こころの科学 special issue
人間のこころを考えるとき、かならず精神発達、こころの形成と成長の問題にであう。なぜなら、私たちのこころ(精神)は最初から作られてあるのではなく、発達をとおしてはじめてここにこうあるのだから。そして子どもとは、なによりもまず「育ちゆく存在」である。発達を考えることなしに子どもを考えることはできない。発達になんらかの遅れが見られ発達障害と呼ばれる子どもたちはもちろんのこと、そだちのさなかにいる存在としてすべての子どもにとって精神発達は欠かせぬ主題である。こうした観点から、「そだち」(発達)という主題をたえず軸におきながら、子どもの障害、さらにその他さまざまな子どもをめぐる問題をとらえてゆきたい。いま多くの困難を抱えた私たちの時代と社会のなかで、こどもたちがすこしでも豊かに育ちゆくことへの願いをこめて、本誌を『そだちの科学』と名づけた。『こころの科学』を母胎に生み落とされた本誌が、多数の読者や執筆者に支えられて、子どもたちに真に役立つものへと育まれてゆくことを祈る。(そだちの科学 編集人一同)