薬局 発売日・バックナンバー

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2,200円
特集テーマ:ここが変わった! 関節リウマチの治療 -診療GL・治療薬をアップデート!-

<目次>
■特集にあたって(田中 良哉)

■情報のアップデートできてる? あらためて関節リウマチ治療を学び直す
・関節リウマチ治療,いまむかし(竹内 勤)
・端的に理解する! 最新の薬物治療アルゴリズムと薬剤が変更されるとき(川人 豊)

■抗リウマチ薬の使いかた,リウマチ処方箋の目のつけどころ
・もう一度整理する! 従来型合成抗リウマチ薬の作用と薬学管理(宮崎 徹)
・もう一度整理する! 生物学的治療薬,分子標的治療薬の作用と薬学管理(小林 俊介 ほか)
・もう一度整理する! 補助的治療の目的と薬学管理(小林 俊介 ほか)
・副作用・合併症対策! 薬剤師のための検査値の読みかた・活かしかた(田村 直人)
・リフィル処方箋の対象になるリウマチ処方,ならないリウマチ処方(平林 泰彦)
・コラム:ジョイクル ®関節注に安全性速報発出(小嶋 俊久)
・コラム:日本で初めてのMTX注射製剤であるメトジェクト ®皮下注シリンジが承認(亀田 秀人)

■リウマチ患者さんの「困った!」「大丈夫?」に対処する
・「関節が痛い」はすべてリウマチ?(岸本 暢将)
・治療はいつまで続くの? 患者さんに治療目標と治療原則を伝える(平田 信太郎)
・薬は減らせないの? 疾患活動性と希望に応じて減薬を処方医に相談する(久保 智史 ほか)
・薬は減らせないの? 患者さんの経済負担を考慮して処方変更を処方医に相談する(越智 小枝)
・手術はみんな受けるの?(小嶋 俊久)
・挙児希望をもつ男性・女性でもリウマチ治療はできる?(岡本 奈美)
・バイオシミラー(バイオ後続品)は本当に同じ効果?(山崎 聡士)
・手術前後に休薬は必要?(松野 博明)
・痛みやこわばりを軽減する方法は?(住友 秀次)
・リウマチ治療中でもワクチンは打って大丈夫?(中山田 真吾 ほか)
・メトトレキサートを飲み忘れてしまう!(平野 亨)
・禁煙はすべき? 喫煙はなぜよくない?(井畑 淳)
・避けた方がよい生活習慣はある? 運動やリハビリは必要?(松井 利浩)
・口腔ケアと関節リウマチの関係は?(舟久保 ゆう)
・食事で気をつけることはありますか?(松井 利浩)

<シリーズ>

■えびさんぽ
 関節リウマチに対してJAK阻害薬は効果がありますか?
 (青島 周一)

■くすりのかたち外伝 わかる! 使える! まいにち薬会話
 〈第15回〉「血中濃度が上がります」(前編)
 (浅井 考介 柴田 奈央)

■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
 〈第03回〉アストミン ®散10%
 (小嶋 純 米子 真記)

■現場で働く薬剤師のための 臨床薬学研究のオモテ・ウラ
 〈第15回〉患者の訴えを研究に導くオモテ・ウラ
 (大井 一弥)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
 〈第15回〉在宅は…,お好きですか?
 (大西 伸幸)

■腫瘍薬学ハイライト
 胆道がんの薬物治療の進歩
 (川西 正祐)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈拾伍ノ型〉今の情報だけに惑わされるな!
 (佐脇 久美 佐藤 史織)

■レポート
 薬剤師による地域活動 ─医療過疎地における薬局薬剤師の役割─
 (橋本 貴尚)

<巻頭言>

 「リウマチ」の語源は2,500年前のギリシア語に由来する.罹患関節が全身に「流れる」という意味である.時を経て20世紀後半には,自己反応性リンパ球が全身に「流れ」,多関節炎や呼吸器系などのさまざまな臓器障害を生ずることが解明された.現在,関節リウマチは遷延化する破壊性の関節炎と定義され,多臓器障害を伴う全身性自己免疫疾患(膠原病)に分類される.わが国の関節リウマチ患者数は約83万人で,30〜60代の女性に好発する.関節破壊は発症早期から進行し,変形すると不可逆的であるため,早期の診断と治療開始が最重要課題である.
 関節リウマチの治療は,20世紀にはグルココルチコイドや抗炎症薬を用いた対症療法が中心であった.現在は,免疫異常を抑制して疾患活動性を制御することを目的として抗リウマチ薬を用いる.抗リウマチ薬は,メトトレキサート(MTX)やヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬などの合成抗リウマチ薬,腫瘍壊死因子(TNF)やインターロイキン(IL)-6などを標的とした生物学的抗リウマチ薬に分類される.適切な治療による寛解が治療目標となり,関節の構造的損傷や身体機能障害の進行を抑止できるようになった.
 一方,治療薬の短期・長期的な安全性や経済性,難治症例や臓器障害への対応,寛解後休薬,分子標的薬の使い分け,コロナ禍での医療など,新たな臨床的な課題も表出してきた.抗リウマチ薬の使用開始時には適応や禁忌などを慎重にスクリーニングし,治療中は感染症,悪性腫瘍,心血管障害など安全性に関する定期的なモニタリングが不可欠である.安全性と有効性のバランスを重視した個々の症例に応じた治療戦略の策定,的確な治療薬の選択,随伴症・合併症の内科的な全身管理と対策の重要性がさらにクローズアップされている.
 近年,リウマチの病態形成に関わる標的分子が明らかになり,分子標的薬を用いて効率的に治療ができるようになってきた.このような医療の高度化に伴い,多職種連携がさらに重視されている.リウマチ医療の新時代において,治療薬を正しく理解し,さまざまな問題点や患者に的確に対応できることを目指して,本特集では,第一線の先生方に最新情報をご執筆いただいた.本特集を関節リウマチ医療の実践に役立てていただくとともに,新たな潮流を実感いただければと期待する.

産業医科大学医学部 第1内科学講座 教授
田中良哉
2,200円
特集テーマ:睡眠薬のトリセツ 今すぐ使える不眠治療の処方箋

<目次>
■特集にあたって
 不眠対応・睡眠薬処方におけるさまざまな課題と薬剤師に期待する役割 (三輪 高市)

■「睡眠薬レシピの報連相」をはじめよう (三輪 高市)

■不眠に伴う課題の糸口を薬学的視点から探る
・睡眠薬ポリファーマシーに至る処方カスケードを阻止せよ! (村川 公央)
・病棟でみる不眠とせん妄の負のスパイラルを阻止せよ! (江角 悟)
・OTC睡眠改善薬の長期使用を防止せよ ─睡眠衛生指導と精神科へのアクセス─ (成井 繁)

■睡眠薬の特徴から不眠のイロハを整理する
・作用機序から睡眠に関連するホルモン・神経伝達物質を整理する (中村 友喜)
・作用時間から不眠の4つのタイプを整理する (内山 道子)
・睡眠薬では取り除けない不眠の要因を整理する (椎 崇)

■睡眠薬を選ぶ・使うに役立つ「これだけ!」DI(drug information)
・メラトニン受容体作動薬・オレキシン受容体拮抗薬 (別所 千枝)
・ベンゾジアゼピン受容体作動薬 (祖川 倫太郎)
・睡眠薬以外の不眠に効果のある向精神薬 (岡本 禎晃)

■キホン事例で学ぶ「ファーストチョイス」その理由
・一過性の不眠への頓服希望 (加藤 隆郎 ほか)
・夜間頻尿と不眠 (佐藤 守 ほか)
・認知症患者の不眠 (小路 純央)
・強い不安により続く不眠 (枝廣 暁 ほか)
・夜勤・交替勤務による不眠 (枝廣 暁 ほか)
・せん妄リスクはないが,その対策が必要な不眠 (児玉 英也 ほか)
・せん妄が疑われるときの睡眠確保 (安井 玲子)
・せん妄ハイリスク患者の不眠 (安井 玲子)

■キホン事例で学ぶ「減量・切り替え」その理由
・睡眠薬の切り替え・減量の全般論 (梅田 賢太)
・ベンゾジアゼピン系受容体作動薬減量中に来した不眠への対応 (永井 努)
・十分量の睡眠薬投与でも継続する不眠へのポリファーマシー対策 (村川 公央)
・眠れているが,転倒リスクの高い睡眠薬ポリファーマシーの整理 (江角 悟)
・OTC睡眠改善薬の長期使用からの離脱・切り替え (成井 繁)

■「睡眠薬に頼らない眠り」を目指した睡眠衛生指導のステップ (伊藤 光 ほか)

<シリーズ>

■えびさんぽ
 オレキシン受容体拮抗薬は効果がありますか?
 (青島 周一)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
 ・ボリコナゾール併⽤でルキソリチニブの血中濃度上昇
 ・ビラスチンの⾷事の影響は効果には関係ない?
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

■飲み合わせ研究所子どもの服薬Tips
〈第02回〉メジコン ®散10%
 (小嶋 純 米子 真記)

■現場で働く薬剤師のための臨床薬学研究のオモテ・ウラ
〈第14回〉日常業務を論文化するオモテ・ウラ
(大井 一弥)

■腫瘍薬学ハイライト
 RASを分子標的としたがん治療 ─創薬不可能分子からの脱脚
(川西 正祐)

■くすりのかたち外伝わかる! 使える!まいにち薬会話
〈第14回〉「選択的○○です」(後編)
(浅井 考介 柴田 奈央)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
〈第14回〉現代薬剤師の飛び道具? …トレーシングレポート
(大森 智史)

■喫茶よりみち薬剤師の知っ得リテラシー
 曖昧な情報と社会と薬剤師〜よりみちを振り返る〜
(井出 和希)

■薬剤師力の型新たな思考と行動プランを手に入れろ!
〈拾肆ノ型〉腎機能は患者の体格や病状を診て判断せよ!
(小林 豊)

<巻頭言>
特集にあたって ―不眠対応・睡眠薬処方におけるさまざまな課題と薬剤師に期待する役割―

 精神的・身体的機能を正常に保つためには,“適切な睡眠”が必要です.“適切な睡眠”を確保するためには,まずは睡眠環境を整えることが重要ですが,それだけでは不十分な場合があります.次の手段として,睡眠薬などによる薬物治療が実施されることがありますが,不眠治療に対する知識不足などによって,睡眠薬の多剤使用(ポリファーマシー)の温床につながるケースもみられています.不眠に最も汎用されているベンゾジアゼピン系睡眠薬の日本での使用量は,米国や英国と比較して極めて多い結果が示されています(国連による調査結果).
ベンゾジアゼピン系睡眠薬使用についての抵抗感は薬剤師にも多くみられますが,闇雲に排他的になるのではなく,しっかりとその性質を理解しながら上手に使っていくことも必要かと思われます.また,新しい睡眠薬のメラトニン受容体作動薬のラメルテオンやオレキシン受容体拮抗薬のスボレキサントやレンボレキサントについても,どのような場面でより有用に使用できるのかを学ぶことで睡眠薬の適正使用につながります.
ポリファーマシーの問題に加え,不適切な睡眠管理や身体・精神状態の変化などにより,せん妄,転倒,精神的な異常行動などのトラブルが誘発されることがあります.どのように対応すればよいのかわからない医療スタッフ・患者・介護者もたくさんおり,睡眠薬の処方に関するアドバイスを薬剤師に求める場面が増えています.そこで,本特集では「睡眠薬のトリセツ」と題し,早期からの不眠への介入,不眠の改善とともに次の課題解決を目的に,本特集企画を立案しました.
 ・睡眠薬ポリファーマシーの解消
 ・睡眠薬による転倒・認知機能低下の予防
 ・入院患者でのせん妄対策
 ・OTC睡眠改善薬の長期服用者への受診勧奨
 本特集では睡眠の薬物治療のエキスパートに睡眠薬の正しい使い方を指南していただきました.これを機に睡眠薬による不眠治療の知識をしっかりと整理しましょう.

鈴鹿医療科学大学薬学部 薬学科 教授
三輪 高市
2,200円
特集テーマ:おくすり比べてみました 知っておきたい!同種・同効薬の使いどこ

<目次>
■特集にあたって(青島 周一)

・糖尿病治療薬(青島 周一)
・GLP-1受容体作動薬(能登  洋)
・痛風治療薬(三星  知)
・抗凝固薬(志賀  剛)
・降圧薬(青島 周一)
・利尿薬(小原  拓)
・抗ヒスタミン薬(有吉 範高)
・吸入気管支拡張薬(宮崎 雅之)
・胃酸分泌抑制薬(伊藤 恭平 ほか)
・下剤(神村 英利)
・抗うつ薬(橋本 保彦)
・統合失調症治療薬(桑原 秀徳)
・アレルギー性鼻炎(花粉症)と副鼻腔炎に効く漢方薬(境  修平)
・婦人科漢方(寺内 公一)
・ドラッグストアで買える解熱鎮痛薬(児島 悠史)

<シリーズ>

■えびさんぽ
 「あの薬」と「この薬」,どっちがよいですか?
(青島 周一)

■飲み合わせ研究所子どもの服薬Tips
〈第01回〉アレグラ ®DS
(小嶋 純 米子 真記)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
 ・緑茶抽出物でロスバスタチンの血中濃度低下
 ・プロトンポンプ阻害薬(PPIs)の長期使用で糖尿病リスクが上昇
(佐藤 宏樹 澤田 康文)

■腫瘍薬学ハイライト
 mRNA医薬:新型コロナワクチンとがん治療ワクチン
(川西 正祐)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
〈拾参ノ型〉日々鍛錬し,いつ来るとも知れない機会に備えよ!
(成田 綾香)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
〈第13回〉医薬品の外箱デザインに物申す!
(髙島 英滋)

■くすりのかたち外伝 わかる! 使える!まいにち薬会話
〈第13回〉「選択的○○です」(前編)
(浅井 考介 柴田 奈央)

■喫茶よりみち薬剤師の知っ得リテラシー
〈Scene #13〉新しい技術と私たちの生活 〜「心地よい」導入と薬剤師の役割〜
(井出 和希)

■現場で働く薬剤師のための臨床薬学研究のオモテ・ウラ
〈第13回〉症例研究のオモテ・ウラ
(大井 一弥)

<巻頭言>
特集にあたって

ハンス・クリスチャン・アンデルセン原作の童話,「みにくいアヒルの子」をご存じの方も多いと思います.アヒルの群の中で,ほかのアヒルと異なった姿で生まれた「みにくいアヒル」の成長物語です.物語の詳細は原作を参照いただくとして,ページをめくる前に一つだけ考えていただけたらうれしいです.
―「みにくいアヒルの子」と「ふつうのアヒルの子」は,何が異なっているのでしょう.
真っ先に思い浮かぶのは体の色や体格かもしれません.しかし,目の色や形,くちばしの長さなど,「みにくいアヒルの子」と,「ふつうのアヒルの子」を比較する際に着目すべき視点は,よくよく考えれば無数にあるはずです.なぜ僕たちは,体の色や体格の違いに注目しがちなのでしょうか.
その理由は,僕たちがアヒルの専門家ではないからです(専門家の方がいらしたらすみません).ある二者の比較とは,両者の間に,何らかの関心に基づく視点(観点)をもち込み,その視点を足がかりに差異を見いだしていくプロセスです.しかし,比較する視点は無数に存在しており,どの視点を重視するかは,比較を行う人の「関心」に依存しています.そして,着目する視点への「関心」とは,ある種の専門性にほかなりません.
薬の「あれ」と「これ」を比較する際の視点も無数に存在します.専門知識をもたない一般の方からすれば同じようにみえる薬も,薬剤師にとってみれば,薬理作用,薬物動態,用法・用量,潜在的な有害事象リスク,合併症に対する有効性など,人の生活に直結する「違い」から,ミクロな生物学的・化学的な「違い」まで,多様に論じることができるはずです.そういう意味では,薬の比較を多面的に論じることは,薬剤師としての専門性そのものです.
本特集では,各疾患領域のエキスパートに薬物療法の比較をわかりやすく解説していただきました.薬剤師の臨床業務において,薬を比較する機会は多いはずです.どのような視点に注目して薬を使い分ければよいのか,思い悩んでしまうこともあるでしょう.ぜひ,本特集を活用いただけたら幸いです.

青島 周一
中野病院 薬局
特集テーマ:2022年(ことし)なにあった?

<目次>
■特集にあたって
・2022年を振りかえって(石井 伊都子,大井 一弥,室井 延之,山浦 克典)

■\薬剤師注目!/今年の診療ガイドライン・新薬&新規効能追加
・診療ガイドラインの公開・改訂動向と最新知見の見どころ(青島 周一)

■Catch Up! 診療ガイドライン
・COPD診断と治療のためのガイドライン,改訂!(川山 智隆 ほか)
・統合失調症薬物治療ガイドライン,改訂!(稲田  健)
・抗菌薬TDM臨床実践ガイドライン,改訂!(松元 一明)
・夜尿症診療ガイドライン,改訂!(西﨑 直人 ほか)

■Catch Up! 新薬・新規効能・新剤形
TOPICS
・新薬も登場! 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の今は?(大橋 裕丈)
・心不全に新たなツール! 治療は変わる? 変わらない?(橋本  亨 ほか)
・糖尿病の新規治療薬イメグリミン! その作用とは?(麻生 好正)
・不妊治療・生殖補助医療の保険適用に伴う効能追加が盛んに!(日置 三紀)
・変わりゆくアトピー性皮膚炎治療! 新薬の効果・使いどころは?(加藤 則人)
・乾癬治療の現在とこれから(藤田 英樹)
・片頭痛の急性期治療・予防療法が激変! 新薬はどう活かす?(菊井 祥二 ほか)
・新規作用機序の慢性咳嗽治療薬が登場!(金子  猛)
・悪心・嘔吐への積極的な介入を! 制吐薬の新薬・新効能(比良 大輔 ほか)
新薬・新剤形News
・塗る抗コリン薬?! 多汗症治療のニューフェイス(藤本 智子)
・待望の飲めるプロゲステロン登場!(牧田 和也)
最近の添付文書改訂
・気になる併用禁忌,気をつけたい副作用追加(松村 知洋)

■What’s Up 2022
・スイッチ緊急避妊薬の議論 ―匍匐前進の超スロー,実現は2024年以降か―(玉田 慎二)
・病院薬剤師の人材確保問題と卒後研修 ―全国調査により実情が“みえる化”―(髙塩 健一)

<シリーズ>

■えびさんぽ
 ランドマークスタディで振り返る2022年(青島 周一)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
 〈第12回〉第7波の新型コロナウイルス陽性患者への対応を振り返る(中嶋 亜紀)

■現場で働く薬剤師のための臨床薬学研究のオモテ・ウラ
 〈第12回〉後ろ向き臨床研究のオモテ・ウラ(大井 一弥)

■薬剤部門管理者・ミドルマネジャーのためのBSC活用入門
 〈最終回〉失敗は成功の基:BSC作成失敗事例から学ぶ(髙橋 淑郎)

■くすりのかたち外伝 わかる!使える!まいにち薬会話
 〈第12回〉「この薬の吸収は〇〇です」皮膚吸収編(浅井 考介 柴田 奈央)

■腫瘍薬学ハイライト
 血液がんに高い治療効果を示すCAR-T細胞療法(川西 正祐)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
 ・薬物乱用頭痛の有病率は2.32%
 ・ドンペリドンやメトクロプラミドで脳卒中リスクが上昇(佐藤 宏樹 澤田 康文)

■喫茶よりみち 薬剤師の知っ得リテラシー
 〈Scene #12〉審査を経ていないプレプリントと社会の関わり ~あの治療薬にまつわる混乱にも影響を及ぼしていた!?~(井出 和希)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈拾弐ノ型〉過去の治療歴から現在の薬物治療への影響を考えよ!(槇枝 大貴)

<巻頭言>
特集にあたって ―2022年を振りかえって―

■疫学と個別症例の狭間で

私は厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会 副反応検討部会に,2020年1月より参加した.丸2年が経つが,2022年9月までの間になんと40回も会議が開かれた.この会議の対象はワクチンに関するすべてであるが,主たる協議内容は新型コロナワクチンの副反応への対応であった.
最初は,報告された副反応とワクチン接種との因果関係決定への困難さ,アナフィラキシーなどの副反応のグレードに対する統一見解の徹底,心筋炎など治験で得られていないシグナルの抽出,英米とのデータの比較など,データの山に戸惑うばかりであった.その過程であらためて疫学の重要性を実感し,また,精度の高い解析結果を得るための情報収集やデータ処理の難しさについても考えさせられた.
今年に入り,重篤な副反応を示した個別症例にも出くわすことがあり,マスデータを扱うマインドと個への対応のギャップの大きさを体感した.宮沢賢治の「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」という考え方に賛同するものの,どこかしらもやもやとし続けている.
一方,社会は活動を取り戻しはじめている.集合型の学会が開催され,週末の駅は外出する人で混雑している.このもやを晴らしてくれるのは,こうした活性化した社会が日常化し,笑顔の人が増えることかもしれない.

石井 伊都子
千葉大学医学部附属病院 教授・薬剤部長


■枠の概念

2020年の冬期,新型コロナウイルス感染症が日本国内に広がり始め,2年半経過した今でも収束していない.この間,本感染症に対する国の対策として緊急事態宣言の発出などがなされてきた.それに伴い,身近なこととして飲み会の機会などが激減しており,何かと破壊的危機に直面している.
さて,大学においても教員と学生とのコミュニケーションのとり方に変化が生じている.現在3年生の学生は,入学以降マスクは必須,会話は控える,食事は黙食,遠隔講義が多用されるなど,コミュニケーションが取りにくい教育環境での学びとなっている.教員の講義卓は,感染防止用のフレームで覆われた枠内で必ず行うことになっている.対面での講義を行いつつも,Zoomなどの非対面という枠内での教育も継続している.われわれとしては,その枠内でパフォーマンスを高めていきたいと強く思っている.その理由は,心身へのデメリットが蓄積されてきているからである.新型コロナウイルス感染症は,現時点で“普通のかぜ”という認識に変化していくのかは不明である.3年目の冬期も間近であるが,枠の方向性がどうなっていくのか,注視していきたいと思っている.

大井 一弥
鈴鹿医療科学大学薬学部 教授・薬学部長


■薬剤師による働き方改革を進めるために

働き方改革,タスク・シフト/シェア,地域医療構想,そして薬剤師の地域偏在への対策は喫緊の課題であり,それらは何一つおろそかにできず互いに密接に関連しあうことから,一体的対応が必要となります.2021年9月30日付で,「現行制度の下で実施可能な範囲におけるタスク・シフト/シェアの推進について(医政発0930第16号)」が発出され,周術期の入院支援,病棟薬剤業務,プロトコールに基づく薬物治療管理(PBPM),服薬指導,医師への処方提案による処方支援など,各施設での新たな業務展開が急速に進んでいくと思われます.
2022年は,薬剤師関連の学会や医学系論文において,ロボットやIoT技術による薬剤師業務の安全性と効率化の向上,新たな業務展開への取り組みに関するものが増えており,薬剤師業務のデジタルトランスフォーメーションはファーストステージに入ったと思います.今後はそのことを,“機械化により便利になった”で終わらせるのではなく,一つひとつのプロセスにおける時間の変化,行動分析により,それを科学的に検証し,システムを構築するためのノウハウを共有することが大切になります.2023年は,さらなる機械化・IoT化のカバー範囲を広げていくことで,対人業務の拡充ならびに医療経済的な観点からの薬剤師業務の次世代化についての議論が深まることを楽しみにしています.

室井 延之
神戸市立医療センター中央市民病院 薬剤部長


■ついにわが国でもリフィル処方箋発行

2020年の改正薬機法施行により,患者フォローアップが義務化され,薬剤師が患者の服薬期間中も薬物治療に責任を負わねばならないことが明確になりました.この延長線上にリフィル処方箋導入の可能性があると思っていましたが,早くも今年の調剤報酬改定から導入されたことは本当に画期的な出来事でした.
実際にリフィル処方箋を応需してみると,患者にはたいへん好評であると感じました.一方薬局では,1・2回目は処方箋の原本を患者に返却せねばならず,コピーでの運用となるため業務がかなり煩雑になります.諸外国と同様,薬局にて原本保管となれば作業がスムーズになりますが,その前提として,すべての薬局が諸外国の薬局と同様に,患者にとってかかりつけの関係であり,他薬局での調剤が想定されない状況が必要と思われます.
最後に重要な点として,リフィル処方箋の2回目以降,薬局では同じ処方薬を調剤するだけでなく,処方医に代わり薬剤師が,患者の体調,副作用の徴候,服薬アドヒアランス,併用薬を確認することが求められ,薬剤師の判断で受診勧奨やトレーシングレポートにより主治医に報告し,その責任を果たす必要があります.これを怠ると,またとない貴重な機会を得たにもかかわらず,薬剤師は信用を失い,二度と責任のある役割を任されることはないでしょう.しっかりと責任を果たし,処方医に対しても必要な報告を実施し,医師側の信頼を獲得してより多くのリフィル処方箋発行につなげてほしいと思います.

山浦 克典
慶應義塾大学 薬学部 教授・附属薬局長
特集:治療継続のための プロブレムがみえる!みつかる! 糖尿病

<目次>

■特集にあたって(石井 均) 

■なぜ継続できない!? 糖尿病治療のリアル―薬剤師にできる継続サポートは?― (武藤 達也)

■プロブレムを見逃さない!糖尿病をもつ人のアセスメントと薬物治療支援のポイント(石井 均)

■目の前の情報からみえる! みつかる! はじめのプロブレム(米良 真理)
・年代・性別・職業
・生活習慣
・併存疾患
・環境要因

■表層的な「#」から,深堀りプロブレムにアプローチ!
# 低血糖リスクが高い(新井 さやか)
# 病識・治療の理解度が低い(新井 さやか)
# シックデイ対応の理解度が低い(秋吉 明子)
# 薬剤の管理やデバイスの取り扱いができない(林 太祐)
# 服薬アドヒアランスが低い(篠原 久仁子)
# 血糖コントロールが悪い(柳瀬 昌樹)
# 食生活を改善できない(神谷 貴樹)
# 生活リズムが不規則(彦坂 麻美)
# 適度な運動ができない(中道 真理子)
# 話を聞いてくれない・答えてくれない患者へのコミュニケーションのコツ(別所 千枝 ほか)

<シリーズ>

■えびさんぽ
 長時間作用型GLP-1受容体作動薬は効果がありますか?
(青島 周一)

■喫茶よりみち 薬剤師の知っ得リテラシー
〈Scene #11〉専門家による審査を受けていない研究成果?~コロナ禍で活用が進んだ「プレプリント」とは~
(井出 和希)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
 ・ポリスチレンスルホン酸Na併用でアミトリプチリンの血中濃度低下
 ・スタチンの忍容性が低い患者の特徴
(佐藤 宏樹 澤田 康文)

■腫瘍薬学ハイライト
 NKT細胞のα-ガラクトシルセラミドによる活性化に基づくがん免疫治療
(川西 正祐)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
〈第11回〉えーっと,コロナにかかりまして…(感染制御のおはなしです)
(篠田 康孝)

■現場で働く薬剤師のための臨床薬学研究のオモテ・ウラ
〈第11回〉前向き臨床研究のオモテ・ウラ
(大井 一弥)

■くすりのかたち外伝 わかる! 使える!まいにち薬会話
〈第11回〉「この薬の吸収は○○です」経口剤編
(浅井 考介 柴田 奈央)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
〈拾壱ノ型〉抗がん薬の治療開始基準は,経時的推移をよく確認せよ!
(榊原 辰弥)

■薬剤部門管理者・ミドルマネジャーのためのBSC活用入門
〈第8回〉保険薬局におけるバランスト・スコアカードの活用

<巻頭言>
令和4年度の調剤報酬改定において,「薬剤服用歴管理指導料」に代えて「服薬管理指導料」が新設された.ここでは,新しく「保険薬剤師が必要と認める場合は,患者の薬剤の使用の状況等を継続的かつ的確に把握するとともに,必要な指導等を実施すること」という算定要件が追加されている.この改定から読み解けるのは,必要な治療を患者が継続していくために,薬剤師にも,よりいっそうフォローアップや働きかけのスキルを高め,発揮していってほしいという期待である.
本特集では,患者の日常の管理や治療実行度が,合併症リスクやQOLと健康寿命の維持延伸に大きく影響する疾患である「糖尿病」に焦点をあて,①治療行動(薬物治療に焦点をあてる)に影響する要因にはどのようなものがあるかを知り,②プロブレム(治療継続を妨げる要因)を発見する方法を学び,③行動変容の促進や維持を支援するための本質的な力を磨く方法を伝授する.また,近年,日本糖尿病学会と日本糖尿病協会が中心となって糖尿病についてのスティグマ,偏見,差別除去活動を行っている.そのため,本特集でも糖尿病患者,療養指導,コンプライアンスなどの用語はなるべく使わないようにした(学会,協会ホームページ参照).
薬剤師のみなさまは忙しい業務のなかで,薬の効果,飲み方や副作用などの説明,あるいは残薬確認が中心になり,それ以上の関わりは難しいという日々を送られているのではないかと拝察する.しかし,糖尿病をもつ人にとって,みなさまの一言,ちょっとした声掛けが治療開始や継続のヒントになることもまれではない.実際に,海外の報告によると,本書に示すような介入法(プロブレムへの対処支援法)を行うことによって,行動や治療満足度が向上することが確認されており,最も効果的だったのは,薬剤師による介入であったと報告されている.
糖尿病治療の最終目標は,糖尿病をもつ人が健康な人と変わらないQOLと寿命を確保し,自分らしさを生かせるような生活を送ることにある.そのため,症状はなくとも継続した治療が重要である.本特集を通じて,薬剤師のみなさまが,糖尿病をもつ人の先を見据え,継続的な心身の支援をするためのスキルアップの一助となることを期待する.

石井  均
奈良県立医科大学 医師・患者関係学講座 教授
特集:もうドキドキしない! 薬剤師のための 心電図と不整脈のはなし

<特集>
■特集にあたって(奥村 恭男)

■心臓の生理学と聞くとドキドキが止まらない人のための心拍のはなし
・健康なヒトでも心臓がドキドキするのはなぜ? ~生理的なドキドキを生み出す自律神経系のはなし~(三好 美帆 ほか)
・不整脈になったらどうなる? なにが困る?(若松 雄治)
・ここに注目! チャネルのはたらきと抗不整脈薬(若松 萌実)
・いまさら聞けない心臓のキホン ~心臓の構造と刺激伝導系~(深谷 英平)
・いまさら聞けない自律神経のキホン ~心拍調節編~(江島 浩一郎)

■心臓の声を読み解く! 薬剤師にも役立つ心電図のはなし
・知ってるつもり? 心電図の種類とわかること(木俣 元博 ほか)
・心電図波形の意味から理解する 正常な心電図と異常な心電図(萩原 かな子)
・QT延長ってなんだ? 徐脈ってどうなるの?(網野 真理 ほか)
・Step Up! 心電図 頼られる薬剤師はココを見る(梶原 洋文)
・薬剤師が心肺停止,呼吸停止に出会ったら?(深町 大介)
・不整脈に非薬物治療で立ち向かう! ~カテーテルアブレーション治療,ペースメーカ,植込み型除細動器(ICD)~(中原 志朗)

■もうドキドキしない! 不整脈の薬物治療Q&A(黒川 早矢香)
・不整脈を増悪させないために気をつけたい生活習慣は?
・薬物治療が必要な不整脈って,どんな不整脈?
・β遮断薬の不整脈に対する効果は? 使用時に気をつけたい副作用は?
・ベラパミルは心室頻拍を抑える効果がある?
・腎機能が低下している患者に抗不整脈薬を投与するときの注意点は?
・小児に抗不整脈薬を使用する際の注意点は?
・心房細動に対するワルファリンとDOACの使い分けは?
・不整脈による動悸に抗不安薬が使われるのはなぜ? どういうとき?
・カテーテルアブレーション治療やペースメーカ植込みなどを受けたら,もう薬物治療はやめられる?
・薬剤などの影響による二次性QT延長症候群はどんなときに生じる?
・実際のところ,抗不整脈薬の特徴を示したSicilian GambitやVaughan Williams分類は現場でどのくらい使う?
・「左室機能」とは具体的にどのような評価を基に判断される? また,抗不整脈薬は左室機能にどのように影響する?
・Sicilian Gambitの臨床効果「心外性」の項は臨床上どのように活用すればよい?
・ATPの静注が抗不整脈薬として記載されているが,経口剤でも同様に心臓に影響があるのか?


シリーズ

■えびさんぽ
 リズムコントロールかレートコントロールか,それが問題だ!
 (青島 周一)

■現場で働く薬剤師のための臨床薬学研究のオモテ・ウラ
 〈第10回〉研究枠確保のオモテ・ウラ② ~博士の学位そしてキャリアアップ~
 (大井 一弥)

■くすりのかたち外伝 わかる!使える!まいにち薬会話
 〈第10回〉光シリーズ後編「光にあたりすぎないでください」
 (浅井 考介 柴田 奈央)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
 ・ARBによる発がんリスク
 ・苦味や舌下投与によるアセナピンの服薬中断
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
 〈第10回〉14年目の薬剤師が『タスク・シフト/シェアの推進』について考える
 (藤井 宏典)

■薬剤部門管理者・ミドルマネジャーのための BSC活用入門
 〈第7回〉地域の保険薬局との協働における応用
 (須賀 宏之)

■喫茶よりみち 薬剤師の知っ得リテラシー
 〈Scene #10〉そもそも 「情報」 はどのような過程を経て,世の中に出てくるの?~コロナ禍の実例も踏まえて基本を押さえる~
 (井出 和希)

■薬剤師が三ツ星シェフ -業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ-
 最終回 薬剤師〈三ツ星シェフ〉の活躍がもたらす未来とは?
 (東 敬一朗)

■腫瘍薬学ハイライト
 免疫チェックポイント阻害薬の効果を改善する腸内細菌
 (川西 正祐)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈拾ノ型〉妊婦の薬物療法は添付文書以外も確認せよ!
 (本間 麻理子)

■レポート
 小笠原諸島・母島での「遠隔服薬指導・小笠原村母島モデル」
 (淺沼 晋)

<巻頭言>
“不整脈は怖い”,こんなイメージありますよね.実際に,不整脈は緊急性が高いことが多いですし,診断も複雑です.ただでさえ不整脈は複雑なのに,薬物動態の理解なんて苦手,またどのように服薬指導したらいいかわからないと感じている薬剤師さんは多いのではないでしょうか.
実際に,最も一般的な不整脈である心房細動では,放置しておくと脳梗塞や心不全,突然死などの原因になる可能性はありますが,適切に薬物治療を行うと予後も悪くありません.しかしながら,日本人では4割弱が無症状,つまり“困っていない患者さん”であり,病識や治療への積極性が乏しい場合もあります.服薬アドヒアランスと予後は密接な関連があることも示されているため,無症状の患者さんに対しても響く服薬指導を行えるよう,各不整脈の予後,病態生理の基本もふまえて臨む必要があります.また,抗不整脈薬は副作用も多いため,基本的な心臓の電気的活動や薬理学的作用を正しく理解する必要があります.
そこで,本特集では,各領域のスペシャリストの先生に,心電図の基本や不整脈の機序,薬物治療の効果,副作用をわかりやすく解説してもらいました.本特集が,薬剤師の方々の苦手意識を少しでも改善させるツールとして,お役に立てればと願っております.

日本大学医学部 内科学系循環器内科学分野 主任教授
奥村 恭男
2,200円
特集:不妊とくすりの現在(いま) -ここが変わった! 治療法・治療薬から保険制度まで-

≪特集の目次≫

特集
不妊とくすりの現在
ここが変わった! 治療法・治療薬から保険制度まで

■特集にあたって(市川 智彦,久具 宏司)

■不妊の基礎知識(小野 政徳 ほか)

■不妊治療のいま:保険適用拡大で何が変わったか
・保険適用拡大で不妊治療はどう変わったか(松山 玲子 ほか)
・保険適用拡大における不妊の薬物療法(平田 哲也)

■新型コロナウイルス感染症と不妊治療(相澤(小峯) 志保子)

■不妊の薬物治療の基礎知識
・女性不妊(浦田 陽子 ほか)
・男性不妊(辻村  晃)
・妊孕性・性機能に影響を及ぼすリスクのある医薬品(古井 辰郎 ほか)
・不妊治療で漢方薬を活用する知識とノウハウ(小林 秀行)

■女性不妊における薬物治療の実践
・抗エストロゲン製剤(久須美 真紀)
・ゴナドトロピン製剤(横山 絵美 ほか)
・ドパミン作動薬(カベルゴリン)(福井 淳史 ほか)
・GnRHアナログ(田村 博史)
・アロマターゼ阻害薬(レトロゾール)(髙橋 俊文)
・インスリン抵抗性改善薬(メトホルミン)(松崎 利也 ほか)
・プロゲステロン経腟製剤(藤原 敏博)
・エストロゲン製剤(林  裕子 ほか)

■男性不妊における薬物治療の実践
・非内分泌療法(湯村  寧)
・内分泌療法(白石 晃司)
・ホスホジエステラーゼ5阻害薬(小宮  顕)

■さまざまな疾患と不妊
・婦人科疾患と不妊(内田 聡子)
・感染性疾患と不妊(北島 道夫)
・免疫性疾患と不妊(内田  浩)
・内分泌疾患と不妊(岩瀬  明)




シリーズ

■えびさんぽ
 検診を受けると健康で長生きできますか?(青島 周一)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
 ・カルバマゼピンで血中ビタミンD濃度が低下
 ・フルオロキノロンで透析患者の心突然死リスク上昇
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

■薬剤師が三ツ星シェフ -業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ-
 モニタリング編 モニタリングなしは栄養管理にあらず(東 敬一朗)

■薬剤部門管理者・ミドルマネジャーのための BSC活用入門
 〈第6回〉中小病院の薬剤部における応用(佐藤 大輔)

■喫茶よりみち 薬剤師の知っ得リテラシー
 〈Scene #09〉「ウイルス対策製品」のエビデンスって? ~論文から読み解いてみる~(井出 和希)

■くすりのかたち外伝 わかる!使える!まいにち薬会話
 〈第9回〉光シリーズ前編「光に弱いので○○してください」(浅井 考介 柴田 奈央)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
 〈第9回〉疑義照会の壁~元MR,薬局薬剤師やらせたら最強説?!~(大西 伸幸)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
 〈玖ノ型〉子どもへの服薬指導に挑戦!(久保 拓己)

■腫瘍薬学ハイライト
 免疫チェックポイント阻害薬の併用療法の有効性と安全性(川西 正祐)

■現場で働く薬剤師のための臨床薬学研究のオモテ・ウラ
 〈第9回〉研究枠確保のオモテ・ウラ① ~社会人枠での挑戦~(大井 一弥)

≪巻頭言≫

 2022年4月から一般不妊治療や生殖補助医療の多くが保険適用となり,生殖医療の現場において大きな変革がもたらされている.泌尿器科においても,手術,薬物療法,検査など,多岐にわたって保険適用となった.これまで保険で行っていた外科治療は,精索静脈瘤に対する手術や閉塞性無精子症に対する精路再建術などであったが,今回,精巣内精子採取術,顕微鏡下精巣内精子採取術についても保険適用となった.また,使用法に条件があるとはいえ,勃起不全(ED)が原因と考えられる不妊症に対して,ED治療薬であるホスホジエステラーゼ5阻害薬が保険適用となったことも,対象となるカップルにとって朗報であると考えている.Y染色体微小欠失検査も保険適用となったが,精巣内精子採取術の適応の判断を目的とする場合に限定されている.高度乏精子症においても数%はY染色体微小欠失が関係していると考えられているが,その有無を検査する目的で行う場合は自費診療となる.したがって,男児への遺伝に関する遺伝カウンセリングなどきめ細やかな診療を提供することが難しくなると考えられる.長らく自費診療で行っていた治療を,その成績を損なうことなくどのようにして保険診療に組み込んでいくか,われわれ専門医がこれまで培ってきた技術や経験が試されているともいえる.特定不妊治療費助成金の交付が,「治療期間の初日における妻の年齢が43歳未満であること」を条件としていたように,今回の保険適用についても体外受精や顕微授精などの生殖補助医療は,「当該患者又はそのパートナーのうち女性の年齢が当該生殖補助医療の開始日において43歳未満である場合に限る」とされている.女性パートナーの年齢が43歳以上の場合は自費診療となるが,保険適用となっていない技術を引き続き提供することも可能である.しかし,生殖補助医療の「やめどき」ついては個別に検討していく必要がある.2022年4月以降,比較的若いカップルも外来を受診するようになり,今後の不妊治療の拡大を感じているところであるが,解決すべき課題も多い.このような背景を踏まえ,久具宏司先生(東京都立墨東病院 産婦人科部長)と今回の特集を企画した.泌尿器科領域では,不妊治療のエキスパートの先生方にそれぞれのテーマについて執筆いただいた.保険適用となったことが泌尿器科における不妊治療においてどのような影響や変化をもたらしたのか,そして今後どのように発展していくのかを,読者のみなさまにわかりやすく届くことを期待している.

千葉大学大学院医学研究院泌尿器科学 教授
市川 智彦


 少子化は,わが国が国家として直面する重要な課題の一つである.日本の年間出生数は年々減少を続け,2021年には811,604人となった.1人の女性が一生の間に産む子どもの数を示す合計特殊出生率は1.30で,世界的にみて最低レベルである.さまざまな社会事象が少子化を引き起こす要因と考えられるなか,男女の未婚率の上昇に表れる非婚化,結婚する男女においても初婚年齢の上昇に伴う晩婚化,結婚した後,子をもつまでの期間の延長,それらの要素が複合した晩産化も少子化を推し進める一因と考えられている.出産を経験した女性でも,平均の第1子出産年齢は,2020年には30.7歳となっている.
 そのような状況下,不妊カップルの増加がクローズアップされている.現在の日本における不妊カップルは全カップルの約15%に達するといわれている.晩婚化が進むなど,今後の社会行動の変化によっては,不妊カップルはさらに増加するかもしれず,不妊治療はますます注目を浴びるものと思われる.わが国で1983年に導入された体外受精はそれまでの不妊治療に風穴を開け,近年急速に拡がってきた.体外受精を中心とした治療手技は生殖補助医療技術(ART)とよばれ,現在の日本では体外受精を経て生まれる児は,全出生児の7%を超えている.ARTはtechnologyではあるが,従来一般不妊治療に用いられてきた薬剤も改良を重ね,ART施行時にさまざまな方法で使用される.
 わが国では,2022年4月から不妊治療に保険診療が適用されることになった.特に顕微授精を含む体外受精が保険診療の対象となったのは大きな変化である.不妊治療の保険診療化が少子化解消に寄与するかは疑わしいところではあるが,これまで費用面から不妊治療に二の足を踏んでいたカップルにとってハードルが下がるのは望ましいことである.生殖医療実施施設の門をたたくカップルがこれまで以上に増えることであろう.
 今回,『薬局』では,不妊と薬にスポットを当て,不妊の原因や治療などの基礎知識,一般不妊治療ならびにARTにおける種々の薬剤の考え方と使用法,疾患を有する不妊患者へのアプローチに加えて,保険診療における使用のルールや留意事項について,第一線で活躍中の先生方が解説する特集を企画した.

地方独立行政法人東京都立病院機構東京都立墨東病院産婦人科 部長
久具 宏司
2,200円
特集:頻用漢方薬の使いこなし -典型レシピ・奥の手レシピ-

≪特集の目次≫

■特集にあたって
・頻用処方薬の典型レシピ・奥の手レシピ(千福 貞博)
 
■漢方薬の特徴を的確に伝えることができますか?(千福 貞博)

■頻用漢方薬レクチャー 基本の「典型レシピ」
・大建中湯(飯塚 徳男)
・牛車腎気丸(伊藤 友一)
・抑肝散(八幡 曉直)
・六君子湯(志水 倫子 ほか)
・芍薬甘草湯(福原 慎也)
・葛根湯(貝沼 茂三郎)
・麦門冬湯(境  修平)
・補中益気湯(浅羽 宏一)
・五苓散(來村 昌紀)
・加味逍遙散(西田 欣広)
・人参養栄湯(今村 友裕)
・半夏瀉心湯(米永 一理)

■頻用漢方薬レクチャー 自在に扱う「奥の手レシピ」━処方の選択肢を広げる!
・大建中湯(飯塚 徳男)
・牛車腎気丸(伊藤 友一)
・抑肝散(八幡 曉直)
・六君子湯(鈴木  甫 ほか)
・芍薬甘草湯(福原 慎也)
・葛根湯(貝沼 茂三郎)
・麦門冬湯(境  修平)
・補中益気湯(浅羽 宏一)
・五苓散(來村 昌紀)
・加味逍遙散(西田 欣広)
・人参養栄湯(今村 友裕)
・半夏瀉心湯(米永 一理)

Exercise  

シリーズ

■えびさんぽ
 漢方製剤は効果がありますか?
 (青島 周一)

■くすりのかたち外伝わかる! 使える!
 まいにち薬会話〈第8回〉
 「混ぜないでください」(後編)
 (浅井 考介 柴田 奈央)

■喫茶よりみち
 薬剤師の知っ得リテラシー〈Scene #08〉
 「ウイルス対策製品」って実際どうなの?~行政が動いた事例から考える~
 (井出 和希)

■薬剤師力の型新たな思考と行動プランを手に入れろ!〈捌ノ型〉
 薬物相互作用のマネジメントは添付文書の先を追及せよ!
 (山口  諒 大野 能之)

■薬剤師が三ツ星シェフ-業務に活きる!活かせる!
 経静脈栄養のホントのところ- 番外編 リハビリテーション栄養と薬剤師③
 〜これから必ず求められる視点〜
 (東 敬一朗)

■腫瘍薬学ハイライト
 免疫チェックポイント阻害薬とその耐性獲得機構
 (川西 正祐)

■薬剤部門管理者・ミドルマネジャーのためのBSC活用入門〈第5回〉
 急性期病院の薬剤部における応用
 ~正しく作らなければ,正しく使えない~
 (大幸  淳)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ〈第8回〉
 拒薬の因数分解
 (篠田 康孝)

■現場で働く薬剤師のための臨床薬学研究のオモテ・ウラ〈第8回〉
 業務環境のオモテ・ウラ②〜お金とうまく付き合う技法〜
 (大井 一弥)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
 ・剤形選択の方法でアドヒアランスが異なる
 ・高齢でも降圧薬による治療は有効
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

≪巻頭言≫
筆者は漢方薬を使う医師に3段階のレベルを考えている.

レベル1:症状・西洋病名を基本に処方決定する
レベル2:上記に漢方の身体所見の「脈診・舌診・腹診」を加える
レベル3:古典の漢方理論,現代漢方薬理学理論,EBMを考慮する

レベル1の処方箋は素人の発想と大差はなく,「かぜだから葛根湯」「フレイル(frailty)だから人参養栄湯」となる.その説明や養生の指導に薬剤師が苦慮することは少ない.しかし,その効果を具体的に解説できると有用性が増す.これが本特集:各論の前半にある「典型レシピ」の項目である.
一方,レベル2,3の処方箋では,使用目的が判然としないことがある.これに対して,おざなりに薬剤情報を提供すると,患者は不信感をつのらせて薬効が低下することもある.西洋薬で考えると,カルシウム拮抗薬のベラパミルが適応外使用で「群発頭痛・片頭痛」にも投与される(文献1).本治療法は欧米の内科書に従来から記載(文献2)があるし,薬理学的にも簡単に納得できるので,循環器疾患でなく頭痛目的に処方されても説明には困らない.翻って,漢方薬は西洋薬のように,常に理論的に作用機序を告げられるわけではない.例えば,添付文書で柴胡桂枝湯の効能をみると,流感など急性上気道炎の薬剤かと思いきや,胃潰瘍,胆石,膵炎,肝障害と消化器疾患が羅列されている.適応疾患の「守備範囲」が広すぎるのである.そこで「熟練漢方医の意図を見抜く」,これが特集後半の「奥の手レシピ」の項目である.
以上をふまえて,著名な実践的漢方医に頻用12方剤の解説をいただいた.
古典落語の枕に「葛根湯医者」というものがある.頭痛で葛根湯.腹痛でも葛根湯,神経痛でも,眼病でも,あげくには付添看護人にまで,となる.最後は冗談としても,他はレベル2,3の処方箋であれば小咄ではなく,十分に納得なのである.

センプククリニック 院長/大阪医科薬科大学 臨床教育教授
千福 貞博

引用文献
(文献1) 島田和幸ほか編:今日の治療薬2022. 南江堂, p.680, 2022.
(文献2) Niel HR et al:Harrison’s Principles of Internal Medicine, 13th edition. McGraw-hill, p70, 1994.
2,200円
特集:知っておきたい呼吸ケア

≪特集の目次≫
■特集にあたって
・呼吸ケアを要する患者の対応時に,本特集をさっと一読してほしい (井端英憲) 

■生理整頓! 呼吸にまつわる解剖と生理学
・呼吸器の構造と役割(岩中宗一 ほか)
・動脈血ガス分析と酸塩基平衡
 -酸素を届けろ! ガス交換と血液による運搬-(長谷川浩嗣)
・薬剤師に必要な呼吸機能検査の知識(坂野昌志)
・呼吸器ケアで参照する画像所見の見方(小澤良之)

■呼吸器ケアで改善したい症状と症候
・呼吸困難(辻 愛士 ほか)
・咳・喀痰(金光禎寛)
・喘 鳴(田尻智子)
・異常呼吸(油田尚総)

■呼吸器ケアの対象となる疾患群
・肺炎・肺化膿症・膿胸(大西涼子 ほか)
・喘息とCOPD(新実彰男)
・間質性肺炎・肺線維症(榎本紀之)
・循環器系疾患(石倉 健)
・呼吸困難と神経筋疾患(大内智洋)

■呼吸を助けるくすり
・気管支拡張薬の使いかた・使いどころ-β2刺激薬-(中根茂喜)
・気管支拡張薬の使いかた・使いどころ-吸入抗コリン薬-(坂野昌志)
・呼吸困難感を軽減するためのステロイドの使いかた(篠永 浩)
・吸入デバイスの取り扱いとセルフマネジメント(荒川正悟)
・人工呼吸療法中の鎮静・せん妄対策の薬物療法(岩田 聡)

■非薬物的治療法の考え方
・酸素療法(岡野智仁 ほか)
・呼吸リハビリテーション(五明岳展 ほか)
・栄養療法(二村昭彦 ほか)
・人工呼吸療法(都丸敦史 ほか)

コラム:在宅人工呼吸療法ってなに?(坂野昌志)

(シリーズ)

■えびさんぽ
 COPDに対する長時間作用型抗コリン薬の吸入は効果がありますか?
 (青島周一)

■現場で働く薬剤師のための臨床薬学研究のオモテ・ウラ〈第7回〉
 業務環境のオモテ・ウラ①〜時間をつくる技法〜
 (大井一弥)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ〈第7回〉
 疑義照会…上手くできていますか?
 (大森智史)

■薬剤部門管理者・ミドルマネジャーのためのBSC活用入門 〈第4回〉
 ファーマシーマネジメントとバランスト・スコアカード
 (赤瀬朋秀)

■薬剤師力の型新たな思考と行動プランを手に入れろ!〈漆ノ型〉
 「臨床現場」という研究室で,次世代にも残る価値ある論文作成に着手せよ!
 (坂野昌志)

■くすりのかたち外伝わかる!
 使える!まいにち薬会話〈第7回〉
 「混ぜないでください」(前編)
 (浅井考介 柴田奈央)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
 ・薬剤師介入でうつ病患者のアドヒアランス向上
 ・高用量アセトアミノフェンで血圧上昇
 (佐藤宏樹 澤田康文)

■薬剤師が三ツ星シェフ-業務に活きる!活かせる!
 経静脈栄養のホントのところ- 番外編 リハビリテーション栄養と薬剤師②
 〜これから必ず求められる視点〜
 (東 敬一朗)

■腫瘍薬学ハイライト
 血中マイクロRNAと新規がん検診法
 (川西正祐)

■喫茶よりみち
薬剤師の知っ得リテラシー〈Scene #07〉
4回目接種,対象者はどのように決まった?~今,わかっていることを整理する~
 (井出和希)

■書評
・絵でまるわかり分子標的抗がん薬 改訂2版
 (吉村知哲)

・知っておきたいOTC医薬品 第3版
 (豊見 敦)

≪巻頭言≫
呼吸ケアを要する患者の対応時に,本特集をさっと一読してほしい

 呼吸ケアの定義はさまざまですが,呼吸器疾患だけでなく循環器疾患や神経筋疾患などで呼吸関連の異常を呈する患者に対して,職種横断的に病態を評価し,治療を提供することと考えられます.
 「ケア」という言葉からわかるように,従来は患者に直接触れる看護師や理学療法士を中心に使用されてきた言葉です.「呼吸ケア」についてまとめた書籍では,酸素療法や人工呼吸管理,呼吸リハビリテーションや吸痰手技などの技術的内容が多く取りあげられており,薬物療法やその根拠となる病態評価を解説したものは少なかったように思います.
 本特集では,呼吸ケアという概念を急性期・集中治療領域で提供される「非薬物的治療」だけでなく,慢性期から在宅診療まで広義に捉えて,薬剤師として知っておきたい内容を簡略にまとめました.「呼吸器ケアの対象となる疾患群」では,今まで何度も取り上げられている疾患ばかりですが,呼吸ケアの視点で入院から外来治療・在宅診療まで「連続して患者の病態を把握する」ための知識の整理に活用してもらえると思います.
 さらに「非薬物的治療法の考え方」では,理学療法士・管理栄養士・臨床工学士ら多職種の呼吸ケアに対する考え方を知ることになり,「栄養サポートチーム」「褥瘡対策チーム」「緩和ケアチーム」などに参加している病院薬剤師ならば,職種横断的な治療展開への理解を深めてくれるものと思います.
 一方,外来治療や在宅診療では,薬物療法の進歩により,従来なら長期入院になっていた慢性呼吸不全や慢性心不全の患者が在宅で過ごすことが増えています.当然,保険薬局の薬剤師は,呼吸困難や咳・痰などの呼吸器症状の相談を受けることも増えているはずです.そんな時は,「呼吸器ケアで改善したい症状と症候」を読んでいただき,「患者・家族への病態説明」を含む「ワンランク上の服薬指導」に役立ててください.薬のことだけしか説明しない薬局と,患者・家族の不安に対して簡単なアドバイスができる薬剤師のいる薬局では,どちらが「選ばれる薬局」になるかは明らかです.
 なお,今回はあえて「呼吸ケアチーム(RCT)」の話題には触れませんでしたし,悪性腫瘍患者の終末期の呼吸ケアにも触れていません.これらの話題は,特集1冊分の内容を有しているので,今後,別途企画されることを期待しています.
 呼吸ケアは,多くの薬剤師が得意ではないかもしれない領域だけに,この1冊が呼吸ケアを要する患者に介入する際に「さっと一読する参考書」になることを祈念しています.

国立病院機構三重中央医療センター 副院長
井端 英憲
2,200円
特集:「小児の薬」トラブルシューティング

≪特集の目次≫
■特集にあたって
・薬剤学で強化する! 子どもの調剤・服薬指導(山本佳久)

■「小児の薬」トラブルシューティング
・月齢により異なる薬物動態を考慮し,小児薬用量をチェックする(田川菜緒)
・ミニレクチャー:小児薬用量の「適宜増減」の考え方(島﨑 学)
・薬剤情報提供書を有効に活用する(若林仁美)
・ミニレクチャー:年齢あるいは体重区分の境目の取り扱いは?(島﨑 学)
・小児への適応外使用に関する情報を入手する(江畠 麗)
・ミニレクチャー:循環器領域で使用される薬剤 -小児薬用量は何を参考に考えるか?- (米澤夏里)
・薬を飲むのが苦手な子ども/保護者に飲食物との飲みあわせを指導する(小嶋 純)
・ミニレクチャー:誤飲・誤嚥を回避せよ!(島﨑 学)
・服薬補助ゼリーの使いどころと注意点を説明する(小嶋 純)
・コラム:看護師は知っている「子どもの服薬トラブル」(藤田友紀)
・粉薬をペースト状にする至適水量を指導する(福田春香)
・ミニレクチャー:子どもの服薬とデバイス-使いどころと使い方の指導-(小林麻美)
・経口剤の飲み忘れへの問い合わせに対応する(吉田直樹 ほか)
・1日3回服用する薬のアドヒアランスを改善する(山本佳久)
・同一成分・複数製剤の同時処方に対応する(島﨑 学)
・ミニレクチャー:同一成分なのに成人と小児で用法が異なる製剤(島﨑 学)
・同時に2種類以上の坐剤を使用するときの注意点を伝える(山本佳久)
・ミニレクチャー:「熱さましはいつまで飲めば/使えばよいですか」に対応する(島﨑 学)
・坐剤の保管方法を指導する(山本佳久)
・ジアゼパム坐剤の2回目投与のタイミングを指導する(山本佳久)
・ステロイド外用剤と保湿剤の希釈・混合可否を判定する(山本佳久)
・子どもの点眼-点眼剤の投与方法と服薬指導-(守屋賀奈絵)
・アドレナリン自己注射薬の注意点とポイント(百 賢二)
・コラム:患者も薬を選びたい!?(米子真記)

■STOP! 計算エラー 「小児薬用量」おさらいドリル(山本 佳久/百 賢二/島﨑 学)
・添付文書・処方箋を読む大事なポイントを押さえる!
・ドリル:換算式を実用的に使う!

≪シリーズ≫
■えびさんぽ
 乳幼児や小児の喘鳴に,吸入ステロイドは効果がありますか?
 (青島周一)

■腫瘍薬学ハイライト
 線虫を用いた尿中の揮発性有機代謝物によるがん検査
 (川西正祐)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
 ・抗PD-1治療による遅延性免疫関連有害事象
 ・不適切処方を減らしても薬物関連入院は減少せず
 (佐藤宏樹 澤田康文)

■薬剤師が三ツ星シェフ-業務に活きる!活かせる!
 経静脈栄養のホントのところ-番外編 リハビリテーション栄養と薬剤師①
 〜これから必ず求められる視点〜
 (東 敬一朗)

■喫茶よりみち
 薬剤師の知っ得リテラシー〈Scene #06〉
 3回目,4回目? ~新型コロナワクチンの追加接種について,今わかっていることは?~
 (井出和希)

■くすりのかたち外伝 
 わかる! 使える! まいにち薬会話〈第6回〉
 「一包化しないでください」
 (浅井考介 柴田奈央)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!〈陸ノ型〉
 「薬剤性の副作用」以外の可能性を考えられる 薬剤師を目指そう!!
 (岩渕 聡 葉山達也)

■現場で働く薬剤師のための臨床薬学研究のオモテ・ウラ〈第6回〉
 論文を書くためのオモテ・ウラ② (大井一弥)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ〈第6回〉
 インフルエンザの薬が見つからない
 (髙島英滋)

■薬剤部門管理者・ミドルマネジャーのためのBSC活用入門〈第3回〉
 BSCで必須だが省略されやすい重要理論
 (髙橋淑郎)

≪巻頭言≫
特集にあたって
薬剤学で強化する! 子どもの調剤・服薬指導

一般的な話ではあるが,小児科の調剤は多くの薬剤師が苦手意識をもつ分野の一つではないだろうか.その理由としては,散剤やシロップ剤あるいは軟膏剤など,さまざまな剤形における計量調剤の頻度が高く,混合操作などが手間であること,患者の体重に対する処方量の適合性など処方監査が複雑であること,処方量が成分量表示の場合,そこからの製剤量の算出に戸惑うことなどがあげられる.これらは小児科の処方箋を日頃から受ける環境になれば,おのずと慣れてくるものであるが,普段,小児科の処方箋を受け付ける機会の少ない薬局に,突如,小児の患者が来局してきたら,多少なりともプレッシャーを感じながら処方箋を受けつけることになるであろう.
また,小児科調剤の領域で苦労するのは,いかにして患者のアドヒアランスを向上させるかということである.特に苦みのある製剤などの上手な服用方法についての説明は薬剤師の永遠の課題であるかもしれない.内服に限らず,坐剤,皮膚外用剤,吸入剤,注射剤など,そのなかでも初めて使用する患者(その保護者)に対して適切な使用方法を簡潔にわかりやすく説明することも薬剤師の重要な任務である.さらに,患者がうまく服用できなかった場合や誤った方法で使用してしまった場合の対処法なども相談されることがあると思われる.
このような問題に直面するとき,薬剤師にとって大きな武器となり得るのが製剤学,物理薬剤学,生物薬剤学,そして医療薬剤学などの薬剤学的な知識ではないだろうか.筆者はもともと小児科の処方箋をメインに受ける薬局の薬剤師であったが,さまざまな縁があり,現在は大学で教員を勤めている.そして,ここで薬学生に嫌われる分野の一つである物理薬剤学の講義を担当している.学生に少しでもこの領域に興味をもってもらうために意識していることは,この講義で取り上げる現象や計算式と,それらの臨床的有用性とをリンクして学ばせることである.この姿勢が奏功しているかどうかはもう数年観察しなければ評価できないが,このことを強く意識するようになったのは自分自身の薬局勤務時代に日常業務のさまざまな場面で薬剤学の知識に助けられた経験があったからである.
そこで本特集では,小児科領域の分野で活躍されている先生方に日常業務に薬剤学的知識がどのように生かされているのか,幅広い分野から多くの大変興味深い項目を執筆していただいている.さらに冒頭部分では,小児科調剤では避けては通れない多様な計算について,いつでも練習や復習ができるようなドリルを作成し,その解決法について解説を加えている.読者の方々が小児科調剤に関連する計算に対する苦手意識を払拭し,突然,小児科の処方箋を受け付けた場合でも対応していただけるような内容となるよう考慮した.
本特集により,薬学部でしか勉強することのない薬剤学に興味をもっていただくとともに,小児科調剤の奥深さを身近に感じていただければ,そして薬剤師のさらなる職能拡大につなげていただければ幸いである.

帝京平成大学薬学部 物理薬剤学ユニット 教授
山本佳久
2,200円
特集:皮膚を整える。-スキンケアの進めかた・勧めかた-

≪特集の目次≫

■特集にあたって
・治療の一環としてスキンケアを捉える(大谷 道輝)

■巻頭カラーグラビア

■ゼロから整える! スキンケアの基礎づくり
・治療を創る! 科学的根拠に基づくスキンケア(天野 博雄)
・スキンケアの大事な視点! 紫外線への対応(森田 明理)
・スキンケア計画の一歩! 年齢と性別による肌の変化を知る(鈴木 牧人)
・スキンケア攻略の一歩! 皮膚機能に影響を与える因子を整理する(菊地 克子)
・スキンケア 基本の「き」! 保湿剤の種類・剤形の特徴とその使い方(安部 正敏)

■年齢・性別に応じた皮膚との付き合いかた
・幼小児期の皮膚との付き合いかた(星野 雄一郎 ほか)
・高齢者の皮膚の特徴(福田 英嗣)
・女性の皮膚の特徴(関東 裕美)

■教科書では学べない! スキンケアの進めかた・勧めかた
・糖尿病患者の皮膚トラブル対策(高山かおる)
・がん治療での皮膚トラブル対策(清原 祥夫)
・アトピー性皮膚炎患者の皮膚トラブル対策(加藤 則人)
・褥瘡患者・排泄物の皮膚トラブル対策(鈴木  琢)
・にきび患者のスキンケア(林  伸和)
・皮膚真菌症患者のスキンケア(原田 和俊)
・アドヒアランスを高める保湿剤の選び方は? その指導は? -皮膚科医のアプローチ-(多田 弥生)
・アドヒアランスを高める保湿剤の選び方は? その指導は? -薬剤師のアプローチ-(大谷 道輝)

■コラム
・サンスクリーン剤を選ぶポイントは?(川田  暁)
・経皮吸収型製剤を皮膚の弱い患者へ使用するときの注意点は? その対策は?(大谷 道輝)
・洗浄剤の使い方 ―薬用石けんの「薬用」って何?(勝田  泉)
・手指消毒による肌荒れ対策について教えてください(山本 明美)
・マスクによる肌荒れ対策について教えてください(馬場 直子)
・スキン-テアって何?(安部 正敏)

■Exercise

≪シリーズ≫

■えびさんぽ
 アトピー性皮膚炎の新しい薬はどれくらい効果がありますか?
 (青島 周一)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
 ・喫煙者ではシルデナフィルの血中濃度が上昇
 ・NSAIDs間での腎機能低下リスクの比較
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

■腫瘍薬学ハイライト
 解明が進む漢方薬の抗がん作用
 (川西 正祐)

■薬剤部門管理者・ミドルマネジャーのためのBSC活用入門〈第2回〉
 戦略マップとスコアカードで無形資産を活かす
 (髙橋 淑郎)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ〈第5回〉
 残された時間の苦痛を取り除いてあげる方法は?
 (中嶋 亜紀)

■薬剤師が三ツ星シェフ -業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ-
 病態別栄養編⑦ 病態別栄養のまとめ
 (東 敬一朗)

■くすりのかたち外伝 わかる! 使える! まいにち薬会話 〈第5回〉
 「冷蔵庫で保存してください」
 (浅井 考介 柴田 奈央)

■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!〈伍ノ型〉
 アレルギー歴は問診で掘り下げよ!
 (竹内 祐介)

■現場で働く薬剤師のための 臨床薬学研究のオモテ・ウラ〈第5回〉
 論文を書くためのオモテ・ウラ①
 (大井 一弥)

■喫茶よりみち 薬剤師の知っ得リテラシー〈Scene #05〉
 治療薬にまつわる企業発信の情報 ~中立性,その後の報道をどう考える?~
 (井出 和希)

≪巻頭言≫

特集にあたって
-治療の一環としてスキンケアを捉える-

「スキンケア」は,皮膚科領域だけでなく,日常生活においても重要です.代表的な皮膚疾患であるアトピー性皮膚炎では,診療ガイドラインで保湿剤の使用が推奨度1,エビデンスレベルAとなっています.保湿剤の使用は,アトピー性皮膚炎で低下している角層の水分含有量を改善し,皮膚バリア機能を回復・維持することで,アレルゲンの侵入予防と皮膚炎の再燃予防,痒みの抑制につながります.
スキンケアは乾燥に対する保湿だけでなく,「清潔」や「紫外線」も考慮した3つの視点での対策が必要です.乾燥対策としての保湿剤の使い方だけでなく,清潔では石鹸など洗浄剤の使い方,紫外線ではサンクスリーン剤の選び方なども学ぶ必要があります.これらは日常生活においても知っておくことが大切です.
アトピー性皮膚炎,褥瘡,皮膚真菌症,にきびなど皮膚科領域以外でも糖尿病やがん治療で皮膚トラブルを経験することが多く,医療従事者としてスキンケアについて正しく理解しておくべきです.
今回の企画は,目次を見ていただければ一目瞭然ですが,「スキンケアの基礎づくり」「年齢・性別に応じた皮膚との付き合いかた」「スキンケアの進めかた・勧めかた」から構成されており,明日の臨床現場で使える実践的な内容となっています.執筆は普段からお世話になっている皮膚科の先生方に加え,スキンケアのエキスパートである化粧品会社研究所の先生方にも依頼しました.化粧品会社研究所からは,日本香粧品学会誌に執筆されている先生方で,スキンケアに関して興味深い執筆をされている先生方にお願いしました.コラムには,6つの項目を企画しました.いずれも現場でよく質問される実践向けの内容となっています.
スキンケアに関する特集は,看護師向けや化粧品会社向けの雑誌などでよく見かけますが,今回は,病院および保険薬局の薬剤師の先生方を主な読者対象として,皮膚の構造・機能,医師の治療方針や処方意図,患者さんへの情報提供の基礎知識,年齢・性別および疾患に応じたスキンケアを網羅しました.スキンケアの知識は日常生活でも役立つ情報です.これを機に皮膚に関心をもって,薬剤業務や患者サポートに活かしていただければ編集者として嬉しく思います.

佐々木研究所
大谷 道輝
2,200円
特集:抗菌薬,その理由 -もう疑義照会・処方提案で失敗しない!推論に挑め-

≪特集の目次≫

■特集にあたって(奥平 正美) 

■処方を読み解くために 総論
・臨床推論に必要な抗菌薬と細菌の要点整理(奥平 正美)
・処方箋解析のpit fall(奥平 正美)
・治療プロセス(黒田 浩一)
・経口剤・注射剤のメリット,デメリット(澤田 和久)
・そうだったのか!患者さんの飲めない理由(アドヒアランスの向上)(山方 基寛)

■処方がわかる 実践編
・患者背景から処方提案をした成人細菌性肺炎患者の事例(篠永  浩)
・発熱,咳嗽で受診した患者の事例(彦坂 麻美)
・服用忘れが心配な結核・非結核性抗酸菌症の患者の事例(坂野 昌志)
・既往歴から処方変更を提案した咽頭炎患者の事例(酒井 義朗)
・リスク評価から追加処方を提案した中耳炎患者の事例(梶原 洋文)
・鼻汁・鼻閉の症状が長引く患者の事例(天野 哲史)
・抗菌薬の予防服用を提案した小児尿路感染症患者の事例(本田 勝亮)
・小児のかぜは本当に「かぜ」? 発熱がある小児の事例(中島 里奈)
・起因菌に基づき処方提案を行った関節炎,骨髄炎患者の事例(枦  秀樹)
・下腿の腫れで受診した蜂窩織炎患者の事例(塩田 有史)
・発熱と倦怠感で入院した腎盂腎炎患者の事例(小杉 卓大)
・原因微生物を推定し処方提案した性感染症患者の事例(浦上 宗治)
・生活習慣にあわせ処方提案をした眼感染症の患者の事例(坂野 昌志)
・発熱と下痢で搬送された腸管感染症患者の事例(木村 匡男)

■Exercise

≪シリーズ≫

■えびさんぽ
 抗菌薬にプロバイオティクス(整腸剤)は併用した方がよいですか?
 (青島 周一)

■薬剤部門管理者・ミドルマネージャーのためのBSC活用入門〈第1回〉
 BCSはミッション・ビジョンを追求する経営戦略論
 (髙橋 淑郎)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ〈第4回〉
 患者さんが薬に期待するもの ~薬剤師がつい見落としがちな薬物治療の本質~
 (藤井 宏典)

■喫茶よりみち~薬剤師の知っ得リテラシー〈Scene #04〉
 ワクチン接種証明書アプリ ~世に出るまでの議論や社会に対する影響は?~
 (井出 和希)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
 ・DOACはワルファリンより骨折リスクが低い
 ・チアジド系利尿薬で皮膚がんリスクが上昇
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

■薬剤師が三ツ星シェフ-業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ-
 病態別栄養編⑥ 周術期
 (東 敬一朗)

■現場で働く薬剤師のための臨床薬学研究のオモテ・ウラ〈第4回〉
 医療機関・職場環境のオモテ・ウラ②
 (大井 一弥)

■腫瘍薬学ハイライト
 悪性グリオーマとウイルス療法
 (川西 正祐)

■くすりのかたち外伝 わかる! 使える!まいにち薬会話〈第4回〉
 「牛乳と一緒に服用しないでください」
 (浅井 考介 柴田 奈央)

■薬剤師力の型―新たな思考と行動プランを手に入れろ!〈肆ノ型〉
 専門性の高い知識・技術を計画的に身につけよ!
 (島田 泉)

■書評
 薬剤師が知らない在宅医療の世界〜在宅対応薬局はこれからが勝負〜  
 (英 裕雄)

≪巻頭言≫

-特集にあたって-

新型コロナウイルス感染症の出現は,これまで誰も経験したことがない未曾有の事態をもたらしました.現在,3回目のワクチン接種が進行中ですが,その終わりはまだみえません.
この2年,世間の話題はこの新たなウイルス一色に染まり,テレビ番組などを通じて誰もが受動的にCOVID-19関連の情報を入手することができます.私自身も,家族から新しい情報を教えてもらうことがありました.COVID-19関連業務に携わる立場としては,一般市民である家族が自分より早く最新情報を入手できていたことは悔しいですが,その情報を利用しない手はありません.一方で,非医療従事者にとっては難解なものも含まれる情報・呼びかけを市民が理解し,忠実に行動に移せているのはなぜなのか,という疑問も湧いてきました.
その答えの一つとして,新型コロナウイルスという見えない敵に対し,市民は自己防衛のために関心を示していることがあると思います.そして,わからないことはそのままにせず,COVID-19患者の経験談などから共感的理解を試みていたのではないかと推察します.さらに,どのテレビ局でも“同じ内容”を“安易なレベル”で“くり返し報道”したことが,多くの国民に理解を促した要因だと考えています.
皆さんも,「臨床推論」という言葉を聞いたことがあるかもしれません.薬剤師が実践する臨床推論とは,患者の訴えや症状,処方箋情報などから推測されるすべての鑑別診断をもとに,原因や結果を予測したうえで患者特性を考慮した薬学的管理を行うことだと思います.
抗菌薬の処方箋の場合,原因菌の特定や,感染している臓器などを的確に推測することが困難な場合が多く,他の薬剤に比べ,疑義照会や処方提案を躊躇する場面が多いのではないでしょうか.
本特集では,日常的に感染症に関わっている薬剤師が,代表的な感染症症例を取り上げながら経口抗菌薬が処方されたときの推論の進めかたを解説しています.感染症を学び,より深い薬学管理を実践したい薬剤師にとって,感染症の治療プロセスと経験豊かな薬剤師の思考プロセスを通して「抗菌薬が処方されている理由」を知り,実践につなげていける内容であると考えています.検査値や培養結果が手元になくても,ある程度の推測は可能であるため,ぜひ参考にしていただきたいです.
感染症患者への共感的理解を心掛け,何度もくり返し学習することが感染症治療を理解するうえでの近道です.本特集を通して,感染症の基礎が築かれることを期待いたします.

安城更生病院薬剤部薬剤課 薬剤課長
奥平 正美
6,600円
特集:お薬立ちBOOK 2022

≪特集の目次≫

Ⅰ薬物治療に向けた解剖生理
 1精神神経系:中枢神経系
 2精神神経系:末梢神経系
 3呼吸器系
 4循環器系
 5血液・造血器系
 6消化器系
 7代謝系
 8内分泌系
 9免疫・炎症・アレルギー
 10骨・関節・カルシウム代謝
 11泌尿器系・生殖器系
 12眼
 13耳鼻咽喉系
 15皮膚

Ⅱ病態生理を踏まえた薬物治療・薬学管理へ
■内科系
 1本態性高血圧症
 2二次性高血圧症
 3貧血
 4頭痛
 5発熱
 6痛み
 7下痢
 8便秘
 9悪心,嘔吐
 10脱水症
 11めまい

■精神神経系(精神科疾患)
 12うつ病,双極性障害
 13不眠,睡眠覚醒リズム障害
 14統合失調症
 15せん妄,幻覚症

■精神神経系(脳神経内科疾患)
 16てんかん
 17認知症
 18パーキンソン病
 19注意欠如・多動症(ADHD)

■呼吸器疾患
 20気管支喘息
 21慢性閉塞性肺疾患(COPD)

■循環器疾患
 22不整脈
 23急性心不全・慢性心不全,う
 24狭心症,心筋梗塞

■脳血管障害
 25脳血管障害・血栓症
 26脳梗塞

■消化器疾患
 27炎症性腸疾患
 28過敏性腸症候群
 29肝炎(ウイルス性肝炎)

■代謝系,内分泌疾患
 30糖尿病
 31脂質異常症
 32高尿酸血症,痛風
 33バセドウ病
 34甲状腺炎(橋本病)
 35副甲状腺機能亢進症・低下症

■免疫・アレルギー疾患
 36アトピー性皮膚炎
 37アレルギー性鼻炎・花粉症
 38全身性エリテマトーデス

■整形外科系疾患
 39関節リウマチ
 40骨粗鬆症

■泌尿器疾患
 41過活動膀胱
 42前立腺肥大症

■婦人科系疾患
 43子宮筋腫,子宮内膜症
 44月経困難症
 45更年期障害

■眼科系疾患・皮膚科系疾患
 46緑内障
 47ヘルペス,帯状疱疹

■感染症
 48「感染制御」総論
 49髄膜
 50上気道感染症
 51急性・慢性気管支
 52肺結核
 53肺炎
 54カンジダ症
 55ニューモシスチス肺炎
 56肺真菌症-肺アスペルギルス症・肺クリプトコックス
 57尿路感染症
 58性感染症
 59皮膚真菌症
 60HIV感染症
 61薬剤耐性菌感染症

■がん・支持療法
 62「がん薬物療法管理」総論
 63胃癌 
 64大腸癌
 65肺癌
 66前立腺癌
 67子宮癌,卵巣癌
 68乳癌
 69がん疼痛
 70悪心・嘔吐
 71下痢・便秘
 72骨髄抑制
 73 皮膚・粘膜障害
 74悪液質
2,200円
特集:心不全薬物治療の道しるべ

≪特集の目次≫

■特集にあたって(大石 醒悟) 

■[第1特集] 徹底理解! 心不全新規治療薬のチカラ
・ 図解&要点整理! SGLT2阻害薬の作用機序(堀内  優)
・ 心不全治療とSGLT2阻害薬(堀内  優)
・ 図解&要点整理!
  ARNI(アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬)の作用機序(宮田 大嗣)
・ 心不全治療とARNI(宮田 大嗣)
・ 図解&要点整理! HCNチャネル遮断薬(Ifチャネル阻害薬)の作用機序(細田 勇人)
・ 心不全治療とHCNチャネル遮断薬(Ifチャネル阻害薬)(細田 勇人)

■[第2特集] 今こそ! 心不全の管理を整理しなおす
・ おさらい! 心不全って何が問題?(齋藤 秀輝)
・ 心不全の経過観察で要注意な所見・気をつけたい検査値(三浦 弘之)
・ 診療ガイドライン詳解! 心不全治療の基本方針(加来 秀隆)
・ 慢性心不全の薬物治療に使われるくすりと服薬サポート(岡田 大司)
・ 急性心不全の薬物治療に使われるくすりと退院サポート(髙麗 謙吾)
・ 心不全患者の栄養・輸液療法(鈴木 規雄)
・ 心不全患者のセルフケアと療養サポート(生駒 剛典)
・ いまさら聞けない?! 心不全キーワード
  レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(石原 里美)
  ナトリウム利尿ペプチド(松本 新吾)
  心臓の収縮能と拡張能とHFrEF,HFpEF(佐藤 宏行)
  心拍出量と臓器灌流低下・循環不全(ショック)(那須 崇人)
  浮腫,うっ血(藤本  恒)
  心不全の心臓リハビリテーション(村田  誠)
・ 心不全患者のQOL改善に役立つ漢方(土倉 潤一郎)
・ 心不全の緩和ケア入門(西崎 公貴)

■Exercise

≪シリーズ≫

■えびさんぽ
SGLT2阻害薬は心不全の治療にも効果が期待できますか?
(青島 周一)

■臨床薬物動態のPITFALL
-その常識,ウソ? ホント?-2-コンパートメント様の薬物動態を示すので組織移行性がよい
 (浜田 幸宏 海老原 文哉 塩見 真理)

■薬剤師力の型―新たな思考と行動プランを手に入れろ!〈参ノ型〉
 よくある漠然とした質問の真意を追求せよ!
 (大橋 養賢)

■腫瘍薬学ハイライト
 口腔・腸内細菌とがん
 (川西 正祐)

■くすりのかたち外伝 わかる! 使える!まいにち薬会話〈第3回〉
「○○に作用します」(後編)~併用しないでください~
(浅井 考介 柴田 奈央)

■喫茶よりみち薬剤師の知っ得リテラシー〈Scene #03〉
幹細胞と新型コロナウイルス感染症~例の話題はどうなった?~ 
 (井出 和希)

■医薬品適正使用・育薬フラッシュニュース
 ・コーヒー多量摂取でラモトリギン曝露量低下
 ・小児におけるPPI使用で喘息リスクが上昇
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

■現場で働く薬剤師のための臨床薬学研究のオモテ・ウラ〈第3回〉
医療機関・職場環境のオモテ・ウラ①
 (大井 一弥)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ〈第3回〉
 クスリとも笑えない薬の取り扱い
 (大西 伸幸)

■薬剤師が三ツ星シェフ-業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ-
病態別栄養編⑤ がん
 (東 敬一朗)

≪巻頭言≫

-特集にあたって-

心不全とは,心臓の構造的・機能的な異常による症状・徴候を有し,ナトリウム利尿ペプチド値の上昇や肺または全身性のうっ血の客観的所見を認める臨床的症候群であると国際的に再定義された(文献1).
心不全は,心筋梗塞や拡張型心筋症などの心筋症以外に,高血圧,弁膜症,不整脈などが原因で,増悪と寛解をくり返し,最終的には生命に関わる慢性の進行性疾患である.わが国における患者数は,高齢化を背景に年1万人のペースで増え,2030年には130万人に到達すると予測されている.
そのようななか,左心室の収縮能低下を来している心不全(HFrEF)を中心に近年,心不全再入院を減らす効果などが複数の薬剤で示され,わが国でも2020年以降,その使用が可能となっている.
本特集では,その薬剤のなかから,①2型糖尿病治療薬として使用されてきたナトリウム-グルコース共輸送体2(SGLT2)阻害薬,②アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)のバルサルタンとネプリライシン阻害薬サクビトリルを1分子中に1 : 1で含有する単一の結晶複合体である,アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI),
③心臓のペースメーカー電流である過分極活性化陽イオン電流(If)を阻害し,心臓の収縮性や血圧などに影響を与えず,心拍数だけを減少させるHCNチャネル遮断薬(Ifチャネル阻害薬)を取り上げ,作用機序,実際の臨床経験について詳細に解説いただく.
さらに,多職種チームで関わることが推奨されている心不全診療に,薬剤師も参画していただくことを念頭に,心不全診療に関する知識を整理するための項目を取り上げた.執筆者は臨床現場の最前線で活躍されている先生方であり,薬剤師のみならず心不全診療に携わる多くの方に通読いただきたい内容となっている.
2021年,新規心不全薬として可溶性グアニル酸シクラーゼ(sGC)刺激薬が使用可能となり,それ以外にもさまざまな弁膜症のカテーテル治療の開発・適応拡大や左室補助人工心臓の治療対象の拡大など,まさに心不全診療は日進月歩である.
本特集が,忙しいみなさまが学ぶ一助となれば幸いである.


引用文献
1) Bozkurt B, et al: Universal definition and classification of heart failure: a report of the Heart Failure Society of America, Heart Failure Association of the European Society of Cardiology, Japanese Heart Failure Society and Writing Committee of the Universal Definition of Heart Failure: Endorsed by the Canadian Heart Failure Society, Heart Failure Association of India, Cardiac Society of Australia and New Zealand, and Chinese Heart Failure Association. Eur J Heart Fail, 23: 352-380, 2021.

兵庫県立姫路循環器病センター 循環器内科/救急科 医長
大石 醒悟
2,200円
特集:今日から始める“せん妄”対応

≪特集の目次≫

■特集にあたって はじめよう「せん妄」対応(小川 朝生)

■それって本当にせん妄ですか?“せん妄”の実像をつかむ!
・せん妄の定義・3因子を知る(谷向  仁)
・せん妄の鑑別・評価法を知る(大谷 恭平)
・せん妄がもたらすリスクを知る(井上 真一郎 ほか)

■こんなときどうする?これから始める“せん妄”対策!
・[実践編・概論]入院患者へのせん妄予防的介入(榎戸 正則)
・[実践編・概論]せん妄ハイリスク薬(三輪 高市)
・[実践編・各論①]せん妄ハイリスク薬の確認と減量・中止はどう進める?(五十嵐 隆志)
・[実践編・各論②]せん妄ハイリスク薬の使用をどうする? 代替策はある?(安井 玲子)
・[実践編・概論]入院患者へのせん妄治療的介入(岡本 禎晃)
・[実践編・概論]せん妄薬物治療の薬剤選択と評価(祖川 倫太郎)
・[実践編・各論③]病棟でせん妄を疑ったときの対応は?(村川 公央)
・[実践編・各論④]せん妄に関連して確認したい検査値・所見はなに?(吉廣 尚大)
・[実践編・各論⑤]せん妄による事故防止・安全確保をどうする?(武井 宣之)
・[実践編・各論⑥]せん妄の薬物治療がやめられない?(佐賀 雄大 ほか)
・[実践編・概論]外来・在宅医療・高齢者施設でのせん妄スクリーニングと対応(餅原 弘樹)
・[実践編・各論⑦]在宅でのせん妄への対応・自己管理(山根 暁子)
・[実践編・各論⑧]疼痛コントロールで気をつけたいことは?(伊勢 雄也)

■場面別!慌てずとりかかる実践的“せん妄”対応!
・一般病棟でみられるせん妄(別所 千枝)
・術後せん妄,ICU/救急領域でみられるせん妄(吉廣 尚大)
・精神科領域でみられるせん妄(中村 友喜)
・緩和医療領域でみられるせん妄(井上 将貴)

■Exercise

≪シリーズ≫

■えびさんぽ
 心房細動患者に対する直接経口抗凝固薬の有効性・安全性はワルファリンに劣りませんか?
 (青島 周一)

■薬剤師が三ツ星シェフ-業務に活きる!活かせる!経静脈栄養のホントのところ-
 病態別栄養編④ 慢性閉塞性肺疾患
 (東 敬一朗)

■現場で働く薬剤師のための臨床薬学研究のオモテ・ウラ〈第2回〉
 テーマ選びのオモテ・ウラ② ~日本の社会背景から課題を選ぶ~
 (大井 一弥)

■Gebaita?! 薬剤師の語ログ〈第2回〉
 ワクチンに関する相談~Vaccine Hesitancy~
 (篠田 康孝)

■医薬品適正使用・育薬FLASHニュース
 ・フルオロキノロン系抗菌薬で動脈瘤リスク
 ・医師と薬剤師の協働で糖尿病の治療効果改善
 (佐藤 宏樹 澤田 康文)

■腫瘍薬学ハイライト
 膵がんの二次治療薬「ナノリポソーム型イリノテカン」
 (川西 正祐)

■くすりのかたち外伝 わかる! 使える!まいにち薬会話〈第2回〉
 『○○に作用します』(前編)
 (浅井 考介 柴田 奈央)

■喫茶よりみち薬剤師の知っ得リテラシー〈Scene #02〉
 「0410対応」と薬局のこれから~この動きは一時的なものじゃない…!?~
 (井出 和希)

■薬剤師力の型 ―新たな思考と行動プランを手に入れろ!〈弍ノ型〉
 原疾患治療に伴う有害事象は慎重に判断せよ!
 (望月敬浩)

■臨床薬物動態のPITFALL-その常識,ウソ? ホント?-
 尿中未変化体排泄率が低くても腎排泄性の薬物となることはある
 (花井 雄貴)

■書評
 薬剤師が実践すべき副作用へのロジカルアプローチ
 その症状,きちんと評価できていますか?
 (岩本 卓也)

≪巻頭言≫

-はじめよう「せん妄」対応-

高齢者の診療機会が増え,どの医療機関においても「せん妄」という言葉は耳にするようになった.実際にせん妄は,高齢者を中心に,入院・外来で高頻度に発症する精神症状である.
従来は「入院中の不穏は一時的なものだから,拘束しておけばよい」「入院中のストレスだから家に帰せばよくなる」などといわれ,問題行動とひとくくりにされがちであり,関心ももたれなかった.しかし,せん妄は背景に意識障害があること,せん妄を発症することで生命予後の短縮や施設入所につながること,認知症を進行させることが明らかになるにつれ,せん妄の予防と早期対応が重要であるとの認識に至っている.
また,せん妄は医療安全の面からも対応が急がれる.せん妄は夜間の転倒やルート抜去に関連する.加えて,近年では術後せん妄における患者体験を巡って,刑事裁判となった事例も生じている.患者の苦痛の軽減を図るだけではなく,医療者や医療機関を守る意味でも,せん妄は避けて通ることのできない病態である.
一方,薬剤師の観点からは,せん妄はイメージがわきにくい,とっつきにくいものとも思われるかもしれない.一般に薬剤師が軽微な意識障害を意識する場面は少ないし,せん妄の治療といっても抗精神病薬の調剤・投与に関わる程度と思われがちである.しかし,せん妄は入院患者の2割から3割を占めており,ベッドを回れば必ず遭遇する病態である.加えて,わが国の臨床ではベンゾジアゼピン系薬の使用頻度が高いことを反映して,薬剤の有害事象としてせん妄を発症している事例が多い.特に、不眠時の不適切な指示やクリニカル・パスに沿ってルーティンに投与された結果,せん妄が「意識せずに」作られている危険性も指摘されている.病院スタッフへの教育的な関わりや,適切な処方設計など,薬剤師がより積極的に関わることが強く求められている.
今回の特集では,今臨床で求められるせん妄への対応方法について,解説いただいた.近年明らかになりつつあるせん妄の病態と,それに基づく予防戦略を専門家にわかりやすく解いていただくとともに,第一線の臨床家に,対応のエッセンスをまとめていただいた.
本特集が先生方の臨床の即戦力になれば幸いである.

国立がん研究センター 先端医療開発センター 精神腫瘍学開発分野長
小川 朝生
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