目次
特集:関節リウマチ -治療薬を使いこなす“ワザ”と“知恵”-
≪特集の目次≫
■特集にあたって(田中 良哉)
■関節リウマチの疾患活動性評価の考え方と使い方(井上 眞璃子ほか)
■関節リウマチの薬物治療スキームと薬剤選択のポイント(村上 孝作ほか)
■わが国における関節リウマチ治療の実態と課題(仁科 直ほか)
■関節リウマチ治療薬の選択とさじ加減の極意
・csDMARDs(菅原 恵理ほか)
・bDMARDs(藤井 隆夫)
■新たに登場した関節リウマチ治療薬を使いこなす勘所
・JAK阻害薬(中山田 真吾ほか)
・IL―6阻害薬(サリルマブ)(亀田 秀人)
・RANKL阻害薬(山岡 邦宏)
■合併症・併存症をもつ関節リウマチ患者のマネジメント
・骨粗鬆症(古谷 武文ほか)
・リウマトイド血管炎(馬嶋 雅子ほか)
・リンパ増殖性疾患/リンパ腫(鈴木 康夫ほか)
・シェーグレン症候群(住田 孝之ほか)
・間質性肺炎・慢性閉塞性肺疾患(河野 弘ほか)
・慢性腎臓病(要 伸也)
・ウイルス性肝炎(住吉 玲美ほか)
・認知症(竹田 剛)
■関節リウマチにおける治療費軽減対策
-バイオシミラーとドラッグホリデー-(田中 良哉)
≪シリーズ≫
■褥瘡コンサル虎の巻 ~褥瘡の発生要因を考える~
本連載のコンセプト
(溝神 文博)
■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座
何のために働くのか……お金への隷従から投資の世界へ
(桑原 秀徳)
■BMs-Podによる真の薬物投与設計 ~薬物動態解析の臨床への還元~
BMs-Podの基本的な扱い方:ベイズ推定の活用方法
~血中濃度測定結果を踏まえて理想的な投与量を吟味する~
(尾田 一貴)
■薬理BOOT CAMP
抗コリン作用による疾患禁忌 ~抗ムスカリンなの,抗ニコチンなの?~
急性狭隅角緑内障に禁忌のベンゾジアゼピン受容体刺激薬:抗ムスカリン作用なの?
(小野 秀樹)
■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
薬剤師はどのような介入を行うことで再入院を低減できるのか?
(門村 将太)
■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
「ストレス」をめぐって ~程よいストレスは,心身の健康の維持に必要である!「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」は,ストレスにも当てはまる!~
(中野 重行)
≪巻頭言≫
関節リウマチは,関節滑膜炎を病態の主座とする全身性自己免疫疾患(膠原病)である.30~50代の女性に好発し,約80万人の患者数を数える.関節リウマチに伴う多関節の疼痛・腫脹やこわばりなどの臨床症候,関節変形は日常生活を著しく損なう.また,関節破壊は発症早期から進行し,いったん変形すると不可逆的な身体機能障害を生じるため,早期からの適正な診断と治療が必要である.さらに,多くの患者が発熱,倦怠感を訴え,乾燥性角結膜炎,唾液腺炎,間質性肺炎などの関節外臓器障害をしばしば伴う.関節リウマチの随伴臓器障害に加えて,治療の有害事象も含めた全身のマネジメントが必要である.
関節リウマチの治療は,20世紀には副腎皮質ステロイドや抗炎症薬を用いた対症療法が中心であった.しかし,現在は免疫異常を抑制して疾患活動性を制御することを目的として抗リウマチ薬を用いる.抗リウマチ薬は,メトトレキサートなどの従来型合成抗リウマチ薬,ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬などの標的型合成抗リウマチ薬,およびTNFやIL―6などを標的とした生物学的製剤であるバイオ抗リウマチ薬に分類される.診断されれば速やかにメトトレキサートで治療を開始し,半年以内に目標である寛解に達成しなければ,バイオ抗リウマチ薬やJAK阻害薬などを追加する.その結果,メトトレキサートとバイオ抗リウマチ薬の適切な使用により,すべての患者において寛解を目指すことが治療目標となった.また,寛解維持により10年間にわたって身体機能障害が進行しないことも示された.さらに,発症早期であれば,寛解導入後にバイオ抗リウマチ薬を中止し,ドラッグホリデーを目指すことが可能となってきた.
一方,抗リウマチ薬を用いた治療開始時には適応や禁忌などについて慎重にスクリーニングし,治療中は有効性と安全性について定期的にモニタリングする必要がある.抗リウマチ薬の重篤な副作用としては感染症が多い.特に,バイオ抗リウマチ薬やJAK阻害薬の使用においては,特定の標的分子を制御することに伴う副作用に留意を要する.わが国の市販後全例調査でも,最多の重篤な副作用は細菌性肺炎で,危険因子として高齢,呼吸器疾患の既往,副腎皮質ステロイド併用などが挙げられた.また,日本リウマチ学会から,バイオ抗リウマチ薬投与中における発熱,咳,呼吸困難に対するフローチャートなども公表され,関節リウマチの治療における内科的な全身マネジメントが必要不可欠となっている.
このような関節リウマチ治療の進歩に対応できるように,本特集では,第一線の先生方に関節リウマチの治療薬を使いこなすためのワザと知恵,マネジメントの実践などの最新情報についてご執筆いただいた.関節リウマチ治療薬のバイブルとも言える素晴らしい冊子にまとまった.診療や研究に役立てていただけるとともに,動き始めた新たな潮流を実感していただけるものと期待する.
田中 良哉
産業医科大学医学部 第1内科学講座 教授
≪特集の目次≫
■特集にあたって(田中 良哉)
■関節リウマチの疾患活動性評価の考え方と使い方(井上 眞璃子ほか)
■関節リウマチの薬物治療スキームと薬剤選択のポイント(村上 孝作ほか)
■わが国における関節リウマチ治療の実態と課題(仁科 直ほか)
■関節リウマチ治療薬の選択とさじ加減の極意
・csDMARDs(菅原 恵理ほか)
・bDMARDs(藤井 隆夫)
■新たに登場した関節リウマチ治療薬を使いこなす勘所
・JAK阻害薬(中山田 真吾ほか)
・IL―6阻害薬(サリルマブ)(亀田 秀人)
・RANKL阻害薬(山岡 邦宏)
■合併症・併存症をもつ関節リウマチ患者のマネジメント
・骨粗鬆症(古谷 武文ほか)
・リウマトイド血管炎(馬嶋 雅子ほか)
・リンパ増殖性疾患/リンパ腫(鈴木 康夫ほか)
・シェーグレン症候群(住田 孝之ほか)
・間質性肺炎・慢性閉塞性肺疾患(河野 弘ほか)
・慢性腎臓病(要 伸也)
・ウイルス性肝炎(住吉 玲美ほか)
・認知症(竹田 剛)
■関節リウマチにおける治療費軽減対策
-バイオシミラーとドラッグホリデー-(田中 良哉)
≪シリーズ≫
■褥瘡コンサル虎の巻 ~褥瘡の発生要因を考える~
本連載のコンセプト
(溝神 文博)
■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座
何のために働くのか……お金への隷従から投資の世界へ
(桑原 秀徳)
■BMs-Podによる真の薬物投与設計 ~薬物動態解析の臨床への還元~
BMs-Podの基本的な扱い方:ベイズ推定の活用方法
~血中濃度測定結果を踏まえて理想的な投与量を吟味する~
(尾田 一貴)
■薬理BOOT CAMP
抗コリン作用による疾患禁忌 ~抗ムスカリンなの,抗ニコチンなの?~
急性狭隅角緑内障に禁忌のベンゾジアゼピン受容体刺激薬:抗ムスカリン作用なの?
(小野 秀樹)
■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
薬剤師はどのような介入を行うことで再入院を低減できるのか?
(門村 将太)
■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
「ストレス」をめぐって ~程よいストレスは,心身の健康の維持に必要である!「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」は,ストレスにも当てはまる!~
(中野 重行)
≪巻頭言≫
関節リウマチは,関節滑膜炎を病態の主座とする全身性自己免疫疾患(膠原病)である.30~50代の女性に好発し,約80万人の患者数を数える.関節リウマチに伴う多関節の疼痛・腫脹やこわばりなどの臨床症候,関節変形は日常生活を著しく損なう.また,関節破壊は発症早期から進行し,いったん変形すると不可逆的な身体機能障害を生じるため,早期からの適正な診断と治療が必要である.さらに,多くの患者が発熱,倦怠感を訴え,乾燥性角結膜炎,唾液腺炎,間質性肺炎などの関節外臓器障害をしばしば伴う.関節リウマチの随伴臓器障害に加えて,治療の有害事象も含めた全身のマネジメントが必要である.
関節リウマチの治療は,20世紀には副腎皮質ステロイドや抗炎症薬を用いた対症療法が中心であった.しかし,現在は免疫異常を抑制して疾患活動性を制御することを目的として抗リウマチ薬を用いる.抗リウマチ薬は,メトトレキサートなどの従来型合成抗リウマチ薬,ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬などの標的型合成抗リウマチ薬,およびTNFやIL―6などを標的とした生物学的製剤であるバイオ抗リウマチ薬に分類される.診断されれば速やかにメトトレキサートで治療を開始し,半年以内に目標である寛解に達成しなければ,バイオ抗リウマチ薬やJAK阻害薬などを追加する.その結果,メトトレキサートとバイオ抗リウマチ薬の適切な使用により,すべての患者において寛解を目指すことが治療目標となった.また,寛解維持により10年間にわたって身体機能障害が進行しないことも示された.さらに,発症早期であれば,寛解導入後にバイオ抗リウマチ薬を中止し,ドラッグホリデーを目指すことが可能となってきた.
一方,抗リウマチ薬を用いた治療開始時には適応や禁忌などについて慎重にスクリーニングし,治療中は有効性と安全性について定期的にモニタリングする必要がある.抗リウマチ薬の重篤な副作用としては感染症が多い.特に,バイオ抗リウマチ薬やJAK阻害薬の使用においては,特定の標的分子を制御することに伴う副作用に留意を要する.わが国の市販後全例調査でも,最多の重篤な副作用は細菌性肺炎で,危険因子として高齢,呼吸器疾患の既往,副腎皮質ステロイド併用などが挙げられた.また,日本リウマチ学会から,バイオ抗リウマチ薬投与中における発熱,咳,呼吸困難に対するフローチャートなども公表され,関節リウマチの治療における内科的な全身マネジメントが必要不可欠となっている.
このような関節リウマチ治療の進歩に対応できるように,本特集では,第一線の先生方に関節リウマチの治療薬を使いこなすためのワザと知恵,マネジメントの実践などの最新情報についてご執筆いただいた.関節リウマチ治療薬のバイブルとも言える素晴らしい冊子にまとまった.診療や研究に役立てていただけるとともに,動き始めた新たな潮流を実感していただけるものと期待する.
田中 良哉
産業医科大学医学部 第1内科学講座 教授
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