目次
特集:特発性肺線維症 -診断・治療の最前線と患者支援の実践ポイント
≪特集の目次≫
■特集にあたって(井端 英憲)
■間質性肺疾患と特発性肺線維症(小林 哲)
■特発性肺線維症のガイドラインの変遷(西岡 安彦)
■特発性肺線維症の診断と治療
・特発性肺線維症の臨床所見(冨岡 洋海)
・特発性肺線維症の血清学的所見(佐藤 正大 ほか)
・特発性肺線維症の画像所見(大久保 仁嗣 ほか)
・特発性肺線維症の併存症(藤本 源)
■特発性肺線維症治療薬の考え方と使い方
・ピルフェニドン(是枝 快房)
・ニンテダニブ(河村 哲治)
・ステロイド・免疫抑制薬(内藤 雅大)
・特発性肺線維症治療薬の副作用対策と服薬指導(坂野 昌志)
■特発性肺線維症の臨床上の諸問題
・特発性肺線維症診断時に,患者と家族に伝えるべきこと(井端 英憲)
・特発性肺線維症患者の急性増悪時の診断と治療(佐々木 信)
・特発性肺線維症における病薬連携(中根 茂喜)
・特発性肺線維症の難病医療費助成制度(坂野 昌志)
≪シリーズ≫
■薬剤師ふたばの症例検討奮闘記
症例検討会に向けた準備-⑥
薬剤師の視点で治療を吟味する(2)
(矢野 良一/上塚 朋子)
■褥瘡コンサル虎の巻 ~褥瘡の発生要因を考える~
疾患と褥瘡との関係は?-⑦
疾患によって予測される褥瘡発生とその対応
誤嚥性肺炎と褥瘡
(溝神 文博)
■薬剤師が三ツ星シェフ 〜業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ〜
いまさら聞けない? 水分・電解質
―血漿の浸透圧と輸液の関係を理解しよう!―
(樋島 学)
■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
天の時,地の利,人の和 ~流れに逆らわず,流れの力を利用して,「流れに乗る」~
(中野 重行)
■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座 第⑪回
初心者はこんな金融商品には手を出してはいけない!
(桑原 秀徳)
■「治療」「薬局」合同連載
症例×Q&A 超高齢社会シコウの利尿薬適正使用シコウ
利尿薬に関して,知っておくと臨床の現場で役立つ知識
(杉本 俊郎)
≪巻頭言≫
―令和の時代,「特発性肺線維症」は病診連携で診療所医師も診る疾患になる―
特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis : IPF)は,特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias : IIPs)の約半数と最も頻度が高く,慢性進行性の線維化と既存構造の改変を呈し,不可逆的な蜂巣肺形成を来す原因の特定できない疾患である.特発性肺線維症の初診時からの5年生存率は40%未満で,平均生存期間も約3年程度と予後不良な疾患であるが,有効な治療薬がなく,診療所の一般開業医(GP)にとっては基幹病院で診る疾患という印象があり,長らく病診連携で受け入れてもらいがたい疾患の一つであった.
経験的に使用されてきたステロイドや免疫抑制薬は,肺線維症は炎症後の線維化であり,先行する炎症を制御すればよいという「慢性肝炎から肝硬変への進展」をモデルとした治療戦略であったが,抗炎症薬治療は予後を改善しないことが明らかとなった.
そのような中,2008年に世界初の特発性肺線維症治療薬としてピルフェニドンが上市され,2015年にはニンテダニブも上市された.現在も次々に有望な新薬の治験が進んでおり,すべての呼吸器内科疾患の中で,新薬開発に関しては,最もホットな領域となっている.
現在上市されている抗線維化薬は,疾患を治すことを目指す薬剤ではなく,疾患の進行を抑制する薬剤で,disease modifying agentと呼称され,疾患修飾治療薬と訳される.Disease modifying therapy(疾患修飾療法)は従来,神経変性疾患や膠原病領域で使用されてきた概念であるが,「非腫瘍性・非炎症性の緩徐進行性慢性呼吸器疾患」の長期予後を改善するためには,疾患修飾療法の導入が重要と考えられている.
例えば,「非腫瘍性・非炎症性の緩徐進行性慢性呼吸器疾患」のもう一つの代表である慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療には,現在は対症療法として長時間作用型気管支拡張薬が使用されているが,疾患修飾療法の考え方では,気腫進行抑制薬が導入されるべき薬剤となる.同じく気管支拡張症の疾患修飾療法には,気道破壊進行抑制薬の開発が必要になると考えられる.本特集の中には,特発性肺線維症の「進行抑制の意義」がくり返し出てくるので,患者・家族の指導に活用していただきたい.
特発性肺線維症の治療パラダイムは大きく変化しており,今後さらに有望な特効薬が次々と上市されてくると期待されている.呼吸器内科領域で「抗線維化薬」という疾患修飾療法をいち早く導入した特発性肺線維症は,病診連携を介して,地域の医院・クリニックなど診療所で診ることができる疾患になっていくと思われる.
今回の特集では,特発性肺線維症の最新の診療ガイドライン作成に携わっている著名な先生方に著述を賜ることができた.本特集の読者のみなさまには,特発性肺線維症の最新のエビデンスや治療の考え方を知っていただきたいと思う.
近い将来,特発性肺線維症が診療所のGPが診る時代となっていく中で,基幹病院の薬剤師だけでなく,保険薬局の薬剤師の方々も,正しい疾患の理解と適切な服薬指導ができるようになっていただけることを期待している.
井端 英憲
三重中央医療センター 統括診療部長
≪特集の目次≫
■特集にあたって(井端 英憲)
■間質性肺疾患と特発性肺線維症(小林 哲)
■特発性肺線維症のガイドラインの変遷(西岡 安彦)
■特発性肺線維症の診断と治療
・特発性肺線維症の臨床所見(冨岡 洋海)
・特発性肺線維症の血清学的所見(佐藤 正大 ほか)
・特発性肺線維症の画像所見(大久保 仁嗣 ほか)
・特発性肺線維症の併存症(藤本 源)
■特発性肺線維症治療薬の考え方と使い方
・ピルフェニドン(是枝 快房)
・ニンテダニブ(河村 哲治)
・ステロイド・免疫抑制薬(内藤 雅大)
・特発性肺線維症治療薬の副作用対策と服薬指導(坂野 昌志)
■特発性肺線維症の臨床上の諸問題
・特発性肺線維症診断時に,患者と家族に伝えるべきこと(井端 英憲)
・特発性肺線維症患者の急性増悪時の診断と治療(佐々木 信)
・特発性肺線維症における病薬連携(中根 茂喜)
・特発性肺線維症の難病医療費助成制度(坂野 昌志)
≪シリーズ≫
■薬剤師ふたばの症例検討奮闘記
症例検討会に向けた準備-⑥
薬剤師の視点で治療を吟味する(2)
(矢野 良一/上塚 朋子)
■褥瘡コンサル虎の巻 ~褥瘡の発生要因を考える~
疾患と褥瘡との関係は?-⑦
疾患によって予測される褥瘡発生とその対応
誤嚥性肺炎と褥瘡
(溝神 文博)
■薬剤師が三ツ星シェフ 〜業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ〜
いまさら聞けない? 水分・電解質
―血漿の浸透圧と輸液の関係を理解しよう!―
(樋島 学)
■医療マンダラ ~思考と感性のセンスを磨く~
天の時,地の利,人の和 ~流れに逆らわず,流れの力を利用して,「流れに乗る」~
(中野 重行)
■薬剤師にもできる! 将来幸せに働くための投資講座 第⑪回
初心者はこんな金融商品には手を出してはいけない!
(桑原 秀徳)
■「治療」「薬局」合同連載
症例×Q&A 超高齢社会シコウの利尿薬適正使用シコウ
利尿薬に関して,知っておくと臨床の現場で役立つ知識
(杉本 俊郎)
≪巻頭言≫
―令和の時代,「特発性肺線維症」は病診連携で診療所医師も診る疾患になる―
特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis : IPF)は,特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias : IIPs)の約半数と最も頻度が高く,慢性進行性の線維化と既存構造の改変を呈し,不可逆的な蜂巣肺形成を来す原因の特定できない疾患である.特発性肺線維症の初診時からの5年生存率は40%未満で,平均生存期間も約3年程度と予後不良な疾患であるが,有効な治療薬がなく,診療所の一般開業医(GP)にとっては基幹病院で診る疾患という印象があり,長らく病診連携で受け入れてもらいがたい疾患の一つであった.
経験的に使用されてきたステロイドや免疫抑制薬は,肺線維症は炎症後の線維化であり,先行する炎症を制御すればよいという「慢性肝炎から肝硬変への進展」をモデルとした治療戦略であったが,抗炎症薬治療は予後を改善しないことが明らかとなった.
そのような中,2008年に世界初の特発性肺線維症治療薬としてピルフェニドンが上市され,2015年にはニンテダニブも上市された.現在も次々に有望な新薬の治験が進んでおり,すべての呼吸器内科疾患の中で,新薬開発に関しては,最もホットな領域となっている.
現在上市されている抗線維化薬は,疾患を治すことを目指す薬剤ではなく,疾患の進行を抑制する薬剤で,disease modifying agentと呼称され,疾患修飾治療薬と訳される.Disease modifying therapy(疾患修飾療法)は従来,神経変性疾患や膠原病領域で使用されてきた概念であるが,「非腫瘍性・非炎症性の緩徐進行性慢性呼吸器疾患」の長期予後を改善するためには,疾患修飾療法の導入が重要と考えられている.
例えば,「非腫瘍性・非炎症性の緩徐進行性慢性呼吸器疾患」のもう一つの代表である慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療には,現在は対症療法として長時間作用型気管支拡張薬が使用されているが,疾患修飾療法の考え方では,気腫進行抑制薬が導入されるべき薬剤となる.同じく気管支拡張症の疾患修飾療法には,気道破壊進行抑制薬の開発が必要になると考えられる.本特集の中には,特発性肺線維症の「進行抑制の意義」がくり返し出てくるので,患者・家族の指導に活用していただきたい.
特発性肺線維症の治療パラダイムは大きく変化しており,今後さらに有望な特効薬が次々と上市されてくると期待されている.呼吸器内科領域で「抗線維化薬」という疾患修飾療法をいち早く導入した特発性肺線維症は,病診連携を介して,地域の医院・クリニックなど診療所で診ることができる疾患になっていくと思われる.
今回の特集では,特発性肺線維症の最新の診療ガイドライン作成に携わっている著名な先生方に著述を賜ることができた.本特集の読者のみなさまには,特発性肺線維症の最新のエビデンスや治療の考え方を知っていただきたいと思う.
近い将来,特発性肺線維症が診療所のGPが診る時代となっていく中で,基幹病院の薬剤師だけでなく,保険薬局の薬剤師の方々も,正しい疾患の理解と適切な服薬指導ができるようになっていただけることを期待している.
井端 英憲
三重中央医療センター 統括診療部長
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