目次
企画編集/横手幸太郎
〈特集にあたって〉
糖尿病治療の目標は合併症の発症予防と進展阻止を通じて患者の生命予後とQOLを向上することにある.現時点において,その最も有効な手段は,血糖や血圧,脂質,体重などを理想的な値にまんべんなく治療する「包括的リスク管理」と考えられている.しかし,その手法が,我が国で急増する高齢糖尿病患者に当てはまるのかどうかは,十分に明らかにされていない.
2型糖尿病は,加齢とともにその発症頻度が高まる.このため,高齢社会を迎え,国民の1/4以上が高齢者となった我が国では,糖尿病患者の2/3が60歳以上,半数は70歳以上であるとされる.糖尿病は,古典的な大小血管障害以外にも,認知症やある種のがん,骨粗鬆症など,加齢に付随する種々の合併症をもたらすことが明らかになり,その合併は高齢患者の精神・心理的ならびに身体的機能を低下させる.また,これら機能の低下は,高齢糖尿病患者における血糖や服薬の管理を困難にする.さらに,過度な治療の結果としてもたらされる低血糖は,高齢患者における合併症の増悪やさまざまな心身機能の低下を惹起することがわかってきた.このように,高齢糖尿病患者の治療は,若年患者とは異なる注意点を必要とする.
欧米では過去数年来,高齢糖尿病患者のための血糖や血圧管理目標値とそれに基づく管理法が提案されてきた.しかし,人種差や社会状況の違いなどから,そのまま日本人に当てはめられるものではない.日本における高齢者糖尿病の診療の質向上と患者の健康寿命延伸を目指し,高齢者糖尿病の診療ガイドラインを策定すべく日本糖尿病学会と日本老年医学会による合同委員会が設置された.本特集では,同委員会における議論と成果を踏まえ,高齢者糖尿病診療に資する話題を各領域ご専門の先生方からわかりやすくご解説いただいた.日常診療にお役立ていただくとともに,今後の日本の高齢者医療について考える一助となれば幸いである..
横手幸太郎
(千葉大学大学院 医学研究院 細胞治療内科学 教授)
〈目次〉
1.高齢者糖尿病の特徴
2.低血糖の問題点と対策
3.認知機能の評価と対応
4.身体機能と評価
5.高齢者糖尿病の血糖コントロール目標 ~そのエッセンスと活用方法~
6.食事・運動療法
7.薬物治療(経口薬,GLP-1受容体作動薬,インスリン,服薬管理)
8.血糖以外のリスク管理:高血圧,脂質異常症
9.介護施設や終末期ケアにおける糖尿病診療
10.海外における高齢者糖尿病ガイドラインの動向
連載:【糖尿病の運動療法】糖尿病運動療法の現状と将来展望
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商品情報・内容
- 出版社:医学出版
- 発行間隔:隔月刊
- 発売日:毎偶月20日
- サイズ:A4変型判
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糖尿病は研究や臨床面での進歩も著しい。 糖尿病の重要な遺伝子が同定され、 糖尿病や合併症の発症の分子機構の解明も大きく進み、 iPS細胞を中心とした糖尿病や合併症の再生医療への展望も切り開かれつつある。 糖尿病治療薬についても期待される新薬の臨床使用・開発が続々と進んでいる。 そこで、糖尿病の質の高い診療を行なうためには、 日進月歩で集積される膨大な数の新しい知見やエビデンスをその重要度に従って、 評価・選別し、その内容の深さをそこなうことなく、 わかりやすく解説する場が必要となってくる。 『月刊糖尿病』は、まさにこのような切実なニーズに応えることを意図したものである。
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