目次
特集:副作用への漢方薬活用術 -エキスパートに学ぶ活用事例総まとめ-
≪特集の目次≫
■特集にあたって(花輪 壽彦)
■がん薬物療法の副作用に対する漢方薬の有用性とエビデンス(小田口 浩ほか)
■がん薬物療法の副作用に対する漢方薬の考え方と使い方
・口内炎(宮野 加奈子ほか)
・食欲不振、悪心・嘔吐(上園 保仁ほか)
・下痢(星野 卓之)
・全身倦怠感(太田 惠一朗)
・血球減少(元雄 良治)
・ホットフラッシュ(星野 惠津夫)
・末梢神経障害(河野 透)
・筋肉痛、関節痛(佐藤 泰昌)
・手足症候群(蓮沼 直子)
・胸水貯留(及川 哲郎)
■副作用の少ない、麻黄および麻黄湯のがん薬物療法の最前線(日向 須美子)
■各種薬剤の副作用に対する漢方薬活用の“経験知”
・オピオイドの食欲不振、めまい・ふらつき、便秘(濱口 眞輔)
・抗認知症薬の尿失禁(長濱 道治)
・抗うつ薬の悪心(岡 孝和)
・抗コリン薬の口渇(矢久保 修嗣)
・抗精神病薬の遅発性ジスキネジア(山下 智子ほか)
・骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(大山口 藍子ほか)
・ピロカルピンの多汗(池浦 一裕ほか)
・鉄剤の消化器症状(小川 真里子ほか)
≪シリーズ≫
■「治療」「薬局」合同連載 ポリファーマシー “処方整理力”を鍛える!
吐き気を止めたいだけなのに……
(矢吹 拓)
■医療マンダラ 〜思考と感性のセンスを磨く〜
世の中には無駄なものはない!〜無駄なものがあるように見えるのは,それを有効に使うことができなかったからである!〜
(中野 重行)
■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
適切な睡眠障害の治療を考えよ!
(橋本 保彦)
■緩和ケアでの問題解決力を磨く! 薬剤師のための5ステップ実践ガイド
疼痛コントロール不良患者へのタペンタドール導入
(鈴木 藍/伊勢 雄也/片山 志郎/鈴木 規仁/岡村 由美子)
■Dr. ヤンデルの言葉のネタ帳 〜“病院ことば”の,じっくり,例えば,結局は〜
OK Google,病院ことば
〜Note 11. 「幕間」ウェブサイトを見直そう〜
(市原 真)
■薬立つブレイクスルー! メディカル・レコード書き方講座
外来の指導記録の記載 〜外来患者におけるがん患者指導の指導記録〜
(槙原 克也/寺沢 匡史)
≪巻頭言≫
薬物治療では常に多種多様な副作用が生じる.がんの化学療法をはじめとして,継続的な薬物治療が必要なケースでは,治療の脱落防止ならびにQOL改善を目的とした副作用のマネジメントが特に重要であることは言うまでもない.抗がん薬としてはアルキル化薬,抗生物質,代謝拮抗薬,白金製剤,植物アルカロイド,分子標的薬,さらに近年は免疫チェックポイント阻害薬が登場し,理論的にはがん細胞のみに効果を発揮する薬剤が開発されているが,効果の出るタイプとまったく反応しないタイプがあり,医療経済学的にも課題があるのが実情である.
漢方薬は病名によって決まるのではなく,効果の出るタイプを漢方の考え方で選び,効くタイプのみに投与する,という方法を取っている.これを「証」の論理といい,効果を予測する作業仮説である.近年,副作用への漢方薬の活用について,ランダム化比較試験から症例報告に至るまでさまざまな報告がなされており,副作用の予防・軽減などに対する漢方薬の有用性が明らかになってきた.
現代医学的方法によるランダム化比較試験を,「証」の論理を考慮して,効く群を抽出して効果を比較するランダム化比較試験にすることは可能であり,われわれも試みている.しかし,「証」を考慮したエビデンスレベルの高い論文が少ないのも現状である.その理由は病態が変化するので,「証」が変化すること,効果を予測する作業仮説を考慮したデザインでの比較試験が実施しにくいなどがその要因となっている.
今回の特集では抗がん薬をはじめとした種々副作用への漢方薬活用の考え方と事例を通した実践的な活用方法のポイントについて,わが国を代表する第一線でご活躍の先生方にご解説いただいた.日常診療では抗がん薬の副作用は看過できず,患者のQOLを大いに低下させ,また副作用のために治療の継続が困難な例もある.特に高齢者に対する抗がん薬の使用は免疫力の低下や易感染性を増し,陳旧性の病変の増悪を惹起することもある.今回は漢方薬の効果に対するエビデンスについて,概要を紹介するとともに,日常よくみられる口内炎,食欲不振,悪心・嘔吐,下痢,全身倦怠感,血球減少,ホットフラッシュ,末梢神経障害,筋肉痛,関節痛,手足症候群,胸水貯留に対してどのように漢方薬が使われているか,漢方薬活用術の実際を各分野のエキスパートに症例も含めて紹介していただいた.
また,ビンカアルカロイド(ニチニチソウの抽出物由来),パクリタキセル・ドセタキセル(西洋イチイ由来),イリノテカン(喜樹から抽出)など植物アルカロイド由来の抗がん薬が種々のがんに使われているように,植物性アルカロイドには抗がん作用を有するものがある.われわれの研究所ではエフェドリンアルカロイドで有名な麻黄のエフェドリン以外の画分に安全性が高く,抗腫瘍活性,抗転移作用,疼痛緩和作用があることを見いだしたので紹介した.目下,臨床応用できるように臨床試験を始めているところである.がんの副作用の軽減や抗がん作用のある漢方薬が日常臨床に定着するように,効果的な活用が強く望まれる.
今回の特集が日常臨床や患者指導の一助になれば幸いである.
花輪 壽彦
北里大学医学部 医学教育研究開発センター
東洋医学教育研究部門 教授
≪特集の目次≫
■特集にあたって(花輪 壽彦)
■がん薬物療法の副作用に対する漢方薬の有用性とエビデンス(小田口 浩ほか)
■がん薬物療法の副作用に対する漢方薬の考え方と使い方
・口内炎(宮野 加奈子ほか)
・食欲不振、悪心・嘔吐(上園 保仁ほか)
・下痢(星野 卓之)
・全身倦怠感(太田 惠一朗)
・血球減少(元雄 良治)
・ホットフラッシュ(星野 惠津夫)
・末梢神経障害(河野 透)
・筋肉痛、関節痛(佐藤 泰昌)
・手足症候群(蓮沼 直子)
・胸水貯留(及川 哲郎)
■副作用の少ない、麻黄および麻黄湯のがん薬物療法の最前線(日向 須美子)
■各種薬剤の副作用に対する漢方薬活用の“経験知”
・オピオイドの食欲不振、めまい・ふらつき、便秘(濱口 眞輔)
・抗認知症薬の尿失禁(長濱 道治)
・抗うつ薬の悪心(岡 孝和)
・抗コリン薬の口渇(矢久保 修嗣)
・抗精神病薬の遅発性ジスキネジア(山下 智子ほか)
・骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(大山口 藍子ほか)
・ピロカルピンの多汗(池浦 一裕ほか)
・鉄剤の消化器症状(小川 真里子ほか)
≪シリーズ≫
■「治療」「薬局」合同連載 ポリファーマシー “処方整理力”を鍛える!
吐き気を止めたいだけなのに……
(矢吹 拓)
■医療マンダラ 〜思考と感性のセンスを磨く〜
世の中には無駄なものはない!〜無駄なものがあるように見えるのは,それを有効に使うことができなかったからである!〜
(中野 重行)
■プロフェッショナルEYE 専門薬剤師からみた勘所
適切な睡眠障害の治療を考えよ!
(橋本 保彦)
■緩和ケアでの問題解決力を磨く! 薬剤師のための5ステップ実践ガイド
疼痛コントロール不良患者へのタペンタドール導入
(鈴木 藍/伊勢 雄也/片山 志郎/鈴木 規仁/岡村 由美子)
■Dr. ヤンデルの言葉のネタ帳 〜“病院ことば”の,じっくり,例えば,結局は〜
OK Google,病院ことば
〜Note 11. 「幕間」ウェブサイトを見直そう〜
(市原 真)
■薬立つブレイクスルー! メディカル・レコード書き方講座
外来の指導記録の記載 〜外来患者におけるがん患者指導の指導記録〜
(槙原 克也/寺沢 匡史)
≪巻頭言≫
薬物治療では常に多種多様な副作用が生じる.がんの化学療法をはじめとして,継続的な薬物治療が必要なケースでは,治療の脱落防止ならびにQOL改善を目的とした副作用のマネジメントが特に重要であることは言うまでもない.抗がん薬としてはアルキル化薬,抗生物質,代謝拮抗薬,白金製剤,植物アルカロイド,分子標的薬,さらに近年は免疫チェックポイント阻害薬が登場し,理論的にはがん細胞のみに効果を発揮する薬剤が開発されているが,効果の出るタイプとまったく反応しないタイプがあり,医療経済学的にも課題があるのが実情である.
漢方薬は病名によって決まるのではなく,効果の出るタイプを漢方の考え方で選び,効くタイプのみに投与する,という方法を取っている.これを「証」の論理といい,効果を予測する作業仮説である.近年,副作用への漢方薬の活用について,ランダム化比較試験から症例報告に至るまでさまざまな報告がなされており,副作用の予防・軽減などに対する漢方薬の有用性が明らかになってきた.
現代医学的方法によるランダム化比較試験を,「証」の論理を考慮して,効く群を抽出して効果を比較するランダム化比較試験にすることは可能であり,われわれも試みている.しかし,「証」を考慮したエビデンスレベルの高い論文が少ないのも現状である.その理由は病態が変化するので,「証」が変化すること,効果を予測する作業仮説を考慮したデザインでの比較試験が実施しにくいなどがその要因となっている.
今回の特集では抗がん薬をはじめとした種々副作用への漢方薬活用の考え方と事例を通した実践的な活用方法のポイントについて,わが国を代表する第一線でご活躍の先生方にご解説いただいた.日常診療では抗がん薬の副作用は看過できず,患者のQOLを大いに低下させ,また副作用のために治療の継続が困難な例もある.特に高齢者に対する抗がん薬の使用は免疫力の低下や易感染性を増し,陳旧性の病変の増悪を惹起することもある.今回は漢方薬の効果に対するエビデンスについて,概要を紹介するとともに,日常よくみられる口内炎,食欲不振,悪心・嘔吐,下痢,全身倦怠感,血球減少,ホットフラッシュ,末梢神経障害,筋肉痛,関節痛,手足症候群,胸水貯留に対してどのように漢方薬が使われているか,漢方薬活用術の実際を各分野のエキスパートに症例も含めて紹介していただいた.
また,ビンカアルカロイド(ニチニチソウの抽出物由来),パクリタキセル・ドセタキセル(西洋イチイ由来),イリノテカン(喜樹から抽出)など植物アルカロイド由来の抗がん薬が種々のがんに使われているように,植物性アルカロイドには抗がん作用を有するものがある.われわれの研究所ではエフェドリンアルカロイドで有名な麻黄のエフェドリン以外の画分に安全性が高く,抗腫瘍活性,抗転移作用,疼痛緩和作用があることを見いだしたので紹介した.目下,臨床応用できるように臨床試験を始めているところである.がんの副作用の軽減や抗がん作用のある漢方薬が日常臨床に定着するように,効果的な活用が強く望まれる.
今回の特集が日常臨床や患者指導の一助になれば幸いである.
花輪 壽彦
北里大学医学部 医学教育研究開発センター
東洋医学教育研究部門 教授
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