薬局 発売日・バックナンバー

目次:
特集テーマ:プラス漢方でかゆいところに手が届く! 皮膚疾患・皮膚トラブル

<特集の目次>
■特集にあたって
 かゆみ治療:西洋医学と漢方の融合 (清水 忠道)

■巻頭カラー写真

■皮膚の湿疹・かゆみを漢方医学・西洋医学の視点で因数分解する!
 ・皮膚の湿疹・かゆみを漢方医学の視点で因数分解すると? (貝沼 茂三郎)
 ・皮膚の湿疹・かゆみを西洋医学の視点で因数分解すると? (牧野 輝彦 ほか)

■患者さんを煩わせる皮膚のトラブルをプラス漢方で解消する!
 ・かゆみが強い,肌をかきむしってしまう,かさつく(乾燥肌) (栁原 茂人)
 ・にきびや湿疹ができた・できやすい (山本 篤志)
 ・コラム ここまでわかった! 免疫機構・炎症反応と漢方薬のはたらき (山﨑 研志)
 ・頭皮や顔の赤み・湿疹やかゆみが続く,フケが多い(脂漏性皮膚炎) (豊田 雅彦)
 ・頬や額を中心とした赤み,ヒリヒリ感が続く(酒皶) (蓮沼 直子)
 ・顔や身体に紅斑が出る,皮膚が剥がれて粉が出る(乾癬) (森原  潔)
 ・汗をかきやすい(多汗症),あせもができた・できやすい (天津 朗典)
 ・創傷・熱傷処置で使用する漢方薬の使い方 (入江 康仁)
 ・月経周期や更年期に関連する肌荒れ (鵜飼 恭子)
 ・かゆみなど肌の不快症状による不眠やいらつき ─心因性皮膚疾患─ (黒川 晃夫)
 ・子どものアレルギーマーチ ─アトピー素因・皮膚炎を中心に─ (中島 俊彦)
 ・がん治療による皮膚への副作用・合併症 (元雄 良治)

■診療ガイドラインに学ぶ! 皮膚疾患治療のプラス漢方
 ・痤瘡,にきび・吹き出もの (鳥居 靖史)
 ・アトピー性皮膚炎 (市山  進)
 ・蕁麻疹 (橋本 喜夫)

■皮膚トラブル回避! 漢方方剤のやさしい使い方
 ・患者を副作用の皮膚トラブルで困らせない! 漢方方剤のやさしい使い方 (野上 達也)
 ・コラム 漢方方剤の効き目をみきわめる期間はどれくらい? (皆川 智子 ほか)

<シリーズ>
■ガチではじめる マジでわかる経口抗がん薬
 イクスタンジ®(エンザルタミド)の食欲不振
 (坂田 幸雄)

■えびさんぽ
 皮膚疾患の症状緩和に対して漢方薬は効果がありますか?
 (青島 周一)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
 〈第36回〉その対策,本当に意味のある対策??
 (髙島 英滋)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
 〈第24回〉タジベール®錠1mg
 (小嶋  純 米子 真記)

■医薬品適正使用・育薬 フラッシュニュース
 ・ベンゾジアゼピン系薬を漸減しても⽣じる症状
 ・ガバペンチンやプレガバリンでCOPD重症化リスク上昇
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈参拾陸ノ型〉低ナトリウム血症出現! 検査値のみに囚われず,患者状態を確認せよ!
 (西田 祥啓)

■「全(ZEN)か無(MU)か」じゃないんだよ薬物相互作用
 〈File 03〉ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬関連薬物相互作用
 (平井 利典 児島 悠史)

■ぐっとよくなる! 漢方処方快訣ビフォーアフター
 〈第12回〉「何にでも効く薬」は難しい 焦点を絞った漢方薬の使い方
 (津田 篤太郎)

■がん研有明病院薬剤部のABCセミナーの楽屋話
 ・婦人科がんの薬物療法
 ・臓器機能における投与量設計
 (副島  梓 野々宮 悠真)

<巻頭言>
かゆみ治療:西洋医学と漢方の融合
かゆみは日常生活において頻繁に発生し,患者にとって強い苦痛を伴う皮膚症状の一つである.かゆみにより注意力が散漫になり,しばしば集中力の低下を招く.また睡眠の質が低下し,結果として学業や仕事に悪影響を与える.このかゆみをコントロールすることは重要でありながら難しい課題であり,長年にわたり研究が進められてきた.1910年にヒスタミンが発見され,その後1940年代以降,抗ヒスタミン薬を用いたかゆみ治療が一般的になった.さらに,1990年代には抗脂質メディエーター薬などの新たな治療法も開発された.蕁麻疹などのかゆみにはこれらの薬剤は一定の効果を示したが,アトピー性皮膚炎やその他の皮膚疾患によるかゆみに対しては,その効果は限定的であった.
この10年間で,かゆみのメカニズムに関する研究は飛躍的に進展し,末梢性および中枢性のかゆみのメカニズムが次々と解明されてきた.その結果,かゆみを直接引き起こすサイトカインであるインターロイキン(IL)-31や,アトピー性皮膚炎の発症に関連するIL-4およびIL-13を標的とした抗体製剤が開発された.さらに,かゆみのシグナル伝達経路をブロックするヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬も登場し,かゆみに対する治療が飛躍的に向上した.
とはいえ画期的な新薬が開発されたにもかかわらず,依然として多くの患者がかゆみに悩まされている.このような場合に漢方薬の使用が期待される.漢方薬には西洋薬にはない独自の効果があり,その生薬成分や化合物の作用機序に関する研究もさかんに行われている.漢方薬のかゆみに対する有効性は,これまで多くの臨床医によって長年使用されてきた実績と経験により証明されている.さらに,2018年に世界保健機関(WHO)が公表した国際疾病分類(ICD-11)の改訂版には伝統医学の項目が新設された.この改訂において,世界中の伝統医学のなかで漢方を含む東洋医学が取り上げられたことは,漢方治療の地位が国際的に確立されたことを示している.
本特集では,「プラス漢方でかゆいところに手が届く!」をテーマに,まず漢方医学および西洋医学の両視点からかゆみの発症メカニズムを解説した.また漢方薬の使用方法について,それぞれの専門家の先生方に詳述していただいた.本特集が薬剤業務の一助となれば幸いである.

富山大学学術研究部医学系 皮膚科学 教授
清水忠道
全188件中 1 〜 15 件を表示
特集テーマ:適剤適処!Bz(ベンゾジアゼピン)受容体作動薬 -リスク/ベネフィット比を最適化する-

<特集の目次>
■特集にあたって(桑原 秀徳)

■Pros & Cons Bz受容体作動薬のいいところ・わるいところ
・強化された処方規制 ─歴史からひも解く適正使用への糸口─(三輪 高市)
・エビデンス総ざらい ─これからの適正使用を導く情報をアップデート─(桑原 秀徳)
・Bz受容体作動薬を不適切に使用するとはどういうことか? ─不適切性を問題にすることの本質─(青島 周一)

■リスクと向き合う・リスクに備える Bz受容体作動薬の副作用
・耐性・依存・乱用(桑原 秀徳)
・持ち越し効果・自動車運転などへの影響(柏原 蓉子)
・前向性健忘(江角  悟)
・認知機能障害(吉川 明良)
・転倒・骨折(祖川 倫太郎)

■処方設計のバックボーンを押さえる Bz受容体作動薬の特性
・薬物動態・代謝酵素(阪岡 倫行)
・薬理作用点/薬理作用の強度・化学構造(阪岡 倫行)
・ジアゼパムとの効力比較(添付文書に示される効力比較)・等価換算(阪岡 倫行)

■服薬説明の根拠をアップデート 「Bz受容体作動薬」処方メソッド
押さえておきたい「Bz受容体作動薬」処方の勘所
・Bz受容体作動薬を使うべき場面は? 使用が望ましくない患者は?(松崎 朝樹)
・長期服用者の中止の判断は? 中止困難事例への処方は?(松崎 朝樹)
睡眠薬としての使いどころ・使い方
・適応となる患者の条件は? 使用が望ましくない患者は?(小路 純央)
・用量設定の原則は? 用法の注意点は? 夜間不眠時の頓用は有効?(佐藤  守)
・単剤で効果がみられないときは増量? 併用? 切り替え?(児玉 英也 ほか)
・睡眠薬の上手なやめ方は? ─依存の呪縛から逃れるために─(三輪 高市)
睡眠障害以外の疾患・病態への使いどころ・使い方
・気分障害・不安障害の薬物療法での位置づけは? 投与のタイミングは?(髙橋 結花)
・統合失調症・カタトニア(緊張病)の薬物療法での位置づけは? 投与のタイミングは?(德谷  晃)
・てんかんの薬物療法での位置づけは? 投与のタイミングは?(山本 吉章)
・アルコール依存症の薬物療法での位置づけは? 投与のタイミングは?(細川 智成)

■Bz受容体作動薬のリスク/ベネフィット比の最適化
・Bz受容体作動薬の処方の適正化(髙橋 結花)
・効果的なリスクとベネフィットの伝え方(山本 雅洋)
・わかっていても薬をやめられない人へのアプローチ(細川 智成)

<シリーズ>
■ガチではじめる マジでわかる 経口抗がん薬
 レンビマ®(レンバチニブ)の高血圧
 (渡邊 裕之)

■えびさんぽ
 ベンゾジアゼピン系薬剤の不適切処方にどう対応したらよいですか?
 (青島 周一)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
 〈第23回〉エリスロシン®ドライシロップ10%
 (小嶋  純 米子 真記)

■医薬品適正使用・育薬 フラッシュニュース
 ・ニキビに有⽤な健康⾷品は?
 ・抗コリン作⽤の増⼤で⼼⾎管イベントリスクが上昇
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
 〈第35回〉薬局薬剤師,患者の立場になってみた
 (中嶋 亜紀)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈参拾伍ノ型〉薬剤師が行うべき医療安全のイロハを習得せよ!
 (菊田 裕規)

■「全(ZEN)か無(MU)か」じゃないんだよ 薬物相互作用
 〈File 02〉アザチオプリン関連薬物相互作用
 (平井 利典 児島 悠史)

■ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣ビフォーアフター
 〈第11回〉かぜに葛根湯ばかりでいいの?
 本来の使い方に沿った漢方薬の選び方
 (津田 篤太郎)

■がん研有明病院薬剤部の ABCセミナーの楽屋話
 ・泌尿器がんの薬物療法
 ・がん治療における医薬品情報
 (森  祐佳 中野 泰寛)

■レポート
 医療を支える医薬品添加剤 ─メリットとピットフォール─
 (嶋田  努 内田  淳)

<巻頭言>
私と同年代かそれ以上の年齢の薬剤師であれば思い出していただけるでしょうか.かつて私が薬学生であった1990年代,ベンゾジアゼピン(Bz)受容体作動薬は「比較的安全な睡眠薬・抗不安薬」として講義で習ったのではないかと思います.そして,当時の実臨床におけるBz受容体作動薬の使い方といえば,症状があればとりあえず処方されるものでした.服薬指導は規則正しく継続的に服薬を続けるよう指導するものがほとんどで,不安を煽るような副作用の話は控えたか,「医師の指示」の範囲内で使ってもらうための脅し文句に使っていたように記憶しています.特に精神科領域では,強い不眠や不安に対しては作用時間の異なるBz受容体作動薬を何種類も組み合わせて使用し,承認用量超えの処方がまかりとおり,常用量依存については真っ向から「そんなものはない」と言い切る精神科医もいましたね.「それでよいのか?」と思いつつも,晴れぬ気持ちを押し殺しながら調剤したこともありました.
21世紀になると,臨床疫学的研究によって次から次へとさまざまな有害事象との関連が報告されるようになります.それ以外にも,2014(平成26)年および2018(平成30)年診療報酬改定による処方制限(減額)や,2017年の医薬品医療機器総合機構(PMDA)による依存性についての注意喚起(2024年に更新)などを背景に,あるいはいわゆる「ポリファーマシー」対策の一環として,Bz受容体作動薬は一気に「不適切処方」の代名詞のような存在になっていきます.その流れはまるで,長年にわたって抑え込まれてきたBz受容体作動薬にまつわる疑念や後悔までも一気に噴出してきたかのようで,明らかに空気は変わりました.
しかしながら,Bz受容体作動薬に関するエビデンスをかいつまんでいくと,減薬介入によって実際に患者さんのアウトカムが改善したという質の高い報告は見つからないことに気づきます(変わらないという報告ならあります).また,最近では一部の有害事象との関連や減薬介入について否定的な知見を述べる論文も出てきました.これを前述のような「Bz受容体作動薬は不適切」と決めつけるような空気への反動が始まったのだとすると,今こそその価値を問い直す時だと思うのです.
そこで本特集では,Bz受容体作動薬の歴史やエビデンスの流れを整理し,その特性とリスクに関する解説を含めた背景を総合的におさらいしたうえで,単純にBz受容体作動薬処方をなくすのではなく,害の懸念と効果の期待をうまく捉えて伝えることこそがBz受容体作動薬の適正使用につながるのだという考えから各項目を構成してみました.薬剤師には多種多彩な医薬品情報を色眼鏡を通すことなく見定め,個々のケースのリスクとベネフィットを考えながら,誠実に情報提供していくことが求められます.本特集の記事がBz受容体作動薬を「くもりなきまなこ」で見つめ直す一助となるよう願っています.

瀬野川病院 薬剤課 課長/NPO法人 AHEADMAP
桑原秀徳
特集テーマ:口腔機能低下症・嚥下障害のミカタ -服薬サポートの引き出しを増やしませんか?!-

<特集の目次>
■特集にあたって (倉田 なおみ)

■巻頭カラー写真

■服薬サポートの基盤は“服薬支援”─もっと患者中心に!─ (倉田 なおみ)

■口腔機能低下症・嚥下障害ベーシック・レクチャー
 ・「食べる→飲み込む」の5つのプロセス(井口 紘輔 ほか)
 ・口腔のしくみとはたらき ─オーラルフレイルの重要性を理解するために─ (大野 友久)
 ・口腔機能低下に伴う危険な症状・見落とされる症状 (吉松 由貴)
 ・原因疾患にあわせた摂食嚥下サポートのゴール設定 (笠井 史人)
 ・嚥下障害時の2つの薬学的視点 (金原 寛子)

■「薬を服用(嚥下)できる」を支えるチカラ
 ・「薬を服用する」がなぜできないのかを検証する (倉田 なおみ)
 ・嚥下機能低下による「薬を服用できていない」トラブル事例 (石井 良昌 ほか)
 ・食事の段階分類からみた嚥下機能の評価 (栢下 淳)
 ・嚥下機能を考慮した服薬姿勢と方法 (粟飯原 けい子 ほか)
 ・嚥下機能にあわせた剤形・投薬経路の選択肢 (鈴木 慶介)
 ・薬剤学的問題にも考慮した嚥下補助製品の選び方・使い方 (森田 俊博)

■薬による嚥下障害に気づくチカラ・対応するチカラ
 ・安全な食支援・介助につなげる処方確認のポイント (白鳥 千穂)
 ・「食べたくない」の要因を薬学的に探る・対応する (鍛治園 誠)
 ・「口が渇く」の要因を薬学的に探る・対応する (岩尾 一生)

■多職種から学ぶ! 服薬支援力を磨くヒント
 ・脳卒中の回復期① (牧 宏樹)
 ・脳卒中の回復期② ─退院先を見据えた支援─ (田中 広紀 ほか)
 ・認知症 (篠永 浩)
 ・パーキンソン病 (尾﨑 誠一)
 ・頭頸部腫瘍 (高橋 知子 ほか)
 ・抗がん薬による口腔粘膜障害 (小林 一男)

<シリーズ>
■ガチではじめる マジでわかる経口抗がん薬
 タグリッソ®のざ瘡様皮疹
 (谷川 大夢)

■えびさんぽ
 高齢者の肺炎(誤嚥性肺炎)予防に効果的な治療法はありますか?
 (青島 周一)

■がん研有明病院薬剤部のABCセミナーの楽屋話
 ・血液がんの薬物療法
 ・がん薬剤師外来とは
 (山口 正和 伴 修平 川上 和宜)

■「全(ZEN)か無(MU)か」じゃないんだよ薬物相互作用
 〈File 01〉ワルファリン関連薬物相互作用
 (平井 利典 児島 悠史)

■ぐっとよくなる! 漢方処方快訣ビフォーアフター
 〈第10回〉頑固な多汗・火照り症状に悩まされる高齢女性 複雑な病態をどう読み解くか?
 (津田 篤太郎)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
 〈第34回〉75年ぶりの法律改定 大麻由来医薬品の時代が到来??
 (山田 友奈美)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
 ・避妊薬とNSAIDs併⽤で静脈血栓塞栓症リスクがさらに上昇
 ・パルボシクリブとPPI併用で治療効果が減弱
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
 〈第22回〉ノルバスク®錠2.5mg
 (小嶋 純 米子 真記)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈参拾肆ノ型〉薬剤性腎障害のリスクは処方内容全体から把握せよ!
 (中川 裕介)

<巻頭言>
薬学教育において,口腔機能や摂食嚥下について学ぶ機会はほとんどない.しかし,患者が日常的に服用する薬剤のほとんどが経口薬であり,薬剤は食べ物と同じ経路で消化管に落とし込み薬効を発揮する.薬剤師にとって,服薬の入り口である口腔機能や嚥下機能およびその問題点などについての知識は,安全な服薬や患者アドヒアランス向上のために欠かせないものである.
食べ物と経口薬は同じ経路を通って吸収されるが,食べ物はよく噛んで消化酵素で分解されてペースト状の均一な食塊となって嚥下される.一方,経口薬は薬と水をそのまま同時に嚥下する.固形物(薬)と液体(水)という物性の異なる物をかまずに同時に嚥下する必要があり,服薬は食物の嚥下よりも難易度が高く,より高度な嚥下機能が必要になる.そのため,摂食嚥下に問題がない人でも,「錠剤が飲みにくい」と言うのをよく耳にする.したがって,錠剤(薬)の嚥下障害は,摂食嚥下障害とは別の問題として考えるべきである.
そこで,新たに「錠剤(カプセル剤,顆粒剤などを含む)が飲みにくい状況」を“錠剤(薬)嚥下障害”と定義した.摂食嚥下に関しては1980年代から研究会や学会が設立し,多職種でさまざまな研究が続けられ,その障害に対する対策が練られている.しかし錠剤嚥下障害については,その言葉すら存在していないのが現状である.
従来から錠剤が飲みにくい人は多くいたのに,なぜ問題視されてこなかったのか.それは,錠剤を粉砕することによって解決されているからであろう.薬剤師も錠剤が飲めなければ,まずは外用剤への変更を考え,それが無理なら水剤や散剤へ変更し,それもできなければ一般的に錠剤をつぶして粉状に調剤する.本当にこれでよいのだろうか.錠剤をつぶすと元の錠剤の効果や安定性は間違いなく損なわれるし,振り替えた細粒剤が水に混ざらず経管投与できないこともある.錠剤をつぶすことをよしとするのではなく,薬剤のプロである薬剤師であれば効果や安定性を保証するための適正な方策をとるべきである.
錠剤嚥下障害は今まで誰も問題視しておらず,今,薬剤師が取り組まなければ錠剤が飲みにくい患者は,ずっとがまんして服薬することになる.さらには毎回苦労して,飲む(飲ませる)のが大変になると,当たり前のように錠剤がつぶされる.錠剤一粒一粒には,効果を最大限発揮するための秘密(製剤工夫)が施されているが,それを学ぶのは薬学部だけである.それぞれの錠剤に隠された秘密があることを知らなければ,どんな錠剤でもつぶしてしまうのも当然のことといえる.投薬した後に当たり前のように行われる錠剤粉砕をなくし,“薬剤師の確認ナシに錠剤はつぶしてはいけない”という文化をつくることは,服薬の安全を守る薬剤師の責務であろう.

昭和大学薬学部 客員教授
倉田なおみ
3,300円
特集テーマ:西洋医学×東洋医学 解剖生理で学ぶ くすりの効きどころ

<特集の目次>
第1部
くすりの効きどころがわかる
西洋医学の解剖・生理のとらえかた
(①〜⑩:松村讓兒)

①中枢神経系
②末梢神経系,自律神経系
③運動器(主に筋肉・骨)
④循環器
⑤消化器
⑥代謝系
⑦呼吸器
⑧腎・泌尿器
⑨内分泌系
⑩免疫系


第2部
くすりの効きどころがわかる
東洋医学の五臓・生命活動のとらえかた
(①〜④:千福貞博/⑤〜⑪:八幡曉直)

①弁証総論 漢方医学での病態生理のとらえかた
②八綱弁証
③六経弁証
④気血津液弁証
⑤臓腑弁証:総論
⑥臓腑弁証:肝
⑦臓腑弁証:心
⑧臓腑弁証:脾
⑨臓腑弁証:肺
⑩臓腑弁証:腎
⑪臓腑弁証 付録:「心包」と「三焦」

<はじめに>
西洋医学と東洋医学:連携と統合への第一歩

 「薬局」2024年9月増刊号『西洋医学×東洋医学―解剖生理で学ぶくすりの効きどころ―』を上梓することができました.本号は「西洋医学と東洋医学とがもつ病に対する姿勢を理解し,その調和を以て医療に資する」ことを目的としております.
 従来,西洋医学が疾患や病巣に対する集中的治療を重視した医療であったのに対し,東洋医学は自然の一部としての人体がもつ治癒能力を高めることで全身的治療を主眼におく医療,と言われてきました.そして,今日まで,両者の連携の必要性を感じながらも,全体的統合の実現に至らず,多くの医療関係者にとっても靴下瘙痒の感が拭えない状況が続いております.
 今日,当然のことながら,医学・医療には,西洋医学と東洋医学とが備える利点を互いに活用・補完することで,新たな科学としての医学を創造することが求められております.ともすれば即効性を求められる現代医療ですが,予後や経過を考慮しての治療がよりいっそう大切になってきていることを見逃してはなりません.「すぐに役立つ技術革新のみならず,洋の東西を問わず,未来を見据えた科学的視点を重視したい」そんな想いをこめて本号をお届けしたいと念じております.
 「くすり」は「病に効く奇すしきもの」すなわち「不思議な力を秘めたもの」とされ,中国から渡来した「薬」に当てはめられたとされています.「薬」には「病をつぶす草」「病平癒の祈祷に用いる草」「薬材を薬研で碾いたもの」などの意味が含まれているといいます.英語のpharmacyの語源であるギリシャ語のpharmakonにも「呪術やそれに用いる薬物」といった意味があるようで,古来,人々は病と対峙する際に「くすり」を用いていたことがわかります.
 本号では「くすりの効きどころ」に注目し,その西洋医学からみた人体の解剖生理の基盤,ならびに東洋医学からみた病態の弁証論治について解説を加えたものです.本号を繙いて頂き,西洋医学と東洋医学の連携・統合の手がかり・足がかりを一つでも見出して頂ければ,執筆者の一人として幸甚の至りであることを申し添えます.

2024年9月
松村讓兒


ようこそ! 奥深い漢方基礎医学の世界へ!!

 漢方初心者は「(西洋)病名」を決定して,相当する「(漢方)方剤」を一対一対応して投与します.たとえば,「こむら返りに芍薬甘草湯」や「機能性ディスペプシアに六君子湯」というパターンです.この手法は,正式な漢方用語にはありませんが,「方病相対」とも言うべきかたちになっています.周知のことかもしれませんが,前者の「こむら返り」治療のように,これで奏効する疾患もあります.しかし,日常に診療する疾患全体に本法を適応させても,その奏効率は決して高くはなりません.そこで,これを改善するために,患者の「証」を診て,それに合う漢方薬を選定する手法を取り入れるようになります.すなわち,独特の漢方問診と身体所見によって,それに適応する漢方処方を決定します.この方法で治療効果は飛躍的に向上し,日常診療ではまず困らなくなります.これを漢方用語で「方証相対」といいます.
 しかし,方証相対で治療し続けていると,今度は西洋医学で学んだように,「この薬剤がこの病態に効果をもたらした根拠は何であるのか」が知りたくなります.すなわち,本号のタイトル「くすりの効きどころ」に対する知的要求が芽生えます.しかし,これを理解するには相当の努力が必要です.その理由を説明しましょう.本文中でも触れましたが,西洋医学では解剖生理学や薬理学など基礎医学を学んでから臨床医学となります.一方,漢方医学では,これを逆行して臨床医学を先に学びます.なぜなら漢方の基礎医学は観念論的で,漢方の臨床経験がないと難解だからなのです.しかも指導医や流派によって,この基礎部分の解説は千差万別です.換言すると,漢方の基礎医学を先に学ぶと,頭が混乱するので後回しなのです.さらに,漢方薬理学,すなわち,「本草学」の多くの名著が現代語訳されておらず,とっつきにくいという背景もあります.
 本文では,漢方基礎医学に相当する「弁証・論治」を筆者の自己流で記載致しました.念頭に置いたことは,「現代の臨床現場や医学用語から離れないこと」,「比喩を使って,できるだけ簡明にすること」の2点です.したがって,他書とまったく異なった解説かもしれませんが,仏教用語でいう「方便(=教えを導く巧みな手段.真実の教法に誘導するための仮の方法)」である,と自負しています.ぜひ,本文を読んでから,奥深い漢方基礎医学の世界に足を踏み入れてください.

2024年9月
千福貞博


日常に垣間見える「臓腑弁証」

 このたびは南山堂さんからの依頼をいただき,「臓腑弁証」についての私なりの解説を執筆いたしました.
 そもそも,漢方の教科書で読んでいて辛い部分が,漢方診断の理論展開である「弁証」の項目です.「臓腑弁証」はそのなかの一形態です.
 他の「弁証」,たとえば「八綱弁証」が表・裏と寒・熱と虚・実と陰・陽を数値化に近い解析を行って,病態を座標で表して中庸なるバランスのとれた状態に向けるという,ある意味使い慣れた数学的な方法なのに対して,「臓腑弁証」は複雑怪奇であると述べても言い過ぎではありません.まず解剖学的な臓器と一致しない五臓[肝臓・心臓・脾臓・肺臓・腎臓],六腑[胆嚢・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦]の哲学的ともいえる定義をそのまま受け入れることから始めて(ここが一番高いハードルかも知れません),それらが複雑に絡み合う理論を「占いですか?」と評されそうな五行説(あらゆる物・事象は木・火・土・金・水のいずれかに属していて,その関係性からすべてが説明できるとする思想で,誕生したのは紀元前4〜5世紀ごろの中国の戦国時代とされています)に基づいて展開されるのですから,拒否感がわいてくるほうが当然かもしれません.
 しかしながら,日常生活のなかでのさまざまな経験を数千年の歴史のなかでもち寄ってでき上がったビッグデータから導き出された傾向は,時代が変わっても真実を述べていることが多いものです.季節がこのように乱れるとこんな疾患が増える,こういう偏った食生活だとこんな症状が起こる…これらの現象を,こういう気温ではこの「臓」が傷むからこんな病気が増える,とか,この味は過剰に摂取するとこの「臓」機能が過剰に亢進するのでこんな訴えになりやすい…という言葉で説明しているのが「臓腑弁証」だと思っていただくのがいいかも知れません.
 この「臓腑弁証」は,気合を入れて勉強するよりは,日常のなかで見聞きした「これとこれって関係あるのかな?」と思った事柄,つまり一見すると無関係に見えるのに巷でよく発生する「マーフィーの法則」のような経験があったとき,ふと思い出して紐解いてみると,この「臓腑弁証」の基礎になっている五行説で2000年以上前から言われている傾向と一致するのに気付いて興味がわくことがあります.筆者がそうでしたが,それから学び始めてハマってしまうのが,この「臓腑弁証」の正しい勉強法である気がします.
 この記述が皆さまのお役に少しでも立てば,幸いです.

2024年9月
八幡曉直
2,200円
特集テーマ:剤形蘊蓄 -コツコツ学ぶ,あしたの“剤テク”-

<特集の目次>
■特集にあたって(深水 啓朗)

■直面する疑問から学ぶ「経口剤」の剤テク
錠剤
・錠剤を粉砕するとどのくらいロスするの?(吉田 直樹 ほか)
・錠剤に「リン」が入ってるって本当?(安楽  誠 ほか)
・先発医薬品とジェネリック医薬品で,一包化・粉砕の可否に違いはあるの?(吉田 直樹 ほか)
・割線のある錠剤なら半錠にできますか?(吉田 直樹 ほか)
・乳糖不耐症の患者に乳糖が含まれている製剤を投与してもいいですか?(深水 啓朗)
・生菌製剤って抗菌薬と併用でどこまで生きているの?(吉田 直樹 ほか)
散剤
・混合した散剤の期限は何を目安にすればよいですか?(島﨑  学)
・分包機の使用後,特に丁寧に掃除するべき薬は?(島﨑  学)
水剤
・シロップ剤どうしの混合で配合変化はあるの?(山本 佳久)
・水剤の長期処方では,どのように交付したらよいの?(山本 佳久)

■直面する疑問から学ぶ「外用剤・注射剤」の剤テク
貼付剤
・貼付剤は切断してもよいの?(山本 佳久)
・成人と高齢者ではツロブテロールテープ貼付後の主成分の吸収は同等なの?(山本 佳久)
・同一成分でも剤形によって使用回数が異なるのはなぜ?(島﨑  学)
・貼付剤を長時間貼ると放出速度は下がる? 効果は変わらない?(島﨑  学)
・開封後はなるべく早く使用してっていうけど実際どれくらい?(島﨑  学)
軟膏剤
・皮膚外用剤の混合と安定性はどこに注目したらよいの?(山本 佳久)
・軟膏を基剤で希釈したらその分効力も弱くなる?(山本 佳久)
・液滴分散型軟膏とは?(山本 佳久)
点眼剤
・先発医薬品とジェネリック医薬品で,点眼容器に違いはある?(下川 健一)
・ゲル化する点眼剤の特徴は?(山本 佳久)
坐剤
・一度融解した坐剤は冷やして固めて使ってよいの?(山本 佳久)
・経口剤と坐剤の用量は同一なの?(山本 佳久)
吸入剤
・ネブライザー,pMDI,DPI,SMIは何が違う?(坂野 昌志)
・ネブライザーで使用する溶解液の種類は違っても大丈夫?(坂野 昌志)
・吸入液どうしを混合しても大丈夫?(坂野 昌志)
注射剤
・中心静脈栄養(TPN)の側管から脂肪乳剤を投与してもいい?(吉田 直樹 ほか)

■直面する疑問から学ぶ「処方薬選択」の剤テク
・フォーミュラリ導入のメリットは? 課題は? ─処方薬選択の観点から─(百  賢二 ほか)
・先発医薬品からジェネリック医薬品に変更する際の注意点は?(百  賢二 ほか)
・先行バイオ医薬品からバイオシミラーに変更する際の注意点は?(百  賢二 ほか)
・ビスホスホネート製剤の剤形選択のポイントは?(百  賢二 ほか)

<シリーズ>
■えびさんぽ
 医薬品の製剤学的な違いは薬剤効果にも影響しますか?
 (青島 周一)

■ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣ビフォーアフター
 〈第9回〉“漫然処方”に陥りやすい漢方薬
 ポリファーマシー処方の思わぬ落とし穴
 (津田 篤太郎)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
 ・レスベラトロール併⽤でセレコキシブの⾎中濃度上昇
 ・⾼齢者の運転能⼒に影響する服⽤薬
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

■ガチではじめる マジでわかる 経口抗がん薬
 経口抗がん薬の客観的アドヒアランス評価
 (川上 和宜)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
 〈第21回〉ファモチジン製剤(細粒およびOD錠)
 (小嶋  純 米子 真記)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈参拾参ノ型〉重症患者の栄養療法は急性期から積極的に介入せよ!
 (大久保 綾香)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
 〈第33回〉だまされたと思って飲みなさい
 (大西 伸幸)

<巻頭言>
本誌の誌名である「薬局」の英訳といえば,一義的にpharmacyで異論ないと思われるが,「薬学」の英訳にはpharmaceuticsも散見され,これは「製剤学」の訳語でもある.歴史的には薬局において,粉末の散剤や液剤が調合(compoundingと称される)されていたことから,薬局の代表者を意味するpharmacistは本来,製剤学を駆使できて当然の時代があった(はずである).製剤化技術の発展とともに,錠剤に代表されるready-to-useの便利な製剤が数多く実用化されてきたが,患者さんの手に渡る直前まで,製剤の品質に責任をもつのが薬剤師であることに変わりはない.
臨床上,特に調剤の現場では製剤学の知識が役に立つ場面にしばしば遭遇する(と聞いている).例えば,錠剤のつぶし(粉砕)や脱カプセル,あるいは医薬品の一包化などについては,製剤学の知識が不足していても,それらの可否を簡便に判断できるハンドブックが存在する.ただ,その一方で,新たな製剤,特にジェネリック医薬品は無数の製品が市場に流通するのが現状である.それらの組み合わせ(複数種の混合)も考えれば,ハンドブックではタイムリーなアップデートに限界があるのは自明である.そこで,製剤学の知識があれば,製薬企業に問い合わせをせずとも解決できることがあるだろう.
本特集では,病院薬剤師,保険薬局の薬剤師および研究者の立場より,問題解決に製剤学の知識が求められる臨床上の疑問を選出し目次を構成した.それぞれの疑問について,正確な調剤や服薬指導および服薬支援につながる剤形の取り扱いテクニック,「剤テク」を剤形ごとに取りまとめた.読者のみなさまには,明日からの薬剤師業務に活用いただくとともに,臨床での製剤学の重要性を実感できる特集となれば幸甚である.

明治薬科大学 分子製剤学研究室 教授
深水啓朗
2,200円
特集テーマ:もっと抗菌薬が好きになる 微生物学検査の活かし方

<特集の目次>
■特集にあたって(坂野 昌志)

■もしも微生物検査を正しく診ていなかったら (奥平 正美)

■微生物検査の流れを理解し,治療にアプローチしよう!
 ・微生物検査の流れ (梅村 拓巳)
 ・微生物検査中に実施する抗菌薬療法の基本 (梅村 拓巳)
 ・微生物検査結果を正しく解釈しよう (酒井 義朗)
 ・微生物検査とともに確認すること (酒井 義朗)
 ・検出菌が明らかでないときの原因は? (奥平 正美)

■検査結果を解釈しよう! 検体別にみる抗菌薬の選択の考え方
 ・尿路感染症・腎盂腎炎 (岩田 聡)
 ・敗血症 (坂野 昌志)
 ・肺 炎 (吉村 昌紘)
 ・細菌性髄膜炎 (加藤 一雲)
 ・骨・関節感染症 (塩田 有史)
 ・腹腔内感染症 (浦上 宗治)
 ・胆管炎・胆嚢炎 (中根 茂喜)
 ・皮膚軟部組織感染症 (影本 渉 ほか)
 ・感染性心内膜炎 (澤田 和久)
 ・発熱性好中球減少症 (和知野 千春)
 ・結 核 (稲垣 孝行)
 ・HIV感染症 (石原 正志)

<シリーズ>

■ガチではじめる マジでわかる経口抗がん薬
 イブランス®(パルボシクリブ)の口内炎
 (高山 慎司)

■えびさんぽ
 抗菌薬の適正使用をプライマリ・ケアでどのように実践したらよいですか?
 (青島 周一)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
 ・ビタミンK拮抗薬とSSRI併⽤で出血リスクが高まる
 ・急性腎障害の発症と関連する薬剤
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
 〈第32回〉薬剤師が手術室で…何をするんですか?
 (篠田 康孝)

■ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣ビフォーアフター
 〈第8回〉漢方歳時記 季節が変われば処方も変わる
 (津田 篤太郎)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
 〈第20回〉フェロベリン®配合錠
 (小嶋  純 米子 真記)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈参拾弐ノ型〉薬の副作用は飲んで起こるものだけ?常に疑いの心をもて!!
 (渡辺 俊輔)

<巻頭言>
2016年に策定された『薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン(2016-2020)』では,①普及啓発・教育,②動向調査・監視,③感染予防・管理,④抗微生物薬の適正使用,⑤研究開発,⑥国際協力の6分野がAMR対策の目標として示されました.実際にはAMR対策アクションプラン策定前から多くの薬剤師が抗微生物薬使用量の動向を把握し,抗微生物薬適正使用に取り組んでおり,さまざまな成果を報告していました.そのため,AMR対策アクションプランによって薬剤師の活動に劇的な変化があったわけではありません.しかし,国主導の指針が示されたことで活動に弾みがついたのは間違いなく,多くの医療機関で抗菌薬適正使用支援チーム(AST)が設置され,薬剤師が中心となった業務が展開される契機になりました.
ASTでは,抗微生物薬使用患者のリストアップ,微生物検査を中心とした各種検査結果の把握,担当医・病棟薬剤師・看護師などからの情報収集を行った後,ラウンドを実施し,必要に応じてde-escalationを中心とした抗微生物薬の提案が薬剤師の基本業務になることが多いと思われます.AMR対策アクションプラン策定以降,規模や深度を問わず,各医療機関で薬剤師のAST業務が定着しつつありますが,さらに業務を発展させるためには,抗微生物薬や微生物検査結果のみに目を向けるのではなく,感染症を評価する段階から関わることができる薬剤師を増やすことが必要です.そのためには,感染症が疑われる患者の微生物検査の結果や微生物検査以外に必要とされる検査を理解し,必要に応じて医師に検査オーダーを依頼できる知識を身につけることが求められます.
そこで,本特集では,第一線で活躍されている薬剤師の先生方に微生物検査の考え方,各感染症で必要とされる微生物検査以外の検査と考え方などについて事例を交えながら解説いただき,感染症の検査について理解を深める内容を企画しました.各項目で提示された各種検査の詳細は誌面の都合上省略しているため,詳しくは大曲貴夫先生監修の『薬剤師が知っておきたいチーム医療実践のための感染症検査』(南山堂)をご参照いただければと思います.
また,薬剤師のAST業務のための知識は決して感染関連の認定資格をもつ薬剤師だけのものではなく,入院患者の感染症治療に関わる病棟薬剤師にとっても不可欠です.ぜひ,本特集を感染症への関与の入り口としてお役立ていただき,「感染症治療はASTの薬剤師に任せる」のではなく,すべての薬剤師が感染症治療に貢献できるようになることを願っています.

名古屋セントラル病院 薬剤科 副薬剤長
坂野昌志
2,200円
特集:Hey 薬剤師外来 -「外来診療の質を上げる方法を教えて」-

<特集の目次>
■特集にあたって(川上 和宜)

■始動,薬剤師外来 ─外来診療の質を上げるひとつの方法
 ・「医師の働き方改革」元年タスク・シフト/シェアで拡大する薬剤師業務(近藤 直樹)
 ・薬局,薬剤師をドラスティックに変える─“問題児”敷地内薬局を起点につながるバトンリレー─(玉田 慎二)
 ・薬剤師の働きがい改革! 楽しい薬剤師外来ライフ(川上 和宜)

■ビルドアップ,薬剤師外来 ─外来診療のクオリティ向上に取り組む
 ・特定機能病院(大学病院)での取り組み(五十嵐 保陽 ほか)
 ・特定機能病院(専門病院)での取り組み(青山  剛)
 ・一般病院(200床以上)での取り組み(宇佐美 英績)
 ・一般病院(200床未満)での取り組み(大西 順子)
 ・診療所での取り組み(前堀 直美 ほか)

■チェンジ,外来診療 ─「薬剤師外来」のリアル15
 ・がん薬物療法外来-胃がん SOX+ニボルマブ療法の副作用管理(新井 隆広)
 ・がん薬物療法外来-大腸がんCAPOX+ベバシズマブ療法における副作用評価のポイント(横山  敦)
 ・がん薬物療法外来-肝細胞がん アテゾリズマブ+ベバシズマブ療法の有害事象管理(稲垣 貴士 ほか)
 ・がん薬物療法外来-膵臓がん ゲムシタビン+ナブパクリタキセル療法の副作用管理(合津 貴志)
 ・がん薬物療法外来-乳がん アベマシクリブ療法の多様な副作用管理(高田 慎也)
 ・がん薬物療法外来-婦人科がん TC療法の副作用管理(副島  梓)
 ・がん薬物療法外来-前立腺がん エンザルタミドの服薬指導(池末 裕明 ほか)
 ・がん薬物療法外来-甲状腺がん 甲状腺がん治療におけるレンバチニブ使用患者を例に(末永  亘)
 ・HIV外来 持効性注射製剤の導入管理(長島 浩二)
 ・リエゾン精神科での薬剤師外来(進  健司 ほか)
 ・吸入指導外来 継続使用可能なデバイスを提供・評価する(坂野 昌志)
 ・特発性肺線維症の薬剤師外来 抗線維化薬による副作用のセルフマネジメントを支援する(薩摩 由香里 ほか)
 ・炎症性腸疾患外来 患者エンゲージメントを高める薬剤選択(平田 一耕)
 ・緑内障外来 点眼剤の適正使用とアドヒアランスの確保(平野 達也)
 ・術前外来 人工膝関節置換術予定患者の入退院支援(有澤 礼子 ほか)

<シリーズ>
■ガチではじめる マジでわかる経口抗がん薬
ティーエスワン®(テガフール,ギメラシル,オテラシルカリウム)の悪心・嘔吐
(村田 勇人)

■えびさんぽ
外来患者に対する薬剤師の介入には,どのような効果が期待できますか?
(青島 周一)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
・SNRIによる⼝渇のリスク
・PPIで薬剤耐性腸内細菌の獲得リスクが上昇
(佐藤 宏樹 澤田 康文)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
〈第19回〉プリンペラン®錠5
(小嶋  純 米子 真記)

■ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣ビフォーアフター
〈第7回〉妊娠出産を考えている人への漢方処方 駆瘀血剤の使い方・切り替え方
(津田 篤太郎)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
〈参拾壱ノ型〉食欲低下!? ポリファーマシーが要因か検討せよ!
(武藤 浩司)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
〈第31回〉もの言う薬剤師のススメ
(大森 智史)

<巻頭言>
2024年度の診療報酬改定でがん薬物療法体制充実加算が新設されました.内容は「薬剤師が医師の診察前に患者から服薬状況,副作用などの情報収集・評価を実施し,情報提供や処方提案などを行ったうえで,医師がそれを踏まえてより適切な診療方針を立てられる体制を整備する」とされており,薬剤師の活動が保険点数で評価されました.いわゆる,がん領域における薬剤師外来が評価されることとなり,この業務は今までの服薬指導とは大きく変わると思っています.現在行われているがん領域での薬剤師外来では,薬剤師が患者と面談して患者の訴えや検査値から副作用重症度評価を行い,抗がん薬の休薬や減量,支持療法薬の提案などを自分で考え判断し,医師と協働してがん薬物療法を実施します.患者さんとより近く,顔をあわせて行う業務であり,自分で考え判断する責任とともにやりがいを強く感じる業務です.
薬剤師外来は,副作用が多種多様ながん薬物療法を対象に始まっていますが,HIV治療や炎症性腸疾患治療などで取り組んでいる施設もあります.薬物療法は年々複雑化しており,副作用マネジメントが難しい治療にこそ薬剤師が必要とされていると思います.
今回は,薬剤師外来をテーマにその領域のトップランナーの先生方に執筆していただきました.特に,薬剤師外来の設置にあたりどのように始めたのか,そしてどのように質向上を行ったのかに焦点を絞った項目が本誌に含まれています.今まで行っていない新しい業務を開始することに,いろいろと困難があるのは一般的なことです.ただし,患者さんにより質の高い薬物療法を提供するという薬剤師の活動の目的を共有して,多くの困難を解決していければと考えています.入院時の患者ケアについては,病棟に常駐している薬剤師が主に関わることで薬物療法の質の担保ができるようになってきました.今後は,外来で行われる薬物療法に対して,薬剤師外来がないと安全かつ有効な薬物療法を提供できないと,患者さんや医療従事者,社会から評価される体制を皆さんとともに作っていければと考えております.

がん研有明病院 薬剤部 調剤室長
川上和宜
2,200円
特集テーマ:加算算定までつなげる! 外来がん治療の「病-薬連携」

<特集の目次>
■特集にあたって (山口 正和) 

■外来がん薬物療法を支える! 薬剤師業務の「2本柱」(川上 和宜) 

■「連携充実加算-特定薬剤管理指導加算2」からみた薬剤師業務の未来予想図
 ・病-薬連携の整備 ─ツ・ナ・ガ・ロ・ウのサイン─ (安島 亜矢子)
 ・病院発信情報を活用した患者フォローアップ ─テ・ヲ・ム・ス・ブのサイン─ (村田 勇人)

■第一の薬剤師業務の柱 ─「アドヒアランス評価」の基本─
 ・経口抗がん薬の初回服薬指導で留意すること (金子 睦志)
 ・外来で起きる服薬エラーの探り方 (鍛治園 誠 ほか)
 ・アドヒアランス評価の意外な落とし穴 (坂本 靖宜 ほか)

■第二の薬剤師業務の柱 ─「副作用評価→支持療法薬・用量変更の提案」の基本─
 ・「副作用重症度評価」はじめの一歩① グレード0・1を重篤化させない (小澤 有輝)
 ・「副作用重症度評価」はじめの一歩② 休薬? 継続? グレード2を判定する (葉山 達也)
 ・抗がん薬の減量を考慮すべき状態と用量変更のポイント (菅野 雄太)
 ・支持療法薬でサポートする副作用と薬剤選択のポイント (菅野 雄太)
 ・支持療法薬の必要性を判断するタイミングとその止め方 (中島 寿久)

■加算算定につなげる文書の作り方・書き方・使い方
 ・がん薬物療法の情報提供書の作成方法と保険薬局での活用方法 (山本 圭祐)
 ・保険薬局におけるがん薬物療法のトレーシングレポートの作成方法 (山本 圭祐)

■外来頻用レジメンの「病-薬連携管理」 ─加算算定までつながった実例集
 ・S-1による流涙
  ─治療レジメン:胃がんSOX療法─ (越智 良明)
 ・分子標的薬中止による低血圧 
  ─治療レジメン:ベバシズマブ+CAPOX療法─ (小林 一男)
 ・高度催吐性リスクレジメンの悪心・嘔吐および支持療法による副作用
  ─治療レジメン:ddEC療法─ (菊池 健 ほか)
 ・治療完遂へのアプローチ:発熱性好中球減少症対策
  ─治療レジメン:TC療法─ (田頭 尚士)
 ・サイクリン依存性キナーゼ4/6阻害薬による静脈血栓塞栓症
  ─治療レジメン:アベマシクリブ+レトロゾール併用療法─ (伊勢崎 竜也)
 ・相互作用と好中球減少対策
  ─治療レジメン:パルボシクリブ+レトロゾール療法─ (妹尾 啓司)
 ・食欲不振・味覚障害による血糖変動
  ─治療レジメン:GnP療法─ (稲野 寛)

<シリーズ>
■ガチではじめる マジでわかる 経口抗がん薬
 ベージニオ®(アベマシクリブ)の下痢
 (葉山 達也)

■えびさんぽ
 薬やサプリメントでがんは予防できますか?
(青島 周一)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
〈第30回〉A薬とB薬,どっちが強い?
(髙島 英滋)

■現場で働く薬剤師のための 臨床薬学研究のオモテ・ウラ
  臨床研究をやるための覚悟
(大井 一弥)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
〈第18回〉ポララミン®錠2mg
(小嶋  純 米子 真記)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
〈参拾ノ型〉平時から災害を意識せよ!
(栗原 弘紀 鈴木 善樹)

■ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣ビフォーアフター
〈第6回〉漢方治療中に出現した検査値異常
基本的な考え方と実用的アプローチ
(津田 篤太郎)

<巻頭言>
がん領域における薬物治療(化学療法)は,新規医薬品の開発による治療技術の進歩,患者のQOLの向上,医療費の削減,医療機関のリソースの有効活用,患者からのニーズなどの理由により入院から外来へ大きくシフトしています.
そのような背景のなか,病院と薬局が連携し,より効果的な医療サービスを提供する取り組みが注目されています.この「病-薬連携」は,患者の治療効果や安全性を向上させるだけでなく,医療コストの削減にもつながる画期的なアプローチです.
効果的な病-薬連携を行うためには,①アドヒアランスの評価,②副作用の評価,をいかに効果的に実施できるかが薬剤師に欠かせないスキルとなります.アドヒアランスの評価では,治療の進行や予後,副作用の管理方法などについて,患者や家族に適切に説明し,治療に対する不安や疑問を解消することが重要です.また,副作用の評価では,有害事象共通用語規準(CTCAE)を活用した副作用重症度評価によるグレード分類が用いられ,その判定により休薬,減量,中止などが決定します.
これらのスキルを駆使して課題解決に取り組むことにより,多職種からなるがん治療において薬剤師の存在価値がさらに向上することにもつながると考えています.
そして,診療報酬上では,患者のよりよい治療成果を目指し外来がん治療の質を向上させる観点から,連携充実加算,特定薬剤管理指導加算2が設置されており,病院および保険薬局それぞれで算定が可能となっています.
病-薬連携の重要性は,患者の病状や薬物療法に関する情報を双方向で共有することにあります.病院での診断や処方に基づいて薬局が適切な薬剤を調剤し,患者に正しい服薬指導を行うことで,治療の効果を最大化し副作用を最小限に抑えることが可能となります.
このように,病-薬連携は医療現場全体の連携強化や,患者中心の医療提供に向けた重要な取り組みであるといえます.今後も情報技術の進化や医療制度の改革を踏まえながら,病-薬連携の推進により,より質の高い医療サービスを提供し,患者の健康増進に貢献していきたいと考えます.
本特集の企画では,診療報酬・調剤報酬改定で期待されている薬剤師の役割を今後さらに発展させるにはどうしたらよいかを考える契機として,また実践する指針として,がん薬物療法分野にてご活躍の先生方に,外来がん治療に介入するポイントや注意点,病院から提供される情報の活かし方,薬局から病院へ患者情報をフィードバックするコツなどを解説していただきました.
病-薬連携を推進するとともに連携の質向上を目指し,よりよい治療を患者に提供できるように取り組むための参考としてご活用いただけましたら幸いです.

がん研究会有明病院 院長補佐/薬剤部長
山口正和
2,200円
特集テーマ:腸内細菌となかよく -生きて腸までとどく薬学管理-

<特集の目次>
■特集にあたって(金  倫基)

■薬剤業務に生きてはたらく! 腸内細菌Q&A
・腸内細菌とヒトとのかかわり篇(野本 康二)
・プロバイオティクス・プレバイオティクスのしくみ篇(伊藤 雅洋 ほか)
・整腸薬の使いかた篇(児島 悠史)
・食品・食事のすすめ篇(井上  亮 ほか)

■腸内細菌の生態,人体とのかかわりを探る!
・腸内細菌の暮らしをひもとく(小田巻 俊孝)
・腸内細菌の代謝産物のはたらき(池田 貴子 ほか)
・腸内細菌の免疫系へのかかわり(杉原 康平 ほか)
・腸内細菌の影響を受けるくすり ─腸内細菌と「くすりのかたち」の関係─(浅井 考介 ほか)
・コラム 免疫チェックポイント阻害薬と腸内細菌(倉増 敦朗 ほか)
・皮膚常在細菌叢のはなし(松岡 悠美)
・口腔常在細菌叢のはなし(多田 浩之)

■腸内細菌叢のバランスが変化するとき,くすりと治療
・腸内細菌叢に最も影響を与えるのはくすりです,影響度の高いくすりとは?(永田 尚義)
・薬剤師のためのClostridioides difficile感染症(CDI)のはなし(森永 芳智)
・腸内細菌と経腸・静脈栄養 ─救急・集中治療領域における腸内細菌叢と腸管内治療─(清水 健太郎)

■腸内細菌の知識を活かして,患者の健康を支える!
・整腸薬・プロバイオティクス食品を活用する(藤戸 淳夫)
・腸内環境を整える食事のはなし(金  倫基)
・腸内細菌叢検査のこれから(黒川 李奈 ほか)

<シリーズ>
■ガチではじめる マジでわかる 経口抗がん薬
 ゼローダ(カペシタビン)のピリピリ感
 (郷 真貴子)

■えびさんぽ
 プロバイオティクスには,どのような効果が期待できますか?
 (青島 周一)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
 ・緑茶でラロキシフェンの⾎中濃度が低下
 ・薬局での運動の声かけでフレイル予防の可能性
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
 〈第17回〉オラペネム小児用細粒10%
 (小嶋  純 米子 真記)

■ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣ビフォーアフター
 〈第5回〉めまい・冷えに対する処方の使い分け
 「実証」・「虚証」を生薬ベースで理解する
 (津田 篤太郎)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
〈第29回〉オンラインでの退院時共同指導
 (中嶋 亜紀)

■現場で働く薬剤師のための 臨床薬学研究のオモテ・ウラ
 〈第29回〉ベテラン薬剤師が研究を始めるためのオモテ・ウラ
 (大井 一弥)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈弐拾玖ノ型〉高齢化により増加するcommon disease 心房細動を管理できる薬剤師を目指せ!
 (相川 祐貴)

<巻頭言>
整腸薬やプロバイオティクス食品が広く普及し,腸内環境が健康の維持・増進に重要であるという考え方が一般的なものとなるにつれて,腸内細菌は一般の人々にとっても身近な存在となってきた.薬局やドラッグストアなどで,患者さんから腸内細菌やプロバイオティクスについて相談を受けたことのある薬剤師の方も多いのではないだろうか.抗菌薬をはじめとして,プロトンポンプ阻害薬(PPI)やメトホルミンなど,日常的に使用される薬剤のなかで,腸内細菌叢に影響を与えるものがある.また今後,腸内細菌についての研究が進展し,病院や薬局などにおける腸内細菌叢検査の普及なども期待されるなかで,薬剤師に腸内細菌の知識が求められる場面は増えていくと考えられる.
ヒトの腸内には数百種類,100兆個ほどの腸内細菌が生息している(腸内細菌叢).腸内細菌叢は,ヒトが摂取した食物の一部を栄養源にすることで,腸内での生存を果たすとともに,生存過程で産生される菌体成分や代謝物を介してヒトの免疫系・代謝系・神経系などに作用し,宿主生理機能の向上に寄与している.また,腸内細菌叢は,薬剤や食事療法の効果にも影響を与える可能性が示唆されている.各腸内細菌は異なる菌体成分・代謝能を有しているため,腸内細菌叢の構成変化は,腸内の菌体成分や代謝物の組成を変動させ,その結果,宿主生理機能にも影響を及ぼす.そのため,整腸薬やプロバイオティクスに関する知識に加え,腸内細菌の機能,腸内細菌叢に影響を与える因子についても,薬剤師としてしっかりと理解しておくことが重要である.
そこで本特集では,整腸薬の薬学的管理や食事指導,プロバイオティクス食品の適切な使用についての患者さんへのアドバイスなど,臨床ですぐに活かせる実践的な知識,そして今後薬剤師に必要とされるであろう,腸内細菌についての基礎知識から最新知見を両輪として企画した.薬剤業務に活かせる腸内細菌についてのQ&Aを冒頭に掲載し,各テーマについての詳細な内容を以降の各項目で解説いただく構成となっている.
本特集が薬剤師の方々にとって腸内細菌についてあらためて学ぶ機会となり,薬物療法だけでなく食事や生活習慣の改善などを通じて,患者さんの健康をサポートするきっかけとなれば幸いである.

北里大学薬学部 微生物学教室 教授
金  倫基
2,200円
特集テーマ:ストップ!CKD -「腎臓を守る」包括的な視点-

<特集の目次>
■特集にあたって(丸山 徹,渡邊 博志)

■腎不全から学び直す! CKD管理の基本
・腎機能がゼロになったらどうなる? どうする?(市川 一誠 ほか)
・腎機能を悪化させない管理とは?(北川 清樹)
・薬剤師が活用する! エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023(深水  圭)

■○○とCKDの深い関係 薬学管理が必要な理由
・高血圧(鈴木 大介)
・心不全(古久保 拓)
・糖尿病(等 浩太郎 ほか)
・電解質異常(林 八恵子)
・腎性貧血(岡田 直人)
・骨代謝異常(浦田 元樹)
・便秘症(平田 純生)

■1分で守る腎臓 CKDと栄養・生活習慣のはなし
・栄養管理をサポートする(森住  誠)
・生活習慣をサポートする(米良 真理)

■中等度・重度CKDでの処方のトリセツ
・腎排泄型薬剤の処方(磯野 哲一郎)
・AKIを引き起こす可能性のある薬剤の処方(西村 文宏)
・3剤以上の降圧薬の処方(町田 聖治)
・「ファンタスティック・フォー」の処方(櫻下 弘志)
・低血糖を引き起こす可能性がある処方(新井 さやか)
・事前にシックデイの説明が必要な処方(秋吉 明子)
・転倒リスクを増す処方(丸岡 弘治)
・PPIの長期処方(門村 将太)

シリーズ

■えびさんぽ
 薬物治療でCKDの進行は抑えられますか?
 (青島 周一)

■ガチではじめる マジでわかる 経口抗がん薬
 ・経口抗がん薬の主観的アドヒアランス評価
 (川上 和宜)
 ・患者と向き合う 始める続けるトリセツ
 (郷 真貴子)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
 ・5α還元酵素阻害薬と前⽴腺がんとの関連はない
 ・抗精神病薬の抗コリン作⽤と認知機能低下との関連
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

■飲み合わせ研究所子どもの服薬Tips
 〈第16回〉ラミクタール錠小児用5mg
 (小嶋  純 米子 真記)

■ぐっとよくなる! 漢方処方快訣ビフォーアフター
 〈第4回〉「老い」による症状への漢方の使い分け
 地黄を含む漢方処方の活用法と注意点
 (津田 篤太郎)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
 〈第28回〉新たな診断基準? がん悪液質の早期発見に向けて
 (山田 友奈美)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈弐拾捌ノ型〉法的規制のある薬剤の取り扱いについて正しく情報提供せよ!
 (彦坂 麻美)

■現場で働く薬剤師のための臨床薬学研究のオモテ・ウラ
 〈第28回〉時間管理のオモテ・ウラ
 (大井 一弥)

■レポート
 日本臨床腫瘍薬学会 海外研修派遣事業 ─概要と2024年度の募集─
 (太田 貴洋 出町  健)

<巻頭言>

慢性腎臓病(CKD)はわが国において成人の8人に1人が罹患しているとされ,身近な疾患の一つです.すでに低下した腎機能の回復は難しく,患者のQOLを保つためには,いかに腎機能を低下させずに,日常生活を送るかが鍵となります.腎臓は高血圧や心不全,糖尿病などのさまざまな疾患から影響を受けてその機能が低下します.一方,腎機能低下は他臓器にも影響を与えて,心血管疾患,骨・ミネラル代謝異常,腎性貧血,サルコペニアなどの合併症を発症します.したがって,腎機能低下を防ぐためには,その病態生理や合併症を理解し,包括的な視点からのサポートが欠かせません.
そこで今回は,第一線で活躍されている先生方に腎臓の役割・機能を理解したうえで行う薬学的介入について解説いただきました.「腎機能とは何?」「腎機能と疾患との関係は?」という病態の理解につながる基礎から,腎機能低下を防ぐための治療目標や,薬物治療が必要とされる患者の薬学管理上の注意点など,CKD患者をサポートするうえで必要不可欠なポイントを記しています.
本特集の構成としてはまず,『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023』について,薬物療法に関連するエビデンスの概要/CKD診療をサポートするために,薬剤師におさえてほしい・活用してほしいガイドラインの内容を解説いただきました.次に,薬剤師が服薬指導を行う際に,知っておくべき腎臓と他臓器の関係や栄養管理,生活習慣のサポートについて解説いただきました.最後に「中等度・重度CKDでの処方のトリセツ」として,腎排泄型薬剤の処方,急性腎障害を引き起こす可能性のある薬剤,転倒リスクのある処方などについて,疑義照会のポイントやポリファーマシー対策も含めて,薬学管理上の留意点を記載しています.
本特集が腎機能低下を防ぐための長期的な薬学的管理,その一歩を踏み出すための一助になれば幸いです.

熊本大学大学院生命科学研究部(薬学系)薬剤学分野 教授
丸山 徹
熊本大学大学院生命科学研究部(薬学系)医療情報薬学分野 教授
渡邊博志
3,300円
特集テーマ:みえる!わかる!精神科のくすり

<特集の目次>
第1章 精神科のくすり一覧
 抗精神病薬
 抗うつ薬
 気分安定薬
 精神刺激薬
 ADHD治療薬
 抗不安薬
 睡眠薬
 認知症治療薬
 中毒治療薬

第2章 精神疾患と薬物療法
 01抗精神病薬
 02抗うつ薬
 03気分安定薬
 04抗不安薬
 05睡眠薬
 06ADHD治療薬
 07依存症治療薬(アルコール,ニコチン)
 08認知症治療薬
 09精神科領域で使われる漢方薬

第3章 用語解説
 01中枢神経系の神経伝達物質
 02ドパミン
 03ドパミン受容体
 04ノルアドレナリン(アドレナリン)
 05アドレナリン受容体
 06セロトニン
 07アセチルコリン
 08アセチルコリン受容体
 09ヒスタミン
 10グルタミン酸
 11GABA
 12脳の解剖学
 13情動に関わる脳の領域
 14睡眠・覚醒に関わる脳の領域
 15血液脳関門の役割
 16運動調整に関する脳領域
 17脳や神経系に作用する物質
 18カフェイン
 19アルコール
 20ニコチン

薬剤索引

<序文>
 2025年をめどに地域包括ケアシステムの実現がすすむなかで,“精神障害にも対応した地域包括ケアシステム”,通称「にも包括」が並行して構築されます.また,精神科医療が進歩し,社会保障が整備されることによって,外来で治療を継続できる精神疾患患者は年々増えています.これに伴い,精神科の医療を取り巻く環境が大きく変わろうとしています.今後,地域において薬剤師が精神疾患患者と接する機会がより多くなり,また,関わり方はより深くなっていくことが予想されます.
 しかし,一般科の薬剤師からは,精神科の処方箋を受けることに対して苦手意識があるという声がたくさん聴こえてきます.苦手な理由として,精神科の処方箋は,①内容を確認しても疾患名・病態がはっきりわからない,②多剤大量処方,適応外使用,同効薬の併用などの煩雑な処方内容が多くて医師の処方意図がわかりにくい,などがあげられています.
 また,入院時の持参薬に精神科のくすりが含まれる場合,精神科がない病院では類似薬への切り替えや中止の判断が難しく,そもそもどうして服用しているのかを考えあぐねる,という声もたくさん聴きます.また患者とのコミュニケーションでも,①患者さんにどのように質問すればよいかわからない,②聞き取った情報をどう生かせばよいかわからないなど,対応に困ったり,悩んだりする方も多いようです.
 今回の増刊号では,臨床でよく見かける精神科の病気とくすりへの対応を,自信がない薬剤師の方々にもご理解いただけるように,精神科で活躍中の執筆者に“まるっ”とまとめていただきました.第Ⅰ部では,精神科のくすり一覧として,各薬剤のエッセンスを“ぎゅっと”詰め込みましたので,業務のなかで日常的に使用していただけると思います.第Ⅱ部では,精神疾患に用いられるくすりについて,改めて振り返るために整理・解説しました.第Ⅲ部では精神科に関わるキーワードについて初学者にも理解できるように解説しました.本書を通じて,精神科処方箋に苦手意識を持っている読者の皆さまが,精神疾患患者の薬物療法にも自信をもってサポートできるようになっていただければ幸いです.

2024年3月
編者を代表して
鈴鹿医療科学大学薬学部 教授
三輪高市
2,200円
特集テーマ:微量元素みいつけた -解剖生理・疾患・くすりと食品にクローズアップ!-

<特集の目次>
■特集にあたって(佐々木 雅也)

■ヒトのからだに微量元素が必要なワケ
・おさらい! 栄養素の消化・吸収と食物のゆくえ(馬場 重樹 ほか)
・微量元素の吸収から排泄までのうごき(大村 健二)
・微量元素の体内でのはたらき(柳澤 裕之)
・コラム:金属タンパク質と金属酵素(原  貴史 ほか)
・コラム:抗酸化作用と微量元素(児玉 浩子 ほか)
・微量元素の体内量を表す検査値(小山  洋)

■場面別! 知っておきたい欠乏症とその予防・治療の方法
・消化器疾患(吉留 佑太 ほか)
・肝疾患(華井 竜徳 ほか)
・腎疾患と透析患者(脇野  修 ほか)
・妊娠と授乳(望月 琴美 ほか)
・静脈栄養時(増本 幸二)
・経腸栄養時(湧上  聖)
・くすりによる欠乏(田中 裕也)

■ここにも,あそこにも! 医薬品・食品の中の微量元素
・経口鉄剤,比べてみました(横井 正之)
・微量元素をくすりとして用いる(神谷 貴樹)
・食事とミネラル(中村 丁次)
・経口的栄養補助(ONS)と微量元素(東 敬一朗)
・サプリメントと微量元素(児島 悠史)

<シリーズ>
■えびさんぽ
 微量元素は積極的に摂取した方がよいですか?
 (青島 周一)

■現場で働く薬剤師のための臨床薬学研究のオモテ・ウラ
 〈第27回〉一人薬剤師が研究を立ち上げるためのオモテ・ウラ
 (大井 一弥)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
 〈第15回〉タリオン ®錠10mg
 (小嶋  純,米子 真記)

■ぐっとよくなる! 漢方処方快訣ビフォーアフター
 〈第3回〉抑肝散の子母同服 家族を治療する場合の注意点
 小児の薬用量 子どもが薬を飲んでくれないとき
 (津田 篤太郎)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
 ・ST合剤併用でミコフェノール酸の血中濃度が低下
 ・コロナワクチンの副反応とノセボ効果
 (佐藤 宏樹,澤田 康文)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈弐拾漆ノ型〉配合変化だけではなく薬理作用やデバイスの特性も考慮せよ!
 (大西 敦子)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
 〈第27回〉異論・反論・オブジェクション!
 (大西 伸幸)
2,200円
特集テーマ:子どものためのステロイド外用剤のレシピ

<特集の目次>
■特集にあたって (大谷 道輝)

■巻頭カラー写真

■数字でみるステロイド外用剤─薬剤選択・情報提供の裏付けとなる薬学的データ
 ・吸入剤 (坂野 昌志)
 ・皮膚外用剤 ─適応と使い分け─ (玉城 善史郎)
 ・皮膚外用剤 ─適正使用と患者説明─ (大谷 道輝)

■ステロイド外用剤の子どもに対するネガティブ情報との付き合い方
 ・成長障害への不安のスキマを埋める (田中 諒 ほか)
 ・知らぬ間に進行する副作用の情報を共有する─骨粗鬆症・眼圧上昇を例に─ (栁原 茂人 ほか)
 ・局所副作用への不安によるノンアドヒアランスへの対処 (福家 辰樹)

■ポイント整理! 子どもの気管支喘息とステロイド吸入剤
 ・病態・臨床像の特徴・治療方針の成人との違いは? (原田 桂作 ほか)
 ・子どもに適応のあるステロイド吸入剤は? そのエビデンスは? (勝 弘毅)
 ・乳児・小児・成人期での長期管理薬の選び方・使い方の違いは? (増永 理紗 ほか)
 ・乳幼児・小児期の吸入機器・補助具の選び方は? (高安 芽衣子)
 ・吸入方法を再度指導するきっかけづくりは? 再指導のポイントは? (大久保 真理)

■ポイント整理! 子どものアトピー性皮膚炎とステロイド外用剤
 ・病態・臨床像の特徴・治療方針の成人との違いは? (工藤 恭子 ほか)
 ・子どもに適応のあるステロイド外用剤は? (大橋 知佳 ほか)
 ・ステロイド外用剤の用量・部位・強さの視点でみられる処方上の問題は? (安部 正敏)
 ・ステロイド外用剤の剤形と強さの関係は? (大谷 道輝)
 ・ステロイド外用剤の適切な継続期間の設定・判断は? やめ方は? (多田 弥生)
 ・ステロイド外用剤と保湿剤の混合 ─何のために混ぜていますか?─ (常深 祐一郎)

■ポイント整理! 子どものアレルギー性結膜炎とステロイド点眼剤
 ・病態・臨床像の特徴・治療方針の成人との違いは? (三村 達哉)
 ・ステロイド点眼剤の小児使用時の注意点は? (中田 雄一郎)

■ポイント整理! 子どもの耳鼻咽喉科疾患とステロイド点鼻剤
 ・慢性副鼻腔炎へのステロイド点鼻剤に期待される作用は? 有効性は? (佐野 元基)
 ・アレルギー性鼻炎へのステロイド点鼻剤処方のタイミングは? (佐野 元基)
 ・ステロイド点鼻剤はなぜ眼症状に効果があるの? 眼圧への影響は? (佐野 元基)

<シリーズ>
■えびさんぽ
 小児の喘息にステロイドは効果がありますか?
 (青島 周一)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
 ・BZ薬は漸減しても離脱症候群を生じる
 ・睡眠薬の中⽌に対する医師と患者の認識のズレ
 (佐藤 宏樹,澤田 康文)

■現場で働く薬剤師のための臨床薬学研究のオモテ・ウラ
 〈第26回〉研究資金のオモテ・ウラ
 (大井 一弥)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
 〈第26回〉誰のための抗菌薬適正使用?
 (篠田 康孝)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
 〈第14回〉タミフル ®ドライシロップ3%
 (小嶋 純,米子 真記)

■ぐっとよくなる! 漢方処方快訣ビフォーアフター
 〈第2回〉便秘に対する処方の使い分け
 大黄(大腸刺激性下剤)含有処方と非大黄処方の使い方
 (津田 篤太郎)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈弐拾陸ノ型〉薬剤の特性や併用薬を考慮し,簡易懸濁法の手順を判断せよ!
 (池内 晶哉)
2,200円
特集テーマ:基礎薬学とエビデンスから おくすり比べてみました

<特集の目次>
■特集にあたって(青島 周一)

・SGLT2阻害薬 ─糖尿病治療薬として(安島 秀友/青島 周一)
・尿酸降下薬(三星 知/青島 周一)
・直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)(門村 将太/青島 周一)
・アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)(小原 拓/青島 周一)
・HMG-CoA還元酵素阻害薬(大島 新司/青島 周一)
・第二世代抗ヒスタミン薬(武田 達明 ほか/青島 周一)
・長時間作用性抗コリン薬(LAMA)(宮崎 雅之/青島 周一)
・プロトンポンプ阻害薬(PPI)(村阪 敏規/青島 周一)
・下剤 ─ルビプロストン,エロビキシバット,リナクロチドを中心に(百 賢二 ほか/青島 周一)
・選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)(桑原 秀徳 ほか/青島 周一)
・非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)(児島 悠史/青島 周一)
・JAK阻害薬 ─関節リウマチ治療薬として(小林 俊介 ほか/青島 周一)

<シリーズ>
■えびさんぽ
 基礎研究の結果と臨床研究の結果に違いはありますか?
 (青島 周一)

■ぐっとよくなる! 漢方処方快訣ビフォーアフター
 〈第1回〉かぜ症状に対する漢方の使い分け
 かぜには葛根湯,…のみにあらず
 (津田 篤太郎)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
 〈第13回〉アスベリン ®散10%
 (小嶋  純,米子 真記)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
 ・OTCかぜ薬の長期服用による間質性肺疾患
 ・ループ利尿薬中止後のカリウム補給薬の漫然処方
 (佐藤 宏樹,澤田 康文)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ 108
 〈第25回〉伝える? 伝わる?
 〜薬剤師のたたかいかたとは?〜
 (大森 智史)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈弐拾伍ノ型〉薬物動態を活用せよ! 多剤併用化学療法による副作用の考え方
 (菅野 雄太)

■現場で働く薬剤師のための 臨床薬学研究のオモテ・ウラ
 〈第25回〉社会人大学院のオモテ・ウラ
 (大井 一弥)
特集テーマ:2023年なにあった? -今年注目の診療ガイドライン,新薬・新規効能・新剤形-

<特集の目次>
■1年を振りかえって(石井 伊都子,大井 一弥,室井 延之,山浦 克典)

■\薬剤師注目!/今年の診療ガイドライン・新薬&新規効能追加
・診療ガイドラインにおける推奨度とエビデンスレベル(青島 周一)
・今年の診療ガイドラインの公開・改訂動向と最新知見のハイライト(青島 周一)

■Pick Up! 診療ガイドライン
・肥満症診療の変化 ─『肥満症診療ガイドライン2022』を踏まえ─(小川  渉)
・『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023』で起こるCKD治療の変化(小杉 智規 ほか)
・皮下注が増えた! 関節リウマチにおけるMTX使用と診療の手引き(亀田 秀人)
・『がん免疫療法ガイドライン第3版』ではさらに充実した解説に!(二宮 貴一朗 ほか)
・治療薬剤を重点的に更新! 『グルココルチコイド誘発性骨粗鬆症の管理と治療のガイドライン2023』(田中 良哉)

■Catch Up! 新薬・新規効能・新剤形
・新たな糖尿病治療薬,GIP/GLP-1受容体作動薬の使いどころは?(大西 由希子)
・潰瘍性大腸炎の新薬・効能追加が続々!(横山  薫)
・骨粗鬆症に新しいデバイスの新薬が登場!(竹内 靖博)
・円形脱毛症の治療に新たな選択肢!(今西 久幹 ほか)
・再発性の単純疱疹に対するPIT療法でアメナメビルが適応に!(渡辺 大輔)
・全身作用型のジクロフェナクに腰痛などの適応が追加!(川名 真理子)
・新薬・新剤形News 貼付剤のドネペジルが新たに登場(中村  祐)

■What’s Up 2023
・やはり進まなかったリフィル処方箋 ─発行率1%未満の現状に打開策は─(玉田 慎二)
・調剤業務の一部外部委託 ─「対人」強化の選択肢になり得るか─(青山 貴之)

<シリーズ>
■症状・体質からしっかり選べる!フローチャートでわかる 漢方薬虎の巻
 〈最終回〉月経痛・月経困難症
 (永田 郁夫)

■えびさんぽ
 ランドマークスタディで振り返る2023年
 (青島 周一)

■医薬品適正使用・育薬 フラッシュニュース
 ・シンバスタチン併⽤でダビガトランの⾎中濃度が上昇?
 ・DOACの過少量投与で出⾎リスクは変わらず,死亡リスクが上昇
 (佐藤 宏樹,澤田 康文)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
 〈第24回〉薬の味はどんな味?
 (髙島 英滋)

■くすりのかたち外伝 わかる! 使える!まいにち薬会話
 〈最終回〉「昔,勉強したのに…」
 (浅井 考介,柴田 奈央)

■現場で働く薬剤師のための 臨床薬学研究のオモテ・ウラ
 〈第24回〉研究と業務の両立のオモテ・ウラ
 (大井 一弥)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
 〈第12回〉トピナ ®細粒10%
 (小嶋  純,米子 真記)

■腫瘍薬学ハイライト
 〈最終回〉メトホルミンはがん予防・治療薬になりうるか
 (川西 正祐)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈弐拾肆ノ型〉ケア移行時はMedication reconciliationで評価せよ!
 (大川 恭昌)
特集テーマ:転ばぬ先の漢方薬 -脱・介護! フレイル・ロコモ・サルコペニア対策の新たな一手-

<特集の目次>
■特集にあたって(荒井 秀典)

■フレイル対策に漢方の目線をプラスする
・「フレイル」の3つの構成要素と「健康長寿」の3つの柱(小川 純人)
・「健康長寿」の3つの柱をデザインする漢方(森口 三咲 ほか)

■「高齢者の低栄養」予防・カイゼン編
・低栄養とは? そのリスクは? 原因は?(遠藤  啓 ほか)
・「たべる」を補完する漢方薬(水野 英彰 ほか)
・「だす(排泄)」を補完する漢方薬(眞部 紀明 ほか)
・「ねる」を補完する漢方薬(平田 和美)

■「高齢者のリハビリ」サポート編
・リハビリテーションとは? 目的は? 継続が必要なわけは?(佐浦 隆一)
・運動器リハ×漢方薬 ─フレイル・サルコペニア─(江頭 隆一郎 ほか)
・呼吸リハ×漢方薬 ─COPD─(濱田 泰伸)
・心大血管疾患リハ×漢方薬 ─急性・慢性心不全─(小笹 寧子 ほか)
・脳血管疾患リハ×漢方薬 ─パーキンソン病─(伊豆蔵 英明)
・認知症患者リハ×漢方薬 ─アパシー─(水上 勝義)
・廃用症候群リハ×漢方薬 ─外科手術後─(海道 利実)
・口腔機能リハ×漢方薬 ─口腔機能低下症─(米永 一理)
・コラム:嚥下障害時にエキス製剤を服用できる?(丹村 敏則)

■「多剤併用・長期服用」リスク対策編
・地黄含有製剤の処方マネジメント(野上 達也)
・甘草含有製剤の処方マネジメント(吉野 鉄大)
・山梔子含有製剤の処方マネジメント(清水 誠治)

<シリーズ>
■症状・体質からしっかり選べる!フローチャートでわかる 漢方薬虎の巻
 〈第7回〉便秘
 (永田 郁夫)

■えびさんぽ
 栄養状態の改善や運動をすることでフレイルは改善できますか?
 (青島 周一)

■腫瘍薬学ハイライト
 がんワクチンの開発の現状と展望
 (川西 正祐)

■医薬品適正使用・育薬 フラッシュニュース
 ・若年者ではBZ薬で薬物過剰摂取リスクが上昇
 ・下剤の常用により認知症リスク上昇の可能性
 (佐藤 宏樹,澤田 康文)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
 〈第11回〉ジスロマック(R)細粒小児用10%
 (小嶋  純,米子 真記)

■現場で働く薬剤師のための臨床薬学研究のオモテ・ウラ
 〈第23回〉研究開始年齢のオモテ・ウラ
 (大井 一弥)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈弐拾参ノ型〉リストだけ見た安易な回答から脱却せよ!
 (栗原  梢)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
 〈第23回〉やっぱりリアルは楽しい
 (中嶋 亜紀)

■くすりのかたち外伝 わかる!使える!まいにち薬会話
 〈第23回〉「どのマスクがよいですか?」
 (浅井 考介,柴田 奈央)
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