薬局 発売日・バックナンバー

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2,200円
特集テーマ:現場のリアルを「薬学」する 向精神薬の適応外使用

<特集の目次>

■特集にあたって (別所 千枝)

■向精神薬の“適応外使用”という選択肢 ─現場のリアルを「薬学」する─ (別所 千枝)

■添付文書にない処方にどう向き合う? 薬学的介入の基本
・そもそも「適応外使用」とは何か? 薬剤師が準備する心構え (百  賢二)
・いつもの処方監査業務との違いは? 使用の妥当性を評価する軸 (冨田 隆志)

■向精神薬の適応外処方のリアルに向き合う
・せん妄 (重面 雄紀)
・BPSD (中村 友喜)
・睡眠障害 (祖川 倫太郎)
・終末期の不穏,興奮,不眠 (坪内 清貴)
・がん患者の悪心・嘔吐 ─CINV・OINVを中心に─ (岡本 明大)
・小児・青年期の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性,攻撃性 (桑原 秀徳)
・老年期の摂食低下,体重減少 (武藤 浩司)
・神経障害性疼痛,慢性腰痛 (鴇崎 道則)
・更年期などに伴う自律神経症状 (佐々木 典子)
・頻脈,循環器疾患 (櫻下 弘志)
・慢性咳嗽,呼吸困難 (岸本  真)


<シリーズ>

えびさんぽ
BPSDに対する薬物療法の効果はどれくらい期待できますか?
(青島 周一)

薬剤師40年目の独り言
学生実習の直筆お手紙
(鎧のない薬剤師)

飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
〈第42回〉レスプレン®錠20mg
(小嶋  純 米子 真記)

ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣(かいけつ)ビフォーアフター
〈第30回〉血圧を気にする患者にどう対応するか 現代医学の「検査値」に隠されたものを診る
(津田 篤太郎)

薬剤師の1,2,3,4!(ヒフみよ)大井教授の皮膚×くすり講座
18時限目 接触皮膚炎
(大井 一弥)

みんなどうやってる?がん薬剤師外来
〈番外編〉がん薬剤師外来実施によるアウトカム報告 ~次なる進化に向けて~
(藤井 宏典)

Gebaita?! 薬剤師の語(カタ)ログ
〈第54回〉ふたつの責任,ひとつの想い ─薬局薬剤師と子ども会会長として─
(中嶋 亜紀)

タイパUP!誰も教えてくれなかった 臨床業務の段取りお手本ファイル
〈File 15〉再入院予防を意識した心不全における療養指導
(段林 正明)

レポート
片頭痛治療薬の過少使用と慢性化リスク:薬局薬剤師が果たす役割
(石井 正和 伊東 育己)

<巻頭言>
 夜間の病棟で,不穏が続く患者さんに対して抗精神病薬が追加される.こうした場面は,私たちにとって決して特別なものではありません.むしろ日常のなかにあり,目の前の患者さんの苦痛を何とかしたいという思いから選ばれている治療です.しかしその多くは,添付文書上の効能・効果を外れた,いわゆる「適応外使用」であることも少なくありません.
 臨床の現場では,「適応外かどうか」よりも「今,この患者さんに何が必要か」が優先されます.その判断自体を否定することはできませんし,実際に救われている事例があるのも事実です.一方で,適応外使用は制度的にも科学的にも十分に裏付けられているとは限らず,その妥当性や安全性の評価が個々の現場に委ねられている側面があります.だからこそ私たちは時に立ち止まり,「なぜこの薬なのか」「この使い方でよいのか」と自問する必要があります.こうした状況のなかにおいても,臨床現場では適応外使用の妥当性や安全性が十分に検討されないまま,疑義照会に至らない処方や目的がはっきりしない処方が行われている事例もみられます.その背景には,「何を根拠に妥当と判断するのか」という視点の曖昧さがあるように思います.
 本特集では,このような現場の実態を踏まえ,向精神薬の適応外使用の妥当性をどのように評価し,実務につなげていくかを整理しました.単にエビデンスの有無を整理するのではなく,実際の臨床において何を確認し,どのように評価してどこにリスクを見いだすのか,そしてその判断をどのように医師や患者さんと共有していくのかという視点を重視しています.
 適応外使用に関わるうえで,薬剤師に求められる役割は決して一つではありません.処方の意図をくんで支えることもあれば,患者さんの背景や経過を踏まえて薬物療法を組み立て直す視点をもつこともあります.重要なのは,単に是非を問うのではなく,その使用が患者さんにとってどのような意味をもつのか,患者背景を含めて常に考える姿勢だと思います.また,適応外使用についての判断や経過は,次の診療に活かせる方法で残していく必要があります.目の前の一例をどう扱うかという日々の選択が,将来の標準をかたちづくる可能性をもっていることを,私たちは忘れてはなりません.
 本特集が,適応外使用を「仕方のないもの」として受け流すのではなく,「どう扱うべきか」と考えるきっかけとなれば幸いです.そして,現場で迷いながらも患者さんに向き合い続ける薬剤師一人ひとりの判断が,よりよい医療へとつながっていくことを願っています.

JA広島厚生連尾道総合病院 薬剤科 薬剤部長
別所 千枝
2,200円
特集テーマ:患者をみる,処方を解く 咳アセスメント

<特集の目次>
■特集にあたって (小林  哲)

■症状と処方をつなぐ薬剤師のアセスメント力 ─処方の行間を読み解き,最適な薬物療法へ導くアプローチ─ (伊藤 由紀)

■咳アセスメントのための基礎知識
・薬剤師におさえてほしい『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン』のポイント (新実 彰男)
・鎮咳薬処方を理解するための咳嗽メカニズム (竹内 章)
・「時間軸」でみた咳のとらえ方 ─急性咳嗽,遷延性咳嗽,慢性咳嗽とは─ (藤本 源)
・咳の背景にある疾患を把握するための検査のとらえ方 (竹内 章)
・要点整理 鎮咳薬 (天野 哲史)
・見過ごしてはいけない咳を見極めるものさし (岩永 賢司)

■実践! 咳アセスメント
・感冒エピソードのある長引く咳 ─感染後咳嗽と細菌性肺炎の鑑別を中心に─ (奥平 正美)
・夜間・早朝に悪化する咳 (坂野 昌志)
・痰が増えてきた咳 (原田 桂作 ほか)
・咳だけが続く慢性の咳 (島田 泉)
・処方変更から読み解く咳嗽の実践アセスメント ─「追加・中止・切り替え」で整理する病態と薬理─ (守内 匡)
・アレルギーが背景にある咳 (近藤 宏樹)
・呼吸苦・全身症状を伴う咳 (中根 茂喜)
・食後・嚥下時に目立つ咳 (上田 真也)


<特別企画>
“フォーカス” 令和8年度調剤報酬改定を探る ─「これからの薬局像」を描く手がかり─
・収益構造の変化からひも解く (高比良 篤)
・今後の医療提供体制の再編からひも解く (高比良 篤)
・地域とのかかわりを期待される薬局の姿 (高比良 篤)


<シリーズ>
えびさんぽ
鎮咳薬の効果はどれくらいですか?
(青島 周一)

医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
・抗精神病薬アドヒアランスと自動車事故リスク
・日本の片頭痛患者のOTC薬使用実態
(佐藤 宏樹 澤田 康文)

飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
〈第41回〉サワシリン®細粒10%
(小嶋  純 米子 真記)

薬剤師40年目の独り言
仕事ができる薬剤師と感じのよい薬剤師
(鎧のない薬剤師)

みんなどうやってる?がん薬剤師外来
〈第5回〉対象患者はどのように決めていますか? 予約はどうしていますか?
(内池 明博 川上 和宜 坂田 幸雄 杉野 善彦 福岡 智宏)

Gebaita?! 薬剤師の語(カタ)ログ
〈第53回〉“いつもの”が生む落とし穴
(髙島 英滋)

ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣(かいけつ)ビフォーアフター
〈第29回〉“最後の切り札”としての漢方 「腎不全」と「腎虚」の違いを踏まえて
(津田 篤太郎)

薬剤師の1,2,3,4!(ヒフみよ) 大井教授の皮膚×くすり講座
17時限目 皮膚のしわ
(大井 一弥)

タイパUP!誰も教えてくれなかった 臨床業務の段取りお手本ファイル
〈File 14〉病棟薬剤業務
(山村 真依子)

<巻頭言>
 咳は医療機関受診時の主訴として最も多い症状の一つである.まだ記憶に新しいが,新型コロナウイルス感染症のパンデミックの際には,人前で咳をするだけでも周囲から白い目で見られ,「とにかく咳を止めてほしい」と,切実な訴えをよく聞いたものである.咳への関心が一気に高まった時期でもあった.最近では,P2X3受容体拮抗薬であるゲーファピキサントクエン酸塩などの新規メカニズムの薬剤も使用可能になっており,咳症状への治療アプローチにも選択肢が増えた.
 咳は元来,気道内分泌物や異物などを排出するための反応でもあり必要なものである.一方で,病的咳嗽は,その原因を鑑別し対処する必要がある.その持続期間により,3週間未満の「急性咳嗽」はかぜなどのウイルス感染が多く,3~8週間未満の「遷延性咳嗽」,あるいは8週間以上の「慢性咳嗽」では結核などの特殊な感染症,悪性疾患,喘息,慢性閉塞性肺疾患(COPD),気管支拡張症や胃食道逆流症(GERD),副鼻腔気管支症候群(後鼻漏)などを含め多くの疾患が鑑別となる.
 慢性咳嗽は身体面だけでなく,精神面や社会面へも影響が及ぶ.その対応として,日本呼吸器学会からは2005年に『咳嗽に関するガイドライン』が発刊され,2019年には喀痰も加えた『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン』が発刊された.また2025年4月には第2版が新しく発刊されたところである.
 本特集では,2005年の『咳嗽に関するガイドライン』の初版からガイドライン作成に関わっておられ,日本咳嗽学会理事長でもある新実彰男先生や,『咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版2025』の作成委員でもある岩永賢司先生にも執筆いただいた.また,臨床の第一線で活躍されている医師,薬剤師の方々にも執筆いただき,咳に関する問診内容,検査,見過ごせない咳,さらには咳のタイプによる鑑別・対処などにも触れていただいた.薬剤師だけにとどまらず,特に研修医など若手医師にも十分読み応えのある内容となっている.本特集を通して,咳へのアセスメントの理解の一助となれば幸いである.

三重大学大学院医学系研究科臨床医学系講座
呼吸器内科学分野/代謝内分泌内科学分野 教授
小林  哲
2,200円
特集テーマ:小児薬物療法の継続管理 -成長にあわせた治療のかたちをつないでいく!-

<特集の目次>

■特集にあたって (阿部 祥英)

■小児薬物療法の節目をつなぐ継続管理 ─年齢に応じた処方設計・服薬支援─ (神谷 太郎)

■疾患別「継続管理」プラクティス
[気管支喘息]
 ・治療の基本方針と薬物療法 (宮林 広樹 ほか)
 ・長期服薬管理とフォローアップ (船越 晴喜)
[アトピー性皮膚炎]
 ・治療の基本方針と薬物療法 (山本 貴和子 ほか)
 ・長期服薬管理とフォローアップ (若林 仁美)
[食物アレルギー]
 ・治療の基本方針と薬物療法 (前田 麻由)
 ・長期リスク管理とフォローアップ (阿部 久瑠美)
[てんかん]
 ・治療の基本方針と薬物療法 (日隈 のどか)
 ・長期服薬管理とフォローアップ (江畠  麗)
[発達障害・ADHD]
 ・治療の基本方針と薬物療法 (朝比奈 美輝)
 ・長期服薬管理とフォローアップ (村社 計寿)
[便秘症]
 ・治療の基本方針と薬物療法 (川野 晋也)
 ・長期服薬管理とフォローアップ (安福 功一)
[低身長]
 ・治療の基本方針と薬物療法 (中野 有也)
 ・長期服薬管理とフォローアップ (阿部 久瑠美)
[1型糖尿病]
 ・治療の基本方針と薬物療法 (磯島  豪)
 ・長期服薬管理とフォローアップ (米澤 夏里)
[ネフローゼ症候群]
 ・治療の基本方針と薬物療法 (日比野 聡)
 ・長期服薬管理とフォローアップ (小林 麻美)
[肥満症・生活習慣病]
 ・治療の基本方針と薬物療法 (土橋 一重)
 ・長期治療継続支援とフォローアップ (小林 麻美)
[夜尿症]
 ・治療の基本方針と薬物療法 (布山 正貴 ほか)
 ・長期治療継続支援とフォローアップ (岡田 美香)

■成人期での治療継続へ向けて ─移行期医療の現状と課題─ (三川 武志)


<シリーズ>

■えびさんぽ
 小児の服薬アドヒアランスを改善するにはどうすればよいですか?
 (青島 周一)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
 〈第40回〉ツムラ十全大補湯エキス顆粒(医療用)
 (小嶋  純 米子 真記)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
・SGLT2阻害薬で転倒リスクが上昇?
・GLP-1受容体作動薬で加齢黄斑変性症リスクが上昇?
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

■薬剤師40年目の独り言
 薬剤用語のジェネレーションギャップ
 (鎧のない薬剤師)

■ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣ビフォーアフター
 〈第28回〉関節症状に対する漢方医学的アプローチ 生薬の組み合わせの変化で臨床応用の幅が大きく拡がる
 (津田 篤太郎)

■薬剤師の1,2,3,4!(ヒフみよ) 大井教授の皮膚×くすり講座
 16時限目 皮膚のかゆみ
 (大井 一弥)

■みんなどうやってる?がん薬剤師外来
 〈第4回〉面談は院内のどの場所で行っていますか?
 (内池 明博 川上 和宜 坂田 幸雄 杉野 善彦 福岡 智宏)

■Gebaita?! 薬剤師の語(カタ)ログ
 〈第52回〉がん患者のアピアランスケア ~臨床薬剤師のジレンマ~
 (山田 友奈美)

■タイパUP!誰も教えてくれなかった臨床業務の段取りお手本ファイル
 〈File 13〉向精神薬の持参薬が院内採用品にないときの処方変更や代替薬への切り替え
 (別所 千枝)


<レポート>

片頭痛の発作間欠期負担と中枢神経感作:薬剤師に期待される役割
(伊東 育己 石井 正和)

<巻頭言>
 成人に比べ,小児は比較的短期間のうちに,急激な身体的・精神的・社会的発達を遂げます.小児期,思春期,成人期初期のダイナミックな変化に対応するためには,これらの変化に合わせた支援が必要です.小児期の薬物療法においては,心身が成熟した成人に対するものと異なり,小児薬用量や服薬能力などの発達段階に応じる視点に加え,家庭・学校といった生活環境の変化を踏まえる視点も必要です.また,小児期発症の慢性疾患に対しては,長期にわたる薬物療法を行っている間に,医療が進歩し,使用していた薬剤が変更される場合もあります.つまり,発達段階,生活環境の変化のほか,医療の進歩による薬剤の変化も捉え,その時々に必要な薬学的管理を行う必要があります.
 さらに,近年の医療の進歩により,小児がん経験者を含む小児期発症疾患を有する児の多くが療養生活を続けながら成人期に達しています.そのような方々がQOLを保ちながら社会生活を営むためには適切な「トランジション(移行)」が欠かせません.トランジションは「小児期発症の慢性疾患をもつ患者が,小児を対象としたヘルスケアから成人を対象とするヘルスケアへ切れ目なく移る計画的,継続的,包括的な患者中心のプロセス」を意味します.当然のことながら,トランジションは薬物療法も含み,多くの事例において,医師だけでは良好な支援体制の構築は困難です.よって,看護師,心理職,医療ソーシャルワーカー,理学療法士,管理栄養士のほか,薬剤師が重要な役割を担います.
 本特集では,成長・発達に伴い変化する薬物療法を医師・薬剤師がどのように管理し,継続的に関与するかを解説します.アレルギー疾患,てんかん,発達障害・ADHD(注意欠如多動症),便秘症,内分泌疾患,肥満症・生活習慣病,腎疾患などで実施される長期に及ぶ薬物療法の典型例を通じて,薬物療法に関する継続管理のマイルストーン(薬物療法の節目と各過程での管理)をご習得いただくことを目的に構成されています.執筆は臨床現場で活躍する現役の医師・薬剤師の先生方にお願いすることができました.
 本特集を通じ,小児から成人期へと続く薬物療法の“ながれ”を見つめ直し,成長と生活の双方の視点から薬物療法の継続管理のあり方を再考する一助となれば幸いです.

昭和医科大学江東豊洲病院こどもセンター センター長
阿部 祥英
3,850円
特集テーマ:みえる!わかる!循環器のくすり 心不全・高血圧編

<特集の目次>

第1部 心不全・高血圧のくすり一覧
・降圧薬
・利尿薬
・心不全治療薬(昇圧薬)
・その他の心不全治療薬

◆高血圧治療に関連する配合剤一覧

第2部 心不全・高血圧治療と薬物療法
01 降圧薬
02 利尿薬
03 昇圧薬(強心薬)
04 機序の心不全治療薬

第3部 用語解説
01 循環系の機能的分類
02 循環動態・血行動態とモニタリング法
[血圧の調節とその異常編]
03 血圧の調節因子
04 血圧の調節機構
05 血管の局所調節
06 受容器反射
07 カテコールアミン
08 レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系
09 ナトリウム利尿ペプチド
10 腎臓による体液量調節
11 高血圧の定義と血圧測定の意義
12 正しい家庭血圧測定の方法
13 収縮期血圧と拡張期血圧
14 高血圧と脳・心血管イベント
15 高血圧と腎機能・心疾患
16 高血圧に関する検査
17 高血圧治療の意義と管理計画
18 高血圧と生活習慣:食習慣・塩分摂取量
19 高血圧と生活習慣:飲酒・喫煙
20 高血圧と生活習慣:過体重
21 高血圧と生活習慣:運動習慣
22 高血圧と生活習慣:睡眠不足・睡眠障害
23 高血圧と生活習慣:便秘(いきみ・怒責を伴う行動)
24 高血圧と生活習慣:環境ストレス,心理的・社会的ストレス

[心臓のポンプ機能とその異常編]

25 心不全の定義
26 心不全の症状─低心拍出とうっ血─
27 左室駆出率・左室収縮能・左室拡張能
28 心不全に関する検査〔胸部X線,血液検査(BNP),心エコー検査など〕
29 心不全の分類:急性心不全と慢性心不全
30 心不全の分類:右心不全と左心不全
31 心不全の分類:重症度分類(NYHA心機能分類)
32 心不全の分類:HFrEF,HFmrEF,HFpEF
33 心不全の要因・原因疾患
34 心不全と体液性因子
35 心不全と交感神経系
36 前負荷と後負荷
37 体液の異常─体液量の異常と体液分布の異常─
38 体液の分類〔細胞内液,細胞外液(間質液・血漿)〕
39 心原性浮腫の初期症状(むくみ,息切れ,体重増加など)
40 心原性浮腫の要因(血管内圧,Na貯留など)
41 利尿薬と血管内脱水
42 心不全治療の意義と疾病管理
43 心不全の運動療法・心臓リハビリテーション
44 心不全の栄養管理・低栄養への介入
45 心不全の緩和ケア

薬剤索引

<巻頭言>

 高血圧は全国民の3分の1が罹患しており,心不全としては発症のリスク段階であるステージAに位置づけられているだけでなく,経過中に状態を悪くする要因(増悪因子)でもあるため,その介入は非常に重要です.一方で,使用される薬剤は多岐にわたり,この数年でも,ARNI,SGLT2阻害薬,イバブラジンなど新規薬剤も多く上市されており,現場はそのUp dateに苦労されているものと思われます.
 本書「みえる! わかる! 循環器のくすり 〜心不全・高血圧編〜」は第1部で薬剤の適応などの各論を,第2部で薬剤の病態別の薬剤選択を,第3部で高血圧と心不全の病態と疾病管理を解説しています.いずれも高血圧・心不全診療の第一線で働く医療者により基本的な部分から執筆されていますので,高血圧や心不全に苦手意識をもつ医療・介護関係者の方から経験豊富なスタッフまで広く学びが得られる内容となっています.高血圧と心不全に使用される薬剤にしぼって特集しておりますので,同系統の薬剤について知りたい場合などにも非常に有用なものとなっております.
 薬剤を通して,高血圧・心不全診療を見直し習熟に活用できる良書ですので,座右の書として使用いただければ幸いです.

2026年3月
医療法人社団まほし会真星病院 循環器内科
大石醒悟
2,200円
特集テーマ:注射剤 取り扱いドリル -正しく計算,正しく評価,望ましい薬物治療-

<特集の目次>

■特集にあたって(神谷貴樹)

■基礎編
・確認ドリル 添付文書情報などを参考に計算してみよう(濵田里奈ほか)
・計算結果を評価し,安全な薬物療法につなげる(中屋健太ほか)

■実践編
・輸液投与量計算ドリル(斎木明子)
・水分必要量計算ドリル(梶原洋文)
・栄養計算ドリル(上葛義浩)
・抗菌薬計算ドリル(堺 香輔)
・鎮静薬計算ドリル(遠山泰崇ほか)
・腎機能計算ドリル(山本和宏)
・オピオイド計算ドリル(山田正実)
・循環作動薬計算ドリル(馬橋美由季)
・抗がん薬計算ドリル(川口博資)
・小児薬用量計算ドリル(近江令司)

<シリーズ>

えびさんぽ
乳幼児の注射時において,痛みや苦痛を軽減する方法はありますか?
(青島周一)

医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
・スタチンで認知症リスク低下?
・スタチンで白内障発症リスク上昇?
(佐藤宏樹 澤田康文)

飲み合わせ研究所
子どもの服薬Tips
〈第39回〉
メイアクトMS小児用細粒 10%
(小嶋 純 米子真記)

薬剤師40年目の独り言
先生と呼ばれるほどの……
(鎧のない薬剤師)

みんなどうやってる?
がん薬剤師外来
〈第3回〉がん薬剤師外来を始めたきっかけは何ですか?
(内池明博 川上和宜 坂田幸雄 杉野善彦 福岡智宏)

Gebaita?! 薬剤師の語(カタ)ログ
〈第51回〉終わりなき旅
(大西 伸幸)

ぐっとよくなる! 漢方処方
快訣(かい けつ)ビフォーアフター
〈第27回〉
「精神的な要因」のせいにする前に…
漢方なら「身体の問題」の範囲で解決できる
(津田 篤太郎)

タイパUP!誰も教えてくれなかった
臨床業務の段取りお手本ファイル
〈File 12〉忙しい外来化学療法でどのように対応するか
(高山慎司)

薬剤師の1,2,3,4!(ヒフみよ)
大井教授の皮膚×くすり講座
15時限目 乾燥皮膚と生体内炎症(基礎的検証)
(大井一弥)

レポート
〈第3回〉POLSET
ルビプロストンによる気分不良など
(及川香代 佐藤憲一 廣田憲威)

<巻頭言>
 疑義照会は,薬剤師法第24条では「薬剤師は,処方せん中に疑わしい点があるときは,その処方せんを交付した医師,歯科医師又は獣医師に問い合わせて,その疑わしい点を確かめた後でなければ,これによって調剤してはならない」とされている.その内容は,手書き処方箋の薬剤名や処方量の文字が判読しにくい場合や,経口剤の使用タイミングや外用剤の使用部位などが記載されていないなどの形式的な問題点,禁忌薬剤処方や適応外使用,腎機能低下患者に対する薬剤投与量の調整,処方内容ならびに処方箋そのものの偽造や不適切な向精神薬の処方量などきわめて広範なものである.昨今では,臨床検査値などを処方箋上に印字している施設も増加しているが,「どこまでが疑義照会か」という点については,議論が尽きないところである.
 一方,平成24年度診療報酬改定で新設された「病棟薬剤業務実施加算」では,その業務として「特に安全管理が必要な医薬品等のうち,投与の際に流量又は投与量の計算等が必要な場合は,治療上必要な応急の措置として薬剤を投与する場合等を除き,投与前に病棟専任の薬剤師が当該計算等を実施すること」「当該病棟に入院している患者に対し2種以上(注射薬及び内用薬を各1種以上含む.)の薬剤が同時に投与される場合には,治療上必要な応急の措置として薬剤を投与する場合等を除き,投与前に,注射薬と内用薬との間の相互作用の有無等の確認を行うこと」などが示されている.算定のいかんはあるものの,本加算新設から10年以上が経過し,注射剤の適正使用と安全管理は薬剤師業務の中核をなす一領域として定着したといえるだろう.
 一方で,注射剤の薬剤投与量の計算や投与濃度の管理,適切な投与速度の設定などに関する知識や判断には今も不安を抱える薬剤師が少なくない.特に注射剤関連のエラーは重大な医療事故につながる可能性があり,タスクシフトの進展も追い風となって,医師への輸液の投与設計や管理のサポートもこれまで以上に求められている.注射処方鑑査における薬剤投与量や投与濃度の計算は疑義照会の素養としても重要であり,病棟薬剤業務での処方提案を含めた適切な薬物治療への参画は,薬剤師の根幹的責務となっている.
 そこで本企画は,薬剤師が実務で直面する“安全上のつまずき”にフォーカスし,注射剤を取り扱ううえで欠かすことができない要点を,単なる知識習得にとどまらず,現場での実践に直結する力を養成することを目的に,段階的に学び体系的に整理できるドリル形式で構成した.薬剤師一人ひとりが疑義照会や処方提案を通して医療安全意識を再確認できる特集となり,安心して注射剤業務に臨むための一助となれば幸いである.

滋賀医科大学医学部附属病院 薬剤部 副薬剤部長
神谷 貴樹
2,200円
特集テーマ:リエゾンにつなげる 骨粗鬆症 -新ガイドラインから知識をリモデリング!-

<特集の目次>
■特集にあたって(鈴木敦詞)

■薬剤師が知っておきたい!骨粗鬆症の基礎知識
・骨代謝とカルシウム代謝の基本からわかる骨粗鬆症(竹内靖博)
・骨粗鬆症の臨床をとらえる ─骨折リスクと治療戦略─(萩野 浩)

■典型症例からわかる!骨粗鬆症治療薬
・ビタミンD製剤:単剤使用を中心に,エルデカルシトール含む(田中健一)
・ビタミンK製剤とカルシトニン製剤(岩本 潤)
・ビスホスホネート薬(土江博幸ほか)
・選択的エストロゲン受容体修飾薬(SERM)(寺内公一)
・PTH/PTHrPアナログ:テリパラチド,アバロパラチド(野津雅和)
・抗RANKL抗体:デノスマブ (宮本健史)
・抗スクレロスチン抗体:ロモソズマブ(蛯名耕介)

■治療を支える!骨粗鬆症治療の薬学管理
・服薬指導に活かせる骨密度・骨代謝マーカーの基礎知識(三浦雅一)
・剤形・用法から最適な薬剤を選択する(宮原富士子)
・自己注射製剤の手技・保管のトリセツ(長谷奈那子)

■つながるリエゾン! 多職種で患者さんの骨を守る
・骨折予防のためのリエゾンサービスのすすめ ─病院薬剤師篇─(森﨑崇文)
・骨折予防のためのリエゾンサービスのすすめ ─保険薬局薬剤師篇─(藤戸淳夫)
・日常診療に潜む「隠れ骨粗鬆症」を見つける(髙田潤一)
・骨粗鬆症治療中の患者に対する薬剤師の向き合い方(石橋英明)


<シリーズ>
・えびさんぽ 骨折の予防に対するビスホスホネート薬の効果はどれくらいですか?
(青島周一)

・みんなどうやってる?がん薬剤師外来
〈第2回〉どこから,がん薬剤師外来を始めればよいでしょうか?
(内池明博 川上和宜 坂田幸雄 杉野善彦 福岡智宏)

・薬剤師40年目の独り言
「調剤中に話しかけるな」という薬剤師の主張
(鎧のない薬剤師)

・飲み合わせ研究所
子どもの服薬Tips〈第38回〉
クラリス ®ドライシロップ10%小児用
(小嶋 純 米子真紀)

・ぐっとよくなる! 漢方処方
快訣(かい けつ)ビフォーアフター〈第26回〉
もう一歩踏み込んだ感冒の治し方
局面の変化で一変する漢方薬の適応症
(津田篤太郎)

・Gebaita?! 薬剤師の語(カタ)ログ 〈第50回〉
“何かあったら”という先にある「何か」(篠田康孝)

・薬剤師の1,2,3,4!(ヒフみよ)
大井教授の皮膚×くすり講座
14時限目 皮膚外用剤の選定療養と調剤の留意点
(大井一弥)

・タイパUP!誰も教えてくれなかった
臨床業務の段取りお手本ファイル〈File 11〉
・入院支援センターでの情報収集と患者面談
(福島 綾)

レポート
〈第2回〉POLSET
転倒リスクが高い多剤処方(及川香代 佐藤 憲一)

<巻頭言>
 超高齢社会が進行するわが国において,骨粗鬆症は今や無視できない大きな課題となっている.『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版』が10年ぶりに改訂され,骨折予防にはチーム医療の実践が不可欠であることが明示された.本特集では,診断や薬物療法の開始のみならず,休薬・切り替えの判断,アドヒアランスの維持,自己注射の支援,骨密度・骨代謝マーカーによる評価,そして病院と地域をつなぐリエゾンサービスまで,臨床の現場で“いま必要な知”を再構築した.
 軽微な外力による脆弱性骨折は,高齢者の生活の質(QOL)と日常生活活動度(ADL)を著しく低下させ,その予防は喫緊の医療的・社会的課題である.国内で骨粗鬆症を患う患者数は1,590万人に上ると推定されており,「疾患としての骨粗鬆症」に対する予防と治療の知識普及は急務といえるであろう.今回の『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版』では,Minds診療ガイドライン作成マニュアルに基づき,体系的なシステマティックレビュー(CQ方式)によって最新のエビデンスが集約されている.治療薬の領域では,骨形成と骨吸収のバランスに着目した薬剤が主流であり,最新のガイドラインには,新規薬剤に関する情報が追加されるとともに,治療が長期にわたる場合の治療薬の切り替えとその順番(逐次療法)についての知見も集められている.また,患者一人ひとりの骨折リスクや治療履歴を総合的に評価し,最適な薬剤を選択することが求められることも強調されている.骨粗鬆症の治療が成功するかどうかは,治療薬が適切に届き,長期にわたり継続されるかにかかっている.しかし,骨粗鬆症治療の服薬継続率は依然として低いのが現状で,治療開始後1年で45.2%が処方どおりに服薬できず,5年以内には52.1%が脱落するとされている.薬剤師は,骨粗鬆症リエゾンサービス ®(OLS)を担う骨粗鬆症マネージャー ®の一員として,多職種連携のなかで,アドヒアランスの向上に最も貢献できる存在である.OLSは,脆弱性骨折患者に対する二次性骨折予防活動〔骨折リエゾンサービス ®(FLS)〕に加え,一次性骨折予防も含む包括的診療支援サービスであり,わが国でも2022年より二次性骨折予防継続管理料の算定が可能となったことで,その活動がさらに発展しつつある.本特集をとおして知識を「リモデリング」し,複雑化する薬物療法の最新戦略を理解するとともに,リエゾン活動の核となって,栄養・運動指導や転倒予防を含む包括的な診療支援を推進し,「骨折の連鎖を絶つ」という目標達成に貢献されることを強く期待する.

藤田医科大学医学部 内分泌・代謝・糖尿病内科学 教授
鈴木 敦詞
2,200円
特集テーマ:薬物治療のエビデンスを散歩する おさらい&アップデート

<特集の目次>

■特集にあたって

■ランドマークスタディとは何か?-医療者が優先的に読むべき医学論文の条件

■生成AIを活用して医学論文を読む方法と注意すべき論点

■血圧・血糖・脂質管理
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・血圧はしっかり下げた方がよいですか?
・HbA1c値は厳格に管理すべきでしょうか?
・心血管イベントに対するGLP-1受容体作動薬の有効性はどの程度ですか?
・持続型GIP/GLP-1受容体作動薬には,どのような効果が期待できますか?

■心房細動・動脈硬化性疾患
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・低用量アスピリンは動脈硬化性疾患の予防に効果的ですか?
・脳卒中に対するDOACの有効性・安全性はワルファリンに劣りませんか?
・リズムコントロールかレートコントロールか,それが問題だ!

■心不全 
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・SGLT2阻害薬は心不全の治療にも効果が期待できますか?
・心不全に対する薬物療法で,QOLは改善するのでしょうか?

■COPD・気管支喘息
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・COPDに対する長時間作用性抗コリン薬の吸入は効果がありますか?
・気管支喘息の治療に用いられるβ2 刺激薬は安全ですか?
・乳幼児や小児の喘鳴に,吸入ステロイドは効果がありますか?

■高齢者ケア
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・高齢者の肺炎(誤嚥性肺炎)予防に効果的な治療法はありますか?
・薬物治療でCKDの進行は抑えられますか?
・処方薬の適切性,どのように測りますか?
・新しい慢性便秘の治療薬は効果がありますか?

■精神・神経
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・オレキシン受容体拮抗薬は効果がありますか?
・ベンゾジアゼピン系薬剤の不適切処方にどう対応したらよいですか?
・抗アミロイドβ抗体薬はアルツハイマー病の認知機能を改善しますか?

■医療への期待と現実
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・検診を受けると健康で長生きできますか?
・マンモグラフィ検診で乳癌死亡は減りますか?
・薬やビタミンサプリメントでがんは予防できますか?
・生成AIの活用で医学的ケアの質は改善しますか?

■再考! 薬の効きめ
・ランドマークスタディを読み解くための指針
・医薬品の製剤学的な違いは薬剤効果にも影響しますか?
・漢方製剤は効果がありますか?
・プラセボをプラセボだとわかって服用しても効果がありますか?

<シリーズ>

■えびさんぽ
ランドマークスタディで振り返る2025年
(青島 周一)

■みんなどうやってる?がん薬剤師外来
〈第1回〉がん薬剤師外来立ち上げの際,院内での周知はどのように行いましたか?
(内池 明博 川上 和宜 坂田 幸雄 杉野 善彦 福岡 智宏)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
・GLP-1受容体作動薬による眼障害?
・喘息患者のステロイド吸入は1日1回午後がよい?
(佐藤 宏樹 澤田 康文)

■薬剤師40年目の独り言
動物病院の院外処方専門薬局
(鎧のない薬剤師)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
〈第37回〉アーテン®錠(2mg)
(小嶋  純 米子 真記)

■ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣ビフォーアフター
〈第25回〉大昔の病名概念「霍(かく)乱(らん)」を引っ張り出す意義 21世紀にこそフルに生かせる漢方治療のメリット
(津田 篤太郎)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
〈第49回〉仕組み化≒ロジスティクス?
(大森 智史)

■薬剤師の1,2,3,4!(ヒフみよ) 大井教授の皮膚×くすり講座
13時限目 保湿剤-ヘパリン類似物質-
(大井 一弥)

■タイパUP!誰も教えてくれなかった臨床業務の段取りお手本ファイル
〈File 10〉看護師に向けた「医薬品の適正使用」等に関する院内アナウンス
(町谷 安紀)

レポート

〈第1回〉POLSET 副作用発現リスクをビジュアル的に数値でみれるアプリ開発
(佐藤 憲一)

<巻頭言>
 魚豊(うおと)氏による漫画作品『チ。─地球の運動について─』をご存じだろうか.同作では,15世紀欧州をモデルにした架空の世界を舞台に,地動説を追い求める者たちの物語が描かれている.教会の権威に支配された社会において,地動説は教義に反する思想であり,研究するだけでも異端者として重い刑罰を受けるという物語の設定は,史実における地動説とキリスト教の歴史的対立を彷彿とさせる.
 物語の登場人物たちは,命を懸けて「地球が動いている」という科学モデル,つまり仮説を探究しようとする.しかし,その探求の動機は必ずしも観測事実と地動説の理論が一致していたからではない.実際,提唱された当初の地動説は,天動説よりも観測の精度が劣っていた.それでも地動説が科学的だと考えられた理由は,天動説と比べてより簡潔で予測力のある理論体系として進化する可能性を秘めていたからである.
 薬理学に基づく薬物治療の考え方や,病態生理学に基づく疾病の発症メカニズムもまた,薬剤の体内動態や生理学的な反応,疾病の病状経過などを合理的に説明できる仮説である.しかし,仮説は科学の進歩とともに訂正されるものであり,それ自体が最終的な真理ではない.
 診療ガイドラインの推奨事項のように,いわゆる標準治療とよばれる医療が,高い科学度を保持していると考えられるのは,臨床的な仮説に対する検証結果,すなわちエビデンスに裏打ちされているだけでなく,新しいエビデンスが報告されるたびに改訂され続けた治療体系だからである.その意味で,現代の臨床医学は絶えず更新され続ける暫定的かつ動的な知識体系である.
 科学的であるとは,既存の仮説に対する反証に開かれ,信念を更新する準備があるという態度である.『チ。─地球の運動について─』の登場人物たちが示唆しているように,科学とは究極の真理を提示する営みではなく,「よりよい問い方」に対する絶え間ない接近にほかならない.
 本特集は,2022年から連載している「えびさんぽ」から実臨床で遭遇する頻度の高い疾患やテーマを選び,最新のエビデンスを加えた総集編である.医療者が優先的に読むべきと思われるランダム化比較試験(RCT)を時系列で整理した図は,薬物療法を科学的に俯瞰できる鳥瞰図として読み解くことができるだろう.
 薬物療法の考え方においても,一見すると常識的な仮説に対して,反証の契機となるような視座を導入すべきである.そのためには,更新され続けるエビデンスの軌跡を丁寧に紐解いていかねばならない.本特集が,薬物療法に対する科学的な視座を切り開き,広大な「エビデンスの森」を迷うことなく進むことができる指針となれば幸いである.

医療法人社団徳仁会 中野病院 薬局
青島 周一
特集テーマ:つなぐ緩和ケア -外来からはじまる切れ目ない連携に向けて-

<特集の目次>
■特集にあたって(山田 正実)

■緩和ケア薬 これだけ!─選び方・使い方・伝え方
・押さえておきたい主な緩和ケア薬(鍛治園 誠)
・緩和ケアで使用するさまざまな薬(鍛治園 誠)

■外来フェーズ:緩和ケアの出発点から“支援の流れと土台”を整える
Basic編
・オピオイド鎮痛薬の導入を支援する(山本 泰大)
・オピオイド鎮痛薬の副作用に備える(山本 泰大)
・患者本人・家族に医療用麻薬について説明する(山本 泰大)
Advanced編
・オピオイド鎮痛薬導入後の経過をフォローアップする(山田 正実)
・医師の診察前に患者と面談するシステムを構築する(山田 正実)
・診察前面談により抽出した情報を共有し,処方を提案する(山田 正実)
・外来診療の場に同席して患者をサポートする(大野 凜太郎)
・レーシングレポートを通じて処方提案する(山本 泰大)

■入院フェーズ:緩和ケアの転換点で“支援のかたち”を整える
Basic編
・入院という転換点で支援を組み直す(壁谷 めぐみ)
・経口投与できなくなった患者に強オピオイド注射を使う(壁谷 めぐみ)
・退院時カンファレンスでは「伝わる」情報を届ける(壁谷 めぐみ)
Advanced編
・外来では拾いきれない“患者の苦痛”を確認・評価する(岡本 明大)
・難渋する疼痛と向き合い,コントロールする(川名 真理子)

■在宅フェーズ:暮らしにつながる緩和ケアの着地点を整える
Basic編
・シームレスな在宅療養への移行に向けた準備(村井  扶)
・初回在宅訪問時に確認すべきこと,やるべきこと(村井  扶)
Advanced編
・終末期の変わりゆく状態の変化に対応する(村井  扶)
・アドバンス・ケア・プランニングと看取りを前にした患者・家族への対応(村井  扶)

<シリーズ>
■えびさんぽ
緩和ケアを行うことで,症状や生活の質は改善しますか?
(青島 周一)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
・日本で誤嚥性肺炎の報告の多い抗コリン薬
・‌米国で患者へのメッセージ送信はアドヒアランス改善に効果がない
(佐藤 宏樹 澤田 康文)

■薬剤師40年目の独り言
他人と過去は変えられない,自分と未来は変えられる,というが…
(鎧のない薬剤師)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
〈第36回〉セネガシロップ
(小嶋  純 米子 真記)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
〈肆拾捌ノ型〉発作の発症様式,患者背景を考慮し,抗発作薬を選択せよ!
(鈴木 俊一郎)

■ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣ビフォーアフター
〈第24回〉病名のつかない身体の不調をどう捉えるか 「陰陽五臓」の概念を活用して現代医学のジレンマをのりこえる
(津田 篤太郎)

■薬剤師の1,2,3,4!(ヒフみよ) 大井教授の皮膚×くすり講座
12限目 薬剤性光線過敏症と貼付剤
(大井 一弥)

■がん研有明病院薬剤部のABCセミナーの楽屋話
・婦人科がんの薬物療法
・がんと栄養
(木村 俊哉 北村  葵)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
〈第48回〉「あなたが来てくれるのが楽しみ」
(中嶋 亜紀)

■タイパUP!誰も教えてくれなかった臨床業務の段取りお手本ファイル
〈File 9〉回復期病棟におけるポリファーマシー対策
(篠永  浩)

<巻頭言>
 2024年度診療報酬改定において,新たに「がん薬物療法体制充実加算」が創設された.これは,外来化学療法を受ける患者に対して,医師の診察前に薬剤師が服薬状況や副作用の発現状況を確認・評価し,医師への情報提供や処方提案を行うことで,月1回に限り100点が算定可能となるものである.いわば,「薬剤師外来」の先行的な取り組みに診療報酬が追いついたかたちである.この点数が新設される以前から,外来化学療法を実施する病院の約6割がすでに同様の取り組みを行っていた.治療効果の最大化と患者の不安の軽減を目的とした先駆的な活動が,制度的に評価されるようになった意義は大きい.
 しかし一方で,「がん薬物療法」に特化した評価であることには注目すべきである.がんと診断された時点からの緩和ケアの充実は,2012年の『がん対策推進基本計画』において閣議決定されているにもかかわらず,緩和ケア全般に対する薬剤師の関与には,いまだ直接的な診療報酬が存在しないのが現状である.では,なぜ「外来緩和ケア」には言及されていないのだろうか.おそらく,2020年度診療報酬改定で新設された連携充実加算の流れを受け,外来化学療法における情報提供や地域保険薬局との連携といった構造的整備への評価がなされた結果であろう.とはいえ,診療報酬が先にあるのではなく,日々の実践の積み重ねがやがて制度に反映されるという視点をもち続けることが,これからの薬剤師の専門性の発展に欠かせない.
 今回の特集では,がん疼痛と診断され,オピオイド鎮痛薬を開始してから看取りまで,がん患者に薬剤師がどのように関与できるかにフォーカスをあてて紹介する.それぞれの患者背景や施設・地域医療体制に応じた支援のあり方を通して,薬剤師の関わり方の多様性と可能性を浮き彫りにしていく.
 緩和薬物療法は,ガイドラインが存在しても一筋縄ではいかない,まさに個別対応の連続である.だからこそ,薬剤師のアセスメント力や提案力,そして患者の力を引き出すペイシェントエンパワーメントが重要となる.今後ますます薬剤師のマンパワーが限られるなかで,いかにして緩和ケアに薬剤師が主体的に関与できる体制を築いていくか.そして,そのなかでどのように専門性を発揮し,患者と医療チームに貢献していくのか.本特集が,そのヒントとなることを願ってやまない.

大阪府済生会野江病院 薬剤科 係長
山田 正実
特集テーマ:報酬が語る。「薬剤師のしごと」 -しくみを知るとみえてくる“評価される業務”の道しるべ-

<特集の目次>

■特集にあたって①
 調剤報酬を「しくみ・制度の視点」から考える (山本 信夫)
■特集にあたって②
 診療報酬制度から考える薬剤師の役割 (武田 泰生)

■報酬が語る。「評価される業務とは?」
 ・医療提供体制を設計・整備する立場から地域の医療提供体制,そして医薬品提供体制を担う薬剤師,薬局 (中 雄一郎)
 ・地域医療を支える薬剤師職能の確立をめざす立場から (豊見 敦)
 ・チーム医療のなかでの薬物治療の専門的立場から (川上 純一)
 ・調剤報酬制度,未来への提言 (田中 義寛 ほか)
 ・ドラッグストアおよびそこで働く薬剤師の「評価される業務」とは (関口 周吉)

■報酬が映す。「制度のしくみと薬剤師の立ち位置」
 ・診療報酬・調剤報酬制度のしくみと薬剤師業務の評価軸 (中山 智紀)
 ・病院薬剤師業務の診療報酬制度での位置づけと評価の現状 (武田 泰生)

■報酬が描く。「これからの薬剤師業務とは?」
 ・2026年度改定は中小病院評価が焦点-前回の大改定からは小幅と予想 (村嶋 哲)
 ・回復期病棟における薬剤師の役割と診療報酬上の課題 (藤原 久登)
 ・病院薬剤師の余力からみたタスク・シフト/シェアの実施 (外山 聡)
 ・薬剤レビュー-最適な薬物療法を支える次世代業務の位置づけ (飯島 裕也)
 ・調剤の外部委託-薬剤師業務の真価はどこで問われるか (狭間 研至)
 ・電子処方箋・オンライン服薬指導-医療DXのなかで進化する業務スタイル (石井 僚)
 ・調剤後のフォローアップ-対人業務強化のカギとなる継続支援 (徳吉 淳一)

■報酬に問う。「薬局のカタチ」
 ・調剤チェーン,ドラッグストア,中小独立店の行方-2026年度改定の注目「300店超」減額と「敷地内薬局」深堀りと…… (玉田 慎二)
 ・コラム:賃上げにつながる「薬剤師の価値」の育て方 (狭間 研至) 

<シリーズ>

■えびさんぽ
金銭的なインセンティブで健康状態は改善しますか?
(青島 周一)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
・乾癬の生物学的製剤での真菌感染症リスクの違い
・BZ薬の漸減を伝えないほうが中止の成功率が高い
(佐藤 宏樹 澤田 康文)

■薬剤師40年目の独り言
専従,専任に囚われていると二刀流薬剤師は育たない
(鎧のない薬剤師)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
〈第35回〉ツムラ補中益気湯エキス顆粒(医療用)
(小嶋  純 米子 真記)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
〈肆拾漆ノ型〉個別性を深く識る!AYAがん患者の全体像を捉える薬学的視点
(小室 雅人)

■ぐっとよくなる! 漢方処方快訣(かい けつ)ビフォーアフター
〈第23回〉胃腸虚弱の治療を再考する 「温める・補う」ではなく「調える」
(津田 篤太郎)

■薬剤師の1,2,3,4!(ヒフみよ) 大井教授の皮膚×くすり講座
11時限目 貼付剤の貼付により生じる皮膚の問題と対策
(大井 一弥)

■がん研有明病院薬剤部のABCセミナーの楽屋話
・頭頚部がんの薬物療法
・がん治療における医薬品情報
(鈴木  亘 古谷 良太)

■Gebaita?! 薬剤師の語(カタ)ログ
〈第47回〉薬局で幽霊を見た
(髙島 英滋)

■タイパUP!誰も教えてくれなかった臨床業務の段取りお手本ファイル
〈File 08〉添付文書の「使用上の注意改訂」情報の収集~提供と患者適用
(佐村  優)

レポート

■がん治療薬学生エキスパート認定制度
(松尾 宏一)

<巻頭言1>

調剤報酬を「しくみ・制度の視点」から考える

 調剤報酬を点数の視点ではなく,「しくみ・制度の視点から考えてみる」という企画を練っているが,何か思うところを書いてほしい,とお声がけいただいた.これまで長い間,日本薬剤師会の社会保険担当という立場をいただいていて,その後も診療報酬や保険制度と関わる機会に恵まれたため,こうしたお誘いがあったのだろうと受け止めているが,「現役を引退した者が何を」とご指摘を受けることも覚悟のうえで,存念を述べさせていただくことにご容赦いただきたい.
 これまで幾度となく各地域にお邪魔をして,診療報酬改定のたびに調剤報酬や社会保障制度について話をする機会をいただいた.また,本誌をはじめとして,折に触れて社会保障制度,とりわけ医療保険や診療報酬に関する寄稿をさせていただく機会にも恵まれた.ただそのたびに,聴き手や読者の方々と自身との間に微妙な違和感があるように感じていたのだが,それが互いの求めるものの違いだと気づくのにあまり時間はかからなかった.
 報酬改定の説明会に集まる多くの方々が求めているのは,点数算定に関する解釈であり,「いかにその点数が算定できるのか」という点に関心が集まる.この傾向は,説明会や研修会,誌面でも同様であるように思える.したがって,現場の感覚では,手っ取り早く留意事項通知から読み始めて点数の解釈に進み,その後で点数本体,さらにしくみにたどり着く.
 一方,説明する側としては,まず制度のねらいから説明を始めるため,そのタイムラグが双方の不協和音のように感じられていたのかもしれない.しかし,70年も前から国民皆保険のもとで,今流行りの言葉でいえば「UHC(universal health coverage)」が完備されたわが国では,医療を受けるほぼ全数が保険診療で給付されている実態を考えれば,そうした考え方になってしまうことも仕方ないことかもしれない.
 とはいえ,近年ますますこうした傾向が強まっていて,本質的な薬剤師業務そのものでさえも保険調剤という視点で論ずる傾向には,一抹の不安を覚えざるを得ない.曰く「こんなに一所懸命に患者さんに薬剤師として取り組んでいるのに,報酬上の評価がされない」といった話を聞くことがある.同じ薬剤師の情においては,理解できなくもないが,保険制度やしくみの原則とそれに立脚する点数上の評価は,必ずしも医療従事者が提供したすべての行為を報酬対象としていないということも理解しておかなくてはならない.
 一方,医療技術の発展や新薬の登場,あるいは超高齢社会の到来によって,薬剤師の業務も,薬剤師の単独業務から医師をはじめ他の医療職との適切な連携体制のもとで進められることが求められている.そうした際に忘れてはならないことは,「多職種がそれぞれの役割を認めつつ,相互に連携しあう」ことにあろう.徒に,他の専門職(profession)の職分に「土足で踏み込む」ようなことをしては,連携など望むべくもない.ましてそれが職分を越えて,「そのprofessionのもつ根源的な部分」にまで言い及ぶのは,筆者は好きではない.
 医科・歯科・調剤とそれぞれの報酬体系が明確に分離されて規定されていることは,医薬分業そのものを表していると言っても過言ではない.確かに調剤報酬点数の解釈は重要な問題ではあるが,同時に医療に携わる者の心構えとして,「点数」という狭い範囲にとらわれることなく,制度全体を体系的に俯瞰し,報酬全体のもつ,「意味やめざすところ」を理解する姿勢を忘れてはならない.

山本 信夫
日本薬剤師会 顧問

<巻頭言2>

診療報酬制度から考える薬剤師の役割

 医療がますます高度化・多様化するなかで,薬剤師の役割は大きく広がっています.今や薬剤師は,単なる調剤にとどまらず,薬物療法の最適化,チーム医療への参画,地域との連携,そして患者さんの生活の質(QOL)を高める支援まで,幅広く医療に貢献しています.
 特に病院や診療所では,高度急性期から回復期,在宅への移行,さらには慢性期医療に至るまで,それぞれの医療機能に応じた薬学的支援が求められます.例えば,高度急性期や急性期では迅速かつ専門的な薬物治療管理が不可欠であり,一方,慢性期では服薬の継続支援や副作用のチェックなど,患者さんの生活に寄り添う役割が重要になります.患者の状態に応じた適切な薬学的介入を地域全体でシームレスにつなぐことが,医療の質と安全性を支える柱となります.
 しかし現状では,これらの専門的業務の多くは,診療報酬制度において十分に評価されているとは言い難く,評価されていない業務は「見えない貢献」として埋もれがちです.そのため,薬剤師の真の価値が社会に正しく伝わっていないように思います.薬剤師の活動が医療にどう貢献しているのかを,診療報酬制度にきちんと反映することが,職能の社会的認知につながるのではないでしょうか.
 日本病院薬剤師会では2026年度診療報酬改定を見据え,病棟薬剤業務のさらなる評価,薬剤師外来の制度的位置づけ,薬薬連携の強化,そして在宅医療の展開のなかで薬剤師の役割拡充を求めていく予定です.これらは単なる報酬の増減ではなく,医療提供体制の質的向上と持続可能性を左右する重要な制度設計の一環といえるでしょう.
 本特集では,診療報酬制度の内外にある薬剤師業務の価値を多角的に捉え,「何が評価されるべき業務なのか」を報酬という視点からあらためて考える機会となります.現場の薬剤師の声と,制度設計に関わる方々の意見が交わることで,薬剤師職能の未来像がより鮮明に描かれることを期待しています.

武田 泰生
日本病院薬剤師会 会長
特集テーマ:広く? 狭く? いや、ちょうどよく!超入門!Empiric Therapy ーこれは感染症と感染症のくすりのお話ー

<特集の目次>

■特集にあたって(望月 敬浩)

▶さくせん ─感染症への攻撃 最初の一手「Empiric Therapy」─(奥平 正美)

▶たたかう ─抗菌薬によるEmpiric Therapyのながれ─(中根 茂喜)

▶しらべる ─抗菌薬によるEmpiric Therapyの開始を慎重に判断するケース─(梅村 拓巳)

▶どうぐ ─Empiric Therapyで使う抗菌薬の使い分けポイント─(岩田  聡 ほか)

▶そうび ─原因菌判明前のEmpiric Therapyを整理する─
 ・頻度No.1「肺炎」 ─耐性菌のカバーが課題─(坂野 昌志)
 ・外来・病棟で多発!「尿路感染症」 ─軽症例と重症例の区別が重要─(坂野 昌志)
 ・感染症の最終フェーズ!「敗血症」 ─早期対応が生死を分ける─(鴨志田 聡)
 ・見逃し厳禁!「細菌性髄膜炎」 ─抗菌薬選択を誤ると致命的─(上田 真也)
 ・よくみるが侮れない!「皮膚軟部組織感染症」 ─重症例は迅速な治療がカギ─(望月 敬浩)

<シリーズ>

■えびさんぽ
 気道感染症に抗菌薬は効果がありますか?
 (青島 周一)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
 〈第34回〉トリクロリール ®シロップ 10%
 (小嶋  純 米子 真記)

■医薬品適正使用・育薬 フラッシュニュース
 ・逆流性食道炎のリスクとなる医薬品は?
 ・NSAIDs+PPI併用で下部消化管出血のリスクが上昇?
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

■薬剤師40年目の独り言
 服薬指導と服薬説明
 (鎧のない薬剤師)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
 〈第46回〉さて,薬剤師としてどうアドバイスする? ─担癌患者と健康食品・サプリメント─
 (山田 友奈美)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈肆拾陸ノ型〉それって副作用では? 患者の(何気ない)訴えを軽視せず,早期対応に努めよ!
 (金子 睦志)

■ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣ビフォーアフター
 〈第22回〉過敏症の漢方 治療患者によって変わる薬効の“軽重”
 (津田 篤太郎)

■薬剤師の1,2,3,4!(ヒフみよ) 大井教授の皮膚×くすり講座 120
 10時限目 貼付剤の特徴と仕組み
 (大井 一弥)

■がん研有明病院薬剤部のABCセミナーの楽屋話
 ・経口抗がん薬のアドヒアランス評価
 ・悪性リンパ腫の薬物療法
 (川上 和宜 河野 慎吾)

■タイパUP!誰も教えてくれなかった臨床業務の段取りお手本ファイル
 〈File 07〉退院時服薬指導
 (吉田 敏人)

<巻頭言>

 empiric therapyとは,原因微生物まで含めた感染症診断が確定する前に行う抗菌薬治療のことである.感染臓器・原因微生物が明らかになれば,empiric therapyは終了し,definitive therapyに移行する.empiric therapyは3~4日程度の勝負である.
 感染症の場合,日の単位,時間の単位で,患者の状態が変化することも多い.その一方で,原因微生物を明らかにするための培養検査には数日かかる.微生物が培養検査を待ってくれることはなく,必然的に,診断前のempiric therapyが必要となる.
 診断がついていない状況で行うempiric therapyには,多くの不確定要素が付きまとう.
 「感染症じゃないかもしれない」
 「肺炎かもしれない」「感染性心内膜炎かもしれない」
 「原因微生物は大腸菌かもしれない」「耐性菌かもしれない」
 診断がついていない以上,最適な抗菌薬を選ぶのは難しく,empiric therapyを決めるには,これらの多くの悩みが付きまとう.しかし,empiric therapyの成功は患者の予後を改善するため,失敗は避けたい.
 無能な冒険者であれば,カルバペネム系抗菌薬+抗MRSA薬+抗真菌薬を併用するかもしれない.もちろん,このようなフルカバーが必要な状況もあるが,有能な冒険者は,感染症診療のロジックに準じて,感染症であれば,どの臓器の感染症か,この臓器の感染症であれば,どの微生物が問題を起こしやすいか,などを考慮して,「ちょうどよい」抗菌薬を選択する.「ちょうどよい」抗菌薬を選択するためには,必要な“どうぐ”や“そうび”がある.
 また,「ちょうどよい」かどうかの判断には,患者の経過や重症度も考慮される.最終的に,肺炎球菌による肺炎であったとして,軽症であれば,経口抗菌薬を用いた外来治療が選択されるし,重症であれば,広域抗菌薬を使用したICU管理が行われることもある.
 一度開始したempiric therapyで選択した抗菌薬は,definitive therapyになるまで変えられない,なんて規則は存在しない.採取した培養の途中経過が判明するにつれて見直してもいいし,アレルギーの問題や患者の急変などで見直しを迫られることもあるかもしれない.
 empiric therapyで「冒険」してはいけないが,empiric therapyに必要な“どうぐ”や“そうび”を手にして,経過をみていく過程には冒険がある.さあ,empiric therapyをまなぶ旅に出かけよう.この企画が,読者にとって「ちょうどよい」抗菌薬選択のカギとなることを願って.

静岡県立静岡がんセンター 薬剤部 専門主査
望月 敬浩
3,300円
特集テーマ:薬剤師のためのいちばんやさしい輸液管理の本

<目次>
第1章 輸液管理に必要な基礎知識
 1  輸液の成り立ち
 2  生体内の水分分布
 3  組織ごとの組成
 4  生体内の主な電解質
 5  1日に必要な水分量と摂取量
 6  生体の浸透圧・張度
 7  輸液管理に必要な単位の知識
 8  輸液管理に必要なビタミン
 9  輸液管理に必要なミネラル
 10 輸液管理に必要な臨床検査
 11 輸液管理に必要な酸塩基平衡

第2章 輸液の種類
 1  輸液の種類
 2  生理食塩液の生体内分布の考え方
 3  ブドウ糖輸液の生体内分布の考え方
 4  維持輸液の生体内分布の考え方
 5  細胞外液補充輸液とその考え方
 6  低張輸液の種類と考え方
 7  高濃度糖加維持液の種類と考え方
 8  末梢静脈栄養輸液の種類と考え方
 9  アミノ酸輸液の種類と考え方
 10 脂肪乳剤の考え方

第3章 輸液管理デバイス
 1  輸液投与に必要な物品
 2  注射針の種類
 3  カテーテルの種類
 4  長期留置用デバイス ヒックマンカテーテル,ブロビアックカテーテルなど
 5  長期留置用デバイス ポート,ヒューバー針など
 6  インラインフィルター・三方活栓
 7  合併症の種類
 8  カテーテル関連血流感染症(CRBSI)
 9  静脈炎・血管外漏出
 10 在宅輸液投与を行ううえで必要な物品
 輸液調製操作
 11 バリアプリコーション
 12 手技のポイント
 輸液管理の基本
 13 温度管理
 14 遮光管理
 輸液管理の疑問
 15 フラッシュ・ロック
 16 投与中のモニタリング

第4章 処方鑑査と疑義照会
 1  輸液処方の確認 幅広い視点で処方鑑査を行うために
 2  輸液の投与速度 安全に投与するための速度と注意点
 3  輸液の配合変化
 4  輸液の安全管理 輸液投与に潜むリスクを正しく理解する
 疑義照会
 5  病棟薬剤業務中の疑義照会
 6  注射剤調剤時の疑義照会
 7  配合変化 pH変動による配合変化とその回避方法
 8  輸液の選択 併用薬や病態の変化を考慮して輸液を使い分ける
 投与管理の実際
 9  術後輸液,ドレーンからの排液など
 10 輸液投与時のピットフォール

第5章 病態別輸液管理
 1  糖尿病急性期合併症(糖尿病ケトアシドーシス,高浸透圧高血糖症候群など)
 2  救急(外傷性ショック,脱水症,アシドーシス・アルカローシスなど)
 3  消化器疾患
 4  腎疾患
 5  循環器疾患(うっ血性心不全など)
 6  脳血管疾患
 7  妊婦・授乳婦,妊娠悪阻
 8  感染症(尿路感染症,誤嚥性肺炎など)
 9  リフィーディング症候群
 10 周術期(術後輸液,ドレーンからの排液など)
 11 終末期
 12 小児の脱水時における輸液
 13 ナトリウム代謝異常
 14 カリウム代謝異常
 15 マグネシウム代謝異常
 16 カルシウム代謝異常
 17 その他の電解質,微量元素欠乏(低リン血症・低セレン血症)

 文 献

 索 引

<発刊に寄せて>
 まずは,「薬剤師のためのいちばんやさしい輸液管理の本」を手に取っていただきありがとうございます.病院薬剤師にとって,輸液を触ったことがない人はいないほど,慣れ親しんだ医薬品ですが,ほとんどの製剤が透明の液体で,外観も類似したものが多く,実はそれぞれの違いについて深く学ぶ機会は少ないのではないでしょうか.薬学教育の中でも,栄養療法と同じく基礎薬学分野や衛生薬学分野で基本的な理論を学ぶものの,実務実習で目にする輸液や輸液管理に戸惑ってしまう学生も多く,指導薬剤師も適切な指導方法に悩まれているのではないでしょうか.
 臨床現場では,患者の体液を適切に管理する輸液療法の知識は欠かすことができないものです.輸液の目的は水・電解質の管理や薬剤投与ルートの確保,疾患治療と多岐にわたり,薬剤師としての確かな知識が求められます.
 そこで,本書では,“やさしく学ぶ”と“現場目線”を合言葉に輸液の基礎から実践までを入門者に向けて解説します.前半では輸液療法を理解するための基本的な知識や輸液の種類について解説し,輸液管理を実践するためのデバイスや実際の管理方法についても紹介し,病棟や在宅の場面でどのように輸液投与が行われているかをイメージしながら知識を深めます.後半は,薬剤師として輸液処方をどのように考え,鑑査・疑義照会するかを解説し,病態の学習へ繋げます.輸液療法の位置づけや典型的な処方例,さらにはモニタリングのポイントまで掘り下げ,現場ですぐに活用・実践できる知識を提供します.
 特筆したい本書の特徴として,第一に薬剤師だけでなく医師,看護師の先生方にも本書の執筆に携わっていただきました.多角的な視点からの解説によって,よりわかりやすく,より実践的な“生きた情報”が,読者の皆様の主体的な次の学習ステップにつながれば幸いです.そして,輸液管理を行ううえで必要な「処方を読み取り,疑義照会を行うプロセスとその知識」について,類をみないほど詳細に解説していただきました.
 輸液管理は静脈栄養に代表されるように栄養とも繋がりが深く,随所に栄養療法の知識がちりばめられています.本書が読者の皆様の輸液に対する苦手意識をなくし,輸液管理や栄養療法の臨床業務や指導教材として生かされることを大いに願っています.

2025年9月
滋賀医科大学医学部附属病院薬剤部 副薬剤部長
神谷 貴樹
2,200円
特集テーマ:文字だけで理解できてる!? 病態把握のための読影入門-胸部・腹部編

<特集の目次>
■特集にあたって(諸星 北人)

■薬剤師が画像検査を活かす─なぜ画像検査が必要なのか─(百  賢二ほか)

■まずはここから!画像を読むための基本を学ぼう
 ・X線とは?(先山 耕史)
 ・CTとは?(本寺 哲一)
 ・薬剤師のための画像検査基礎ガイド─読影前に理解すべき5つのステップ─(松根 佑典ほか)
 ・実際に画像を見てみよう 白と黒は何を示す?(今本 俊郎)
 ・実際に画像を見てみよう 胸部のX線,CTを解剖図と比べる(眞鍋  亮)
 ・実際に画像を見てみよう 腹部のX線,CTを解剖図と比べる(杉浦 育也)

■症状と画像を結びつけ,病態把握に活かそう 
 ・肺に水がたまる 胸水(伊藤 有輝)
 ・肺に水がたまる 肺水腫(内田 嘉隆)
 ・肺に炎症がある 肺胞性炎症(池田  均ほか)
 ・肺に炎症がある 間質性肺炎(簑田  遥ほか)
 ・心臓が拡大する 心拡大(伊藤 有輝)
 ・腹部に水がたまる 腹水(山内 美樹ほか)
 ・腹部に炎症がある 急性胆嚢炎(石井  優)
 ・腹部に炎症がある 膵炎(西原 成俊)
 ・腹部に結石がある 尿管結石( 森田  將ほか)
 ・腹部に閉塞がある 腸閉塞(小城原 傑)

<シリーズ>
■えびさんぽ
 マンモグラフィ検診で乳がん死亡は減りますか?
 (青島 周一)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
 ・味覚障害の原因は亜鉛とは限らない
 ・服薬順守率は高血圧>糖尿病≒脂質異常の順
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
 〈第33回〉ゼスラン®錠 3mg,ゼスラン ®小児用シロップ 0.03%
 (小嶋  純 米子 真記)

■薬剤師40年目の独り言
 研修や薬剤師会は仕事?
 (鎧のない薬剤師)

■Gebaita?! 薬剤師の語(カタ)ログ
 〈第45回〉ブラボー!? 実務実習
 (大西 伸幸)

■薬剤師の1,2,3,4!(ヒフみよ)大井教授の皮膚×くすり講座
 9限目 ウイルス性皮膚感染症の治療
 (大井 一弥)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
〈肆拾伍ノ型〉輸液療法のピットフォール!
 輸液に添加する薬剤の有害事象にも気をつけよ!!
 (青山 剛一)

■がん研有明病院薬剤部のABCセミナーの楽屋話
 ・肺がんの薬物療法
 ・抗がん薬の曝露対策指導
 (近藤 咲良 谷川 大夢)

■ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣ビフォーアフター
 〈第21回〉OTC医薬品と医療用製剤の使い方の違い
 どのような時に専門家のアドバイスが必要か?
 (津田 篤太郎)

■タイパUP!誰も教えてくれなかった臨床業務の段取りお手本ファイル
 〈File 06〉医療用麻薬服用患者の介入時におさえておきたい評価ポイント
 (山田 正実)

<巻頭言>
 診療記録のなかでも,画像検査は病態を把握するためのきわめて重要な情報源です.胸部・腹部の単純X線検査やCT検査の画像には,文字情報だけでは捉えきれない身体内部の異常や変化が,時に雄弁に,時にささやくように写されています.医師にとって,身体診察や血液検査と並び,診断・治療方針の決定や治療効果の判定において羅針盤となるこれらの画像は,薬剤師にとっても,より深い病態理解と薬物療法支援の基盤になりうるものです.
 日々の業務において,薬剤師のみなさまは患者さんからの聞き取りや多職種が記録した情報を手がかりに,病態を読み取り,薬物治療の効果・副作用判定といった処方の妥当性評価や服薬指導,治療提案などに活かしています.しかし,学生時代に画像検査や読影に関する教育が十分に,かつ効果的に行われてきたかは定かではありません.近年のチーム医療における薬剤師の役割の拡大を踏まえると,読影レポートを読むことに加え,実際の画像とカルテ記載内容を結びつけて理解する力は,現場での情報提供や処方支援において大きな強みとなり,薬学的介入の質をより一層高めることにつながります.
 2024(令和6)年度の入学生から適用されている『薬学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)』でも,「電磁波,放射線,超音波や可視光を利用して生体の画像を得る分析技術の原理と特徴を説明する」「正常画像と疾患画像の違いを,人体の構造や機能に基づいて説明する」ことが学修目標として掲げられています.これは,画像に対する理解が薬剤師にもより求められる時代が到来したことを明確に示しています.
 本特集では,画像診断のなかでも基本となるX線・CTに焦点をあて,初学者にもわかりやすく読影の基礎を解説しています.画像を見る際の“白”や“黒”が何を意味するのか,正常画像とはどうあるべきかといった出発点から始め,胸部・腹部の代表的な疾患と画像の関連を丁寧に紐解いています.「画像が読めるようになる」ことは,カルテの文字情報が単なる記述から“身体の中のリアル”として立ち上がる体験でもあります.
 患者さんによりよい医療を提供するために,薬剤師の視野を広げ,チーム医療における貢献をさらに深める第一歩として,本特集がみなさまの臨床実践に役立つことを願っています.

昭和医科大学大学院医学研究科 衛生学公衆衛生学分野 講師
諸星 北人
2,200円
特集テーマ:【第1特集】点鼻薬・点耳薬の図鑑
     :【第2特集】耳鼻咽喉科のトビラ ―解剖生理から薬学管理までまるわかり―

<目次>
特集
耳鼻咽喉科のトビラ
解剖生理から薬学管理までまるわかり

■特集にあたって(八木 哲也)

■耳鼻咽喉科の各器官のしくみとはたらき
 ・鼻のしくみとはたらき(尾林 卓幸)
 ・耳のしくみとはたらき(佐野 元基)
 ・咽頭のしくみとはたらき(尾林 卓幸)

■耳鼻咽喉科の主な疾患と治療,服薬指導・薬学管理
 ・アレルギー性鼻炎(坂野 昌志)
 ・鼻副鼻腔炎(坂野 昌志)
 ・嗅覚障害(坂野 昌志)
 ・外耳炎(佐野 元基)
 ・中耳炎(佐野 元基)
 ・めまい(坂野 昌志)
 ・難聴(佐野 元基)
 ・耳垢(佐野 元基)
 ・急性咽頭炎・扁桃炎(奥平 正美)

■みみ・はな・のどに使うOTC外用剤などの関係情報(尾林 卓幸)

特集
点鼻薬・点耳薬の図鑑

■点鼻薬のトリセツ ~共通の使い方を確認しよう篇~(尾林 卓幸)

■点鼻薬のトリセツ ~薬剤ごとの特徴をみてみよう篇~(尾林 卓幸)

■点耳薬のトリセツ(佐野 元基)

シリーズ

■えびさんぽ
 季節性アレルギー性鼻炎の治療には,どんな薬を選べばよいですか?
 (青島 周一)

■医薬品適正使用・育薬 フラッシュニュース
 ・キシリトールで心血管リスクが上昇する?
 ・BRAF阻害薬でぶどう膜炎のリスク上昇
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
 〈第32回〉ナウゼリン®ドライシロップ 1%
 (小嶋  純 米子 真記)

■薬剤師40年目の独り言
 伝え方,説明のうまさはセンスだけなのか?
 (鎧のない薬剤師)

■薬剤師の1,2,3,4!(ヒフみよ) 大井教授の皮膚×くすり講座
 8限目 皮膚感染症と感染部位
 (大井 一弥)

■ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣ビフォーアフター
〈第20回〉片頭痛の漢方治療 多くの選択肢からどのように絞り込むか?
 (津田 篤太郎)

■タイパUP!誰も教えてくれなかった臨床業務の段取りお手本ファイル
 〈File 05〉輸液・栄養療法の処方提案アプローチへの最短距離
 (神谷 貴樹)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈肆拾肆ノ型〉熱,白血球,CRPに踊らされるな!
 (小杉 卓大)

■がん研有明病院薬剤部のABCセミナーの楽屋話
 ・乳がんの薬物療法
 ・がん治療における検査値の見方
 (髙野 有紀 瀧口 友美)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
 〈第44回〉診療ガイドライン ~たくさんありすぎてこんがらがってるんじゃないか説~
 (篠田 康孝)

<巻頭言>
 『薬局』2025年8月号の特集は,これ一冊で耳鼻咽喉科関連の薬剤管理は万事OKというものである.耳鼻咽喉科はマイナーな外科系診療科とも位置づけられるが,嗅覚,聴覚や味覚といったヒトにとって重要な感覚器官が存在するだけでなく,嚥下という摂食にもつながる重要な機能をもつ臓器が含まれている.加えて点鼻・点耳という特殊な薬剤投与ルートもあり,そうした意味でも薬剤師が理解しておくべき内容が豊富な領域である.
 第1特集は「点鼻薬・点耳薬の図鑑」という,ちょっとマニアックなところから幕を開ける.ここでは,点鼻薬の使い方から点鼻用デバイスの適切な使用法,耳鼻咽喉科領域以外の点鼻治療薬について,加えて点耳薬の適切な使用法と注意点に至るまで解説がされている.点鼻薬・点耳薬という剤形を選ぶメリットについて,それを十分に活かすためのデバイスを含めた技術的な知識をもっていることは,薬剤師が薬剤管理指導を行ううえで必須のものと考えられる.筆者自身も花粉症治療でいろいろと点鼻薬を試した経験があるが,鼻自体が感覚器官でもあり,デバイスの使用法により使用感や効果が変化することが実感された.正しい知識に基づいた薬剤師からの適切なアドバイスは,患者にとってとても頼りになるものであるため,ぜひ押さえておいてほしいところである.
 第2特集は「耳鼻咽喉科のトビラ─解剖生理から薬学管理までまるわかり─」である.ここでは,まず耳鼻咽喉科の疾患の理解に必要な,耳・鼻・咽喉の各器官の解剖と生理の知識が整理されている.その後,耳鼻咽喉科領域の代表的な疾患と治療について,服薬指導や薬剤管理のポイントがまとめられている.さらには,この領域で使用されるOTC医薬品についても,適正使用や服薬指導のポイントが解説されていて,まさに至れり尽くせりである.今回の特集は,病院薬剤師のみならず保険薬局薬剤師にとっても有用な内容になっており,ぜひ多くの薬剤師の皆さんに手に取って参考にしてほしい.耳鼻咽喉科領域で使用される治療薬の処方理由の理解,患者さんへの適切な情報提供・服薬指導・療養サポートにつながること必定である.
 とここまで特集の内容を追って書いてきたが,この内容は薬剤師だけにとどまらず,特に研修医などの若手医師にもお勧めできるのではないかと思っている.耳鼻咽喉科領域の薬物療法がこの一冊でコンパクトにまとめられている,医師にとってもこんなにありがたい特集号はそうそうないのではないか.この特集号を通して,薬剤師にも若手医師にも,広く耳鼻咽喉科領域の局所療法も含めた薬物治療の理解が深まれば幸いである.

名古屋大学大学院医学系研究科 臨床感染統御学/(病)中央感染制御部 教授
八木 哲也
2,200円
特集テーマ:スペシャリスト厳選! 定番ベスト漢方薬 -教えて! 鉄板・新定番・大穴処方-

<特集の目次>
■特集にあたって (三谷 和男)

■スペシャリストの「自家薬籠中の漢方薬」をしる・いかす・つなぐ
 ・診療ガイドラインに掲載される新定番の漢方薬 ─抑肝散の場合─ (本間 真人) 

■鉄板処方の理由,教えます! スペシャリストが選ぶ定番漢方薬
 ・循環器科領域 (土倉 潤一郎)
 ・呼吸器科領域 (眞木 賀奈子)
 ・消化器内科領域 (安斎 圭一)
 ・産婦人科領域 (横田 めぐみ)
 ・整形外科領域 (前田 浩行)
 ・ペイン領域 (木村 哲朗)
 ・膠原病科領域 (津田 篤太郎)
 ・精神科領域 (田上 真次)
 ・耳鼻咽喉科領域 (中田 誠一)
 ・皮膚科領域 (山本 篤志)
 ・がん治療領域 ─副作用対策─ (近藤 奈美)
 ・周術期領域 (海道 利実)
 ・緩和医療領域 (西村 瑠美 ほか)
 ・小児科領域 (髙村 光幸)
 ・コラム 放射線治療の補完療法に「鉄板」漢方処方はある? (藤原 聖輝)

<シリーズ>
■えびさんぽ
 不眠に対する認知行動療法は効果がありますか?
 (青島 周一)

■医薬品適正使用・育薬 フラッシュニュース
 ・糖尿病治療薬の認知症発症リスクへの影響
 ・糖尿病治療薬の高カリウム血症リスクの比較
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
 〈第31回〉ツムラ抑肝散エキス顆粒(医療用)
 (小嶋  純 米子 真記)

■Gebaita?! 薬剤師の語(カタ)ログ
 〈第43回〉立場が違えば見え方が違う
 (大森 智史)

■薬剤師40年目の独り言
 MRと時代変遷
 (鎧のない薬剤師)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈肆拾参ノ型〉適切な点眼薬の順番について考察せよ!
 (田中 雄介)

■がん研有明病院薬剤部のABCセミナーの楽屋話
 ・グレード評価とは
 ・多発性骨髄腫の薬物療法
 (大塚 優芽 伴 修平)

■ぐっとよくなる! 漢方処方快訣(かいけつ)ビフォーアフター
 〈第19回〉多様化するがん治療とその副作用 “支持療法”だけではない漢方の活用法
 (津田 篤太郎)

■薬剤師の1,2,3,4!(ヒフみよ) 大井教授の皮膚×くすり講座
 7限目 皮膚の清潔とバリア機能の維持
 (大井 一弥)

■タイパUP!誰も教えてくれなかった臨床業務の段取りお手本ファイル
 〈File 04〉感染症評価に基づく 注射用抗菌薬の投与量チェック
 (眞継 賢一)

<巻頭言>
 1976年(昭和51)年に漢方エキス製剤が全面的に保険適用となって半世紀が経過しようとしています.このことは確かに素晴らしいことです.堅持していくべき制度です.その後「漢方薬には副作用がない」といった神話,「西洋医学では対応できないさまざまな病態に有効」といった喧伝を背景に,飛躍的にその使用量が増えた時期もありました.確かに,漢方が多くの患者さん・病人さんの福音となったことは事実でしょう.しかし,漢方が西洋医学を中心に仕事をされている先生方に本当に受け入れられていたのかを考えると,どうも疑問です.「効いた,効かない」を「西洋医学に対してどうなのか」という図式にあてはめ過ぎたのか,「驚くべき効果」が強調され過ぎたのか,せっかく漢方の世界に興味をもち,まじめに勉強しようと取り組まれていた多くの心ある先生方が離れていかれた残念な歴史を経験しました.
 今回本企画をコーディネートさせていただくにあたり,各専門分野の西洋医学の第一人者であり,かつ漢方医学の若手スペシャリストの先生方に,得意とされている処方の解説をお願いしました.「適応症」を外すことなく,「なるほど,こういった役割がこの方剤にはあるのか」という新知見を教えていただくことで,薬剤師の先生方が日ごろ疑問に感じられることもある臨床医の処方内容の「勘どころ」「本音」がみえてくるはずです.
 わが国では「伝統医学だけで治療する」医師はいません.すべて同一の免許証をもち,西洋医学を土台とした診療体系のなかで漢方診療を行っています.しかし,それは単なる「補完」ではありません.漢方医学には独自の基礎理論と治療方針があります.西洋医学の「診断」と漢方医学の「証」の理解をあわせた診療の実際も,各先生方の臨床のなかで学ぶことができるでしょう.さあ,ワクワクしてページをめくってください.そして,この書をいつも日常業務の書棚の定位置に置いてください.よろしくお願いします.

奈良県立医科大学 大和漢方医学薬学センター 特任教授/
三谷ファミリークリニック 院長
三谷 和男
2,200円
特集テーマ:生成AI×薬剤師 -明日からのしごとに役立つ基本&活用術-

<特集の目次>
■特集にあたって(百  賢二)

■特別座談会
 生成AIって実際どうなの?」現場活用のリアル(百  賢二,龍  家圭,酒井 隆全,佐藤 弘康)

■生成AIはこうしてできた!─やさしく理解する技術のしくみ─ (百  賢二 ほか)

■学習者はどのように生成AIと関わるべきか─統合失調症患者の服薬アドヒアランスに関する学習を例に─ (百  賢二)

■今日からできる! 「生成AI」はじめ方ガイド
 ・臨床家の業務を楽にするかもしれない生成AIの紹介(百  賢二)
 ・生成AIでやってはいけない5つのこと ─有効な活用のために薬剤師が知っておくべき注意点─(桐生 嘉浩)
 ・生成AIと上手に会話する方法(龍  家圭)

■業務にプラス! 「生成AI」活用術
 ・院内で勉強会を開催する─テーマ選定から配布するポスター作成まで─(百  賢二)
 ・Excelと生成AIを連携してデータ分析・レポート作成をする(龍  家圭)
 ・学習動画の要約を行う(龍  家圭)
 ・翻訳機能を活用する(酒井 隆全)
 ・音声機能を活用して英会話の練習をする(龍  家圭)
 ・スマートにメールを返信する(龍  家圭)
 ・議事録を作る(百  賢二 ほか)

■生成AIの活用リテラシー 上手につき合うためのコツ
 ・収集した健康情報の使い方(石川  悠 ほか)
 ・研究・調査での使い方(酒井 隆全)

■「生成AI×薬学」の未来 何ができるようになる?
 ・臨床薬剤師業務における生成AI活用の未来(佐藤 弘康)
 ・薬剤師とAIが切り拓く新たな医療革新(桐生 嘉浩)
 ・薬学教育での生成AI活用の可能性と課題(木下  淳)

<シリーズ>
■えびさんぽ
 生成AIの活用で医学的ケアの質は改善しますか?
 (青島 周一)

■医薬品適正使用・育薬 フラッシュニュース
 ・セフトリアキソンとランソプラゾール併用で心室性不整脈/心停止のリスク上昇
 ・体重が増加しやすいSSRI・SNRIは?
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
 〈第30回〉フェロミア® 顆粒 8.3%
 (小嶋  純 米子 真記)

■薬剤師40年目の独り言
 後発医薬品とstem
 (鎧のない薬剤師)

■タイパUP!誰も教えてくれなかった 臨床業務の段取りお手本ファイル
 〈File 03〉吸入デバイスの評価―初回指導偏
 (坂野 昌志)

■ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣ビフォーアフター
〈第18回〉意外に難しい加味逍遥散の使いどころ 「病名漢方」の一段上を目指す
 (津田 篤太郎)

■がん研有明病院薬剤部の ABCセミナーの楽屋話
 ・食道がんの薬物療法
 ・支持療法
 (渡部 秀一 蓑輪 雄一)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈肆拾弐ノ型〉抗凝固薬・DOACの特異的中和薬について理解せよ!
 (日髙 伸之介)

■薬剤師の1,2,3,4!(ヒフみよ) 大井教授の皮膚×くすり講座
 6時限目 皮膚バリア機能の低下を引き起こす疾患
 (大井 一弥)

■Gebaita?! 薬剤師の語(カタ)ログ
 〈第42回〉ワレワレハイリョウジンダ
 (髙島 英滋)

<巻頭言>
 2022年末,ChatGPTがリリースされ,公開から2ヵ月でユーザー数が1億人を超えた.その後も急速に普及し,今や世界中の多くの人々が利用する技術となっている.筆者はChatGPTのリリース時,スウェーデンに留学中であった.リリース直後,研究室の教授がChatGPTの話題を出し,その自然な回答に皆が驚かされたことを今でも覚えている.日本語でも試したところ違和感なく使え,スウェーデン人の同僚に驚かれたことが印象的だった.
 これまで人類は幾度となく大きな変革を経験してきた.1700年代後半の産業革命,1928年に発見されたペニシリンは1940年代に実用化が進み,第二次世界大戦を契機に急速に普及した.1957年にはスプートニク1号の打ち上げによって宇宙時代が幕を開け,1969年にはARPANETの誕生がインターネットの礎を築いた.2007年にはiPhoneが登場し,スマートフォンの時代が到来した.そして,2022年にChatGPTをはじめとする生成AI技術が一般公開され,AIの新たな時代が始まった.この技術の基盤となる手法は2017年に論文発表されていたが,実用化により私たちの生活は一変しつつある.
 時代が変わるたびに,新しい技術や文化は批判を受けてきた.江戸時代の書物にも若者の振る舞いを嘆く記述がみられ,さらにさかのぼれば,古代中国の『論語』や古代エジプトの記録にも同様の記述が存在するそうである.生成AIについても「人が不要になるのではないか」といった不安の声があるが,それは新しいテクノロジーに対する典型的な反応ともいえるだろう.2022年後半は世界的なコロナ禍の最中であり,人々は対面での交流が制限される状況にあった.そのなかで,Zoomに代表されるWeb会議ツールが急速に発展し,当初は「使いづらい」「感情が伝わりにくい」といった否定的な意見が多かったものの,現在では日常生活に欠かせないツールとなった.新しい技術は最初こそ違和感を伴うが,やがて社会に溶け込み,なくてはならないものへと変化していく.
 では,生成AIはどうだろうか.現在,「使えない」「推奨されない」といった意見もあるが,実際にはすでに多くの分野で活用され始めている.そして,生成AIに振り回されるのではなく,人がうまく使いこなせるようにするための工夫やノウハウも急速に蓄積されつつある.本特集では,医療現場における生成AIの活用方法について,日頃から実践している専門家の先生方に執筆いただいた.テクノロジーは日々進化し,筆者自身も常に最新の動向を追い続けられているわけではないため,読者のみなさまが本書を手に取る時点では,すでに新たな進展が生まれているかもしれない.その点はご容赦いただきつつ,本特集が少しでもみなさまの実践に役立つことを願っている.

昭和医科大学 統括薬剤部/薬学部 病院薬剤学講座 臨床研究部門 准教授
百  賢二
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