用に可能性を持っている。化学蓄熱は従来の蓄熱,熱利用技術にない広い操作温度域,長時間熱貯蔵性などを持ち,排熱回収に柔軟に対応できる可能性がある点で有用である。この温度域では酸化マグネシウム/水系化学蓄熱の利用が期待できる。化学蓄熱装置の実用化においては材料と熱交換機のパッケージ化の必要であり,包括的な熱交換性能向上が重要である。このための高伝熱性化学蓄熱材料の開発事例を示した。膨張化グラファイトと水酸化マグネシウムの複合は,既存水酸化マグネシウム単体材料より材料の高伝熱性,水蒸気拡散性を高め反応性が向上した。これらの研究事例から化学蓄熱の可能性を示した。

【目次】
1. 緒言
2. 蓄熱ハイブリッド型エネルギーシステムの提案
3. 化学蓄熱向けの反応系の探索
4. 酸化マグネシウム系化学蓄熱材料の開発事例
 4.1 繰り返し反応耐久性の向上
 4.2 高熱伝導度化
 4.3 高熱伝導度化材料を用いた化学蓄熱充填層試験
5. まとめ

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ケミカルヒートポンプを用いた熱エネルギーの高度利用技術
Advanced Use of Thermal Energy with Chemical Heat Pumps

 ケミカルヒートポンプの一方式である電気化学圧縮式ヒートポンプを紹介する。このヒートポンプは,電気化学反応による作動媒体の圧力差を利用し,蒸発・凝縮過程により昇温を行う点を特徴としている。作動媒体に液体金属Na を使用すると,中・高温域で逆カルノーサイクルの約半分の高い成績係数(COP)が可能となり,将来の燃焼加熱の代替技術として期待できる。現在まで実際の作動例はないが,予想できる性能,材料開発と実現性など,今後の展望を含めて紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. 電気化学圧縮式ヒートポンプの原理
3. β”アルミナ固体電解質を用いるNa 蒸気圧縮式ヒートポンプ
4. 期待できる性能
5. 今後の性能向上と課題
6. おわりに

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サーマルマネージメント材料の最新動向―放熱やその他の分野では―
Trend in Thermally Managing Materials in the Fields of Heat Releasing Materials etc.

 電子機器がより高性能で小型化するだけでなく,省エネルギー問題が深刻化し,サーマルマネージメントの必要性がますます高まる中,その材料が大きく進歩してきた。そのため今号では,蓄熱材を中心に解説されてきたが,この章では他のサーマルマネージメント材料である,放熱材や熱遮熱材,熱輻射材,断熱材の最近の進歩について概説した。

【目次】
1. はじめに
2. 高熱伝導性高分子材料
 2.1 高分子自身の高熱伝導化
3. 高分子材料の複合化による熱伝導率の向上
 3.1 影響因子を踏まえた高熱伝導化方法
 3.2 最近開発された改善方法
  3.2.1 充填材の連続体形成量をさらに増大するために充填材を連続相に
  3.2.2 充填材の接触面を増大し,完全な連続相に
  3.2.3 ダブルパーコレーションの利用
  3.2.4 充填材の熱伝導率の増大
  3.2.5 多種の粒子の利用
  3.2.6 複合液晶性高分子材料の熱伝導率
4. 遮熱材
5. 熱輻射材
6. 断熱材
7. おわりに

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[ Material Report -R&D- ]

グリオキシル酸銅錯体膜へのレーザ照射による大気中での銅微細配線形成
Laser Direct Writing of Copper Wire in Atmosphere Using Glyoxylic Acid Copper Complex

 グリオキシル酸銅錯体膜へのCO2 レーザ照射により大気中でも安定に銅微細配線を形成する手法を開発した。この銅錯体は安定であり溶媒に可溶なため,各種印刷法による薄膜作製が容易である。レーザ照射部に析出した銅の性質は,レーザの照射出力,掃引スピードなどの照射条件及びレーザ種に依存する。また,非レーザ照射部はエッチングにより除去できるため,簡便に銅配線の形成が可能である。

【目次】
1. はじめに
2. グリオキシル酸銅錯体について
3. 錯体膜へのCO2 レーザ照射
4. レーザ照射による銅微細配線形成
5. レーザ出力がCu 膜の表面状態及び抵抗に及ぼす影響
6. レーザ照射による銅析出メカニズム
7. フレキシブル基板上への銅配線形成及びマイクロコンタクトプリンティングによる銅配線形成
8. おわりに

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ディープラーニングの世界―新たな人工知能による産業の躍進に向けて― 第3回

実世界に向けた深層学習の取り組み
Deep Learning for the Real World

 画像認識や音声認識などの課題で他の手法を圧倒する性能を示した深層学習であるが,その可能性は一つのモダリティにとどまらず,様々な情報を統合することで人間のような高い認識能力を持つことが期待されている。本稿では各企業の具体的な試みについて触れながら,画像や音声など複数の情報を統合したマルチモーダル学習,その汎用的な能力を利用した深層強化学習などの取り組みを紹介し,深層学習の実世界への応用の可能性を探る。

【目次】
1. はじめに
2. 深層学習の成果と限界
3. 実世界における深層学習
 3.1 マルチモーダル学習
 3.2 ロボティクスにおける強化学習
 3.3 転移学習,学習結果の共有
 3.4 発達ロボティクス
 3.5 2次元画像の認識から3次元画像の認識へ
 3.6 躍進するDeep Learning産業
4. おわりに

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知的財産情報から見る熱可塑性エラストマー(オレフィン系,スチレン系)組成物の開発と利用 第2回

熱可塑性エラストマー(オレフィン系,スチレン系)組成物
Thermoplastics Elastomer Composition (TPS, TPO)

 今回は,スチレン系エラストマー組成物(TPS),オレフィン系エラストマー組成物(TPO)の基本配合の概略と各成分について説明する。これらの基本配合は,ゴムとポリオレフィン系樹脂とオイルとの混合物(ポリマーアロイ)であることから極めて複雑なモルフォロジー(ポリマーアロイしたときの混ざり具合いや結晶構造の分布形態)を示す。そのため,各成分の選定には最終的な組成物としてどんな性能を要求するかにより大きく異なるため細心の注意が必要である。

【目次】
1. TPS,TPO に使用されるゴムについて
 1.1 スチレン系のゴム
 1.2 オレフィン系ゴム
  1.2.1 エチレン・プロピレンゴム(EPR)
  1.2.2 エチレン・プロピレン・非共役ジエン化合物共重合体(EPDM)
  1.2.3 線状低密度ポリエチレン(LLDPE)
  1.2.4 その他のオレフィン系のゴム
2. TPS・TPO に使用される流動相(樹脂)成分
 2.1 ポリプロピレンホモポリマー(ホモのPP)
 2.2 ランダム共重合体(ランダムPP)
 2.3 ブロック共重合体(ブロックPP)
 2.4 ランダムブロック共重合体
 2.5 リアクターTPO
3. TPS・TPO で使用される軟化剤成分
4. まとめ

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[ 機能材料マーケットデータ ]

フラットパネルディスプレイの市場動向
Market Trend of Flat Panel Display

【目次】
1. フラットパネルディスプレイ市場
2. 液晶ディスプレイ市場
3. プラズマディスプレイパネル市場
4. 有機EL 市場
5. 電子ペーパー市場

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[ 機能材料マーケットデータ ]

タッチパネルの市場動向
Market Trend of Touch Panel

【目次】
1. 概要
2. 市場動向
3. 材料・開発動向
4. 企業動向
4,400円
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【特集】医療用μTASへの応用を見据えたMEMS技術

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マイクロ化学チップを用いたアレルゲン検査のための多サンプル測定ELISA チップ
ELISA Chips to Identify Multiple Allergen Proteins Simultaneously

長谷川忠大 (芝浦工業大学)

 ELISA 法は定量・特異性に優れ,環境物質,食品,疾患などのスクリーニングに広く利用され,キット化した製品もある。しかし,操作スキルや複数工程,検査時間も長く一般の方の利用は難しい。本稿では,厚生労働省が重要課題としているアレルギー疾患の検査を対象とし,筆者らが開発している,シングル流路にて多種類あるアレルゲンタンパク質を一度に測定可能なELISA チップを紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. ELISA 法を用いたアレルゲンタンパク質の特定方法
3. 多サンプル測定ELISA チップの開発
4. ELISA チップを用いた抗原抗体反応の検証実験
5. おわりに

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Micro Powder Imprint (μPI) プロセスによるセラミックス微細パターニング
Micro Patterning on Ceramic Sheet by Micro Powder Imprint (μPI) Process

津守不二夫 (九州大学)

 セラミックス材料は高い耐熱性・耐化学薬品性を有し,また素材によっては高い生体適合性も有しているが,脆く,加工が困難でもある。本稿では,セラミックス粉末材料と樹脂材料とを混練した材料を出発材料とし,セラミックスシートに容易に微細なパターンを生成する手法を紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. マイクロパウダーインプリントプロセス
3. 多階層パターニング
4. セラミックス薄層の波状パターニング
5. 微細流路を含むインプリント加工
6. おわりに

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マイクロ流体デバイスによる脂質ナノ粒子作製とDDSへの応用
Formation of Lipid Nanoparticles Using Microfl uidic Devices and its Application for DDS

真栄城正寿 (北海道大学)
佐藤悠介 (北海道大学)
原島秀吉 (北海道大学)
渡慶次学 (北海道大学)

 脂質ナノ粒子は,最も臨床応用が進んでいるドラッグデリバリーシステム(DDS)用のナノキャリアである。最近になって,DDSナノキャリアの粒子サイズによって,がん組織への薬剤の送達効率が異なることが明らかになり,粒子サイズの精密制御技術の開発が強く望まれている。本稿では,マイクロ流体デバイスを用いた脂質ナノ粒子の作製方法とDDSへの応用について紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. マイクロ流体デバイスを用いた脂質ナノ粒子の作製
3. DDSへの応用
4. おわりに

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蚊を模倣したマイクロニードルの開発
Development of Microneedle Mimicking Mosquito

青柳誠司 (関西大学)

 蚊の針は複数のパーツから構成され,血を吸う管である上唇と先端に鋸歯状突起を有する小顎が交互に前進しながら徐々に皮膚に刺しこまれていく。これを生体模倣し,樋状の針を2 本組み合わせた中空針を提案した。各針は交互に前進可能である。光造形装置を用いてこの針を作成し,人工皮膚への穿刺と血液の吸引に成功した。

【目次】
1. はじめに
2. 蚊の針の構造と穿刺動作
3. 有限要素法による穿刺動作のシミュレーション
 3.1 解析モデルと解析手法
 3.2 シミュレーション結果
4. 超高精度光造形によるマイクロニードルの作製
 4.1 蚊の上唇と2本の小顎を模倣した3本一組の針の作製(蚊の忠実な模倣)
 4.2 半割状の針を2本組み合わせた針の作製(成形可能)
 4.3 半割状マイクロニードルの作製および評価結果
5. まとめ

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[ Material Report -R&D- ]

イオン伝導性帯電防止剤─サンコノール®の特性,技術と応用─
Ionic Conductive Antistatic Agent, Sankonol® ― Characteristics Technology and Applications

立上義治 (三光化学工業㈱)
徳山朋紀 (三光化学工業㈱)
吉田篤 (当栄ケミカル㈱)
福本竜樹 (当栄ケミカル㈱)

 イオン伝導性帯電防止剤─サンコノール® は,イオン伝導機構で機能する帯電防止剤である。従来の帯電防止剤が機能しない用途分野に適用される新規な制電剤である。そのイオン伝導機構と伝導特性について考察した。さらに,サンコノール® の特性,技術と応用について報告した。

1. はじめに
2. イオン伝導性帯電防止剤
 2.1 イオン伝導特性
 2.2 イオン伝導機構
3. イオン伝導性帯電防止性ポリウレタン
 3.1 ポリエーテルポリオール―リチウム錯体組成物 ―PEO‒20R―
 3.2 ポリエーテル―リチウム錯体組成物 ―AD2600‒50R,AD2326‒50R―
 3.3 テトラグライム―リチウム錯体組成物 ―TGR―
 3.4 ウレタンアクリレート―リチウム錯体組成物 ―MEK‒50R,IPA‒30R,EAC‒30R―
4. イオン伝導性ポリマー型帯電防止剤
 4.1 ポリエーテルエステルアミドブロック共重合体―リチウム錯体組成物 ―TBX‒65―
 4.2 ポリエーテル―ポリオレフィンブロック共重合体―リチウム錯体組成物 ―TBX‒310,TBX‒25―
 4.3 エチレンオキシド共重合体―リチウム錯体組成物 ―TBX‒8310,RBX‒8310―
5. 粘・接着剤組成物―リチウム錯体
 5.1 ポリエーテルエステル―リチウム錯体組成物 ―AD2600‒50R,AD2326‒50R―
 5.2 テトラグライム―リチウム錯体組成物 ―TGR―
 5.3 ポリエチレングリコールジアクリレート―リチウム錯体 ―A600‒50R―
6. おわりに

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ディープラーニングの世界―新たな人工知能による産業の躍進に向けて― 第2回

画像認識に応用されるディープラーニング
Deep Learning for Image Recognition

浅谷学嗣 (大阪大学)
田川聖一 (大阪大学)
三宅淳 (大阪大学)

 コンピューターが画像に写っている「内容」を人間並みに判断できる技術が出現した。単にピクセルの集合体を数字として処理するだけではないのだ。その主要な方法である畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network:CNN)こそが,ディープラーニングの最も応用が広い分野である。さらに,NVIDIA社の取り組みや,英国で発表された最新の技術を紹介し,人工知能の驚くべき可能性を概観したい。

1. はじめに
2. 畳み込みニューラルネットワーク
 2.1 畳み込み層
 2.2 プーリング層
 2.3 多クラス分類問題に応用される畳み込みニューラルネットワークの構成
3. 機械学習とディープラーニング
 3.1 画像認識の応用先
 3.2 ウルトラディープな構造
 3.3 画像の生成
 3.4 自動車の自動運転
 3.5 2次元画像の認識から3次元画像の認識へ
 3.6 躍進するDeep Learning産業

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知的財産情報から見る熱可塑性エラストマー(オレフィン系,スチレン系)組成物の開発と利用 第1回

熱可塑性エラストマーとその歴史
Thermoplastic Elastomer and its History

鷲尾裕之 (セミナー講師,特許戦略コンサルタント,ポリマー技術コンサルタント)

 コンピューターが画像に写っている「内容」を人間並みに判断できる技術が出現した。単にピクセルの集合体を数字として処理するだけではないのだ。その主要な方法である畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network:CNN)こそが,ディープラーニングの最も応用が広い分野である。さらに,NVIDIA社の取り組みや,英国で発表された最新の技術を紹介し,人工知能の驚くべき可能性を概観したい。

1. 熱可塑性エラストマーとは
 1.1 汎用エラストマー
  1.1.1 塩化ビニル系エラストマー(TPVC)
  1.1.2 スチレン系エラストマー(TPS),オレフィン系エラストマー(TPO)
 1.2 エンジニアリングプラスチックス系エラストマー
2. まとめ

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[ 機能材料マーケットデータ ]

バイオマスプラスチックの市場動向
Market Trend of Biomass Plastics

【目次】
1. 世界市場の概要
 1.1 市場規模
 1.2 地域別動向
  1.2.1 ブラジル
  1.2.2 アジア
  1.2.3 欧米
  1.2.4 アジア各国政府の動向
2. 国内市場の概要
 2.1 市場規模
3. 用途別市場
 3.1 包装資材,容器用途市場
 3.2 自動車部品その他の用途分野
4,400円
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【特集】最新エポキシ樹脂の研究開発

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エポキシ樹脂の概要と市場動向
Overview and Market Trends of Epoxy Resin

大塚恵子 ((地独)大阪市立工業研究所)

 エポキシ樹脂は,要求特性や使用形態に合わせて,その構造や硬化剤との組み合わせにより多様な性能を出すことが可能であるために,エポキシ樹脂や硬化剤メーカーによりニーズに合わせた多種多様な化学構造や分子量を持った製品開発が行われている。本稿では,エポキシ樹脂の一般的な概要と最近の市場動向や今後の展開について述べる。

【目次】
1.はじめに
2.エポキシ樹脂の概要と種類
 2.1 ビスフェノールA 型エポキシ樹脂
 2.2 ビスフェノールF 型エポキシ樹脂
 2.3 ノボラック型エポキシ樹脂
 2.4 ナフタレン型エポキシ樹脂
 2.5 ビフェニル骨格エポキシ樹脂
 2.6 脂環式エポキシ樹脂
 2.7 グリシジルエステル型エポキシ樹脂
 2.8 グリシジルアミン型エポキシ樹脂
3.硬化剤の種類と概要
 3.1 アミン系硬化剤
  3.1.1 脂肪族ポリアミン
  3.1.2 芳香族ポリアミン
 3.2 酸無水物系硬化剤
 3.3 潜在性硬化剤
4.最近の市場動向
5.今後の展開
6.おわりに

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炭素とエポキシ樹脂の接着に関する量子力学的接着理論
Quantum Mechanical Theory for the Adhesion between Carbon and Epoxy Resin

樋口千紗 (九州大学)
吉澤一成 (九州大学)

 物と物をくっつける接着技術の研究は,実用面から極めて活発に行われている。しかし,接着現象がどのような界面相互作用により生じるのかについての理論的な議論はそれほどなされていない。炭素繊維とエポキシ樹脂の界面に関して,量子化学計算によって接着エネルギー及び接着力を算出した。その結果,炭素繊維とエポキシ樹脂の接着が水素結合を起源とする分子間力により起こると考えて,矛盾はないことを示した。

【目次】
1.はじめに
2.接着現象
3.炭素繊維表面
4.計算手法
 4.1 グラファイト結晶構造
 4.2 炭素表面モデルの構築
5.接着界面モデルの形成
6.接着エネルギー,接着力の算出方法
7.接着エネルギー
8.接着力
9.おわりに

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エポキシ樹脂の硬化技術概論
Introduction of Epoxy Resin Curing Technology

鈴木敏弘 (埼玉化成技術研究所)

 エポキシ基の反応性の高さの要因およびエポキシ樹脂と各種エポキシ硬化剤との反応(硬化反応)の仕組みについて定性的に解説する。また併せ主な硬化剤について,その用途や使用法について概要を記す。

【目次】
1.エポキシドの反応性
 1.1 酸触媒開環反応
 1.2 塩基触媒開環反応
2.エポキシ樹脂と硬化剤の関係
3.エポキシ樹脂硬化剤の種類
4.エポキシ樹脂硬化技術(硬化剤の具体例)
 4.1 脂肪族ポリアミン
 4.2 ポリアミドポリアミン
 4.3 芳香族ポリアミン
 4.4 酸無水物系
 4.5 フェノール樹脂系硬化剤
 4.6 三級アミン
 4.7 低温硬化
 4.8 ジシアンジアミド
 4.9 エポキシ- 6 -ナイロン
5.おわりに

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ハイブリッド透明エポキシ材料
Transparent Epoxy Hybrid Materials

榎本航之 (山形大学)
菊地守也 (山形大学)
鳴海 敦 (山形大学)
川口正剛 (山形大学)

 透明なエポキシ樹脂は,光学接着剤やLED の封止剤などで利用されている。屈折率は光学用途における最も重要な因子であり上記用途において決定的な影響を与える。本稿では,高屈折率無機材料として知られるジルコニア(ZrO2)ナノ微粒子水分散液の表面疎水化処理技術およびこれを用いたエポキシ樹脂とのハイブリッド化による屈折率制御について,筆者らの研究成果を中心に解説する。

【目次】
1.はじめに
2.溶媒置換法を用いた表面処理
3.エポキシ樹脂とのハイブリッド化
4.表面処理剤フリーハイブリッド化
5.おわりに

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液晶性エポキシを用いたネットワークポリマー
Liquid Crystalline Epoxy Network Polymer

原田美由紀 (関西大学)

 骨格にメソゲン基を有する液晶性エポキシ樹脂は,通常はアモルファス網目構造を形成するエポキシ樹脂中に,秩序性を導入できるエポキシ樹脂として注目されている。網目鎖中への秩序性の導入は,硬化物の強靱化や高熱伝導化をもたらし,エポキシ樹脂の新規な可能性が見出された。

【目次】
1.はじめに
2.メソゲン基の構造とメソゲン骨格エポキシ樹脂の配向構造形成
3.メソゲン骨格エポキシ樹脂の低融点化
4.シクロヘキセン構造を含む低融点型液晶性エポキシ
5.高耐熱性メソゲン骨格エポキシ樹脂
6.配列構造形成を利用した高熱伝導コンポジットの調製
7.おわりに

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エポキシ樹脂の耐熱性向上技術
Molecular Design for High Heat Resistance Epoxy Resins

有田和郎 (DIC㈱)

 硬化物の耐熱性,特にガラス転移温度に代表される物理的耐熱性に対して強く影響を及ぼすエポキシ樹脂の分子構造因子としては官能基濃度,官能基数,剛直性骨格,高対称性骨格,立体障害,強分極性基が挙げられる。高耐熱性エポキシ樹脂の代表格は多官能ノボラック型エポキシ樹脂であるが,従来の分子設計手法を用いて高ガラス転移温度化を図ると,ほかの重要物性を犠牲にする場合が多い。本稿では,新たに見出したエポキシ樹脂の高耐熱性化原理を応用した新規な高耐熱性エポキシ樹脂の代表例を説明した。

【目次】
1.はじめに
2.分子設計指針と課題
 2.1 エポキシ樹脂の高耐熱化に関する分子設計指針
 2.2 高耐熱化の課題(相反する諸特性の紹介)
3.開発事例
 3.1 ナフタレン型2 官能エポキシ樹脂[耐熱性×流動性,密着性]
 3.2 ナフタレン型4 官能エポキシ樹脂[耐熱性×流動性]
 3.3 ジシクロペンタジエン結節型エポキシ樹脂[耐熱性×吸湿性,誘電特性]
 3.4 ナフチレンエーテルオリゴマー型エポキシ樹脂(E‒NEO)[耐熱性×難燃性,密着性]
4.まとめ

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木質リグニンを原料としたエポキシ樹脂
Epoxy Resin Derived from Woody Lignin

香川博之 (㈱日立製作所)

 循環型社会の形成に向けて,再生可能な炭素源である植物を利用した樹脂材料の開発が盛んである。本稿では,木材から水蒸気爆砕法によって取り出したリグニンの性状,水蒸気爆砕リグニンを用いたエポキシ樹脂及びリグニンを硬化剤として用いたエポキシ樹脂硬化物の特性について紹介する。

【目次】
1.はじめに
2.水蒸気爆砕リグニンの特徴
3.木質リグニンを用いたエポキシ樹脂
4.木質リグニンのエポキシ樹脂硬化剤への適用
5.木質リグニンの応用
6.おわりに

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ディープラーニングの世界―新たな人工知能による産業の躍進に向けて― 第1回

ディープラーニングの技術概要
Deep Learning: A Technical Overview

金下裕平 (大阪大学)
浅谷学嗣 (大阪大学)
田川聖一 (大阪大学)
三宅 淳 (大阪大学)

 ディープラーニングは人工知能の代表と目され,自動車の自動運転の中核技術として期待される。IoT,Industry4.0 など産業分野,囲碁などゲーム,画像や言語・翻訳などでも革新技術の基盤となると期待される。統計ではなく自ら学んだ『特徴』に基づいて未知のデータの分類・予測を行うことが,知能といわれる所以である。本稿では,歴史,特徴と理論,応用を広く概観する。

1.はじめに
2.人工知能と機械学習の歴史
 2.1 人工知能の盛衰
 2.2 第三次AI ブームとディープラーニング
3.機械学習とディープラーニング
 3.1 機械学習とは
 3.2 従来の機械学習手法の課題
 3.3 ニューラルネットワーク:ディープラーニング
 3.4 特徴表現の学習
 3.5 ディープラーニングが抱える問題
4,400円
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【特集】自動運転に向けたセンシング・情報処理技術

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自動運転を支えるセンシング・走行計画/判断技術の開発動向
Development Trend of Technologies of Sensing and Path Planning for Automated Driving System

加藤 晋 (国立研究開発法人 産業技術総合研究所)

 近年,自動車の自動運転に関する研究開発が盛んに行われ,社会導入に向けた動きが活
発化している。本稿では,この自動運転を支えるセンシング・走行計画/判断技術につい
て,走路環境や位置の認識,パスプランニングなどの主な技術の開発動向を紹介する。

【目次】
1.はじめに
2.自動運転のレベルと運転に対する機能
 2.1 自動運転のレベル定義
 2.2 自動車の運転に対する機能構成
3.走路環境のセンシング技術
 3.1 障害物のセンシング
  3.1.1 ビジョンシステム
  3.1.2 LIDAR(LIght Detection And Ranging)
  3.1.3 ミリ波レーダ
  3.1.4 センサフュージョン
 3.2 走路状況のセンシング
 3.3 走路上の自車位置のセンシング
4.走行計画/判断技術
5.おわりに

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可視から遠赤まで,車載カメラの技術動向
Technical Trend of Car‒Mounted Camera, from Visible Light to FIR

中條博則 (共創企画)

 世界的な広がりを見せるADAS,スマホ用OS メーカーのInfortainment 市場への参入,それらの融合により長年の夢だった自動運転が具現化しつつある。この市場変化を促進させる上で,車載カメラの果たす役割は以前にも増して大きくなっている。これら市場の変化,車載カメラの技術動向について解説する。

【目次】
1.はじめに
2.ADAS の普及により急増するカメラモジュール
3.車載用イメージセンサに要求される機能
4.車載用カメラモジュールに要求される機能
 4.1 車載カメラの小型化技術
 4.2 汎用部品を使用したモジュール化によるコストダウン
 4.3 機能統合モジュールによる搭載数量削減
 4.4 FIR(遠赤外線)カメラのコストダウン技術
5.おわりに

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3次元WLCSPを利用したGaAsミリ波デバイス
Millimeter‒Wave GaAs Devices Employing the 3‒D WLCSP Technology

徳満恒雄 (住友電気工業㈱)
久保田 幹 (住友電気工業㈱)

 SEDI/SEI で開発した3 次元Wafer‒Level Chip Size Package(WLCSP)技術を基盤とするGaAs ミリ波デバイス技術を紹介する。この“3‒D WLCSP”は10GHz からミリ波に到るまで対応可能なフリップチップ実装構造のプラットフォームであり,量産性に優れた低コストMMIC の実現に適している。また,市場の技術動向を踏まえた本技術の優位性にも言及する。

【目次】
1.諸言
2.3 次元WLCSP 技術
3.3‒D WLCSP 対応の設計技術
 3.1 増幅器
 3.2 周波数逓倍器
 3.3 周波数変換器
4.他技術に対する優位性
5.結言

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レーザスキャナによる移動物体認識技術
Technology of Moving‒Object Recognition by Laser Scanner

橋本雅文 (同志社大学)

 自動車や移動体(ビークル)に車載したセンサにより周囲環境に存在する自動車や二輪車,歩行者などの移動物体を認識することは自動運転や安全運転支援システムの実現において重要な技術である。レーザスキャナにより得られる周辺障害物の距離情報から移動物体を検出したうえで,それらの動きや大きさ,危険挙動を認識する技術を解説する。

【目次】
1.はじめに
2.レーザスキャナによる周辺環境計測
3.移動物体検出
4.移動物体認識
5.危険挙動認識
6.協調型移動物体認識
7.おわりに

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ナノグラニュラー膜を用いた高感度・小型磁気センサGIGS®
High Sensitivity Micro Magnetic Sensor GIGS® with Metal‒Insulator Nanogranular Film

小林伸聖 ((公財)電磁材料研究所)

 GIGS®(Granular‒in‒Gap‒Sensor,グラニュラー・イン・ギャップ・センサ)は,金属―絶縁体ナノグラニュラー膜を用いた新しい磁気センサである。特長は,高感度であると同時に,超小型かつ省電力特性に優れていることである。さらに,用いている金属―絶縁体ナノグラニュラー膜は,作製が容易で再現性も良く,良好な温度安定性および耐熱性を有するなど,多くの実用的な優位性を有する。本稿では,自動運転などの新技術開発において求められる,新しい磁気センサを提案する。

【目次】
1.はじめに
2.金属―絶縁体ナノグラニュラー膜の構造と特長
3.金属―絶縁体ナノグラニュラー膜のTMR4.GIGS の原理と特長
4.GIGS の原理と特長
5.GIGS の応用
6.おわりに

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自動運転のための情報処理技術
Information Technology for Automated Driving

伊東敏夫 (芝浦工業大学)

 前方の道路状況を各種カメラ,レーダ,センサ等で認識し,エンジン制御,パワートレイン制御,サスペンション制御,ステアリング制御,ブレーキ制御と組み合わせると自動運転が可能となる。本稿では,自動運転として車両を制御するための情報処理技術に関し,その基本となる縦方向制御,横方向制御,駐車制御を解説する。

【目次】
1.はじめに
2.自動運転のレベル
3.運転支援システム
4.縦方向制御
5.横方向制御
6.駐車軌道計画
7.自動運転の課題

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自動車衝突防止レーダ用電波吸収シート
Electric Wave Absorber for Collision Prevention Radar Apparatus

齋藤章彦 ((公財)電磁材料研究所)

 近年,自動車の自動運転ADAS(Advanced Driver Assistance System)の開発が進んでいる。搭載される電波レーダでは,送信と受信の微弱な電波はMMIC(Monolithic Microwave Integrated Circuit)などで増幅し,信号処理される。電子筐体内では,入出力間で不要な電波結合が起こり,発振現象や利得の劣化を起す。そこで,不要な電波結合を抑制するための電波吸収ゴムシートを開発したので,紹介する。

【目次】
1.背景
2.不要な電波結合問題の顕在化および検証実験例
3.主な対策手法
 3.1 電子機器筐体の小型化
 3.2 電子基板PCB(Printed Circuit Board)の薄厚化
 3.3 柔軟性ゴムシートによる電磁干渉結合対策
4.柔軟性電波吸収ゴムシートの設計手法
5.柔軟性ゴムシートの最適設計
6.まとめ

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[ Material Report -R&D- ]

人工光合成実現のための新規可視光応答型光触媒の開発
Development of Visible‒Light‒Responsive Photocatalysts toward Artifi cial Photosynthesis

阿部 竜 (京都大学)

 安価な半導体光触媒を太陽光下で用い,水から直接水素を製造することができれば,水素社会実現への大きなブレークスルーとなる。実用的な変換効率実現には太陽光の大部分を占める可視光の有効利用が不可欠である。本稿では,著者らが開発した「二段階励起型水分解系」を中心に,光触媒開発の新展開を紹介する。

1.はじめに:研究の歴史
2.実用化への課題:太陽光エネルギー変換効率と可視光利用
3.二段階励起機構による可視光水分解の実証
4.金属酸窒化物系半導体を用いた長波長の可視光利用
5.新規可視光応答型酸ハロゲン化物系半導体
4,400円
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【特集】機能性農業用フィルム

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特集にあたって
Introduction

西村安代(高知大学)

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機能性農業用フィルム
Functional Film for Agriculture

西村安代 (高知大学)

 施設園芸の発展とともに高度な環境制御技術の利用が導入されるようになった。その一つとして, 施設の外張りフィルムが挙げられ, 近年では多種多様な機能性農業用フィルムが普及するようになった。紫外線カットフィルム, 赤外線カットフィルム, 散乱光型フィルム, 波長変換フィルムの使用目的, 特性, メリットやデメリットなどについて紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. 機能性農業用フィルムの種類と特性
 2.1 散乱光型(梨地)フィルム
 2.2 近紫外線カット(除去)フィルム
 2.3 赤外線カット(遮熱)フィルム
 2.4 波長(光質)変換フィルム
 2.5 高保温, 高断熱フィルム
3. 今後の農業用フィルムについて

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農業用ビニルハウスフィルムに求められる性能, 配合設計と評価方法
The Performance Asked from Greenhouse Film, Combination Design and Evaluation Method

茶谷克裕 (シーアイ化成㈱)

 農業用ビニルハウスフィルムは栽培形態, 気候, 農作物別に多種多様な商品が販売されている。ここでは, メーカーの立場からフィルムの性能, 特に防滴性, 保温性, 透明性について具体的な事例を示し, 各性能を実現するための配合設計や評価方法について解説するとともに, 今後期待されているフィルムの性能について述べる。

【目次】
1. はじめに
2. 求められる性能
 2.1 防滴性
 2.2 保温性
 2.3 透明性
3. 配合設計と評価方法
 3.1 防滴性
 3.2 保温性
 3.3 透明性
4. 今後期待されているフィルム性能
 4.1 光学特性
 4.2 省エネ性
5. まとめ

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超耐久性農業用フッ素樹脂フィルム「エフクリーン®」について
F‒CLEAN® ― Ultra Durable Fluoropolymer Film for Greenhouses ―

江口義昌 (AGCグリーンテック㈱)

 施設園芸グリーンハウス用フッ素樹脂フィルム「エフクリーン®」は, 様々な事業等々に採用されて着実に実績を重ねながら認知されてきた。超長期的な耐候性がある「ETFE フッ素樹脂フィルム」が世に出て既に30 年が経過したが, これまでの経緯や今後の取り巻く環境の変化, また展張実績から見えてきたこと, また, 解決すべき課題等々を解説していく。

【目次】
1. はじめに
2. フッ素樹脂フィルムとは
 2.1 フッ素樹脂
 2.2 農業用途フッ素樹脂フィルムの歴史
3. フッ素樹脂フィルムの現状
 3.1 農業用フッ素フィルムの固定方法
 3.2 植物工場への導入利用
4. 農業用フッ素樹脂フィルムの課題
 4.1 フッ素樹脂フィルムの防汚性/洗浄
 4.2 農業用フッ素樹脂フィルムの開発取組み状況
5. 日本の施設園芸を取り巻く環境について
 5.1 園芸用使用済プラスチック適正処理
 5.2 施設園芸に対する補助金
 5.3 農地集積バンク(農地中間管理機構)について
6. おわりに

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サトウキビ残渣を主原料とした農業シート
Agricultural Mulching Sheet Made from Bagasse of Sugar Cane

田渕国広 (東亜機工㈱)

 我が国では近年, 農家の高齢化, 後継者不足が深刻な問題になっており, 軽作業, 省力化, 無農薬な農業生産技術が求められている。農業用マルチシートでのハイテク化は, この問題を解決する為に必要不可欠である。従来より農業用マルチシートのほとんどが石油から作られたプラスチック樹脂フィルムシートであり, 安価で強度的にも優れ扱いやすいため, 農家に普及している。しかし, 化石資源・鉱石資源は数億年を必要とする有限資源で, しかも使用後の除去する労力が大きく処分にも困っているのが現状である。それでサトウキビ残渣をバカス綿にし, そしてなお竹を竹綿に加工して複合化した農業用不織布マルチシートは, これらの問題を全て解決する上に環境保護に優れ, 農作物の収穫後はそのままトラクターですきこむことで肥料となる。

【目次】
1. はじめに
2. サトウキビ残渣の農業シートの利点
3. サトウキビ残渣を主原料とした農業シートの製法

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紫外線カットフィルムを用いた病害虫防除技術
Plant Protection from Insect Pests and Fungal Pathogens Using Ultraviolet‒Absorbing Films

太田泉 (農業・食品産業技術総合研究機構)

 紫外線カットフィルムを被覆したビニールハウスでは, アザミウマ類, アブラムシ類, コナジラミ類, ハモグリバエ類などの害虫や一部の病害の発生が抑制される。本稿では, 紫外線カットフィルムによる病害虫防除効果の実例と利用場面, メカニズムの解明を行った研究などを紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. 紫外線カットフィルムを用いた病害虫防除の実例
3. 紫外線カットフィルムによる害虫防除のメカニズム
4. 紫外線カットフィルムに関する留意点
5. おわりに

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[ Material Report -R&D- ]

単層カーボンナノチューブの柔らかく丈夫なウェアラブルトランジスタ
Soft and Robust Wearable Transistor of Single Wall Carbon Nanotubes

関口貴子 (産業技術総合研究所)
田中文昭 (単層CNT 融合新材料研究開発機構)
山田健郎 (産業技術総合研究所)
畠賢治 (産業技術総合研究所)

 本稿では, 単層カーボンナノチューブ(CNT)とゴムの複合材料, 半導体単層CNT, イオンゲル, シリコンゴムという柔らかい炭素系材料のみで構成され, 衣類やゴムと同等の柔軟性を持ち, 圧力や衝撃を加えても壊れず性能を維持できる, 柔らかく丈夫なトランジスタについて紹介する。

1. 研究背景
2. 単層CNT, ゴム, ゲルのトランジスタ開発
3. 柔らかいトランジスタ製造プロセス
4. 単層CNT, ゴム, ゲルのトランジスタの柔軟性
5. おわりに

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[ Material Report -R&D- ]

単層カーボンナノチューブのアップコンバージョン発光
Upconversion Photoluminescence of Single‒Walled Carbon Nanotubes

宮内雄平 (京都大学)

 アップコンバージョン発光は, 物質の光励起・発光過程において, 吸収された光子よりも高エネルギー(短波長)の光子が放出される一見特異な発光現象である。最近筆者らは, 単層カーボンナノチューブが近赤外光波長領域で比較的高効率にアップコンバージョン発光を示すことを見出した。本稿では, カーボンナノチューブ特有のアップコンバージョン発光機構と, その応用可能性について概説する。

【目次】
1. はじめに
 1.1 単層カーボンナノチューブ
 1.2 アップコンバージョン発光
2. カーボンナノチューブのアップコンバージョン発光
 2.1 発光イメージとスペクトル
 2.2 アップコンバージョン発光機構
3. 応用に向けて
4. おわりに

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[ 機能材料マーケットデータ ]

プラスチック添加剤の市場動向
Market Trend of Plastic Additives

【目次】
1. 概要
2. 添加剤の需給動向
 2.1 可塑剤
 2.2 安定剤
 2.3 酸化防止剤
 2.4 光安定剤
 2.5 難燃剤
 2.6 造核剤
 2.7 帯電防止剤
 2.8 導電性付与剤
 2.9 カップリング剤
 2.10 有機発泡剤
 2.11 防曇剤
 2.12 光重合開始剤
 2.13 相溶化剤
 2.14 抗菌・防カビ剤
 2.15 耐衝撃強化剤
4,400円
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【特集】イオン液体をデザインする―多機能化への挑戦―

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イオン液体の多機能化に向けた現状と将来展望
Current Status and Future Perspective of Multi‒Functional Design of Ionic Liquids
大野弘幸 (東京農工大学)

イオン液体に様々な機能を付与する試みが増えてきている。それに伴って多彩な応用展開も提案されるようになってきている。本稿では基本的なイオン液体の物理化学的な特性や特徴を述べ, これらの特性改善の最先端を紹介する。さらに, 多機能化イオン液体の設計につなげるための諸物性制御について注意点と具体例を紹介する。

【目次】
1.はじめに
2.イオン液体の特徴と可能性
3.物理化学的な特徴とイオン構造による制御
 3.1 イオン伝導度の制御
 3.2 極性の制御
 3.3 屈折率の制御
 3.4 集合状態の制御
 3.5 水との親和性の制御
4.新機能の可能性を持つイオン液体
 4.1 生体分子由来イオン液体
 4.2 Zwitterion
 4.3 水和イオン液体
5.今後の展望

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電気化学キャパシタ / 燃料電池用新規フッ素系イオン液体の開発
Developments of Ionic Liquid Fluorides for Electrochemical Capacitors and Fuel Cells

松本一彦 (京都大学)
野平俊之 (京都大学)
萩原理加 (京都大学)

低粘性, 高導電率を示すイオン液体であるフルオロハイドロジェネート塩の性質と, 高容量を示す電気化学キャパシタ, ならびに既存の燃料電池と異なる機構で中温無加湿運転が可能なフルオロハイドロジェネート燃料電池など, 電気化学デバイスへの応用について紹介する。

【目次】
1.はじめに
2.フルオロハイドロジェネートイオン液体の特徴
3.電気化学キャパシタ用電解液としてのフルオロハイドロジェネートイオン液体
4.燃料電池用電解液としてのフルオロハイドロジェネートイオン液体
5.おわりに

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イオン液体リチウム二次電池の開発
Development of Rechargeable Lithium Batteries Utilizing Ionic Liquid Electrolytes

石川正司 (関西大学)
山縣雅紀 (関西大学)

 揮発性がなく安全な電解液として, 溶媒を含まない「イオン液体」電解液が注目されている。長らくリチウム二次電池への適用は困難とされていたが, FSIイオン液体がこれを実現した。この電解液は電極抵抗を低く保つため, 高粘度にも関わらず高出力作動を実現する。さらに最近では無揮発特性を活かし, 宇宙空間での電池作動にも成功した。

【目次】
1.はじめに
2.負極の可逆化と高レート特性の機構解明
3.FSIイオン液体系を特徴づける電極界面構造
4.FSIイオン液体電解液の最適化による炭素負極のレート特性向上
5.イオン液体による実用リチウムイオン電池の設計
6.FSIイオン液体電解液中におけるSi薄膜電極の挙動
7.無溶媒イオン液体電解液による「宇宙用リチウム二次電池」
8.おわりに

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バイオマスエネルギー生産に向けた極性イオン液体の進化
Polar Ionic Liquids for Biomass‒Energy Production

深谷幸信 (鳥取大学)

従来系とは本質的に異なる新たなバイオマス処理プロセスの構築に向けた極性イオン液体の機能設計に焦点を当て, セルロースや植物バイオマスを溶解するための極性イオン液体のデザインや, 近年注目が集まっているイオン液体/水の混合系など, 植物バイオマスからのエネルギー生産を目的とした極性イオン液体の進化について概説した。

【目次】
1.はじめに
2.極性イオン液体の設計
3.極性イオン液体を用いたバイオマス処理
4.極性イオン液体の進化
5.将来展望

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イオン液体をゲート絶縁膜として用いた高信頼性IGZO‒TFTの開発
Ionic Liquid Gate Dielectric for Highly Reliable IGZO‒TFT

石河泰明 (奈良先端科学技術大学院大学)
藤井茉美 (奈良先端科学技術大学院大学)
小野新平 ((一財)電力中央研究所)
浦岡行治 (奈良先端科学技術大学院大学)

 イオン液体をトランジスタのゲート絶縁膜に利用すると, 電気二重層が自己組織化的に形成される。この効果をトランジスタに利用すると, 低電圧駆動(低消費電力化)が実現される。本稿では, 低電圧駆動が必要なInGaZnO(IGZO)薄膜トランジスタに対してイオン液体ゲートを導入し, デバイス特性および信頼性特性への効果について紹介する。

【目次】
1.はじめに
2.イオン液体ゲートによるIGZO‒TFT
 2.1 IGZO‒TFTの特長
 2.2 イオン液体ゲートによる電気二重層導入効果
3.電気二重層が非晶質IGZO‒TFT特性に与える効果
 3.1 イオン液体ゲートとSiO2ゲートの比較
 3.2 イオンゲルゲートによる特性および信頼性特性
4.おわりに

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常温常圧でCO2吸着機能を持つイオン液体型CO2ガスセンサへの応用
CO2 Gas Sensor Using Ionic Liquid’s Gas Adsorption Function at Room Temperature and Atmospheric Pressure

本多祐仁 (オムロン㈱)
竹井裕介 (東京大学)

 近年, イオン液体に関して様々な研究がなされ, 官学および企業からの研究が盛んに行われている。特に2000年以降は多くのイオン液体に特化した学会や論文が多く発表され, また特許の出願件数も非常に多くなっており, ニューマテリアルとして注目されてきた。本稿ではイオン液体が持つ優れた特長を利用した常温常圧でCO2吸着可能な, イオン液体ガスセンサについて紹介する。

1.イオン液体について
2.イオン液体センサについて
3.電極素材の選定
4.イオン液体の固体化(ゲル化)についての検討
5.CO2ガスセンサ端末の実証実験
6.まとめ

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時系列データを認識するニューラルネットワーク「動的ボルツマンマシン」
Recognizing Time‒Series Data by a Neural Network:The Dynamic Boltzmann Machine

恐神貴行 (IBM東京基礎研究所)
大塚誠 (フリーランス)

 従来の人工ニューラルネットワークはヘブ則に基づいて学習するが, 近年の生物実験においてはヘブ則をより精緻にするスパイク時間依存可塑性(STDP)が神経細胞の学習則として確認されている。本稿では, STDPに基づいて学習する新しい人工ニューラルネットワーク「動的ボルツマンマシン」を紹介する。

1.はじめに
2.動的ボルツマンマシン
3.実験
4.まとめ

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海水を利用した高耐久コンクリートの開発と今後の展望
Development and Future Vision of High Durable Concrete with Sea Water

新村亮 (㈱大林組)
竹田宣典 (㈱大林組)

 コンクリートの練り混ぜ水として海水を使用し, さらに, 各種混和材や海水用特殊混和剤を使用することにより, 長期強度, 水密性などのコンクリートの品質を改善することができる。また, 非腐食性補強材の使用により, 鉄筋コンクリートへの適用も可能となる。本技術の各種用途への適用を検討するとともに, コンクリートがら, 鉄鋼スラグなど産業副産物の有効利用も行った。

1.はじめに
2.海水練りコンクリートの特徴
 2.1 従来の海水練りコンクリートの問題点
 2.2 強度特性
 2.3 水密性
 2.4 補強材の腐食および変質
 2.5 その他の耐久性
 2.6 施工性の評価
 2.7 CO2排出量の評価
3.海水練りコンクリート技術の応用例
 3.1 放射線遮蔽型海水コンクリ-ト
 3.2 海水を使用した地盤注入工法
 3.3 火山灰を使用した海水練りソイルセメント
4.海水練りコンクリートへの産業副産物の適用事例
 4.1 震災コンクリートがらの有効利用
 4.2 鉄鋼スラグを使用した舗装
5.まとめ
4,400円
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【特集】繊維強化プラスチックの実用化と今後の動向

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長繊維強化樹脂の混練分散法
Mixing Technology of Long Fiber Reinforced Plastics Composites

長岡猛 (名古屋大学)

 長繊維強化樹脂(FRTP)の成形における混練押出(射出)では, 力学物性を発現するための残存繊維長の保持と, 物性の向上と均一化を発現するための分散と言う, 成形加工面では相反する性能を同時に実現することが求められ, スクリュ形状の開発に加え, 分配配合機能部品などの開発が進められている。
 本報告では, FRTPの成形加工での混練分散において, この相反する性能を同時に発現するためのスクリュ形状および制御法を紹介する。

【目次】
1. 長繊維強化熱可塑性樹脂とは
2. 残存繊維長と成形品物性
3. 成形加工における問題点
3.1 流動特性
3.2 熱伝導特性
3.3 残存繊維長の確保(長繊維強化樹脂)
3.4 繊維分散不良
4. 特殊用途例
4.1 長繊維強化樹脂の超臨界ガス発泡成形
4.2 直接成形装置
4.3 表面性状の改善
5. おわりに

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炭素繊維強化プラスチックの開発と今後の動向
Development and Trend of Carbon Fiber Reinforced Plastics

入澤寿平 (名古屋大学)
杉本慶喜 (東京大学)
田邊靖博 (名古屋大学)

 近年, 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)に関する研究開発が活発に進められている。特に自動車構造部材用途としての普及が最大の目的となっている中で, 炭素繊維の低価格化および生産性増大に関する取組み, あるいは熱可塑性樹脂をCFRPの母材に適合する技術開発が活発に進められている。本稿ではそうした炭素繊維およびCFRP開発の動向をまとめる。

【目次】
1. はじめに
2. 炭素繊維開発の歴史と製造方法・特徴
2.1 炭素繊維開発の歴史
2.2 炭素繊維の製造プロセス
2.3 炭素繊維の特徴
3. 炭素繊維の研究開発動向
4. CFRPの用途展開と成形法について
4.1 用途展開
4.1.1 スポーツ・レジャー用途
4.1.2 輸送機器, 宇宙機器用途
4.1.3 エネルギー, エレクトロニクス用途
4.1.4 その他用途
4.2 成形法の紹介
4.2.1 炭素繊維を中間基材とした成形法
4.2.2 炭素繊維織物(クロス)を中間基材とした成形法
4.2.3 プリプレグを中間基材とした成形法
4.2.4 短繊維を中間基材とした成形法
5. 日本におけるCFRP(CFRTP)の研究開発動向
5.1 CFRTPに関する研究開発動向
5.2 CFRPのリサイクルに関する研究開発動向
6. おわりに

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連続繊維熱可塑性複合材料CFRTP・GFRTP と量産採用事例
Continuous Fiber Reinforced Thermoplastic Polymers, CFRTP・GFRTP and Mass-Produced Applications

馬場俊一 (サンワトレーディング(株))

 連続繊維熱可塑性複合材料(CFRTP・GFRTP)は, 十数年前からドイツで製造・市販されている。欧米では様々な用途にすでに量産採用された製品が身近な生活の中でも見ることができる。近年, サイクルタイムが60 秒・軽量・高強度ということで国内でも非常に注目されている材料である。材料の特徴と成形法・量産採用事例を紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. 連続繊維熱可塑性複合材料
3. 連続繊維と熱可塑性樹脂の組み合わせ
4. 成形法の基本
5. ハイブリッド成形
6. 自動車量産事例
7. その他の量産事例
8. おわりに

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3D プリンタによるFRTP の成形技術の開発;“Composites 2.0”
Development of Fabrication Technique for FRTP on the Basis of Three Dimensional Printer; “Composites 2.0”

上田政人 (日本大学)
浅原宏典 (日本大学)
轟章 (東京工業大学)
松崎亮介 (東京理科大学)
平野義鎭 (国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構)

 熱溶解積層方式の3次元プリンタを用いた連続繊維強化プラスチックの成形方法について解説する。本方法では繊維と樹脂とを別々にプリンタに供給して成形するその場含浸法を採用している。この利点としては, 繊維と樹脂とを任意に選択することができることおよび繊維体積含有率のコントロールが可能であることである。この3次元プリンタで引張試験片を製作して, その引張試験結果より, 従来の3Dプリンタによる樹脂成形品と比較して優れた力学特性を有するFRTPの3次元プリントが可能であることを説明する。

【目次】
1. はじめに
2. その場含浸を用いたCFRTP用の熱溶解積層3Dプリンタの基本機構と一方向CFRTPのプリント成形
3. 3Dプリンタで成形した一方向CFRTP試験片の引張試験
4. おわりに

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リグノセルロースナノファイバーによるプラスチックの補強
Commodity Plastics Reinforced by Lignocellulose Nanofi bers

熊谷明夫 (国立研究開発法人 産業技術総合研究所)

 木材から直接的に製造する植物由来のナノ素材であるリグノセルロースナノファイバーについて, その製造技術を紹介し, 植物由来成分が残存するナノファイバーの表面特性を評価する技術, プラスチックとの混練技術の紹介を通して, リグノセルロースナノファイバーを用いた汎用プラスチックの補強について紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. 植物由来のナノ繊維素材「リグノセルロースナノファイバー(LCNF)」
2.1 水熱・メカノケミカル処理によるLCNFの製造
2.2 化学処理によるLCNFの製造
3. LCNFの表面組成と特性解析
3.1 水晶振動子マイクロバランス(QCM)法
3.2 QCMによるLCNF表面組成の解析
3.3 QCMを用いたLCNFと親和性を示す物質の探索
4. LCNFによるプラスチックの補強
4.1 CNFとLCNFの補強効果の比較
4.2 マスターバッチ法を用いたLCNFによるPPの補強
4.3 固相せん断処理法を用いたLCNFによるPPの補強
5. おわりに

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竹繊維とリサイクルカーボン繊維を用いたスタンパブルシートの機械的特性に及ぼすニードルパンチングの効果―グリーン材料の応用事例紹介―
Eff ect of Needle Punching on Flexural Properties of Stampable Sandwich Sheet Fabricated with Bamboo Fiber and Recycled Carbon Fiber MAT

大窪和也 (同志社大学)
藤井透 (同志社大学)

 リサイクルカーボン繊維と竹繊維を用いたスタンパブルシートの軽量化を前提に, 曲げ特性を向上させるための有効な構造および製作方法を紹介する。表面材およびコア材の目付(単位面積あたりの質量)および剛性がスタンパブルシートの曲げ特性に与える影響を調べた後, ニードルパンチングの技術を応用した場合のその効果を調べた。

【目次】
1. 緒論
2. 材料および成形方法
2.1 材料
2.1.1 竹繊維
2.1.2 バインダー繊維
2.1.3 リサイクルカーボン繊維
2.2 スタンパブルシートの成形方法
2.2.1 不織布の作成
2.2.2 成形条
3. 試験方法
3.1 4点曲げ試験
3.2 引張せん断試験
3.3 繊維配向測定
4. 実験データおよび考察
4.1 スタンパブルシートの曲げ特性に与える表面材とコア材の目付の影響
4.2 破壊形態および座屈応力の理論値との比較
4.3 スタンパブルシートの曲げ特性に対するニードルパンチングの効果
5. おわりに

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繊維強化プラスチックのリサイクル技術
Recycling Technologies for Fiber Reinforced Plastics

柴田勝司 ((元)日立化成(株))

 2010年以降, GFRPリサイクル技術に関する研究開発には大きな進展はなく, 当時すでに実用化されていたセメントの原燃料化事業のみが稼働中である。一方, 急速に需要が増えたCFRPについては, 様々なリサイクル技術が開発された。海外では以前から研究されていた熱分解法を用いた技術が進展し, 回収CFが再びCFRPに使用されつつある。

【目次】
1. はじめに
2. GFRPリサイクル技術
2.1 国内の2010年以降の動向
2.2 海外の動向
3. CFRPリサイクル技術
3.1 回収技術
3.2 再利用技術
4. その他の繊維強化プラスチックのリサイクル技術
5. おわりに

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量子ドットとは
What is Quantum Dot?

森良平 (冨士色素(株))

 原子, 分子数が100~10000個といわれる超微細構造を有する量子ドットの概要を説明する。量子ドットの歴史から始まり, 粒子径サイズ依存性, 相転移, ドーピング, アロイ化による構造依存性, そして封止膜化(有機物, 無機物でのキャッピング, Passivationなどの表面処理による)表面構造依存性を説明する。さらに量子閉じ込め効果などの物理化学的特徴, 合成方法の概要, 太陽電池, バイオ医学用途などへの量子ドットの応用例もいくつか述べる。

【目次】
1. 量子ドットの歴史
2. 量子ドットの構造
2.1 DOSに対するサイズ依存性
2.2 相と相転移
2.3 量子ドットにおけるドーピング
3. 量子ドットの表面構造
3.1 量子ドット表面の封止膜化(Passivation)
3.2 有機物でキャッピングした量子ドット
3.3 無機物でキャッピングした量子ドット
4. 量子ドットの物理化学的特徴
4.1 量子閉じ込め効果とバンドギャップ
4.2 有効近似モデル(EMA:Eff ective Mass Approximation)
4.3 Linear Combination of Atomic Orbital Theory-Molecular Orbital Theory (LCAO-MO法)
4.4 発光特性
5. 合成方法
5.1 エピタキシャル法
5.2 非エピタキシャル法
6. 量子ドットの応用
6.1 太陽電池
6.2 生体イメージング(バイオ, 医学用途)
6.3 エレクトロニクス・フォトニクス
6.4 その他
7. 当社においての量子ドットビジネス

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CFRPの市場動向
Market Trend of CFRP

【目次】
1. CFRPの市場概況
1.1 現在の需要実績
1.2 用途別需要実績と予測
1.3 炭素繊維の価格推移
2. CFRPの国内動向
3. CFRPの海外動向
4,400円
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【新春特集】熱電発電開発の新戦略
New Strategy of Thermoelectric Generation

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熱電発電,現在と将来
Thermoelectric Generation, Present and Future

舟橋良次(国立研究開発法人 産業技術総合研究所)

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インターカレーションによる無機/有機複合熱電変換材料
Inorganic/Organic Hybrid Thermoelectric Materials through Intercalation

河本邦仁 ((公財)豊田理化学研究所)
Ruoming Tian ((公財)豊田理化学研究所)
万春磊 (清華大学)

 層状構造TiS2に有機分子をインターカレートして無機/有機複合超格子を構築すると, 室温で0.12W/mKという極めて低い格子熱伝導率が得られ, 大気中, 室温~140℃でZT=0.24~0.33を示す優れたn型熱電変換材料になることを見出した。この材料のフレキシブルな性質を利用した新しい熱電応用を提案する。

【目次】
1. はじめに
2. TMDC;TiS2
3. TiS2/有機複合超格子熱電変換材料
3.1 有機分子の電気化学的インターカレーションによる複合超格子構築
3.2 無機/有機ナノ複合化による熱伝導率の低減
3.3 フレキシビリティ
4. キャリア濃度の制御は可能か?
5. キャリア移動度のチューニングは可能か?
6. 工業的製造プロセスの開発と新しい応用

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熱電変換材料としての非整合複合結晶
Incommensurate Composite Crystals as Potential Thermoelectric Materials

宮﨑讓 (東北大学)

 新たな熱電変換材料を創製するアプローチの一つとして, 非整合複合結晶の利用が考えられる。本稿では, 複合結晶の特徴をはじめに解説し, 続いて複合結晶の実例として, 優れた熱電特性を示すことで知られるカルシウムコバルト酸化物とマンガンケイ化物の結晶構造と熱電特性を紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. 非整合複合結晶の特徴
3. 非整合複合結晶の変調構造と熱電変換特性
3.1 カルシウムコバルト酸化物“Ca3Co4O9”
3.2 マンガンケイ化物”Mn4Si7”(HMSs)
4. おわりに

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ミクロスコピック熱伝導機構の解明と熱伝導制御指針
Numerical Analyses of Microscopic Thermal Conduction

吉矢真人 (大阪大学)

 材料科学における熱伝導のメカニズム解明のための計算的アプローチの必要性やそのための手法の紹介から層状熱電変換材料の熱伝導抑制メカニズムの解明の実例を紹介する。いずれの層状熱電変換材料でも層状構造由来の2次元性のみならず第3 の次元の層間相互作用こそが電子的特性を損なわずに熱伝導が抑制されている必要条件であり,その相互作用や隣接層の制御を通じてさらなる熱伝導制御が可能である。

【目次】
1. 緒言
2. 計算的手法によるアプローチ
3. 摂動分子動力学法
4. 層状コバルタイト熱電変換材料の微視的熱伝導機構
5. 結言

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パイプ型熱電モジュール
Pipe‒Shaped Thermoelectric Module

菅野勉 (パナソニック(株))

 未利用熱を電力として回収可能な熱電発電に期待が寄せられている。本稿では排ガスや蒸気, 温水など流体熱源で熱電発電を行う際にモジュールに求められる要件と, パイプ型熱電モジュールについて紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. モジュール設計と発電効率, 発電出力の関係
3. モジュールの構造
3.1 トランスバース型パイプモジュール
3.2 サーモカップル型パイプモジュール
4. モジュールの作製
5. 発電性能
6. パイプモジュールでのペルチェ冷却
7. おわりに

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小型積層モジュール
Small Size Multilayer Module

中村孝則 ((株)村田製作所)

 今回, 酸化物熱電材料を使用して小型の積層モジュールを作製した。この積層モジュールは温度差10℃で100μWの出力が得られ, 機械的な強度も強いことが確認できた。この積層モジュールをワイヤレスネットワーク端末の電源として適用し, 1年以上メンテナンスフリーで動作することが確認できた。

【目次】
1. はじめに
2. 環境発電用熱電材料
3. 小型積層モジュール
3.1 積層モジュールの概要
3.2 試作例
4. ワイヤレスセンサネットワーク電源への適用
4.1 ワイヤレスセンサネットワーク端末電源の概要
4.2 実証実験結果
5. まとめ

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熱電発電技術の応用
Application of Thermoelectric Generator

梶原健 ((株)KELK)

 ビスマステルル系材料は室温から約200℃程度の温度領域で高い熱電性能を示す。ビスマステルル系材料を用いた熱電発電モジュール, ユニットの実用化への取り組みについて紹介する。具体的には100W以上の発電を目的とした産業排熱回収の例として熱処理炉排熱およびスラブ排熱への適用例を紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. ビスマステルル系熱電発電モジュールの特性
2.1 ビスマステルル系熱電材料について
2.2 発電モジュールの特性
3. 熱電発電ユニットの特性
4. ビスマステルル系熱電発電ユニットの応用例
4.1 熱処理炉排熱への熱電発電の適用例
4.2 スラブ排熱への熱電発電の適用例
5. 今後の課題
6. おわりに

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Material Report -R&D-

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光で駆動する,曲がる透明ディスプレイ
Photo‒Assisted Flexible Transparent Display

渡邉智 (熊本大学)
曽我公平 (東京理科大学)

 近年, メカニカルフレキシビリティーと透明度を活かした次世代透明ディスプレイに関する研究が盛んに行われている。しかし, 既存の半導体技術では, 電極, アクティブスイッチ, 半導体層の光吸収や光散乱による透明度の低下が避けられなかった。本稿では, 希土類元素含有ナノ粒子のアップコンバージョン発光材料とポリマーアレイ導波路格子を組み合わせた新しい原理に基づく透明アップコンバージョン発光ディスプレイを紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. ブラウン管ディスプレイ
3. 液晶ディスプレイ
4. アップコンバージョン発光ディスプレイ
5. アップコンバージョン発光層のパターニング技術
6. ポリマーアレイ導波路格子アップコンバージョン発光デバイスの作製
7. おわりに

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ものづくりの“ 奥義” を見極める―伝統技術の科学的解明と未来展望― 第7 回(最終回)

「これからの伝統技術とものづくり」

ものづくり文化を支える伝統技術と先進技術の循環
A Cycle of Traditional Arts & Crafts/Advanced Technology Serving the Basis of “Monodzukuri” Culture

西本清一 ((地独)京都市産業技術研究所)

 京都には伝統技術と先進技術が絶えず循環しながら息づいている。人間の感性による介入を排除した要素還元主義に立つ西欧近代科学技術を受容しつつ, 人間固有の感性に依拠する生気論的立場の伝統工芸技術を堅持する世界が現存する。京都の歴史や文化風土=京都のエートスと深く結びついた濃密な現象の本質を探る。

伝統みらい学の誕生
Master of Dento Mirai

濱田泰以 (京都工芸繊維大学)

 本稿では, これからの伝統技術を活かしたものづくりのためにできるいくつかの方法の中で, 教育に関わる筆者の夢を語ってみました。それは伝統みらい学と呼ばれるものであり, ものづくり現場に必要な改革者の養成カリキュラムを作ってみました。MDMという修士号を提供する課程です。MDMとは? 最後まで, お読みいただきたいと思います。

感性と科学のハイブリッド工学基盤への夢
A Dream for Human Sense Hybridized Engineering Base

黒田孝二 (京都工芸繊維大学)

 伝統技術に夢を描く研究者の一連の連載を閉じるにあたり, これ俯瞰してみると, 先人の卓越した感性が育み継承してきた日本のものづくりの奥義と, 大きく発展した科学の流れを融合させて, 次世代への伝統技術に発展させることの重要さを改めて感じる。読者諸氏と, この方策について考え, 次世代に継ぐ宝の形を考えてみたい。

【目次】
1. はじめに
2. 感性と科学の融合を達成するマネージメント
2.1 日本のものづくり感性の育み
2.2 感性と科学の融合
3. おわりに
【特集】プリンテッドエレクトロニクスのための金属系導電性インク

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はじめに
Preface

菅沼克昭 (大阪大学)

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導電性ペースト・インクの開発状況
Advances in Development of Conductive Inks

菅沼克昭 (大阪大学)

 プリンテッド・エレクトロニクス(PE)技術を支える材料技術には, 半導体, 無機・有機配線材料など様々な開発が進められている。本稿では, その中でもPE 技術を市場に定着させる配線技術の現状と最新動向をまとめる。特に, 新たな注目が集まるIoTの入り口となるセンサ, ウェアラブルなどの技術展開について紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. 導電性接着剤
2.1 導電性接着剤の主な用途
2.2 導電性接着剤配線における留意点
3. 金属ナノ粒子インク
4. 金属ナノワイヤインク
5. これから

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銀ナノワイヤーインク
Silver Nanowire Ink

内田 博 (昭和電工(株))

 銀ナノワイヤーを用いてスクリーン印刷による直接パターニングが可能な銀ナノワイヤーインクを開発し, また焼成方法についてもパルス光焼成を適用することにより, PETのような耐熱性の低い基材でも, 光学特性を損なうことなく導電性を発現でき, 高い屈曲性を有する銀ナノワイヤーフィルムを作製することを可能にした。

【目次】
1. はじめに
2. 銀ナノワイヤーの概要
2.1 銀ナノワイヤーとは
2.2 種々の透明導電材料における銀ナノワイヤーの位置づけ
3. 銀ナノワイヤーインクを用いた透明導電膜の作製技術
3.1 銀ナノワイヤーインクの塗布方法
3.2 銀ナノワイヤーインクを用いたスクリーン印刷
3.2.1 インク組成について
3.3 銀ナノワイヤーの焼成技術
3.3.1 パルス光照射による焼成技術
3.3.2  焼成方法に違いによる銀ナノワイヤー塗布膜性能への影響
3.3.3  銀ナノワイヤーと基材(フィルム)との密着性について
4. 銀ナノワイヤー透明導電膜の保護膜技術
5. おわりに

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導電性銀ペーストREXALPHAシリーズ
Conductive Silver Paste REXALPHA Series

田中稔彦 (東洋インキSCホールディングス(株))

 印刷による回路形成は, プリンテッドエレクトロニクス(PE)として各種用途開発が進められているが, 実用化されている用途としてはタッチパネルにおける引き出し線が主流である。急速に普及するスマートフォン, タブレット端末での細線回路形成の最新動向を中心に, 当社導電性銀ペースト「REXALPHA」について紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. 「REXALPHA」シリーズ
3. レーザー加工による高精細回路形成
4. レーザー加工用銀ペースト
5. PEの用途開拓
6. おわりに

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超高純度金属ナノインク
COLLOIDAL INK: The Purest Metal Nanoink

金原正幸 ((株)コロイダル・インク)

 金属ナノインクは, 印刷によって電極および配線を形成させるために必須の材料である。良い塗布膜を得るには, 金属純度の高いナノインクを用いる必要がある。本稿では, その理由や当社独自の超高純度金属ナノインクについて述べる。

【目次】
1. はじめに
2. 金属ナノインクの開発
3. π接合金属ナノ粒子インクの特徴
4. 室温PE技術
5. その他の期待される応用
6. おわりに

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グラビアオフセット印刷用導電性インク
Conductive Ink for Gravure Offset Printing System

片山嘉則 (DIC(株))

 本論では, プリンテッドエレクトロニクス分野で注目されてきたグラビアオフセット印刷方式について, 既存のスクリーン印刷方式と比較しながら, その原理から特徴, 応用例までを説明する。さらに, このグラビアオフセット印刷に適用可能な導電性インクとして, 導電性銀インクの例を挙げる。

【目次】
1. はじめに
2. グラビアオフセット印刷の原理
3. グラビアオフセット印刷の特徴
4. グラビアオフセット印刷用導電性インク
5. グラビアオフセット印刷の応用例(導電インク)
6. まとめ

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銅微粒子を用いる配線基材の開発
Development of Wiring Materials with Copper Fine Particles

米澤 徹 (北海道大学)

 本小文では, 銅微粒子を用いた導電性配線基材の開発について, 特に高分子保護銅微粒子の我々の研究例を挙げて解説する。最初に金属微粒子合成法の概略を述べ, 粒子径を制御しながらの大量合成, 微粒子の回収, 再分散について議論を行う。また, こうして得た銅微粒子の2ステップ法による低温焼成についても触れた。

【目次】
1. はじめに
2. ゼラチン保護銅微粒子の大量合成
3. ゼラチン保護銅微粒子の回収と分散
4. ゼラチン保護銅微粒子の低温焼成
5. おわりに

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インクジェット用Cu ナノ粒子インク
Copper Nanoparticle Inks for Conductive Patterning by Inkjet Technique

柏木行康 ((地独)大阪市立工業研究所)
梶原康一 ((株)イオックス)
白川直樹 (国立研究開発法人 産業技術総合研究所)
村田和広 ((株)SIJ テクノロジ)

 プリンテッドエレクトロニクス技術において, 主に信頼性の面からCuナノ粒子インクによる配線形成法の確立が期待されている。酸化の問題をはらむCuナノ粒子インクをあえて使うべき用途として超微細配線形成を想定し, その手法としてインクジェット法を選択したことについて述べ, 微細パターン形成と導電性を高い水準で両立した応用例を紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. PE技術におけるインクジェット法の特徴
3. Cuナノ粒子の開発動向
4. インクジェット用Cuナノ粒子インクの開発
5. インクジェット法による超微細Cu配線形成の応用
6. おわりに

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Material Report -R&D-

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フナムシの脚を模倣した微小流路の開発
Fabrication of Micro Channels Learning from Legs of Ligia Exotica

石井大佑 (名古屋工業大学)

 本稿は, フナムシのもつ流路を模倣し, ポンプ不要で効率よく液体を吸い上げることが可能な微小流路の開発について論じる。この流路は, 平板状の微細突起構造が異方的に配列している。突起配列構造や表面化学組成を制御することで, 吸引ポンプを要せずに重力に逆らって液体輸送でき, 液体操作デバイスへの応用も期待できる。

【目次】
1. はじめに
1.1 バイオミメティクス
1.2 液体を操る生物表面
2. フナムシの脚を模倣した微小流路
2.1 フナムシの脚の微小流路
2.2 フナムシ模倣流路構造の作製
2.3 表面処理による化学組成制御
2.4 フナムシ模倣流路の静的接触角測定
3. フナムシ模倣流路の応用
3.1 構造の間隔による流速最適化
3.2 構造の大きさや配列による流速最適化
3.3 模倣流路を用いたエラー回避システム
3.4 液体輸送デバイスの設計
4. おわりに


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ものづくりの“ 奥義” を見極める―伝統技術の科学的解明と未来展望― 第6回

京弓に見る伝統技術とハイブリッド複合材料
Traditional Technology and Hybrid Composites in Kyoto Bow

濱田泰以 (京都工芸繊維大学)

 京弓は, 代表的な伝統産業である。そのものづくりには, 匠の受け続けてきた知恵が集約されている。材料の使い方, 道具の使い方, 構造の形成のやり方などなど, 学ぶことは多い。本稿では, 御弓師21代目柴田勘十郎氏の技に迫ってみたいとおもう。驚くべき, 材料の使い方はハイブリッドであった。

【目次】
1. はじめに
2. 京弓の形状, 大きさ
3. 京弓の内部構造
4. 曲げ試験
5. おわりに

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タッチパネル関係の材料技術トレンド(5)

タッチパネルの内蔵化技術と材料
Built‒in Technology and Material of the Touch Panel

鵜飼育弘 (Ukai Display Device Institute)

 「タッチパネル内蔵化技術と材料」に関して技術動向を紹介する。本題に入る前に, ディスプレイモジュールの内蔵化について, 目的と開発・実用化の経緯を概説する。次に, タッチパネルの構造と定義について述べ, 内蔵型タッチパネルの特徴および構造と検出原理を詳述する。最後に, 内蔵化タッチパネルの製造技術と市場動向についても触れる。タッチパネルの内蔵化の目的は, 薄型・軽量・堅牢・狭額縁・高視認性および低消費電力で, 消費者目線の特性を実現すること。さらに, ディスプレイメーカの付加価値を高めることである。これらの目的に合致するデバイス構造および製造プロセスに基づいた製造技術の確立が重要である。

【目次】
1. はじめに
2. ディスプレイモジュールにとっての内蔵化(In‒cell化)
3. タッチパネルの構造と定義
4. 内蔵型タッチパネル
4.1 内蔵型タッチパネルの特徴
4.2 内蔵型タッチパネルの構造と検出原理
4.3 In‒Cell型
4.3.1 光学式
4.3.2 投影型静電容量式
4.4 On‒Cell型
5. In‒Cell化実現のための製造技術
6. 市場動向
7. おわりに
【特集】ナノ材料の分散・制御技術の最前線

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特集にあたって
Introduction

神谷秀博 (東京農工大学)

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ナノ素材の分散・凝集挙動制御法に関する研究動向
Resent Research Trend of Nanomaterial Dispersion and Aggregation Behavior Control

神谷秀博 (東京農工大学)

 ナノ粒子などナノ素材の液中での分散・凝集挙動の制御法の基礎となる界面構造やナノ粒子・ナノ素材表面間相互作用の基礎的事項を整理しながら, なぜ, ナノ素材の分散設計が困難であるか, 科学的に解説する。その上で, ナノ素材の分散制御法の事例を, 特に生成した粒子界面を各種手法で設計する手法を中心に紹介する。最後に科学的な界面設計に必要な界面相互作用の測定, 分析法について述べ, 評価と制御の両輪の必要性を考える。

【目次】
1. 分散挙動制御法に関する基礎的事項の整理
2. 溶媒物性変化, ポリマー化にも対応可能な界面活性剤の吸着による分散性制御
3. 分散性ナノ粒子のポリマー複合体への応用での留意点と対応策
4. 物理的, 機械的手法による凝集体の分散
5. ナノ素材の分散挙動評価法
6. 終わりに

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ナノ粒子の分散系のレオロジー制御
Rheological Control of Dispersed Nano‒Ceramic Slurry by Mechanical Milling Methods

堀田裕司 (国立研究開発法人 産業技術総合研究所)

 本稿では, マイクロメートルサイズ以下のセラミックス微粒子の分散処理と分散スラリーのレオロジー挙動の関係について述べる。機械的な分散処理方法によって粒子表面状態が異なるため, 分散スラリーのレオロジー挙動は分散処理方法によって影響を受ける。機械的処理としてのボールミル, 湿式ジェットミルによって調製したスラリーは, 前者が固体的挙動, 後者が粘度の低い液的粘性挙動をもつことが, レオロジーによる計測によって明らかになった。分散スラリーのレオロジー制御には, 粒子の機械的処理技術の選択が重要である。

【目次】
1. はじめに
2. 粒子間相互作用力と分散制御
3. 機械的手法によるセラミックス粒子表面
4. 異なる機械的手法によるセラミックス分散スラリーの特徴
4.1 静的粘弾性測定(クリープ・リカバリー)
4.2 動的粘弾性測定(周波数依存)
5. 100nm以下のナノ粒子の分散スラリー
6. おわりに

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ナノ材料の凝集性・分散性の評価
Characterization of Dispersibility and Disperse Stability of Nano Materials

武田真一 (武田コロイドテクノ・コンサルティング(株))

 分散性および分散安定性の言葉の定義とそれに基づいた評価手法について紹介した。実用系が粒子濃度の高い系からなることから, 希釈操作を必要としないでそのままの濃度で評価できる手法として, 超音波減衰分光法と遠心沈降分析法について, その原理と応用例を示した。

【目次】
1. はじめに
2. 分散性評価のための液中粒子計測法
2.1 超音波減衰分光法の原理
2.2 超音波減衰分光法による評価例
3. 液中分散安定性評価法
3.1 遠心沈降分析法の原理
3.2 遠心沈降分析法による評価例
4. おわりに

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カーボンナノチューブ分散剤の開発と複合材料化
Development of Carbon Nanotube Dispersants and Nanotube Composites

中嶋直敏 (九州大学 大学院)

 可溶化/分散カーボンナノチューブ(カーボンナノチューブインク)の開発は, カーボンナノチューブ応用展開の鍵を握っている。本総説では, その現状およびそれらを利用したナノ複合材料のデザイン・創製(既存の複合材料では到達できない新規な物性・機能を示す新しいナノ複合材料創製が可能となる)についてまとめた。

【目次】
1. はじめに―カーボンナノチューブ(CNT)可溶化の重要性
2. 代表的なCNT可溶化剤
3. 金属性SWNTと半導体性SWNTの分離
3.1 化学反応を利用した分離法
3.2 クロマトグラフィーを利用した分離法
3.3 密度勾配超遠心分離(DGU)を利用した分離法
3.4 特殊高分子による選択的可溶化
3.5 超分子化合物による分離
3.6 右巻きSWNTと左巻きSWNTの分離
4. CNT複合材料創製(機能材料創製)
4.1 CNTと合成高分子との複合化
5. CNT透明フレキシブル導電性フィルム
6. CNTを素材とする新しい燃料電池の構築
6.1 燃料電池の重要性
6.2 燃料電池触媒としてのカーボンナノチューブの特長
6.3 CNTを用いる次世代燃料電池
6.4 粒径制御による低白金化
7. おわりに

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ナノジルコニア分散材料の開発と応用
Development of Nano‒ZrO2 Dispersed Materials and its Applications

平野杏奈 (第一工業製薬(株))

 ナノジルコニア分散材料は, シングルナノサイズのジルコニア粒子を高濃度で光硬化樹脂に均一に分散させた材料であり, 高透明性と高屈折率を両立したものである。さらに要求物性に応じて光硬化樹脂を変更することが可能である。その特性を生かして, フラットパネルディスプレイにおける光学フィルム用途やレンズ部材用途への開発を進めている。

【目次】
1. 概要
2. 多種多様な特性を持つナノ材料
3. 当社開発ナノジルコニア分散体の特長
3.1 高透明性
3.2 粒子の高濃度化
3.3 屈折率の調整が容易
3.4 優れた表面平滑性
3.5 高屈折率と耐光性の両立
3.6 溶剤使用に対する自由度
3.7 分散媒となる樹脂のカスタマイズ
4. 次世代の光学材料への応用展開

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ナノ粒子集積化技術による機能性複合材料の開発
Electrostatic Adsorption Assembly Technique of Nano‒Materials to Development of Novel Composite Materials

武藤浩行 (豊橋技術科学大学)

 優れた特性を有するナノ物質を添加物とした革新的な複合材料開発が加速する中で, 「ナノサイズ」の特徴・利点を十分に生かすことができているのか? 本稿では, これらの解答の一つとして静電相互作用を利用した新規なナノアセンブリ技術について述べ, ナノ物質の活用に関して幾つかの事例を紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. 微構造制御のための粉末デザイン
3. 静電吸着複合法
4. 集積複合粒子を原料とした機能性複合材料の創製
5. まとめ

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Material Report -R&D-

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半導体ポリマーの分子配向制御と有機太陽電池の高効率化
Control of Molecular Orientation in Semiconducting Polymers for Highly Effi cient Polymer Solar Cells

尾坂 格 (国立研究開発法人 理化学研究所)
瀧宮和男 (国立研究開発法人 理化学研究所)

 本稿では, 有機薄膜太陽電池の高効率化に向けた半導体ポリマーの開発と結晶性・配向性の制御について, 筆者らのグループの取り組みを紹介する。さらに, ポリマーの分子配向に適した構造の素子を用いることの重要性について述べる。

【目次】
1. はじめに
2. 半導体ポリマーの結晶性向上
3. 分子設計による配向制御
4. 分子配向と素子構造
5. まとめ

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ものづくりの“ 奥義” を見極める―伝統技術の科学的解明と未来展望― 第5回

伝統工芸技術を科学する―京都市産業技術研究所の挑戦―
Scientifi c Research of Traditional Japanese Craft Techniques‒Trying in Our Institute( Kyoto Municipal Institute of Industrial Technology and Culture)

小田明佳 ((地独)京都市産業技術研究所)
本田元志 ((地独)京都市産業技術研究所)
稲田博文 ((地独)京都市産業技術研究所)
大藪 泰 ((地独)京都市産業技術研究所)

 京都市産業技術研究所は100年以上にわたり, 京都の伝統産業をその技術面から支援してきた。それは伝統工芸技術を科学する眼である。伝統工芸技術の要具である筆の解析, 西陣織に展開される新たな製織技術, さらには京焼・清水焼に代表される陶磁器の絵具の開発について, 最近の研究を紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. 伝統工芸の要具「筆」の特性を知る
2.1 筆とは
2.2 獣毛の力学特性
2.3 筆の力学特性と官能評価
2.4 測定法の発展
3. 新たな織の技術で視覚的効果を高める
3.1 背景
3.2 錯視を応用した柄のテキスタイル
3.3 スリットアニメーションを実現したテキスタイル
3.4 設計指針
4. 発色メカニズムを知り, 新たな陶磁器用絵具の開発へ繋げる
4.1 吹屋ベンガラの再現と無鉛赤絵具の開発
4.2 無鉛赤絵の発色メカニズム
5. おわりに

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タッチパネル関係の材料技術トレンド(4)

フレキシブルタッチパネル材料
Flexible Touch Panel Materials

鵜飼育弘 (Ukai Display Device Institute)

 フレキシブルタッチパネル材料の最新技術を紹介する。まず, ディスプレイの進化とフレキシブルディスプレイおよびタッチパネルとプロセス適合性を概説する。ここでは, フレキシブル基板材料への要求事項を明確にし, ナノペーパーの特性と, グリーンイノベーションへの期待を詳述する。フレキシブルタッチパネル材料として, 導電性シリコーンゴム, ナノペーパーを用いた透明電極, 導電性ナノファイバーおよび導電性高分子材料PEDOT:PSSの構造解析を取り上げた。

【目次】
1. はじめに
2. ディスプレイの進化とフレキシブルディスプレイ
3. プロセス適合性
4. フレキシブル基板材料
4.1 フレキシブル基板材料への要求事項
4.2 ナノペーパー
5. フレキシブルタッチパネル材料
5.1 導電性シリコーンゴム
5.2 ナノペーパーを用いた透明電極
5.3 導電性ナノファイバー
5.4 導電性高分子材料PEDOT:PSSの構造解析
6. おわりに
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【特集】高機能紙の開発と紙がもたらす次世代技術の最前線

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製紙用粘剤としての超高分子量ポリエチレンオキサイドの新展開
The Novel Development of the Ultra-High Molecular Weight Polyethylene Oxide as
Paper Manufacture Mucilaginous Agent

井戸 亨 (住友精化(株))

 ポリエチレンオキサイドは天然のトロロアオイ(黄蜀葵)に代わる合成の製紙用粘剤として, 50年以上前からティッシュやトイレットペーパーなど薄葉紙を抄造する際に使用され続けており, 近年ではさらなる高分子量化が進んでいる。本稿では, 使用が難しいとされている高速抄紙機への応用展開, および生産性改善の可能性について紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. PEOの特徴
3. 「PEO」による繊維分散機構
4. 高濃度水溶液の耐せん断性
5. 高速抄紙機への展開
6. 円網抄紙機での用水原単位改善
7. 紙料濃度の高濃度化による生産性改善
8. まとめ

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紙表面上での化学反応を活用した機能紙の開発と応用
Developments and Applications of Functional Paper Using Chemical Reaction at Paper Surface

市浦英明 (高知大学)

 本論文では, “紙表面上で化学反応”を行う手法を活用した機能紙の調製技術について概説する。具体的には, 紙表面上で界面重合反応を行い機能材料の合成と定着を同時に行う界面重合法と紙表面上で高分子ゲルの合成と定着を同時に行う天然高分子ゲル析出法を用いて調製した機能紙を紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. 界面重合法を活用した機能紙の開発
3. 天然高分子ゲル析出法を活用したインテリジェント機能紙の開発
4. おわりに

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ゼオライト高密度結晶化技術による「セルガイア(R)」の開発と応用
Development and Application of “Cellgaia” by the Zeolite High‒Density Crystallization Technology

杉山公寿 (レンゴー(株))

 ゼオライトを紙と複合化させるには, 抄紙の段階で填料として添加するのが一般的であるが, 歩留まり率を向上させることが難しい。著者はパルプがアルカリ性水溶液で膨潤する性質があることから, このアルカリ性水溶液中で結晶化するゼオライトの特性を利用して, パルプ内部にゼオライトを高密度に結晶化させる技術を確立した。ゼオライト含有パルプとして抄紙工程で添加するだけで, ほぼ100%の歩留まり率で高機能紙を生産することができる。

【目次】
1. はじめに
2. セルガイア(R)パルプの基本特性
2.1 セルガイア(R)パルプの製造方法
2.2 セルガイア(R)パルプへの抗菌性金属イオン担持方法
3. セルガイア(R)パルプ含有紙および湿式不織布の機能および用途
3.1 抗菌性
3.2 ウイルス不活化性
3.3 アレルゲン不活化性
3.4 消臭性
4. セルガイア(R)パルプおよびその応用製品の今後
4.1 水溶性放射性物質吸着繊維

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進化型「高度紙」としての無機/有機ナノハイブリッド膜iO‒brane(R)の開発と応用
Development of Inorganic/Organic Nano‒Hybrid Membrane iO‒brane(R) as Advanced Paper and its Applications

澤 春夫 (ニッポン高度紙工業(株))

 有機ポリマー分子に無機酸化物ナノ粒子が化学結合した独自の無機/有機ナノハイブリッド膜(iO‒brane(R))を開発した。「紙」の発展系とみなせるこの材料の, 分子レベルでの吸液性, あるいは化学的・物理的安定性, ナノ材料としての特性を生かして, 燃料電池, 有機合成用触媒, 分子フィルターなどへの応用が開けている。

【目次】
1. はじめに
2. 無機/有機ナノハイブリッド膜(iO‒brane(R))
3. iO‒brane(R)の用途
3.1 燃料電池用電解質膜
3.2 金属ナノ粒子触媒膜
3.3 分子フィルター
4. おわりに

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紙の高誘電率化による小型フレキシブルペーパーアンテナの開発
High‒k Paper Composite for a Miniaturized Flexible Antenna

古賀大尚 (大阪大学)
能木雅也 (大阪大学)

 Internet of Thingsやウエアラブルエレクトロニクスに大きな注目が集まる中で, 薄くて小さく・軽くて柔軟なワイヤレス情報通信アンテナの開発が急務となっている。そのためには, アンテナ基板のフレキシブル化・高誘電率化が必要不可欠である。本稿では, 植物ナノセルロースベースの高誘電率紙基板の開発, および, それを用いて実現した小型・フレキシブルペーパーアンテナについて述べる。

【目次】
1. はじめに
2. IoTに向けたフレキシブルアンテナ開発
3. アンテナの小型化に向けた紙基板の高誘電率化
4. 高誘電率紙基板で実現する小型フレキシブルアンテナ
5. おわりに

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Material Report -R&D-

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エマルションフロー法を用いたレアメタルなどの回収・リサイクル
Recovery and Recycling of Minor Metals etc. by “Emulsion Flow” Method

長縄弘親 (国立研究開発法人 日本原子力研究開発機構)

 廃材, 工程くずからのレアメタルの回収・リサイクル, 工場廃水の浄化などに対する革新的な新技術“エマルションフロー法”を紹介する。同法では, 溶媒抽出に基づく化学分離, 液液界面を利用した固液分離をポンプ送液だけで簡便かつ効率的に行うことができ, 従来法との比較において, 最も低いコストと最高レベルの高性能を両立させている。

【目次】
1. 水に溶けている有価物を選択的に回収する二大手法
2. “エマルションフロー法”とは?
3. エマルションフロー法を利用した溶媒抽出
4. 他の方法との比較
5. レアアースの溶媒抽出における従来法との比較
6. エマルションフロー法に基づく溶媒抽出の適用例
7. エマルションフロー法に基づく固液分離の適用例
8. 今後の展望

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ものづくりの“ 奥義” を見極める―伝統技術の科学的解明と未来展望― 第4回

漆の可能性~漆の改質と人工漆の開発~
The Possibility of Urushi ~ Improvement of Urushi and Development of Artifi cial Urushi ~

大藪 泰 ((地独)京都市産業技術研究所)

 日本の代表的な伝統技術の一つに漆工がある。わが国では9000年以上も前から漆は使用されているが, 今, 環境に優しい塗料として注目を集めている。キーワードは(1)酵素反応, (2)資源作物・資源植栽, である。この漆を改質し利用拡大を図るとともに, 漆をモデルとした酵素反応型塗料(人工漆)の開発を進めている。

【目次】
1. あなたは漆を知っていますか?
2. なぜ環境に優しいのか?
3. そして漆を改質しよう, 人工漆を開発しよう
3.1 漆の改質は
3.2 人工漆の開発は
4. 漆および人工漆のこれからは?

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タッチパネル関係の材料技術トレンド(3)

表面処理材料
Surface Treatment Materials

鵜飼育弘 (Ukai Display Device Institute)

 タッチパネルの表面処理材料としての新規材料と最新技術を紹介する。まず, 代表的なタッチパネルの構造を概説し, なぜタッチパネルに表面処理が必要かを述べる。ここでは, 表面処理材料として, 表面の傷つき防止(ハードコート), 指紋汚れ防止, そして視認性向上のための反射防止機能を表面に付与したり, 機能を持ったフィルムを取り上げる。いずれの材料も単一機能でなく複合機能を有するもので, 日本の技術は抜きんでており, 今後ともデバイスの性能向上に寄与することを期待したい。

【目次】
1.はじめに
2. タッチパネルの構造と表面処理材料
2.1 タッチパネルの構造
2.1.1 抵抗膜式
2.1.2 投影型静電容量式
2.2 タッチパネルの表面処理
2.2.1 表面傷つき防止(ハードコート)
2.2.2 反射防止
2.2.3 指紋汚れ防止
3. おわりに

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機能材料マーケットデータ

電池用材料・ケミカルスの市場動向
Market Trend of Materials and Chemicals for Batteries

【目次】
1. 電池市場の概要
1.1 一次電池
1.2 二次電池
2. 開発動向と構成材料
2.1 一次電池
2.2 二次電池
2.2.1 正極材
2.2.2 負極材
2.2.3 電解液
2.2.4 セパレータ
3. 二次電池構成材料の市場動向
3.1 リチウムイオン電池構成材料の市場
3.2 ニッケル水素電池構成材料の市場
4,400円
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【特集】ポリイミドの機能化と応用に向けた取り組み
Approach to Functionalization of Polyimides, and their Applications

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ポリイミドの機能化の特集にあたって
Upon Special Issue of Polymer Design of Functionalized Polyimides

後藤幸平 (後藤技術事務所)

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ポリイミドの機能化高分子設計
Polymer Design for Functional Polyimide

後藤幸平 (後藤技術事務所)

 “ポリイミドらしさ”を表現しているCT錯体, イミド基やその濃度, 剛直性・屈曲性組成などの化学的・物理的結合や構造を意識し, 要求特性から高分子構造制御への考察を経て, 合成反応を駆使してポリイミドの機能化設計は行われる。その他にも, 最終的な材料形態や用途を意識した重合法の工夫などを活用した機能化設計の考え方を分類して解説する。

【目次】
1. はじめに
2. ポリイミド構造と特性の関係
2.1 ポリイミドの構造因子
2.1.1 物理的・化学的因子(高次構造)
2.1.2 化学構造因子(一次構造)
3. ポリイミドの機能化高分子設計
3.1 CT錯体化抑制
3.1.1 無色透明化
3.1.2 加工性
3.2 ポリイミド固有の構造要因から考えた機能設計
3.2.1 イミド環の構造(芳香族, 非芳香族)
3.2.2 イミド基濃度
3.2.3 できあがりの形態に意味がある機能設計
3.2.4 高分子の相構造による機能向上
4. おわりに

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無色透明な脂環式ポリイミド合成における新展開
Progress in Synthesis of Colorless Alicyclic Polyimide

松本利彦 (東京工芸大学)

 高いガラス転移温度(Tg)と低熱膨張係数とを併せもつ無色透明樹脂はフレキシブルデバイスの基板などとして注目されている。高Tgポリイミドの強靭フィルムを作製するためにはTg近傍での焼成が必要であり, 通常は高温酸化によって黄変する。本稿では, 筆者らが開発した, 化学・熱イミド化併用法という低温焼成新手法を紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. 芳香族ポリイミド着色の起源
3. 脂環式ポリイミド合成における新展開
3.1 脂環式ポリイミドの研究開発背景
3.2 多脂環構造テトラカルボン酸二無水物の合成
3.3 脂環式ポリイミドフィルムの作製
4. 脂環式ポリイミドのキャラクタリゼーション
4.1 脂環式テトラカルボン酸二無水物の反応性
4.2 イミド化温度と分子量および成膜性との相関
5. 脂環式ポリイミドの基本特性
6. おわりに

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感光性ポリイミドの分子設計と屈折率制御技術
Photosensitive Polyimide: Its Molecular Design and Refractive Index Control Technologies

富川真佐夫 (東レ(株))

 感光性ポリイミドは半導体の保護膜だけでなく, イメージセンサーのレンズ材料などに適用されるようになってきた。感光性ポリイミドの最近の開発トレンドである低温硬化性とイメージセンサー適用に向けて要求される屈折率制御について, ポリイミドの分子設計, フィラー添加などの手法を, 最近の文献, 特許情報からまとめた。

【目次】
1. 感光性ポリイミド
2. イメージセンサー用材料
3. ポリイミドの屈折率制御
4. 感光性ポリイミドの高屈折率化例
5. 今後の動向
5.1 屈折率制御
5.2 感光性耐熱材料
6. まとめ

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湿式無電解めっきを可能にするポリイミドのシリカハイブリッド化による両面フレキシブルプリント回路基板への応用
Application to Double‒sided Flexible Printing Circuits by Silica‒hybrid Polyimidewith Wet Electroless Plating Processes

濱澤晃久 (荒川化学工業(株))

 ポリイミドのシリカハイブリッド化により湿式無電解めっきへの適用が可能となり, 無電解めっき+電解銅めっきによる両面FCCLの製品化に成功している。銅厚みは容易に調整可能なためファインピッチ回路形成に適し, 加えて導電性スルーホール付き両面FCCLによるプロセスコストの低減を提案する。

【目次】
1. はじめに
2. シリカハイブリッドポリイミドフィルム「ポミラン」
3. シリカハイブリッドポリイミドフィルム「ポミラン」の特長
3.1 寸法安定性
3.2 金属密着性
3.3 めっき密着発現機構
4. シリカハイブリッドポリイミドフィルム「ポミラン」の応用
4.1 RtoR 無電解ニッケルめっき+電解銅めっきによる両面FCCL
4.2 導電性スルーホール付き両面FCCL を用いた省プロセス, 低コスト化の提案
4.3 「ポミラン」BT
5. まとめ

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ポリイミドからのグラファイト作製と応用
The Physical Properties of the Graphite Made from Polyimide, and its Application

村上睦明 ((株)カネカ)

 ポリイミドの分子構造, 配向性, 炭素化・グラファイト化プロセスなどを制御することで高品質, 高配向性のグラファイトが得られる。このグラファイトシートは優れた熱伝導性, 電気伝導性などの物性を有し, 熱拡散フィルムとして携帯電話などの小型電子機器にその用途が広がっている。

【目次】
1. はじめに
2. ポリイミド(PI)からのグラファイト膜作製
2.1 炭素材料と高分子
2.2 PIの熱分解
2.3 炭素化反応と炭素前駆体構造
2.4 グラファイト化反応
3. グラファイトの物性
3.1 グラファイト単結晶の物性
3.2 高品質グラファイトシートの物性
4. 高品質グラファイトシートの応用
4.1 熱拡散効果
4.2 冷却効果(冷却源と接続した場合)
4.3 層間熱接合材料
5. おわりに

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ポリイミドガス分離膜の現状と開発指針
Current State of Polyimide Gas Separation Membrane and Guideline for Development

風間伸吾 (国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)

 ポリイミドガス分離膜は, 窒素リッチガスの製造, 圧縮空気の除湿や水素回収などの用途で工業的に実用化されている。膜性能をさらに高めることで, 地球温暖化対策技術としての二酸化炭素回収などの新規市場の開拓が可能となる。高性能な分離膜を得ることを目的に, 溶解・拡散モデルの視点からポリイミドの化学構造の設計指針を述べる。

【目次】
1. はじめに
2. 高分子膜のガス透過モデル
3. 実用化されているポリイミド膜
3.1 窒素富化
3.2 炭酸ガス分離
3.3 除湿
3.4 水素分離
4. 膜材料としてのポリイミド
5. ポリイミドの分離性能
6. ポリイミド膜の分離性能向上
6.1 拡散係数(D)の増大
6.2 架橋構造の導入による拡散係数(D)の制御
6.3 溶解係数(S)の向上
6.4 他素材とのハイブリット化とその他の方法
7. 用途ごとの開発指針
7.1 酸素富化空気の製造:O2/N2分離
7.2 地球温暖化対策技術としてのCO2分離
8. おわりに

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ものづくりの“ 奥義” を見極める―伝統技術の科学的解明と未来展望― 第3回

薄茶点前における動作解析と茶筅の影響
Analysis of Motion by Using Several Kinds of Tea Whisk on the Way of Tea

後藤彰彦 (大阪産業大学)

 これまで, 茶道における一連の所作を分割し, 特定の所作に着目して, 被験者の動作解析を進めてきた。ここでは, 点前の振幅動作に着目して述べることとする。そこで, 異なる形状を有する茶筅を用いた薄茶の仕上がり過程だけでなく, 経験年数の違いによる茶筅の持ち方, 茶筅の動かし方の1つの見解について紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. 薄茶の仕上がり過程
3. 実験方法および解析手順
3.1 被験者および対象とした茶筅
3.2 仕上がり過程の解析手順
4. 仕上がり過程における泡の分布状態
5. 茶筅の外観形状の特徴
6. 熟練者の点前による茶筅の動き
7. 超熟練者の茶筅の持ち方
8. 茶筅の振幅動作
9. 茶筅の動かし方の特徴
10. おわりに

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タッチパネル関係の材料技術トレンド(2)

ガラス代替材料と光学貼り合わせ材料
Glass Alternative Materials and Optical Bonding Materials

鵜飼育弘 (Ukai Display Device Institute)

 ガラス代替材料としての新規材料と光学貼り合わせ材料の最新技術を紹介する。タッチパネル用基板材料としてガラス代替プラスチックを取り上げる。次に, カバーガラス代替材料としてプラスチックを取り上げガラスとの比較を行う。さらに, ディスプレイおよびタッチパネルの視認性改善のための新規材料を紹介する。ここでは, 光学貼り合わせ材料とプロセスに関する最新技術動向について述べる。

【目次】
1. はじめに
2. 投影型静電容量方式タッチパネルの構造
3. ガラス代替材料とタッチパネル
3.1 フィルムセンサ
3.2 カバーガラス一体型
3.3 カバーガラス代替プラスチック
3.3.1 新日鉄住金化学「SILPLUS」(シルプラス)
3.3.2  日本合成化学「ORGA」(オルガ)
3.3.3 リケンテクノス「REPTY」(リプティ)DC100
3.3.4 三菱化学「DURABIO」(デュラビオ)
4. 光学貼り合わせ材料とプロセス
4.1 接着剤と粘着剤
4.2 OCAへの要求事項
4.3 UV硬化樹脂
4.4 OCRへの要求事項
4.5 新規材料とプロセス
4.5.1 デクセリアルズのハイブリッドSVR(HSVR)
4.5.2 旭硝子の樹脂付きカバーガラス
5. おわりに

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4,400円
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【特集】高性能化に向けた水処理膜の最新動向
Latest Development Trend of Water Treatment Membrane toward the Achievement of High Performance

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特集にあたって
Introduction of the Feature Articles

松山秀人 (神戸大学大学院)

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膜ファウリング現象とその低減化手法の開発
Membrane Fouling Phenomena and Anti-Fouling Measures

中村一穂 (横浜国立大学)

 膜ろ過プロセスは, 処理水の水質が高いことから世界的な水需要の増加に応える技術として急速に普及が進んでいるが, 膜ファウリングによる性能低下が大きな問題となっている。本稿では, ファウリングの形態, 原因物質, および主な対処法に関して概説したのち, バイオファウリングとスケーリング形成の基礎的なメカニズムについて紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. ファウリングの形態
3. ファウリングの原因物質と対策
4. バイオファウリングの基礎メカニズム
5. スケール形成の基礎メカニズム
6. おわりに

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水処理用無機系逆浸透膜の開発
Development of Inorganic Reverse Osmosis Membranes for Water Purification

池田歩 (芝浦工業大学)
小野竜平 (芝浦工業大学)
野村幹弘 (芝浦工業大学)

 これまで開発されてきた高分子逆浸透膜の進展をまとめた。近年開発されている新しい分離膜として無機系逆浸透膜の報告についてまとめた。その具体例として, 硫酸の濃縮用のシリカ系逆浸透膜の開発について報告する。化学蒸着法にてフェニル基を含むシリカ複合膜を作製し, 硫酸水溶液逆浸透分離試験において, 硫酸阻止率92%, 全透過流束5.8kg, m‒2 h‒1 が得られた。

【目次】
1. はじめに
2. 逆浸透膜
 2.1 高分子逆浸透膜
 2.2 無機系逆浸透膜
3. 酸水溶液の脱水に向けたシリカ系逆浸透膜の開発
3.1 対向拡散化学蒸着(CVD)法による製膜
3.2 100ppm硫酸水溶液の逆浸透分離
4. おわりに

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FO膜プロセスの要素技術に関する開発動向
Development Trend of Component Technologies in Forward Osmosis Membrane Process

安川政宏 (神戸大学)
佐伯大輔 (神戸大学)
高橋智輝 (神戸大学)

 浸透圧差により半透膜を介して水が移動する現象(Forward Osmosis : FO)は古くから知られているが, 今新たな技術として再注目され始めている。海水淡水化や廃水処理といった水処理分野だけではなく, 塩分濃度差発電といった創エネ分野への応用が期待される。ここではFO膜プロセスの要素技術である「膜」と「駆動溶液」に関する研究動向と事例を紹介する。

【目次】
1. はじめに
2. FO膜の開発動向
 2.1 FO膜の透水理論
 2.2 FO膜の支持層構造と透水性能の関係
 2.3 FO膜に適した支持層の開発に関する動向
 2.4 FO膜の市販化動向
3. FO膜の開発事例
 3.1 TFC-FO 膜の開発事例
  3.1.1 TFC-FO 膜の開発指針
  3.1.2 支持層と活性層の接着性
  3.1.3 支持層の膜厚がFO性能に与える影響
  3.1.4 支持層の緻密構造がFO性能に与える影響
 3.2 生体模倣型FO 膜の開発事例
  3.2.1 アクアポリンを用いた生体模倣型FO膜
  3.2.2 アクアポリン以外のチャネル物質を用いた生体模倣型FO膜
4. 駆動溶液の開発動向
 4.1 FO膜プロセスにおけるDSの役割
 4.2 DSの開発動向
5.まとめ

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ナノスケールで構造制御した膜の開発と水処理材料への応用
―分子間相互作用の制御からナノマテリアルの利用まで―
Development of Nano‒Structured Membranes and their Application in Water Treatments from Control of Molecular Interactions to Utilization of Nanomaterials

相羽誉礼 (東京工業大学)
鴻巣裕一 (東京工業大学)
松本英俊 (東京工業大学)

 サブナノ~ナノメートルサイズの水和イオンや低分子を分離対象とする水処理膜の高性能化には, 膜構造のナノスケールでの制御が不可欠である。本稿では, 高分子間相互作用の制御に注目したボトムアップ型のアプローチからトップダウン型のナノテクノロジーの利用までを含む, 最近のナノ構造膜の研究動向について解説する。

【目次】
1. はじめに
2. 高分子間相互作用に基づく膜構造の制御
3. ナノ材料を利用した輸送チャネル構築と分離機能層薄膜化
4. ナノファイバーネットワークの利用
5. 今後の展望

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中空糸型RO膜モジュールの開発とその応用
Development of Hollow Fiber Type RO Module and its Application

熊野淳夫 (東洋紡(株))

 逆浸透(RO)膜を用いた水処理プロセスは他の方法に比べ省エネルギーであり, 近年普及が拡大してきている。ここでは, 耐ファウリング性に優れ, 中東地域の厳しい環境で海水淡水化用途として広く用いられている中空糸型RO膜モジュールの開発の事例とその実用例を含む応用について述べる。

【目次】
1. はじめに
2. RO法の原理と特徴
3. 海水淡水化用の中空糸型RO膜モジュール
 3.1 中空糸型RO膜モジュール
 3.2 三酢酸セルロース製中空糸型RO膜モジュールの特長
4. 中空糸型RO膜モジュールの開発
 4.1 間欠塩素注入法
 4.2 中空糸膜の細径化
 4.3 両端開口化・長尺化・大型化
5. 応用例(中東地域での実用例)
6. 新技術の開発と期待
7. おわりに

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PTFE 製中空糸膜モジュールの下排水処理への適用
Application for Waste Water Treatment of PTFE Hollow Fiber Membrane Module

井田清志 (住友電気工業(株))

 PTFE製中空糸膜モジュールは, 耐薬品性, 耐熱性といった素材そのものの持つ優れた特性に加え, 独自の加工技術により付与された強度も備えた耐久性の非常に高い製品である。また, 含油排水に対しても高い適応性を有しており, 従来の膜では適用できなかったような処理も含め幅広い領域で使用されている。

【目次】
1. はじめに
2. 水処理用膜モジュールの技術動向
3. PTFE とは
4. ポアフロン(R)モジュールとは
5. ポアフロン(R)モジュールの適用事例
 5.1 下水処理・再利用
 5.2 産業排水処理・再利用
 5.3 上水分野
 5.4 含油排水処理
6.おわりに

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ものづくりの“ 奥義” を見極める ―伝統技術の科学的解明と未来展望― 第2回

伝統技術と暗黙知 ―京壁の鏝(コテ)と材料挙動―
Traditional Technology and Tacit Knowledge
―The Trowel and the Materials Behavior of Kyo-wall―

黒田孝二 (京都工芸繊維大学)

【目次】
1. はじめに
2. 京壁の歴史と材料と鏝
3. 鍛造鏝が土壁材料に与える作用効果
 3.1 実験条件
  3.1.1 鏝の材質
  3.1.2 土壁材料
  3.1.3 混練,塗工,乾燥条件
  3.1.4 流動性と塗工面性状の評価検証方法
 3.2 流動性と表面性状の評価検証
  3.2.1 鏝の材質が混練状態に及ぼす影響
  3.2.2 混練直後の土壁材料の流動性
  3.2.3 塗工・乾燥後の表面性状比較
  3.2.4 乾燥表面の走査型電子顕微鏡観察
  3.2.5 鏝の鍛造効果の検証
 3.3 観察による効果検証の考察
4. 分極界面が水の分子運動に与える影響
5.土壁構造モデル構築に向けた科学的計測
 5.1 流動性の機械的計測
 5.2 「ノロ」の滲出状態
 5.3 土壁材料中の水分分布
6. 微粒子分散液の「練り」と「照り」
7. おわりに

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タッチパネル関係の材料技術トレンド(1)

ITO代替材料と電極形成技術
ITO Alternative Materials and Electrode Forming Technology

鵜飼育弘 (Ukai Display Device Institute)

 投影型静電容量式タッチパネルの用途拡大に伴って, ITO代替材料が注目され既に実用化が始まっている。ITO代替材料の登場に伴って, 従来の真空とフォトリソグラフィによる電極形成技術から脱真空, 脱フォトリソグラフィへと変革しつつある。ここで紹介した技術は, 環境に対しても資源の有効利用の観点からも有用な技術である。

【目次】
1. はじめに
2. 今なぜITO代替材料が注目されているのか
3. ITO代替材料
 3.1 銀系
  3.1.1 Cambrios の「ClearOhm」
  3.1.2 富士フィルムの「EXCLEAR」
 3.2 銅系(銅メッシュ)
  3.2.1 凸版印刷
  3.2.2 大日本印刷(DNP)
 3.3 カーボン系
  3.3.1 東レ
  3.3.2 Canatu Ltd.
  3.3.3 ITO代替材料比較
4. タッチパネル電極形成技術
 4.1 インクジェット方式
  4.1.1 コニカミノルタ
  4.1.2 東レエンジニアリング
 4.2 グラビアオフセット印刷
5. おわりに
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