目次
特集テーマ:広く? 狭く? いや、ちょうどよく!超入門!Empiric Therapy ーこれは感染症と感染症のくすりのお話ー
<特集の目次>
■特集にあたって(望月 敬浩)
▶さくせん ─感染症への攻撃 最初の一手「Empiric Therapy」─(奥平 正美)
▶たたかう ─抗菌薬によるEmpiric Therapyのながれ─(中根 茂喜)
▶しらべる ─抗菌薬によるEmpiric Therapyの開始を慎重に判断するケース─(梅村 拓巳)
▶どうぐ ─Empiric Therapyで使う抗菌薬の使い分けポイント─(岩田 聡 ほか)
▶そうび ─原因菌判明前のEmpiric Therapyを整理する─
・頻度No.1「肺炎」 ─耐性菌のカバーが課題─(坂野 昌志)
・外来・病棟で多発!「尿路感染症」 ─軽症例と重症例の区別が重要─(坂野 昌志)
・感染症の最終フェーズ!「敗血症」 ─早期対応が生死を分ける─(鴨志田 聡)
・見逃し厳禁!「細菌性髄膜炎」 ─抗菌薬選択を誤ると致命的─(上田 真也)
・よくみるが侮れない!「皮膚軟部組織感染症」 ─重症例は迅速な治療がカギ─(望月 敬浩)
<シリーズ>
■えびさんぽ
気道感染症に抗菌薬は効果がありますか?
(青島 周一)
■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
〈第34回〉トリクロリール ®シロップ 10%
(小嶋 純 米子 真記)
■医薬品適正使用・育薬 フラッシュニュース
・逆流性食道炎のリスクとなる医薬品は?
・NSAIDs+PPI併用で下部消化管出血のリスクが上昇?
(佐藤 宏樹 澤田 康文)
■薬剤師40年目の独り言
服薬指導と服薬説明
(鎧のない薬剤師)
■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
〈第46回〉さて,薬剤師としてどうアドバイスする? ─担癌患者と健康食品・サプリメント─
(山田 友奈美)
■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
〈肆拾陸ノ型〉それって副作用では? 患者の(何気ない)訴えを軽視せず,早期対応に努めよ!
(金子 睦志)
■ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣ビフォーアフター
〈第22回〉過敏症の漢方 治療患者によって変わる薬効の“軽重”
(津田 篤太郎)
■薬剤師の1,2,3,4!(ヒフみよ) 大井教授の皮膚×くすり講座 120
10時限目 貼付剤の特徴と仕組み
(大井 一弥)
■がん研有明病院薬剤部のABCセミナーの楽屋話
・経口抗がん薬のアドヒアランス評価
・悪性リンパ腫の薬物療法
(川上 和宜 河野 慎吾)
■タイパUP!誰も教えてくれなかった臨床業務の段取りお手本ファイル
〈File 07〉退院時服薬指導
(吉田 敏人)
<巻頭言>
empiric therapyとは,原因微生物まで含めた感染症診断が確定する前に行う抗菌薬治療のことである.感染臓器・原因微生物が明らかになれば,empiric therapyは終了し,definitive therapyに移行する.empiric therapyは3~4日程度の勝負である.
感染症の場合,日の単位,時間の単位で,患者の状態が変化することも多い.その一方で,原因微生物を明らかにするための培養検査には数日かかる.微生物が培養検査を待ってくれることはなく,必然的に,診断前のempiric therapyが必要となる.
診断がついていない状況で行うempiric therapyには,多くの不確定要素が付きまとう.
「感染症じゃないかもしれない」
「肺炎かもしれない」「感染性心内膜炎かもしれない」
「原因微生物は大腸菌かもしれない」「耐性菌かもしれない」
診断がついていない以上,最適な抗菌薬を選ぶのは難しく,empiric therapyを決めるには,これらの多くの悩みが付きまとう.しかし,empiric therapyの成功は患者の予後を改善するため,失敗は避けたい.
無能な冒険者であれば,カルバペネム系抗菌薬+抗MRSA薬+抗真菌薬を併用するかもしれない.もちろん,このようなフルカバーが必要な状況もあるが,有能な冒険者は,感染症診療のロジックに準じて,感染症であれば,どの臓器の感染症か,この臓器の感染症であれば,どの微生物が問題を起こしやすいか,などを考慮して,「ちょうどよい」抗菌薬を選択する.「ちょうどよい」抗菌薬を選択するためには,必要な“どうぐ”や“そうび”がある.
また,「ちょうどよい」かどうかの判断には,患者の経過や重症度も考慮される.最終的に,肺炎球菌による肺炎であったとして,軽症であれば,経口抗菌薬を用いた外来治療が選択されるし,重症であれば,広域抗菌薬を使用したICU管理が行われることもある.
一度開始したempiric therapyで選択した抗菌薬は,definitive therapyになるまで変えられない,なんて規則は存在しない.採取した培養の途中経過が判明するにつれて見直してもいいし,アレルギーの問題や患者の急変などで見直しを迫られることもあるかもしれない.
empiric therapyで「冒険」してはいけないが,empiric therapyに必要な“どうぐ”や“そうび”を手にして,経過をみていく過程には冒険がある.さあ,empiric therapyをまなぶ旅に出かけよう.この企画が,読者にとって「ちょうどよい」抗菌薬選択のカギとなることを願って.
静岡県立静岡がんセンター 薬剤部 専門主査
望月 敬浩
<特集の目次>
■特集にあたって(望月 敬浩)
▶さくせん ─感染症への攻撃 最初の一手「Empiric Therapy」─(奥平 正美)
▶たたかう ─抗菌薬によるEmpiric Therapyのながれ─(中根 茂喜)
▶しらべる ─抗菌薬によるEmpiric Therapyの開始を慎重に判断するケース─(梅村 拓巳)
▶どうぐ ─Empiric Therapyで使う抗菌薬の使い分けポイント─(岩田 聡 ほか)
▶そうび ─原因菌判明前のEmpiric Therapyを整理する─
・頻度No.1「肺炎」 ─耐性菌のカバーが課題─(坂野 昌志)
・外来・病棟で多発!「尿路感染症」 ─軽症例と重症例の区別が重要─(坂野 昌志)
・感染症の最終フェーズ!「敗血症」 ─早期対応が生死を分ける─(鴨志田 聡)
・見逃し厳禁!「細菌性髄膜炎」 ─抗菌薬選択を誤ると致命的─(上田 真也)
・よくみるが侮れない!「皮膚軟部組織感染症」 ─重症例は迅速な治療がカギ─(望月 敬浩)
<シリーズ>
■えびさんぽ
気道感染症に抗菌薬は効果がありますか?
(青島 周一)
■飲み合わせ研究所 子どもの服薬Tips
〈第34回〉トリクロリール ®シロップ 10%
(小嶋 純 米子 真記)
■医薬品適正使用・育薬 フラッシュニュース
・逆流性食道炎のリスクとなる医薬品は?
・NSAIDs+PPI併用で下部消化管出血のリスクが上昇?
(佐藤 宏樹 澤田 康文)
■薬剤師40年目の独り言
服薬指導と服薬説明
(鎧のない薬剤師)
■Gebaita?! 薬剤師の語ログ
〈第46回〉さて,薬剤師としてどうアドバイスする? ─担癌患者と健康食品・サプリメント─
(山田 友奈美)
■薬剤師力の型 新たな思考と行動プランを手に入れろ!
〈肆拾陸ノ型〉それって副作用では? 患者の(何気ない)訴えを軽視せず,早期対応に努めよ!
(金子 睦志)
■ぐっとよくなる! 漢方処方 快訣ビフォーアフター
〈第22回〉過敏症の漢方 治療患者によって変わる薬効の“軽重”
(津田 篤太郎)
■薬剤師の1,2,3,4!(ヒフみよ) 大井教授の皮膚×くすり講座 120
10時限目 貼付剤の特徴と仕組み
(大井 一弥)
■がん研有明病院薬剤部のABCセミナーの楽屋話
・経口抗がん薬のアドヒアランス評価
・悪性リンパ腫の薬物療法
(川上 和宜 河野 慎吾)
■タイパUP!誰も教えてくれなかった臨床業務の段取りお手本ファイル
〈File 07〉退院時服薬指導
(吉田 敏人)
<巻頭言>
empiric therapyとは,原因微生物まで含めた感染症診断が確定する前に行う抗菌薬治療のことである.感染臓器・原因微生物が明らかになれば,empiric therapyは終了し,definitive therapyに移行する.empiric therapyは3~4日程度の勝負である.
感染症の場合,日の単位,時間の単位で,患者の状態が変化することも多い.その一方で,原因微生物を明らかにするための培養検査には数日かかる.微生物が培養検査を待ってくれることはなく,必然的に,診断前のempiric therapyが必要となる.
診断がついていない状況で行うempiric therapyには,多くの不確定要素が付きまとう.
「感染症じゃないかもしれない」
「肺炎かもしれない」「感染性心内膜炎かもしれない」
「原因微生物は大腸菌かもしれない」「耐性菌かもしれない」
診断がついていない以上,最適な抗菌薬を選ぶのは難しく,empiric therapyを決めるには,これらの多くの悩みが付きまとう.しかし,empiric therapyの成功は患者の予後を改善するため,失敗は避けたい.
無能な冒険者であれば,カルバペネム系抗菌薬+抗MRSA薬+抗真菌薬を併用するかもしれない.もちろん,このようなフルカバーが必要な状況もあるが,有能な冒険者は,感染症診療のロジックに準じて,感染症であれば,どの臓器の感染症か,この臓器の感染症であれば,どの微生物が問題を起こしやすいか,などを考慮して,「ちょうどよい」抗菌薬を選択する.「ちょうどよい」抗菌薬を選択するためには,必要な“どうぐ”や“そうび”がある.
また,「ちょうどよい」かどうかの判断には,患者の経過や重症度も考慮される.最終的に,肺炎球菌による肺炎であったとして,軽症であれば,経口抗菌薬を用いた外来治療が選択されるし,重症であれば,広域抗菌薬を使用したICU管理が行われることもある.
一度開始したempiric therapyで選択した抗菌薬は,definitive therapyになるまで変えられない,なんて規則は存在しない.採取した培養の途中経過が判明するにつれて見直してもいいし,アレルギーの問題や患者の急変などで見直しを迫られることもあるかもしれない.
empiric therapyで「冒険」してはいけないが,empiric therapyに必要な“どうぐ”や“そうび”を手にして,経過をみていく過程には冒険がある.さあ,empiric therapyをまなぶ旅に出かけよう.この企画が,読者にとって「ちょうどよい」抗菌薬選択のカギとなることを願って.
静岡県立静岡がんセンター 薬剤部 専門主査
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