目次
企画編集/保坂利男
<特集にあたって>
日常診療において最近までは食事療法を「食事制限」と感じ我慢できないと訴える糖尿病患者は多く,栄養に関わる私などは,「制限」でなく,今までが多すぎて「適正量」に戻すだけであると説明し,なんとかご理解いただいていた.近年の詳細な分析から,健常人と糖尿病患者でのエネルギー必要量は同程度であり,現体重あたり35 kcal前後のエネルギー必要量であることが報告され,今までの標準体重あたり30 kcal前後のエネルギー必要量の指導は,まさしく「食事制限」であったと悔悟している.「日本人の食事摂取基準(2015年版)」から,それぞれの年齢における推定エネルギー必要量は参考表とされ,エネルギーの摂取量および消費量のバランス(エネルギー収支バランス)の維持を示す指標としてBMIが用いられている.成人における観察疫学研究において報告された総死亡率が最も低かったBMIの範囲と日本人のBMIの実態などを総合的に検証し,目標とするBMIの範囲が提示されている.糖尿病患者に対して摂取エネルギーを決定後,それを目標値として指導することに対して,私自身も疑わなかった.日々の生活は,まったく同じでないのであれば,普通に考えると毎日目標値に近いエネルギーを摂取させることができないことは感じていても,一辺倒の指導を繰り返しており,BMIでエネルギー収支バランスを判断していく必要性を感じている.
それらを踏まえて,2019年の糖尿病診療ガイドラインの改訂で新しく舵をきったのが食事療法である.総エネルギー摂取量の目標値が削除され目安となり,目安となる総エネルギー摂取量の算出時の体重は,標準体重から目標体重となった.食事の摂り方に関しては,「個々人の食事パターン(eating pattern)を考慮しながら,包括的に適正な食材の選択を促す.規則的に3食を摂ることが糖尿病の予防に有効である.」と個別化を図っての食事指導を行う必要がある.食事の摂り方の解説のなかには「野菜など食物繊維に富んだ食材を主食より先に食べ,よく噛んで咀嚼することによって食後の高血糖の是正が期待できる.就寝前に摂る夜食は肥満の助長,血糖コントロールの不良の原因となり,併発症をきたすリスクが高くなる.朝食を抜く食習慣が2型糖尿病のリスクになることが示されておりシフトワーカーでは2型糖尿病の発症リスクが増す.肥満症例には,総エネルギーの適正化のみならず,欠食あるいは就寝前の間食の摂取など,食事摂取行動への介入が望まれる.」と述べられている.
糖尿病患者の食事療法は,血糖コントロールのためではなく,血糖悪化防止と目標体重を目安に肥満,やせを是正して,より生理的な血糖の変動の食生活に近づけるものとなるのであろう.それらから,私たち糖尿病診療,生活習慣病予防に関わる医療従事者は,食事療法だけでなく,食事の質,食生活としての食習慣や食欲についても知っておかなければならない.
本特集においては,「食(食事,食品,食欲,食生活習慣)と糖尿病・糖代謝,肥満との関係」という特集タイトルで,第1章から第4章では,咀嚼,欠食,睡眠不足などの食生活習慣および時間栄養学と糖尿病・糖代謝,肥満の関係について,第5章から第7章では,栄養素,栄養成分について,最新の臨床,疫学,基礎的研究それぞれの面からご執筆いただいた.第8章から第12章では,実践と絡めて栄養指導や薬剤と食事との関係についてご執筆いただいた.
保坂利男(静岡県立大学 食品栄養科学部 栄養生命科学科 臨床栄養学教室 教授)
<目次>
1. 咀嚼と血糖コントロール~食欲との関係~/福田正博
2. 食習慣と血糖コントロール/今井佐恵子,梶山靜夫
3. 睡眠と食欲,血糖コントロールの関係/塩見亮人,三宅映己,古川慎哉
4. 時間栄養学からみた食と糖代謝/柴田重信
5. 絶食・糖尿病状態におけるエネルギー産生栄養素代謝のダイナミズム/谷田亮太,篁 俊成
6. 発酵食品と血糖コントロール,糖代謝,肥満との関係/橋本善隆,福井道明
7. 食品成分と血糖コントロール,糖代謝,肥満との関係/齋藤従道
8. 目標体重,個別指導となった栄養指導の現状/原 純也
9. 糖尿病における加齢性筋障害と生活習慣/松久宗英
10. 情報通信技術を活用した食事指導~オンライン指導とアプリケーションの利用~/榛葉有希
11. SGLT2阻害薬使用中の食事・栄養サポート/土屋恭一郎
12. インクレチン関連薬と食事の関係/山口裕子,桑田仁司
◼︎ 目次配信サービス
月刊糖尿病(DIABETES)最新号の情報がメルマガで届く♪ メールアドレスを入力して登録(解除)ボタンを押してください。
商品情報・内容
- 出版社:医学出版
- 発行間隔:隔月刊
- 発売日:毎偶月20日
- サイズ:A4変型判
■ これまでなかった“糖尿病に特化した月刊専門誌”
糖尿病は研究や臨床面での進歩も著しい。 糖尿病の重要な遺伝子が同定され、 糖尿病や合併症の発症の分子機構の解明も大きく進み、 iPS細胞を中心とした糖尿病や合併症の再生医療への展望も切り開かれつつある。 糖尿病治療薬についても期待される新薬の臨床使用・開発が続々と進んでいる。 そこで、糖尿病の質の高い診療を行なうためには、 日進月歩で集積される膨大な数の新しい知見やエビデンスをその重要度に従って、 評価・選別し、その内容の深さをそこなうことなく、 わかりやすく解説する場が必要となってくる。 『月刊糖尿病』は、まさにこのような切実なニーズに応えることを意図したものである。
この雑誌の読者はこちらの雑誌も買っています!
月刊糖尿病(DIABETES)の所属カテゴリ一覧
Fujisan.co.jpとは?
株式会社富士山マガジンサービスが運営する、
日本最大級の雑誌オンライン書店です。
一般的な書店と異なり、
定期購読サービスに特化しています。
雑誌、新聞、シリーズ書籍、漫画や
本屋にも無い古い本も見つかる!
法人サービスはこちら >
-
タイトル1万以上
豊富なラインナップで
書店に並ばない本とも出会える -
試し読み
バックナンバー1冊まるごと試し読み
したり、最新号も試し読みできる -
タダ読み
5,000冊以上の雑誌が
無料で読み放題 -
500円OFF
普段読んでいる雑誌のレビュー投稿で
500円割ギフト券をプレゼント -
事前予約
気になる本は
発売日前から事前予約可能 -
割引や特典付き
定期購読なら
お得に本が読めて
送料無料の雑誌も!
デジタル雑誌をご利用なら
最新号〜バックナンバーまで7000冊以上の雑誌
(電子書籍)が無料で読み放題!
タダ読みサービスを楽しもう!