目次
●第一特集
宿敵を討つ雷光の剣
局地戦闘機 紫電改
川西航空機は太平洋戦争後期、当時試作中だった水上戦闘機「強風」を母体に、
2,000馬力級発動機「誉」を搭載、浮舟を降着装置に変えるなどして陸上機化した
局地戦闘機「紫電一一型(紫電)」を開発した。
しかし急造戦闘機の紫電は粗削りで不完全な要素が多かったため、主翼配置を中翼から低翼に改正、
外形を洗練するなど大きな改修を加えた「紫電二一型(紫電改)」を開発、
大戦末期の昭和20年1月に制式化された。
紫電改は最大時速約600kmを発揮し、自動空戦フラップにより運動性能にも優れ、
加速力や上昇力も優良、火力は20mm機銃4挺と強力。
当時の日本海軍戦闘機の中ではもっともバランスに優れた最良の戦闘機であり、
性能的には米海軍のF6FやF4Uとほぼ互角で、陸軍の四式戦闘機と並ぶ日本最強の戦闘機となった。
昭和20年からは精鋭パイロットを多く集めた第三四三海軍航空隊「剣(つるぎ)部隊」に配備され、
敗色濃厚な大戦末期としては例外的なほど善戦したのであった。
紫電改はわずか400機ほどが生産されただけで、戦歴も半年に満たず、戦局に寄与したとはいいがたい戦闘機だ。
だがその力強いネーミング、「最後の切り札」的な立ち位置、エース部隊に集中配備されたこと、
マンガ「紫電改のタカ」の存在など様々な理由で、零戦に次ぐ人気を誇る日本戦闘機となっている。
本特集では、日本海軍航空隊最後の輝きを見せた局地戦闘機「紫電改」を、
開発経緯、戦歴、運用、メカ、各型、人物など、多方面から解説していく。
●第二特集
二門の砲を使いこなす鋼鉄のガンマン
M3リー/グラント中戦車
1939年、37mm戦車砲を回転砲塔に備えるT5中戦車を「M2中戦車」として制式化したアメリカ陸軍であったが、
M2は当時の独ソ英仏の戦車に対して性能で劣った。
1940年6月にフランスがドイツに敗北すると、早急に強力な75mm砲を搭載する戦車の開発が求められたが、
当時のアメリカの兵器開発力では75mm砲を全周旋回砲塔に積む戦車の開発は時期尚早と考えられた。
そのため、T5に75mm砲をケースメート式に搭載したT5E2をベースとした新型戦車が開発され、
M3中戦車として41年から量産が開始された。
M3中戦車は回転砲塔に長砲身37mm砲を、車体前部右側に限定旋回式に短砲身75mm砲を搭載した「二刀流」の戦車であった。
だが75mm砲は射界が限られ、また「二階建て」と呼ばれるほど背が高く、不格好で使いやすい戦車とは言えなかった。
しかし大戦前半、イギリスやソ連など戦車不足に悩んでいた軍にとっては有用な戦車であり、
特に北アフリカ戦線の英連邦軍に配備されたM3は独伊軍の戦車を圧倒し、英連邦軍勝利の原動力となった。
そして、大戦中盤から75㎜砲を全周旋回砲塔に搭載する「本命」のM4中戦車が登場すると、
M3はM4に後を託して前線を退いていった。
しかしM3中戦車も大戦前半の連合軍を支えた功多き戦車であることは間違いない。
この特集では、M4の登場まで「中継ぎ」として地道に奮闘したM3中戦車について、多様な視点から探っていく。
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