―まだ創刊されていない雑誌の編集長のインタビューは始めてですが、期間限定の特殊な発行形態なんですよね。

坂本龍馬幕末歴史検定のポスターもあった
ええ、2010年に4回発行の予定で、それ以降の継続はありません。期間限定商品ですね。2時間で龍馬や幕末のウンチクが語れる歴史入門マガジンなんです。
―2010年のNHKの大河ドラマは坂本龍馬が主役の「龍馬伝」です。主役が福山雅治さんということで、龍馬ブームがまた来そうですね。
まあ、それを狙っての期間限定ということなのですが、単なる便乗商品ではもちろんありません。龍馬という人は常に国民的人気の高い人ですが、幕末にもたとえられるいまの相を反映して、ブームに再び火がつくだろうとは思っています。でも、普通の龍馬物語をなぞってもつまらないので、われわれ独自のアプローチをいろいろ考えています。
基本的には歴史の入門編にするつもりで、読者ダーゲットも20~30代の女性においています。
一緒にやる編集者が元「Cawaii」の編集長なので、女性誌のつくりはよくわかっているんです。テレビの龍馬を見て初めて興味をもってくれた人にもわかりやすく、それでいていままでになかったような深みとアプローチを考えています。
―編集長の本名が「坂本龍馬」だというのは、まさにこれをつくるために編集者になったようなものですね。
いや、私はこれを企画したわけではないし、このての企画モノはあまり好きではなかったので、最初は、断ったんです。それまで2年間上海支局で働いておりまして、帰国したらこんな企画があがってるんだがお前やらないかと(笑)。
―そうなんですか。
弊社の上海支局は三菱商事との合弁会社で、「mina」「S Cawaii」「Baby-mo」の中国版を販売しています。そのほかにイベントや広告も扱いますが、私は販売や広告が長かったのでやりがいがありました。もっと上海で仕事をしていたかったくらいですが、任期を終えて帰国したら、「RYOMA」をつくれ、ですから(笑)。
―でも坂本龍馬が坂本龍馬の雑誌をつくるというのはニュースになります。

編集長のデスクは販売部のなかにある

販売部の壁にはさまざまなポスターなどが貼られている
ええ。まあ、担がれたわけで、じゃあ頑張ってみようと。でも、特別な編集部ができているのではなく、販売部にある私のデスクひとつ(笑)。
スタッフ構成は、私を含め販売部4人と編集部から2人。私以外は全員兼務です。もちろん外部スタッフは使いますが。
―龍馬の魅力って何でしょう。
そうですね、若くしてやりたいこと全部やっちゃって、行きたいところへも全部いっちゃって、みたいな人ですよね。
だから私は龍馬の人生は短いけど楽しかった んだろうなと思っているんです。好き勝手やってかきまわして。でもそんな生き方が魅力的に映るんでしょうね。誰にでもできることではありませんから。
―編集長はそんな有名人と同じ名前です。
そうですね。カメラマンである父がつけましたが、彼は龍馬が大好きだったんです。
こんな名前でタイヘンでしょう、とよく言われましたが、日本には同姓同名の方が6,7人いらっしゃるようですよ。それに、まあ、一回で名前を覚えてもらえますから便利ですよ(笑)。
―創刊が2010年1月29日になっていますね。

雑誌で取り上げたものを今後は本にしていく予定だ
はい。創刊号の特集は「龍馬x言霊」で、有名な「日本を今一度洗濯いたし申し候」などといった彼の名言に迫ろうと思っています。ドラマ「龍馬伝」の出演者や著名人のインタビューなども満載して龍馬を満喫できる構成にします。
100ページの雑誌で、別冊付録として16ページの現地ガイドがつきます。1回目は高知で、広告タイアップで高知県の買い取りが決定しています。ちょうどいまスタッフが高知の取材中なんですよ。
続けて、2号は3月29日発行で、龍馬の人間力に迫ります。付録のガイドは長崎です。
以下、3号は6月発行で龍馬の交渉力、4号は12月発行で龍馬の革命力を考えています。
表紙はマンガでいこうと思っています。そのほうが個性的だし、ターゲット世代の女性が手に取りやすいのではと考えています。
―前評判は上々ですか。
お蔭様で広告もしっかりついてますし、コンビニなどからは納品数を増やすように要請が来ています。でもわれわれは5万部限定でいこうと思っているんです。市場に商品が足りないくらいの感じがちょうどいいなと思っているんです。
―坂本さんが主婦の友社の編集者になろうと思ったのはなぜですか。

twitterでもつぶやき始めた
大学が明治で近かったから(笑)。私はマスコミ希望ではありましたが、本当はテレビの製作をやりたかったんです。でも就職活動を始めたのが遅く、テレビは採用が終わっていて、それでこの会社に入れてもらったんです。
入社後も私はまず販売部で書店営業をやって、それから広告部で主に大阪担当をやって、新規事業部に移ってようやく雑誌の立ち上げなどに関与させてもらえるようにな りました。それから上海勤務です。上海では「mina」「S Cawaii」「Baby-mo」の編集をやりました。7割は日本版の翻訳ですが、3割は現地で編集をするんです。これが編集者としてのキャリアです。
でも、私は結構やりたいことを全部やらせてもらってるラッキーな人間だと思っています。その点では龍馬っぽいかな。広告部時代は東京以外を希望したら叶ったし、海外赴任も望んだことだったし、これで編集長もやらせてもらったんだから、この業界でもう後は何も思い残すことはないですよ(笑)。
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1.ナンバー(文藝春秋)
僕はサッカーをずっとやってきましたから。とくにここのコラムが泣けますね。
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2.週刊サッカーマガジン(ベースボール・マガジン社)
「Number」と同じ理由です。こちらは情報を得るために読みます。
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3.BRUTUS(マガジンハウス)
あらゆる意味で雑誌の先端を常に走ってるなと思っています。
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4.GLITTER(トランスメディア)
いわゆるギャルの雑誌ではナンバー1だと僕は思っています。
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5.テレビで中国語(NHK出版)
2年中国にいて少しは話せるのですが、もっとちゃんとできるようになりたいので読んでます。
(2009年12月)
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- 私の知り合いには小沢一郎という名前の編集者がいますが、さすがに龍馬や信長はいません。羽柴秀吉という人をテレビで見ましたが、本名ではないでしょうね。だから、「坂本龍馬です」と初対面で名刺を出されたときはさすがに驚きました。「せめて龍一くらいにならないでしょうか(笑)?」とつっこみたいのをおさえつつ、いろいろ話を聞かせて頂きました。
実物の坂本さんは、和服の似合いそうな武士然とした方です。海外業務にも精通しておられ、本人も言われていたように、編集という学者的な小宇宙よりも、本当は世界に羽ばたくようなビジネスのほうが向いているのかもしれません。でも、ことしは、「龍馬伝」の影響で確実に龍馬ブームは再燃するでしょう。それを独自のビジネスセンスで、うまく編集的に処理してもらいたいですね。
私自身は、坂本龍馬を武器商グラバーのスパイだったと思っているのですが、それでもこの人物が放つオーラの前には、変な噂は吹き飛んでしまいます。逆に日本の歴史には、このくらい痛快なスーパースターがいてくれないとつまらない。だから龍馬をネタにいろいろ楽しもうというのは、元気が乏しい時代であればあるほどよくわかりますね。この混迷の時代を龍馬ならどう生きるか---これは誰もが興味のあるところでしょう。
ちなみにお嬢さんの名前は「お竜(りょう)さん」らしいですよ。やりすぎ?
インタビュアー:小西克博
大学卒業後に渡欧し編集と広告を学ぶ。共同通信社を経て中央公論社で「GQ」日本版の創刊に参画。 「リクウ」、「カイラス」創刊編集長などを歴任し、富士山マガジンサービス顧問・編集長。著書に「遊覧の極地」など。





