薬局 発売日・バックナンバー

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2,200円
特集:骨粗鬆症 - 最新の知見に基づいた治療薬の考え方・使い方 -

≪特集の目次≫

■特集にあたって(田中 良哉)

■骨粗鬆症治療の過去・現在・未来(福本 誠二)

■骨粗鬆症治療の長期戦略と各種治療薬の位置づけ(竹内 靖博)

■徹底解説! 治療薬を使いこなす“知識”と“ノウハウ”
・カルシウム・活性型ビタミンD3(窪田 拓生 ほか)
・選択的エストロゲン受容体モジュレーター(寺内 公一)
・ビスホスホネート(井上 玲子 ほか)
・抗RANKL抗体(デノスマブ)(山内 美香 ほか)
・副甲状腺ホルモン・PTHrPアナログ(テリパラチド,abaloparatide)(田中 健一 ほか)
・抗スクレロスチン抗体(ロモソズマブ)(松本 俊夫)

■薬剤性骨粗鬆症に対するマネジメントの勘所
・ステロイド性骨粗鬆症(田中 郁子)
・がん治療に伴う骨粗鬆症(中村 信元 ほか)
 
■合併症・併存症をもつ骨粗鬆症患者における予防・治療の実践ポイント
・関節リウマチ×骨粗鬆症(中野 和久)
・慢性腎臓病×骨粗鬆症(中川 洋佑 ほか)
・糖尿病×骨粗鬆症(稲葉 雅章)
・慢性閉塞性肺疾患×骨粗鬆症(巽 浩一郎)
・サルコペニア×骨粗鬆症(小川 純人)

■骨粗鬆症治療の継続性とアドヒアランス不良患者への対応(鈴木 敦詞 ほか)

■骨粗鬆症治療における医療経済評価(森脇 健介)

≪シリーズ≫

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
肝代謝型薬剤は用量調節不要で使いやすく安全なのか?
(門村 将太)

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
新型コロナウイルス感染症(COVID―19)で
促進された「遠隔コミュニケーション」
~手紙・電話・電子メール・Web会議の特徴について考える~
(中野 重行)

■薬剤師が三ツ星シェフ 〜業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ〜
経静脈栄養組成の立案に必要な情報
―糖質(アミノ酸)その①―
(東 敬一朗)

■フォーミュラリー道場 ―医薬品の適正使用を目指して―
薬剤別フォーミュラリー①
レニン―アンジオテンシン系阻害薬
(永瀨 真理子/金井 紀仁/安藤 正純)
Report

がん治療の有効性と安全性の評価基準
(内田 まやこ)

≪巻頭言≫

 骨粗鬆症は骨代謝異常症である.かつて加齢に伴う退行期変化と捉えられていたが,現在では脂質や糖代謝の異常症と同様に,骨代謝異常症として理解されている.骨格は体を支持する重要な構造体であるが,骨・ミネラル代謝を司る重要な臓器でもあり,その異常が骨代謝異常症をもたらす.閉経や加齢に伴うエストロゲン欠乏などによって骨代謝平衡が破綻すると,骨量と骨質が変化して骨脆弱性が亢進した骨代謝異常症,すなわち骨粗鬆症を生じる.骨粗鬆症には,閉経などに伴う原発性骨粗鬆症に加え,合成グルココルチコイドの内服など原因が明らかな続発性骨粗鬆症,癌の骨転移などその他の骨粗鬆症に分類される.
 骨粗鬆症は,他の代謝疾患と同様に最も高頻度の疾患である.超高齢社会のわが国では増加の一途を辿り,約1,500万人の患者数が推定される.骨粗鬆症に伴う大腿骨頸部骨折の新患者発生数は年間20万人とされ,OECD諸国の中で唯一増え続けている.脆弱性骨折は,生活の質(QOL)を著しく低下させると共に,寝たきりを招く主因でもある.骨折と死亡率の高い関連性も示され,骨折に伴う循環不全などにより死亡率を上昇させる.よって,骨粗鬆症は発症早期に診断し,骨折が生じる前に治療介入する必要があり,診断や管理の基準が整備されてきた.
 骨粗鬆症の治療は,骨代謝平衡の破綻による骨代謝異常を是正することにより,骨量や骨質を改善し,脆弱性骨折を抑制することを目標としている.ビスホスホネート製剤,活性型ビタミンD製剤,選択的エストロゲン受容体モジュレーター,副甲状腺ホルモン(PTH)はいずれも骨代謝異常の改善を作用機点とする骨粗鬆症治療薬である.また,RANKLは破骨細胞の成熟を誘導,スクレロスチンは骨芽細胞の成熟を制御する骨代謝調節の最も重要な分子であるが,これらに対する分子標的薬は,それぞれの標的を抑制することによる画期的な効果により治療に新展開をもたらそうとしている.
 骨粗鬆症治療薬は骨代謝異常症治療薬として脆弱性骨折を予防することを目的として開発された薬剤である.骨折が発生する前に適正に使用されれば,超高齢社会にも高く貢献するはずである.本特集ではこのような観点から,骨粗鬆症治療の最近の考え方,治療薬を使いこなすための知識とノウハウ,マネジメントの勘所,多様な内科疾患を有する患者に対する予防と治療の実践のポイントなどの最新情報について,わが国の第一線の先生方にご執筆いただいた.特筆すべきは,新規薬剤の開発にはRANKLやカテプシンKの発見をはじめとする日本の研究者の基礎研究が基盤となっており,骨代謝学の分野の先生方は国際的にも第一線である.実際,骨粗鬆症治療薬のバイブルと
も言えるすばらしい特集にまとまった.診療や研究に役立てていただけるとともに,動き始めた新たな潮流を実感していただけるものと期待する.

田中 良哉
産業医科大学医学部 第1内科学講座 教授
2,200円
特集:貧血 -最新の薬物治療戦略と実践ポイント-

≪特集の目次≫

■特集にあたって(張替 秀郎)

■要点整理! 貧血の病態・検査の勘所
・貧血の分類・成因と留意すべき患者背景(張替 秀郎)
・貧血の初期症状を見逃さないチェックポイント(亀岡 淳一)
・貧血における検査値の診方・考え方(岡田 定)

■貧血の薬物治療戦略! どの薬剤をいつ・どの患者に・どう使う?!
・鉄欠乏性貧血(川端 浩)
・巨赤芽球性貧血(藤原 亨)
・腎性貧血(西 慎一)
・溶血性貧血(亀崎 豊実)
・再生不良性貧血(石山 謙)
・骨髄異形成症候群(山田 悠一 ほか)
・赤芽球癆(藤島 直仁)

■鉄剤を使いこなす“知識”と“ノウハウ”!
・小児(新生児を含む)で鉄剤をいかに使うか? 留意点は?(植田 高弘)
・妊婦で鉄剤をいかに使うか? 留意点は?(杉村 基)
・鉄剤で留意すべき副作用・相互作用は?(大柳 元 ほか)

■こんなときどうする? プロが教える実践ポイントQ&A!
・がん化学療法に伴う貧血にはどう対応すればよいか?(小船 雅義 ほか)
・心不全と腎不全を合併する貧血をいかに治療するか? 骨・ミネラル代謝異常もある場合はどうするか?(鶴屋 和彦)
・薬剤性貧血の原因となる薬剤は? 薬剤性貧血であるかの見極めはどう行うか?(本村 小百合)
・HIF―PH阻害薬はどの患者にどう使う? 留意点は? (菅原 真衣 ほか)
・鉄過剰のときにはどう対応するか? 鉄キレート剤はどの患者にどう使う?(鈴木 隆浩)

■個々の患者にあわせた貧血患者の栄養管理・指導 岡本 智子

≪シリーズ≫

■フォーミュラリー道場 ―医薬品の適正使用を目指して―
フォーミュラリーの作り方・運用方法を説明する
(金井 紀仁 安藤 正純)

■薬剤師が三ツ星シェフ 〜業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ〜
経静脈栄養組成の立案に必要な情報
―糖質(グルコース)その②―
(東 敬一朗)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
妊娠中の抗ヒスタミン薬の使用は?
(宇野 千晶 中島 研)

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
新型コロナウイルス感染症(COVID―19)により促進された
「オンライン・コミュニケーション」
~「感染防止」と「経済活動」の両立を目指す考え方~
(中野 重行)

≪Report≫

がん化学療法誘発悪心・嘔吐の予防と治療③
(内田 まやこ)

≪巻頭言≫

 赤血球は,組織への酸素供給という生命維持の根幹を担う細胞である.赤血球の酸素運搬における機能分子はヘモグロビンであり,ヘモグロビンに含まれる鉄が酸素と結合し酸素が運搬される.したがって,ヘモグロビンの低下は体の酸素不足をもたらす.この状態が貧血である.貧血の症状は,息切れ,動悸,倦怠感など共通であるが,貧血の原因は多様であり,数多くの貧血疾患が存在する.そして,それぞれに対する治療も異なり,予後もさまざまである.貧血疾患のうち,最も頻度が高い貧血は鉄欠乏性貧血であり,診療科,年齢に関係なく経験する貧血である.ただし,慢性腎臓病や肝障害,内分泌疾患などに伴う二次性貧血,がんに伴う貧血,炎症に伴う貧血など,診療科横断的で多数の患者が存在する貧血疾患は多岐にわたる.したがって,日常診療を行う上で貧血疾患を理解することは医療者にとって必須である.一方で,患者数は限られるものの,血液疾患のような診断や治療の専門性が高い貧血も存在する.これらの特殊な貧血疾患の治療を行う施設は限られるため,一般的な保険薬局において治療薬を扱う頻度は低いものの,扱う場合には作用機序や副作用,併用薬との相互作用など高度な知識が求められる.さらに,高齢化社会を迎えて貧血疾患の構成に変化が認められるとともに,医学の進歩により貧血疾患に対しても数多くの新規治療薬が用いられるようになってきた.したがって,この多様な貧血疾患を適切に治療するには,治療薬に関する最新で正確な知識と適切な管理が必須である.本特集号では,貧血疾患にスポットをあて,診断の基本,病態の理解,薬物治療の実際を専門家に解説いただくこととした.まず,診断のポイント・考え方といった貧血全般にかかわる事項を解説いただき,さらに,代表的な貧血疾患の病態と治療について具体的に解説いただくことにしている.前述のごとく,貧血疾患は多様であり,本特集でそのすべてをカバーすることはできないが,最低限の必要な知識は提供できていると考えている.本特集の内容が臨床現場での診療・薬剤管理に役立つことを願っている.

張替 秀郎
東北大学大学院医学系研究科 血液免疫病学分野 教授
2,200円
特集:β遮断薬 -これまで集積されたノウハウと薬物治療の最前線-

≪特集の目次≫

■特集にあたって(伊藤 浩)

■β遮断薬の基礎知識-剤形ごとにみた薬剤特性と使い分け-
・β遮断薬:経口剤(筒井 裕之)
・β遮断薬:注射剤(山下 武志)
・β遮断薬:貼付剤(髙橋 尚彦)

■β遮断薬の日米欧ガイドラインにおける位置づけとエビデンス
・高血圧(楽木 宏実)
・HFrEF(清水 渉)
・HFpEF(山本 一博)
・心筋梗塞(石原 正治)
・不整脈(池田 隆德)
・周術期(非心臓手術・心臓手術)(坂本 篤裕)
・抗がん薬による心毒性(大谷 規彰)
・敗血症(岡田 基)

■β遮断薬を使いこなす“ワザ”と“知恵”
・β遮断薬の投与量の考え方(小室 一成)
・β遮断薬の増減量と休止・再開の実践ポイント(樋口 義治)
・β遮断薬の剤形変更における投与設計と留意点(木原 康樹)

■小児・妊婦におけるβ遮断薬-いつ・どの患者に・どう使う?留意点は?-
・小児におけるβ遮断薬の考え方と使い方(堀米 仁志)
・妊婦におけるβ遮断薬の考え方と使い方(池田 智明)

■合併症を有する心不全におけるβ遮断薬のエビデンス
・COPD合併心不全とβ遮断薬(大西 勝也)
・糖尿病合併心不全とβ遮断薬(野出 孝一)
・CKD合併心不全とβ遮断薬(吉原 史樹)

■慢性心不全標準治療の次の一手“イバブラジン”を使いこなす(猪又 孝元)

≪シリーズ≫

■フォーミュラリー道場医薬品の適正使用を目指して 新連載
フォーミュラリーとは?
(安藤 正純/金井 紀仁)

■薬剤師が三ツ星シェフ 〜業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ〜
経静脈栄養組成の立案に必要な情報
-糖質(グルコース)その①-
(東 敬一朗)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
外来がん薬物療法のマネジメント実践
~副作用評価からメディカルレコードの書き方まで~
(川上 和宜)

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
「Withコロナ」の時代を迎えて
~「オンライン会議」におけるコミュニケーションについて~
(中野 重行)

■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座 最終回
儲けるためじゃなく,豊かな気持ちで仕事をするために必要なこと
(桑原 秀徳)

≪Report≫

■がん化学療法誘発悪心・嘔吐の予防と治療②(内田 まやこ)

≪巻頭言≫

 β遮断薬の歴史は古い。プロプラノロールが発売されたのは1966年である。最初の臨床応用は狭心症、頻脈性不整脈である。その後、高血圧、心筋梗塞、心不全、心臓突然死などに拡大されてきた。残念なことに、降圧薬としてはあまり降圧効果が強くないことと、インスリン抵抗性の悪化、徐脈や呼吸器系の副作用への懸念から、ガイドラインでは降圧薬の第一選択薬からは外されてしまった。β遮断薬の副作用が強調されたあまり、β遮断薬を恐れてほとんど使用しなくなったかかりつけ医も少なくない。そのような意味で、降圧薬の中で最も誤解されているものがβ遮断薬と言える。
 しかし、循環器内科医になるとβ遮断薬のへの考えがまったく異なる。低心機能の心筋梗塞患者、収縮不全患者の生命予後を改善し、心臓突然死の予防にも有効であることから、“命を救う薬”そして循環器系の各種ガイドラインでは積極的な使用を推奨している。循環器診療の中で最もよく用いられる薬の一つと言える。近年増加している心房細動のレートコントロールにもβ遮断薬が推奨されている。
 ただし、β遮断薬であれば何でもよいというわけではない。推奨されるβ遮断薬は2つである。β1選択性(心臓選択性)の最も強いビソプロロールとαβ遮断作用のあるカルベジロールである。この2剤はインスリン抵抗性を悪化したり、HbA1cを増加させることがない。さらに慢性閉塞性肺疾患(COPD)合併例にも安全に使用できることが知られている。意外に思うかもしれないが、β遮断薬はCOPDや気管支喘息に禁忌になったのは症例報告によるものであり1, 2)、それ以上の臨床的エビデンスはない。最近では、COPDを合併する心筋梗塞患者にβ遮断薬を投与すると生命予後が改善すること3)、β遮断薬がCOPDの急性増悪を予防することも報告されている4)。β遮断薬の副作用である徐脈に関しても誤解を解いておく必要がある。β遮断薬は交感刺激をブロックするものであり、洞結節や房室結節の本来の機能を抑制するものではない。したがって、β遮断薬で極端な徐脈になる症例は、もともと洞結節や房室結節が傷害されており、今後の臨床経過でペースメーカーが必要になる患者と考えた方がよい。
 β遮断薬の剤形も経口剤だけではなく、β1選択性が高く作用時間が短い静注剤のランジオロール、貼付剤で血中濃度が安定しやすいビソノテープが出てきて用途に応じて使いやすくなった。本特集は今まで集積したβ遮断薬のノウハウと新しい剤形を含めて疾患ごとにβ遮断薬をどう使うかに関してエキスパートに解説していただくのが目的である。

引用文献
1.McNeill RS: Lancet, 2: 1101-1102, 1964. (PMID: 14207902)
2.Zaid G, et al: N Engl J Med, 275: 580-584, 1966. (PMID: 5920412)
3.Gottlieb SS, et al: N Engl J Med, 339: 489-497, 1998. (PMID: 9709041)
4. Farland MZ, et al: Ann Pharmacother, 47: 651-656, 2013. (PMID: 23585645)

岡山大学大学院医歯薬総合研究科 循環器内科学 教授
伊藤 浩
2,200円
特集:薬剤性光線過敏症 -適切に対応できるチカラを身につける-

≪特集の目次≫

■特集にあたって(宮地 良樹)

■「露光部の皮膚トラブル」を訴える患者のみかた・考えかた(上出 良一)

■薬剤による光線過敏症の検査とピットフォール(戸倉 新樹)

■薬剤性光線過敏症の治療戦略-どの患者でどう治療するか-(川田 暁)

■薬剤性光線過敏症の発生機序と既往歴がある患者の薬剤管理
・薬剤性光線過敏症の原因薬剤と発生機序(尾上 誠良)
・薬剤性光線過敏症歴がある患者への薬剤管理(村川 公央 ほか)

■光線力学的療法における薬剤性光線過敏症対策(吉岡 正博 ほか)

■太陽紫外線の防御対策・遮光指導の実践ポイント
・屋外における太陽紫外線曝露と防御対策法の効果(森脇 真一)
・サンスクリーン剤の基礎知識-市販製品の内容物を読み解く力を身につける-(水野 誠)
・紫外線防御用化粧品の選び方と使用時の留意点(藤原 留美子 ほか)
・光線過敏症の原因薬剤を投与する際の遮光指導(大谷 道輝)

≪シリーズ≫

■薬剤師ふたばの症例検討奮闘記 最終回
症例検討会を継続しよう!
つまづきやすいピットフォールと対策
(上塚 朋子/矢野 良一)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
睡眠薬の適正使用に貢献を!
(坪内 清貴)

■薬剤師が三ツ星シェフ 〜業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ〜
経静脈栄養組成の立案に必要な情報
-必要栄養量の設定方法-
(東 敬一朗)

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
新型コロナウイルス感染症の時代に遭遇して
~「Withコロナ」の時代における「新しい生活スタイル」について~
(中野 重行)

■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座 第⑮回
株式投資個別銘柄評価
~製薬企業編~
(桑原 秀徳)

≪Report≫

■がん化学療法誘発悪心・嘔吐の予防と治療①(内田 まやこ)

■新型コロナウイルス感染症(COVID―19)治療薬(大井 一弥/川西 正祐)

≪巻頭言≫

 太陽光線は私たちの生活にエネルギーや明るさ,暖かさなど計り知れない恩恵を与える.しかし,そのわずか6%余りを占める紫外線には多彩な功罪があり,私たちの皮膚でビタミンDを産生するというミッション以外にはデメリットが多く,誰にでも起こりうるサンバーン,光老化,光発がんだけでなく,一部の人には光線過敏症を惹起する.多くの光線過敏症は紫外線+αの要因で起こるが,その+αの要因が遺伝や代謝異常などの内因性の場合と,食事・薬剤(経口剤,注射剤,外用剤)・化粧品など外因性の場合がある.頻度的に一番多いのは外因性光線過敏症の代表である薬剤性光線過敏症で,その主な作用波長はUVAである.
 医療専門職にとって薬剤性光線過敏症が日常診療で重要な理由は,
①処方箋によって医療専門職が引き起こす医原性疾患であること
②発症に早期に気づいて投与を中止すれば完治できること
の2点に集約される.
 ケトプロフェン外用剤(貼布剤)による光線過敏症は頻度も多いためよく知られているが,経口剤としてニューキノロン系抗菌薬,NSAIDs,降圧薬などもしばしば光線過敏症の原因となる.チアジド系利尿薬のように,いったんは光線過敏症の頻度が激減したにもかかわらず,チアジド配合降圧薬の登場によって光線過敏症が復活・再興したことは記憶に新しい.したがって医療専門職としては,「自分が患者に薬剤性光線過敏症を起こしているのではないか?」と絶えず自問自答して薬剤性光線過敏症の動向を注視する必要がある.
 発症に気づくという意味では,患者の愁訴に「発疹」があった場合,その発疹の分布に細心の注意を払うことが肝要である.光線過敏症の発疹は日光曝露部に限局して現れるので,顔面・頸部・耳介・手背などに発疹がみられやすい.さらに詳細に観察すれば,頸部の露光部と被覆部に境界鮮明な紅斑がくっきりと分かれて存在すること,前頸部のV字領域にはあるが日の当たらない下顎直下部には発疹がない,あるいは手背にはあるが手指間にはない,など緻密な発疹分布の観察がまるで推理小説を読み解くように薬剤性光線過敏症診断のヒントを与えてくれることもまれではない.
 本特集ではこのように日常診療に重要な薬剤性光線過敏症に適切に対処できるように,まずどのように診察し,どのように検査をして診断に至るのか,診断がついたら被疑薬を中止できるかどうか,どのような治療戦略があるのか,という点について主に皮膚科医の立場から解説いただいた.続いて,薬剤性光線過敏症がどのような機序で発生するのか,既往歴がある場合の薬剤管理について薬学研究者の立場から論じていただくとともに光線力学的療法における遮光管理についても言及していただいた.最後に太陽紫外線防御対策や遮光指導の実際についても皮膚科医の臨床における実践的な指導とともにサンスクリーンを中心に香粧品の専門家に解説をお願いした.
 これまであまり薬剤性光線過敏症に特化した特集はなかったと思われるが,本特集では薬剤性光線過敏症の現況についてかなり網羅的に詳述していただいたので,この一冊で薬剤性光線過敏症の最新の知識と予防・治療の手法を十分習得することができるものと確信する.ぜひ,薬剤性光線過敏症に遭遇するすべての医療専門職のスキルアップにご活用願いたい.

宮地 良樹
京都大学 名誉教授
2,200円
特集:がん薬物療法と腎機能低下 -腎機能を考慮したマネジメントの基礎と実践-

≪特集の目次≫

■特集にあたって(寺田 智祐)

■Onco-Nephrology -がん診療における腎障害について-(北井 悠一朗ほか)

■抗がん薬による腎機能障害の予防・対応策(小出 博義ほか)

■がん患者の腎機能評価と腎機能に応じた抗がん薬の投与量調整
・がん患者における腎機能評価と留意点(下方 智也)
・抗がん薬のPharmacokinetics/Pharmacodynamics(野田 哲史ほか)
・腎機能低下患者(保存期)および透析患者における抗がん薬の投与量調整(大野 能之)

■慢性腎臓病/腎不全を合併するがん患者で注意すべきがん薬物療法
・S-1+シスプラチン療法(松尾 宏一)
・CapeOX+ベバシズマブ療法(古田 祐美子ほか)
・シスプラチン(カルボプラチン)+ペメトレキセド+ペムブロリズマブ療法(藤田 行代志)
・メトトレキサート大量療法(山崎 伸吾)
・腎癌領域の分子標的抗がん薬(藤堂 真紀)
・慢性骨髄性白血病の分子標的抗がん薬(三浦 昌朋)
・抗EGFR(epidermal growth factor receptor)抗体(髙橋 克之ほか)
・支持療法・がん性疼痛鎮痛薬(平井 さやかほか)

≪シリーズ≫

■薬剤師ふたばの症例検討奮闘記
フィードバック
症例検討会終了後は成長のチャンス
(湊川 紘子,上塚 朋子)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
真のバチルス菌血症を研究せよ!
(望月 敬浩,倉井 華子)

■薬剤師が三ツ星シェフ -業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ-
経静脈栄養組成の立案に必要な情報 -経静脈栄養の適応と投与ルート-
(東 敬一朗)

■医療マンダラ 〜思考と感性のセンスを磨く〜
地球規模で拡大している新型コロナウイルス感染症をめぐって思うこと
〜人類と感染症の闘いの歴史と闘い方に見られる日本独特の文化〜
(中野 重行)

■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座
暴落に負けるな! ピンチをチャンスに変える方法
(桑原 秀徳)

■「治療」薬局」合同連載 症例×Q&A 超高齢社会シコウの利尿薬適正使用シコウ(最終回)
利尿薬の適正使用を目指して
The use of diuretic regimens remains an art rather than science
(杉本 俊郎)

≪巻頭言≫

 高齢化の進展に伴う,がん患者と慢性腎臓病(CKD)患者の動向に関する3つの統計について紹介したい.
 国立がん研究センターがん情報サービスの『最新がん統計』(更新・確認日2019年10月04日)で公表されているデータを解析すると,2015年にがんと診断された件数(罹患数)は,約89.1万件であり,男51.1万件,女38.0万件である.このうち,65歳以上の高齢者は65.3万件(全がん罹患の73.2%),75歳以上は37.4万件(同42.0%),85歳以上は11.9万件(同13.4%)と,がんと診断された患者のうち,実に約4人に3人は65歳以上となる.がん登録が整備された1975年からのデータを見てみると,男女ともに75歳以上の罹患数が増大していることが読み取れる.すなわち,医療の進歩などによる平均寿命の延伸に伴い,高齢がん患者が治療のために手術やがん薬物療法を受けるケースが増大していると考えられる.
 一方,同サービスの『がん診療連携拠点病院等院内がん登録生存率集計』(更新・確認日:2019 年12 月14 日)によると,2010〜 2011年における全がんの5年実測生存率は58.8%,また,がん以外による死亡を補正した5年相対生存率は66.4%と報告されている.さまざまながん種が含まれ,またⅠ期からⅣ期までのすべての病期を含んでいる統計であるが,がんと診断されても60%前後の患者は5年間生存していることになる.がん薬物療法が主な治療法となるⅣ期だけを統合したデータは公表されていないが,例えば,大腸癌Ⅳ期の5年実測生存率は29.4%,5年相対生存率は31.3%となっている.これらの生存率は,年度ごとに上昇しており,新しい検査や治療法の導入により,がん患者の生存期間は確実に延長していることが読み取れる.
 CKDは,1つの疾患の名称ではなく,腎臓の働きが徐々に低下していくさまざまな腎臓病を包括した総称である.主な原因としては,糖尿病による「糖尿病性腎症」,複数の難病を包括した「慢性糸球体腎炎」,主に高血圧や加齢による「腎硬化症」などが挙げられる.少し古いが,日本腎臓学会『CKD診療ガイド2012』によると,CKD患者数は約1,300万人(成人8人に1人)と推定されており,高齢化や生活習慣病の増加などにより,CKD患者はさらに増加していると予想される.一方で,CKDが進行し,末期腎不全となると透析療法が選択されるケースが多いが,これまでの腎疾患対策の結果,新規透析導入患者数は横ばいとなっている(日本透析学会『わが国の慢性透析療法の現況』,2018年12月31日現在).同調査によると,透析導入患者の平均年齢は9.99
歳であること,透析患者の死亡原因としては, 心不全(23.5%), 感染症(21.3%),がん(8.4%)の順であることなども報告されている.すなわち,透析導入患者の約10人に1人はがんが原因として死亡していることになる.
 これらの統計から推測できることは,今後も,がんの罹患年齢の高齢化と生存期間の延長によって,CKD患者(透析患者含む)にがん薬物療法を施行する機会がますます増加していくことである.このような場合,特に抗がん薬の投与量調整や副作用対策など,一般のがん患者と比較してより決め細やかな対応が必要である. そこで,本特集では,がん薬物療法と腎機能低下にスポットを当て,第一線で活躍している先生方にトピックスごとに解説いただいた.本特集が,がん診療に関わるすべての医療者にとって,良き参考書となることを心より祈念している.

寺田 智祐
滋賀医科大学医学部附属病院 薬剤部 教授・薬剤部長
2,200円
特集:表在性皮膚真菌症 -治療薬を活用するための基礎と実践総まとめ-

≪特集の目次≫

■特集にあたって(常深 祐一郎)

■表在性皮膚真菌症の診断と感染経路の解析(竹田 公信)

■表在性皮膚真菌症の診断方法
・直接鏡検・真菌培養(竹中 基)
・遺伝子診断(安澤 数史)

■表在性皮膚真菌症の臨床像とその鑑別
・白癬の臨床像と鑑別(辻 学)
・カンジダ症の臨床像と鑑別(佐藤 友隆)
・マラセチア症の臨床像と鑑別(川上 洋ほか)

■コラム:Trichophyton tonsurans感染症(小川 祐美)

■表在性皮膚真菌症における薬剤選択と患者指導の実践ポイント
・白癬の治療戦略と患者指導(常深 祐一郎)
・カンジダ症の治療戦略と患者指導(石崎 純子)
・マラセチア症の治療戦略と患者指導(下山 陽也)

■外用抗真菌薬による接触皮膚炎の回避と生じた際の対処法(田邉 洋)

■経口抗真菌薬の投与前検査と投与中モニタリング・異常発現時の対応
・テルビナフィン(福田 知雄)
・イトラコナゾール(牛上 敢)
・ホスラブコナゾール(常深 祐一郎)

■表在性皮膚真菌症における経口抗真菌薬の薬物相互作用マネジメント(山口 諒ほか)

■患者背景を考慮した表在性真菌症治療・予防Q&A
・糖尿病患者の足白癬に対してケアと患者教育はどう行えばよい?(竹原 君江)
・免疫抑制状態の患者で真菌感染をどう管理すればよい?(北見 由季)
・小児での経口抗真菌薬の使い時と用量はどう考える?(木村 有太子)
・多病でポリファーマシーの在宅高齢患者の爪白癬が放置されている場合はどうすればよい?(丸山 隆児)
・腎機能低下・透析患者での経口抗真菌薬投与をどう考える?(山本 和宏)

■表在性皮膚真菌症の再発予防指導(西部 明子)

■足白癬を対象とする市販薬の現状と問題点(野口 博光)

■コラム:「どうしても通院できない」場合のOTC薬の考え方(常深 祐一郎)

≪シリーズ≫

■薬剤師ふたばの症例検討奮闘記
症例検討会本番
議論を深めるために
(内田 まやこ,矢野 良一)

■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座
慌てて損しないための投資哲学あれこれ
(桑原 秀徳)

■「治療」「薬局」合同連載 
症例×Q&A 超高齢社会シコウの利尿薬適正使用シコウ
体液過剰状態の高齢うっ血性心不全患者の入院(再入院)が繰り返される現状,なんとかならないのか?
(杉本 俊郎)

≪巻頭言≫

皮膚真菌症は非常に頻度の高い疾患である.皮膚真菌症の有病率は,日本臨床皮膚科医会の足の疾患以外で皮膚科を受診した患者の足の検診結果から,足白癬は21.6%,爪白癬は10.0%と推計されている.皮膚科受診患者の中での内訳は,日本医真菌学会の疫学調査からみると,皮膚科新患患者のうち13.8%が真菌症で,その99.9%が表在性皮膚真菌症であり,白癬が87.1%,皮膚・粘膜カンジダ症が9.7%,マラセチア症が3.2%であった.さらに白癬の各病型の内訳は足白癬63.0%,爪白癬34.0%,体部白癬7.4%,股部白癬4.1%であった.また,日本皮膚科学会の多施設横断的な全国調査で皮膚科を受診した患者を多い順に並べると,その他の湿疹,アトピー性皮膚炎,足白癬,蕁麻疹・血管浮腫,爪白癬となっており,足白癬や爪白癬は皮膚科疾患全体の中でも主要な位置を占めていることがわかる.白癬は俗に「水虫」といわれ,知らない人はいない病気である.このように極めて頻度が高く,診療現場でよく遭遇する皮膚真菌症であるが,その診断や治療が適切に行われているかというと,残念ながら,誤診も多く,治療も不十分なことが少なくない.皮膚真菌症の大部分は正確に診断し,適切な治療薬を選択し,患者に十分な説明をして理解してもらえば,治癒させることができる.昔「水虫を治す薬を発明したらノーベル賞ものだ」などといわれ,今でも水虫は治らないと思っている人は多い.実は,現在,非常に効果の高い薬剤が揃っているのである.そして,細菌と違い薬剤耐性もほぼないと言ってよい.では何がよくないのか? 診断が間違っている,治療薬の選択や使い方が間違っている,患者指導が不十分でドロップアウトが多い,など薬剤以外の問題で治癒に導けていないのである.皮膚真菌症は皮膚科医だけが診ているのではなく,むしろ皮膚科以外の医師が診ている症例の方が多いという話もある.また,患者と第一線で接する看護師による指導は影響が大きいし,薬剤のアドヒアランスに直結する薬剤師の役割も重要である.このように幅広い医療従事者に皮膚真菌症の病態や診断,治療,患者指導について正しく知ってもらい,皮膚真菌症診療能力の底上げを図り,標準化しようというのが本特集の企画意図である.読者のみなさまがそれぞれの立場から皮膚真菌症の治癒に向けて正しい知識を習得していただければ嬉しい限りである.

常深 祐一郎
埼玉医科大学 皮膚科 教授
2,200円
特集:歯科領域の薬物療法 -薬を使いこなす“知識”と“ノウハウ”-

≪特集の目次≫

■特集にあたって(金子 明寛)

■全身疾患と顎口腔病変との関連性(片倉 朗)

■歯科領域の感染症における予防・治療薬の考え方・使い方
・歯科外来における抗菌薬処方の実態(石金 正裕)
・歯性感染症の細菌学と抗菌薬療法(金子 明寛)
・歯科領域における周術期抗菌薬投与の原則と課題(古土井 春吾)
・口腔細菌が誤嚥性肺炎をはじめとする呼吸器疾患へ及ぼす影響と口腔ケアの重要性(神尾 宜昌ほか)
・口腔カンジダ症の予防・治療戦略(上川 善昭)

■口腔顔面痛に対する疼痛制御の基礎と実践
・口腔顔面痛の疾患概念・分類および診療の進め方(和嶋 浩一)
・口腔顔面痛の発生機序に基づいた薬物療法の実践(岡田 明子)

■口腔機能低下症/障害マネジメントの勘所
・加齢に伴う口腔機能の変化と“気づき”のポイント(山崎 裕)
・口腔機能低下症/障害に対する薬物療法・口腔ケアの実践ポイント(山本 健)
・口腔機能低下症/障害における治療薬管理と服薬支援(岩尾 一生)

■歯科領域の周術期における治療薬管理(栗田 浩)

■歯科領域の漢方薬活用術-歯・口腔疾患に対する有効な漢方薬(選択方法・投与期間・副作用)―(王 宝禮)

■歯科病変を引き起こす薬物有害反応とその対応
・薬剤関連顎骨壊死・顎骨骨髄炎(上田 美帆ほか)
・抗がん薬による口腔粘膜炎(百合草 健圭志)
・薬剤性歯肉増殖症(梅田 誠ほか)

≪シリーズ≫

■褥瘡コンサル虎の巻 〜褥瘡の発生要因を考える〜 最終回
疾患と褥瘡との関係は?-⑧
疾患によって予測される褥瘡発生とその対応
腰部脊柱管狭窄症と褥瘡
(溝神 文博)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
尿毒症物質と球形吸着炭のエビデンスを整理して,
薬物療法の可能性を再考しよう!
(吉田 拓弥)

■医療マンダラ 〜思考と感性のセンスを磨く〜
「プラセボジレンマ」を乗り越える工夫
〜ランダム化比較試験(RCT)においてコントロールとして
プラセボ単独使用群を設定する際の倫理的ハードル〜
(中野 重行)

■薬剤師ふたばの症例検討奮闘記
症例検討会に向けた準備-⑦
プレゼンテーションの準備を通じて振り返る
(矢野 良一 上塚 朋子)

■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座 第⑫回
年代別,こんな投資ポートフォリオがいいんじゃない?
(桑原 秀徳)

■「治療」「薬局」合同連載 
症例×Q&A 超高齢社会シコウの利尿薬適正使用シコウ
体液過剰を呈する高齢うっ血性心不全患者の
入院(再入院)が繰り返される現状なんとかならないのか?
病院退院前・病院外来でやるべきこと,できること
(杉本 俊郎)

≪巻頭言≫

 わが国の歯科医師数は約10万人で医師の1/3である.歯科では約90%が診療所で勤務している.厚生労働省の2018年(平成30年)社会医療診療行為別統計の概況によると,無床歯科診療所の総数は61,240軒で,医科の施設数(病院,診療所総数)88,988軒の68.8%である.歯科診療報酬明細書件数は1ヵ月あたり18,002,119件で,医科(病院,診療所総数)の明細書件数85,727,192件の約20%である.歯科で処方箋料を算定している明細書は1ヵ月あたり0.7%なので12万件前後となる.投薬点数は一般医療16.0点,後期医療は1件あたりの投薬点数は16.6点であるので,歯科処方を目にされない保険薬局も存在する可能性もある.また,歯科で処方する薬剤として併用禁忌が多い薬剤はクラリスロマイシンおよびアゾール系抗真菌薬(歯科適応はミコナゾールゲル,口腔粘膜付着型ミコナゾールおよびイトリゾールカプセル,内用液)である.歯科で多くみられるβ-ラクタム薬,NSAIDsの処方では併用禁忌が少ないので歯科への疑義照会も少ないと思われる.
 薬剤耐性(AMR)対策としては,歯科処方は第三世代経口セフェム系薬の処方の比率が多い点が挙げられる.歯科の起炎菌の多くは口腔レンサ球菌および嫌気性菌であり,第三世代経口セフェム系薬のようにグラム陰性菌まで広範囲にカバーする必要はない.歯科においても従来は第一世代セフェム系薬が処方の主流であり,1977年頃はセファレキシンの処方数が75%を占めていた.セファレキシンからセファクロルへ時代とともに処方比率は移行した.医科も含め2000年頃はセファクロルの処方が多く,その当時(第三世代の経口セフェムの臨床試験の頃)のセファレキシンの口腔レンサ球菌に対するMIC50は12.5µg/mL,MIC90は100µg/mL以上,セファクロルの口腔レンサ球菌に対するMIC50は3.13µg/mL,MIC90は100µg/mLであった.セファレキシン,セファクロルの歯科における臨床効果の低下とともに処方数は減数し,ペニシリン系薬の処方は増加せずに,第三世代経口セフェム系薬の処方が増加した.日本化学療法学会・日本感染症学会の感染症治療ガイドでは,アモキシシリン,アモキシシリン/クラブラン酸を第一選択薬として推奨し,ペニシリン代替薬として第一世代セフェム系薬を推奨している.
 保険薬局などにおいて,「あの歯科医院いつも同じ処方だけ.何回も同じ薬出して大丈夫かしら?」「顔が腫れているけれど,昨日セフェム系薬を処方し,今日はマクロライド系薬の処方?」と疑義ではないが,疑問の処方と感じることもあると思われる.
 本特集では,歯科における処方薬および歯科と関連するビスホスホネート薬による顎骨壊死なども概説している.本特集により歯科と薬剤師との連携が強化され,患者さんの安全,安心な医療につながることを願っている.

金子 明寛
東海大学医学部 外科学系口腔外科学 教授
2,200円
特集:特発性肺線維症 -診断・治療の最前線と患者支援の実践ポイント

≪特集の目次≫

■特集にあたって(井端 英憲)

■間質性肺疾患と特発性肺線維症(小林 哲)

■特発性肺線維症のガイドラインの変遷(西岡 安彦)

■特発性肺線維症の診断と治療
・特発性肺線維症の臨床所見(冨岡 洋海)
・特発性肺線維症の血清学的所見(佐藤 正大 ほか)
・特発性肺線維症の画像所見(大久保 仁嗣 ほか)
・特発性肺線維症の併存症(藤本 源)

■特発性肺線維症治療薬の考え方と使い方
・ピルフェニドン(是枝 快房)
・ニンテダニブ(河村 哲治)
・ステロイド・免疫抑制薬(内藤 雅大)
・特発性肺線維症治療薬の副作用対策と服薬指導(坂野 昌志)

■特発性肺線維症の臨床上の諸問題
・特発性肺線維症診断時に,患者と家族に伝えるべきこと(井端 英憲)
・特発性肺線維症患者の急性増悪時の診断と治療(佐々木 信)
・特発性肺線維症における病薬連携(中根 茂喜)
・特発性肺線維症の難病医療費助成制度(坂野 昌志)

≪シリーズ≫

■薬剤師ふたばの症例検討奮闘記
症例検討会に向けた準備-⑥
薬剤師の視点で治療を吟味する(2)
(矢野 良一/上塚 朋子)

■褥瘡コンサル虎の巻 ~褥瘡の発生要因を考える~
疾患と褥瘡との関係は?-⑦
疾患によって予測される褥瘡発生とその対応
誤嚥性肺炎と褥瘡
(溝神 文博)

■薬剤師が三ツ星シェフ 〜業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ〜
いまさら聞けない? 水分・電解質
―血漿の浸透圧と輸液の関係を理解しよう!―
(樋島 学)

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
天の時,地の利,人の和 ~流れに逆らわず,流れの力を利用して,「流れに乗る」~
(中野 重行)

■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座 第⑪回
初心者はこんな金融商品には手を出してはいけない!
(桑原 秀徳)

■「治療」「薬局」合同連載 
症例×Q&A 超高齢社会シコウの利尿薬適正使用シコウ
利尿薬に関して,知っておくと臨床の現場で役立つ知識
(杉本 俊郎)

≪巻頭言≫

―令和の時代,「特発性肺線維症」は病診連携で診療所医師も診る疾患になる―

 特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis : IPF)は,特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias : IIPs)の約半数と最も頻度が高く,慢性進行性の線維化と既存構造の改変を呈し,不可逆的な蜂巣肺形成を来す原因の特定できない疾患である.特発性肺線維症の初診時からの5年生存率は40%未満で,平均生存期間も約3年程度と予後不良な疾患であるが,有効な治療薬がなく,診療所の一般開業医(GP)にとっては基幹病院で診る疾患という印象があり,長らく病診連携で受け入れてもらいがたい疾患の一つであった.
 経験的に使用されてきたステロイドや免疫抑制薬は,肺線維症は炎症後の線維化であり,先行する炎症を制御すればよいという「慢性肝炎から肝硬変への進展」をモデルとした治療戦略であったが,抗炎症薬治療は予後を改善しないことが明らかとなった.
 そのような中,2008年に世界初の特発性肺線維症治療薬としてピルフェニドンが上市され,2015年にはニンテダニブも上市された.現在も次々に有望な新薬の治験が進んでおり,すべての呼吸器内科疾患の中で,新薬開発に関しては,最もホットな領域となっている.
 現在上市されている抗線維化薬は,疾患を治すことを目指す薬剤ではなく,疾患の進行を抑制する薬剤で,disease modifying agentと呼称され,疾患修飾治療薬と訳される.Disease modifying therapy(疾患修飾療法)は従来,神経変性疾患や膠原病領域で使用されてきた概念であるが,「非腫瘍性・非炎症性の緩徐進行性慢性呼吸器疾患」の長期予後を改善するためには,疾患修飾療法の導入が重要と考えられている.
 例えば,「非腫瘍性・非炎症性の緩徐進行性慢性呼吸器疾患」のもう一つの代表である慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療には,現在は対症療法として長時間作用型気管支拡張薬が使用されているが,疾患修飾療法の考え方では,気腫進行抑制薬が導入されるべき薬剤となる.同じく気管支拡張症の疾患修飾療法には,気道破壊進行抑制薬の開発が必要になると考えられる.本特集の中には,特発性肺線維症の「進行抑制の意義」がくり返し出てくるので,患者・家族の指導に活用していただきたい.
 特発性肺線維症の治療パラダイムは大きく変化しており,今後さらに有望な特効薬が次々と上市されてくると期待されている.呼吸器内科領域で「抗線維化薬」という疾患修飾療法をいち早く導入した特発性肺線維症は,病診連携を介して,地域の医院・クリニックなど診療所で診ることができる疾患になっていくと思われる.
 今回の特集では,特発性肺線維症の最新の診療ガイドライン作成に携わっている著名な先生方に著述を賜ることができた.本特集の読者のみなさまには,特発性肺線維症の最新のエビデンスや治療の考え方を知っていただきたいと思う.
 近い将来,特発性肺線維症が診療所のGPが診る時代となっていく中で,基幹病院の薬剤師だけでなく,保険薬局の薬剤師の方々も,正しい疾患の理解と適切な服薬指導ができるようになっていただけることを期待している.

井端 英憲
三重中央医療センター 統括診療部長
2,200円
特集:調剤業務Update -薬剤師の貢献と発信されたエビデンス総まとめ

≪特集の目次≫

■特集にあたって(石井 伊都子)

■フォーミュラリー算定による医薬品適正使用(青野 浩直ほか)

■処方箋印字と疑義照会の取り組みが及ぼす効果
・処方箋への「残薬調整」のプレ印字と疑義照会簡素化プロトコルの医療経済的効果(松原 和夫)
・処方箋への臨床検査値の印字とその有用性(五十嵐 敏明ほか)
・保険薬局薬剤師による疑義照会の医療経済的効果(鹿村 恵明)

■各種薬剤の調製・取り扱いに関するトピックス
・経口剤(於本 崇志ほか)
・外用剤(山本 佳久)
・注射剤・輸液(中川 博雄,佐々木 均)
・放射性医薬品(鈴木 貴明)

■調剤の自動化とその効果(山下 和彦ほか)

■抗がん薬曝露対策のエッセンス(松尾 宏一)

■医薬品の廃棄に対する取り組みとその効果
・保険薬局の残薬確認による処方調整-節薬バッグ運動を介して-(島添 隆雄)
・抗がん薬のdrug vial optimization(大久保 真貴ほか)
・医療用麻薬の廃棄とその削減対策(加藤 正太郎ほか)

■調剤過誤の要因とその対応策(村川 公央ほか)

■偽造医薬品の流通防止と薬局間の医薬品譲受・譲渡(岩田 紘樹ほか)

■調剤報酬改定と改正薬機法のポイント(亀井 美和子)

≪シリーズ≫

■BMs-Podによる真の薬物投与設計 〜薬物動態解析の臨床への還元〜 最終回
BMs-Podの基本的な扱い方:モンテカルロ・シミュレーションの活用方法
〜薬物動態のバラつきをイメージしよう〜
(尾田 一貴)

■褥瘡コンサル虎の巻 〜褥瘡の発生要因を考える〜
疾患と褥瘡との関係は?-⑥
疾患によって予測される褥瘡発生とその対応
感染症と褥瘡
(溝神 文博)

■薬剤師ふたばの症例検討奮闘記
症例検討会に向けた準備-⑤
薬剤師の視点で治療を吟味する(1)
(上塚 朋子/矢野 良一)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
発熱性好中球減少症をより高い精度で
予防する〜患者面談にもエビデンスを〜
(葉山 達也/川上 和宜)

■医療マンダラ 〜思考と感性のセンスを磨く〜
合理的薬物治療を求めて
〜創薬における「臨床薬効評価」をめぐる思い出から〜
(中野 重行)

■薬剤師が三ツ星シェフ 〜業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ〜
いまさら聞けない? 水分・電解質
-水分・電解質のはたらきを理解しよう-
(樋島 学)

■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座―⑩
税金が決まる仕組みを知ろう!
確定申告と節税の話
(桑原 秀徳)

■「治療」「薬局」合同連載
症例×Q&A 超高齢社会シコウの利尿薬適正使用シコウ
ループ利尿薬が効かなくなってきた!
近位尿細管を働かせるぞ,トルバプタンの使用は有用か?
(杉本 俊郎)

≪Report≫

抗てんかん薬と授乳
(小野寺 憲治/桑原 弘行/市川 勤/若林 広行/神田 循吉/大槻 泰介/曽我 孝志)

≪巻頭言≫

 医療をより良いものにすることは,患者や医療者が共に望むところであり,多領域にわたって日々の努力が続いている.しかし,独りよがりの改善とは改善と言えず,汎用性を求めることは難しい.業務を組み立てるにあたって,研究と同様に仮説を立て,方法を吟味した上でエビデンスを集積し,客観評価を得ながら進めていくことが肝要である.
 薬剤師の最大の特徴は,「薬」の理解者であることである.薬剤師は医療現場で唯一,化学的性質や動態学的理解ができる職種である.薬剤師の視点をもつからこそ,フォーミュラリーを作成することができ,医薬品の調製・取り扱い,抗がん薬への曝露対策,医薬品の廃棄について具体的に論ずることができるのである.
 一方,薬剤師の業務は通り一遍ではない.処方箋調剤一つにしても,病院や薬局おのおのに内規があり,細目まで追求していくと実にバラエティーに富んでいる.長期的な結果として,より的確で安心・安全な方法が定形として普及し定着していくであろうが,そこにはやはり,理論と実証の両者が礎となっている.その良い例が,処方箋の利活用である.しばらく前までは,処方箋は薬のリストとしての意味合いが強く,薬学的管理をする情報源になってはいなかった.特に,処方箋を用いた残薬調整や臨床検査値表記は,処方監査に重要であるが,これらを継続的に続けることによって,本質的な薬学的管理の質向上につながっていくことを実感いただきたい.さらには,薬剤師の業務を滞りなく実行すると,医療経済的メリットがあることがさまざまな研究から証明されている.
 薬剤師の業務は医療安全の追記と言い換えることができる.薬局の仕事の根幹は調剤であり,常にミスと隣り合わせにある.調剤過誤をなくすための対策は,起きた事象の解析から始めることが重要であり,その対策についても理論的に進めることが後の医療過誤防止につながっていく.薬剤師は偽造医薬品の流通防止をしなくてはならないし,薬局間の医薬品譲受・譲渡,2020年の診療報酬改定についても知っておく必要がある.
 本誌では,以上をまとめて掲載した.どれをとっても薬剤師業務に直接関わり,積極的に医療安全を遵守する内容となっている.本誌を通してあらためて薬剤師の視点を感じていただくとともに,2020年の新たな業務改善にお役立ていただければ幸いである.

石井 伊都子
千葉大学医学部附属病院 薬剤部 教授・薬剤部長
2,200円
特集:Evidence Update 2020 -最新の薬物治療のエビデンスを付加的に利用する

≪特集の目次≫

■特集にあたって(名郷 直樹)

■2019年論文ベストテン(名郷 直樹)

■薬剤師介入のエビデンス(木村 丈司)

■エキスパートが注目する最新エビデンスをアップデート!
・降圧薬(菊池 大輔 ほか)
・抗不整脈薬(梶間 勇樹 ほか)
・心不全治療薬(高井 靖 ほか)
・虚血性心疾患治療薬(和田 恭一)
・抗血栓薬(福島 将友 ほか)
・気管支喘息治療薬(加藤 一雲 ほか)
・慢性閉塞性肺疾患治療薬(宮崎 雅之)
・消化性潰瘍治療薬(米田 博輝)
・糖尿病治療薬(青島 周一)
・脂質異常症治療薬(青島 周一)
・高尿酸血症治療薬(三星 知)
・慢性腎臓病治療薬(鈴木 大介)
・統合失調症治療薬(桑原 秀徳 ほか)
・抗うつ薬・抗不安薬・睡眠薬(桑原 秀徳 ほか)
・認知症治療薬(福士 元春)
・抗てんかん薬(山本 吉章)
・抗リウマチ薬(小林 俊介 ほか)
・骨粗鬆症治療薬(鈴木 諒)
・抗菌薬(門村 将太)
・抗ウイルス薬(矢倉 裕輝)
・抗真菌薬(武田 龍馬 ほか)
・ワクチン(福士 元春)
・鎮痛薬(神林 祐子)
・肺癌治療薬(内山 将伸 ほか)
・胃癌治療薬(岩井 美奈 ほか)
・大腸癌治療薬(藤井 宏典 ほか)
・前立腺癌治療薬(吾妻 慧一)
・膵臓癌治療薬(鈴木 秀隆 ほか)
・乳癌治療薬(橋詰 淳哉 ほか)
・子宮癌・卵巣癌治療薬(佐藤 淳也)
・血液腫瘍治療薬(小井土 啓一)
・がん支持療法(藤堂 真紀)
・経静脈栄養(東 敬一朗)
・救急・集中治療(髙木 奏 ほか)

≪シリーズ≫

■「治療」「薬局」合同連載 
症例×Q&A 超高齢社会シコウの利尿薬適正使用シコウ
ループ利尿薬が効かなくなってきた!腎機能が悪化して低Na血症が出てきた!
利尿薬と電解質異常・腎機能障害
(杉本 俊郎)

≪巻頭言≫

 今年もまたEvidence Updateをお届けする時期がやってきました.巻頭言も毎年書き直していますが,毎年読んでいる人は飛ばしてもらってもよいと思います.
 本書のコンセプトは変わりません.新しい論文を付加的に利用する,ということです.新しい論文だけを読んでも,決して現実的な勉強にはなりません.これまでの論文を踏まえ,それに新たな論文を付け加えることで現実的な論文の利用が可能になります.さらに,その作業を日々積み重ね継続していくことが重要です.私もそんな風にして,臨床医として働き続けてきました.1990年代の半ば頃からで,やがて25年になろうというところです.
 当初は,インターネットがつながり始める頃で,PubMedもまだ有料でした.MEDLINE検索は,DOSプロンプトのような画面でコマンドを打ちながら検索し,その都度検索している時間に依存して電話料金や検索料金が発生し,月数万のコストがかかっていたように記憶しています.さらにNew England Journal of Medicine,Lancet,JAMA,BMJ,Annals of Internal Medicine,ACP Journal Clubを紙媒体で定期的に購読し,毎週のチェックを欠かさないようにしていました.今や電子教科書の王道となったUpToDateも当初は高血圧と腎臓病の教科書という感じで,取り上げられていない項目も多く,日々の臨床で使うにはまだまだという状況でした.システマティックレビューの最大のデータベースとなったコクランライブラリもほとんど中身は空っぽで,メタ分析のためのソフトのようなものでした.
 しかし,今やインターネットにさえつながっていれば,PubMedは無料で使い放題で,無料で提供される論文もどんどん増えています.紙媒体で読んでいた医学雑誌もすべてインターネット上で購読でき,目次までなら誰でもチェックできます.さらに,目次どころか,Evidence Alertsのようなサービスにより,自分自身で論文サーベイをしなくても,重要な論文を無料で知らせてくれるサービスも出現しました.
 UpToDateは臨床上のほとんどすべての領域をカバーし,DynaMedという,週単位で更新されるという点ではUpToDateをはるかにしのぐ,電子ジャーナルも現れました.コクランライブラリはシステマティックレビューを探すならまずコクランとでもいうべき巨大なデータベースとなり,新たなレビューが続々と追加されています.
 こうした歴史を紹介していて,2021年号では,データベースの歴史みたいなことを詳しく取り上げるのもいいかもしれません.論文情報そのものも重要ですが,その周辺の情報もなかなか興味深く,論文を読んで使うことに対するモチベーションを大いに駆り立ててくれるような気がします.大事なのは論文そのものより,論文を読みたいと思う気持ちです.
 では今回のEvidence Updateが論文を読みたくなる気持ちを駆り立ててくれるものになっているかどうか,ぜひ読んでみてください.

名郷 直樹
武蔵国分寺公園クリニック 院長
2,200円
特集:救急・集中治療 -重症患者に対する薬学的支援の実践ポイント-

≪特集の目次≫

■特集にあたって(柴田 啓智)

■薬剤師が押さえておきたい救急・集中治療のエッセンス
・救急・集中治療領域で求められる薬剤師の役割・行動(入江 利行)
・初療室で活かす薬剤師の視点(齋藤 靖弘)
・救急・集中治療における医薬品安全管理(野﨑 歩)
・薬物動態学的変化を考慮した重症患者における薬物投与設計の留意点(中薗 健一)
・急性期から維持期までのシームレスな薬物療法を実践するための治療薬管理(甲斐 光 ほか)
・小児救急・集中治療領域の特徴と薬剤師の関わり(大穂 祐介)

■各種病態における診療の流れと薬学的管理の実践ポイント
・心不全・急性心筋梗塞・致死性不整脈(原 直己)
・脳卒中(宮田 祐一)
・急性薬物中毒(鈴木 善樹)
・感染症(片岡 優)
・意識-集中治療後症候群(PICS)予防と心肺停止後症候群(PCAS)管理の観点から-(吉廣 尚大)
・急性腎不全・急性腎障害(古賀 香織ほか)
・急性代謝失調 -糖尿病性ケトアシドーシス・高浸透圧高血糖状態-(加藤 隆寛)
・電解質異常(岩渕 聡 ほか

■救急・集中治療領域における薬剤師教育
・救急ファーマシューティカルラリー -救急医療に貢献できる薬剤師の養成を近畿から目指す-(松井 俊典)
・JSEPTIC薬剤師部会 -グローバルスタンダードな薬物治療の提供へ-(前田 幹広)
・Off the job training course -BLS,ACLS,ICLS,FCCS-(山本 麻里子)

≪シリーズ≫

■薬剤師ふたばの症例検討奮闘記
症例検討会に向けた準備-④
患者情報を整理してまとめる
(上塚 朋子,矢野 良一)

■精神科における個別化医療を目指して
臨床家からの視点
(古郡 規雄,下田 和孝)

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
合理的薬物治療を求めて~育薬における「臨床薬物動態学」をめぐる思い出から~
(中野 重行)

■BMs-Podによる真の薬物投与設計 ~薬物動態解析の臨床への還元~
BMs-Podの基本的な扱い方:Sawchuk-Zaske法の活用方法
~アルベカシンの投与設計~
(尾田 一貴)

■褥瘡コンサル虎の巻 ~褥瘡の発生要因を考える~
疾患と褥瘡との関係は?-⑤
疾患によって予測される褥瘡発生とその対応
老年症候群(廃用症候群)と褥瘡
(溝神 文博)

■薬剤師が三ツ星シェフ 〜業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ〜
“とある一例”が教えてくれる大事なこと―Common sense based nutrition―
(東 敬一朗)

■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座 第❾回
不動産投資って儲かるの?(後編)
(桑原 秀徳)

■「治療」「薬局」合同連載 
症例×Q&A 超高齢社会シコウの利尿薬適正使用シコウ
うっ血性心不全とループ利尿薬 だんだん利尿が得られなくなってきた
―ブレーキ現象と利尿薬抵抗性―
(杉本 俊郎)

≪巻頭言≫

-非日常に正解ではなく答えを出していく日常-

 生きていることは日常だろうか.患者にとって,生きていけないことは非日常の最たるものだろう.いや,患者にとって,という表現は正確ではないかもしれない.非日常の直前まで患者ではないこともありうるのだから.患者になるという非日常は,程度の違いはあれど当人にとっては一大事で,高熱,むくみ,ぼーっとする,尿が出ない,経験したことのない痛み,うまく話せない,今をうまく認識できない,死にたいと思う,心臓が止まる,すべて疑いようもない非日常である.そして,訪れる非日常は残酷なほど平等で,時間と場所とイベントを選ばない.大人かもしれない.子供かもしれない.不特定多数かもしれないし,あなたの大切な人なのかもしれないのである.
 薬剤師として,患者の非日常に遭遇する機会は必ず存在する.救急・集中治療領域で働くということは,それがすべてではないにしろ,その頻度と程度が高いということなのだろう.いつ訪れるかもわからない患者の非日常に対して薬剤師の支えになることは,せめてその瞬間を想定内で迎えたいということかもしれない.患者が,あるいは家族が望む形を提案そして実現し,寄り添うことができたなら,少なからず共有する不安に立ち向かえるかもしれない.また次の患者に向き合えるかもしれない.
 この特集では薬剤師として,チーム医療の一員として,患者の非日常に遭遇した時に対応するための手がかりが散りばめられている.分布容積や薬剤のクリアランスに関する基本的な考え方などは薬剤師の基本スキルであると信じ,その先に拡がる概念について触れている.また,この領域は想定内を得るためのすばらしい研修会が全国で展開されており,その概要についても紹介している.ぜひとも参考にしていただきたい.
 われわれが医療の中で紡ぎ出すのは必ずしも正解ではないかもしれない.正解がみえないことだって多い.しかし,答えを出さなければならないのである.今回の特集では,救急・集中治療にまつわる非日常に遭遇した患者へ,答えを出すことに日常を置いた珠玉の薬剤師が書き下ろしてくれている.この場を借りて心より感謝の意を表したい.
 すべての薬剤師へ,自信を持ってお勧めする.

柴田 啓智
済生会熊本病院 薬剤部 薬剤管理指導室長代行
2,200円
特集:急性冠症候群 -実臨床に活きる薬物治療の知識とスキルを身につける

≪特集の目次≫

■特集にあたって(宮内 克己)

■急性冠症候群の成因・分類と診断手順(金子 智洋 ほか)

■急性期・回復期・維持期ごとにみた急性冠症候群の治療戦略
・ST上昇型心筋梗塞(飯島 雷輔 ほか)
・非ST上昇型心筋梗塞(小菅 雅美)
・不安定狭心症(中川 義久)

■経皮的冠動脈インターベンション後の抗血栓療法Q&A
・抗血小板薬併用療法はどの患者にどの組み合わせを用いるのか? 薬剤過敏症・不応/過反応性のケースではどう対応するのか?(齋藤 佑一 ほか)
・出血ハイリスク患者におけるPCI後の抗血栓療法と出血後の対応をいかに行うか?(上妻 謙)
・PCI後に残存する虚血やステント血栓症ではいかに対応すればよいか?(坂倉 建一)
・抗血小板薬の併用から単剤への切り替えはいつ・どうやるか?(石井 正将 ほか)
・抗凝固薬(経口抗凝固薬も含む)はいつ・どの患者に・どう使うか?(亀田 良 ほか)

■急性冠症候群における血圧・血糖・脂質管理の極意
・急性冠症候群患者の血圧マネジメント(徳重 明央 ほか)
・急性冠症候群患者の血糖マネジメント(石原 正治)
・急性冠症候群患者の脂質マネジメント(安田 英俊 ほか)

■急性冠症候群患者における薬学的管理の実践ポイント
・急性冠症候群患者における副作用・相互作用のチェックポイント(大山 亜梨沙 ほか)
・薬剤師が実践する急性冠症候群患者支援の勘所(上村 澪 ほか)

≪シリーズ≫

■薬剤師ふたばの症例検討奮闘記
症例検討会に向けた準備-③
薬物治療の基本知識の確認と症例の情報収集
(上塚 朋子/矢野 良一)

■薬剤師が三ツ星シェフ 〜業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ〜
なぜ経静脈栄養は難しい?
―輸液栄養を身近に感じられる“とある一例”―
(東 敬一朗)

■精神科における個別化医療を目指して
睡眠薬
(髙橋 結花)

■褥瘡コンサル虎の巻 ~褥瘡の発生要因を考える~
疾患と褥瘡との関係は?-④
疾患によって予測される褥瘡発生とその対応
神経疾患と褥瘡②
(溝神 文博)

■BMs-Podによる真の薬物投与設計 ~薬物動態解析の臨床への還元~
BMs-Podの応用的な扱い方:ベイズ推定の活用方法
~透析患者のバンコマイシンの投与設計~
(尾田 一貴)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
うつ症状を見逃さない!
(坪内 清貴)

■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座
不動産投資って儲かるの?(前編)
(桑原 秀徳)

■「治療」「薬局」合同連載 
症例×Q&A 超高齢社会シコウの利尿薬適正使用シコウ
高齢慢性うっ血性心不全におけるループ利尿薬の功罪
慢性期うっ血性心不全における利尿薬のエビデンス
(杉本 俊郎)

≪巻頭言≫

 急性冠症候群は,不安定狭心症,急性心筋梗塞,心臓突然死を包括した概念であり,循環器内科診療においてその中核をなす重要な疾患である.発症率は欧米に比して低いが生活習慣の欧米化に伴い,ここ30年間で約4倍に増加している.一方,心筋梗塞の予後はこの60年間で劇的に改善し,死亡率は1/10に減少している.これは飛躍的な発展を遂げた急性期・慢性期治療,すなわち冠疾患集中治療室(CCU)の開設や初期治療,血栓溶解療法,経皮的冠動脈バルーン形成術,経皮的冠動脈ステント留置術,さらにはβ遮断薬やアンジオテンシン変換酵素阻害薬の使用などエビデンスに基づく治療が行われてきた証である.しかし,直近10年(2005年から2014年まで)に関しては高齢患者,入院時急性心不全合併患者の増加も相まって急性期死亡率は下げ止まっている.わが国の急性心不全の原因疾患としても虚血性心疾患が最多であり,今後さらなる高齢化に伴い,急性冠症候群,特にその薬物治療が重要となる.急性冠症候群発症後内服が必須となる抗血小板薬や心房細動合併患者における抗凝固薬の併用などによる出血のリスク,怠薬によるステント血栓症のリスクなど,服薬アドヒアランスも含めた高齢者特有の問題も日常臨床ではよく経験される.このような問題に対しては,医師だけではなく,薬剤師や看護師,ソーシャルワーカーなど多職種にわたった連携が必要であり,それぞれが疾患に対する理解を深めることが肝要である.
 そこで,本特集は2019年3月に日本循環器学会から『急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)』が発行されたことから,いま一度その内容を俯瞰的に確認するとともに,同分野における最新の知見や日常臨床で対峙するさまざまな疑問点について,第一線でご活躍のわが国を代表するエキスパートの先生方に解説していただいた.最新の日本のガイドラインと臨床試験結果を今後の日常臨床の実践に,個々の患者さんの治療に役立てていただけると幸いである.

宮内 克己
順天堂東京江東高齢者医療センター 循環器内科 教授
2,200円
特集:気管支喘息 -最新の戦略的・継続的マネジメント

≪特集の目次≫

■特集にあたって(坂野 昌志)

■気管支喘息の病態-フェノタイプ・エンドタイプ-(岡本 薫 ほか)

■気管支喘息の自然史・長期経過(桑原 和伸 ほか)

■最新の気管支喘息治療戦略
・小児・成人の喘息治療とその違い(藤澤 隆夫)
・GINA2019改訂のポイント(白井 敏博)
・ACOの治療戦略-気管支喘息とCOPDの類似点と相違点-(坂倉 康正 ほか)
・難治性喘息における分子標的薬の現状と課題(大岩 綾香 ほか)

■よりよい吸入療法を実践するためのチェックポイント
・吸入療法を開始する患者への初回指導のポイント(坂野 昌志)
・吸入指導のサポートツールと患者によくみられる誤操作(近藤 晃史)
・吸入療法の経時的なフォローアップ(中根 茂喜)
・吸入剤変更時の患者指導のポイント(梶原 洋文)

■喘息重症化因子とそのマネジメント
・アレルゲン(小沼 利光 ほか)
・ウイルス・真菌(市川 和哉 ほか)
・肥満(宮崎 雅之)
・喫煙(霍間 尚樹)
・大気汚染・気象(島田 泉)

≪シリーズ≫

■薬剤師が三ツ星シェフ ~業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ~
薬剤師と臨床栄養との関連性
(東 敬一朗)

■薬剤師ふたばの症例検討奮闘記
症例検討会に向けた準備-②
症例,フォーカスを考える
(矢野 良一 上塚 朋子)

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
治療における薬物の役割とは?
~あらゆる治療法は,生体の有する「自然治癒力」を前提として成り立っている!~
(中野 重行)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
緑膿菌菌血症の治療を研究せよ!
(望月 敬浩 倉井 華子)

■褥瘡コンサル虎の巻 ~褥瘡の発生要因を考える~
疾患と褥瘡との関係は?-③
疾患によって予測される褥瘡発生とその対応 神経疾患と褥瘡①
(溝神 文博)

■精神科における個別化医療を目指して
認知症治療薬
(山本 吉章)

■BMs-Podによる真の薬物投与設計 ~薬物動態解析の臨床への還元~
BMs-Podの基本的な扱い方:ベイズ推定の活用方法
~シクロスポリンの投与設計~
(尾田 一貴)

■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座
外貨投資の落とし穴と正しい使い方
(桑原 秀徳)

■「治療」「薬局」合同連載 
症例×Q&A 超高齢社会シコウの利尿薬適正使用シコウ
利尿薬は腎尿細管に作用してNaを排泄する薬剤であり,尿細管機能を維持する薬剤だ
(杉本 俊郎)

≪巻頭言≫

 気管支喘息による死亡者,いわゆる喘息死は1990年代前半までは実数で5,000~6,000人で推移していたが,1993年にガイドラインが刊行されて以降,吸入ステロイド(ICS)を中心とした治療の重要性が認識されるようになり,2016年には1,511人となるなど約20年で喘息死は1/4~1/3にまで減少した.しかし,厚生労働省が中心となり「喘息死ゼロ作戦」を展開しているにもかかわらず,いまだゼロには遠く及ばない現状である.一方で,気管支喘息の患者数をみてみると,年々減少するどころか増加しており,成人発症例も多く400万人以上の患者が苦しんでいる.
 以前は入院して治療をするケースも多かった気管支喘息であるが,高い治療効果を示すICSが積極的に使用されるようになり,長時間作用性β2刺激薬などとの合剤や,患者ごとの適性に応じて選択できるさまざまなデバイスの開発などもあり,現在ではよほどの重症例でなければ外来での通院治療が中心になっている.
 吸入剤は患者がうまく使用できるかの判断が重要で,吸入指導する薬剤師が要点をおさえながら適切な評価を行うことができるかどうかで治療効果に大きな影響を及ぼす.そのため,ガイドラインでの薬剤選択基準を理解するとともに,デバイスの特徴も正確に把握し,必要に応じて処方医に対してデバイスの変更などを提言できるだけのスキルを身につける必要がある.しかし,患者の大多数が外来治療になっているため,病院薬剤師の中には吸入剤のデバイスの特徴を理解していないばかりか,実際に見たことや操作したこともなく,他の疾患が原因で入院した患者が吸入剤を持っていた場合に慌ててデバイスの操作法を調べるといった事例も珍しくない.また,保険薬局薬剤師では多数の患者の対応に追われ,処方された吸入剤の操作法を説明・確認するのみで,処方内容の評価や本来確認すべき項目まで目が届かないことも少なくない.
 本特集では気管支喘息の病態,治療,ガイドライン変更のポイントなどに関する最新の情報を第一線で活躍しておられる医師の先生方に,また,実際の吸入指導のポイントや指導時に必要な項目を本分野で実績を残している薬剤師の先生方に執筆していただいた.本特集と共に『気管支喘息・COPDの吸入剤(Rp.+ 2018年冬号,南山堂)』をご一読いただければ気管支喘息治療に関わる薬剤師として最低限,身につけておかなければいけない知識を得ることができると考える.「吸入療法は薬剤師の適切な関与がなければ成立しない」ことを自負し,本特集を明日からの業務にお役立ていただければ幸いである.

坂野 昌志
名古屋セントラル病院 薬剤科 副薬剤長
2,200円
特集:高血圧 -地域包括ケアで薬立つ血圧管理の勘所-

≪特集の目次≫

■特集にあたって(小原 拓)

■JSH2019の改訂点と日欧米高血圧診療ガイドラインの比較(辰巳 友佳子ほか)

■高血圧対応力を磨く10のClinical Question!
・家庭血圧の測定方法と測定条件:いつ,何回,どのように,いつまで測定するか(今井 潤)
・白衣高血圧は何が原因か.非医療環境下血圧が良好にコントロールされていれば特に気にしなくてよいか(宮川 政昭)
・血圧変動は何に影響するか.臨床的意義は何か(坂田 知久ほか)
・夜間血圧を測定する意義と測定によってわかることは何か(田原 康玄)
・薬局での血圧測定の意義は何か(小原 拓)
・血圧と合わせて測られる脈拍数にはどのような意味があるか(寳澤 篤)
・効果的に減塩するにはどのような方法がよいか(𡈽橋 卓也)
・効果的に運動するにはどのような方法がよいか-高血圧を含む循環器疾患の予防のための効果的な運動方法について-(中田 由夫)
・高血圧では遺伝要因はどのくらい寄与するのか(勝谷 友宏)
・遺伝子検査に基づいて使用されることが望ましい降圧薬はあるか(神出 計)

■高血圧の薬学的管理Clinical Evidence Synopsis-先行研究から明らかとなった薬剤師による介入の有効性-(石黒 真美ほか)

■降圧薬で注意すべき副作用とそのチェックポイント(菊池 大輔ほか)

■特殊な高血圧におけるマネジメントの勘所
・肺高血圧症(平出 貴裕ほか)
・妊娠高血圧症候群(三戸 麻子)
・がん化学療法の副作用としての血圧上昇(土屋 雅美)

≪シリーズ≫

■薬剤師ふたばの症例検討奮闘記
症例検討会に向けた準備-①症例検討会って?
(上塚 朋子,矢野 良一)

■精神科における個別化医療を目指して
抗うつ薬
(猿渡 淳二)

■BMs-Podによる真の薬物投与設計 ~薬物動態解析の臨床への還元~
BMs-Podの基本的な扱い方:ベイズ推定の活用方法~非線形薬物動態を示すフェニトインの投与設計~
(尾田 一貴)

■褥瘡コンサル虎の巻 ~褥瘡の発生要因を考える~
疾患と褥瘡との関係は?-②疾患によって予測される褥瘡発生とその対応
偽痛風と褥瘡
(溝神 文博)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
CKD患者の胃酸抑制薬を最適化せよ!
(三星 知)

■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座 第6回
投資の王道! 株式投資の目の付けどころ
(桑原 秀徳)

■「治療」「薬局」合同連載 
症例×Q&A 超高齢社会シコウの利尿薬適正使用シコウ
なぜ,うっ血性心不全で浮腫むのか?ヒトは自分の体液量を正確に知ることができない!
(杉本 俊郎)

≪巻頭言≫

 近年の高血圧診療においては,多様な作用機序の降圧薬や配合薬の登場,非医療環境下血圧測定の普及などによって,高血圧患者の治療の選択肢や血圧情報が増加し,高血圧の管理状況は少しずつ良くなってきているともいわれている.その一方で,世界的にも類をみないスピードで進むわが国の高齢化による高血圧者数の増加により,今や日本人の3人に1人が高血圧の時代を迎え,日常業務において高血圧患者と接しない薬剤師はいないのではないだろうか.高齢化に対応するための地域包括ケアシステムの確立による医療環境の多様化に伴い,われわれ医療従事者の高血圧との関わり方も多様化している.薬剤師にとっては,特にかかりつけ薬局・薬剤師の制度化によって,高血圧患者における高血圧薬物治療の適正化のみならず,高血圧予備軍への生活習慣の是正に関する助言や血圧測定指導などの介入も期待されている.
 2019年4月に,5年ぶりに日本の高血圧治療ガイドラインが改訂され,日本高血圧学会『高血圧治療ガイドライン2019』(JSH2019)が発表されたことは,われわれ薬剤師にとってもしっかりとフォローすべき情報の一つである.海外の主要な高血圧治療ガイドラインの改訂においては,2015年に発表され注目を集めたSPRINT(Systolic Blood Pressure Intervention Trial)(N Engl J Med, 373: 2103-2116, 2015)の結果を受けて,高血圧の診断基準に関する議論が巻き起こった.その結果,米国高血圧学会などによる高血圧診療ガイドライン(Hypertension, 71 : e13-e115, 2018)では130/80mmHgを高血圧診断基準とすることとなったが,欧州心臓病学会/欧州高血圧学会による高血圧治療ガイドライン(Eur Heart J, 39 : 3021-3104, 2018)では従来通り140/90mmHgを踏襲することとなった.これらの議論・改訂を受けて,わが国の高血圧治療ガイドラインの改訂においても議論のポイントの一つとして注目が集まっていた.結果的にJSH2019においては,わが国独自の検討結果も踏まえて,140/90mmHgが高血圧診断基準として据え置かれたが,従来の「正常血圧」レベルの一部が「正常高値血圧」へ移行されたことや,一部の高血圧患者における降圧目標値が引き下げられるなどした.また,海外の主要なガイドラインと同様,非医療環境下の血圧測定の重要性が引き続き強調され,薬物治療の提案・管理だけでなく,外来患者の家庭血圧値や在宅患者の血圧値の評価や測定方法の把握,さらには高血圧予備軍に対する介入のタイミングを計ることなど,薬剤師の担うべき範囲が広がったとも言える.しかし,薬剤師による高血圧管理への介入に関するエビデンスは圧倒的に不足しており,本改訂においても薬剤師の役割が十分明記されているとは言えない.本特集では,薬剤師の介入効果に関する数少ない先行研究も取り上げ紹介している.
 このように,日々更新される最新のエビデンスに加え,診療の方向性を大きく左右しかねない診療ガイドラインの改訂などは,われわれ薬剤師にとっても重要な意義をもつ.そこで今回,JSH2019の発表を機に,高血圧にスポットをあて,高血圧に関する最新の情報について,わが国の最前線で活躍する先生方にご解説いただいた.今後ますます増加することが予想される高血圧者に対して,最新の情報に基づいて適切な対応ができるよう,ぜひ本特集を活用していただきたい.

小原 拓
東北大学大学院医学系研究科 環境遺伝医学総合研究センター 分子疫学分野/東北大学東北メディカル・メガバンク機構 予防医学・疫学部門/東北大学病院 薬剤部 准教授
2,200円
特集:静脈・経腸栄養投与ルート徹底解説

≪特集の目次≫

■特集にあたって(室井 延之)

■輸液・栄養療法で用いるディバイスの基礎知識(室井 延之)

■徹底解説! 静脈栄養・経腸栄養における相互作用とその対処法
・輸液ラインにおける配合変化(名徳 倫明)
・輸液ライン・容器における吸着・収着・溶出(河崎 陽一 ほか)
・輸液フィルター・三方活栓との相互作用(倉本 敬二)
・経腸栄養剤との相互作用(林 勝次)

■静脈・経腸栄養における投与ルート管理の勘所
・PICC・CVポートの管理とフラッシュプロトコル(二村 昭彦)
・輸液の微生物汚染とその防止対策(淺香 圭寛 ほか)
・経腸栄養投与経路の管理方法(谷口 靖樹)
・新国際規格ISO誤接続防止コネクタ(経腸栄養)の国内導入とその問題点(丸山 道生)
・簡易懸濁法に用いるディバイス(倉田 なおみ)

■在宅栄養療法のルート管理:基礎と実践ポイント
・在宅栄養管理に必要なディバイスの知識(樋島 学)
・地域連携における在宅栄養管理の現状と在宅静脈・経腸栄養投与のトラブル対処法(渡辺 侑里子 ほか)

≪シリーズ≫

■精神科における個別化医療をめざして
抗精神病薬
(赤嶺 由美子)

■BMs-Podによる真の薬物投与設計 ~薬物動態解析の臨床への還元~
BMs-Podの応用的な扱い方:ベイズ推定の活用方法
~タクロリムス:血中濃度が変化したらどう対応する? →経口投薬まで~
(尾田 一貴)

■褥瘡コンサル虎の巻 ~褥瘡の発生要因を考える~
疾患と褥瘡との関係は?-①
疾患によって予測される褥瘡発生とその対応
認知症と褥瘡
(溝神 文博)

■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
抗凝固薬服用患者の出血にどのように対処すればよいか?
(門村 将太)

■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
事実・感情・思考
~「事実」と「感情」を分けて捉える努力は「感性」を磨き,「事実」と「考え」を分けて捉える努力は「理性」を鍛えるのに役立つ!~
(中野 重行)

■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座 第5回
NISAとiDeCoを使い倒す! 侮れない投資信託の積立
(桑原 秀徳)

■「治療」「薬局」合同連載 
症例×Q&A 超高齢社会シコウの利尿薬適正使用シコウ
体液過剰状態の高齢うっ血性心不全患者の入院(再入院)が繰り返される現状,なんとかならないのか? 利尿薬は適切に使用されているのか?
(杉本 俊郎)

≪巻頭言≫

 医療機能の分化および地域包括ケアシステムの推進により,高度急性期病院,急性期病院,回復期病院,慢性期病院や在宅などにおいて,安心で安全な薬物療法を継続的に実施することが求められており,病院間はもちろん病院と保険薬局,介護施設との連携が極めて重要となる.栄養療法においても,病院の栄養サポートチーム(NST)から薬局薬剤師の外来・在宅支援へと,患者の暮らしにつなぐ薬剤師連携が大きな力を発揮すると考えられる.われわれ薬剤師は安全で効果的な栄養療法を提供するために,各種輸液や経腸栄養剤の製剤的特性を十分に理解した上で,患者の病態を考慮して,薬学的視点から病態に応じた処方設計支援などの栄養療法プランニングに関与する必要がある.そして継続的にモニタリングを行い,栄養学的な問題や改善すべき点を見つけ出すことが大切である.輸液や経腸栄養剤の投与に際しては,三方活栓,フィルター,カテーテルなど,さまざまなディバイスが用いられており,感染予防の観点からも栄養投与ラインの衛生管理が求められる.さらにディバイスや管理方法は日々発展しているが,一方で薬剤師はそれぞれのディバイスについて熟知できているであろうか.
 今回の特集では,栄養療法で使用されるディバイスの特徴や使用方法を理解するとともに,薬剤との配合変化などのトラブルに対応できるための基礎知識をまとめた.本特集が,これから栄養療法へ参加する薬剤師の入門者向けのテキストとして,さらに栄養療法に精通した専門職ならではの適切な栄養管理を実践するためのツールとなることを願い,巻頭の言葉とする.

室井 延之
神戸市立医療センター中央市民病院 薬剤部長代行
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