目次
特集:前立腺癌 -がん・合併症・有害事象での薬物治療戦略を総まとめ-
≪特集の目次≫
■特集にあたって(鈴木 啓悦)
■前立腺癌の実態と治療の変遷
・前立腺癌の疫学・診断・予後(今本 敬 ほか)
・ステージ別の前立腺癌の治療体系(赤倉 功一郎)
■各ステージにおける薬物治療戦略:コンセンサスとコントラバーシー
・限局性・局所進行前立腺癌(酒井 英樹)
・転移性前立腺癌(神谷 直人 ほか)
・去勢抵抗性前立腺癌(松本 洋明 ほか)
■新たに登場した医薬品のノウハウとピットフォール
・デガレリクス(鈴木 和浩)
・アビラテロン(萩原 正博 ほか)
・エンザルタミド(井川 掌)
・カバジタキセル(大家 基嗣 ほか)
・塩化ラジウム(223Ra)(伊藤 真由子 ほか)
■前立腺癌患者の骨病変と痛みへのアプローチ
・前立腺癌骨転移巣の薬効評価(溝上 敦 ほか)
・前立腺癌有痛性骨転移患者の疼痛緩和におけるオピオイドの匙加減(島田 麻美 ほか)
・前立腺癌骨病変への対応策(高橋 俊二)
■前立腺癌における感染症対策と対応
・前立腺生検後感染(出口 隆)
・外科的手術後感染(田中 一志)
・カテーテル関連尿路感染(清田 浩)
・化学療法による重症感染症(中西 裕佳子 ほか)
■前立腺癌治療により生じた症状への対応
・ホットフラッシュ(青木 裕章 ほか)
・性機能障害(新井 学 ほか)
・排尿障害(道面 尚久 ほか)
■前立腺癌薬物治療における薬学的管理のポイント(吾妻 慧一 ほか)
≪シリーズ≫
■子どもの皮膚トラブル -薬局・薬店でのアドバイスのコツ-
(山本 一哉)
■「治療」「薬局」合同連載 ポリファーマシー “処方整理力”を鍛える! 第7回
血液サラサラって何かいいよね?
(矢吹 拓)
■医療従事者のギモンや困ったに答える! トラブルに巻き込まれない著作権のキホン
(服部 誠)
■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
医療におけるインフォームドコンセントのあり方 ~医療教育の実習の中に「治験のインフォームドコンセント」を組み込む試みが誕生した物語~
(中野 重行)
≪Report≫
■科学的根拠に基づくレスベラトロールの評価と展望
(赤穗 榮一)
≪巻頭言≫
わが国における急速な高齢化もあり,前立腺癌罹患数の増加は顕著である.国立がん研究センターの予測では,2015年に前立腺癌罹患数は約10万人で男性の悪性腫瘍の第1位となったとされており,今後の社会的対策が急務である.欧米ではもともと前立腺癌の罹患数が多く,薬物治療を含めて新規治療法の開発も盛んに行われている.
前立腺自体は,骨盤の奥に位置する小さな臓器であるが,排尿・性機能に関与することから,癌治療によって生活の質の低下が引き起こされやすい特徴をもっている.最近では,手術におけるロボット支援手術の導入,放射線治療における小線源治療・強度変調放射線療法・粒子線治療など先端的な技術革新が進められている.薬物療法に関しても,後のノーベル賞受賞者であるシカゴ大学のHuggins博士が1940年代にホルモン療法の原理を発見した当時から,ホルモン療法の基本的な概念は変わっていないものの,徐放性LH―RH製剤の開発に始まり,多くの薬剤が開発されていた.しかし,前立腺癌治療の最大の障害の一つは,ホルモン療法が効かなくなることであり,こういった状態を「去勢抵抗性前立腺癌」と定義している.2014年に,去勢抵抗性前立腺癌を適応としたより強力なホルモン作用を有する,新規アンドロゲン―アンドロゲン受容体系作用薬である,アビラテロン・エンザルタミドの2剤が発売となった.また,これまでのドセタキセルに続いて,新規タキサン系抗がん薬・カバジタキセルも2014年に発売され,去勢抵抗性前立腺癌の治療体系には大きなパラダイムシフトが起きた.さらには前立腺癌の特徴の一つでもある骨転移に対する薬剤も複数開発され,2016年3月には新たな放射性医薬品ラジウム223が承認された.
新たな技術や薬剤の開発は,患者に大きな福音をもたらすものの,それぞれの患者に最適な,いわゆるオーダーメイド医療の実現までには至っていない.しかし今後,新たなバイオマーカーや次世代シークエンサーなどの開発などにより,より個別化した癌治療の時代へ移行すると考えられる.また,新規薬剤の中には,強力な作用の反面,有害事象にも注意が必要なものも存在する.各治療法のエビデンスや特徴をよく理解して,最適な治療を心がけていくことが重要である.さらに,前立腺癌のみならず今後の癌治療の方向性として,多職種で一人の患者さんへ携わるチーム医療,また進行癌を中心に複数の治療を適切に組み合わせた集学的治療の重要性が挙げられる.
そこで今回,本特集では前立腺癌に関して薬物治療を中心に広くスポットを当て,わが国を代表するエキスパートの先生方に網羅的にご解説いただいている.読者のみなさまの日常業務にお役に立てば幸いである.
鈴木 啓悦
東邦大学医療センター佐倉病院 泌尿器科 教授
≪特集の目次≫
■特集にあたって(鈴木 啓悦)
■前立腺癌の実態と治療の変遷
・前立腺癌の疫学・診断・予後(今本 敬 ほか)
・ステージ別の前立腺癌の治療体系(赤倉 功一郎)
■各ステージにおける薬物治療戦略:コンセンサスとコントラバーシー
・限局性・局所進行前立腺癌(酒井 英樹)
・転移性前立腺癌(神谷 直人 ほか)
・去勢抵抗性前立腺癌(松本 洋明 ほか)
■新たに登場した医薬品のノウハウとピットフォール
・デガレリクス(鈴木 和浩)
・アビラテロン(萩原 正博 ほか)
・エンザルタミド(井川 掌)
・カバジタキセル(大家 基嗣 ほか)
・塩化ラジウム(223Ra)(伊藤 真由子 ほか)
■前立腺癌患者の骨病変と痛みへのアプローチ
・前立腺癌骨転移巣の薬効評価(溝上 敦 ほか)
・前立腺癌有痛性骨転移患者の疼痛緩和におけるオピオイドの匙加減(島田 麻美 ほか)
・前立腺癌骨病変への対応策(高橋 俊二)
■前立腺癌における感染症対策と対応
・前立腺生検後感染(出口 隆)
・外科的手術後感染(田中 一志)
・カテーテル関連尿路感染(清田 浩)
・化学療法による重症感染症(中西 裕佳子 ほか)
■前立腺癌治療により生じた症状への対応
・ホットフラッシュ(青木 裕章 ほか)
・性機能障害(新井 学 ほか)
・排尿障害(道面 尚久 ほか)
■前立腺癌薬物治療における薬学的管理のポイント(吾妻 慧一 ほか)
≪シリーズ≫
■子どもの皮膚トラブル -薬局・薬店でのアドバイスのコツ-
(山本 一哉)
■「治療」「薬局」合同連載 ポリファーマシー “処方整理力”を鍛える! 第7回
血液サラサラって何かいいよね?
(矢吹 拓)
■医療従事者のギモンや困ったに答える! トラブルに巻き込まれない著作権のキホン
(服部 誠)
■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
医療におけるインフォームドコンセントのあり方 ~医療教育の実習の中に「治験のインフォームドコンセント」を組み込む試みが誕生した物語~
(中野 重行)
≪Report≫
■科学的根拠に基づくレスベラトロールの評価と展望
(赤穗 榮一)
≪巻頭言≫
わが国における急速な高齢化もあり,前立腺癌罹患数の増加は顕著である.国立がん研究センターの予測では,2015年に前立腺癌罹患数は約10万人で男性の悪性腫瘍の第1位となったとされており,今後の社会的対策が急務である.欧米ではもともと前立腺癌の罹患数が多く,薬物治療を含めて新規治療法の開発も盛んに行われている.
前立腺自体は,骨盤の奥に位置する小さな臓器であるが,排尿・性機能に関与することから,癌治療によって生活の質の低下が引き起こされやすい特徴をもっている.最近では,手術におけるロボット支援手術の導入,放射線治療における小線源治療・強度変調放射線療法・粒子線治療など先端的な技術革新が進められている.薬物療法に関しても,後のノーベル賞受賞者であるシカゴ大学のHuggins博士が1940年代にホルモン療法の原理を発見した当時から,ホルモン療法の基本的な概念は変わっていないものの,徐放性LH―RH製剤の開発に始まり,多くの薬剤が開発されていた.しかし,前立腺癌治療の最大の障害の一つは,ホルモン療法が効かなくなることであり,こういった状態を「去勢抵抗性前立腺癌」と定義している.2014年に,去勢抵抗性前立腺癌を適応としたより強力なホルモン作用を有する,新規アンドロゲン―アンドロゲン受容体系作用薬である,アビラテロン・エンザルタミドの2剤が発売となった.また,これまでのドセタキセルに続いて,新規タキサン系抗がん薬・カバジタキセルも2014年に発売され,去勢抵抗性前立腺癌の治療体系には大きなパラダイムシフトが起きた.さらには前立腺癌の特徴の一つでもある骨転移に対する薬剤も複数開発され,2016年3月には新たな放射性医薬品ラジウム223が承認された.
新たな技術や薬剤の開発は,患者に大きな福音をもたらすものの,それぞれの患者に最適な,いわゆるオーダーメイド医療の実現までには至っていない.しかし今後,新たなバイオマーカーや次世代シークエンサーなどの開発などにより,より個別化した癌治療の時代へ移行すると考えられる.また,新規薬剤の中には,強力な作用の反面,有害事象にも注意が必要なものも存在する.各治療法のエビデンスや特徴をよく理解して,最適な治療を心がけていくことが重要である.さらに,前立腺癌のみならず今後の癌治療の方向性として,多職種で一人の患者さんへ携わるチーム医療,また進行癌を中心に複数の治療を適切に組み合わせた集学的治療の重要性が挙げられる.
そこで今回,本特集では前立腺癌に関して薬物治療を中心に広くスポットを当て,わが国を代表するエキスパートの先生方に網羅的にご解説いただいている.読者のみなさまの日常業務にお役に立てば幸いである.
鈴木 啓悦
東邦大学医療センター佐倉病院 泌尿器科 教授
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