薬局 発売日・バックナンバー

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2,200円
特集:糖尿病患者のフォローアップ -継続的な薬学的管理と患者支援の実践-

≪特集の目次≫

■特集にあたって(厚田 幸一郎)

■これからの糖尿病診療で求められる薬剤師の役割と地域医療連携(厚田 幸一郎)

■糖尿病治療の評価と合併症・副作用マネジメント
・糖尿病薬物治療における有効性の見方・考え方(武藤 達也)
・糖尿病における食事・運動療法の評価とその対応(室井 延之)
・糖尿病合併症に気づくための問診技術(清野 弘明 ほか)
・糖尿病治療薬で留意すべき副作用のマネジメント(濱口 良彦)

■糖尿病患者のアドヒアランス不良を疑うポイントと向上・維持のための方策(西村 博之ほか)

■合併症/併存疾患を有する糖尿病患者の継続的なフォローアップ
・糖尿病網膜症(清水 淳一)
・糖尿病腎症(田中 章郎)
・糖尿病神経障害(松本 晃一)
・動脈硬化性疾患(冠動脈疾患・脳血管障害・末梢動脈疾患)(井上 岳)
・糖尿病足病変(小林 庸子)
・NAFLD/NASH(藤井 博之)
・がん(稲野 寛)
・統合失調症(植草 秀介ほか)

■在宅高齢糖尿病患者の薬学的管理と患者支援(篠原 久仁子)

≪シリーズ≫

■「治療」「薬局」合同連載 
症例×Q&A 超高齢社会シコウの利尿薬適正使用シコウ
体液過剰状態を呈する高齢うっ血性心不全患者の入院(再入院)が繰り返される現状,なんとかならないのか?
(杉本 俊郎)

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
障害者支援・介護の世界で,今,何が求められているのか
~介護の世界で「ユマニチュード」が有効な理由~
(中野 重行)

■BMs-Podによる真の薬物投与設計 ~薬物動態解析の臨床への還元~
BMs-Podの基本的な扱い方:ベイズ推定の活用方法
~タクロリムスの静脈内持続投与と薬物相互作用~
(尾田 一貴)

■褥瘡コンサル虎の巻 ~褥瘡の発生要因を考える~
褥瘡が発生! 薬が原因?-③
予測される褥瘡発生とその対応
(溝神 文博)

■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座 第4回
どんな薬剤師にもできる投資の基本的戦略とはじめの一歩
(桑原 秀徳)

≪巻頭言≫

 糖尿病治療の目標は,健康な人と変わらないQOLの維持,健康な人と変わらない寿命の確保である.そのためには血糖,体重,血圧,血清脂質の良好なコントロール状態の維持が特に重要であると言える.血糖コントロールの中心的な目標は,HbA1c 7.0%未満であるが,治療目標は,年齢,罹病期間,臓器障害,低血糖の危険性,支援体制などを考慮する必要がある.糖尿病治療の基本は食事療法と運動療法であり,薬物療法は補助療法といわれているが,食事,運動の自己管理は困難であることから,多くの患者は薬物療法を必要とすることになる.現在,わが国では多数の糖尿病治療薬が使用可能である.
 このような中,糖尿病患者における服薬管理について議論が盛んに行われている.その背景には,糖尿病患者の服薬アドヒアランスの低さに加えて,残薬,高齢化,在宅医療,認知症などさまざまな課題が散見されていることにある.中でも,全糖尿病患者の約半数が70歳以上という時代を迎えたことは特筆すべき点である.このような現状を受け,2016年には日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会により,高齢者糖尿病の血糖コントロール目標が策定された.この中で,重症低血糖が危惧される薬剤(インスリン製剤,スルホニル尿素薬,グリニド薬など)の使用がある場合の血糖コントロール目標は,重症低血糖回避を優先し,下限値を設定していることは薬剤師として注視すべき点である.高齢者の服薬管理に携わる医師,看護師,薬剤師そしてケアマネジャーなどの医療スタッフ間そして施設間の連携が重要な課題となる.糖尿病患者ケアにおける薬剤選択や服薬管理は新たな局面を迎えている.
 一方,わが国の医療制度は,地域包括ケアシステムへと移行しようとしているが,薬機法改正に向けた厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会の報告書(2018年12月25日)では,「薬剤師が本来の役割を果たし地域の患者を支援するための医薬分業の今後のあり方」として,服薬期間中の継続的な薬学的管理と薬学的知見に基づく患者指導ならびに地域における医療従事者間の情報共有などが挙げられている.これは,前述のように多職種連携による継続的なフォローアップが求められる糖尿病では特に重要となる.
 そこで,今回,糖尿病患者の継続的な薬学的管理と患者支援をいかに実践すべきかについて,第一線で活躍されている先生方に執筆いただいた.本特集が糖尿病患者のフォローアップに寄与できれば幸甚である.

厚田 幸一郎
北里大学薬学部 教授/北里大学病院 薬剤部長
2,200円
特集:がん治療と薬物相互作用 -ピットフォールに陥らないための基礎と実践-

≪特集の目次≫

■特集にあたって(三浦 昌朋)

■抗がん薬の薬物動態学的/薬力学的相互作用
薬物動態学的機序による抗がん薬の薬物相互作用(山口 浩明)
薬力学的機序による抗がん薬の薬物相互作用(富岡 佳久)

■がん患者の支持療法における薬物相互作用マネジメント
悪心・嘔吐(大野 能之)
皮疹・アレルギー(三浦 昌朋)
発熱性好中球減少症(新岡 丈典)

■併存疾患のあるがん患者における薬物相互作用のピットフォール
非弁膜症性心房細動・静脈血栓塞栓症(寺田 智祐,野田 哲史)
消化性潰瘍(大神 正宏)
うつ病(赤嶺 由美子)
てんかん(矢野 育子,丹田 雅明)
HIV/AIDs(石原 正志)
がん性疼痛(内藤 隆文)

≪シリーズ≫

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
「ストレスマネジメント」をめぐって
~意味を見いだせるとストレスは軽減する! 個人的な体験から~
(中野 重行)

■薬理BOOT CAMP
抗ムスカリンなの,抗ニコチンなの?―⑤
抗コリン性パーキンソン病治療薬と抗コリン性過活動膀胱治療薬:重症筋無力症禁忌はなぜ?
(小野 秀樹)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
抗精神病薬による耐糖能異常を見逃さない!
(坪内 清貴)

■BMs-Podによる真の薬物投与設計 ~薬物動態解析の臨床への還元~
BMs-Podの基本的な扱い方:ベイズ推定の活用方法
~分布容積を意識したテイコプラニンの投与設計~
(尾田 一貴)

■褥瘡コンサル虎の巻 ~褥瘡の発生要因を考える~
褥瘡が発生! 薬が原因?―②
服薬アドヒアランス低下と褥瘡
(溝神 文博)

■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座 第3回
生きることと投資することはとても似ている
(桑原 秀徳)

≪巻頭言≫

 抗がん薬による副作用予防・対策など支持療法として使用される薬剤が,治療の中心となる抗がん薬や,日常生活で摂取する嗜好品などと薬物相互作用を起こすことがあり,臨床現場ではその回避に向けてさまざまな工夫が施されている.一方で,これらの併用が回避できない場合は,論文や症例報告などを参考に,薬物相互作用の程度を少しでも軽減させる薬剤選択や処方設計がなされている.しかし,こうしたがん治療を進める上での重要な取り組みに対して,今回の特集のように情報を共有する企画はこれまでなされてこなかった.
 抗がん薬治療の中止・中断を可能な限り回避し治療を継続的に進めていくために,われわれは薬物相互作用の機序をADMEのエリアごとに,ある程度理解しておく必要があり,各自のもつ知識・情報を頼りに,個々の患者に適した投与タイミング・投与量,投与回数の変更など,試行錯誤を重ねなければならない.薬学的介入の見せどころは,こうした薬物相互作用に正面から向き合い,1つの抗がん薬を継続的に使用させることで,より速く寛解に到達させられるところにあると考える.
 一方で,がん患者は高齢であることが多く,がん治療と同時に循環器疾患,精神的疾患,消化器疾患などに対する治療も行われている.これらの併存疾患に対する治療薬と抗がん薬との間にも薬物相互作用が認められるため,がん治療を開始する前に,服薬内容を十分確認し,必要であればがん治療を優先させた処方変更を促す.処方変更は薬剤師の仲介というアクションと提案(プラン)によって,よりスムーズに実施されることから,相互作用回避に向けたチェックから始まるPDCAサイクルには個々の薬剤師の力量が問われる.さらにピットフォールの回避に向けて,治療開始後も継続的に併存疾患に対する治療内容をチェックしなければならない.こうした薬物相互作用のチェックや今後のプランにも,個々の薬剤師の相互作用に関する知識や情報が必要不可欠となる.
 今回の特集は「がん治療と薬物相互作用」というテーマで,薬物動態学的・薬力学的相互作用についての総論の後,支持療法時における薬物相互作用,併存疾患治療時の薬物相互作用について各論の中で解説していただいている.この一冊でがん治療時において注意していただきたい薬物相互作用に関する情報が集約されており,がん専門薬剤師を目指す薬剤師はもちろんのこと,抗がん薬を扱う保険薬局薬剤師の先生方にもぜひ読んでいただきたい内容となっている.各先生方の日常臨床の中でご活用していただければ幸いである.

三浦 昌朋
秋田大学医学部附属病院 教授・薬剤部長
2,200円
特集:オピオイド誘発性便秘症 -QOLを向上させるための対応力を身につける-

≪特集の目次≫

■特集にあたって(森田 達也)

■オピオイド誘発性便秘症の診断と治療(大坂 巌)

■オピオイド誘発性便秘症の発症と便秘治療薬の薬理作用のメカニズム(鈴木 勉)

■オピオイド誘発性便秘症における治療薬の選び方と使い方
・経口便秘治療薬(余宮 きのみ)
・外用便秘治療薬(鈴木 直人 ほか)
・漢方薬(大前 隆仁)

■オピオイド誘発性便秘症における非薬物療法の実践ポイント(清水 正樹 ほか)

■コントロール不良な便秘に対する予防/対応の“ワザ”と“知恵”
・オピオイド・鎮痛補助薬(今井 堅吾)
・抗がん薬・制吐薬(西 智弘)
・抗うつ薬・抗精神病薬(小川 朝生)

■オピオイド誘発性便秘症における薬学的管理の実践ポイント
・便秘治療薬の副作用と薬物相互作用マネジメント(百 賢二)
・オピオイド誘発性便秘症における患者指導・支援の勘所(沖﨑 歩)

≪シリーズ≫

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
「ストレスマネジメント」をめぐって
~「体」「心」「行動」の面からのアプローチ~
(中野 重行)

■薬理BOOT CAMP
抗コリン作用による疾患禁忌~抗ムスカリンなの,抗ニコチンなの?
ベンゾジアゼピン受容体刺激薬:重症筋無力症禁忌はなぜ?
(小野 秀樹)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
抗がん薬による副作用重篤化リスク因子を明らかにして,薬学的ケアに生かす!
(川上 和宜)

■BMs-Podによる真の薬物投与設計 ~薬物動態解析の臨床への還元~
BMs-Podの応用的使い方:ベイズ推定の活用方法
~生理機能が変化した場合のシミュレーションの活用~
(尾田 一貴)

■褥瘡コンサル虎の巻 ~褥瘡の発生要因を考える~
褥瘡が発生! 薬が原因?
薬剤誘発性褥瘡
(溝神 文博)

■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座
投資と消費の違い,投資とギャンブルの違い
(桑原 秀徳)

≪巻頭言≫

 便秘の治療薬が次々登場している.便秘が患者のQOLを低下させていることが多領域のエビデンスから明らかとなった.緩和治療領域においては,もともと,オピオイドを鎮痛で使った場合の副作用対策として,便秘,吐き気,眠気(精神症状)の対策が重視されてきた.
 オピオイドを処方するたびに「吐き気,眠気,便秘」とくり返して20年,常にアセスメントするべき副作用である.新しい対処法はあまり出現していないが,便秘には新しい方法が生まれている.
 オピオイドによる便秘はオピオイド誘発性便秘症(opioid-induced constipation : OIC)と呼ぶようになった.OICはがん緩和治療から出た概念ではなく,慢性疼痛にオピオイドが多く用いられるようになったことから頻度が増えて疾患として独立したものである.過敏性腸症候群の診断基準を作成する消化器内科系の専門グループが作成した.診断基準だけをみても,患者がどのような状態かややわかりにくいので,評価尺度を眺めてみると,便をするときにおなかが痛い,張る,お尻が痛い,血が出る,便が出きらない,硬い,力まないと出ない,といったことが患者の表現になることがわかる.実臨床上,毎回OICの調査票や診断基準を眺めるのは通常の臨床家には現実的ではないので,「便通の方は何か困ってます?」に対して「困っている」場合は大ざっぱに言えば(通常臨床では)OICの主観的な診断基準には相当すると考えていいだろう.
 現在,便秘に使用する薬剤は,浸透圧性下剤,大腸刺激性下剤,分泌促進剤,末梢性μオピオイド受容体拮抗薬(PAMORA)に分類される.PAMORAは腸管に分布しているμオピオイド受容体を遮断することで「オピオイドによる」便秘を防ぐ.当然のことながら,一般的な下剤としての効果はないため,オピオイドが関与していない便秘に対しては効果がない.諸外国においてはかなり高額な薬価がつけられていたが,わが国では「新薬」扱いではなく,分泌促進剤の類似薬としての薬価となったため比較的気軽に処方できる状態となった.
 本特集では,PAMORAの販売を受けて緩和ケアにおける便秘の治療がどのように変わっていくのか,最前線にいる先生方に執筆いただいた.多様な武器を駆使して,便秘の改善につながれば幸いである.

森田 達也
聖隷三方原病院 副院長/緩和支持治療科 部長
2,200円
特集:関節リウマチ -治療薬を使いこなす“ワザ”と“知恵”-

≪特集の目次≫

■特集にあたって(田中 良哉)

■関節リウマチの疾患活動性評価の考え方と使い方(井上 眞璃子ほか)

■関節リウマチの薬物治療スキームと薬剤選択のポイント(村上 孝作ほか)

■わが国における関節リウマチ治療の実態と課題(仁科 直ほか)

■関節リウマチ治療薬の選択とさじ加減の極意
・csDMARDs(菅原 恵理ほか)
・bDMARDs(藤井 隆夫)

■新たに登場した関節リウマチ治療薬を使いこなす勘所
・JAK阻害薬(中山田 真吾ほか)
・IL―6阻害薬(サリルマブ)(亀田 秀人)
・RANKL阻害薬(山岡 邦宏)

■合併症・併存症をもつ関節リウマチ患者のマネジメント
・骨粗鬆症(古谷 武文ほか)
・リウマトイド血管炎(馬嶋 雅子ほか)
・リンパ増殖性疾患/リンパ腫(鈴木 康夫ほか)
・シェーグレン症候群(住田 孝之ほか)
・間質性肺炎・慢性閉塞性肺疾患(河野 弘ほか)
・慢性腎臓病(要 伸也)
・ウイルス性肝炎(住吉 玲美ほか)
・認知症(竹田 剛)

■関節リウマチにおける治療費軽減対策
-バイオシミラーとドラッグホリデー-(田中 良哉)

≪シリーズ≫

■褥瘡コンサル虎の巻 ~褥瘡の発生要因を考える~
本連載のコンセプト
(溝神 文博)

■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座
何のために働くのか……お金への隷従から投資の世界へ
(桑原 秀徳)

■BMs-Podによる真の薬物投与設計 ~薬物動態解析の臨床への還元~
BMs-Podの基本的な扱い方:ベイズ推定の活用方法
~血中濃度測定結果を踏まえて理想的な投与量を吟味する~
(尾田 一貴)

■薬理BOOT CAMP
抗コリン作用による疾患禁忌 ~抗ムスカリンなの,抗ニコチンなの?~
急性狭隅角緑内障に禁忌のベンゾジアゼピン受容体刺激薬:抗ムスカリン作用なの?
(小野 秀樹)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
薬剤師はどのような介入を行うことで再入院を低減できるのか?
(門村 将太)

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
「ストレス」をめぐって ~程よいストレスは,心身の健康の維持に必要である!「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」は,ストレスにも当てはまる!~
(中野 重行)

≪巻頭言≫

 関節リウマチは,関節滑膜炎を病態の主座とする全身性自己免疫疾患(膠原病)である.30~50代の女性に好発し,約80万人の患者数を数える.関節リウマチに伴う多関節の疼痛・腫脹やこわばりなどの臨床症候,関節変形は日常生活を著しく損なう.また,関節破壊は発症早期から進行し,いったん変形すると不可逆的な身体機能障害を生じるため,早期からの適正な診断と治療が必要である.さらに,多くの患者が発熱,倦怠感を訴え,乾燥性角結膜炎,唾液腺炎,間質性肺炎などの関節外臓器障害をしばしば伴う.関節リウマチの随伴臓器障害に加えて,治療の有害事象も含めた全身のマネジメントが必要である.
 関節リウマチの治療は,20世紀には副腎皮質ステロイドや抗炎症薬を用いた対症療法が中心であった.しかし,現在は免疫異常を抑制して疾患活動性を制御することを目的として抗リウマチ薬を用いる.抗リウマチ薬は,メトトレキサートなどの従来型合成抗リウマチ薬,ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬などの標的型合成抗リウマチ薬,およびTNFやIL―6などを標的とした生物学的製剤であるバイオ抗リウマチ薬に分類される.診断されれば速やかにメトトレキサートで治療を開始し,半年以内に目標である寛解に達成しなければ,バイオ抗リウマチ薬やJAK阻害薬などを追加する.その結果,メトトレキサートとバイオ抗リウマチ薬の適切な使用により,すべての患者において寛解を目指すことが治療目標となった.また,寛解維持により10年間にわたって身体機能障害が進行しないことも示された.さらに,発症早期であれば,寛解導入後にバイオ抗リウマチ薬を中止し,ドラッグホリデーを目指すことが可能となってきた.
 一方,抗リウマチ薬を用いた治療開始時には適応や禁忌などについて慎重にスクリーニングし,治療中は有効性と安全性について定期的にモニタリングする必要がある.抗リウマチ薬の重篤な副作用としては感染症が多い.特に,バイオ抗リウマチ薬やJAK阻害薬の使用においては,特定の標的分子を制御することに伴う副作用に留意を要する.わが国の市販後全例調査でも,最多の重篤な副作用は細菌性肺炎で,危険因子として高齢,呼吸器疾患の既往,副腎皮質ステロイド併用などが挙げられた.また,日本リウマチ学会から,バイオ抗リウマチ薬投与中における発熱,咳,呼吸困難に対するフローチャートなども公表され,関節リウマチの治療における内科的な全身マネジメントが必要不可欠となっている.
 このような関節リウマチ治療の進歩に対応できるように,本特集では,第一線の先生方に関節リウマチの治療薬を使いこなすためのワザと知恵,マネジメントの実践などの最新情報についてご執筆いただいた.関節リウマチ治療薬のバイブルとも言える素晴らしい冊子にまとまった.診療や研究に役立てていただけるとともに,動き始めた新たな潮流を実感していただけるものと期待する.

田中 良哉
産業医科大学医学部 第1内科学講座 教授
2,200円
特集:脳梗塞 -最新の薬物治療戦略と実践ポイント総まとめ-

≪特集の目次≫

■特集にあたって(橋本 洋一郎)

■コラム:脳卒中と循環器病克服5ヵ年計画(橋本 洋一郎)

■脳梗塞の成因・病型分類と診断手順(橋本 洋一郎)

■最新のエビデンスに基づいた脳梗塞の薬物治療戦略
・心原性脳塞栓症(矢坂 正弘)
・アテローム血栓性脳梗塞(阿南 悠平 ほか)
・ラクナ梗塞(長島 誠 ほか)
・塞栓源不明の脳塞栓症(ESUS)(熊本 将也 ほか)

■徹底解説! 脳梗塞への抗血栓療法Q&A
・血栓溶解療法と血管内治療をいかに考え実践するか?(大久保 誠二)
・抗凝固薬の中和薬はどのような場合に使うか?(長谷川 泰弘)
・抗血小板薬2剤併用療法はどの患者にどの組み合わせを用いるのか? 不応/過反応性にはどう対応するのか?(遠藤 英樹)
・患者背景からDOACをいかに使い分けるか?(平野 照之)
・抗血栓療法中の脳梗塞患者の出血イベントにいかに対応すればよいか?(野川 茂)
・脳梗塞の既往がある抗血栓薬使用患者での周術期管理をいかに行うか?(中島 誠)
・抗血栓薬で注意すべき薬物相互作用は何か?(白根 達彦 ほか)
・脳梗塞後に片麻痺,摂食嚥下障害などの服薬障害のある患者でいかに服薬支援するか?(倉田 なおみ)

■患者背景を考慮した脳梗塞急性期から慢性期までの血圧・血糖・脂質マネジメント
・脳梗塞患者の血圧マネジメント(棚橋 紀夫)
・脳梗塞患者の血糖マネジメント(卜部 貴夫)
・脳梗塞患者の脂質マネジメント(志賀 裕二 ほか)

■脳梗塞合併症に対応する“ワザ”と“知恵”
・静脈血栓塞栓症(三村 秀毅 ほか)
・感染症(酒井 純 ほか)
・てんかん(川上 治)
・うつ病(脳卒中後うつ病)(下田 健吾 ほか)

≪シリーズ≫

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
「優しく」と「たくましく(強く)」を共存させるために,「感性」と「知性(理性)」のバランスを!
~「地上の星賞」のイメージとして~
(中野 重行)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
悩ましき“コアグラーゼ陰性ブドウ球菌菌血症”を研究せよ!
(望月 敬浩 倉井 華子)

■BMs-Podによる真の薬物投与設計 ~薬物動態解析の臨床への還元~
BMs-Podの基本的な扱い方:初期投与設計
~生理学的値の入力→“薬物動態パラメータ値の評価”→シミュレーションの実施~
(尾田 一貴)

■薬理BOOT CAMP
抗コリン作用による疾患禁忌 ~抗ムスカリンなの,抗ニコチンなの?~ ₂
添付文書から「抗コリン作用」を検索・抽出してみたら
(小野 秀樹)

≪巻頭言≫

 わが国の脳卒中診療では,2000年の「回復期リハビリテーション病棟」や「介護保険」の登場で,急性期,回復期,維持期(生活期)の3つに病期が区分され,回復期リハビリテーション病棟の普及で急性期病院は急性期医療に特化することができるようになった(Suppl 図1, p8).この脳卒中診療ネットワークの中で「リハビリテーションの継続」と「治療の継続」が,地域連携パスなどを運用して担保されなければならない.
 脳卒中は,わが国の死因の第3位であり,要介護となる原因の第2位となっている.2016年12月に日本脳卒中学会と日本循環器学会が『脳卒中と循環器病克服5ヵ年計画:ストップCVD(脳心血管病) 健康長寿を達成するために』を発表し,2017年7月に厚生労働省より『脳卒中,心臓病その他の循環器病に係る診療提供体制の在り方』について報告書が出された.2018年12月10日に『健康寿命の延伸等を図るための脳卒中,心臓病その他の循環器病に係る対策に関する基本法』(通称,脳卒中・循環器病対策基本法)が成立した.
 2019年より日本脳卒中学会は一次脳卒中センター(脳梗塞に対するrt-PA静注療法が24H/7D可能な施設)と血栓回収脳卒中センター(脳梗塞に対する機械的血栓回収療法が24H/7D可能な施設),2020年より包括的脳卒中センター(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の予後を改善させることが24H/7D可能な施設)の認定を行う.脳卒中センターでは,脳卒中専門医(神経内科医や脳神経外科医)を中心に看護師,薬剤師,管理栄養士,理学療法士,作業療法士,言語聴覚士,臨床検査技師,診療放射線技師などの多職種で治療にあたるstroke unit(脳卒中専門病棟:一般病棟を専門病棟とし多職種で治療を行う病棟で,専門病棟がない場合多職種のmobile stroke teamで診療)が必要である.重症例は脳卒中ケアユニット,ICUやハイケアユニットなどで多職種による治療を行う.
 脳梗塞急性期治療では,①CT・MRIの24時間稼働,②rt-PA静注療法,③血管内治療(機械的血栓回収療法),④外科治療,⑤臨床病型に応じた急性期治療,⑥入院当日から二次予防開始,⑦早期離床・早期リハビリテーション,⑧感染対策,⑨栄養管理が行える体制が必要である.
 脳梗塞は高齢者が多く,高血圧,糖尿病,脂質異常症,喫煙,心房細動などの心疾患などの危険因子,てんかん,認知症,心不全,腎機能障害,肝機能障害などの併存疾患も多く,さらに肺炎,抗血栓療法による消化管出血や頭蓋内出血を併発する場合もある(Suppl 図2,p8).脳梗塞の薬物治療では,併存疾患治療薬との薬物相互作用も注意が必要であり,薬剤師によるチェックは必須である.また抗血栓薬の併用を行うか,いつまで併用するかなどもガイドラインを熟知しておく.クロピドグレルの脳梗塞におけるローディングはわが国では2018年2月より適応外使用が認められるようになった.抗てんかん薬と抗凝固薬,特に直接作用型経口抗凝固薬(DOAC)との相互作用には抗凝固薬のモニタリングができないため十分な注意が必要である.
 今回,脳梗塞の薬物治療にスポットをあて,最新のエビデンスをいかに考え実践すればよいか,さらに実践する上でどのような点に注意が必要かについて,わが国を代表する第一線で活躍の先生方に解説いただいた.脳梗塞診療に役立てていただければ幸いである.

橋本 洋一郎
熊本市民病院 首席診療部長・神経内科部長
2,200円
特集:高齢患者のOveruse/Underuse -過剰でも過少でもない薬剤の適正使用を考える-

≪特集の目次≫

■特集にあたって(小島 太郎)

■高齢患者のOveruse/Underuseと適正使用の考え方(小島 太郎)

■高齢患者のOveruse/Underuseの要因とその評価(溝神 文博)

■Overuse/Underuseを見逃さないプロのみかたと対処法!
・抗血栓薬(抗凝固薬・抗血小板薬)(赤尾 昌治)
・β遮断薬(竹屋 泰)
・気管支拡張薬(千田 一嘉)
・スタチン(藤原 圭,島田 和典)
・血糖降下薬(田村 嘉章)
・骨粗鬆症治療薬(宗圓 聰)
・抗うつ薬(水上 勝義)
・抗認知症薬(沼崎 宗夫,荒井 啓行)
・鎮痛薬(村上 敏史)

■Overuse/Underuseに対する薬学管理の実践ポイント
・病院薬剤師のOveruse/Underuseへの関わり(飯田 真之,矢野 育子)
・保険薬局薬剤師のOveruse/Underuseへの関わり(山浦 克典)
・老健施設薬剤師のOveruse/Underuseへの関わり(新井 克明)

≪シリーズ≫

■薬理BOOT CAMP
抗コリン作用による疾患禁忌 〜抗ムスカリンなの,抗ニコチンなの?〜
抗コリン作用:抗ムスカリン作用と抗ニコチン作用
(小野 秀樹)

■BMs-Podによる真の薬物投与設計 〜薬物動態解析の臨床への還元〜
薬物療法支援のためのソフトウェアBMs-Podの効果的な活用法
(尾田 一貴)

■医療マンダラ 〜思考と感性のセンスを磨く〜
「型」は重要だが,「型どおり」だけではうまくいかない!
〜「マニュアルどおりの対応」が嫌われる理由〜
(中野 重行)
巻頭言

 高齢人口の増大に伴い,高齢者のポリファーマシーの問題が認識されるようになり,エビデンスの少ない高齢者における最適な薬物治療は何か,ということが一段と重要となってきた.特に,日本の75 歳以上の人口は14%を超えており,日常的に高齢者の治療を行っていく中で,医療者も高齢患者にとりうるあらゆる治療法を検討しているが,十分な確信をもって最良の薬物治療を決定することには,疑問や混乱が起こることもあるのではないかと考えられる.フレイルや要介護状態が寿命に大きく影響することから,治療を開始あるいは強化して十分な意味があるのか,あるいは治療が必要な病状があっても現状の治療のまま経過観察で本当によいか,などである.
 一方,疾患によってはunderuse の原因がunder-diagnosis であるものも想定され,overuse を考慮する前にunder-diagnosis にならないよう疾患に対する啓発方法や効率的な診断法について深めなければならない.重要な疾患であった場合にはunderuseの解消が必要である.
 高齢患者の病状や機能障害の程度は多様であることから,どの疾患を重点的に治療していくかを判断することが重要であるが,そのためには定期的な病状評価と治療効果や薬物有害事象の判定が必要である.その中でoveruseになっていないか,underuse が存在しないかを判定することが必要となってくる.
 日本老年医学会による『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン』では,領域ごとにおいてエビデンスに基づいた有効性や「特に慎重な投与を要する薬物」のリスト,「開始を考慮するべき薬物」のリスト,などが記載されており,一助となっているが,薬物有害事象の原因となる薬剤は必ずしも「特に慎重な投与を要する薬物」ばかりではなく,「開始を考慮するべき薬物」に掲載されていない薬剤でも病状によっては本来使用すべきと判定されるものもあると考えられる.
 本特集ではあらためて高齢患者における薬剤のoveruse/underuse について,専門の先生方にその考え方について執筆いただいた.ガイドラインにもなかなか記載されていない,複雑で難解なテーマにつき,執筆いただいた先生方には,この場をお借りして多大な感謝をお伝えしたい.

小島 太郎
東京大学医学部附属病院 老年病科 講師
2,200円
特集:Evidence Update 2019 -最新の薬物治療のエビデンスを付加的に利用する-

≪特集の目次≫

■2018年論文ベスト・テン(名郷 直樹)

■薬剤師介入の最新エビデンス(木村 丈司)

■エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート!
・降圧薬(福森 史郎,小原 拓)
・抗不整脈薬(梶間 勇樹,高井 靖)
・心不全治療薬(高井 靖,梶間 勇樹)
・虚血性心疾患治療薬(和田 恭一)
・抗血栓薬(入江 利行)
・気管支喘息治療薬(坂野 昌志)
・慢性閉塞性肺疾患治療薬(宮崎 雅之)
・消化性潰瘍治療薬(米田 博輝)
・糖尿病治療薬(青島 周一)
・脂質異常症治療薬(青島 周一)
・高尿酸血症治療薬(三宅 健文)
・慢性腎臓病治療薬(鈴木 大介)
・統合失調症治療薬(桑原 秀徳)
・うつ病・睡眠障害治療薬(桑原 秀徳,阪岡 倫行)
・認知症治療薬(福士 元春)
・抗てんかん薬(山本 吉章)
・抗リウマチ薬(小林 俊介)
・骨粗鬆症治療薬(長谷 奈那子)
・抗菌薬(門村 将太)
・抗ウイルス薬(矢倉 裕輝)
・抗真菌薬(武田 龍馬,山田 和範)
・ワクチン(福士 元春)
・鎮痛薬(神林 祐子)
・肺癌治療薬(内山 将伸,林 稔展)
・胃癌治療薬(岩井 美奈,吉村 知哲)
・大腸癌治療薬(藤井 宏典,飯原 大稔)
・前立腺癌治療薬(吾妻 慧一)
・膵臓癌治療薬(篠原 旭,鈴木 秀隆)
・乳癌治療薬(橋詰 淳哉,山口 健太郎)
・子宮癌・卵巣癌治療薬(佐藤 淳也)
・血液腫瘍治療薬(中島 寿久,小井土 啓一)

≪巻頭言≫

 今年もまたEvidence Updateをお届けします.「また」と言いながら,本特集のコンセプトについてしばらく取り上げていないような気がします.そこであらためて本特集のコンセプトを確認しておきたいと思います.

 “論文を「読む」から「使う」へ”

 臨床現場でEBMを実践するためには,論文を批判的に読むだけでは十分ではありません.それを個別の状況で役立ててこそ,EBMの実践ですが,役立てるとなるとなかなか大変です.役立てるためには,くり返し論文を使うことが必要ですが,くり返し使うにあたって,以下の2つを強調しておきたいと思います.

 “エビデンスを継続的に付け加えて勉強し続ける”

 1つのエビデンスを知ったところで,臨床の現場の判断にはなかなかつながりません.1つの論文を手がかりに,過去の論文にさかのぼり,さらに新しい論文を付け加えていくことで,現実の臨床での対応が初めて見えてきます.過去の知見に,新たなエビデンスを付け加えながら,勉強を継続していくことが重要です.

 “エビデンスのあいまいさを認識する”

 そもそもエビデンスがある/ないというような二分法的な考え方は臨床に合いません.ある/ないという二分法になじむのは,「有意水準0.05で統計学的な有意差がある」というお約束に従うからにすぎません.論文が示す結果は,10%のイベントを6%にまで減らす,相対危険0.6,95%信頼区間0.3から0.9というように,もともとあいまいなものです.ある人は10%と6%の差を40%もイベントが予防できると言うかもしれないが,ある人は10も6も四捨五入すればどちらも10と変わらないと言います.さらに別の人は,イベントを起こさない人でみればどちらも90%以上でほとんど違いがないと言います.有効だというエビデンスがあるといっても,その多くは単に統計学的に有意な差を示した研究があるということであって,臨床的にどうか,個別の患者にとってどうかといえば,さらにあいまいです.
 日々のEBMの実践にあたって,本特集が継続的な勉強のきっかけとなり,あいまいなエビデンスを個別の患者に使えるようになる一助になれば幸いです.

名郷 直樹
武蔵国分寺公園クリニック 院長
2,200円
特集テーマ:ジェネリック外用剤 -患者のニーズにあった製剤を選択するための見方・考え方-

≪特集の目次≫

■特集にあたって(緒方 宏泰)

■ジェネリック外用剤のキホンQ&A
・生物学的同等性とは何ですか?臨床効果も同等と言えるのでしょうか?(武藤 正樹)
・ジェネリック外用剤の生物学的同等性はどの試験でどう評価されますか?(小川 卓巳)
・In vitro放出試験・透過試験はどのような意味をもちますか?(緒方 宏泰)
・ジェネリック外用剤は安定性も同等と言えますか?(山内 仁史 ほか)
・ロット間のバラツキ・海外原薬・不純物・安定供給はどう考えればいいですか?(四方田 千佳子)
・ジェネリック外用剤の採用の際にみるべきポイントは?(小池 博文)
・ジェネリック外用剤の品質に関する文献を吟味するポイントは?(吉田 寛幸 ほか)

■徹底解説! ジェネリック外用剤の製剤的特徴
・ステロイド・タクロリムス(半固形製剤)(木村 早希 ほか)
・抗微生物薬(半固形製剤)(山藤 満)
・NSAIDs(半固形製剤)(山田 成樹)
・保湿剤-ヘパリン類似物質外用剤について-(園部 尭仁 ほか)
・褥瘡治療薬(関根 祐介)
・NSAIDs(貼付剤)(越塚 宏美 ほか)
・気管支拡張薬・血管拡張薬(貼付剤)(安島 秀友 ほか)
・フェンタニル・リドカイン(貼付剤)(佐野 元彦)
・ステロイド(点眼剤・点鼻剤)(續山 敬太 ほか)
・抗微生物薬(点眼剤)(外山 聡)
・緑内障・ドライアイ治療薬(今村 政信 ほか)

■ジェネリック外用剤の「使用感」に着目した薬剤選択(和田 侑子 ほか)

■ジェネリック外用剤への不安と薬剤師の役割(坂口 眞弓)

≪シリーズ≫

■薬立つブレイクスルー! メディカル・レコード書き方講座 最終回
薬剤師の記載するメディカル・レコード
(寺沢 匡史)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
CKD患者の抗菌薬を最適化せよ!
(三星 知)

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
異文化を理解するために
~新しいコンセプトの理解には,文化的背景を知る必要がある!~
(中野 重行)

≪巻頭言≫

 人口構造の不可避的な変化に対応するため,医療体制の大幅な見直しが進められている.保険医療体制の逼迫化が避けられず,医療費適正化計画が立てられている.それには,入院医療費は,都道府県の医療計画(地域医療構想)に基づく病床機能の分化・連携の推進の成果を反映させて推計する,外来医療費は,糖尿病の重症化予防,特定健診・保健指導の推進,後発医薬品の使用促進(80%目標),医薬品の適正使用による医療費適正化の効果を織り込んで推計する,と述べられている.対応の一つの策に挙げられているジェネリック医薬品の使用促進策では,2020年9月までにジェネリック医薬品の数量シェアを80%にすることの目標が設定され,2018年第1四半期の数量シェアは72.2%(日本ジェネリック製薬協会)に到達している.外用剤はジェネリック医薬品の中でも特異的な状況にあると目立つ存在になってきている.全国健康保険協会(協会けんぽ)の調査によれば,外皮用薬の使用割合が他の用剤に比して特に低い(平均68.2%,外皮用薬38.6%)値を示している.また,少し古いデータとはなるが,兵庫県健康福祉部健康局薬務課のジェネリック医薬品から先発医薬品に戻った事例調査(平成26年度)によれば,戻った理由について,割合として最も高い理由は,内服薬は効果が最も高い値であったのに対し,外用剤は効果や副作用は低く使用感が最も高くなっていた.また,外用剤を薬効別でみた場合,先発医薬品に戻した理由で割合の高いものは,眼科用薬が容器などの使用感に対し,他の医薬品では薬の使用感になっていた.外用剤は難しい医薬品であり,対応が遅れている状況にあるが,一方では,薬剤師の腕の見せどころである.本特集が,最も遅れている外用剤の使用率アップに大きな力になること,患者に適切な外用剤を届ける存在になることを期待する.

緒方 宏泰
明治薬科大学 名誉教授
2,200円
特集テーマ:慢性運動器疼痛 -整形外科のペインマネジメント徹底解説-

≪特集の目次≫

■特集にあたって(三木 健司)

■慢性運動器疼痛の病態と治療薬の選び方・使い方(三木 健司)

■慢性運動器疼痛治療薬を使いこなす匙加減の極意!
・侵害受容性疼痛(池本 竜則)
・神経障害性疼痛(川﨑 元敬)
・非器質的疼痛-非器質的疼痛に対する薬物療法の実践と工夫:心身医療の観点から-(細井 昌子)

■治療戦略と薬物治療の位置づけ!痛みの場所ごとに徹底解説!
・脊椎・脊髄(渡邉 和之/矢吹 省司)
・肩・肘関節(岩堀 裕介)
・手関節(岩月 克之)
・股・膝関節(谷口 亘)
・足関節(山口 智志)

■ピットフォールに要注意!併存疾患を考慮したマネジメントの勘所!
・心不全患者における慢性運動器疼痛治療(池田 安宏)
・慢性腎臓病患者における慢性運動器疼痛治療(國津 侑貴/寺田 智祐)
・抗血栓薬服用患者における慢性運動器疼痛治療(井坂 由佳/神林 泰行)
・うつ・睡眠障害患者における慢性運動器疼痛治療(中川 貴之)

■慢性運動器疼痛治療における薬学管理の実践ポイント!
・慢性運動器疼痛治療薬の副作用マネジメント(神崎 浩孝)
・慢性運動器疼痛治療薬の薬物動態学的特徴と薬物相互作用マネジメント(百 賢二)
・高齢慢性運動器疼痛患者における薬学管理の実践ポイント(杉田 直哉)

≪シリーズ≫

■Dr. ヤンデルの言葉のネタ帳 ~“病院ことば”の,じっくり,例えば,結局は~ 【最終回】
予想を裏切り,期待は裏切らない物語に,人々は拍手を送る
~Note 20. 病院ことばを言い換える(後編)~
(市原 真)

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
参加体験型学習の重要性と大分における経験から
~学生主体の内輪の勉強会「あとほーむアーベント」から,社会に開かれた対話の場「あとほーむカフェ」へ!~
(中野 重行)

■薬立つブレイクスルー! メディカル・レコード書き方講座
短期入院患者へのかかわりと指導記録
(寺沢 匡史/吉本 佳那子)

≪巻頭言≫

 2018年の厚生労働省の発表によると,2017年のわが国の平均寿命は女性87.26歳,男性81.09歳で過去最高となった.しかし,2000年に世界保健機関(WHO)で提唱された健康寿命「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」との差はいまだ9~12年程度ある.平均寿命と健康寿命との差は,日常生活に制限のある「健康ではない期間」を意味する.健康寿命を延ばして「健康ではない期間」を短くし,介護を必要とする期間を短くすることが重要であると考えられる.大阪では「ピンピンコロリ」と人生を全うしたいと奈良斑鳩の吉田寺に参拝する高齢者が後を絶たない.このような民間信仰は日本全国でみられる.現実はそうなっていないことを多くの人が感じているのだろうと思われる.整形外科で治療される慢性運動器疼痛は就労世代の生産性低下の原因となり,また高齢者の要介護・要支援の代表的な原因である.この予防・治療はわが国の重要なテーマの一つと言える.慢性運動器疼痛治療においては,この10年でプレガバリン,デュロキセチン,ブプレノルフィン,トラマドール,フェンタニルなどのNSAIDs以外の鎮痛薬である神経障害性疼痛治療薬,オピオイド製剤などが使用可能となり,ペインマネジメント戦略は大きく変わった.しかし,薬剤の選択肢が増えるにつれ,その適応や投与方法などの工夫など従来よりもより多くの知識が求められるようになった.慢性運動器疼痛の病態や治療戦略に加え,これら薬剤の薬剤特性や使い方,さらに運動療法などの非薬物療法の重要性を十分理解した上で,患者支援を行う必要がある.今回は,慢性運動器疼痛の治療に携わるわが国を代表する第一線でご活躍の整形外科医のみならず,心療内科医・循環器内科医からも原稿をいただき,また薬剤師としての留意点も詳細に解説いただいた.本特集を読むにあたっては,医師の視点・薬剤師の視点だけではなく,より集学的な観点から患者―医療者の関係をより良くして治療成績を向上させるべく,処方行動の裏にある医師の意思をくんで薬剤説明を行っていただけると幸いである.

大阪行岡医療大学医療学部 特別教授
早石病院 整形外科・疼痛医療センター センター長
認定NPO いたみ医学研究情報センター 理事長
三木 健司
2,200円
特集テーマ:CKD-MBDのリン管理 -栄養・薬物療法の実践力を身につける-

≪特集の目次≫

■特集にあたって(安藤 亮一)

■要点整理!リン恒常性維持機構とCKD-MBDの病態生理
・生体内でのリン恒常性維持機構(宮本 賢一)
・CKD-MBDの病態生理とリン管理の重要性(深川 雅史/石出 崇)

■CKD-MBDにおける検査値の見方・考え方と最新の治療戦略(濱野 高行/土井 洋平)

■リン制限が必要なCKD-MBD患者への食事・栄養管理
・リン摂取量の評価と食事指導のポイント(市川 和子)
・経腸栄養管理の実践ポイント(安藤 亮一)
・静脈栄養管理の実践ポイント(加藤 明彦)

■リン吸着薬・カルシウム受容体作動薬・ビタミンD製剤を使いこなす!
 プロが教える“知識”と“ノウハウ”
・沈降炭酸カルシウム(永野 伸郎)
・セベラマー・ビキサロマー(角田 隆俊)
・炭酸ランタン(山本 脩人,重松 隆)
・クエン酸第二鉄・スクロオキシ水酸化鉄(小岩 文彦)
・シナカルセト・エテルカルセチド・エボカルセト(横山 啓太郎)
・活性型ビタミンD製剤(庄司 哲雄)

■ここが勘所! リン吸着薬の薬学的管理の実践ポイント
・リン吸着薬で注意すべき薬物有害事象と薬物相互作用(三宅 健文)
・医薬品・サプリメント中の無機リン含量とその考え方(下石 和樹/安楽 誠/丸山 徹)
・服薬アドヒアランスを考慮したリン吸着薬の患者指導のポイント(三星 知)

≪シリーズ≫

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
医薬品の治験におけるインフォ-ムド・コンセントについて考える
~臨床試験の中核となるコンセプトが,患者には最もわかりにくい!
医療者にとっても説明が難しい!~
(中野 重行)

■Dr. ヤンデルの言葉のネタ帳 ~“病院ことば”の,じっくり,例えば,結局は~
からくりサーカスのカーテンコールが最高でしたね
~Note 19. 病院ことばを言い換える(前編)~
(市原 真)

■薬立つブレイクスルー! メディカル・レコード書き方講座
入院前の常用薬の確認と中止薬の指導
(中村 有理/寺沢 匡史)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
妊娠中の免疫抑制薬の使用は安全か?
(中島 研)

≪Report≫

抗てんかん薬と妊娠
(小野寺 憲治/桑原 弘行/大関 三夫/市川 勤/若林 広行/神田 循吉/大槻 泰介/曽我 孝志)

≪巻頭言≫

 高齢化が世界一のレベルで進むわが国において,慢性腎臓病(CKD)およびそれに伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD―MBD)の管理は,新たな局面を迎えようとしている.一つには,CKD―MBDの概念が広がってきていることである.これにはリンの負荷に応じて分泌され,腎におけるリン排泄促進やビタミンDの活性化の抑制をはじめ,副甲状腺や心臓,血管石灰化さらには,生命予後に影響を及ぼすFGF23などの新たな調節因子の登場に代表される.また,対象となるCKD患者が高齢化して,サルコペニア・フレイルの合併や骨粗鬆症が問題となっていることから,栄養や運動などの重要性が増してきていることもある.そして,カルシウム非含有のリン吸着薬やカルシミメティクス,さらに骨粗鬆症の分野で抗RANKLモノクローナル抗体デノスマブ,PTH製剤テリパラチドなど次々に開発されてきている薬剤をこれらの病態に応じていかに使いこなすか,という点である.
 本特集では,CKD―MBD管理では最も基本となるリン管理の栄養および薬物療法の実践力をつけるための企画を立てた.病態については,基本的なリンの種類(有機リン,無機リン)とその役割,多臓器によるリン恒常性維持機構と腎機能低下時のリンの動態,CKD―MBDの病態生理とリンの占める役割,CKD―MBDに関連する検査値の読み方・考え方を取り上げた.実践的な対応として,リン管理を中心としたCKD―MBDの食事療法および食事指導,食事による栄養摂取ができない場合の経腸栄養および静脈栄養管理の実践ポイント,そして,リン吸着薬,カルシウム受容体作動薬,ビタミンD製剤の使い方について解説いただいた.さらに,リン吸着薬使用時の有害事象や薬物相互作用,医薬品,サプリメントに含まれる無機リン,リン吸着薬の服薬アドヒアランスについても触れていただいている.
本特集の特にCKD―MBD管理を行う上での栄養管理は,従来の企画にはあまりないものである.CKD―MBDの管理の上では,薬物療法と並んで,日々の栄養管理の積み重ねが重要となる.
 これらを総合的に理解し,実践することにより,多因子が複雑に関連しているCKD―MBD管理,特にリン管理を理論的にも,実務的にも現時点における範囲で適切に対応できることになる.この分野は,新たなステージを迎えてはいるが,進歩は日進月歩であり,今日の知識が永久に通用するということはない.今後も,最新の情報を取り入れて,リンの管理をはじめとしたCKD―MBDの管理にあたっていただきたい.

安藤 亮一
武蔵野赤十字病院 副院長・腎臓内科部長
2,200円
特集テーマ:生活機能低下高齢者のマネジメント -リハビリテーション薬剤管理のススメ-

≪特集の目次≫

■特集にあたって(若林 秀隆)

■リハビリテーションと栄養管理・薬剤管理併用の重要性(若林 秀隆)

■ココがポイント! 生活機能低下の気づきとアセスメント
・生活機能低下を見逃さない“気づき”のポイント(藤原 大)
・高齢者における生活機能の評価法とその活用(前田 圭介)

■薬物有害事象・処方カスケードに気づき・対応するための勘所!
・フレイル高齢者の薬物動態/薬力学変動と注意すべき薬物有害事象(林 宏行)
・老年症候群と処方カスケード:Deprescribingの実践ポイント(樋島 学)

■この症状・症候は薬剤性? 何を考え,どう対応するか?!
・摂食嚥下障害(藤本 篤士)
・排尿障害(鈴木 康之 ほか)
・排便障害(髙野 正太)
・サルコペニア(吉村 芳弘)
・関節痛・関節炎(髙橋 良)
・高次脳機能障害(高畠 英昭)
・末梢神経障害(上田 昌美)
・パーキンソン症候群(野﨑 園子)
・心不全(鈴木 規雄 ほか)

≪シリーズ≫

■Dr. ヤンデルの言葉のネタ帳 ~“病院ことば”の,じっくり,例えば,結局は~
 ゴーゴージャパン いけいけ検索 ~Note 18. 「幕間」検索誘導~
(市原 真)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
 薬剤師による手足症候群のマネジメント!
Hand-foot syndromeとhand-foot skin reactionの違いを理解する!
(川上 和宜)

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
 現代の日本人の特性はどこから生じたのだろうか?
 ~生命の進化の視座から見ると……~
(中野 重行)

■薬立つブレイクスルー! メディカル・レコード書き方講座
 薬剤師間での情報共有 ~中止薬の再開漏れをなくす取り組み~
(寺沢 匡史/渡辺 真穂/島本 沙代)

≪Report≫

■第二世代抗てんかん薬の副作用②
(小野寺 憲治/桑原 弘行/松田 佳和/溝口 広一/若林 広行/神田 循吉/大槻 泰介/曽我 孝志)

≪巻頭言≫

 超高齢社会の日本では,フレイル・サルコペニアなどにより生活機能が低下した高齢者の増加が重要な課題の一つとなっている.健康寿命の延伸には,フレイル・サルコペニア対策が必要である.特にフレイル高齢者や障害者には,リハビリテーション,栄養療法,薬物療法の適切な実施が,生活機能の維持・改善のために重要である.
 広義のリハビリテーションには,栄養療法も薬物療法も含まれるため,リハビリテーション栄養やリハビリテーション薬剤という言葉に違和感を覚える薬剤師もいるかもしれない.しかし,2010年以前のリハビリテーションと栄養管理は,ほぼ別々に実施されていたと言っても過言ではない.リハビリテーション栄養という概念ができて初めて,徐々に両者を関連させながら実施されるようになってきた.
 一方,リハビリテーションと薬剤管理は,現在でもほぼ別々に実施されていると考える.ごく一部の医師・薬剤師は,リハビリテーションと薬剤管理を関連させながら生活機能を最大限高める実践を,臨床現場で行っているかもしれない.しかし,ほとんどの医師・薬剤師はリハビリテーションもしくは薬剤管理を別々に考えるか,どちらか一方しか考えていないのが現状であろう.薬剤の有害事象のために,生活機能が低下しているフレイル高齢者や障害者の数は少なくない.そのため,薬剤師がリハビリテーションに関心をもち,生活機能低下に気づき,その原因として薬物有害事象の可能性を考慮することは,極めて重要である.
 本特集では,リハビリテーション栄養,リハビリテーション薬剤の考え方の紹介,生活機能低下,薬物有害事象・処方カスケードに気づき行動するための基礎知識を解説した.その上で薬剤性に生じる可能性のある症状・症候として,摂食嚥下障害,排尿障害,排便障害,サルコペニア,関節痛・関節炎,高次脳機能障害,末梢神経障害,パーキンソン症候群,心不全を取り上げた.これらの多くは原疾患によって生じるが,薬剤性に生じている場合や,薬剤が原疾患をより悪化させている場合がある.薬剤師がこれらの症状・症候に早期に気づくことで,フレイル高齢者や障害者の生活機能の維持・向上に貢献できると考える.
 超高齢社会の日本では,キュアからケアへのパラダイムシフトが起こりつつある.薬剤管理で言えば,疾患治療のための薬物療法と共に,生活機能維持・向上のための薬物療法が重要となりつつある.それには,リハビリテーション薬剤の考え方が有用と考える.本特集で,生活機能低下高齢者のマネジメントを,他人事(薬剤師以外の職種の仕事)ではなく自分事(薬剤師の仕事)と考える薬剤師が増えれば幸いである.

若林 秀隆
横浜市立大学附属市民総合医療センター リハビリテーション科 講師
2,200円
特集:精神科治療薬の多剤・大量・長期処方を整理する

≪特集の目次≫

■特集にあたって(石郷岡 純)

■わが国の精神科治療薬の多剤・大量・長期処方の現状と課題(河野 敬明 ほか)

■多剤・大量・長期処方の要因と処方整理の実践ポイント
・統合失調症(小澤 千紗 ほか)
・双極性障害(寺尾 岳)
・うつ病/大うつ病性障害(村尾 朋彦 ほか)
・不安症群(山本 円香 ほか)
・強迫症(松永 寿人)
・身体表現性障害(身体症状症)(仙波 純一)
・睡眠障害(山寺 亘)
・神経認知障害(野本 宏 ほか)
・自閉スペクトラム症(岡田 俊)
・注意欠如・多動症(赤間 史明 ほか)

■精神科治療薬の処方整理における薬学的アプローチ
・抗精神病薬・気分安定薬(宇野 準二)
・抗うつ薬(桑原 秀徳 ほか)
・睡眠薬・抗不安薬(髙橋 結花)

≪シリーズ≫

■薬立つブレイクスルー! メディカル・レコード書き方講座
病棟薬剤業務の記録
(寺沢 匡史/大西 莉加)

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
臨床試験に被験者として参加した患者に対する感謝の気持ちの表明のしかた
~「思いやり」ある行為に対しては,「思いやり」の気持ちを持って社会からお返しを!~
(中野 重行)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
双極性障害の治療を考える!
(橋本 保彦)

■Dr. ヤンデルの言葉のネタ帳 ~“病院ことば”の,じっくり,例えば,結局は~
袁術のお兄さんのことですか?
~Note 17. 「炎症」を言い換える~
(市原 真)

≪Report≫

■第二世代抗てんかん薬の副作用①
(小野寺 憲治/武者 利樹/若林 広行/神田 循吉/小島 奈穂美/海野 美千代/大槻 泰介/曽我 孝志)

≪巻頭言≫

 精神科薬物療法における多剤・大量・長期使用に関する議論が盛んになってから久しい.おそらくわが国では非定型抗精神病薬の導入が始まった1990年代あたりからであったと思われるが,当初は単純に副作用の問題として扱う素朴な議論であり,それはそれでわかりやすさもあって盛んになっていった.しかし,その頃はまだエビデンスに基づいて議論するという風土も根付いておらず,有効性も含めた有用性で科学的・総合的に判断する必要があることの重要性まで考慮する姿勢は,近年になってようやく一般的になってきたところである.一方,過剰投与を問題視するあまり,過小治療も依然として大きい問題であることは,今日もあまり変わっていない.過剰でもない,過小でもない,真に適正な薬物療法のあり方は何かという問いに,ようやく冷静な目を向けられるようになってきたのも,この数年のことである.
 適切な薬物療法を実施していくための処方行動の変化がなかなか進まない理由についても,これまでいろいろ議論されてきた.エビデンスを活用して処方を決定していく態度は,徐々に医療現場に浸透してきているので,経験だけによらない処方文化は今後改善していくであろう.しかし,精神疾患の治療に特有の要因もあり,それが改善の遅延の背景にあると考えられる.例えば,操作的診断が現場にも浸透したことにより,患者を症状の集合体のようにみなす傾向が強まり,さらに薬物療法は対症療法であるという考え方が加わると,症状の数だけ薬剤が必要という圧力が生じ,結果として多剤・大量処方に歯止めをかける動機づけが弱まることになる.同じく,近年は多彩な薬理学的プロファイルをもつ薬剤が増えて,各受容体機能の科学的解明も進み情報も豊富なので,症状の多彩さに合わせた薬理特性を得るため,“科学的・理論的”に多剤を組み合わせるという現象まで生じている.いずれも疾病観,薬物療法観の歪みから生じており,このような診断学・治療学の背景に存在している思考法の問題まで十分に検討し,変容させる方法論はあまり議論されてこなかった.
 本特集を読むにあたっては,処方の問題点の指摘や改善の技術論にとどまらず,処方行動の裏に潜む治療哲学の問題まで意識しながら読み込んでいただければ幸いである.

石郷岡 純
CNS薬理研究所 主幹
2,200円
特集:衛生害虫対策 -医療従事者が押さえておきたい基礎と実践-

≪特集の目次≫

■特集にあたって(橋本 知幸)

■衛生害虫によるヒトへの健康被害
・衛生害虫の病原体媒介虫としての役割と衛生動物学の重要性(沢辺 京子)
・衛生害虫による皮膚疾患を見逃さないためのポイント(谷口 裕子)
・衛生害虫とアレルギーとの関連性(福冨 友馬)

■忌避剤・殺虫剤の基礎知識:有効性と安全性
・衛生害虫に用いる忌避剤の種類と特徴(佐々木 智基)
・衛生害虫に用いる殺虫剤の種類と特徴(武藤 敦彦)

■医療従事者が押さえておきたい衛生害虫防除のポイント
・ハエ(葛西 真治)
・蚊(川田 均)
・ゴキブリ(辻 英明)
・ノミ・イエダニ・トリサシダニ・ネズミ(谷川 力ほか)
・トコジラミ(數間 亨)
・屋内塵性ダニ類(高岡 正敏)
・マダニ・ツツガムシ(橋本 知幸)
・ヒゼンダニ・シラミ(谷口 裕子)

■衛生害虫駆除の相談先と駆除のコスト(元木 貢)

≪シリーズ≫

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
医薬品の臨床試験に被験者として参加する患者が受けることのできる恩恵をめぐって
(中野 重行)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
クレブシエラ菌血症の治療を研究せよ!
(望月 敬浩/倉井 華子)

■Dr. ヤンデルの言葉のネタ帳 ~“病院ことば”の,じっくり,例えば,結局は~
びょうりいは なかまになりたそうに こっちをみている
~ Note 16.「様子をみる」を言い換える~
(市原 真)

■薬立つブレイクスルー! メディカル・レコード書き方講座
薬剤管理指導業務のオーディット(監査・修正)
(寺沢 匡史/中嶋 みなみ)

≪巻頭言≫

 衛生害虫とは,人の健康に肉体的,精神的に悪影響を与える害虫を指す.衛生害虫はさらに,感染症を媒介する媒介害虫,感染症は媒介しないが,刺咬や皮膚炎などの実害に至る有害害虫,実害はないが,精神的に不快感や恐怖心をもたらす不快害虫に区別されることが多い.
 数年前まで,日本で人の命を脅かすような害虫というと,年間数十件の事故を起こすスズメバチ類が代表的な存在であった.清潔志向の日本人は,居住環境やその周辺から虫を排除し,最近は殺虫スプレーのパッケージにあったゴキブリのイラストすらなくなっている.住宅では気密化,乾燥化が進み,それに伴って住宅内の害虫相も単調化してきた.こうして身の回りから,媒介害虫や有害害虫はめっきり少なくなり,日本人にとっての衛生害虫とは,もはや不快害虫ばかりという時代になってきた.そのことは,快適な生活を送る上では歓迎すべきことではあろう.しかし,身近な虫を排除することで,覚えておかなければいけない有害な虫への対処の仕方まで忘れてしまった人も増えている.医学部では医動物学の講座を置かない大学も増え,衛生害虫に関する知識が十分でない医師が増えてきたという.また,人側の体質にも変化が生じ,喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患をもつ患者数も増加し,そこにはいくつかの節足動物が,刺咬などの直接的な加害とは異なるメカニズムで少なからず関与している.
 ひとたび世界に目を向ければ,発展途上国を中心にマラリアやデング熱などの蚊媒介感染症は,いまだに多くの地域で最も重要な疾病である.ウエストナイル熱,チクングニア熱など,新しい感染症も広がりをみせてきた.そこには媒介害虫も含めた動物の分布域の変化,人や物の地球規模での移動,都市の人口の過密化,貧富の格差の拡大などの要因が重なっている.そこで衛生害虫分野の研究者は,これらの蚊媒介感染症は,いつ日本に入ってきてもおかしくないことを2000年代初期から訴え,不快害虫の経験しかなくなってきている人たちに警告を発してきた.
 こうした中,2013年にマダニ媒介感染症である重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の初の国内発生,2014年に都内におけるデング熱の感染流行というニュースは,グローバルに拡大し続ける感染症リスクの中で,日本が蚊帳で隔離された空間ではないことを気づかせたと言えよう. その後,2016年リオデジャネイロオリンピックの際のジカ熱騒動も手伝って,身の回りの虫に対する日本人の意識が少し転換してきたように思われる.この点で,毎年,殺虫剤や忌避剤の新製品が並ぶ薬局・薬店などでは,顧客から衛生害虫に関する相談も増えてきていることであろう.
 虫に嫌悪感を示す人に対して,虫と慣れ親しんでくださいというのは難しい.まずは各種衛生害虫がどのような害を及ぼすのかを,適切に説明し,理解してもらうことが大切である.怖い部分ばかりを殊のほか強調して,何でもかんでも殺虫剤で対応することは避けたい.大切な顧客だからこそ,殺虫剤や忌避剤の適切な使い方を理解してもらうべきである.
 この特集では衛生害虫に起因する健康被害やその対処法などについて,各分野で活躍中の現役の先生方にご執筆いただいた.中には今まで誤解していた部分や,目から鱗が落ちるような内容もあることであろう.顧客に対する説明の一助となるように活用していただければ幸いである.

橋本 知幸
一般財団法人日本環境衛生センター 環境生物・住環境部 次長
2,200円
特集:訪日外国人数増加と輸入感染症 -外国人患者対応のエッセンス-

≪特集の目次≫

■特集にあたって(大曲 貴夫)

■海外感染症の流行状況と訪日外客数増加による輸入感染症リスク~感染症に国境はない~(横塚 由美)

■感染症を見逃さない・対応するための知識とノウハウ
・侵襲性細菌感染症(福島 慎二)
・蚊媒介感染症(加藤 康幸)
・細菌性腸管感染症(馳 亮太)
・麻疹・風疹・水痘・ムンプス(山元 佳)
・インフルエンザ・中東呼吸器症候群・結核(髙﨑 仁)
・性感染症(大路 剛)

■しっかり押さえておきたい外国人患者での感染症治療の留意点
・外国人患者に対する感染症治療のポイントとピットフォール(忽那 賢志)
・外国人患者において薬物動態を考える際の留意点(浜田 幸宏ほか)

■外国人患者対応の実践ポイント
・トラブルを回避するための外国人患者対応の勘所(堀 成美)
・外国人患者への服薬支援(増田 純一)

≪シリーズ≫

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
CKD患者の骨折を予防せよ!
(三星 知)

■Dr. ヤンデルの言葉のネタ帳 ~“病院ことば”の,じっくり,例えば,結局は~
全国くまなく探せばどこかに外来軒というラーメン屋がありそうだ
~Note 15. 「外来」を言い換える~
(市原 真)

■薬立つブレイクスルー! メディカル・レコード書き方講座
ポリファーマシーをアセスメントしよう~透析編~
(永井 亜美/寺沢 匡史)

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
被験者の視点から見た世界初の華岡青洲による全身麻酔:HistoryからHertoryへ
~医は仁ならざるの術,努めて仁をなさんと欲す(大江雲澤)~
(中野 重行)

≪巻頭言≫

 日本政府観光局によると,訪日外国人数は2013年に初めて1,000万人を突破し,2017年にはおよそ2,900万人まで到達し,近年急激に増加している.さらに,2020年には東京オリンピック・ パラリンピックが開催される予定であり,政府は2020年における訪日外国人数の計画目標を4,000万人とするなど,大幅な増加が予想されている.このように訪日外国人数が増加すれば,滞在中に体調不良を起こして医療機関を受診する外国人の数も当然増加する.外国人患者の増加に伴って注意すべき疾患はさまざまあるが,感染症への対応,特に輸入感染症への対応はその大きな課題の一つである.よって今後医療機関では「外国人への対応」と「輸入感染症への対応」を車の両輪として整備していく必要がある.
 そこで今回本誌では,訪日外国人数増加と輸入感染症にスポットをあて,輸入感染症診療の実践から外国人患者応対のポイントついて,わが国を代表する第一線でご活躍の先生方にご解説いただく本特集を企画した.増加が危惧される輸入感染症の個々の対処法,外国人患者における感染症治療上の留意点,トラブルの起きやすい場面とその対応,服薬支援など話題は多岐にわたる.
 人口構造が変わって超高齢社会となる,医療が再び地域を中心に展開される「地域包括ケア」への流れなど,医療とこれを取り巻く環境は近年激変している.「外国人への対応」と「輸入感染症への対応」もまさにこれからの時代の医療の大きな課題である.本特集が読者に資する内容となっていることを願ってやまない.

大曲 貴夫
国立国際医療研究センター病院 副院長・国際感染症センター長
2,200円
特集:所得格差時代の薬物治療 -“経済的負担を軽減したい”患者の訴えにいかに応えるか-

≪特集の目次≫

■特集にあたって(名郷 直樹)

■わが国の貧困問題の現状と展望(駒村 康平)

■臨床の場で「患者の意向・希望」にどう応えるか?:Shared decision making〈SDM〉の視点から(中山 健夫)

■診療のプロが考える経済的負担を減らすための選択肢
・高血圧(藤原 健史ほか)
・不整脈(小田倉 弘典)
・糖尿病(岩岡 秀明)
・脂質異常症(岡田 唯男)
・うつ病(宮岡 等)
・認知症・BPSD(福士 元春)
・消化性潰瘍(矢吹 拓)
・気管支喘息(倉原 優)
・骨粗鬆症(岡田 悟ほか)
・感染症(岩田 健太郎)
・がん(勝俣 範之)

■エビデンスと経済合理性に基づいた薬剤選択指針“フォーミュラリー”の基礎と実践
・わが国におけるフォーミュラリーの重要性と今後の課題(前田 幹広)
・病院におけるフォーミュラリー導入・運用の実践(上田 彩)

■ユニバーサル・ヘルス・カバレッジと医療技術評価(五十嵐 中)

≪シリーズ≫

■Dr. ヤンデルの言葉のネタ帳 〜“病院ことば”の,じっくり,例えば,結局は〜
世界に一つだけのエビ 〜 Note 13. 「エビデンス」を言い換える〜
(市原 真)

■薬立つブレイクスルー! メディカル・レコード書き方講座
入院から退院まで患者に継続してかかわろう
(基村 佳世/寺沢 匡史)

■医療マンダラ 〜思考と感性のセンスを磨く〜
「いのち」の「体積」と「重さ」というイメージ
〜「いのち」には「長さ」だけでなく,「体積」・「大きさ」と「密度」・「重さ」がある!〜
(中野 重行)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
妊娠中の解熱鎮痛薬といえば……
(八鍬 奈穂/中島 研)

≪巻頭言≫

 所得格差は以前からあった.別に新しいことではない.しかし,それが問題とされなかった時代から,問題とされる時代に変わったというのが,新しいことだろう.
 以前問題とならなかった所得格差がなぜ今頃になって問題になるのか,それが問題である.一つは所得が伸びなくなったということだろう.個人個人の所得が伸びないだけでなく,国民総生産は人口の減少とともに減っていくのが今後の流れに違いない.もう一つは,価値が多様化して,何にどれだけお金をかけるかを決めるのが困難になっているということがあるかもしれない.健康や医療に費やすくらいなら,もっと別の幸せに使った方がいいと考える人も多くなっている.
 この2点で考えたときに,所得をさらに伸ばして解決するというのは困難である
し,健康に関しても,どんなに濃厚な医療を提供したところで最期は死んでしまうのを避けることはできない.所得が伸びない中で,あれにもこれにもお金を使いたいという中,医療にどれほどコストを振り向けるか,できればそれは最小限にしたいということが問題となっているのが現代である.そう整理できるかもしれない.
そういう時代の中で,この特集が組まれた.少し視点を変えれば,たくさんお金が欲しいという欲望にも限界が訪れ,そんなに金持ちになったところで大して幸福になれず,より健康になりたいと思って健康にとことん気をつけ,医療に多くのコストを使ったところで大して幸せにはなれない,ということを多くの人が知ってしまった,というふうに言った方が通りがいいかもしれない.所得を増やそうという欲望も,より健康になりたいという欲望も,どちらもきりがなく,結局は不幸をもたらすだけ,そんな諦めの時代の,より幸せな生き方の模索の一つとして,この特集で何かを提供しようということである.
 安かろう,悪かろうの時代から,安いが,案外よかろうの時代へ,次に来たるべき新しい世の中を見据え,この特集がある.コストをかけない方がより幸福な時代,一切の医療を受けずに,保険料だけを払って死んでいく人生,それが最高,そんな時代の到来を告げる一歩がここに踏み出されていることを信じ,特集にあたっての序文としたい.

名郷 直樹
武蔵国分寺公園クリニック 院長
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商品情報・内容

  • 出版社:南山堂
  • 発行間隔:月刊
  • 発売日:毎月5日

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