目次
【特集】高齢者の褥瘡-今,私たちにできること-
企画編集/石川 治(群馬大学大学院医学系研究科 皮膚科学 教授,群馬大学理事(教育・国際交流担当),副学長)
〈特集にあたって〉
本特集号「高齢者の褥瘡-今,私たちにできること-」は,医療の最前線で褥瘡医療に携わってきた方々に執筆していただきました。読んでいただければ納得されると思いますが,執筆者の共通点は,知識から経験(実践)へ,そして経験(実践)から知識へと,常に往還しながら知識と技術を高めているということです。私は,常々教室の若手医師に「結果には必ず原因がある」,それを考えて対処するのが医師の仕事だと言っています。また,「成功例よりも失敗例から学ぶことが多い。なぜ,失敗したのかを考えよう」とも言っています。両者に共通する点は「考える」ことです。「考える」ことで進歩が生まれます。医学・医療に限ったことではありませんが,日々の活動の中で生まれる小さな疑問が進歩をもたらしてきたのです。
人間を含むあらゆる生命体は誕生の瞬間から死へ向かって歩みはじめます。その過程で起こる老化は不可避です。不老不死を願った歴史上の人物はたくさんいますが,自然の摂理を超越できた者はいません。病は虫歯や風邪のような軽いものから,癌や心筋梗塞などのように生命に直結する重篤なものまで,さまざまです。いくら予防に万全を期しても病からは逃れられないでしょう。つまり,ヒトとして生を受けた限りにおいては何人たりといえども「老病死」は避けられません。褥瘡も「老病」の表現型の1つといえます。
仏教は,人間がこの世で避けられない4つの苦しみとして「老病死」に「生」を加え,「生老病死(四苦)」としています。仏教が「生」,すなわち「生きていくこと」を苦としていることは注目すべきです。運動などで肉体的に「苦しい」と感じるときは別にして,日々,精神的に「苦しい」と感じることは誰にでもあるでしょう。「なぜ,自分だけがこんなに苦しく,辛い思いをしなければならないのか?」と思うことはありませんか。この苦しみは,自分を他人と比較することから生まれるのだと思います。言い換えると,「幸せ」についての自分自身の物差しを持っていないから生まれる感情です。「上を見たら限がない。下を見ても限がない」という言葉がありますが,この言葉自体が他人との比較を利用して,自分を楽にさせようとする自己欺瞞です。大切なことは,他人の評価に一喜一憂することなく,自分自身の現在に「幸せ」を感じることができるような価値観(尺度)を持つことです。そして,「幸せ」を感じることができる底流には,「自分が必要とされ,期待される役割を果たすことができている」という意識が必ず存在しているはずです。
「必要とされ,果たすべき役割を果たせている」という実感が幸福感と表裏一体にあることは人生全般にわたっていえることですが,褥瘡のチーム医療にも当てはまります。褥瘡医療を担っていく中で,各職種(1人1人が)が「必要とされ,果たすべき役割を果たしている」と実感できていることがチームを有機的に機能させる秘訣だと思います。
石川 治
群馬大学大学院医学系研究科 皮膚科学 教授,群馬大学理事(教育・国際交流担当),副学長
〈目次〉
1. 加齢に伴う皮膚の構造と機能の変化
2. 高齢者褥瘡の特徴
3. 在宅における高齢者褥瘡の予防とポイント
4. 高齢者褥瘡の保存的治療の基本戦略
5. 褥瘡の創面評価のポイント
6. 外用薬と被覆材の使い分け
7. 高齢者褥瘡の外科的治療の適応と基本戦略
8. 在宅高齢者褥瘡のチームワーク医療
9. 医療関連機器によるpressure injury
10. 緊急対処を要する褥瘡
11. 褥瘡と鑑別すべき疾患
12. 褥瘡医療の過去・現在・未来
企画編集/石川 治(群馬大学大学院医学系研究科 皮膚科学 教授,群馬大学理事(教育・国際交流担当),副学長)
〈特集にあたって〉
本特集号「高齢者の褥瘡-今,私たちにできること-」は,医療の最前線で褥瘡医療に携わってきた方々に執筆していただきました。読んでいただければ納得されると思いますが,執筆者の共通点は,知識から経験(実践)へ,そして経験(実践)から知識へと,常に往還しながら知識と技術を高めているということです。私は,常々教室の若手医師に「結果には必ず原因がある」,それを考えて対処するのが医師の仕事だと言っています。また,「成功例よりも失敗例から学ぶことが多い。なぜ,失敗したのかを考えよう」とも言っています。両者に共通する点は「考える」ことです。「考える」ことで進歩が生まれます。医学・医療に限ったことではありませんが,日々の活動の中で生まれる小さな疑問が進歩をもたらしてきたのです。
人間を含むあらゆる生命体は誕生の瞬間から死へ向かって歩みはじめます。その過程で起こる老化は不可避です。不老不死を願った歴史上の人物はたくさんいますが,自然の摂理を超越できた者はいません。病は虫歯や風邪のような軽いものから,癌や心筋梗塞などのように生命に直結する重篤なものまで,さまざまです。いくら予防に万全を期しても病からは逃れられないでしょう。つまり,ヒトとして生を受けた限りにおいては何人たりといえども「老病死」は避けられません。褥瘡も「老病」の表現型の1つといえます。
仏教は,人間がこの世で避けられない4つの苦しみとして「老病死」に「生」を加え,「生老病死(四苦)」としています。仏教が「生」,すなわち「生きていくこと」を苦としていることは注目すべきです。運動などで肉体的に「苦しい」と感じるときは別にして,日々,精神的に「苦しい」と感じることは誰にでもあるでしょう。「なぜ,自分だけがこんなに苦しく,辛い思いをしなければならないのか?」と思うことはありませんか。この苦しみは,自分を他人と比較することから生まれるのだと思います。言い換えると,「幸せ」についての自分自身の物差しを持っていないから生まれる感情です。「上を見たら限がない。下を見ても限がない」という言葉がありますが,この言葉自体が他人との比較を利用して,自分を楽にさせようとする自己欺瞞です。大切なことは,他人の評価に一喜一憂することなく,自分自身の現在に「幸せ」を感じることができるような価値観(尺度)を持つことです。そして,「幸せ」を感じることができる底流には,「自分が必要とされ,期待される役割を果たすことができている」という意識が必ず存在しているはずです。
「必要とされ,果たすべき役割を果たせている」という実感が幸福感と表裏一体にあることは人生全般にわたっていえることですが,褥瘡のチーム医療にも当てはまります。褥瘡医療を担っていく中で,各職種(1人1人が)が「必要とされ,果たすべき役割を果たしている」と実感できていることがチームを有機的に機能させる秘訣だと思います。
石川 治
群馬大学大学院医学系研究科 皮膚科学 教授,群馬大学理事(教育・国際交流担当),副学長
〈目次〉
1. 加齢に伴う皮膚の構造と機能の変化
2. 高齢者褥瘡の特徴
3. 在宅における高齢者褥瘡の予防とポイント
4. 高齢者褥瘡の保存的治療の基本戦略
5. 褥瘡の創面評価のポイント
6. 外用薬と被覆材の使い分け
7. 高齢者褥瘡の外科的治療の適応と基本戦略
8. 在宅高齢者褥瘡のチームワーク医療
9. 医療関連機器によるpressure injury
10. 緊急対処を要する褥瘡
11. 褥瘡と鑑別すべき疾患
12. 褥瘡医療の過去・現在・未来
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